画像処理装置および画像処理方法
【課題】デジタル画像データを記録媒体上に高画質に画像形成できるよう適切に記録データを生成する。
【解決手段】記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理装置であって、入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し手段と、前記領域の画像データから、k回目の記録走査に使用される前記入力画像データの階調数より低い階調数の記録データを生成する記録データ生成手段と、(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得手段とを有し、前記読出し手段は、前記取得手段により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に応じて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御する。
【解決手段】記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理装置であって、入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し手段と、前記領域の画像データから、k回目の記録走査に使用される前記入力画像データの階調数より低い階調数の記録データを生成する記録データ生成手段と、(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得手段とを有し、前記読出し手段は、前記取得手段により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に応じて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像データに基づく画像を記録媒体上に高画質に形成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラで撮影したデジタル画像データをプリンタで印刷するということが一般的に行われている。ところで、プリンタが印刷可能な画像データの階調数は、デジタルカメラやPCが取り扱う画像データの階調数よりも一般的に少ない。一方、プリンタにより形成される画像の解像度は、PCモニタなどの表示装置により表示される画像の解像度よりも一般的に高い。そこで、デジタル画像データをプリンタで印刷する際には、複数画素で元の階調を疑似的に表現するハーフトーン処理を用いデジタル画像データの階調数を効率的に減少させている。ハーフトーン処理された画像データは、印刷を行うプリンタの種類に合わせて、更に画像処理され用紙などの記録媒体上に印刷される。なお、プリンタの種類としては、例えば、インクジェットプリンタやレーザービームプリンタが挙げられる。
【0003】
ところで、プリンタによる印刷においては、記録媒体の搬送誤差などにより印字するドットの位置が変動してしまう。例えば、インクジェットプリンタでは、モータの偏心や記録媒体のすべりなどにより記録媒体の理想的な搬送量と実際の搬送量との誤差が発生することがある。これにより、各記録走査間のつなぎ目部分にスジ状の濃度変動が生じたり、画像の鮮鋭性の低下が発生する場合がある。また、レーザービームプリンタでは、プリンタ本体の振動や各機構の部品精度のばらつきなど様々な要因によって、各色のトナー画像が理想的な位置からずれて重ね合わせられ画像のエッジ部に色ズレが発生する場合があった。
【0004】
このような、ドットの位置変動に起因する画質劣化を低減するための技術がある。例えば、特許文献1では、インクジェットプリンタにおいて、記録媒体搬送量の誤差を検知し、プリンタヘッドの位置を調整する技術が開示されている。また、特許文献3では、レーザービームプリンタにおいて、色ズレ検出用マークを用いて検出した位置ズレ量を基に、レーザービームの照射タイミングと反射ミラーの位置を制御する技術が開示されている。一方、特許文献2では、インクジェットプリンタにおいて、印刷面上に既に記録された画像の濃度情報を取得し入力画像にフィードバックする技術が開示されている。この技術は、インクジェットプリンタのマルチパス記録におけるパス分割数を低減しても高い画質を得ることができ、また、印刷速度を向上させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−369158号公報
【特許文献2】特開2009−262457号公報
【特許文献3】特開平01−183676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、プリンタヘッドの位置調整を行うための調整機構を新たに設ける必要がある。また、精度の良い位置補正を行うために、当該調整機構は少なくとも記録媒体の搬送機構よりも精度の高い部品が必要でありプリンタ製品のコストアップにつながる。同様に、特許文献3で開示される技術も、精度の良い位置補正を行うためにはコストの高い部品を使用しなければならない。また、特許文献1及び特許文献3に開示される技術は、調整機構の機械的な制御を必要とするため、機構自体の荷重やイナーシャ(慣性モーメント)の影響により補正結果が安定しないことがあった。また、特許文献2に開示された方法では、濃度変動は改善されるものの、位置ずれは補正されず、エッジの鮮鋭性が悪化するなどの問題があった。
【0007】
そこで本発明は、入力画像データに基づく画像を高画質に記録媒体上に形成可能とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の問題点を解決するため、本発明の画像処理装置は記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理装置であって、入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し手段と、前記領域の画像データから、k回目の記録走査に使用される前記入力画像データの階調数より低い階調数の記録データを生成する記録データ生成手段と、(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得手段とを有し、前記読出し手段は、前記取得手段により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に応じて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入力画像データに基づく画像を高画質に記録媒体上に形成可能とするための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態における画像形成装置のブロック図である。
【図2】第1実施形態におけるプリンタヘッドの構成例を示す図である。
【図3】第1実施形態における記録媒体搬送部の断面模式図である。
【図4】第1実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態における画像位置補正方法を説明する図である。
【図6】第1実施形態におけるパス分割方法を説明する図である。
【図7】第1実施形態におけるパス分割された画像データのノズルへの割り当てを説明する図である。
【図8】第2実施形態におけるプリンタヘッドの構成例を示す図である。
【図9】第2実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図10】第2実施形態における位置変動検出方法を説明する図である。
【図11】第2実施形態における画像位置補正方法を説明する図である。
【図12】第2実施形態におけるパス分割方法を説明する図である。
【図13】第2実施形態におけるパス分割された画像データのノズルへの割り当てを説明する図である。
【図14】第3実施形態におけるエンジン機構部の例示的な断面図である。
【図15】第3実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態における位置変動検出方法を説明する図である。
【図17】第4実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態では画像形成装置として、インクジェット方式のプリンタを例に挙げて以下に説明する。特に、同一領域に対してN回記録走査を行うマルチパス印刷(Nは2以上の整数)において、検出されたドットの位置変動情報に基づいて、ハーフトーン処理前の各パスの画像情報の画素位置を変位させる例について説明する。
【0013】
<装置構成>
図1は、第1実施形態に適用可能な画像形成装置の構成例を示すブロック図である。インクジェットプリンタである画像形成装置100は、画像処理部101、エンジン制御部102及びエンジン機構部103を備える。
【0014】
画像処理部101はCPU、メモリ、バス、専用の画像処理回路などから構成され、入力画像データをエンジン制御部102で解釈可能な画像データに変換する。エンジン制御部102は、プリンタヘッド制御、記録媒体搬送制御などを行う制御回路から構成され、画像処理部101で変換された入力画像データを基に、エンジン機構部103を制御する。エンジン機構部103は、プリンタヘッドや記録媒体搬送部、搬送量誤差検出用センサなどから構成される。エンジン機構部103は、夫々の機構をエンジン制御部102からの制御信号に従って駆動させることで、出力画像を記録媒体上に記録する。
【0015】
図2は、第1実施形態における記録ヘッド(プリンタヘッド)の構成例を示す。プリンタヘッド200は、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)などのインク色毎にノズル列201が設けられている。各ノズルは、対応する記録可能な画像データに基づいて、インク滴を飛ばすことで画像データを記録媒体上に記録する。一般的には、ノズル列のうち、上下端部に設けられたノズルは製造上のばらつきが大きく不使用ノズル領域202とされる。一方で、製造ばらつきの小さなプリンタヘッド中央部の使用ノズル領域203のノズル列が、各パスに対応するノズル領域に分割され、実際に画像データの記録に使用される。
【0016】
ところで、インクジェットプリンタにおいてはマルチパス印刷と呼ばれる技術が用いられる。マルチパス印刷とは、ノズル単体の製造上のばらつきや印刷途中でのインク滴の不吐出や吐出量変動の影響を軽減し、濃度ムラの発生を低減するための技術である。これは、記録媒体上の同一領域に対して複数回の記録走査を行うことにより画像を形成する技術である。なお、画像の1ラインを形成する複数の記録走査のうち、1回目の記録走査を1パス、2回目の記録走査を2パスと呼ぶ。
【0017】
図2においては、4パスによるマルチパス印刷における例を示している。そのため、各ノズル列の使用ノズル領域203のノズル24個を4パスで分割し、各パス基準ノズル領域を設けている。記録されるドットの位置変動がない場合、各パスでは基準ノズル領域のノズルを使用して画像データを記録する。ドットの位置変動がある場合には、各パスは隣接するパスの基準ノズル領域のノズルまで使用して画像データを記録することがある。尚、図2に示すプリンタヘッドの構成例では、説明を簡単にするためノズル列を各色1列ずつ設けている。しかしながら、ノズル列は色毎に複数列設けられていても良く、プリンタヘッドの記録走査(主走査)の往復で使用するノズル列を切り替えても良い。
【0018】
図3は、第1実施形態における記録媒体搬送部の断面模式図を示す。記録媒体300は、搬送ローラ302によって搬送され、プリンタヘッド301によって画像が記録される。プリンタヘッド301を記録走査させた後の一回の記録媒体の搬送量は、図2に示す各パス基準ノズル領域の高さ分である。前の搬送で搬送量誤差が出た場合には、前の搬送量誤差を相殺するように搬送量を調整してもよい。また、本実施形態における記録媒体搬送部には、搬送量誤差を検出するため、搬送ローラ302の回転角を計測するロータリーエンコーダ303が設けられている。更に、記録媒体と一体となって搬送される部材(不図示)と搬送によって移動しない基準スケールの値を取得するイメージセンサ304を有している。これらの搬送量誤差検出用センサは複数あっても良いし、一つのみ構成されていても良い。
【0019】
<画像処理動作>
図4は、第1実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。画像処理部101は、入力画像をエンジン制御部102で解釈可能な画像データに変換する処理を行う。画像処理部101は、色変換部400、入力画像バッファ401、位置変動検出部402、画像位置補正部403、パス分割部404、ハーフトーン処理部405、記録情報バッファ406から構成される。上記の構成要素は、CPU、メモリ、専用の処理回路などに割り当てられる。夫々の処理に関しては、CPUによるソフト処理によって実現しても良いし、専用の画像処理回路を用いて実現しても良い。
【0020】
色変換部400では、RGB(レッド、グリーン、ブルー)などの色空間で表現される画像データをインクジェットプリンタで出力可能なインク色CMYKなどの色空間に変換する。入力画像バッファ401では、上記のインク色に変換した入力画像データを格納する。
【0021】
位置変動検出部402では、図3に示す記録媒体搬送部に搭載された搬送量誤差検出用センサから検出用データを受け取り、これを基に理想的な搬送量からの位置変動(位置ズレ量など)を検出する。つまり、第1の実施形態では、記録媒体の搬送量誤差を主な要因とする位置変動情報を検出する。具体的にはまず、ロータリーエンコーダ303から搬送ローラ302の回転角を取得する。搬送ローラ302の円周長と読み取った回転角より記録走査時の実際の搬送量を算出し、目標とする所定の搬送量の差から位置変動情報を検出する。または、記録媒体と一体となって搬送される部材と搬送によって移動しない基準スケールの値をイメージセンサ304で取得し、部材の位置を基準スケール値と比較して目標とする搬送量からの位置変動情報を検出してもよい。
【0022】
画像位置補正部403では、位置変動検出部402が検出した位置変動を基に入力画像を変位させ、次の記録走査で記録する画像領域を読み出す処理を行う。つまり、(k−1)回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査時における位置変動情報に基づいて、k回目の記録走査に対応する記録データの示す画像を変位させる。以下では、図5を参照して、検出された位置変動情報に基づく画像位置補正部403で入力画像を変位させる方法を説明する。
【0023】
図5(a)は、位置変動が”なし”の場合の画像位置補正部403の動作を示している。画像位置補正部403は、入力画像500を格納している入力画像バッファ401から次の記録走査で記録する画像領域501の画像データを読み出し、後段のパス分割部404に出力する。また、位置変動がない場合は、使用しないノズルを決定するノズルオフセットを”0”に設定し、パス分割部404に出力する。ここで、画像領域501の高さは、図2に示すプリンタヘッドの使用ノズル領域203の高さと一致する。
【0024】
図5(b)は、位置変動情報が”+1画素”の場合の画像位置補正部403の動作を示している。”+1画素”のように位置変動が整数画素分ある場合、画像位置補正部403は、位置変動がない場合の記録走査で記録する画像領域501より位置変動相当分だけ変位させた画像領域502を設定する。画像位置補正部403は、次に、画像領域501と重複する領域については画像データから画素値を読み出し、画像領域501と重複しない領域については画素値”0”を格納して、この画像領域502の画像データの画素値として出力する。また、位置変動が整数画素分である場合には、画像位置補正部403は、位置変動をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”+1”をノズルオフセットとして設定する。
【0025】
図5(c)は、位置変動情報が”−1.3画素”の場合の画像位置補正部403の動作を示している。位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、画像位置補正部403は、画素間の線形補間演算により画像の変位を行う。そのため、画像位置補正部403は、位置変動がない場合の記録走査で記録する画像領域501よりも位置変動相当量分だけ変位させた画像領域503の画素値を補間演算により算出可能な画像領域504を設定する。画像位置補正部403は、次に、画像領域501と重複する領域については画像データから画素値を読み出し、画像領域501と重複しない領域については画素値”0”を格納する。この画像領域504に対して、線形補間演算により変位後の画素値を算出した画像領域505の画像データの画素値として出力する。また、位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、画像位置補正部403は、小数点以下の値を切り捨てた値をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”−1”をノズルオフセットとして設定する。尚、ここでは格子点上にない画素位置の画素値を算出するのに線形補間演算を使用するとした。しかしながら、画像領域を変位させることができるのであれば最近傍補間やバイキュービック補間など、どのような補間演算を用いてもかまわない。どのような補間方法を用いる場合でも、その補間方法に合わせて画像領域504が設定される。
【0026】
パス分割部404では、画像位置補正部403で位置補正され、切り出された画像領域をノズルオフセットに基づいて、N回(Nは2以上の整数)の記録走査(パス)に領域と画像データを振り分ける。上述したように、第1実施形態におけるパス分割部404のパス分割数は”4”である。以下では、画像データを予め定めた所定の割合で各パスに振り分ける例を、図6を参照して説明する。
【0027】
図6(a)は、ノズルオフセットがプラスの場合のパス分割部404の動作を示している。入力画像領域600は、図の下方からノズルオフセット分、1パス領域、2パス領域、3パス領域、4パス領域の順に分割する。ノズルオフセット分の領域は、画像位置補正部403の説明の通り、画素値”0”が格納されている領域になる。また、各パス領域の高さは図2に示すプリンタヘッド200の各パス基準ノズル領域によって決められるが、4パス領域では画像データが存在しないため所定の高さに満たない領域で打ち切られた領域となる。
【0028】
このように分割されたパス領域毎に、所定の重み係数(w1、w2、w3、w4)を掛け合わせることで、1パス画像データ601、2パス画像データ602、3パス画像データ603、4パス画像データ604を生成する。これらを統合するとともに、ノズルオフセット分の領域を付加し、1回の記録走査で記録する画像データ605を生成(記録データ生成)する。ここで、所定の重み係数の各々には、全て加算すると1になる値を設定し、全てのパスに振り分けられた画像データの総和が入力画像データに等しくなることが好ましい。尚、小数点以下の画素で位置変動が検出された場合には、図6に示すように各パス領域の境界を画素単位で定めることはできない。この場合、2つのパス領域の境界に当たる画像データを算出する際には、2つのパスの所定の係数を画素に占めるパス領域の割合によってブレンドした係数など用いて算出する。
【0029】
図6(b)は、ノズルオフセットがマイナスの場合のパス分割部404の動作を示している。入力画像領域606は、図の上方からノズルオフセット分、4パス領域、3パス領域、2パス領域、1パス領域の順に分割される。1パス領域においては、所定の高さに満たない領域ではあるが、画像データが存在しないため打ち切られた領域となる。このように分割した領域に対して、所定の重み係数(w1、w2、w3、w4)を掛け合わせ、1パス画像データ607、2パス画像データ608、3パス画像データ609、4パス画像データ610を生成する。そして、これらを統合して1回の記録走査で記録する画像データ611を生成する。
【0030】
ここで、図6(a)に示すようにノズルオフセットがプラスの場合、最終パス領域の打ち切りが起きる。より適切に画像を形成するために、最終パス領域の打ち切りが発生する方向に向かって、しだいに画像データを振り分ける割合が小さくなるようなパス分割をすることが望ましい。または、このような最終パス領域の打ち切りが起きないように、記録媒体搬送量を予め基準ノズル領域の高さよりも少なくしておいても良い。一方、図6(b)に示すようにノズルオフセットがマイナスの場合、1パス領域の打ち切りが起きるが、これは次のパス以降でこの打ち切り分を考慮してパス領域を設定すればパス間のつなぎスジを改善できる。
【0031】
パス分割部404で処理された1回の記録走査に対応する画像データは、図7に示すように各ノズルに割り当てられる。従って、位置変動が発生する場合には、各パス基準ノズル領域を超えて各パスで使用するノズルが変更される。しかしながら、入力画像領域に対してノズルオフセット及び各パス領域を順に分割することで、入力画像領域を超えるパス領域の高さを制限し、各パスでは不使用ノズル領域のノズルを使用することはない。
【0032】
なお、パス分割部404において、画像データを所定の割合で分割するだけでなく、例えば、画像のエッジや細線などの特徴量別に分割しても良い。この場合も、全てのパスに振り分けられた画像データの総和をとると、入力された画像データに等しくなることが望ましい。また、パス分割部404は、後述するハーフトーン処理部405の後に行っても良い。その場合にはパスマスクと呼ばれる間引きパターンをノズルオフセット分ずらして用いることで、ハーフトーン処理結果を各パスに分割する。
【0033】
ハーフトーン処理部405では、8ビットや12ビットの階調数を有する入力画像を、疑似的に入力画像の階調が表現可能で、かつ、本実施形態の画像形成装置が記録可能な1ビットや2ビットの階調数のデータに変換する。ハーフトーン処理部405は、公知技術であるディザ法や誤差拡散法などにより実現される。
【0034】
記録情報バッファ406では、パス分割部404およびハーフトーン処理部405によって生成された記録データを、プリンタヘッドの1回の走査で記録する分だけ格納する。
【0035】
上述の画像処理によって生成された記録データを、エンジン制御部102に出力し、エンジン機構部103によって画像を記録媒体に印刷する。エンジン機構部103では、指定された画像データの印刷が終了するまで、上述した記録情報の生成及び印刷、並びに記録媒体の搬送を繰り返す。
【0036】
以上説明したとおり第1実施形態によれば、記録媒体搬送量の誤差を位置変動情報として検出し、入力画像から読み出す記録走査に対応する領域の画素位置を変位させる。当該処理により、位置変動に起因する出力画像の鮮鋭性の低下を低減することができる。また、当該処理は画像処理部101による画像処理であり、プリンタヘッド調整のための新たな機構などを設ける必要がない。そのため、位置変動による画質低下を最小限のコストアップで抑えることができる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態に適用可能な画像形成装置として、4パスのマルチパス印刷を行うインクジェットプリンタを例に挙げて以下に説明する。特に、プリンタヘッドに付設されたイメージセンサを用いて、既に記録媒体上に記録された画像情報を取得し、次に記録する画像情報の画素位置を変位させる例について説明する。なお、第2実施形態の画像形成装置の全体構成は、図1と同様であるため説明は省略する。
【0038】
図8は、第2実施形態における画像形成装置のプリンタヘッドの構成例を示す。プリンタヘッド800は、プリンタヘッドの記録走査(主走査)方向の両側にイメージセンサ804が付設されている。2つのイメージセンサは記録走査の往復で切り替えて使用され、ノズルでのインク滴吐出に先行して記録媒体上に記録してある画像情報を取得する。
【0039】
また、インク色毎にノズル列801が設けられていて、ノズルに割り当てられた記録可能な画像データに基づいて、インク滴を飛ばすことで画像を記録媒体に印刷する。一般的に、ノズル列の上下端部は製造ばらつきが大きいため、不使用ノズル領域802とされる。一方で、製造ばらつきの小さなプリンタヘッド中央部の使用ノズル領域803のノズル列に、各パスの基準ノズル領域が設けられ、実際の画像データの記録に使用される。本実施形態においては、各ノズル列の使用ノズル領域803のノズル24個のうち、20個を4パスで分割し、各パス基準ノズル領域としている。残りの4個のノズルは、記録媒体の位置変動が発生した場合に使用される。尚、図8に示すプリンタヘッドの構成例では、説明を簡単にするためノズル列を各色1列ずつ設けているが、ノズル列は色毎に複数列設けられていても良く、プリンタヘッドの記録走査の往復で使用するノズル列を切り替えても良い。また、イメージセンサは、先行して記録媒体上に記録してある画像情報を取得でき、かつ、記録媒体の搬送前後でプリンタヘッドとイメージセンサの相対位置がわかる構成ならば、本実施形態に示すような構成でなくても構わない。
【0040】
<画像処理動作>
図9は、第2実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。画像処理部101は、入力画像をエンジン制御部102が解釈可能な階調数の記録データに変換する処理を行う。そのため、画像処理部101は、図9に示される各種の構成要素から構成される。上記の構成要素は、CPU、メモリ、専用の処理回路などに割り当てられる。夫々の処理に関しては、CPUによるソフト処理によって実現しても良いし、専用の画像処理回路を用いて実現しても良い。なお、色変換部900、入力画像バッファ901、ハーフトーン処理部905、及び、記録情報バッファ906は、第1実施形態の対応する構成要素と同様であるため説明は省略する。
【0041】
位置変動検出部902では、プリンタヘッド800に搭載されたイメージセンサ804を用いて取得した既に記録媒体上に印刷してある濃度情報を基に、理想的な記録媒体搬送量からの位置変動量を検出する。以下では、第2実施形態における検出方法を、図10を参照して説明する。
【0042】
イメージセンサ804では、図10(a)に示すような、先行するパスによって記録された領域の濃度情報を取得する。夫々のドットは、吐出されたインク滴が記録媒体上で着弾した位置を表している。インク自体の濃度は一定であるが、記録媒体へのにじみやドットゲイン現象によって、記録媒体上に印刷されるインク滴は濃度分布を持っている。また、イメージセンサ804の解像度や階調数によっても、各ドットが濃度分布を持つような濃度情報が取得される。
【0043】
位置変動検出部902では、取得した濃度情報を二値化し図10(b)のような濃度情報を得る。この二値化した濃度情報と、図10(c)に示すような記録情報バッファ906に格納された先行するパスをハーフトーン処理したときの画像データとの相関をとることで位置変動情報を検出する。ここでは、対応付けられた夫々のドットと画像データの位置の差分から、記録媒体の位置変動を検出する。ここで、一つ一つのドットは、ノズルの製造ばらつきやインク滴が気流の影響を受けることで、記録媒体上に記録される位置がばらつくことがある。そのため、図10に示したように位置変動Eを検出する際には、複数の差分(図10では、e1、e2、e3、e4、e5の5個)の平均をとることで、より正しい位置変動を検出することができる。尚、本実施形態における位置変動検出方法はこれに限るものではなく、既に記録された画像の濃度情報とハーフトーン処理後の画像データとに基づいて位置変動を検出する任意の方法が利用可能である。
【0044】
画像位置補正部903では、位置変動検出部902で検出された位置変動情報を基に入力画像を変位させ、次の記録走査で記録する画像領域を読み出す処理を行う。第2実施形態における画像位置補正部903と第1実施形態における画像位置補正部403との相違点は、次の記録走査で記録する領域の読み出し方が異なる。具体的には、第1の実施形態における画像位置補正部403では、位置変動がない場合の次の記録走査で記録する領域に対して、位置変動が発生した場合には、この領域の一部分のみを切り出して出力していた。変動
【0045】
第2実施形態における画像位置補正部903は、位置変動が起きた場合も、位置変動がない場合の次の記録走査で記録する領域を含むように領域を切り出す。これにより、パスとパスのつなぎ目部分の濃度をより適切に補償できる。以下では、図11を参照して、画像位置補正部903で入力画像から領域を読出す位置を変位させる方法を説明する。
【0046】
図11(a)は、位置変動が”なし”の場合の画像位置補正部903の動作を示している。画像位置補正部903は、入力画像1100を格納している入力画像バッファ901から次の記録走査で記録する領域1101の画像データを読み出し、パス分割部に出力する。また、位置変動がない場合はノズルオフセットを”0”に設定する。
【0047】
図11(b)は、位置変動情報が”+1画素”の場合の画像位置補正部903の動作を示している。”+1画素”のように位置変動が整数画素分ある場合では、画像位置補正部903は、位置変動がない場合の記録走査で記録する領域1101を位置変動相当分だけ拡張した領域1102を設定する。この領域1102に対して、領域1101と重複する領域の画像データを読み出し、位置変動相当分だけ拡張した領域には画素値”0”を格納して出力する。また、位置変動が整数画素分である場合には、位置変動をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”+1”をノズルオフセットとして設定する。
【0048】
図11(c)は、位置変動情報が”−1.3画素”の場合の画像位置補正部903の動作を示している。位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、画像位置補正部903は、画素間の線形補間により画像の変位を行う。位置変動がない場合の記録走査で記録する領域1101を位置変動相当分だけ拡張した領域を位置変動している場合の画像データで表現するためには、領域1105の画像データがあればよい。なお、領域1105は、位置変動が小数点以下の画素まで検出されていることを考慮している。この領域1105の画素値を補間演算により算出可能な領域1104を設定し、領域1101と重複する領域については、画像データを読み出し、領域1101と重複しない領域については画素値”0”を格納する。この領域1104に対して、線形補間演算により変位後の画素値を算出した領域1105の画像データを出力する。また、位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、小数点以下の値を切り捨てた値をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”−1”をノズルオフセットとして設定する。尚、ここでは格子点上にない画素位置の画素値を算出するのに線形補間演算を使用するとしたが、領域を変位させることができるのであればどのような補間演算を用いてもかまわない。
【0049】
パス分割部904では、画像位置補正部903で位置補正され、読みだされた領域をノズルオフセットに基づいて、N回のパスに領域と画像データを振り分ける。上述したように、第2実施形態におけるパス分割部904のパス分割数は”4”である。以下では、画像データを予め定めた所定の割合で各パスに振り分ける例を、図12を参照して説明する。
【0050】
図12(a)は、ノズルオフセットがプラスの場合のパス分割部904の動作を示している。入力画像領域1200は、図の下方からノズルオフセット分、1パス領域、2パス領域、3パス領域、4パス領域に分割される。ノズルオフセット分の領域は、上述の画像位置補正部903の説明の通り、画素値”0”が格納されている領域になる。また、各パス領域の高さは図8に示すプリンタヘッド800の各パス基準ノズル領域の高さによって決まる。
【0051】
このように分割されたパス領域毎に、所定の係数を掛け合わせることで、1パス画像データ1201、2パス画像データ1202、3パス画像データ1203、4パス画像データ1204を生成する。これらを統合し、ノズルオフセット分の領域を付加し、1回の記録走査で記録する画像データ1205を生成する。尚、小数点以下の画素で位置変動が検出された場合には、図12に図示するように各パス領域の境界を画素単位で定めることはできない。この場合、2つのパス領域の境界に当たる画像データを算出する際には、2つのパスの所定の係数を画素に占めるパス領域の割合によってブレンドした係数などを用いて算出する。
【0052】
図12(b)は、ノズルオフセットがマイナスの場合のパス分割部904の動作を示している。同様に、入力画像領域1206をパス領域に分割し所定の係数を掛け合わせることで、1回の記録走査で記録する画像データ1207が生成される。
【0053】
ところで、第1実施形態におけるパス分割部404では、ノズルオフセットの値に基づいて、各パス領域の高さが所定の基準ノズル領域の高さに満たなくとも打ち切られる可能があることを説明した。これに対し、第2実施形態におけるパス分割部904は、図12(a)ノズルオフセットがプラスの場合でも、図12(b)ノズルオフセットがマイナスの場合でも、各パス領域が所定の基準ノズル領域の高さを持つように分割される。これは、上述した画像位置補正部903によって、位置変動が発生しない場合の記録走査で記録する画像領域を位置変動相当分だけ拡張しているために実現可能となっている。
【0054】
パス分割部904で処理された1回の記録走査に対応する画像データは、図13に示すように各ノズルに割り当てられる。従って、ドットの位置変動が発生する場合には、各パス基準ノズル領域を超えて各パスで使用するノズルが変更される。また、各パス基準ノズル領域ではないが使用ノズル領域803のノズルが使用されることもある。
【0055】
このように、各パス基準ノズル領域ではないが使用ノズル領域803となっているノズル領域を十分に広くとっておけば、ドットの位置変動が大きくても適切な位置補正が可能である。更に、パス分割部904で処理された1回の記録走査に対応するする画像データの高さは可変である。従って、搬送量は各パスの基準ノズル領域の高さからノズルオフセットを差し引いた量とし、前の搬送で発生した搬送量誤差を累積させないことが好ましい。
【0056】
尚、第2実施形態によるパス分割部904では、画像データを所定の割合で分割するだけでなく、例えば、画像のエッジや細線などの特徴量別に分割しても良い。この場合も、全てのパスに振り分けられた画像データの総和をとると、入力された画像データに等しくなることが望ましい。
【0057】
累積記録情報生成部907では、直前まで記録媒体に記録してきた理想的な濃度情報を合計(累積)し、累積記録情報を生成する。これを生成する方法は、位置補正された画像データに対して、パス分割部904の際に使用された所定の係数を、累積しようとするパスまで加算した累積係数を乗じることで、生成することができる。また、パス分割部904で出力されるパス毎の画像データを順次累積していっても生成可能である。
【0058】
入力画像空間変換部908は、プリンタヘッド800に付設されたイメージセンサ804を用いて取得した既に記録媒体上に印刷してある濃度情報を、入力画像空間に変換する。記録媒体上に印刷された濃度情報は、上述したように、図10(a)に示すような濃度分布を持つ。しかしながら、記録される画像データは、ハーフトーン処理によって、多階調な入力画像データからある一定の面積で元の階調を疑似的に表現できる少ない階調数の出力画像データへ変換されている。従って、この入力画像空間変換部908では、様々な要因によって濃度分布を持つ記録媒体上の濃度情報を入力画像空間の階調数に変換するとともに、ハーフトーン処理の逆変換を行う必要がある。これには、Kubelka-Munkの式を適用することで、変換可能である。また、イメージセンサ804で取得した濃度情報に平滑化フィルタをかけることで、模擬的に濃度情報を入力画像空間に変換しても良い。
【0059】
差分検出部909(差分算出手段)では、累積記録情報生成部907で算出した累積記録情報と入力画像空間変換部908で変換した記録媒体上の濃度情報の差分を算出する。累積記録情報生成部907は、先行するパスとの位置補正後に累積記録情報を生成しているため、累積記録情報と記録媒体上の濃度情報に位置変動は存在しない。両者の差分というのは、ノズルの製造ばらつきやインク滴の不吐出、吐出量変動などによって起こる記録媒体上の濃度ムラである。そして、濃度補正部910では、ハーフトーン処理前に差分検出部909が検出した差分を位置補正された画像データに加算することで、記録媒体上に発生している濃度ムラを補正する。
【0060】
上述の画像処理によって生成された記録データを、エンジン制御部102に出力し、エンジン機構部103によって画像を記録媒体上に印刷する。エンジン機構部103では、指定された画像データの印刷が終了するまで、上述した記録データの生成及び印刷、並びに記録媒体の搬送を繰り返す。
【0061】
以上説明したとおり第2実施形態によれば、記録媒体上に既に記録された画像をイメージセンサで検出することにより記録媒体搬送量の誤差による位置変動を決定する。そして、決定された位置変動情報に基づき、ハーフトーン処理前の入力画像の画素位置を変位させる。当該処理により、ドットの位置変動に起因する出力画像の鮮鋭性の低下を低減することができる。なお、イメージセンサは、位置補正と濃度補正に使用する従来のイメージセンサを兼用することが可能であり、部品点数の増加によるコストアップを最小限に抑えることができる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明に係る画像形成装置の第3実施形態として、4色(CMYK)のプレーン画像に分割して記録する電子写真方式のレーザービームプリンタを例に挙げて以下に説明する。なお、ここでは4色としているが任意のN色(Nは2以上の整数)を利用するカラー画像を形成する装置に適用可能である。特に、転写ベルト上に形成された先行する色トナー画像を濃度センサにより取得し、次に記録する色トナー画像の画素位置を変位させる例について説明する。なお、第3実施形態の画像形成装置の全体構成は、エンジン機構部103がレーザービームプリンタの印刷機構になるほかは図1とほぼ同様であるため説明は省略する。
【0063】
図14は、第3実施形態におけるエンジン機構部103の一構成例の断面模式図を示す。色トナー画像を形成する感光ドラム1400に隣接して、感光ドラムに一定の電位を与える帯電ローラ1401が配されている。そして、画像データに従ってレーザービームを発光するレーザー光源1402、レーザー光源1402から照射されたレーザービームを回転しながら反射させることで感光ドラムを主走査方向に露光する反射ミラー1403が配されている。また、色トナー画像を感光ドラム上に形成する現像ローラ1404、転写ベルト1407上に色トナー画像を形成する一次転写ローラ1405、感光ドラム上の残存トナーや残存電位を除去するクリーニングブラシ1406が設けられている。これらは、色トナー毎に直列に並んでいる。また、各色トナー画像が順に重ね合わせられ、所望の画像が形成された転写ベルト1407と二次転写ローラ1408によって、記録媒体1409へ画像の転写が行われる。更に、転写ベルト1407上には、各一次転写の間に濃度センサ1410が設けられ、先行する色トナー画像の濃度情報を取得することができる。
【0064】
上述したように、ここでは、4色のトナーを使うことを想定している。つまり、感光ドラム1400、帯電ローラ1401、レーザー光源1402、反射ミラー1403、現像ローラ1404、一次転写ローラ1405、クリーニングブラシ1406は夫々4つずつ設けられている。また、濃度センサ1410は、各色トナーの転写の間に3つ設けられている。各色トナーの数や種類、順番については予め任意に決めることができる。例えば、色トナー画像が転写ベルトに重ね合わせられる順番がYMCKとなるようにエンジン機構部103を構成しておく。更に、濃度センサ1410を、CMY色トナーのうちY色トナーの濃度のみ検出可能な赤外線領域の分光スペクトルを受光する赤外線センサとして構成しておく。このような構成とすることで、目立ちにくいY色トナー画像に識別マークを挿入し、転写ベルトに最初に識別マークを転写することで、各色トナーの転写間に設けられた3つの濃度センサ1410において、この識別マークをいつでも検出できる。尚、図14に示すエンジン機構部103の構成例は、本発明の説明のために簡略化されており、レーザービームプリンタの印刷工程に関わる全ての機構は図示されてはいない。また、ここではタンデム方式における構成を示しているが、他の構成でも構わない。
【0065】
図15は、第3実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。画像処理部101は、入力画像をエンジン制御部102が解釈可能な画像データに変換する処理を行う。そのため、画像処理部101は、色変換部1500、入力画像バッファ1501、位置変動検出部1502、画像位置補正部1503、ハーフトーン処理部1505、記録情報バッファ1506、プレーンバッファ1512から構成される。上記の構成要素は、CPU、メモリ、専用の処理回路などに割り当てられ、夫々の処理に関しては、CPUによるソフト処理によって実現しても良いし、専用の画像処理回路を用いて実現しても良い。
【0066】
色変換部1500は、RGBなどのカラー表現で入力される画像データをレーザービームプリンタで出力可能なCMYKなどのトナー色の色空間に変換する。また、レーザービームプリンタで印刷可能な色域を拡大するため、LC(ライトシアン)やLM(ライトマゼンダ)などのトナーを用いる場合には、この色変換部1500で夫々のトナー色に変換してもよい。
【0067】
入力画像バッファ1501では、上記のトナー色に変換した画像データを入力画像毎に記録する。入力画像空間変換部1508は、転写ベルト1407上に設けられた濃度センサ1410を用いて取得した先行する色トナー画像の濃度情報を、入力画像空間に変換する。濃度センサ1410で取得した先行する色トナー画像の濃度情報は、入力画像データに対してハーフトーン処理した画像データのため、第2実施形態における入力画像空間変換部908と同様に、ハーフトーン処理の逆変換をする。
【0068】
位置変動検出部1502は、上記のように入力画像空間に変換された濃度情報と色トナー画像を生成するためにプレーン画像(又は単に、プレーン)というトナー毎に分割された画像情報を比較して、先行する色トナー画像からの位置変動を検出する。以下では、第3実施形態における検出方法を、図16を参照して説明する。
【0069】
濃度センサ1410では、図16(a)に示すような、先行する色トナー画像のある特定領域や識別マークの濃度情報を取得する。レーザービームプリンタでは、ハーフトーン処理においてドットが周期的に並ぶ網点スクリーンが用いられることが多いため、図に示されるような形状のドットが表れる。この濃度情報を入力画像空間変換部1508によって、変換すると図16(b)に示すような濃度情報に変換される。この濃度情報は入力空間と同じ階調数を持ち、ハーフトーン処理の逆変換がなされたものである。
【0070】
入力画像空間に変換された画像と、後述するプレーンバッファ1512に格納された図16(c)に示すようなプレーン画像データとを比較する。ここでは、図16(d)に示すように、図16(b)及び(c)の断面A−A’、B−B’、C−C’の濃度分布のエッジの中心を検出し、この部分の差分を検出することで位置変動を検出する。その際に、位置変動をより正確に算出するため、複数位置で算出した差分(図16では、e1、e2、e3の3個)を平均して位置変動Eを算出する。尚、本実施形態における位置変動検出方法はこれに限るものではなく、検出された先行するトナー色の濃度情報と対応するプレーン画像データとに基づいて位置変動情報を算出する任意の方法が利用可能である。
【0071】
画像位置補正部1503は、位置変動検出部1502で検出された位置変動情報を基に入力画像を変位させる処理を行う。第1及び第2実施形態で示したように、画像位置補正部1503では画素単位以下の位置補正を補間処理によって行う。
【0072】
プレーンバッファ1512は、画像位置補正部1503によって位置補正された各トナー色に対応した画像データをプレーン画像として格納する。
【0073】
ハーフトーン処理部1505では、プレーンバッファに格納されたトナー色毎の入力画像データを、疑似的に中間調を表現しつつ入力画像データの階調数よりも少ない階調数に変換し、記録データを生成する。レーザービームプリンタの場合、このハーフトーン処理部1505で生成した各色トナー画像を重ね合わせることで記録画像を形成する。そのため、色トナー画像間の位置変動が起きても、重なる領域の面積が変わらないような特性を持つハーフトーン処理がなされることが一般的である。
【0074】
上述の処理によって生成されたあるトナー色の記録情報を、エンジン制御部102に出力し、エンジン機構部103によって転写ベルト1407上に転写する。更に、他のトナー色についても上記と同様の処理を行い、全てのトナー色の記録情報を転写ベルト1407上に重ね合わせ、二次転写ローラ1408を用いて、記録媒体1409への転写を行う。
【0075】
以上説明したとおり第3実施形態によれば、転写ベルト上の先行する色トナー画像を濃度センサによって検出することにより位置変動情報を算出する。そして、算出された位置変動情報に基づき、ハーフトーン処理前の入力画像の画素位置を変位させる。そのため、従来技術のように、レーザービームの照射タイミングを調整したり、反射ミラーを移動させたりする調整機構が必要なく、コストアップを最低限に抑えることができる。更に、各色トナー画像を記録する順番をKYMCとし、濃度センサによってブラック(K)トナー画像の濃度を検出すれば、CMYトナーの組み合わせによるプロセスブラックを用いることで、Kトナーの濃度ムラ(濃度変動)を補正することもできる。
【0076】
(第4実施形態)
本発明に係る画像形成装置の第4実施形態として、4パスのマルチパス印刷を行うインクジェットプリンタを例に挙げて以下に説明する。特に、プリンタヘッドに付設されたイメージセンサを用いて、既に記録媒体上に記録された画像情報を取得し、次に記録する画像情報の位置補正及び濃度補正を行う例について説明する。なお、第2実施形態とは、画像処理部101の詳細構成が異なる。
【0077】
図17は、第4本実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。次に記録する画像情報を生成する際のパス分割部904と濃度補正部910の処理順が第2実施形態と異なる。
【0078】
上述の第2実施形態では、画像位置補正部903によって位置補正した画像情報を、パス分割部904で夫々のパス画像に分割する。これらのパス画像に対して、濃度補正部910によって差分検出部909で検出した濃度ムラ分を差し引くことで、既に記録された画像情報中に存在する濃度ムラを補正している。そのため、読み取った画像情報を入力画像空間に変換する入力画像空間変換部908、位置補正された画像から既に記録された画像を累積する累積記録情報生成部907、及び、これらの差分をとって濃度ムラを検出する差分検出部909が必要である。
【0079】
一方、第4実施形態では、画像位置補正部903によって位置補正された画像情報を濃度補正部910によって濃度補正し、これをパス分割部904によってパス分割する。このようにパス分割と濃度補正の順番を入れ替えることで、読み取った画像情報を入力画像空間に変換する入力画像空間変換部908があれば濃度ムラを補正することが可能である。そのため、第3実施形態(図9)における累積記録情報生成部907及び差分検出部909を必要としない。これは、濃度補正部910において、画像位置補正部によって補正された画像情報から濃度ムラを含む既に記録された画像情報(濃度値)の合計を差し引くことで、後続のパスによって記録しなければならない画像情報(濃度変動情報)を生成させることが可能であるためである。この後続のパスで記録しなければならない画像情報をパス分割部904で濃度ムラ補正分を含むパス画像に分割し記録する。
【0080】
このとき、パス分割部904におけるパス分割する際に各画像データに掛け合わせる係数は、夫々のパス画像に振り分けられた画像データの総和が入力画像データに等しくなる係数の組み合わせが好ましい。例えば、所定の係数を”1/(パス分割数−何パス目+1)”という値にする例では、図6に示すようにパス分割数を4とした場合、w1=1/4、w2=1/3、w3=1/2、w4=1/1とし、画像データを夫々のパスに均等に振り分けても良い。一方、w1=1/2、w2=1/2、w3=1/2、w4=1/1とすると、画像データを振り分ける際に必要な演算は1ビットのシフト演算のみとなるため、パス分割部904の演算量を少なくできるというメリットがある。
【0081】
以上説明したとおり第4実施形態によれば、上述の第2実施形態に比較し簡単な構成で画質向上が実現可能である。
【0082】
また、第2実施形態では、既に記録された画像情報の濃度ムラ分をパス画像から差し引いて濃度補正していたため、濃度補正の効果がパス画像の濃度の範囲に限定されてしまう。また、濃度ムラがパス画像の濃度を超えて大きくなった場合には、まったく記録されないパスが存在することになるため、マルチパス印刷の効果が低減してしまう場合があった。一方で、第4実施形態の構成においては、記録すべき画像情報全体から既に記録された画像情報を差し引き、後続のパスで記録すべき画像情報を算出可能である。これにより、濃度ムラを含む既に記録された画像情報が記録すべき画像情報以上に大きくならない場合においては濃度補正可能である。また、後続のパスで記録すべき画像情報についてパス分割するため、常にマルチパス印刷の効果を得ることができる。
【0083】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像データに基づく画像を記録媒体上に高画質に形成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラで撮影したデジタル画像データをプリンタで印刷するということが一般的に行われている。ところで、プリンタが印刷可能な画像データの階調数は、デジタルカメラやPCが取り扱う画像データの階調数よりも一般的に少ない。一方、プリンタにより形成される画像の解像度は、PCモニタなどの表示装置により表示される画像の解像度よりも一般的に高い。そこで、デジタル画像データをプリンタで印刷する際には、複数画素で元の階調を疑似的に表現するハーフトーン処理を用いデジタル画像データの階調数を効率的に減少させている。ハーフトーン処理された画像データは、印刷を行うプリンタの種類に合わせて、更に画像処理され用紙などの記録媒体上に印刷される。なお、プリンタの種類としては、例えば、インクジェットプリンタやレーザービームプリンタが挙げられる。
【0003】
ところで、プリンタによる印刷においては、記録媒体の搬送誤差などにより印字するドットの位置が変動してしまう。例えば、インクジェットプリンタでは、モータの偏心や記録媒体のすべりなどにより記録媒体の理想的な搬送量と実際の搬送量との誤差が発生することがある。これにより、各記録走査間のつなぎ目部分にスジ状の濃度変動が生じたり、画像の鮮鋭性の低下が発生する場合がある。また、レーザービームプリンタでは、プリンタ本体の振動や各機構の部品精度のばらつきなど様々な要因によって、各色のトナー画像が理想的な位置からずれて重ね合わせられ画像のエッジ部に色ズレが発生する場合があった。
【0004】
このような、ドットの位置変動に起因する画質劣化を低減するための技術がある。例えば、特許文献1では、インクジェットプリンタにおいて、記録媒体搬送量の誤差を検知し、プリンタヘッドの位置を調整する技術が開示されている。また、特許文献3では、レーザービームプリンタにおいて、色ズレ検出用マークを用いて検出した位置ズレ量を基に、レーザービームの照射タイミングと反射ミラーの位置を制御する技術が開示されている。一方、特許文献2では、インクジェットプリンタにおいて、印刷面上に既に記録された画像の濃度情報を取得し入力画像にフィードバックする技術が開示されている。この技術は、インクジェットプリンタのマルチパス記録におけるパス分割数を低減しても高い画質を得ることができ、また、印刷速度を向上させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−369158号公報
【特許文献2】特開2009−262457号公報
【特許文献3】特開平01−183676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、プリンタヘッドの位置調整を行うための調整機構を新たに設ける必要がある。また、精度の良い位置補正を行うために、当該調整機構は少なくとも記録媒体の搬送機構よりも精度の高い部品が必要でありプリンタ製品のコストアップにつながる。同様に、特許文献3で開示される技術も、精度の良い位置補正を行うためにはコストの高い部品を使用しなければならない。また、特許文献1及び特許文献3に開示される技術は、調整機構の機械的な制御を必要とするため、機構自体の荷重やイナーシャ(慣性モーメント)の影響により補正結果が安定しないことがあった。また、特許文献2に開示された方法では、濃度変動は改善されるものの、位置ずれは補正されず、エッジの鮮鋭性が悪化するなどの問題があった。
【0007】
そこで本発明は、入力画像データに基づく画像を高画質に記録媒体上に形成可能とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の問題点を解決するため、本発明の画像処理装置は記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理装置であって、入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し手段と、前記領域の画像データから、k回目の記録走査に使用される前記入力画像データの階調数より低い階調数の記録データを生成する記録データ生成手段と、(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得手段とを有し、前記読出し手段は、前記取得手段により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に応じて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、入力画像データに基づく画像を高画質に記録媒体上に形成可能とするための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態における画像形成装置のブロック図である。
【図2】第1実施形態におけるプリンタヘッドの構成例を示す図である。
【図3】第1実施形態における記録媒体搬送部の断面模式図である。
【図4】第1実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態における画像位置補正方法を説明する図である。
【図6】第1実施形態におけるパス分割方法を説明する図である。
【図7】第1実施形態におけるパス分割された画像データのノズルへの割り当てを説明する図である。
【図8】第2実施形態におけるプリンタヘッドの構成例を示す図である。
【図9】第2実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図10】第2実施形態における位置変動検出方法を説明する図である。
【図11】第2実施形態における画像位置補正方法を説明する図である。
【図12】第2実施形態におけるパス分割方法を説明する図である。
【図13】第2実施形態におけるパス分割された画像データのノズルへの割り当てを説明する図である。
【図14】第3実施形態におけるエンジン機構部の例示的な断面図である。
【図15】第3実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態における位置変動検出方法を説明する図である。
【図17】第4実施形態における画像処理部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態では画像形成装置として、インクジェット方式のプリンタを例に挙げて以下に説明する。特に、同一領域に対してN回記録走査を行うマルチパス印刷(Nは2以上の整数)において、検出されたドットの位置変動情報に基づいて、ハーフトーン処理前の各パスの画像情報の画素位置を変位させる例について説明する。
【0013】
<装置構成>
図1は、第1実施形態に適用可能な画像形成装置の構成例を示すブロック図である。インクジェットプリンタである画像形成装置100は、画像処理部101、エンジン制御部102及びエンジン機構部103を備える。
【0014】
画像処理部101はCPU、メモリ、バス、専用の画像処理回路などから構成され、入力画像データをエンジン制御部102で解釈可能な画像データに変換する。エンジン制御部102は、プリンタヘッド制御、記録媒体搬送制御などを行う制御回路から構成され、画像処理部101で変換された入力画像データを基に、エンジン機構部103を制御する。エンジン機構部103は、プリンタヘッドや記録媒体搬送部、搬送量誤差検出用センサなどから構成される。エンジン機構部103は、夫々の機構をエンジン制御部102からの制御信号に従って駆動させることで、出力画像を記録媒体上に記録する。
【0015】
図2は、第1実施形態における記録ヘッド(プリンタヘッド)の構成例を示す。プリンタヘッド200は、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)などのインク色毎にノズル列201が設けられている。各ノズルは、対応する記録可能な画像データに基づいて、インク滴を飛ばすことで画像データを記録媒体上に記録する。一般的には、ノズル列のうち、上下端部に設けられたノズルは製造上のばらつきが大きく不使用ノズル領域202とされる。一方で、製造ばらつきの小さなプリンタヘッド中央部の使用ノズル領域203のノズル列が、各パスに対応するノズル領域に分割され、実際に画像データの記録に使用される。
【0016】
ところで、インクジェットプリンタにおいてはマルチパス印刷と呼ばれる技術が用いられる。マルチパス印刷とは、ノズル単体の製造上のばらつきや印刷途中でのインク滴の不吐出や吐出量変動の影響を軽減し、濃度ムラの発生を低減するための技術である。これは、記録媒体上の同一領域に対して複数回の記録走査を行うことにより画像を形成する技術である。なお、画像の1ラインを形成する複数の記録走査のうち、1回目の記録走査を1パス、2回目の記録走査を2パスと呼ぶ。
【0017】
図2においては、4パスによるマルチパス印刷における例を示している。そのため、各ノズル列の使用ノズル領域203のノズル24個を4パスで分割し、各パス基準ノズル領域を設けている。記録されるドットの位置変動がない場合、各パスでは基準ノズル領域のノズルを使用して画像データを記録する。ドットの位置変動がある場合には、各パスは隣接するパスの基準ノズル領域のノズルまで使用して画像データを記録することがある。尚、図2に示すプリンタヘッドの構成例では、説明を簡単にするためノズル列を各色1列ずつ設けている。しかしながら、ノズル列は色毎に複数列設けられていても良く、プリンタヘッドの記録走査(主走査)の往復で使用するノズル列を切り替えても良い。
【0018】
図3は、第1実施形態における記録媒体搬送部の断面模式図を示す。記録媒体300は、搬送ローラ302によって搬送され、プリンタヘッド301によって画像が記録される。プリンタヘッド301を記録走査させた後の一回の記録媒体の搬送量は、図2に示す各パス基準ノズル領域の高さ分である。前の搬送で搬送量誤差が出た場合には、前の搬送量誤差を相殺するように搬送量を調整してもよい。また、本実施形態における記録媒体搬送部には、搬送量誤差を検出するため、搬送ローラ302の回転角を計測するロータリーエンコーダ303が設けられている。更に、記録媒体と一体となって搬送される部材(不図示)と搬送によって移動しない基準スケールの値を取得するイメージセンサ304を有している。これらの搬送量誤差検出用センサは複数あっても良いし、一つのみ構成されていても良い。
【0019】
<画像処理動作>
図4は、第1実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。画像処理部101は、入力画像をエンジン制御部102で解釈可能な画像データに変換する処理を行う。画像処理部101は、色変換部400、入力画像バッファ401、位置変動検出部402、画像位置補正部403、パス分割部404、ハーフトーン処理部405、記録情報バッファ406から構成される。上記の構成要素は、CPU、メモリ、専用の処理回路などに割り当てられる。夫々の処理に関しては、CPUによるソフト処理によって実現しても良いし、専用の画像処理回路を用いて実現しても良い。
【0020】
色変換部400では、RGB(レッド、グリーン、ブルー)などの色空間で表現される画像データをインクジェットプリンタで出力可能なインク色CMYKなどの色空間に変換する。入力画像バッファ401では、上記のインク色に変換した入力画像データを格納する。
【0021】
位置変動検出部402では、図3に示す記録媒体搬送部に搭載された搬送量誤差検出用センサから検出用データを受け取り、これを基に理想的な搬送量からの位置変動(位置ズレ量など)を検出する。つまり、第1の実施形態では、記録媒体の搬送量誤差を主な要因とする位置変動情報を検出する。具体的にはまず、ロータリーエンコーダ303から搬送ローラ302の回転角を取得する。搬送ローラ302の円周長と読み取った回転角より記録走査時の実際の搬送量を算出し、目標とする所定の搬送量の差から位置変動情報を検出する。または、記録媒体と一体となって搬送される部材と搬送によって移動しない基準スケールの値をイメージセンサ304で取得し、部材の位置を基準スケール値と比較して目標とする搬送量からの位置変動情報を検出してもよい。
【0022】
画像位置補正部403では、位置変動検出部402が検出した位置変動を基に入力画像を変位させ、次の記録走査で記録する画像領域を読み出す処理を行う。つまり、(k−1)回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査時における位置変動情報に基づいて、k回目の記録走査に対応する記録データの示す画像を変位させる。以下では、図5を参照して、検出された位置変動情報に基づく画像位置補正部403で入力画像を変位させる方法を説明する。
【0023】
図5(a)は、位置変動が”なし”の場合の画像位置補正部403の動作を示している。画像位置補正部403は、入力画像500を格納している入力画像バッファ401から次の記録走査で記録する画像領域501の画像データを読み出し、後段のパス分割部404に出力する。また、位置変動がない場合は、使用しないノズルを決定するノズルオフセットを”0”に設定し、パス分割部404に出力する。ここで、画像領域501の高さは、図2に示すプリンタヘッドの使用ノズル領域203の高さと一致する。
【0024】
図5(b)は、位置変動情報が”+1画素”の場合の画像位置補正部403の動作を示している。”+1画素”のように位置変動が整数画素分ある場合、画像位置補正部403は、位置変動がない場合の記録走査で記録する画像領域501より位置変動相当分だけ変位させた画像領域502を設定する。画像位置補正部403は、次に、画像領域501と重複する領域については画像データから画素値を読み出し、画像領域501と重複しない領域については画素値”0”を格納して、この画像領域502の画像データの画素値として出力する。また、位置変動が整数画素分である場合には、画像位置補正部403は、位置変動をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”+1”をノズルオフセットとして設定する。
【0025】
図5(c)は、位置変動情報が”−1.3画素”の場合の画像位置補正部403の動作を示している。位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、画像位置補正部403は、画素間の線形補間演算により画像の変位を行う。そのため、画像位置補正部403は、位置変動がない場合の記録走査で記録する画像領域501よりも位置変動相当量分だけ変位させた画像領域503の画素値を補間演算により算出可能な画像領域504を設定する。画像位置補正部403は、次に、画像領域501と重複する領域については画像データから画素値を読み出し、画像領域501と重複しない領域については画素値”0”を格納する。この画像領域504に対して、線形補間演算により変位後の画素値を算出した画像領域505の画像データの画素値として出力する。また、位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、画像位置補正部403は、小数点以下の値を切り捨てた値をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”−1”をノズルオフセットとして設定する。尚、ここでは格子点上にない画素位置の画素値を算出するのに線形補間演算を使用するとした。しかしながら、画像領域を変位させることができるのであれば最近傍補間やバイキュービック補間など、どのような補間演算を用いてもかまわない。どのような補間方法を用いる場合でも、その補間方法に合わせて画像領域504が設定される。
【0026】
パス分割部404では、画像位置補正部403で位置補正され、切り出された画像領域をノズルオフセットに基づいて、N回(Nは2以上の整数)の記録走査(パス)に領域と画像データを振り分ける。上述したように、第1実施形態におけるパス分割部404のパス分割数は”4”である。以下では、画像データを予め定めた所定の割合で各パスに振り分ける例を、図6を参照して説明する。
【0027】
図6(a)は、ノズルオフセットがプラスの場合のパス分割部404の動作を示している。入力画像領域600は、図の下方からノズルオフセット分、1パス領域、2パス領域、3パス領域、4パス領域の順に分割する。ノズルオフセット分の領域は、画像位置補正部403の説明の通り、画素値”0”が格納されている領域になる。また、各パス領域の高さは図2に示すプリンタヘッド200の各パス基準ノズル領域によって決められるが、4パス領域では画像データが存在しないため所定の高さに満たない領域で打ち切られた領域となる。
【0028】
このように分割されたパス領域毎に、所定の重み係数(w1、w2、w3、w4)を掛け合わせることで、1パス画像データ601、2パス画像データ602、3パス画像データ603、4パス画像データ604を生成する。これらを統合するとともに、ノズルオフセット分の領域を付加し、1回の記録走査で記録する画像データ605を生成(記録データ生成)する。ここで、所定の重み係数の各々には、全て加算すると1になる値を設定し、全てのパスに振り分けられた画像データの総和が入力画像データに等しくなることが好ましい。尚、小数点以下の画素で位置変動が検出された場合には、図6に示すように各パス領域の境界を画素単位で定めることはできない。この場合、2つのパス領域の境界に当たる画像データを算出する際には、2つのパスの所定の係数を画素に占めるパス領域の割合によってブレンドした係数など用いて算出する。
【0029】
図6(b)は、ノズルオフセットがマイナスの場合のパス分割部404の動作を示している。入力画像領域606は、図の上方からノズルオフセット分、4パス領域、3パス領域、2パス領域、1パス領域の順に分割される。1パス領域においては、所定の高さに満たない領域ではあるが、画像データが存在しないため打ち切られた領域となる。このように分割した領域に対して、所定の重み係数(w1、w2、w3、w4)を掛け合わせ、1パス画像データ607、2パス画像データ608、3パス画像データ609、4パス画像データ610を生成する。そして、これらを統合して1回の記録走査で記録する画像データ611を生成する。
【0030】
ここで、図6(a)に示すようにノズルオフセットがプラスの場合、最終パス領域の打ち切りが起きる。より適切に画像を形成するために、最終パス領域の打ち切りが発生する方向に向かって、しだいに画像データを振り分ける割合が小さくなるようなパス分割をすることが望ましい。または、このような最終パス領域の打ち切りが起きないように、記録媒体搬送量を予め基準ノズル領域の高さよりも少なくしておいても良い。一方、図6(b)に示すようにノズルオフセットがマイナスの場合、1パス領域の打ち切りが起きるが、これは次のパス以降でこの打ち切り分を考慮してパス領域を設定すればパス間のつなぎスジを改善できる。
【0031】
パス分割部404で処理された1回の記録走査に対応する画像データは、図7に示すように各ノズルに割り当てられる。従って、位置変動が発生する場合には、各パス基準ノズル領域を超えて各パスで使用するノズルが変更される。しかしながら、入力画像領域に対してノズルオフセット及び各パス領域を順に分割することで、入力画像領域を超えるパス領域の高さを制限し、各パスでは不使用ノズル領域のノズルを使用することはない。
【0032】
なお、パス分割部404において、画像データを所定の割合で分割するだけでなく、例えば、画像のエッジや細線などの特徴量別に分割しても良い。この場合も、全てのパスに振り分けられた画像データの総和をとると、入力された画像データに等しくなることが望ましい。また、パス分割部404は、後述するハーフトーン処理部405の後に行っても良い。その場合にはパスマスクと呼ばれる間引きパターンをノズルオフセット分ずらして用いることで、ハーフトーン処理結果を各パスに分割する。
【0033】
ハーフトーン処理部405では、8ビットや12ビットの階調数を有する入力画像を、疑似的に入力画像の階調が表現可能で、かつ、本実施形態の画像形成装置が記録可能な1ビットや2ビットの階調数のデータに変換する。ハーフトーン処理部405は、公知技術であるディザ法や誤差拡散法などにより実現される。
【0034】
記録情報バッファ406では、パス分割部404およびハーフトーン処理部405によって生成された記録データを、プリンタヘッドの1回の走査で記録する分だけ格納する。
【0035】
上述の画像処理によって生成された記録データを、エンジン制御部102に出力し、エンジン機構部103によって画像を記録媒体に印刷する。エンジン機構部103では、指定された画像データの印刷が終了するまで、上述した記録情報の生成及び印刷、並びに記録媒体の搬送を繰り返す。
【0036】
以上説明したとおり第1実施形態によれば、記録媒体搬送量の誤差を位置変動情報として検出し、入力画像から読み出す記録走査に対応する領域の画素位置を変位させる。当該処理により、位置変動に起因する出力画像の鮮鋭性の低下を低減することができる。また、当該処理は画像処理部101による画像処理であり、プリンタヘッド調整のための新たな機構などを設ける必要がない。そのため、位置変動による画質低下を最小限のコストアップで抑えることができる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態に適用可能な画像形成装置として、4パスのマルチパス印刷を行うインクジェットプリンタを例に挙げて以下に説明する。特に、プリンタヘッドに付設されたイメージセンサを用いて、既に記録媒体上に記録された画像情報を取得し、次に記録する画像情報の画素位置を変位させる例について説明する。なお、第2実施形態の画像形成装置の全体構成は、図1と同様であるため説明は省略する。
【0038】
図8は、第2実施形態における画像形成装置のプリンタヘッドの構成例を示す。プリンタヘッド800は、プリンタヘッドの記録走査(主走査)方向の両側にイメージセンサ804が付設されている。2つのイメージセンサは記録走査の往復で切り替えて使用され、ノズルでのインク滴吐出に先行して記録媒体上に記録してある画像情報を取得する。
【0039】
また、インク色毎にノズル列801が設けられていて、ノズルに割り当てられた記録可能な画像データに基づいて、インク滴を飛ばすことで画像を記録媒体に印刷する。一般的に、ノズル列の上下端部は製造ばらつきが大きいため、不使用ノズル領域802とされる。一方で、製造ばらつきの小さなプリンタヘッド中央部の使用ノズル領域803のノズル列に、各パスの基準ノズル領域が設けられ、実際の画像データの記録に使用される。本実施形態においては、各ノズル列の使用ノズル領域803のノズル24個のうち、20個を4パスで分割し、各パス基準ノズル領域としている。残りの4個のノズルは、記録媒体の位置変動が発生した場合に使用される。尚、図8に示すプリンタヘッドの構成例では、説明を簡単にするためノズル列を各色1列ずつ設けているが、ノズル列は色毎に複数列設けられていても良く、プリンタヘッドの記録走査の往復で使用するノズル列を切り替えても良い。また、イメージセンサは、先行して記録媒体上に記録してある画像情報を取得でき、かつ、記録媒体の搬送前後でプリンタヘッドとイメージセンサの相対位置がわかる構成ならば、本実施形態に示すような構成でなくても構わない。
【0040】
<画像処理動作>
図9は、第2実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。画像処理部101は、入力画像をエンジン制御部102が解釈可能な階調数の記録データに変換する処理を行う。そのため、画像処理部101は、図9に示される各種の構成要素から構成される。上記の構成要素は、CPU、メモリ、専用の処理回路などに割り当てられる。夫々の処理に関しては、CPUによるソフト処理によって実現しても良いし、専用の画像処理回路を用いて実現しても良い。なお、色変換部900、入力画像バッファ901、ハーフトーン処理部905、及び、記録情報バッファ906は、第1実施形態の対応する構成要素と同様であるため説明は省略する。
【0041】
位置変動検出部902では、プリンタヘッド800に搭載されたイメージセンサ804を用いて取得した既に記録媒体上に印刷してある濃度情報を基に、理想的な記録媒体搬送量からの位置変動量を検出する。以下では、第2実施形態における検出方法を、図10を参照して説明する。
【0042】
イメージセンサ804では、図10(a)に示すような、先行するパスによって記録された領域の濃度情報を取得する。夫々のドットは、吐出されたインク滴が記録媒体上で着弾した位置を表している。インク自体の濃度は一定であるが、記録媒体へのにじみやドットゲイン現象によって、記録媒体上に印刷されるインク滴は濃度分布を持っている。また、イメージセンサ804の解像度や階調数によっても、各ドットが濃度分布を持つような濃度情報が取得される。
【0043】
位置変動検出部902では、取得した濃度情報を二値化し図10(b)のような濃度情報を得る。この二値化した濃度情報と、図10(c)に示すような記録情報バッファ906に格納された先行するパスをハーフトーン処理したときの画像データとの相関をとることで位置変動情報を検出する。ここでは、対応付けられた夫々のドットと画像データの位置の差分から、記録媒体の位置変動を検出する。ここで、一つ一つのドットは、ノズルの製造ばらつきやインク滴が気流の影響を受けることで、記録媒体上に記録される位置がばらつくことがある。そのため、図10に示したように位置変動Eを検出する際には、複数の差分(図10では、e1、e2、e3、e4、e5の5個)の平均をとることで、より正しい位置変動を検出することができる。尚、本実施形態における位置変動検出方法はこれに限るものではなく、既に記録された画像の濃度情報とハーフトーン処理後の画像データとに基づいて位置変動を検出する任意の方法が利用可能である。
【0044】
画像位置補正部903では、位置変動検出部902で検出された位置変動情報を基に入力画像を変位させ、次の記録走査で記録する画像領域を読み出す処理を行う。第2実施形態における画像位置補正部903と第1実施形態における画像位置補正部403との相違点は、次の記録走査で記録する領域の読み出し方が異なる。具体的には、第1の実施形態における画像位置補正部403では、位置変動がない場合の次の記録走査で記録する領域に対して、位置変動が発生した場合には、この領域の一部分のみを切り出して出力していた。変動
【0045】
第2実施形態における画像位置補正部903は、位置変動が起きた場合も、位置変動がない場合の次の記録走査で記録する領域を含むように領域を切り出す。これにより、パスとパスのつなぎ目部分の濃度をより適切に補償できる。以下では、図11を参照して、画像位置補正部903で入力画像から領域を読出す位置を変位させる方法を説明する。
【0046】
図11(a)は、位置変動が”なし”の場合の画像位置補正部903の動作を示している。画像位置補正部903は、入力画像1100を格納している入力画像バッファ901から次の記録走査で記録する領域1101の画像データを読み出し、パス分割部に出力する。また、位置変動がない場合はノズルオフセットを”0”に設定する。
【0047】
図11(b)は、位置変動情報が”+1画素”の場合の画像位置補正部903の動作を示している。”+1画素”のように位置変動が整数画素分ある場合では、画像位置補正部903は、位置変動がない場合の記録走査で記録する領域1101を位置変動相当分だけ拡張した領域1102を設定する。この領域1102に対して、領域1101と重複する領域の画像データを読み出し、位置変動相当分だけ拡張した領域には画素値”0”を格納して出力する。また、位置変動が整数画素分である場合には、位置変動をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”+1”をノズルオフセットとして設定する。
【0048】
図11(c)は、位置変動情報が”−1.3画素”の場合の画像位置補正部903の動作を示している。位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、画像位置補正部903は、画素間の線形補間により画像の変位を行う。位置変動がない場合の記録走査で記録する領域1101を位置変動相当分だけ拡張した領域を位置変動している場合の画像データで表現するためには、領域1105の画像データがあればよい。なお、領域1105は、位置変動が小数点以下の画素まで検出されていることを考慮している。この領域1105の画素値を補間演算により算出可能な領域1104を設定し、領域1101と重複する領域については、画像データを読み出し、領域1101と重複しない領域については画素値”0”を格納する。この領域1104に対して、線形補間演算により変位後の画素値を算出した領域1105の画像データを出力する。また、位置変動が小数点以下の画素まで検出された場合には、小数点以下の値を切り捨てた値をノズルオフセットとして設定するため、ここでは”−1”をノズルオフセットとして設定する。尚、ここでは格子点上にない画素位置の画素値を算出するのに線形補間演算を使用するとしたが、領域を変位させることができるのであればどのような補間演算を用いてもかまわない。
【0049】
パス分割部904では、画像位置補正部903で位置補正され、読みだされた領域をノズルオフセットに基づいて、N回のパスに領域と画像データを振り分ける。上述したように、第2実施形態におけるパス分割部904のパス分割数は”4”である。以下では、画像データを予め定めた所定の割合で各パスに振り分ける例を、図12を参照して説明する。
【0050】
図12(a)は、ノズルオフセットがプラスの場合のパス分割部904の動作を示している。入力画像領域1200は、図の下方からノズルオフセット分、1パス領域、2パス領域、3パス領域、4パス領域に分割される。ノズルオフセット分の領域は、上述の画像位置補正部903の説明の通り、画素値”0”が格納されている領域になる。また、各パス領域の高さは図8に示すプリンタヘッド800の各パス基準ノズル領域の高さによって決まる。
【0051】
このように分割されたパス領域毎に、所定の係数を掛け合わせることで、1パス画像データ1201、2パス画像データ1202、3パス画像データ1203、4パス画像データ1204を生成する。これらを統合し、ノズルオフセット分の領域を付加し、1回の記録走査で記録する画像データ1205を生成する。尚、小数点以下の画素で位置変動が検出された場合には、図12に図示するように各パス領域の境界を画素単位で定めることはできない。この場合、2つのパス領域の境界に当たる画像データを算出する際には、2つのパスの所定の係数を画素に占めるパス領域の割合によってブレンドした係数などを用いて算出する。
【0052】
図12(b)は、ノズルオフセットがマイナスの場合のパス分割部904の動作を示している。同様に、入力画像領域1206をパス領域に分割し所定の係数を掛け合わせることで、1回の記録走査で記録する画像データ1207が生成される。
【0053】
ところで、第1実施形態におけるパス分割部404では、ノズルオフセットの値に基づいて、各パス領域の高さが所定の基準ノズル領域の高さに満たなくとも打ち切られる可能があることを説明した。これに対し、第2実施形態におけるパス分割部904は、図12(a)ノズルオフセットがプラスの場合でも、図12(b)ノズルオフセットがマイナスの場合でも、各パス領域が所定の基準ノズル領域の高さを持つように分割される。これは、上述した画像位置補正部903によって、位置変動が発生しない場合の記録走査で記録する画像領域を位置変動相当分だけ拡張しているために実現可能となっている。
【0054】
パス分割部904で処理された1回の記録走査に対応する画像データは、図13に示すように各ノズルに割り当てられる。従って、ドットの位置変動が発生する場合には、各パス基準ノズル領域を超えて各パスで使用するノズルが変更される。また、各パス基準ノズル領域ではないが使用ノズル領域803のノズルが使用されることもある。
【0055】
このように、各パス基準ノズル領域ではないが使用ノズル領域803となっているノズル領域を十分に広くとっておけば、ドットの位置変動が大きくても適切な位置補正が可能である。更に、パス分割部904で処理された1回の記録走査に対応するする画像データの高さは可変である。従って、搬送量は各パスの基準ノズル領域の高さからノズルオフセットを差し引いた量とし、前の搬送で発生した搬送量誤差を累積させないことが好ましい。
【0056】
尚、第2実施形態によるパス分割部904では、画像データを所定の割合で分割するだけでなく、例えば、画像のエッジや細線などの特徴量別に分割しても良い。この場合も、全てのパスに振り分けられた画像データの総和をとると、入力された画像データに等しくなることが望ましい。
【0057】
累積記録情報生成部907では、直前まで記録媒体に記録してきた理想的な濃度情報を合計(累積)し、累積記録情報を生成する。これを生成する方法は、位置補正された画像データに対して、パス分割部904の際に使用された所定の係数を、累積しようとするパスまで加算した累積係数を乗じることで、生成することができる。また、パス分割部904で出力されるパス毎の画像データを順次累積していっても生成可能である。
【0058】
入力画像空間変換部908は、プリンタヘッド800に付設されたイメージセンサ804を用いて取得した既に記録媒体上に印刷してある濃度情報を、入力画像空間に変換する。記録媒体上に印刷された濃度情報は、上述したように、図10(a)に示すような濃度分布を持つ。しかしながら、記録される画像データは、ハーフトーン処理によって、多階調な入力画像データからある一定の面積で元の階調を疑似的に表現できる少ない階調数の出力画像データへ変換されている。従って、この入力画像空間変換部908では、様々な要因によって濃度分布を持つ記録媒体上の濃度情報を入力画像空間の階調数に変換するとともに、ハーフトーン処理の逆変換を行う必要がある。これには、Kubelka-Munkの式を適用することで、変換可能である。また、イメージセンサ804で取得した濃度情報に平滑化フィルタをかけることで、模擬的に濃度情報を入力画像空間に変換しても良い。
【0059】
差分検出部909(差分算出手段)では、累積記録情報生成部907で算出した累積記録情報と入力画像空間変換部908で変換した記録媒体上の濃度情報の差分を算出する。累積記録情報生成部907は、先行するパスとの位置補正後に累積記録情報を生成しているため、累積記録情報と記録媒体上の濃度情報に位置変動は存在しない。両者の差分というのは、ノズルの製造ばらつきやインク滴の不吐出、吐出量変動などによって起こる記録媒体上の濃度ムラである。そして、濃度補正部910では、ハーフトーン処理前に差分検出部909が検出した差分を位置補正された画像データに加算することで、記録媒体上に発生している濃度ムラを補正する。
【0060】
上述の画像処理によって生成された記録データを、エンジン制御部102に出力し、エンジン機構部103によって画像を記録媒体上に印刷する。エンジン機構部103では、指定された画像データの印刷が終了するまで、上述した記録データの生成及び印刷、並びに記録媒体の搬送を繰り返す。
【0061】
以上説明したとおり第2実施形態によれば、記録媒体上に既に記録された画像をイメージセンサで検出することにより記録媒体搬送量の誤差による位置変動を決定する。そして、決定された位置変動情報に基づき、ハーフトーン処理前の入力画像の画素位置を変位させる。当該処理により、ドットの位置変動に起因する出力画像の鮮鋭性の低下を低減することができる。なお、イメージセンサは、位置補正と濃度補正に使用する従来のイメージセンサを兼用することが可能であり、部品点数の増加によるコストアップを最小限に抑えることができる。
【0062】
(第3実施形態)
本発明に係る画像形成装置の第3実施形態として、4色(CMYK)のプレーン画像に分割して記録する電子写真方式のレーザービームプリンタを例に挙げて以下に説明する。なお、ここでは4色としているが任意のN色(Nは2以上の整数)を利用するカラー画像を形成する装置に適用可能である。特に、転写ベルト上に形成された先行する色トナー画像を濃度センサにより取得し、次に記録する色トナー画像の画素位置を変位させる例について説明する。なお、第3実施形態の画像形成装置の全体構成は、エンジン機構部103がレーザービームプリンタの印刷機構になるほかは図1とほぼ同様であるため説明は省略する。
【0063】
図14は、第3実施形態におけるエンジン機構部103の一構成例の断面模式図を示す。色トナー画像を形成する感光ドラム1400に隣接して、感光ドラムに一定の電位を与える帯電ローラ1401が配されている。そして、画像データに従ってレーザービームを発光するレーザー光源1402、レーザー光源1402から照射されたレーザービームを回転しながら反射させることで感光ドラムを主走査方向に露光する反射ミラー1403が配されている。また、色トナー画像を感光ドラム上に形成する現像ローラ1404、転写ベルト1407上に色トナー画像を形成する一次転写ローラ1405、感光ドラム上の残存トナーや残存電位を除去するクリーニングブラシ1406が設けられている。これらは、色トナー毎に直列に並んでいる。また、各色トナー画像が順に重ね合わせられ、所望の画像が形成された転写ベルト1407と二次転写ローラ1408によって、記録媒体1409へ画像の転写が行われる。更に、転写ベルト1407上には、各一次転写の間に濃度センサ1410が設けられ、先行する色トナー画像の濃度情報を取得することができる。
【0064】
上述したように、ここでは、4色のトナーを使うことを想定している。つまり、感光ドラム1400、帯電ローラ1401、レーザー光源1402、反射ミラー1403、現像ローラ1404、一次転写ローラ1405、クリーニングブラシ1406は夫々4つずつ設けられている。また、濃度センサ1410は、各色トナーの転写の間に3つ設けられている。各色トナーの数や種類、順番については予め任意に決めることができる。例えば、色トナー画像が転写ベルトに重ね合わせられる順番がYMCKとなるようにエンジン機構部103を構成しておく。更に、濃度センサ1410を、CMY色トナーのうちY色トナーの濃度のみ検出可能な赤外線領域の分光スペクトルを受光する赤外線センサとして構成しておく。このような構成とすることで、目立ちにくいY色トナー画像に識別マークを挿入し、転写ベルトに最初に識別マークを転写することで、各色トナーの転写間に設けられた3つの濃度センサ1410において、この識別マークをいつでも検出できる。尚、図14に示すエンジン機構部103の構成例は、本発明の説明のために簡略化されており、レーザービームプリンタの印刷工程に関わる全ての機構は図示されてはいない。また、ここではタンデム方式における構成を示しているが、他の構成でも構わない。
【0065】
図15は、第3実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。画像処理部101は、入力画像をエンジン制御部102が解釈可能な画像データに変換する処理を行う。そのため、画像処理部101は、色変換部1500、入力画像バッファ1501、位置変動検出部1502、画像位置補正部1503、ハーフトーン処理部1505、記録情報バッファ1506、プレーンバッファ1512から構成される。上記の構成要素は、CPU、メモリ、専用の処理回路などに割り当てられ、夫々の処理に関しては、CPUによるソフト処理によって実現しても良いし、専用の画像処理回路を用いて実現しても良い。
【0066】
色変換部1500は、RGBなどのカラー表現で入力される画像データをレーザービームプリンタで出力可能なCMYKなどのトナー色の色空間に変換する。また、レーザービームプリンタで印刷可能な色域を拡大するため、LC(ライトシアン)やLM(ライトマゼンダ)などのトナーを用いる場合には、この色変換部1500で夫々のトナー色に変換してもよい。
【0067】
入力画像バッファ1501では、上記のトナー色に変換した画像データを入力画像毎に記録する。入力画像空間変換部1508は、転写ベルト1407上に設けられた濃度センサ1410を用いて取得した先行する色トナー画像の濃度情報を、入力画像空間に変換する。濃度センサ1410で取得した先行する色トナー画像の濃度情報は、入力画像データに対してハーフトーン処理した画像データのため、第2実施形態における入力画像空間変換部908と同様に、ハーフトーン処理の逆変換をする。
【0068】
位置変動検出部1502は、上記のように入力画像空間に変換された濃度情報と色トナー画像を生成するためにプレーン画像(又は単に、プレーン)というトナー毎に分割された画像情報を比較して、先行する色トナー画像からの位置変動を検出する。以下では、第3実施形態における検出方法を、図16を参照して説明する。
【0069】
濃度センサ1410では、図16(a)に示すような、先行する色トナー画像のある特定領域や識別マークの濃度情報を取得する。レーザービームプリンタでは、ハーフトーン処理においてドットが周期的に並ぶ網点スクリーンが用いられることが多いため、図に示されるような形状のドットが表れる。この濃度情報を入力画像空間変換部1508によって、変換すると図16(b)に示すような濃度情報に変換される。この濃度情報は入力空間と同じ階調数を持ち、ハーフトーン処理の逆変換がなされたものである。
【0070】
入力画像空間に変換された画像と、後述するプレーンバッファ1512に格納された図16(c)に示すようなプレーン画像データとを比較する。ここでは、図16(d)に示すように、図16(b)及び(c)の断面A−A’、B−B’、C−C’の濃度分布のエッジの中心を検出し、この部分の差分を検出することで位置変動を検出する。その際に、位置変動をより正確に算出するため、複数位置で算出した差分(図16では、e1、e2、e3の3個)を平均して位置変動Eを算出する。尚、本実施形態における位置変動検出方法はこれに限るものではなく、検出された先行するトナー色の濃度情報と対応するプレーン画像データとに基づいて位置変動情報を算出する任意の方法が利用可能である。
【0071】
画像位置補正部1503は、位置変動検出部1502で検出された位置変動情報を基に入力画像を変位させる処理を行う。第1及び第2実施形態で示したように、画像位置補正部1503では画素単位以下の位置補正を補間処理によって行う。
【0072】
プレーンバッファ1512は、画像位置補正部1503によって位置補正された各トナー色に対応した画像データをプレーン画像として格納する。
【0073】
ハーフトーン処理部1505では、プレーンバッファに格納されたトナー色毎の入力画像データを、疑似的に中間調を表現しつつ入力画像データの階調数よりも少ない階調数に変換し、記録データを生成する。レーザービームプリンタの場合、このハーフトーン処理部1505で生成した各色トナー画像を重ね合わせることで記録画像を形成する。そのため、色トナー画像間の位置変動が起きても、重なる領域の面積が変わらないような特性を持つハーフトーン処理がなされることが一般的である。
【0074】
上述の処理によって生成されたあるトナー色の記録情報を、エンジン制御部102に出力し、エンジン機構部103によって転写ベルト1407上に転写する。更に、他のトナー色についても上記と同様の処理を行い、全てのトナー色の記録情報を転写ベルト1407上に重ね合わせ、二次転写ローラ1408を用いて、記録媒体1409への転写を行う。
【0075】
以上説明したとおり第3実施形態によれば、転写ベルト上の先行する色トナー画像を濃度センサによって検出することにより位置変動情報を算出する。そして、算出された位置変動情報に基づき、ハーフトーン処理前の入力画像の画素位置を変位させる。そのため、従来技術のように、レーザービームの照射タイミングを調整したり、反射ミラーを移動させたりする調整機構が必要なく、コストアップを最低限に抑えることができる。更に、各色トナー画像を記録する順番をKYMCとし、濃度センサによってブラック(K)トナー画像の濃度を検出すれば、CMYトナーの組み合わせによるプロセスブラックを用いることで、Kトナーの濃度ムラ(濃度変動)を補正することもできる。
【0076】
(第4実施形態)
本発明に係る画像形成装置の第4実施形態として、4パスのマルチパス印刷を行うインクジェットプリンタを例に挙げて以下に説明する。特に、プリンタヘッドに付設されたイメージセンサを用いて、既に記録媒体上に記録された画像情報を取得し、次に記録する画像情報の位置補正及び濃度補正を行う例について説明する。なお、第2実施形態とは、画像処理部101の詳細構成が異なる。
【0077】
図17は、第4本実施形態における画像処理部101の詳細な構成例を示すブロック図である。次に記録する画像情報を生成する際のパス分割部904と濃度補正部910の処理順が第2実施形態と異なる。
【0078】
上述の第2実施形態では、画像位置補正部903によって位置補正した画像情報を、パス分割部904で夫々のパス画像に分割する。これらのパス画像に対して、濃度補正部910によって差分検出部909で検出した濃度ムラ分を差し引くことで、既に記録された画像情報中に存在する濃度ムラを補正している。そのため、読み取った画像情報を入力画像空間に変換する入力画像空間変換部908、位置補正された画像から既に記録された画像を累積する累積記録情報生成部907、及び、これらの差分をとって濃度ムラを検出する差分検出部909が必要である。
【0079】
一方、第4実施形態では、画像位置補正部903によって位置補正された画像情報を濃度補正部910によって濃度補正し、これをパス分割部904によってパス分割する。このようにパス分割と濃度補正の順番を入れ替えることで、読み取った画像情報を入力画像空間に変換する入力画像空間変換部908があれば濃度ムラを補正することが可能である。そのため、第3実施形態(図9)における累積記録情報生成部907及び差分検出部909を必要としない。これは、濃度補正部910において、画像位置補正部によって補正された画像情報から濃度ムラを含む既に記録された画像情報(濃度値)の合計を差し引くことで、後続のパスによって記録しなければならない画像情報(濃度変動情報)を生成させることが可能であるためである。この後続のパスで記録しなければならない画像情報をパス分割部904で濃度ムラ補正分を含むパス画像に分割し記録する。
【0080】
このとき、パス分割部904におけるパス分割する際に各画像データに掛け合わせる係数は、夫々のパス画像に振り分けられた画像データの総和が入力画像データに等しくなる係数の組み合わせが好ましい。例えば、所定の係数を”1/(パス分割数−何パス目+1)”という値にする例では、図6に示すようにパス分割数を4とした場合、w1=1/4、w2=1/3、w3=1/2、w4=1/1とし、画像データを夫々のパスに均等に振り分けても良い。一方、w1=1/2、w2=1/2、w3=1/2、w4=1/1とすると、画像データを振り分ける際に必要な演算は1ビットのシフト演算のみとなるため、パス分割部904の演算量を少なくできるというメリットがある。
【0081】
以上説明したとおり第4実施形態によれば、上述の第2実施形態に比較し簡単な構成で画質向上が実現可能である。
【0082】
また、第2実施形態では、既に記録された画像情報の濃度ムラ分をパス画像から差し引いて濃度補正していたため、濃度補正の効果がパス画像の濃度の範囲に限定されてしまう。また、濃度ムラがパス画像の濃度を超えて大きくなった場合には、まったく記録されないパスが存在することになるため、マルチパス印刷の効果が低減してしまう場合があった。一方で、第4実施形態の構成においては、記録すべき画像情報全体から既に記録された画像情報を差し引き、後続のパスで記録すべき画像情報を算出可能である。これにより、濃度ムラを含む既に記録された画像情報が記録すべき画像情報以上に大きくならない場合においては濃度補正可能である。また、後続のパスで記録すべき画像情報についてパス分割するため、常にマルチパス印刷の効果を得ることができる。
【0083】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理装置であって、
入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し手段と、
前記領域の画像データから、k回目の記録走査に使用される前記入力画像データの階調数より低い階調数の記録データを生成する記録データ生成手段と、
(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得手段と、
を有し、
前記読出し手段は、前記取得手段により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に応じて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記読出し手段は、ドットの位置変動がない場合の読出し位置に対して、前記位置変動情報だけ読み出し位置を変位させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記読出し手段は、前記読出し位置を変位させて領域を読出した後、前記領域の画像データを前記位置変動情報に応じて補間処理することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、先行して記録された記録データを検出する検出手段と、前記検出された結果に基づいて、前記位置変動情報を算出する算出手段とを含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
更に、前記記録データ生成手段は、前記領域の画像データに対して濃度補正することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、記録ヘッドをN回記録走査させるマルチパス印刷により、前記記録媒体上に画像形成するインクジェット方式の画像形成装置のための画像処理装置であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記記録データ生成手段は、前記N回の記録走査のうち後続する記録走査で記録される濃度ほど小さくなるように、前記記録データを生成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記位置変動情報は、前記記録媒体の搬送量の変動を主な要因とする変動量であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記取得手段は、(k−1)回目の記録走査により記録された画像をイメージセンサにより読み取り、該画像と(k−1)回目の記録走査の記録データが示す画像との位置ズレ量に基づいて算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記取得手段はさらに、前記イメージセンサにより読み取られた(k−1)回目の記録走査までに記録された画像が示す濃度と、(k−1)回目までの記録走査に対応する記録データの濃度値の合計と、の差分により算出された濃度変動情報を取得し、
前記記録データ生成手段は、前記差分を補償するように、前記k回目の記録走査に対応する領域の記録データを生成することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記イメージセンサは記録ヘッドに付設されていることを特徴とする請求項9または10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記取得手段は、(k−1)回目の記録走査時の搬送量を読み取り、該読み取った搬送量と目標とする搬送量との差に基づき算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記記録データ生成手段は、
前記読出し手段により読み出された領域の画像データに対してハーフトーン処理するハーフトーン処理手段と、
前記ハーフトーン処理された画像データを間引きパターンを使うことによりN回の記録走査に分割する分割手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記記録データ生成手段は、
前記読出し手段により読み出された領域の画像データをN回の記録走査に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された各記録走査に対応する画像データに対して、それぞれハーフトーン処理するハーフトーン処理手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記分割手段は、前記入力画像データの特徴量に応じて、前記記録走査のそれぞれに分割することを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記読出し手段は、前記位置変動情報に基づき、読み出す領域を拡張することを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記画像処理装置は、N色のプレーン画像を電子写真方式を用いて記録し、カラー画像を形成する画像形成装置のための画像処理装置であり、
前記記録データ生成手段は、前記読出し手段によって読み出された領域の画像データに対してハーフトーン処理することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記取得手段は、(k−1)回目の記録走査により転写ベルトに記録された画像をセンサにより読み取り、該画像と、(k−1)回目の記録走査の記録データが示す画像と、の差分に基づいて算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項17に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記取得手段は、前記センサにより読み取られた(k−1)回目の記録走査により転写ベルトに記録された画像に対し前記ハーフトーン処理の逆変換を適用して生成した画像と、(k−1)回目の記録走査の記録データがより生成した画像と、の差分に基づいて算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項18に記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記取得手段はさらに、前記センサにより読み取られた(k−1)回目の記録走査までに転写ベルトに記録された画像が示す濃度と、(k−1)回目までの記録走査に対応する記録データの濃度値の合計と、の差分により算出された濃度変動情報を取得し、
前記記録データ生成手段は、前記差分を補償するように、前記k回目の記録走査に対応する領域の記録データを生成することを特徴とする請求項18または19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
コンピュータに読み込み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1乃至20の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理方法であって、
読出し手段が、入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し工程と、
記録データ生成手段が、前記領域の画像データからk回目の記録走査に使用される記録データを生成する記録データ生成工程と、
取得手段が、(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得工程と、
を含み、
前記読出し工程では、前記取得工程により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に基づいて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理装置であって、
入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し手段と、
前記領域の画像データから、k回目の記録走査に使用される前記入力画像データの階調数より低い階調数の記録データを生成する記録データ生成手段と、
(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得手段と、
を有し、
前記読出し手段は、前記取得手段により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に応じて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記読出し手段は、ドットの位置変動がない場合の読出し位置に対して、前記位置変動情報だけ読み出し位置を変位させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記読出し手段は、前記読出し位置を変位させて領域を読出した後、前記領域の画像データを前記位置変動情報に応じて補間処理することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、先行して記録された記録データを検出する検出手段と、前記検出された結果に基づいて、前記位置変動情報を算出する算出手段とを含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
更に、前記記録データ生成手段は、前記領域の画像データに対して濃度補正することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、記録ヘッドをN回記録走査させるマルチパス印刷により、前記記録媒体上に画像形成するインクジェット方式の画像形成装置のための画像処理装置であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記記録データ生成手段は、前記N回の記録走査のうち後続する記録走査で記録される濃度ほど小さくなるように、前記記録データを生成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記位置変動情報は、前記記録媒体の搬送量の変動を主な要因とする変動量であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記取得手段は、(k−1)回目の記録走査により記録された画像をイメージセンサにより読み取り、該画像と(k−1)回目の記録走査の記録データが示す画像との位置ズレ量に基づいて算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記取得手段はさらに、前記イメージセンサにより読み取られた(k−1)回目の記録走査までに記録された画像が示す濃度と、(k−1)回目までの記録走査に対応する記録データの濃度値の合計と、の差分により算出された濃度変動情報を取得し、
前記記録データ生成手段は、前記差分を補償するように、前記k回目の記録走査に対応する領域の記録データを生成することを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記イメージセンサは記録ヘッドに付設されていることを特徴とする請求項9または10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記取得手段は、(k−1)回目の記録走査時の搬送量を読み取り、該読み取った搬送量と目標とする搬送量との差に基づき算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記記録データ生成手段は、
前記読出し手段により読み出された領域の画像データに対してハーフトーン処理するハーフトーン処理手段と、
前記ハーフトーン処理された画像データを間引きパターンを使うことによりN回の記録走査に分割する分割手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記記録データ生成手段は、
前記読出し手段により読み出された領域の画像データをN回の記録走査に分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された各記録走査に対応する画像データに対して、それぞれハーフトーン処理するハーフトーン処理手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記分割手段は、前記入力画像データの特徴量に応じて、前記記録走査のそれぞれに分割することを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記読出し手段は、前記位置変動情報に基づき、読み出す領域を拡張することを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記画像処理装置は、N色のプレーン画像を電子写真方式を用いて記録し、カラー画像を形成する画像形成装置のための画像処理装置であり、
前記記録データ生成手段は、前記読出し手段によって読み出された領域の画像データに対してハーフトーン処理することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記取得手段は、(k−1)回目の記録走査により転写ベルトに記録された画像をセンサにより読み取り、該画像と、(k−1)回目の記録走査の記録データが示す画像と、の差分に基づいて算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項17に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記取得手段は、前記センサにより読み取られた(k−1)回目の記録走査により転写ベルトに記録された画像に対し前記ハーフトーン処理の逆変換を適用して生成した画像と、(k−1)回目の記録走査の記録データがより生成した画像と、の差分に基づいて算出された前記位置変動情報を取得することを特徴とする請求項18に記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記取得手段はさらに、前記センサにより読み取られた(k−1)回目の記録走査までに転写ベルトに記録された画像が示す濃度と、(k−1)回目までの記録走査に対応する記録データの濃度値の合計と、の差分により算出された濃度変動情報を取得し、
前記記録データ生成手段は、前記差分を補償するように、前記k回目の記録走査に対応する領域の記録データを生成することを特徴とする請求項18または19に記載の画像処理装置。
【請求項21】
コンピュータに読み込み込ませ実行させることで、前記コンピュータを請求項1乃至20の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
記録媒体上の同一領域に対して、N回(Nは2以上の整数)記録走査することにより画像を形成するための画像処理方法であって、
読出し手段が、入力画像データからk回目(kは2≦k≦Nを満たす整数)の記録走査に対応する領域の画像データを読み出す読出し工程と、
記録データ生成手段が、前記領域の画像データからk回目の記録走査に使用される記録データを生成する記録データ生成工程と、
取得手段が、(k−1)回目の記録走査におけるドットの位置変動情報を取得する取得工程と、
を含み、
前記読出し工程では、前記取得工程により取得された(k−1)回目の記録走査時における位置変動情報に基づいて、k回目の記録走査に対応する前記領域の読出し位置を制御することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図16】
【公開番号】特開2013−111802(P2013−111802A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258287(P2011−258287)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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