説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】最終的な出力物イメージをより直感的にユーザに提示することが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】画像データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された画像データが印刷される印刷媒体の種類を設定する設定手段と、記憶手段に記憶された画像データの印刷結果を印刷媒体とともに表示する表示手段と、表示手段によって表示される印刷媒体を、設定手段によって設定された印刷媒体の種類に対応する撓み方で表示するように制御する制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレビュー画像を表示する画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像形成装置では、どのような画像が出力されるかを予め確認するためのプレビュー画像をディスプレイ等の表示装置に表示する。ユーザは、表示されたプレビュー画像に従って、出力画像の配置や色味、文字の鮮明さ等を確認し、問題がある場合には設定変更を行う。これにより、ミスプリント等の失敗の発生を低減することができる。
【0003】
ここで、ユーザがプレビュー画像を参照して出力画像を事前確認したいと考えるシチュエーションとしては、例えば、次のような場合が想定できる。
【0004】
(1)外部装置(USBメモリやカメラダイレクト等)のデータを印刷する場合
(2)操作デバイスの二次記憶装置(HDD等)に保存されたデータを印刷する場合
(3)スキャナで読み込んだデータを他の機器へ転送したり印刷したりする場合
(4)スキャナで読み込んだデータを二次記憶装置や外部メモリに保存する場合
(5)PCから予め送信された秘匿データを印刷する場合
(6)上記の各場面でプレビュー画像を参照した後に、設定を変更して印刷する場合
従来の画像形成装置には、例えば、用紙枚数やトナー残量等を示すプレビュー画像では表現できない情報を、文字やアイコンで表現してプレビュー画像と共に表示するものがある(例えば特許文献1参照)。これにより、プリント途中でのトナー切れや用紙切れの発生を予め検知して、ユーザに報知することによりトナー切れや用紙切れの発生を抑制することに寄与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−113803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術によれば、プレビュー画像とプレビュー画像では表現できない情報(以下、単に「非プレビュー画像情報」と呼ぶ)とを同時に表示装置に表示する。ユーザは、表示されたプレビュー画像を見て、種々の観点の確認を行う。例えば、ユーザは、プレビュー画像を拡大表示することにより文字の鮮明さや色味等の確認を行い、また、縮小表示することにより、出力画像の配置やステイプルの位置や製本等の仕上がりの確認を行う。
【0007】
しかしながら、上記従来技術では、どのような画像が出力されるかを表示するだけである。例えば、特許文献1では、文字で「非プレビュー画像情報」をユーザに報知しているが、印刷する用紙や使用するトナーの種類によって見え方が異なる場合や、製本した場合のめくり感といった質感を、直感的に表現することができない。このため、ユーザが確認しようとしている観点に、必ずしも即した情報を提示することができなかった。また、用紙の種類によって、どれくらいの束(厚さ)になるか、複数の排紙トレイに跨って出力されるか、又はフィニッシング指定を実行した最終出力物がどのような結果になるか等を、直感的にユーザに提示することができなかった。すなわち、ユーザが指定した通りの結果が得られるか否かを、直感的にユーザに提示することができなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、最終的な出力物イメージをより直感的にユーザに提示することが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像処理装置は、画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像データが印刷される印刷媒体の種類を設定する設定手段と、前記記憶手段に記憶された画像データの印刷結果を印刷媒体とともに表示する表示手段と、前記表示手段によって表示される印刷媒体を、前記設定手段によって設定された印刷媒体の種類に対応する撓み方で表示するように制御する制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、最終的な出力物イメージをより直感的にユーザに提示することが可能な画像処理装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係る画像処理装置を含む画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】画像処理装置の全体的な処理手順を示す図である。
【図3】用紙の厚さを表現するページプレビュー画面の一例を示す図である。
【図4】用紙の光沢感を表現するページプレビュー画面の一例及び透明トナー使用時の用紙の光沢感を表現するページプレビュー画面の一例を示す図である。
【図5】ページプレビュー画像生成のための判断情報を示す図である。
【図6】ページプレビュー画像変換パラメータを示す図である。
【図7】全体プレビュー画像変換パラメータを示す図である。
【図8】全体プレビュー画面の一例を示す図である。
【図9】用紙の厚さを表現するページプレビュー画面の一例を示す図である。
【図10】実施例2における用紙の厚さを表現するページプレビュー画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲を限定するものでなく、また、実施形態で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
<実施例1>
[画像形成装置の構成(図1)]
画像形成装置1は、画像処理装置12と、画像処理装置12が生成した画像データに従って画像を印刷して出力する印刷装置11と、印刷装置11が出力した用紙に、ステイプル処理や折り処理といった仕上げ処理を実行する仕上げ装置13とを備える。なお、印刷装置11及び仕上げ装置13は、公知の装置を用いるものとし、以下では本発明に係る画像処理装置12について詳細に説明する。
【0014】
画像処理装置12は、CPU121、直接記憶部122、間接記憶部123、ユーザインターフェース124及び外部インターフェース125を備える。
【0015】
CPU121は、間接記憶部123に記憶された制御プログラムを直接記憶部122に移動する(記憶させる)ことができる。制御プログラムの移動が完了すると、CPU121が制御プログラムを実行可能な状態になる。
【0016】
直接記憶部122は、CPU121と直接的にデータをやり取りする記憶部(例えば、RAM)である。直接記憶部122は、CPU121が制御プログラムを実行した際等に得られる情報を一時的に記憶する。当該情報には、プレビュー画像が含まれる。
【0017】
一方、間接記憶部123は、直接記憶部122を介してCPU121とデータをやり取りする記憶部(例えば、HDD)である。間接記憶部123は、例えば、画像形成装置1を制御するための制御プログラムを記憶している。
【0018】
ユーザインターフェース124は、種々のデータをディスプレイに表示可能な表示部として機能し、また、表示されたデータに基づくユーザによる入力操作を受け付ける入力部として機能する。入力操作としては、例えば、ユーザによるプレビュー表示指示や表示ページの変更等が挙げられる。ユーザインターフェース124は、種々の画像を表示すると共にユーザによる操作を受け付けるタッチパネル(受付手段)と、音声を出力可能なスピーカ等の音声出力手段とを含む。タッチパネル及び音声出力手段は、種々の情報をユーザに提示する提示手段として機能する。この場合、表示ページの変更を行う入力操作としては、例えば、ユーザが左右へ指を滑らす操作(ジェスチャ操作)が挙げられる。なお、タッチパネルは、その代替として、マウスやキーボード等の入力手段、モニタ等の表示手段の双方を備えるものであっても構わない。
【0019】
外部インターフェース125は、外部装置からデータを受信可能であり、また、外部装置へデータを送信可能である。外部装置には、例えば、外付けHDDや外付けUSBメモリ等の外付け記憶装置と、ネットワークを介して接続された別体のホストコンピュータや画像形成装置とが含まれる。
【0020】
GPU126(Graphics Processing Unit)は、グラフィクス処理をCPU121の代わりに処理するプロセッサである。GPU126は、表示データの拡大や縮小、変形を高速に実行可能である。
【0021】
なお、本実施例では、画像処理装置12、印刷装置11及び仕上げ装置13のそれぞれが実行する画像処理、印刷処理及び仕上げ処理を「ジョブ」と呼ぶ。
【0022】
また、本実施例では、コントローラ20は、CPU121と、制御プログラムを記憶するための、直接記憶部122の一部の領域とを含む。また、コントローラ20は、CPU121が上記制御プログラムを処理した際に得られる情報を記憶するための、直接記憶部122及び間接記憶部123の一部の領域と、GPU126とを含む。
【0023】
[画像処理装置の全体的な処理手順(図2)]
まず、コントローラ20は、ユーザインターフェース124から、ユーザによるプレビュー表示ジョブを受け付けた旨の通知を受け取ったか否かを判定する(S1)。当該ジョブを受け取っていない場合には、受け取るまで待機する。一方、当該ジョブを受け取った場合には、コントローラ20は、ページプレビュー画像を生成するための情報を取得する(S2)。
【0024】
具体的には、コントローラ20は、制御プログラム又は間接記憶部123内に保持されている用紙情報及びトナー情報(現像剤情報)を取得し、また、受け付けたプレビュー表示ジョブの属性情報(又はパネル設定)として保持されているジョブ情報を取得する。そして、取得した情報を、例えば、図5のデータテーブルの形式で直接記憶部122に一時的に記憶する。用紙情報は、1枚当たりの紙の厚さ及び紙の光沢感に関する情報である。トナー情報は、透明トナーの載り量及び非透明トナー(YMCK等)の載り量に関する情報である。ジョブ情報は、印刷枚数及びフィニッシング指定に関する情報である。
【0025】
そして、コントローラ20(第1の生成手段)は、画像処理装置12が読み取った画像、又は外部インターフェース125が外部装置から受信した画像に基づいて、二次元のプレビュー基本画像(画像処理データ)を生成する(S3)。
【0026】
画像処理装置1が扱う画像は、通常、ユーザインターフェース124におけるディスプレイ等の表示装置に比べて相当に高い解像度を有するため、コントローラ20は、表示装置の表示能力に応じた最適な解像度でプレビュー基本画像を生成する。
【0027】
そして、コントローラ20は、出力される印刷メディア(印刷媒体)の種類によって異なる、ページをめくるときの音声パターンを決定する(S4)。例えば、印刷メディアが、普通紙であるときは「パラ」という操作音、光沢紙であるときは「パリ」という操作音をページをめくるときの音声パターンとして決定する。これは、光沢紙が、用紙同士が貼り付く特性があるため、その特性を音声で表現することにより、使用する用紙の特性をよりリアルに表現するためのものである。
【0028】
次に、コントローラ20(第2の生成手段)は、三次元のページプレビュー画像(立体画像)を生成する(S5)。コントローラ20は、ページプレビュー画像に予め記憶された映り込み画像を光沢度に応じて濃さを変えて合成する処理を行う。なお、三次元のページプレビュー画像生成処理の詳細については、図6を用いて後述する。
【0029】
そして、コントローラ20(第2の生成手段)は、後述の仕上げパターンやユーザにより指定されたプレビュー表示の拡大率/縮小率に応じた表示データを生成して、ユーザインタフェース124へ生成した表示データを送信する(S6)。なお、表示データ生成処理の詳細については、図7を用いて後述する。
【0030】
データを受け取ったユーザインタフェース124は、画面上に受け取った表示データに従った印刷結果の表示を行う(S7)。ユーザインターフェース124は、コントローラ20が決定した音声パターンを表示データと共に、コントローラ20から受信するものとする。ここで、コントローラ20から複数の画像を受け取った場合には、ユーザインタフェース124は、表示を切り替え、図3及び4のような撓み量や反射率を表現する。
【0031】
例えば、図9の9aは普通紙ページをめくる際の全体プレビュー画像、9bは光沢厚紙ページをめくる際の全体プレビュー画像を示している。9aは普通紙であるため、用紙の撓み具合が大きいが、9bは厚紙であるため、用紙の撓み具合は小さい。また、S4で決定した音声パターンに応じて、9aの普通紙ページをめくる操作音を「パラ」と表現するのに対して、9bの光沢厚紙ページをめくる場合には、用紙同士が貼り付いているため、剥がすときの操作音を「パリ」と表現している。
【0032】
そして、ユーザインタフェース124は、S7で表示した画面を参照してユーザによりめくり操作があったか否かを判定する(S8)。めくり操作があった場合には、ユーザインタフェース124は、コントローラ20がS4で決定した音声パターンをスピーカから出力し(S9)、めくり操作があった旨をコントローラ20に通知する。
【0033】
そして、コントローラ20は、めくり操作に合わせたページへ切り替えて(S10)、S5に戻って処理を繰り返す。一方、めくり操作がない場合には、ユーザインタフェース124は、プレビュー終了指示があったか否かを判定する(S11)。プレビュー終了指示がない場合には、ユーザインタフェース124は、S8に戻って処理を繰り返す。一方、プレビュー終了指示があった場合には、一連の処理を終了する。
【0034】
[三次元のページプレビュー画像生成処理(S5)の詳細(図6)]
まず、コントローラ20は、コントローラ20は、S2で取得した用紙情報及びトナー情報(設定情報)と、図6で示すデータテーブルとに基づいて、種々の画像変換パラメータを決定する。このデータテーブルは、S3で生成した二次元のプレビュー基本画像から三次元のプレビュー画像を生成する場合に、既存の三次元変換モジュールへ設定するパラメータを決定するためのテーブルである。
【0035】
具体的には、コントローラ20(CPU)は、用紙情報に含まれる紙の厚さ及び当該テーブルに基づいて、紙の撓み角度を決定する。つまり、コントローラ20は、紙の厚さが複数段階(ここでは、5段階)の範囲のいずれに該当するかをテーブルを参照して判定し、該当した厚さ範囲に対応する撓み角度を決定する。
【0036】
例えば、図3は、用紙を撓ませたプレビュー画像を表現しており、3a、3bは、普通紙を用いた場合の用紙の撓み角度、3c、3dは、普通紙よりも厚い厚紙を用いた場合の用紙の撓み角度を表現している。3c、3dの厚紙は、3a、3bの普通紙に比べて厚いため、撓み角度を普通紙よりも小さく表現している。すなわち、コントローラ20は、用紙の厚さが大きいほど、プレビュー画像における用紙の撓み角度を小さく設定する。また、コントローラ20は、3a及び3b、又は3c及び3dの2つの画像を繰り返し切り替えて表示することで、用紙上に印刷される画像だけでなく、用紙の撓み角度により用紙の厚さ(硬さ)を同時に表現する。
【0037】
また、三次元のページプレビュー画像には、本実施例では、用紙が撓む態様だけでなく、光を反射する態様を表現する。このため、反射率を規定するための次のようなパラメータについても具体的な数値を決定する必要がある。
【0038】
コントローラ20は、用紙情報に含まれる紙の光沢感及び当該テーブルに基づいて、紙の光沢度を決定する。つまり、コントローラ20は、紙の光沢感が複数段階(ここでは、4段階)の範囲のいずれに該当するかをテーブルを参照して判定し、該当した光沢感範囲に対応する紙の光沢度を決定する。
【0039】
例えば、用紙の光沢感を表現するために、図4の4a、4bで示すように、用紙を撓ませたプレビュー画像に光の反射画像を重ねる。すなわち、用紙の光沢感が大きいほど、用紙への映り込みがはっきり見えるように画像を重ねる。本実施例では、反射する部分を白く表示することにより光の映り込みを表現している。そして、光の反射位置が変化するように3a、3bの2つの画像を周期的に切り替えて表示する。
【0040】
なお、図3及び図4における画像の切り替えは、2つの画像を切り替える例を示したが、用紙の厚さ又は光沢感をよりリアルに表現するために、3つ以上の画像を切り替えるようにしてもよい。これは、撓み量又は光沢感が大きい場合には、その分だけ2つの画像の間の撓み又は光沢感の変化量が大きくなるため、一定の撓み量又は光沢感毎に切り替える画像数を増加させることにより、リアルさを向上するものである。一方、切り替える画像数が多いと、その分だけコントローラ20又はユーザインターフェース124の処理負荷を増大させてしまうため、コントローラ20の処理負荷に余裕がある場合にのみ、切り替えるようにしてもよい。また、切り替え周期は、コントローラ20の処理負荷に応じて変更するようにしてもよい。例えば、処理負荷に余裕が無い場合には、切り替え周期を長く設定するようにしてもよい。これにより、切り替え回数を最小限に抑制しながら、リアルさの向上を図ることが可能となる。
【0041】
しかし、画像の映り込みは、用紙自体の光沢具合だけでなく、用紙上に載るトナーの種類や量にも左右される。このため、コントローラ20は、トナー情報に含まれるトナー載り量を検知し、当該テーブルに基づいて、トナーの光沢度を決定する。つまり、コントローラ20は、いずれの現像種が含まれているかを判定し、該当する現像種に対応するトナーの光沢度を決定する。透明トナーは、光の反射を利用して、特定の角度から画像を浮き上がらせるものであり、他のトナー(YMCK)よりも映り込みが大きいため、最も大きな光沢度が設定されている。
【0042】
また、透明トナーの載り量が大きいほど映り込みは大きくなる。このため、コントローラ20は、トナー情報に含まれる透明トナー載り量及び当該テーブルに基づいて、透明トナーの光沢係数を決定する。すなわち、コントローラ20は、透明トナーの載り量が大きいほど、透明トナーの光沢係数を大きく設定する。つまり、コントローラ20は、透明トナー載り量が複数段階(ここでは、6段階)の範囲のいずれに該当するかをテーブルを参照して判定し、該当する透明トナー載り量に対応する透明トナーの光沢係数を決定する。
【0043】
なお、図4の4c、4dで示すように、コントローラ20は、透明トナーが定着される部分を破線で囲むことにより、当該部分をプレビュー画像で確認できるようにしてもよい。この部分は、普通紙への印刷であっても、光沢感が出て反射が強くなるため、特定の角度で反射が発生する態様をプレビュー画像で確認できるようにする。
【0044】
また、コントローラ20は、トナー情報に含まれる非透明トナー(有色トナー)載り量及び当該テーブルに基づいて、非透明トナー(YMCK)の光沢係数を決定する。つまり、コントローラ20は、非透明トナー載り量が複数段階(ここでは、6段階)の範囲のいずれに該当するかをテーブルを参照して判定し、該当する非透明トナー載り量に対応する非透明トナーの光沢係数を決定する。
【0045】
最終的に、コントローラ20は、紙の光沢度にトナーの光沢度と、透明トナー又は非透明トナーの光沢係数とを乗じることにより印刷物の光沢度を算出する。すなわち、透明トナー又は非透明トナーの光沢係数が大きいほど画像の映り込みが大きくなる。例えば、透明トナー又は非透明トナーの光沢係数が1の場合がプレビュー画像と映り込み画像の濃さが同じであり、1を超えると映り込み画像の方が濃くなる。
【0046】
[全体プレビュー画像生成処理(S6)の詳細(図7)]
まず、コントローラ20は、印刷物の厚さを直感的に認識可能に表示するため、ジョブ情報に含まれる印刷枚数に、用紙情報に含まれる紙の厚さを乗じることにより出力物全体の厚さを算出する。
【0047】
また、コントローラ20は、S2で取得したジョブ情報に含まれるフィニッシング指定に基づいて、6種類の仕上げパターンのいずれを表示するかを決定する。フィニッシング指定とは、例えば、指定なし、シフト、くるみ製本、中綴じ製本、パンチ、ステイプル等の仕上げ処理の中からいずれの処理を行うかを示すユーザによる指定情報である。
【0048】
このようにして決定された出力物画像が、例えば、図8に示される。8aはフィニッシング指定なし(パターン1)の例、8bはくるみ製本指定(パターン3)の例、8cは中綴じ製本(パターン4)の例、8dはステイプル指定(パターン6)の例を表す。このように、コントローラ20は、ジョブの指定により全体プレビューに仕上げパターンを反映することにより、よりリアルなプレビュー画像を生成する。
【0049】
以上述べた通り、本実施例によれば、印刷画像だけでなく、印刷用紙の質感や厚さ、さらにはトナーやインク(現像剤)の種類に応じた質感を直感的にユーザに伝えることができる。それにより、単純な二次元表示や文字では表現が難しい質感情報を、よりリアルにユーザに伝えることが可能となる。
【0050】
また、プレビュー画像と共に質感を表す情報を音声で伝えることにより、メディアの質感を視覚だけでなく聴覚でも伝えることができるため、最終出力物の情報をより直感的にユーザに伝えることが可能となる。
【0051】
また、プレビュー画像をめくる等の操作時に、メディアの種類に応じて操作性を変更することにより、メディアの質感を擬似的に把握することができるため、最終出力物の情報をより直感的にユーザに伝えることが可能となる。
【0052】
なお、印刷装置11が最終出力物を排出する排出トレイを複数備える場合には、次のように制御しても良い。具体的には、複数の排出トレイの積載可能数に基づいて、1つの排出トレイに排出されるか、複数の排出トレイに跨って排出されるかを判定し、その判定結果を3次元のプレビュー画像で予め確認できるように表示を行ってもよい。
【0053】
<実施例2>
上記実施例1では、コントローラ20は、ページをめくる際の用紙の撓み角度を、種々の条件に応じて変更する例を示したが、表示だけでなく、本実施例2のようにユーザによる操作感を変更してもよい。
【0054】
本実施例では、フィニッシング指定に「くるみ製本」又は「中綴じ製本」が設定されている場合を想定して、図10を用いて説明する。10aは、普通紙に印刷された本をめくる態様を示しており、この場合には、普通紙が比較的柔らかくめくりやすいことから、画面を滑らすめくり操作は比較的短い距離を滑らせればページをめくることが可能である。また、10bは、厚紙光沢紙に印刷された本をめくる態様を示しており、この場合には、厚紙光沢紙が比較的硬くめくりにくいことから、画面を滑らすめくり操作は比較的長い距離を滑らせないとページをめくることができない。このように、表示内容だけでなく、操作感もメディアの種類に応じて変更することで、より直感的に質感を表現することが可能となる。
【0055】
<他の実施形態>
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0056】
11 印刷装置
20 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データが印刷される印刷媒体の種類を設定する設定手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データの印刷結果を印刷媒体とともに表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示される印刷媒体を、前記設定手段によって設定された印刷媒体の種類に対応する撓み方で表示するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記設定手段によって設定された印刷媒体の種類から、当該印刷媒体の厚さに関する情報を特定する特定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記特定手段によって特定された前記厚さに関する情報に従った撓み方で表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された画像データが印刷される印刷媒体に対する透明トナーの載り量を検知する検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知された透明トナーの載り量に従って、前記印刷媒体が光を反射する態様で表示するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記記憶手段に記憶された画像データが印刷される印刷媒体に対する透明トナーの載り量と、前記記憶手段に記憶された画像データが印刷される印刷媒体に対する有色トナーの量を検知し、
前記制御手段は、前記検知手段によって検知された透明トナーの載り量及び前記有色トナーの量に従って、前記印刷媒体が光を反射する態様で表示するように制御することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
記憶部に記憶された画像データが印刷される印刷媒体の種類を設定する設定工程と、
前記記憶部に記憶された画像データの印刷結果を印刷媒体とともに表示部に表示させる表示工程と、
前記表示工程で表示される印刷媒体を、前記設定工程で設定された印刷媒体の種類に対応する撓み方で表示するように制御する制御工程と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−140135(P2011−140135A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−795(P2010−795)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】