説明

画像形成装置、プログラムおよび画像形成方法

【課題】同一の記録媒体に対する可視画像と別情報との重畳を低コストかつ高品質で実現することができ、その重畳情報を簡便に読み出すことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行う場合(ステップS1のY、ステップS2のY)、画像形成手段により記録媒体に転写されるトナーを凸部形成手段の押圧による窪み点の凹部略中央まで引き寄せるように、凸部形成手段の記録媒体に対する押圧力と画像形成手段における画像形成条件とを制御し(ステップS7、S8、S9)、この制御に従い、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行う。これにより、同一の記録媒体に対する可視画像と別情報との重畳を低コストかつ高品質で実現することができ、その重畳情報を簡便に読み出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラムおよび画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙やOHPシートなどの記録媒体上にトナーやインクなどの色材を付着させて画像を出力するプリンタなどの画像形成装置において、そのプリント画像に極力影響を与えないように別の情報を同じ記録媒体上に重畳させる技術が、従来から多数提案されている。これらの従来技術としては、色材や記録媒体を工夫するものと出力画像自体を工夫するものとの2通りに大別される。
【0003】
前者(色材や記録媒体を工夫するもの)に属するものとしては、発泡性トナー、熱膨張性シート、RFID(Radio Frequency Identification)シートなどが挙げられる。発泡性トナーは、加熱によって発泡する特殊な透明トナーである。熱膨張性シートは、加熱によって膨張する特殊なシートである。これらの発泡性トナーや熱膨張性シートによれば、通常のトナーでのプリント画像に極力影響を与えないように別の情報を同じ記録媒体上に重畳させることができる(特許文献1,2参照)。また、RFID(Radio Frequency Identification)シートとは、微小な半導体チップを漉き込んだ特殊なシートであり、半導体チップに記憶したデータ(重畳情報)を電波や電磁波で読み出すものである。このようなRFIDシートによれば、半導体チップに記憶したデータを電波や電磁波で読み出すことにより、通常の色材での出力画像に極力影響を与えないように別の情報を同じ記録媒体上に重畳させることができる。
【0004】
一方、後者(出力画像自体を工夫するもの)に属するものとしては、バーコードや電子透かしなどが挙げられる。すなわち、重畳情報をバーコードや電子透かしによってデータ化した後に記録媒体上に出力画像として印字しておき、スキャナなどの入力装置を用いて記録媒体からデータを取り出し、取り出したデータをコンピュータなどで処理することにより、通常の色材での出力画像に極力影響を与えないように別の情報を同じ記録媒体上に重畳させることができるようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開2003−091095号公報
【特許文献2】特開2003−182158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、色材や記録媒体を工夫することにより、出力画像に極力影響を与えないように別の情報を同じ記録媒体上に重畳させる場合には、いずれも、特殊、すなわち高価なトナーやシートを用いるため、ランニングコストが高いという欠点を有している。
【0007】
また、出力画像自体を工夫することにより、出力画像に極力影響を与えないように別の情報を同じ記録媒体上に重畳させるようにする場合には、重畳情報の読み出しが煩雑であると言う欠点がある。すなわち、バーコードや電子透かしによってデータ化された重畳情報は、スキャナなどの入力装置を用いて記録媒体からデータを取り出し、取り出したデータをコンピュータなどで処理しないと重畳情報が読み出せない。このように特別な道具がなければ情報を読み出せないのは、非常に不便である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、同一の記録媒体に対する可視画像と別情報との重畳を低コストかつ高品質で実現することができ、その重畳情報を簡便に読み出すことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明の画像形成装置は、押圧による変形パターンを記録媒体に形成する凸部形成手段と、前記凸部形成手段の媒体搬送方向下流に設けられ、前記記録媒体に色材を付着させて可視画像を形成する画像形成手段と、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う場合に、前記画像形成手段において画像形成するための色材を、前記変形パターンの窪み点の凹部中央に引き寄せるように、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する制御手段と、前記制御手段の制御に応じて、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う画像/パターン形成手段と、を備える。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記変形パターンと前記可視画像との少なくともいずれか一方の形成を行なう処理モードをユーザに選択させる選択手段を更に有し、前記制御手段は、前記選択手段により選択された処理モードに応じて、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する。
【0011】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記凸部形成手段による変形パターンの形成と前記画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを前記記録媒体に対して行う場合に比べて、前記画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と前記画像形成手段における転写力を増加させる制御と前記凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する。
【0012】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置において、前記凸部形成手段により前記記録媒体に形成される変形パターンは、点字、文字または図形である。
【0013】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1ないし4のいずれか一記載の画像形成装置において、前記凸部形成手段による前記記録媒体に対する押圧面と、前記画像形成手段による前記記録媒体に対する可視画像の形成面とは、前記記録媒体の同一面である。
【0014】
また、請求項6にかかる発明のプログラムは、押圧による変形パターンを記録媒体に形成する凸部形成手段と、前記凸部形成手段の媒体搬送方向下流に設けられて前記記録媒体に色材を付着させて可視画像を形成する画像形成手段と、を備える画像形成装置を制御するコンピュータに読取可能なプログラムであって、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う場合に、前記画像形成手段において画像形成するための色材を、前記変形パターンの窪み点の凹部中央に引き寄せるように、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する制御機能と、前記制御機能の制御に応じて、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う画像/パターン形成機能と、を前記コンピュータに実行させる。
【0015】
また、請求項7にかかる発明は、請求項6記載のプログラムにおいて、前記変形パターンと前記可視画像との少なくともいずれか一方の形成を行なう処理モードをユーザに選択させる選択機能を更に前記コンピュータに実行させ、前記制御機能は、前記選択機能により選択された処理モードに応じて、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する。
【0016】
また、請求項8にかかる発明は、請求項6または7記載のプログラムにおいて、前記制御機能は、前記凸部形成手段による変形パターンの形成と前記画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを前記記録媒体に対して行う場合に比べて、前記画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と前記画像形成手段における転写力を増加させる制御と前記凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する。
【0017】
また、請求項9にかかる発明の画像形成方法は、凸部形成手段の押圧による変形パターンの形成と前記凸部形成手段の媒体搬送方向下流に設けられた画像形成手段の色材の付着による可視画像の形成とを記録媒体に対して行う場合に、前記画像形成手段において画像形成するための色材を、前記変形パターンの窪み点の凹部中央に引き寄せるように、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する制御工程と、前記制御工程の制御に応じて、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う画像/パターン形成工程と、を含む。
【0018】
また、請求項10にかかる発明は、請求項9記載の画像形成方法において、前記変形パターンと前記可視画像との少なくともいずれか一方の形成を行なう処理モードをユーザに選択させる選択工程を更に含み、前記制御工程は、前記選択工程により選択された処理モードに応じて、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する。
【0019】
また、請求項11にかかる発明は、請求項9または10記載の画像形成方法において、前記制御工程は、前記凸部形成手段による変形パターンの形成と前記画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを前記記録媒体に対して行う場合に比べて、前記画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と前記画像形成手段における転写力を増加させる制御と前記凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する。
【0020】
また、請求項12にかかる発明は、請求項9ないし11のいずれか一記載の画像形成方法において、前記凸部形成手段により前記記録媒体に形成される変形パターンは、点字、文字または図形である。
【0021】
また、請求項13にかかる発明は、請求項9ないし12のいずれか一記載の画像形成方法において、前記凸部形成手段による前記記録媒体に対する押圧面と、前記画像形成手段による前記記録媒体に対する可視画像の形成面とは、前記記録媒体の同一面である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1にかかる発明によれば、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行う場合、凸部形成手段により変形パターンが形成された記録媒体に対して画像形成手段による可視画像を形成する。この場合、画像形成手段における画像形成するための色材を凸部形成手段の押圧による窪み点の凹部略中央まで引き寄せるように、凸部形成手段の記録媒体に対する押圧力と画像形成手段における画像形成条件とを制御し、この制御に従い、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行うことにより、凸部形成手段により変形パターンが形成した後に画像形成手段により可視画像を形成した際の転写ヌケを防止することができる。すなわち、凸部形成手段の押圧力と画像形成手段における画像形成条件とを制御して可視画像の画像品質への影響を低減しつつ、可視画像が形成される記録媒体に対する別情報の重畳を押圧による局所的な変形付与とすることにより、同一の記録媒体に対する可視画像と別情報との重畳を低コストかつ高品質で実現することができ、その重畳情報を簡便に読み出すことができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項2にかかる発明によれば、選択手段により選択された処理モードに応じて、凸部形成手段の押圧力と画像形成手段の画像形成条件とを制御することにより、凸部形成手段により変形パターンが形成した後に画像形成手段により可視画像を形成した際の転写ヌケを確実に防止することができる。
【0024】
また、請求項3にかかる発明によれば、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを記録媒体に対して行う場合に比べて、画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と画像形成手段における転写力を増加させる制御と凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する。これにより、凸部形成手段における押圧力を減少させる制御を実行した場合には、凸部形成手段の押圧で記録媒体に生じる窪み点の大きさを変形パターンのみを付与する場合に比べて小さくすることができ、画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御を実行した場合や画像形成手段における転写力を増加させる制御を実行した場合には、記録媒体上に付着するトナー量を可視画像のみを形成する場合に比べて多くすることができるので、窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることができるようになる。
【0025】
また、請求項4にかかる発明によれば、変形パターンを点字、文字または図形とすることにより、触覚で知覚でき、かつ、そのまま理解できるものであることから、暗闇でも、記録媒体と目の間に遮蔽物があっても、弱視者であっても、重畳情報を読み出すことができる。すなわち、特別な道具を用いることなく、目視または感触だけで、より簡便に重畳情報を読み出すことができるという効果を奏する。
【0026】
また、請求項5にかかる発明によれば、画像形成手段による記録媒体に対する可視画像の形成面とは逆の面から読み取るように、変形パターンを形成することにより、目視で読み取る場合には、重畳した情報が読みやすく、また、感触で読み取る場合は、可視画像の形成面を指で汚してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0027】
請求項6にかかる発明によれば、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行う場合、凸部形成手段により変形パターンが形成された記録媒体に対して画像形成手段による可視画像を形成する。この場合、画像形成手段における画像形成するための色材を凸部形成手段の押圧による窪み点の凹部略中央まで引き寄せるように、凸部形成手段の記録媒体に対する押圧力と画像形成手段における画像形成条件とを制御し、この制御に従い、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行うことにより、凸部形成手段により変形パターンが形成した後に画像形成手段により可視画像を形成した際の転写ヌケを防止することができる。すなわち、凸部形成手段の押圧力と画像形成手段における画像形成条件とを制御して可視画像の画像品質への影響を低減しつつ、可視画像が形成される記録媒体に対する別情報の重畳を押圧による局所的な変形付与とすることにより、同一の記録媒体に対する可視画像と別情報との重畳を低コストかつ高品質で実現することができ、その重畳情報を簡便に読み出すことができるという効果を奏する。
【0028】
また、請求項7にかかる発明によれば、選択手段により選択された処理モードに応じて、凸部形成手段の押圧力と画像形成手段の画像形成条件とを制御することにより、凸部形成手段により変形パターンが形成した後に画像形成手段により可視画像を形成した際の転写ヌケを確実に防止することができる。
【0029】
また、請求項8にかかる発明によれば、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを記録媒体に対して行う場合に比べて、画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と画像形成手段における転写力を増加させる制御と凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する。これにより、凸部形成手段における押圧力を減少させる制御を実行した場合には、凸部形成手段の押圧で記録媒体に生じる窪み点の大きさを変形パターンのみを付与する場合に比べて小さくすることができ、画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御を実行した場合や画像形成手段における転写力を増加させる制御を実行した場合には、記録媒体上に付着するトナー量を可視画像のみを形成する場合に比べて多くすることができるので、窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることができるようになる。
【0030】
請求項9にかかる発明によれば、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行う場合、凸部形成手段により変形パターンが形成された記録媒体に対して画像形成手段による可視画像を形成する。この場合、画像形成手段における画像形成するための色材を凸部形成手段の押圧による窪み点の凹部略中央まで引き寄せるように、凸部形成手段の記録媒体に対する押圧力と画像形成手段における画像形成条件とを制御し、この制御に従い、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とを一の記録媒体に対して行うことにより、凸部形成手段により変形パターンが形成した後に画像形成手段により可視画像を形成した際の転写ヌケを防止することができる。すなわち、凸部形成手段の押圧力と画像形成手段における画像形成条件とを制御して可視画像の画像品質への影響を低減しつつ、可視画像が形成される記録媒体に対する別情報の重畳を押圧による局所的な変形付与とすることにより、同一の記録媒体に対する可視画像と別情報との重畳を低コストかつ高品質で実現することができ、その重畳情報を簡便に読み出すことができるという効果を奏する。
【0031】
また、請求項10にかかる発明によれば、選択手段により選択された処理モードに応じて、凸部形成手段の押圧力と画像形成手段の画像形成条件とを制御することにより、凸部形成手段により変形パターンが形成した後に画像形成手段により可視画像を形成した際の転写ヌケを確実に防止することができる。
【0032】
また、請求項11にかかる発明によれば、凸部形成手段による変形パターンの形成と画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを記録媒体に対して行う場合に比べて、画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と画像形成手段における転写力を増加させる制御と凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する。これにより、凸部形成手段における押圧力を減少させる制御を実行した場合には、凸部形成手段の押圧で記録媒体に生じる窪み点の大きさを変形パターンのみを付与する場合に比べて小さくすることができ、画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御を実行した場合や画像形成手段における転写力を増加させる制御を実行した場合には、記録媒体上に付着するトナー量を可視画像のみを形成する場合に比べて多くすることができるので、窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることができるようになる。
【0033】
また、請求項12にかかる発明によれば、変形パターンを点字、文字または図形とすることにより、触覚で知覚でき、かつ、そのまま理解できるものであることから、暗闇でも、記録媒体と目の間に遮蔽物があっても、弱視者であっても、重畳情報を読み出すことができる。すなわち、特別な道具を用いることなく、目視または感触だけで、より簡便に重畳情報を読み出すことができるという効果を奏する。
【0034】
また、請求項13にかかる発明によれば、画像形成手段による記録媒体に対する可視画像の形成面とは逆の面から読み取るように、変形パターンを形成することにより、目視で読み取る場合には、重畳した情報が読みやすく、また、感触で読み取る場合は、可視画像の形成面を指で汚してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0036】
本発明の実施の一形態を図1ないし図9に基づいて説明する。本実施の形態は、画像形成装置として、電子写真プロセスを利用したモノクロレーザプリンタであるプリンタ装置に適用した例を示す。このようなプリンタ装置は、図示しない画像処理装置(例えば、パーソナルコンピュータなど)に接続されて使用される。
【0037】
図1は、本発明の実施の一形態にかかるプリンタ装置Aの構成例を概略的に示す縦断正面図である。図1に示すように、プリンタ装置Aには、記録媒体である用紙Pを積層保持する用紙収納部としての給紙トレイ1から電子写真方式で用紙P上に画像形成を行う画像形成手段であるプリンタエンジンB、さらに形成した画像を用紙P上に定着する定着装置2を経由して、画像形成後の用紙が排紙される排紙トレイ3に至る用紙Pの搬送経路4が形成されている。搬送経路4のうち、給紙トレイ1からプリンタエンジンBまでが用紙搬送路5である。
【0038】
ここで、プリンタエンジンBについて簡単に説明する。図1に示すように、プリンタ装置AのプリンタエンジンBには、電子写真プロセスの主体となる、モータ(図示せず)の駆動により所定の速度で回転駆動されるドラム状の感光体6が設けられている。この感光体6の周囲には、電子写真プロセスに従い、帯電チャージャ7、光書込み装置8、現像装置9、転写チャージャ10、分離チャージャ11等の電子写真プロセス部材が順に配設されている。感光体6は帯電チャージャ7により一様に帯電され、この帯電された感光体6に光書込み装置8によって、図示しない画像処理装置(例えば、パーソナルコンピュータなど)からの画像信号に基づく静電潜像が形成され、現像装置9によって感光体6上の静電潜像にトナーを付着させることによってトナー像が形成される。その後、現像後のトナー像は、搬送経路4を搬送されてきた用紙P上に転写チャージャ10によって転写される。
【0039】
定着装置2には、用紙P上に転写したトナー像を用紙に定着する加圧ローラ2aと加熱ローラ2bとが設けられている。定着装置2より用紙搬送方向の下流側には、トナー画像を定着した用紙Pを排紙トレイ3へ排紙する排紙ローラ3aが設けられている。
【0040】
次に、用紙搬送手段について説明する。給紙トレイ1の用紙搬送方向の下流側には、積層保持された用紙Pを取り出すピックアップローラ12と、取り出した用紙を一枚ずつに分離する分離ローラ13とが設けられており、用紙搬送路5に対して用紙を給紙する。用紙搬送路5上には、モータM1(図3参照)で駆動されて用紙Pを搬送する搬送ローラ14、用紙Pの端部を検出する用紙端部検出センサ15、レジストセンサ16、レジストセンサ16により検出した用紙PをプリンタエンジンBへ送り出すタイミングをプリンタエンジンBでの画像形成動作に同期させるレジストレーション動作を行うレジストローラ17等の搬送手段が配置されている。
【0041】
さらに、用紙搬送路5における搬送ローラ14とレジストローラ17との間の部分には、この用紙搬送路5を搬送された用紙Pに対して押圧による局所的な変形付与を行う凸部形成手段である凸部形成装置Cが設けられている。
【0042】
ここで、図2は凸部形成装置Cを概略的に示す斜視図である。図2に示すように、凸部形成装置Cは、モータM1で駆動されるローラ20に押しつけた用紙Pに対し、記録ペン21の先端部を押し込むことによって局所的な変形を付与する。ローラ20の表面は、ゴム材料で形成されており、記録ペン21の押し込み動作に対応して柔軟に変形する。記録ペン21は、その先端部にピン状部材22を備えており、このピン状部材22が記録ペン21の本体部に設けられたペン駆動用マグネット23により用紙Pの鉛直方向に駆動される。また、記録ペン21は、シャフト24に案内されてローラ20の軸方向に往復移動自在となっている。つまり、記録ペン21はプーリ25およびこれらのプーリ25に巻かれたワイヤ26からなる動力伝達手段によりパルスモータ27の出力軸に固定されたプーリ28に連結され、このパルスモータ27によりローラ20の軸方向に駆動され、用紙Pの任意の位置に局所的な変形を付与することができる。
【0043】
なお、凸部形成装置Cは、上述した構成に限定されるものではなく、例えば凸パターンが刻まれたローラと、ゴム材料表面のローラとで、用紙Pを挟み込むものであってもよい。
【0044】
次に、プリンタ装置Aの制御系の概略構成例を図3に示すブロック図を参照して説明する。この制御系としては、ROM(Read Only Memory)31及びRAM(Random Access Memory)32とともにマイクロコンピュータを構成するCPU(Central Processing Unit)33が設けられている。このCPU33はROM31内に格納された制御プログラムに従い、搬送手段用のモータM1や、プリンタエンジンBや凸部形成装置Cの駆動制御を始めとして、当該プリンタ装置A全体の制御を受け持つ。すなわち、本実施の形態のプリンタ装置Aは、プリンタエンジンBと凸部形成装置Cとを独立に制御可能であり、用紙Pに対し、プリント画像と変形パターンとの少なくともいずれか一方を選択的に付与することが可能である。RAM32には各種処理を行う上で必要なデータ等を一時格納するための等の作業領域として使われる。また、ROM31内には、凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力を制御するためのプログラム、及びプリンタエンジンBにおける画像形成条件(光書込み装置8の露光量、転写チャージャ10の転写電圧)の最適化のためのプログラムを始め、その他の各種プログラムが格納されている。
【0045】
また、I/Oインタフェース34を介し、モータM1やセンサ15,16を始めとし、当該プリンタ装置Aを制御する上で必要なその他の入出力装置が接続されている。CPU33、ROM31、RAM32、I/Oインタフェース34は、アドレスバス35及びデータバス36にて接続されており、アドレスの指定及びデータの入出力を行っている。
【0046】
また、CPU33は、ROM31内に格納されているプログラムに従い、凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力を制御するために、I/Oインタフェース34を介してCPU33に接続されている凸部形成装置Cに対してその設定を行う。
【0047】
さらに、CPU33は、ROM31内に格納されているプログラムに従い、プリンタエンジンBにおける画像形成条件を最適化するために、I/Oインタフェース34を介してCPU33に接続されているプリンタエンジンBに対してその設定を行う。
【0048】
加えて、CPU33には、ユーザの操作を受け付ける操作パネル37がI/Oインタフェース34を介して接続されている。この操作パネル37は、プリンタ装置Aに対する各種の指示をユーザのキー操作により行わせるためのものである。本実施の形態においては、プリンタエンジンBによりプリント画像のみを用紙Pに付与するモード(モードA)と、プリンタエンジンBによるプリント画像と凸部形成装置Cによる変形パターンとの両方を用紙Pに付与するモード(モードB)と、凸部形成装置Cにより変形パターンのみを用紙Pに付与するモード(モードC)とのいずれかを、ユーザの要求によって操作パネル37により選択できる構成となっている。
【0049】
また、画像処理装置を接続してデータの入出力を行なうインタフェース回路38も、I/Oインタフェース34を介してCPU33に接続されている。
【0050】
このような構成において、CPU33の制御による画像形成動作について簡単に説明する。画像処理装置から印字データが入力されると、給紙トレイ1から次々と用紙Pが給紙される。これらの用紙Pは用紙搬送路5をプリンタエンジンBに向けて搬送され、その途中で凸部形成装置Cに送り込まれ、この用紙搬送路5を搬送された用紙Pに対して押圧による局所的な変形付与が行われる。このように凸部形成装置Cにおいて押圧によって局所的に変形付与された部分は、プリント画像とは別の情報(重畳情報)であり、変形パターンと称される。凸部形成装置Cにより変形パターンが付与された用紙Pは、用紙搬送路5を経てプリンタエンジンBに送り込まれ、転写チャージャ10により感光体6上のトナー像が転写されて用紙P上への画像形成が行われる。その後、分離チャージャ11により感光体6から用紙Pは分離され、定着装置2に搬送される。そして、用紙Pは、定着装置2の加圧ローラ2a及び加熱ローラ2bによって加圧、加熱されることにより、トナーが溶融、定着する。トナー画像が定着された用紙Pは、排紙ローラ3aを経て排紙トレイ3へと排紙される。
【0051】
なお、凸部形成装置Cにより用紙Pに付与された変形パターン(窪み点)は、レジストローラ17及び定着装置2によって多少潰されるが、痕跡が残るため変形パターンの可読性は損なわれない。
【0052】
ところで、本実施の形態のプリンタ装置Aにおいては、図1に示すように、凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押し込み面と、プリンタエンジンBにおけるプリント画像面(可視画像形成面)とが用紙Pの同一面となっている。すなわち、用紙Pに付与される変形パターン(重畳情報)をプリント画像面とは逆の面から読み取ることができるように構成している。このように構成したのは、変形パターン(重畳情報)をプリント画像面から読み取るように形成した場合、いくつかの問題を生じることになるからである。具体的には、目視で読み取る場合には、変形パターンとプリント画像とが重なってしまい読みづらいと言う問題が生じ、感触で読み取る場合は、プリント画像面を指で汚してしまうと言う問題が生じることになる。そこで、本実施の形態においては、プリント画像面とは逆の面から読取るように、変形パターン(重畳情報)を形成し、この問題を解決している。さらに、この方式は、用紙Pを垂直に立てて観察する、例えば紙芝居のような場面で、両面の観察位置から各々情報を読取れると言う効果も得られる。
【0053】
凸部形成装置Cにより用紙Pに付与される変形パターン(重畳情報)が、人間が記憶しきれないような複雑なものである場合には、スキャナなどの入力装置やコンピュータなどを用いなければ、その情報を読み取ることができない。そこで、本実施の形態においては、変形パターンを、プリント画像面(可視画像形成面)とは逆の面から観察した状態で正しく読める点字、文字、図形とする。図4−1は点字、図4−2は通常の数字、図4−3は丸型の図形であり、それぞれ「2つ」と言う情報を表している。このように変形パターンを点字、文字や図形とすることにより、触覚で知覚でき、かつ、そのまま理解できるものであることから、暗闇でも、用紙Pと目の間に遮蔽物があっても、弱視者であっても、重畳情報を読み出すことができる。すなわち、特別な道具を用いることなく、目視または感触だけで、簡便に重畳情報を読み出すことができるようになる。
【0054】
プリンタ装置Aによる用紙Pへの画像形成例を図5に示す。図5は、文字列「A quick brown fox jumps over the lazy dog.」で構成されたプリント画像と、数字列「2005 03 11」を表現する変形パターンが重なる場合の例である。
【0055】
ちなみに、変形パターンの付与は、情報の重畳だけでなく、重ねられた用紙P同士の密着性を減じさせる機能も有する。例えば、複数の用紙Pを本のように重ねた時、ページめくりが容易になったり、プリンタ装置Aの排紙トレイ3に、複数のジョブが重なる時、各ジョブの分割が容易になったりする。前者では用紙Pの端部に、後者では各ジョブの先頭または最終ページのみに、変形パターンを付与すると効果的である。
【0056】
ところで、図5に示したようにトナーを用いたプリント画像と変形パターンとが重なる場合、プリント画像に画質劣化を生じることがある。この点について説明する。図6は、図5に示した画像形成例の一部を拡大して示すものである。図6に示すように、変形パターンは、記録ペン21先端のピン状部材22の押圧で生じたプリント画像面から見て凹状で円形の窪み点のつながりで表現されている。しかしながら、プリント画像「dog.」のピリオドと、変形パターンの窪み点が、ほぼ一致した位置にあるため、ピリオドが消失したかのように見えてしまっている。この部分を横から見た断面図を図7に示す。図7に示すように、用紙Pに対して窪み点を付与した後、用紙Pにトナーを定着させる場合、窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることができず、感光体6上のトナー像を狙いの位置に転写することができないことがある。このようにトナーを用いたプリント画像と変形パターンとが重なる場合には、感光体6上のトナー像を狙いの位置に転写することができない場合が生じ、プリント画像に画質劣化を生じることになる。
【0057】
そこで、本実施の形態のプリンタ装置Aにおいては、凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力と、プリンタエンジンBにおける画像形成条件(光書込み装置8の露光量、転写チャージャ10の転写電圧)とを制御することにより、上述したような問題を解決するものである。
【0058】
次に、ROM31内に格納されている凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力を制御するためのプログラム、及びプリンタエンジンBにおける画像形成条件(光書込み装置8の露光量、転写チャージャ10の転写電圧)の最適化のためのプログラムがCPU33に実行させる本実施の形態のプリンタ装置Aが備える特長的な機能について図8のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0059】
CPU33は、操作パネル37におけるユーザ操作によりプリント画像のみを付与するモードAが選択されたと判断した場合には(ステップS1のY、ステップS2のN:選択手段)、プリンタエンジンBの光書込み装置8の露光量と、転写チャージャ10の転写電圧とのいずれも通常値に設定して(ステップS4、ステップS5:制御手段)、処理を終了する。
【0060】
また、CPU33は、操作パネル37におけるユーザ操作により変形パターンのみを付与するモードCが選択されたと判断した場合には(ステップS1のN、ステップS3のY:選択手段)、凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力を通常値に設定して(ステップS6:制御手段)、処理を終了する。
【0061】
一方、CPU33は、操作パネル37におけるユーザ操作によりプリント画像と変形パターンとの両方を付与するモードBが選択されたと判断した場合には(ステップS1のY、ステップS2のY:選択手段)、プリンタエンジンBの光書込み装置8の露光量を“強”に設定し(ステップS7:制御手段)、プリンタエンジンBの転写チャージャ10の転写電圧を“高”に設定し(ステップS8:制御手段)、凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力を“弱”に設定して(ステップS9:制御手段)、処理を終了する。
【0062】
ここで、プリント画像と変形パターンとの両方を付与するモードBが選択された場合のプリンタエンジンB及び凸部形成装置Cの動作について説明する。この場合、CPU33は、前述のように凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力が“弱”に設定されていることから、ペン駆動用マグネット23の内部にある電磁石に印加する電圧を減少させて記録ペン21の押圧力を減少させる制御を行う。ここに、画像/パターン形成手段の機能が実行される。このように記録ペン21の押圧力を減少させるように制御することで、記録ペン21の押込み量を小さくすることができる。すなわち、記録ペン21先端のピン状部材22の押圧で用紙Pに生じる円形の窪み点の大きさが、変形パターンのみを付与するモードCの場合に比べて小さくなるので、窪み点と画像形成位置とが一致した場合に、窪み点の凹部略中央にトナーが侵入し易くなる。
【0063】
一方、CPU33は、前述のようにプリンタエンジンBの光書込み装置8の露光量が“強”に設定されていることから、光書込み装置8の内部にある発光素子に流す電流を増加させることにより、光書込み装置8の露光量を増加させる制御を行う。ここに、画像/パターン形成手段の機能が実行される。また、CPU33は、前述のようにプリンタエンジンBの転写チャージャ10の転写電圧が“高”に設定されていることから、転写チャージャ10の内部にあるチャージワイヤに印加する電圧を増加させることにより、転写チャージャ10の転写力を増加させる制御を行う。ここに、画像/パターン形成手段の機能が実行される。このように光書込み装置8の露光量を増加させるように制御することで、感光体6上に形成される現像トナー量を増やすことができ、転写チャージャ10の転写力を増加させるように制御することで、感光体6からトナーを用紙Pに転写させる力を強めることができる。すなわち、用紙P上に付着するトナー量が、プリント画像のみを付与するモードAの場合に比べて多くなるので、窪み点と画像形成位置とが一致した場合に、窪み点の凹部略中央にトナーが侵入し易くなる。
【0064】
以上のようなプリンタエンジンB及び凸部形成装置Cに対する制御により、窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることができるようになり、図7で示した転写ヌケがなくなる。
【0065】
なお、図8に示すフローチャートにおいては、
(1)プリンタエンジンBの光書込み装置8の露光量を“強”に設定
(2)プリンタエンジンBの転写チャージャ10の転写電圧を“高”に設定
(3)凸部形成装置Cにおける記録ペン21の押圧力を“弱”に設定
という三種類のパラメータ設定を行うようにしたが、これに限るものではなく、(1)(2)(3)のうち、少なくとも1つの設定でも良い。窪み点の大きさを小さくするだけでも窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることが可能になり、感光体6上に形成される現像トナー量を増やすだけでも窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることが可能になり、感光体6からトナーを用紙Pに転写させる力を強めるだけでも窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることが可能になるからである。
【0066】
また、プリンタエンジンB及び凸部形成装置Cに対して上述したような制御を行ったとしても、図9に示すように、プリント画像と変形パターンとが重なる部分では、重ならない部分に比べ、トナーの付着面積が若干小さくなってしまう現象が発生する。そこで、重ならない部分に対し、重なる部分では、(1)の設定を更に強く、または(2)の設定を更に高くするようにすれば、トナーの付着面積を均一化でき、さらに好ましい。
【0067】
このように本実施の形態によれば、凸部形成装置Cによる変形パターンの形成とプリンタエンジンBによる可視画像の形成とを一の用紙Pに対して行う場合、凸部形成装置Cにより変形パターンが形成された用紙Pに対してプリンタエンジンBによる可視画像を形成する。この場合、凸部形成装置Cによる変形パターンの形成とプリンタエンジンBによる可視画像の形成とのいずれか一方のみを用紙Pに対して行う場合に比べて、プリンタエンジンBにおける光書き込みの露光量を増加させる制御とプリンタエンジンBにおける転写力を増加させる制御と凸部形成装置Cにおける押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する。これにより、凸部形成装置Cにおける押圧力を減少させる制御を実行した場合には、凸部形成装置Cの押圧で用紙Pに生じる窪み点の大きさを変形パターンのみを付与する場合に比べて小さくすることができ、プリンタエンジンBにおける光書き込みの露光量を増加させる制御を実行した場合やプリンタエンジンBにおける転写力を増加させる制御を実行した場合には、用紙P上に付着するトナー量を可視画像のみを形成する場合に比べて多くすることができるので、窪み点の凹部略中央までトナーを引き寄せることができるようになり、凸部形成装置Cにより変形パターンが形成した後にプリンタエンジンBにより可視画像を形成した際の転写ヌケを防止することができる。すなわち、凸部形成装置Cの押圧力とプリンタエンジンBにおける画像形成条件との少なくとも一方を制御して可視画像の画像品質への影響を低減しつつ、可視画像が形成される用紙Pに対する別情報の重畳を押圧による局所的な変形付与とすることにより、同一の用紙Pに対する可視画像と別情報との重畳を低コストかつ高品質で実現することができ、その重畳情報を簡便に読み出すことができる。
【0068】
なお、本実施の形態の画像形成装置であるプリンタ装置Aで実行されるプログラムは、ROM31等に予め組み込まれて提供されるものとしたが、これに限るものではなく、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0069】
さらに、本実施の形態の画像形成装置であるプリンタ装置Aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置であるプリンタ装置Aで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるプリンタ装置の構成例を概略的に示す縦断正面図である。
【図2】凸部形成装置を概略的に示す斜視図である。
【図3】プリンタ装置の制御系の概略構成例を示すブロック図である。
【図4−1】凸部形成装置により用紙に付与される変形パターン(点字)を例示的に示す平面図である。
【図4−2】凸部形成装置により用紙に付与される変形パターン(通常の数字)を例示的に示す平面図である。
【図4−3】凸部形成装置により用紙に付与される変形パターン(丸型の図形)を例示的に示す平面図である。
【図5】プリンタ装置による用紙への画像形成例を示す平面図である。
【図6】図5に示した画像形成例の一部を拡大して示す平面図である。
【図7】画質劣化を生じている部分を横から見た様子を示す断面図である。
【図8】転写ヌケ防止処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】プリント画像と変形パターンとが重なる部分では、重ならない部分に比べ、トナーの付着面積が若干小さくなってしまう現象を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 記録媒体
A 画像形成装置
B 画像形成手段
C 凸部形成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧による変形パターンを記録媒体に形成する凸部形成手段と、
前記凸部形成手段の媒体搬送方向下流に設けられ、前記記録媒体に色材を付着させて可視画像を形成する画像形成手段と、
前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う場合に、前記画像形成手段において画像形成するための色材を、前記変形パターンの窪み点の凹部中央に引き寄せるように、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する制御手段と、
前記制御手段の制御に応じて、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う画像/パターン形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変形パターンと前記可視画像との少なくともいずれか一方の形成を行なう処理モードをユーザに選択させる選択手段を更に有し、
前記制御手段は、前記選択手段により選択された処理モードに応じて、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記凸部形成手段による変形パターンの形成と前記画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを前記記録媒体に対して行う場合に比べて、前記画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と前記画像形成手段における転写力を増加させる制御と前記凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凸部形成手段により前記記録媒体に形成される変形パターンは、点字、文字または図形である、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凸部形成手段による前記記録媒体に対する押圧面と、前記画像形成手段による前記記録媒体に対する可視画像の形成面とは、前記記録媒体の同一面である、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の画像形成装置。
【請求項6】
押圧による変形パターンを記録媒体に形成する凸部形成手段と、前記凸部形成手段の媒体搬送方向下流に設けられて前記記録媒体に色材を付着させて可視画像を形成する画像形成手段と、を備える画像形成装置を制御するコンピュータに読取可能なプログラムであって、
前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う場合に、前記画像形成手段において画像形成するための色材を、前記変形パターンの窪み点の凹部中央に引き寄せるように、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する制御機能と、
前記制御機能の制御に応じて、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う画像/パターン形成機能と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記変形パターンと前記可視画像との少なくともいずれか一方の形成を行なう処理モードをユーザに選択させる選択機能を更に前記コンピュータに実行させ、
前記制御機能は、前記選択機能により選択された処理モードに応じて、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する、
ことを特徴とする請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記制御機能は、前記凸部形成手段による変形パターンの形成と前記画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを前記記録媒体に対して行う場合に比べて、前記画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と前記画像形成手段における転写力を増加させる制御と前記凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する、
ことを特徴とする請求項6または7記載のプログラム。
【請求項9】
凸部形成手段の押圧による変形パターンの形成と前記凸部形成手段の媒体搬送方向下流に設けられた画像形成手段の色材の付着による可視画像の形成とを記録媒体に対して行う場合に、前記画像形成手段において画像形成するための色材を、前記変形パターンの窪み点の凹部中央に引き寄せるように、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する制御工程と、
前記制御工程の制御に応じて、前記変形パターンの形成と前記可視画像の形成とを前記記録媒体に対して行う画像/パターン形成工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記変形パターンと前記可視画像との少なくともいずれか一方の形成を行なう処理モードをユーザに選択させる選択工程を更に含み、
前記制御工程は、前記選択工程により選択された処理モードに応じて、前記凸部形成手段の押圧力と前記画像形成手段の画像形成条件とを制御する、
ことを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記制御工程は、前記凸部形成手段による変形パターンの形成と前記画像形成手段による可視画像の形成とのいずれか一方のみを前記記録媒体に対して行う場合に比べて、前記画像形成手段における光書き込みの露光量を増加させる制御と前記画像形成手段における転写力を増加させる制御と前記凸部形成手段における押圧力を減少させる制御との少なくともいずれか一つを実行する、
ことを特徴とする請求項9または10記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記凸部形成手段により前記記録媒体に形成される変形パターンは、点字、文字または図形である、
ことを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記凸部形成手段による前記記録媒体に対する押圧面と、前記画像形成手段による前記記録媒体に対する可視画像の形成面とは、前記記録媒体の同一面である、
ことを特徴とする請求項9ないし12のいずれか一記載の画像形成方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−198893(P2006−198893A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12977(P2005−12977)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】