説明

画像処理装置

【課題】画像処理の順序を変更するための回路の規模や消費電力を低減する。
【解決手段】それぞれ処理順番を変更可能な画像処理を行う複数の画像処理部を含む第1処理部(12)と、処理順番が固定されている画像処理を行う画像処理部を含む第2処理部(11,13)と、上記第1処理部に属する複数の画像処理部間の入出力経路の切替を行うことで、上記第1処理部内での処理順番を変更可能な入出力切替部(104)を設ける。上記のように入出力切替部での入出力経路切替により処理順番の変更を行えるのが中間処理部に限定されているため、画像処理装置における全ての画像処理部における処理順番を入出力切替部で切替可能とするのに比べて、入出力切替部の回路規模を小さくすることができ、それにより、画像処理の順序を変更するための回路の規模や消費電力を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、さらには画像処理の順序を変更するための回路の規模や消費電力を低減するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つの画像処理におけるデータの入出力先として画像メモリか他の画像処理のどちらかを選択することができる入出力選択手段を備え、入出力選択手段の設定を行うことにより画像処理の処理順を変更可能な構成とすることで、色空間変換、拡大・縮小、2値化等の複数の画像処理の処理順を変更可能にした技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−266111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、上記背景技術について検討した結果、以下のような課題を見出した。
【0005】
一般的に携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービスなどのTV(Television)放送や、コンピュータグラフィックによる合成画像はそのフォーマットが決まっており、常に画像データ処理の処理順序が固定となるような画像処理が存在する。しかしながら、特許文献1では、すべての画像処理の処理順序を変更可能としているため、処理すべき画像処理の種類が増えるとその入出力選択手段の回路規模が増大し、その結果消費電力についても増大することが考えられる。
【0006】
特許文献1ではメモリから画像データを読み出して画像処理を行い、再び画像データをメモリへ書き込むようにしている。そのため画像処理順序が自由に変更可能な画像処理装置で、例えばカメラやLCD(液晶ディスプレイ)装置など、画像データの入力元もしくは出力先の一方が外部デバイスであるような画像処理が困難であることが考えられる。
【0007】
モバイル製品など消費電力の低減が求められるとき、その動作周波数を低減させたい場合がある。画像処理の演算量が同じで動作周波数を下げる場合、その同じ回路を複数持って平行に処理する必要がある。しかしながら特許文献1では、複数の同一回路による平行処理について言及されていない。
【0008】
特許文献1では、画像処理の例として色空間変換、拡大縮小、2値化処理など画像入力として1入力の例しか示されていない。このため、画面ブレンド処理など複数の入力画像データを要求する画像処理が困難になることが考えられる。
【0009】
本発明の目的は、画像処理装置において画像処理の順序を変更するための回路の規模や消費電力を低減するための技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0012】
すなわち、それぞれ処理順番が変更される可能性がある画像処理を行う複数の画像処理部を含む第1処理部(12)と、上記第1処理部とは異なり、処理順番が固定されている画像処理を行う画像処理部を含む第2処理部(11,13)と、上記第1処理部に属する複数の画像処理部間の入出力経路の切替を行うことで、上記第1処理部内での処理順番を変更可能な入出力切替部(104)とを設ける。
【0013】
上記の構成によれば、上記のように入出力切替部での入出力経路切替により処理順番の変更を行えるのが中間処理部に限定されているため、画像処理装置における全ての画像処理部における処理順番を入出力切替部で切替可能とするのに比べて、入出力切替部の回路規模を小さくすることができる。このことが、画像処理の順序を変更するための回路の規模や消費電力の低減を達成する。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0015】
すなわち、画像処理装置において画像処理の順序を変更するための回路の規模や消費電力を低減するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる画像処理装置の構成例ブロック図である。
【図2】図1に示される画像処理装置を含む情報処理装置の構成例ブロック図である。
【図3】上記画像処理装置に含まれる入出力切替部の構成例ブロック図である。
【図4】上記画像処理装置の別の構成例ブロック図である。
【図5】上記画像処理装置の別の構成例ブロック図である。
【図6】上記画像処理装置の別の構成例ブロック図である。
【図7】上記画像処理装置の別の構成例ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0018】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る画像処理装置(203)は、それぞれ処理順番を変更可能な画像処理を行う複数の画像処理部を含む第1処理部(12)と、上記第1処理部とは異なり、処理順番が固定されている画像処理を行う画像処理部を含む第2処理部(11,13)とを含む。また、画像処理装置(203)は、上記第1処理部に属する複数の画像処理部間の入出力経路の切替を行うことで、上記第1処理部内での処理順番を変更可能な入出力切替部(104)を含む。
【0019】
〔2〕上記〔1〕において、上記第1処理部は、第1外部デバイス(201)から画像データを取り込むための画像入力部(202)と、上記第1処理部の処理結果を第2外部デバイス(204)へ出力可能な画像出力部(205)とを含んで構成することができる。
【0020】
〔3〕上記〔1〕において、上記第2処理部は、入力された画像データを取り込んで、処理順番が固定されている画像処理を行い、その処理結果を上記第1処理部に送出する前処理部(11)と、上記第1処理部の処理結果を取り込んで、処理順番が固定されている画像処理を行う後処理部(13)とを含んで構成することができる。
【0021】
〔4〕上記〔3〕において、上記前処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続され、上記後処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続される。
【0022】
〔5〕上記〔3〕において、上記前処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続されて成る画像処理部群を複数系統設けることができる。また、上記後処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続されて成る画像処理部群を複数系統設けることができる。
【0023】
〔6〕上記〔5〕において、上記第1処理部には、互いに独立して画像データを取り込むための複数系統の画像データ入力ポートを備えた画像処理部(102)を設けることができる。
【0024】
〔7〕上記〔2〕において、上記第1外部デバイスをカメラ(201)とし、上記画像入力部は、上記カメラから画像データを取り込むためのカメラ入力制御部(202)とすることができる。また、上記第2外部デバイスを表示装置とし、上記画像出力部は、上記第1処理部の処理結果に基づいて上記表示装置(204)での画像表示を制御する表示制御部(205)とすることができる。
【0025】
〔8〕上記〔1〕において、上記画像処理装置の外部に配置されたバス(206)に接続され、上記外部バスとの間で信号のやり取りを可能とするバスインターフェイス(109)と、上記バスインターフェイスに接続され、上記バス及び上記バスインターフェイスを介して制御情報の設定が可能とされるレジスタ(41)とを設けることができる。このとき、上記入出力切替回路は、上記レジスタに設定された制御情報に従って上記入出力経路の切替を行う。
【0026】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0027】
<実施の形態1>
図2には、本発明にかかる画像処理装置を含む情報処理装置が示される。
【0028】
図2に示される情報処理装置200は、特に制限されないが、カメラ201、カメラ入力制御部202、画像処理装置203、表示装置204、表示制御部205、CPU(Central Processing Unit)207、メモリ制御部208、ユニファイドメモリ209、通信制御部210、通信装置211、外部記憶制御部212、及び外部記憶装置213を含む。上記カメラ入力制御部202、上記画像処理部203、表示制御部205、CPU207、メモリ制御部208、通信制御部210、及び外部記憶制御部212は、各種情報の伝達を可能とするCPUバス206に結合される。
【0029】
上記カメラ入力制御部202は、CCD(Charge Coupled Device)方式やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)方式等によるカメラ201で得られた画像データの取り込みを制御する。このカメラ入力制御部202によって取り込まれた画像データは、CPUバス206を介してメモリ制御部208に伝達され、このメモリ制御部208の制御によりユニファイドメモリ209に書き込まれる。ユニファイドメモリ209には、CPU制御データ、画像処理のフレームデータ、グラフィックデータ、画像処理圧縮伸張データ、音声データなどが格納される。そのようなユニファイドメモリ209は、CPU207及びその他のデバイスからのアクセスが可能とされる。上記画像処理装置203は、上記ユニファイドメモリ209からCPUバス206を介して伝達された画像データを処理する。この処理結果は再びCPUバス206を介して上記ユニファイドメモリ209に書き戻される。上記表示装置204は、画像表示を可能とする液晶ディスプレイ等とされる。上記表示制御装置205は、上記ユニファイドメモリ209からCPUバス206を介して伝達された画像データに基づいて上記表示装置204への画像表示を制御する。CPU207は、所定のプログラムに従って情報処理のための所定の演算処理を行う。上記通信制御部210は、所定のプロトコルに従って通信装置211で行われるデータ通信を制御する。上記通信装置211で行われるデータ通信により、ユニファイドメモリ209内の画像データを外部出力することができる。また、上記通信装置211で行われるデータ通信により取り込まれた画像データは、CPUバス206を介してユニファイドメモリ209に書き込まれる。上記外部記憶装置213は、フラッシュメモリや、ハードディスク装置とされ、外部記憶制御部213によって動作制御が行われる。上記外部記憶装置213に格納されている画像データは、CPUバス206を介して上記ユニファイドメモリ209へ書き込むことができ、また、上記ユニファイドメモリ209に格納されている画像データを上記外部記憶装置213に書き込むことができる。
【0030】
ここで、上記画像処理装置203で行われる画像処理を列挙すると以下の通りである。
【0031】
すなわち、拡大縮小処理、ノイズ除去処理、エッジ強調処理、超解像処理、色空間変換処理、色数変換処理、色補間処理、色間引き処理、データアライメント処理、FIRフィルタ処理、フレームレート変換処理、手ぶれ補正処理、デブロッキングフィルタ処理、階調補正処理、色補正処理、画面ブレンド処理、ラスター演算処理、カラーキー処理、回転処理、反転処理、歪み補正処理、色収差補正処理である。
【0032】
上記「拡大縮小処理」は、拡大縮小処理は入力された画像を、縦横それぞれ任意の倍率で拡大もしくは縮小し、入力サイズに対しその倍率を乗じたサイズの画像を出力する処理である。
【0033】
上記「ノイズ除去処理」は、カメラのセンサなどで発生した暗電流ショットノイズ、リセットノイズ、アンプノイズなどのランダム発生したノイズを除去する画像処理である。メディアンフィルタは、ある画素の周辺にある画素値をソートし、その中央値をとることによりノイズ除去をおこなうノイズ除去処理の1つである。
【0034】
上記「エッジ強調処理」は、エッジ強調は入力された画像のエッジ部をその周辺の平坦部に比べて、輝度値変化の勾配を急峻にする、輝度値の変化量を大きくすることなどによりエッジ部を強調する画像処理である。
【0035】
上記「超解像処理」は、入力された画像のナイキスト周波数より高い周波数成分を有する画像を復元する処理のことである。
【0036】
上記「色空間変換処理」は、色の値をある座標系で指示した値から、別の座標系で指示した値に変換する処理である。例えばR,GおよびB座標から成るRGB色空間から、Y,CbおよびCr座標から成るYCbCr色空間への変換などを挙げることができる。
【0037】
上記「色数変換処理」は、RGB色空間においてR,GもしくはB座標の色数を減少(減色)、増加(増色)させるなど、色空間の各座標に割り当てる色数を変更する処理である。尚、入力されたインデックス値を色空間の各座標の値に割り当てる処理についても色数変換とする。ディザ処理は色数を減少させる減色処理の方法の1つである。
【0038】
上記「色補間処理」は、YCbCr色空間において、Y成分と比較して画素数が間引かれたCbおよびCr成分をY成分と同じ画素数に補間する処理である。
【0039】
上記「色間引き処理」は、YCbCr色空間においてCbおよびCr成分をY成分に比較してその画素数を間引く処理である。
【0040】
上記「データアライメント処理」は、画像メモリ上に置かれたデータを画像処理装置で処理しやすいフォーマットに変換する処理である。例えばメモリ上にゼロデータ、Bデータ、GデータおよびRデータの順で画素毎に格納されている場合、画像処理装置で処理するためゼロデータを取り除き、Rデータ、Gデータ及びBデータに並び替える処理などがある。
上記「FIRフィルタ処理」は、入力された画像に対して、有限インパルス応答特性を持つフィルタ演算をおこなう処理である。FIRフィルタによりローパス、ハイパスおよびバンドパスフィルタを構成でき、それぞれ低域、高域および特定帯域を通過させるフィルタである。
【0041】
上記「フレームレート変換処理」は、動画像において、1秒あたりの画像枚数を変換する処理である。
【0042】
上記「手ぶれ補正処理」は、カメラ撮影時にカメラを支えている身体が動くことなどによって撮影されたブレた画像を、ブレのない画像に補正する処理である。
【0043】
上記「デブロッキングフィルタ処理」は、MPEGなど画像コーデックにより画像を圧縮伸張した時に発生するブロックノイズを除去するフィルタである。
【0044】
上記「階調補正処理」は、入力画像の各画素値を、入力値に対し出力される値を定義したトーンカーブに従って出力画素値に変換する処理である。ガンマ補正はトーンカーブが指数型であらわされる階調補正の1つである。
【0045】
上記「色補正処理」は、入力画像の色相、彩度もしくは色温度を、それぞれ別の色相、彩度もしくは色温度に変換する処理である。肌色補正は、人間の肌色をより綺麗な肌色に変換する色補正の一例である。
【0046】
上記「画面ブレンド処理」は、ある画像の各画素に対して任意の透過係数を乗算し、また別の画像の各画素に対して任意の透過係数を乗算し、それら2つの乗算結果を加算することによって画面の重ね合わせを行う処理である。
【0047】
上記「ラスター演算処理」は、ある画像の画素値と別の画像の画素値のビット演算をおこなう処理である。ビット演算にはAND(アンド),OR(オア),XOR(エクスクルージブオア)などがある。
【0048】
上記「カラーキー処理」は、特定の色を別の色に置き換える、もしくは透過色に置き換える処理のことである。
【0049】
上記「回転処理」は、入力された画像を任意の角度に回転し出力する処理である。
【0050】
上記「反転処理」は、入力された画像を鏡に映し出された画像(鏡像)に変換する処理である。
【0051】
上記「歪み補正処理」は、カメラのレンズで発生する、光学像の幾何学的な画像歪みを補正する処理である。
【0052】
上記「色収差補正処理」とは、カメラのレンズで像を作る際に光の波長の違いにより像に生じたずれを補正する処理である。
【0053】
上記前処理部(画像処理部105,106)で行われる処理としては、データアライメント処理、カラーキー処理、色数変換処理、色補間処理、色空間変換処理などを挙げることができる。また、上記後処理(画像処理部107,108)で行われる処理としては、色空間変換処理、色間引き処理、色数変換処理、カラーキー処理、データアライメント処理などを挙げることができる。上記前処理部(画像処理部105,106)での処理と、上記後処理(画像処理部107,108)での処理とは対応関係にある。例えば、画像処理部105でデータアライメント処理が行われ、画像処理部106でカラーキー処理が行われる場合、画像処理部107ではカラーキー処理が行われ、画像処理部108ではデータアライメント処理が行われる。また、画像処理部105で色数変換処理が行われ、画像処理部106で色補間処理が行われる場合、画像処理部107では、色間間引き処理が行われ、画像処理部108では色数変換処理が行われる。
【0054】
上記中間処理部(画像処理部101,102,103)で行われる処理としては、拡大縮小処理、ノイズ除去処理、エッジ強調処理、超解像処理、FIRフィルタ処理、フレームレート変換処理、手ぶれ補正処理、デブロッキングフィルタ処理、階調補正処理や、色補正処理、画面ブレンド処理、ラスター演算処理などを挙げることができる。
【0055】
図1には、上記画像処理装置203の構成例が示される。
【0056】
上記画像処理装置203は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って画像処理を行う画像処理部101,102,103,105,106,107,108、及びバスインターフェイス109を含む。
【0057】
上記画像処理部101,102,103は、中間処理部12とされ、ここでは処理順番が変更される可能性のある画像処理が行われる。上記入出力切替部104は、上記中間処理部に属する画像処理部101〜103間の入出力経路の切替を行うことで、中間処理部内での処理順番の変更を可能とする。
【0058】
上記画像処理部105には、上記バスインターフェイス109を介して画像データが伝達される。上記画像処理部105での処理結果は後段の画像処理部106に伝達される。この画像処理部106での処理結果は入出力切替部104に伝達される。上記画像処理部105,106は、前処理部11とされ、ここでは、処理順番が固定されている画像処理が行われる。前処理部11では、中間処理部12での処理よりも前に行うべき処理が割り当てられる。また、画像処理部105の処理結果が画像処理部106に伝達されるので、画像処理部105には、画像処理部106での処理よりも前に実行すべき処理が割り当てられる。
【0059】
上記画像処理部107には、上記入出力切替部104を介して画像データが伝達される。上記画像処理部107での処理結果は、後段の画像処理部108に伝達される。この画像処理部108での処理結果はバスインターフェイス109を介してCPUバス206に送出される。上記画像処理部107,108は、後処理部13とされ、ここでは処理順番が固定されている画像処理が行われる。後処理部13では、中間処理部12での処理よりも後に行うべき処理が割り当てられる。また、画像処理部107の処理結果が画像処理部108に伝達されるので、画像処理部107には、画像処理部108での処理よりも前に実行すべき処理が割り当てられる。
【0060】
図3には、上記入力出力切替部104の構成例が示される。
【0061】
上記入出力切替部104は、図3に示されるように、4個の選択部31,32,33,34を含む。上記選択部31は、画像処理部102,103,106の出力信号を選択的に画像処理部101に伝達する。上記選択部32は、画像処理部101,103,106の出力信号を選択的に画像処理部102に伝達する。上記選択部33は、画像処理部101,102,106の出力信号を選択的に画像処理部103に伝達する。上記選択部34は、画像処理部101,102,103,106の出力信号を選択的に画像処理部107に伝達する。上記の構成によれば、選択部31〜34の選択動作により、画像処理部106の処理結果を画像処理部101に供給し、この画像処理部101の処理結果を画像処理部102に供給し、この画像処理部102の処理結果を画像処理部103に供給し、この画像処理部103の処理結果を画像処理部107に供給することができる。また、選択部31〜33の選択動作により、画像処理部101,102,103での処理の順番を変更することができる。例えば選択部32により画像処理部106の出力信号を選択し、選択部31により画像処理部102の出力信号を選択し、選択部33により画像処理部101の出力信号を選択することにより、画像処理部106の出力データに対して画像処理部102,101,103の順に画像処理を施すことができる。そして、選択部33により画像処理部106の出力信号を選択し、選択部31により画像処理部103の出力信号を選択し、選択部32により画像処理部101の出力信号を選択することにより、画像処理部106の出力データに対して画像処理部103,101,102の順に画像処理を施すことができる。
【0062】
上記の構成によれば以下の作用効果が得られる。
【0063】
(1)前処理部11(画像処理部105,106)での処理と、後処理部13(画像処理部107,108)での処理とは、処理の順番が固定されており、そこでの処理順番を変更することはできない。これに対して、中間処理部12(画像処理部101,102,103)での処理順番は、中間処理部12に属する画像処理部101,102,103間の入出力経路の切替を行うことでアプリケーションの仕様や要求に応じて任意に変更することができる。例えば画像処理部101で拡大縮小処理が行われ、画像処理部102でエッジ強調処理が行われる場合において、拡大処理、エッジ強調処理の順に処理を行うと、拡大後にエッジ強調が行われることで画質向上は図れるが処理すべき画素数が増えて処理に要する時間と消費電力が増えてしまう。これに対して、エッジ強調処理、拡大処理の順に処理を行うと、拡大後に比べて処理すべき画像サイズを小さくできるので、消費電力の低減が可能となる。
【0064】
(2)上記のように入出力切替部104での入出力経路切替により処理順番の変更を行えるのが中間処理部12に限定されているため、画像処理装置203における全ての画像処理部101,102,103,105,106,107,108における処理順番を入出力切替部104で切替可能とするのに比べて、入出力切替部104の回路規模を小さくすることができる。入出力切替部104の回路規模が小さいと、そこでの消費電力を低減することができる。
【0065】
<実施の形態2>
図4には、上記画像処理装置203の別の構成例が示される。
【0066】
図4に示される画像処理装置203が、図1に示されるのと大きく相違するのは、レジスタ部41が設けられ、このレジスタ部41に設定された情報に従って入出力切替部104の動作が制御される点である。レジスタ部41は、CPU207によって管理されるアドレス空間に配置され、CPUバス206、バスインターフェイス109を介してCPU207によって書き換え可能とされる。かかる構成によれば、CPU207によってレジスタ部41の設定情報を書き換えることで、中間処理部12(画像処理部101,102,103)での処理順番を変更することができるので、情報処理装置200の状態に応じて、あるいはアプリケーションに応じて中間処理部12での処理順番を適宜に変更することができる。
【0067】
<実施の形態3>
図5には、上記画像処理装置203の別の構成例が示される。
【0068】
図5に示される画像処理装置203が、図1に示されるのと大きく相違するのは、画像処理装置203内にカメラ入力制御部202及び表示制御部205が配置されている点である。カメラ201は、画像処理装置203内のカメラ入力制御部202に結合され、表示装置204は、画像処理装置203内の表示制御部205に結合される。
【0069】
上記の構成によれば、カメラ入力制御部202が入出力切替部104に結合されているため、カメラ入力制御部202から出力された画像データの出力先を切替ることができ、また、表示制御部205が入出力切替部104に結合されているため、表示制御部205への画像データの入力切替を行うことができる。これにより、以下の第1の処理順番と第2の処理順番とを実現することができる。
【0070】
第1の処理順番では、カメラ入力制御部202から出力された画像データを画像処理部101に伝達し、そこで拡大縮小処理を行った後に入出力切替部104を介して後処理部13に伝達し、そこで所定の後処理を行った後にバスインターフェイス109及びCPUバス206を介してユニファイドメモリ209に書き込む。そして、このユニファイドメモリ209に書き込まれた画像データを、CPUバス206、及びバスインターフェイス109を介して前処理部11に伝達し、ここで所定の前処理を行った後に、入力切替部104を介して表示制御部205に伝達して表示装置204に表示する。
【0071】
第2の処理順番では、カメラ入力制御部202から出力された画像データを、入出力切替部104を介して後処理部13に伝達し、そこで所定の後処理を行った後にバスインターフェイス109及びCPUバス206を介してユニファイドメモリ209に書き込む。そして、このユニファイドメモリ209に書き込まれた画像データを、CPUバス206、及びバスインターフェイス109を介して前処理部11に伝達し、ここで所定の前処理を行った後に、入力切替部104を介して画像処理101に伝達し、そこで拡大縮小処理を行った後に、入力切替部104を介して表示制御部205に伝達して表示装置204に表示する。
【0072】
上記第1の処理順番によれば、カメラ201で得られた画像データを表示装置204で表示されるサイズに縮小し、その処理結果をユニファイドメモリ209に書き込むことになるので、第2の処理順番の場合に比べてユニファイドメモリ209に書き込まれる画像サイズが小さくなり、メモリバンド幅が小さくなるため、消費電力が小さくて済む。これに対して、第2の処理順番によれば、カメラ201によって得られた画像データが縮小されずにユニファイドメモリ209に書き込まれるため、当該画像データを表示装置204で可視化する以外にも利用し易くなる。例えばユニファイドメモリ209に書き込まれた画像データをCPU207で圧縮してから画像データの圧縮ファイルとして保存することが考えられる。
【0073】
<実施の形態4>
図6には、上記画像処理装置203の別の構成例が示される。
【0074】
図6に示される画像処理装置203が、図1に示されるのと大きく相違するのは、それぞれ前処理部11及び後処理部13において、二つの画像処理部が互いに直列接続されて成る画像処理部群が2系統設けられ、また、中間処理部12において互いに同一処理を行う二つの画像処理部101A,101Bが設けられている点である。前処理部11では、画像処理部105Aと画像処理部106Aとが直列接続されて成る画像処理部群、及び画像処理部105Bと画像処理部106Bとが直列接続されて成る画像処理部群が設けられる。ここで、画像処理部105A,105Bは互いに同一の画像処理アルゴリズムに従って画像処理を行う。同様に画像処理部106A,106Bは互いに同一の画像処理アルゴリズムに従って画像処理を行う。また、画像処理部107A,107Bは互いに同一の画像処理アルゴリズムに従って画像処理を行う。同様に画像処理部108A,108Bは互いに同一の画像処理アルゴリズムに従って画像処理を行う。
【0075】
上記の構成によれば、画像処理部105A,106Aでの処理と、画像処理部105B,106Bでの処理とを並行して行うことができ、画像処理部101Aでの処理と画像処理部101Bでの処理とを並行して行うことができ、画像処理部107A,108Aでの処理と、画像処理部107B,108Bでの処理とを並行して行うことができる。このように同じ画像処理を行う画像処理部を2系統有するので、画像処理部が1系統の場合に比べて、同一処理を1/2の動作周波数で実行することができる。動作周波数が低くなれば、その分、消費電力を低減することができる。
【0076】
また、中間処理部12での処理が異なる場合にも処理の動作周波数を低減することができる。例えば前処理部11での処理を行った後に画像処理部101Aで階調補正処理を行い、その後、後処理部13で処理を行う場合と、前処理部11での処理を行った後に画像処理部102でノイズ除去処理を行い、その後、後処理部13で処理を行う場合を考える。本例では、前処理部11及び後処理部13において、画像処理部群が2系統設けられ、そこで並行処理が行われるため、前処理部11及び後処理部13において画像処理部群が1系統の場合の処理に比べて、処理の動作周波数を低減することができる。
【0077】
画像処理部101Aで階調補正処理が行われ、画像処理部102でノイズ除去処理が行われる場合において、以下の第1の処理順番と第2の処理順番とを実現することができる。
【0078】
第1の処理順番では、第1画像データに対して画像処理部105A,106Aで前処理を行い、画像処理部101Aで階調補正処理を行った後に、画像処理部107A,108Aで後処理を行う。第2画像データに対して画像処理部105B,106Bで前処理を行い、画像処理部101Bで階調補正処理を行った後に、画像処理部107B,108Bで後処理を行う。
【0079】
第2の処理順番では、第1画像データに対して画像処理部105A,106Aで前処理を行い、画像処理部101Aで階調補正処理を行った後に、画像処理部107A,108Aで後処理を行う。第2画像データに対して画像処理部105B,106Bで前処理を行い、画像処理部102でノイズ除去処理を行った後に、画像処理部107B,108Bで後処理を行う。
【0080】
上記第1の処理順番によれば、同一処理の並列動作が行われるため、階調補正の処理能力を2倍とすることができる。これに対して、上記第2の処理順番によれば、階調補正の処理能力は上記第1の処理順番で並列動作を行う場合の1/2となるが、別のノイズ除去処理が並列に行われる。例えば処理能力が優先される場合には上記第1の処理順番を選択し、ノイズ除去が必要な場合は、上記第2処理を選択するなど、アプリケーションに応じて最適な処理を選択することができる。
【0081】
<実施の形態5>
図7に示される画像処理装置203が、図1に示されるのと大きく相違するのは、中間処理部12における画像処理部102が複数系統の入力ポートを備え、前処理部11では、画像処理部105Aと画像処理部106Aとが直列接続されて成る画像処理部群、及び画像処理部105Bと画像処理部106Bとが直列接続されて成る画像処理部群が設けられる点である。
【0082】
画像処理部102は、第1入力ポートと第2入力ポートとを有するものとする。例えば入出力切替部104を介して画像処理部106Aでの処理結果を画像処理部102における第1入力ポートに伝達し、画像処理部106Bでの処理結果を画像処理部102における第2入力ポートに伝達することができる。画像処理部102では、第1入力ポートを介して取り込まれた画像データと、第2入力ポートを介して取り込まれた画像データとが必要とされる画像処理、例えばブレンド処理を行う。
【0083】
例えば画像処理部101で拡大縮小処理が行われ、画像処理部102で画面ブレンド処理が行われる場合において、以下の第1の処理順番と第2の処理順番とを実現することができる。
【0084】
第1の処理順番では、第1画像データに対して画像処理部105A,106Aで前処理を行い、画像処理部101で拡大縮小処理を行い、画像処理部102で画面ブレンド処理を行い、画像処理部107,108で後処理を行う。また、第2画像データに対して画像処理部105B,106Bで前処理を行い、画像処理部102で画面ブレンド処理を行う。
【0085】
第2の処理順番では、第1画像データに対して画像処理部105A,106Aで前処理を行い、画像処理部102で画面ブレンド処理を行い、画像処理部101で拡大縮小処理を行う。また、第2画像データに対して画像処理部105B,106Bで前処理を行い、画像処理部102で画面ブレンド処理を行う。
【0086】
上記第1の処理順番では、画面ブレンド処理の複数ある入力画像データのうち一つの画像にのみ拡大縮小処理が可能とされるが、第2の処理順番では、複数ある画像を画面ブレンドした後に拡大縮小処理ができる。このとき、例えば画面ブレンド処理結果が表示装置204で表示するサイズに一致しない場合、画面ブレンド処理の出力を拡大縮小処理することで表示サイズに整合させることができる。
【0087】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0088】
例えば、前処理11及び後処理13の何れかをを省略することができる。また、前処理11及び後処理13において、互いに直列接続される画像処理部の数を3個以上とすることができる。
【符号の説明】
【0089】
11 前処理部
12 中間処理部
13 後処理部
101,102,103,105,105A,105B,106,106A,106B,107,107A,107B,108,108A,108B 画像処理部
104 入出力切替部
109 バスインターフェイス
203 画像処理装置
206 CPUバス
207 CPU
208 メモリ制御部
209 ユニファイドメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ処理順番を変更可能な画像処理を行う複数の画像処理部を含む第1処理部と、
上記第1処理部とは異なり、処理順番が固定されている画像処理を行う画像処理部を含む第2処理部と、
上記第1処理部に属する複数の画像処理部間の入出力経路の切替を行うことで、上記第1処理部内での処理順番を変更可能な入出力切替部と、を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
上記第1処理部は、第1外部デバイスから画像データを取り込むための画像入力部と、
上記第1処理部の処理結果を第2外部デバイスへ出力可能な画像出力部と、を含んで成る請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記第2処理部は、入力された画像データを取り込んで、処理順番が固定されている画像処理を行い、その処理結果を上記第1処理部に送出する前処理部と、
上記第1処理部の処理結果を取り込んで、処理順番が固定されている画像処理を行う後処理部と、を含む請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記前処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続され、
上記後処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続されて成る請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
上記前処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続されて成る画像処理部群が複数系統設けられ、
上記後処理部は、それぞれ所定の画像処理アルゴリズムに従って入力画像データの画像処理を行う複数の画像処理部が互いに直列接続されて成る画像処理部群が複数系統設けられた請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
上記第1処理部は、互いに独立して画像データを取り込むための複数系統の画像データ入力ポートを備えた画像処理部を含む請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
上記第1外部デバイスはカメラとされ、
上記画像入力部は、上記カメラから画像データを取り込むためのカメラ入力制御部とされ、
上記第2外部デバイスは表示装置とされ、
上記画像出力部は、上記第1処理部の処理結果に基づいて上記表示装置での画像表示を制御する表示制御部とされる請求項2記載の画像処理装置。
【請求項8】
上記画像処理装置の外部に配置されたバスに接続され、上記外部バスとの間で信号のやり取りを可能とするバスインターフェイスと、
上記バスインターフェイスに接続され、上記バス及び上記バスインターフェイスを介して制御情報の設定が可能とされるレジスタと、を含み、
上記入出力切替回路は、上記レジスタに設定された制御情報に従って上記入出力経路の切替を行う請求項1記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−59911(P2011−59911A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207756(P2009−207756)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】