説明

画像合成方法

【課題】実画像に仮想画像が合成された合成画像を、現実の部位における実際の変化に対応させることが可能な画像合成方法を提供する。
【解決手段】仮想画像が対応づけられた第1画像対応被写体を含む撮影範囲を撮影して、撮影された実画像と前記仮想画像とを合成して第1合成画像を生成する第1画像合成工程と、前記撮影範囲内に、前記第1合成画像と合成可能な合成要素が対応づけられた第2画像対応被写体を検出したときに、前記合成要素を前記第1合成画像に合成して第2合成画像を生成する第2画像合成工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影した実画像と生成した仮想画像とを合成する画像合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影した実画像と生成した仮想画像とを合成する画像合成方法としては、例えば、撮影した撮影画像に含まれる特定の被写体と対応づけられた仮想画像などの付加画像を、特定の被写体の位置に応じて撮影画像上に配置して合成画像を生成する画像合成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―187052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の画像合成方法は、実画像と仮想画像とを合成した合成画像では仮想画像が重ねられている現実の物は、仮想画像により隠されて見ることができないため、現実の物にて生じている変化を確認することができないという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実画像に仮想画像が合成された合成画像において、現実の部位における実際の変化を合成画像上にて確認することが可能な画像合成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の画像合成方法は、仮想画像が対応づけられた第1画像対応被写体を含む撮影範囲を撮影して、撮影された実画像と前記仮想画像とを合成して第1合成画像を生成する第1画像合成工程と、前記撮影範囲内に、前記第1合成画像と合成可能な合成要素が対応づけられた第2画像対応被写体を検出したときに、前記合成要素を前記第1合成画像に合成して第2合成画像を生成する第2画像合成工程と、を有することを特徴とする画像合成方法である。
【0007】
このような画像合成方法によれば、仮想画像が対応づけられた第1画像対応被写体を含む撮影範囲内に第2画像対応被写体を検出したときに、撮影された実画像と仮想画像とが合成された第1合成画像と合成要素とを合成した第2合成画像を生成するので、実画像に仮想画像が合成された第1合成画像上に、現実の変化に応じた合成要素を合成することが可能である。このため、実画像に仮想画像が合成された第1合成画像に、検出された第2画像対応被写体に対応づけられた合成要素を合成することにより、生成される合成画像に現実の部位における実際の変化を反映させることが可能である。
【0008】
かかる画像合成方法であって、前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材を示す第2の仮想画像であることが望ましい。
【0009】
このような画像合成方法によれば、実画像、仮想画像が合成された第1合成画像の範囲内に、第2画像対応被写体が設けられた移動可能な部材が検出された場合には、第2画像対応被写体が設けられている部材の仮想画像が第1合成画像に合成されるので、仮想画像と合成された実画像上に、現実に存在している部材をイメージさせる第2の仮想画像を合成することが可能である。
【0010】
かかる画像合成方法であって、前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材の実画像であることが望ましい。
【0011】
このような画像合成方法によれば、実画像、仮想画像が合成された第1合成画像の範囲内に、第2画像対応被写体が設けられた移動可能な部材が検出された場合には、第2画像対応被写体が設けられている部材の実画像が第1合成画像に合成されるので、仮想画像と合成された実画像上に、現実に存在している部材の実画像を合成することが可能である。
【0012】
かかる画像合成方法であって、前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材に対応づけた位置において前記仮想画像を取り除く領域を示す図形であることが望ましい。
【0013】
このような画像合成方法によれば、実画像、仮想画像が合成された第1合成画像の範囲内に、第2画像対応被写体が設けられた移動可能な部材が検出された場合には、第2画像対応被写体が設けられている部材に対応づけられた位置において、仮想画像が設定された図形の形状に取り除かれるので、仮想画像と合成された実画像であっても、第2画像対応被写体が設けられている部材に対応づけた位置の仮想画像を取り除き、取り除いた部位の実画像が見えるような第2合成画像を生成することが可能である。
【0014】
かかる画像合成方法であって、前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材の形状に前記仮想画像を取り除く領域を示す図形であることが望ましい。
【0015】
このような画像合成方法によれば、実画像、仮想画像が合成された第1合成画像の範囲内に、第2画像対応被写体が設けられた移動可能な部材が検出された場合には、第2画像対応被写体が設けられている部材の形状に仮想画像が取り除かれるので、第2合成画像上に、第2画像対応被写体が設けられている部材をイメージすることが可能であるとともに、仮想画像と合成された実画像であっても、第2画像対応被写体が設けられている部材が存在する位置では実画像が見えるような第2合成画像を生成することが可能である。
【0016】
かかる画像合成方法であって、前記移動可能な部材は筆記具であり、前記筆記具が移動する軌道に基づいて前記第2合成画像を変更することが望ましい。
【0017】
このような画像合成方法によれば、筆記具が移動する軌道に基づいて第2合成画像が変更されるので、筆記具にて描かれたものを第2合成画像上に反映させることが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、実画像に仮想画像が合成された合成画像において、現実の部位における実際の変化を合成画像上にて確認することが可能な画像合成方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る画像合成方法を実現するための装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の画像合成方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3(a)は、最初の撮影範囲の状態を示す図であり、図3(b)は、撮影範囲内に筆記具が移動された撮影範囲の状態を示す図であり、図3(c)は、目印が付与された後の状態を示す図である。
【図4】図4(a)は、第1合成画像を示す図であり、図4(b)は、第2合成画像を示す図であり、図4(c)は、第2合成画像に筆記具の先端の軌道を追加した状態を示す図である。
【図5】合成要素を筆記具の先端の軌道に合わせて鉄筋仮想画像を取り除く領域を示す図形とした例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
実施形態の画像合成方法は、予め生成されている仮想画像の情報が対応づけられた画像対応被写体を含む撮影範囲を画像合成装置にて撮影し、撮影された画像対応被写体の情報に基づく仮想画像と、撮影した実画像とを合成して第1合成画像を生成し、第1合成画像の撮影範囲内に、第1合成画像と合成可能な合成要素が対応づけられた第2画像対応被写体を検出したときに、当該合成要素を第1合成画像に合成して第2合成画像を生成するものである。
【0021】
本実施形態では、例えば内部に鉄筋が配筋された壁に貫通孔を形成する際に実施する例について説明する。具体的には、施工対象となる壁の配筋工事時における壁内部の鉄筋の状態を撮影した写真を鉄筋仮想画像として予め記憶しておき、施工対象となる壁を連続して撮影した実画像に鉄筋仮想画像を合成した第1合成画像を撮影毎に生成し、合成画像内に油性ペンなどの移動可能な部材としての筆記具が移動された際に、筆記具に対応づけられた合成要素としてのペン形状をなすペン型仮想画像を筆記具の動きに対応させて第1合成画像と合成した第2合成画像を生成する例について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る画像合成方法を実現するための装置の一例を示すブロック図である。
本実施形態の画像合成方法を実現するための画像合成装置1は、被写体を撮影する撮像部10と、撮影した被写体の実画像と予め形成されている仮想画像とを合成する処理を含み画像合成装置1を制御する制御部12と、画像を合成するために必要な各種情報やデータが記憶される記憶部14と、合成された合成画像を表示する表示部16と、本画像合成装置1を操作するための操作部18と、を有している。
【0023】
本実施形態の画像合成装置1は、例えば、撮像部10と、撮影した画像を表示する表示部16とを有し持ち運び可能な、例えばデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルコンピュータなどに、画像合成処理が実行可能なプログラムが記憶されている。
【0024】
そして、画像合成装置1の使用者が、被写体を撮影すると、表示部16に撮影された実画像が表示される。このとき、撮影された実画像20(図4)に、予め設定された、例えば、QRコード(登録商標)やバーコードなどの、所定の合成情報を示す画像対応被写体としてのマーカー21が含まれていた場合には、マーカー21を検出して合成情報を取得し、取得した合成情報に基づいて、撮影した実画像20と予め記憶されている仮想画像23(図4)とを合成した合成画像24、25(図4)を生成し、生成した合成画像24、25が表示部16に表示されるように構成されている。
【0025】
第1実施形態では、2種類のマーカー21が設けられている。以下、説明の便宜上、2種類のマーカーをAマーカー21aとBマーカー21bとして区別して説明する。2種類のマーカー21の一方は、第1画像対応被写体としてのAマーカー21aであり、貫通孔を形成する対象となる壁(以下、施工対象壁という)30の配筋工事時における内部の鉄筋31の状態を撮影した写真でなる鉄筋仮想画像23aが対応づけられている。2種類のマーカー21の他方は、第2画像対応被写体としてのBマーカー21bであり、施工対象壁30に目印26を付与するための筆記具27を模したペン型仮想画像23bが対応づけられている。
【0026】
Aマーカー21aは、施工対象壁30の予め設定された所定の位置に正確に計測されて配置されており、Aマーカー21aが設けられている位置情報及びAマーカー21aと鉄筋仮想画像23aとの相対位置を示す位置情報とが対応づけられて記憶されている。Bマーカー21bは、筆記具27の表面に設けられており、筆記具27上のBマーカー21bの位置と筆記具27の先端との距離を示す情報が対応づけられて記憶されている。
【0027】
撮像部10は、例えば、デジタルカメラやデジタルビデオカメラのような、撮影により、画像を構成する複数の画素の各画像データを生成するCCDセンサーなどの撮像素子により、光情報を電気情報に変換するように構成されている。
【0028】
表示部16は、画像を構成する複数の画素の画像データを、各素子に対応させて表示することが可能な、例えば液晶パネルなどにて構成されている。ここで、各画素の画像データとは、例えば、各画素をR(レッド)成分、G(グリーン)成分、B(ブルー)成分に分解した各成分を示すデータである。
【0029】
操作部18は、画像合成装置1を使用する使用者が、画像合成装置1に対し撮影等の操作を行ったり、設定を変更するなどの操作を行う部位であり、少なくとも実画像20を撮影するための所謂シャッター、及び、筆記具27の先端に対応する画素の画像データの色を変更するための色変更スイッチを有している。色変更スイッチは、例えば、使用者が操作部18を操作することにより、ペン型仮想画像23bにおける先端の位置に対応する画素の画像データを所定の色、例えば黒色に変更することができるように設定されている。
【0030】
記憶部14は、本画像合成装置1にて合成画像を生成するための各種情報が記憶されており、また、情報が記憶される情報記憶領域14aと、合成画像を生成する処理の中で画像データが書き換えられていく作業領域となる画像仮想展開領域14bと、撮影した実画像の画像データを、次の撮影による実画像の画像データが生成されるまで保存しておく実画像保存領域14cとを有している。
【0031】
情報記憶領域14aには、被写体に含まれているAマーカー21aに対応づけられた鉄筋仮想画像23aを特定する情報、Bマーカー21bに対応づけられたペン型仮想画像23bを特定する情報、鉄筋仮想画像23aおよびペン型仮想画像23bの画像データ、鉄筋仮想画像23aの実画像20に対して配置すべき位置を示す位置情報、ペン型仮想画像23bをBマーカー21bと連動させて配置することを示す位置情報、ペン型仮想画像23bのBマーカー21bと先端との距離を示す情報などの合成情報が記憶されている。また、情報記憶領域14aには、撮影時に測定された撮像部10の視点から被写体までの距離を示す情報、Bマーカー21bの方向や傾きを示す情報等、算出された情報も記憶される。
【0032】
画像仮想展開領域14b及び実画像保存領域14cは、撮影された画像データが画素毎に記憶される記憶領域である。上述したように、各画素の画像データはR,G,Bの3つの成分を示すデータを有するので、画像仮想展開領域14b及び実画像保存領域14cは、合成画像を構成する画素数の3倍の記憶領域を有している。
【0033】
画像仮想展開領域14bに記憶される画像データは、合成画像を生成する際には必要に応じて対応する画素の画像データが書き換えられる。そして、画像仮想展開領域14bに画素毎に記憶された3つのデータは、各画素の画像データが書き換えられる場合には、R成分、G成分、B成分の各データがそれぞれ書き換えられる。一方、実画像保存領域14cに記憶される実画像の画像データは、書き換えられることはないが、画像を解析する際に用いられる。画像仮想展開領域14b及び実画像保存領域14cは、記憶領域が表示部16または撮像部10の素子と同様に配列されている必要はなく、各記憶領域の画像データが、表示部16または撮像部10の素子と対応づけられて記憶されていればよい。
【0034】
制御部12は、使用者により操作部18が操作されることにより、撮像部10や表示部16を制御したり、撮影された実画像20の画像データからマーカー21を検出し、マーカー21にて示される情報を解析する解析処理、解析された情報に基づいて、実画像20と記憶部14に記憶されている仮想画像23とを合成する画像合成処理等の各種処理を実行する。
【0035】
次に、本実施形態における制御部12による画像合成方法について説明する。
本実施形態の画像合成方法は、画像合成装置1に設けられ、撮像部10にて撮影するための操作部18であるシャッターが操作されて処理が開始される。このとき、画像合成装置1が、デジタルカメラなどのように、単に実画像を撮影するときと、合成画像を生成するときとで処理を切り替えるスイッチが操作部18に設けられていてもよい。また、常に合成画像を生成する処理が実行されるように設定されており、撮影された実画像にマーカー21が検出されたときのみ合成画像を生成する処理を実行することとしてもよい。
【0036】
第1実施形態は、前述したように、画像合成装置1の撮像部10にて撮影するときに、撮影範囲F1内に、QRコード(登録商標)やバーコードなどの情報を示す画像対応被写体としてのマーカー21a、21bが含まれる状態に応じて合成画像24、25を生成する。
【0037】
図2は、第1実施形態の画像合成方法を説明するためのフローチャートである。
【0038】
図3(a)は、最初の撮影範囲の状態を示す図であり、図3(b)は、撮影範囲に筆記具が移動された状態を示す図であり、図3(c)は、目印が付与された後の状態を示す図である。図4(a)は、第1合成画像を示す図であり、図4(b)は、第2合成画像を示す図であり、図4(c)は、第2合成画像に筆記具27の先端の軌道を表した状態を示す図である。
【0039】
使用者により図3(a)に示すように、撮影範囲F1内にAマーカー21aを含ませてシャッターが操作されると、制御部12は、撮像部10にて施工対象壁30を撮影し(S1)、撮影された実画像20を構成する各画素の画像データを生成し、生成した画像データを記憶部14の画像仮想展開領域14bと実画像保存領域14cとにそれぞれ記憶する(S2)。
【0040】
また、制御部12は実画像20の撮影時に撮像部10から取得した情報に基づき、一般的なカメラにも搭載されているオートフォーカス機構の原理を利用して、例えば、レンズの上半分と下半分にて生じる重心位置の違いを利用して被写体と、撮像部10の視点位置との距離を計測し、計測した距離情報を情報記憶領域14aに記憶する。
【0041】
次に制御部12は、実画像保存領域14cに記憶されている実画像20の画像データに第1画像対応被写体としてのAマーカー21aが撮影されているか否かを解析する(S3)。このとき、実画像20の画像データにAマーカー21aが撮影されていた場合には(S4)、Aマーカー21aに対応づけられている情報を情報記憶領域14aから取得する(S5)。ここで、取得される情報には、Aマーカー21aに対応づけられている仮想画像23を特定する情報、撮影した実画像20と仮想画像23とを合成するための位置情報、等が含まれる。
【0042】
また、このとき実画像保存領域14cに記憶されている実画像20の画像データを解析し、実画像20の画像データにAマーカー21aが撮影されていなかった場合には、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の画像データに基づいて、実画像20が表示部16に表示される(S13)。
【0043】
本実施形態の場合には、実画像保存領域14cに記憶されている実画像20の画像データを解析して(S3)、実画像20の画像データにAマーカー21aが検出され(S4)、Aマーカー21aに対応づけられている情報が記憶部14から取得される(S5)。このとき、撮影した実画像20と合成する鉄筋仮想画像23aを特定する情報、鉄筋仮想画像23aを合成するための位置情報、すなわち、Aマーカー21aの位置に位置あわせして鉄筋仮想画像23aが配置されることを示す情報が取得される(S5)。
【0044】
次に制御部12は、取得した情報に基づいて、画像仮想展開領域14bに記憶されている実画像20の対象となる画素の画像データを、Aマーカー21aに対応づけられて情報記憶領域14aに記憶されている鉄筋仮想画像23aの画像データに書き換えて第1合成画像24を生成する(S6)。ここで、被写体を撮影する工程S1から実画像20と鉄筋仮想画像23aとを合成する工程S6までが第1画像合成工程に相当する。
【0045】
次に制御部12は、実画像保存領域14cに記憶されている実画像20の画像データに第2画像対応被写体としてのBマーカー21bが撮影されているか否かを解析する(S7)。
【0046】
本実施形態における最初の撮影では、図3(a)に示すように筆記具27が撮影範囲F1に含まれていないので、画像仮想展開領域14bにて合成されている図4(a)に示すような第1合成画像24を表示部16に表示する(S13)。
【0047】
このような、撮影工程S1から表示工程(S13)までの処理を所定の時間間隔にて繰り返し実行する。たとえば、1秒間に15回、上記処理を繰り返し表示部16の画像を書き換えることにより、フレームレートが15fpsの動画が表示部16に表示される。
【0048】
そして、使用者が、表面にBマーカー21bが設けられた筆記具27を撮影範囲F1内に移動させると、繰り返される撮影の中で、図3(b)に示すように、筆記具27が撮影範囲F1内に含まれた実画像20が撮影される。繰り返される撮影の間には、制御部12は、上述した第1合成画像を生成する第1画像合成工程(S1〜S6)を実行しており、Bマーカー21bが検出された際には、撮像部10の視点位置とBマーカー21bとの距離も計測し、計測した距離情報を情報記憶領域14aに記憶する。
【0049】
繰り返される撮影にて撮影毎に第1合成画像24が形成された後に、制御部12は、実画像保存領域14cに記憶されている実画像20の画像データに第2画像対応被写体としてのBマーカー21bが撮影されているか否かを解析する(S7)。このとき、実画像20の画像データにはBマーカー21bが撮影されているので(S7)、Bマーカー21bに対応づけられている情報を記憶部14から取得する(S8)。また、このとき、撮影された筆記具27は施工対象壁30に目印を付与するために用いられているため、施工対象壁30とは平行には配置されない。このため、制御部12は、撮像時に特定したBマーカー21bの位置、Bマーカー21bの幅や傾き、撮影時に計測した距離、に基づいて、Bマーカー21bに対応づけられているペン型仮想画像23bの画像データを筆記具27実体の向きに合わせる補正処理を実行する(S9)。
【0050】
次に制御部12は、補正処理したペン型仮想画像23bの画像データが合成される画素をBマーカー21bの位置に基づいて特定し、画像仮想展開領域14bに記憶されている第1合成画像の対象となる画素の画像データを、補正処理したペン型仮想画像23bの画像データに書き換えて図4(b)に示すような第2合成画像25を生成する(S10)。ここで、Bマーカー21bを検出する工程S7から第1合成画像と補正後のペン型仮想画像23bとを合成する工程S10までが第2画像合成工程に相当する。
【0051】
このとき、制御部12は、色変更スイッチにより信号が入力されたか否かを検出している(S11)。そして、使用者が、ペン型仮想画像23bの先端が所望の位置、すなわち目印を付与したい位置に配置されたときに、色変更スイッチを操作すると、制御部12は、色変更スイッチにより信号が入力されたことを検出して(S11)、画像仮想展開領域14bに記憶されている第2合成画像25のペン型仮想画像23bにおける先端の位置に対応する画素の画像データを黒色に変更する(S12)。
【0052】
そして、画像仮想展開領域14bにて合成されている図4(b)に示すような第2合成画像25を表示部16に表示する(S13)。
【0053】
その後、使用者が筆記具27を移動させると、表示部16上にて筆記具27の軌道に対応したペン型仮想画像23bの移動が表示され、ペン型仮想画像23bの先端の軌道に伴って黒色に変更された画素のデータが連なって図4(c)に示すような目印を示す画像28が表示される。すなわち、使用者が撮影範囲F1内にて筆記具27を移動させると、ペン型仮想画像23bも連動して移動するので、施工対象壁30の内部を見ているかのような状態にて、筆記具27を移動させているような画像が表示される。そして、使用者が所望の位置にて筆記具27を施工対象壁30に接触させることにより、図3(c)に示す等に、施工対象壁30に現実に目印26を付与することが可能である。
【0054】
本実施形態の画像合成方法によれば、鉄筋仮想画像23aが対応づけられたAマーカー21aを撮影して、撮影された実画像20と鉄筋仮想画像23aとを合成した第1合成画像24の範囲内にて、第1合成画像24と合成可能な合成要素としてのペン型仮想画像23bが対応づけられたBマーカー21bを検出したときには、ペン型仮想画像23bを第1合成画像24と合成して第2合成画像25を生成するので、実画像、鉄筋仮想画像23a、及び、ペン型仮想画像23bを合成した第2合成画像25を生成することが可能である。このため、実画像20に鉄筋仮想画像23aが合成された第1合成画像24に、検出されたBマーカー21bに対応づけられたペン型仮想画像23bを合成することにより、生成される第2合成画像25に、現実の部位における実際の変化を反映させることが可能である。
【0055】
このため、例えば上記のように、施工対象壁に貫通孔を施工しようとする場合に、施工対象壁30の内部に埋設されている鉄筋31を傷つけることがないような位置を容易に特定することが可能である。
【0056】
また、実画像20、鉄筋仮想画像23aが合成された第1合成画像24の範囲内に、Bマーカー21bが設けられた移動可能な筆記具27が検出された場合には、Bマーカー21bが設けられている筆記具27のペン型仮想画像23bが第1合成画像24に合成されるので、鉄筋仮想画像23aと合成された実画像20上に、現実に存在している筆記具27をイメージさせる第2合成画像25を合成することが可能である。
【0057】
上記実施形態においては、第1合成画像24に合成可能な合成要素をペン型仮想画像23bとしたが、これに限るものではない。たとえば、撮影された実画像20の筆記具27に相当する部位でなる筆記具27の実画像の画像データを合成要素として第1合成画像24に合成してもよい。
【0058】
図5は、合成要素を筆記具の先端の軌道に合わせて鉄筋仮想画像を取り除く領域を示す図形とした例を示す図である。
【0059】
また、合成要素を、筆記具27の先端の周囲を、筆記具27の先端の軌道に合わせて、第1合成画像から鉄筋仮想画像23aを取り除く領域を示す、図5に示すような図形29としても構わない。この場合には、鉄筋仮想画像23aが取り除かれた部位に施工対象壁30が表示されるので、実際に施工対象壁30に付与された目印26を表示部16上で視認することが可能である。また、鉄筋仮想画像23aを取り除く領域を示す図形の形状を、筆記具27を示す形状としてもよい。この場合には、筆記具27の形状に鉄筋仮想画像23aが取り除かれるので、第2合成画像25上に、筆記具27をイメージすることが可能であるとともに、鉄筋仮想画像23aと合成された第2合成画像25であっても、筆記具27が存在する位置では実画像が見えるような第2合成画像25を生成することが可能である。
【0060】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0061】
上記実施形態では、最初は撮影範囲F1に筆記具27が含まれていない例について説明したが、最初から撮影範囲F1に筆記具27が含まれていてもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、筆記具27の先端の軌道に対応させて筆記具27の先端が位置する画素の色を変更する処理の開始を操作部18に設けた色変更スイッチの操作としたが、これに限るものではない。たとえば、筆記具に送信部と送信スイッチを備え、画像合成装置に受信部を備えた構成とし、たとえば、筆記具にて目印を付与する際に送信スイッチを操作すると画像合成装置が赤外線などによる信号を受信して処理を実行することとしてもよい。また、筆記具と画像合成装置とをケーブルにて接続して筆記具での操作により処理の開始信号が画像合成装置に送信されることとしてもよい。さらに、圧力センサー等を用いて使用者が目印を付与する動作を検出したときに処理が開始されるように構成してもよい。
【0063】
上記実施形態において説明した、筆記具27の先端の軌道に対応させて筆記具27の先端が位置する画素の色を変更する処理は、筆記具27の先端の周囲を、筆記具27の先端の軌道に合わせて、第1合成画像から鉄筋仮想画像23aを取り除く場合であっても、鉄筋仮想画像上に反映させた合成画像を、画像仮想展開領域とは別に、記憶部に記憶しておくこととしてもよい。これは、たとえば、施工対象壁に目印を付した後に筆記具を移動させた場合に、鉄筋仮想画像が取り除かれる領域も移動することにより、施工対象壁に実際に目印を付した部位が鉄筋仮想画像にて覆われて、施工対象壁上の目印の位置がわからなくなってしまうことを防止するためである。すなわち、目印を付した後に筆記具を移動して、施工対象壁に実際に目印を付した部位が鉄筋仮想画像にて覆われてしまった場合には、鉄筋仮想画像上の目印を表示できるようにするためである。
【0064】
上記実施形態では、動画を表示する例について説明したが、シャッターを操作する毎に静止画像を表示する形態であっても構わない。
【符号の説明】
【0065】
1 画像合成装置
10 撮像部
12 制御部
14 記憶部
14a 情報記憶領域
14b 画像仮想展開領域
14c 実画像保存領域
16 表示部
18 操作部
20 実画像
21 マーカー
21a Aマーカー
21b Bマーカー
23 仮想画像
23a 鉄筋仮想画像
23b ペン型仮想画像
24 第1合成画像
25 第2合成画像
26 目印
27 筆記具
28 目印を示す画像
29 仮想画像を取り除く領域を示す図形
30 施工対象壁
31 鉄筋
F1 撮影範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想画像が対応づけられた第1画像対応被写体を含む撮影範囲を撮影して、撮影された実画像と前記仮想画像とを合成して第1合成画像を生成する第1画像合成工程と、
前記撮影範囲内に、前記第1合成画像と合成可能な合成要素が対応づけられた第2画像対応被写体を検出したときに、前記合成要素を前記第1合成画像に合成して第2合成画像を生成する第2画像合成工程と、
を有することを特徴とする画像合成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像合成方法であって、
前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、
前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材を示す第2の仮想画像であることを特徴とする画像合成方法。
【請求項3】
請求項1に記載の画像合成方法であって、
前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、
前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材の実画像であることを特徴とする画像合成方法。
【請求項4】
請求項1に記載の画像合成方法であって、
前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、
前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材に対応づけた位置おいて前記仮想画像を取り除く領域を示す図形であることを特徴とする画像合成方法。
【請求項5】
請求項1に記載の画像合成方法であって、
前記第2画像対応被写体は、移動可能な部材に設けられており、
前記第2画像対応被写体と対応づけられた前記合成要素は、前記第2画像対応被写体が設けられている前記部材の形状に前記仮想画像を取り除く領域を示す図形であることを特徴とする画像合成方法。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の画像合成方法であって、
前記移動可能な部材は筆記具であり、
前記筆記具が移動する軌道に基づいて前記第2合成画像を変更することを特徴とする画像合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−174219(P2012−174219A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38752(P2011−38752)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】