説明

画像形成装置およびその制御方法

【課題】簡易な構成で、顔料インクにより形成された画像において発生する光沢ムラを抑制する。
【解決手段】画像処理装置102は、顔料インクによるマルチパス印字を行うプリンタ104に対し、記録ヘッド1044の走査毎のノズルデータを送出する。このとき、記録画像の光沢度は画像形成時のパス数が多いほど低くなるため、入力信号値判定部1024において入力画像データの明度を判定する。そして、該明度が所定の中間明度域内にあれば全パス印字を行い、該中間明度域外にあれば全パスよりも少ないパス数による限定パス印字を行うように、実質的なパス数を制御する。これにより、相対的に光沢度の高い中間明度領域では光沢度が低減され、相対的に光沢度の低い高/低明度領域では光沢度が高まるため、画像全体における光沢差を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料の色材によって形成された画像において光沢ムラを抑制する画像形成装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の記録素子を備えた記録ヘッドを用いて記録媒体に記録を行う装置の一例として、複数のインクの吐出口を備えた記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置が知られている。従来、インクジェット記録装置に用いられるインクは、水に溶解しやすい染料を色材として用いた染料インクが広く適用されてきた。染料インクは水を主成分としており、溶媒中に溶解した色材が記録媒体表面の繊維質の内部に浸透しやすい。従って、画像の記録後も記録媒体の表面形状が維持されやすいため、記録画像の光沢は記録媒体自体の光沢が維持される。つまり、光沢に優れた記録媒体に染料インクで記録を行えば、光沢に優れた記録画像を得ることが可能である。従って、染料インクを用いたインクジェット記録装置では、記録媒体自体の光沢を向上させることにより、画像への光沢付与が実現可能であった。
【0003】
一方、印刷物の耐光性や耐水性の向上への要求が高まっている。上述した染料インクは一般に耐光性が低いことが知られており、色材の染料分子が光により分解しやすいため、記録された画像の色が褪色してしまう。また、染料インクで印刷した印刷物は、一般に耐水性が悪いことが知られており、水に濡れると繊維質に浸透した染料分子が水に溶解するため、記録画像において滲みが発生しやすい。
【0004】
染料インクで発生する耐光性や耐水性の問題を解決するために、近年では、色材に顔料を用いた顔料インクの開発が進められている。顔料インクは分子として存在する染料と異なり、数10ナノメートルから数ミクロンの大きさの粒子として溶剤中に存在しているため、顔料インクを用いて記録を行うと記録媒体内部に浸透しにくく、記録媒体表面に顔料インクが堆積する。堆積した顔料インクにより記録媒体上の画像表面に微細な形状で凹凸が生じると、入射光が乱反射されて反射率が低下する。
【0005】
また、再現される記録画像の濃度や色に応じて、インクの打ち込み量は異なる。インクの打ち込み量が異なることでインクが記録媒体を被覆する面積が異なり、インクと記録媒体とでは反射率が異なるため、インクが記録媒体を被覆する面積の違いで光沢の違いが発生する。
【0006】
上述した理由により、顔料インクを用いて記録を行うと、再現される記録画像の濃度や色によって光沢感が異なる、光沢ムラと呼ばれる現象が発生する。光沢ムラが発生すると、同一の記録画像内においてぎらつく領域やマットな領域が混在するため、特に写真画像の印刷を行う場合、画像不良として認識されやすい。なお、光沢ムラは顔料インクを用いたインクジェット記録装置に限定された問題ではなく、トナーを記録媒体上に定着させて記録を行う、電子写真方式の記録装置でも同様の問題が発生する。
【0007】
上述した問題を解決するための方法として、顔料インクを用いて画像の記録を行う装置において、有色のインクで被覆されていない領域に無色透明インク、あるいは、白色インクを用いて記録を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、顔料インクを用いて画像の記録を行う装置において、有色のインクで被覆されていない領域に、無彩色のインク(黒色インクより淡い淡灰色インク)を用いて記録を行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
また、一旦記録が行われた記録画像に対し、表面を熱可塑性樹脂等で被覆(ラミネート)することで、全面均一な光沢を実現する方法や、全面に無数の微細な凹凸を付与して全面均一な光沢を実現する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−307755号公報
【特許文献2】特開2005−96194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したような光沢ムラを抑制する方法には、以下のような問題があった。
【0012】
例えば、上述した無色透明インクを用いることにより光沢ムラを低減させる方法では、色再現に不要なインクを記録装置に搭載する必要があり、記録装置が大型化、高価格化してしまう。また、白色インク、淡灰色インク等による解決策でも同様に、インク数が増加してしまうため記録装置の大型化、高価格化が避けられない。
【0013】
また、有色のインクで被覆されていない領域に、淡灰色インクを用いて記録を行う方法では、入力信号値が(R,G,B)=(255,255,255)で従来インクを打たない領域にもインクを打つことになる。したがって、明るい領域(ハイライト)の明度低下を引き起こし、色再現領域が縮小してしまうという問題もある。
【0014】
また、一旦記録が行われた記録画像に対してラミネート、あるいは、微細な凹凸付与を行う方法では、記録を行った後に専用の後処理工程を必要とするため、記録装置本体とは別の後処理装置を備えなくてはならない。後処理装置を記録装置と一体型にすることも可能だが、この場合も装置の大型化、高価格化が課題となる。
【0015】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、顔料の色材によって形成された画像における光沢ムラを抑制する画像形成装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための一手段として、本発明の画像形成装置は以下の構成を備える。
【0017】
すなわち、複数の記録素子を備えた記録ヘッドが記録媒体上の同一領域に対して複数回の主走査を行うことによって画像を形成する画像形成装置であって、多値の画像データを入力する画像データ入力手段と、前記画像データの明度に応じて、前記記録媒体上で該画像データに対応する領域を形成するための主走査の回数であるパス数を設定するパス数設定手段と、前記記録ヘッドの主走査ごとに、前記記録素子ごとの記録データを前記パス数に応じて設定する記録データ設定手段と、前記記録データ設定手段で設定された記録データに対し、N値化処理(Nは2以上の整数)を施して形成対象となるドットパターンを作成するN値化手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記構成からなる本発明によれば、簡易な構成で、顔料の色材によって形成された画像における光沢ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る一実施形態における画像形成システムの構成を示すブロック図、
【図2】本実施形態のプリンタにおける記録ヘッドの構成例を示す図、
【図3】本実施形態におけるマルチパスによる画像形成処理を示すフローチャート、
【図4】本実施形態におけるパス数制御の概要を示す図、
【図5】本実施形態における入力信号値判定処理を示すフローチャート、
【図6】本実施形態におけるパス数制御用閾値の設定処理を示すフローチャート、
【図7】本実施形態におけるパス数制御用の閾値の設定方法を示す概念図、
【図8】本実施形態の色分解処理部における入出力データの詳細を示す図、
【図9】本実施形態における色分解データ切り出し座標の設定例を示す図、
【図10】本実施形態における記録データの設定方法の概要を示す図、
【図11】本実施形態における記録データの設定方法の概要を示す図、
【図12】本実施形態におけるハーフトーン処理を示すフローチャート、
【図13】本実施形態におけるハーフトーン処理部の詳細構成を示すブロック図、
【図14】本実施形態における誤差拡散係数の一例を示す図、である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0021】
<第1実施形態>
●システム構成
図1は、本発明が適用される画像形成システムの構成を示す図である。画像処理装置102とプリンタ104は、プリンタインタフェース又はネットワークインタフェースによって接続されている。図1において、101は画像データ入力を行う入力端子であり、1021は入力画像データを格納する入力画像バッファである。1022は入力されたカラー画像をプリンタのインク色へ色分解する色分解処理部であり、色分解処理に際しては色分解用のルックアップテーブル(以下、色分解LUT)1023を参照する。1024は、入力画像バッファ1021に格納されている画像の各画素について、それぞれの信号値と所定の閾値との大小関係を判定する入力信号値判定部である。後述するプリンタ104においては、記録ヘッド1044が記録媒体上の同一領域について複数回の主走査を行う、いわゆるマルチパス方式によって画像を形成する。以下、この主走査の回数を、パス数と称する。本実施形態では、所定の固定パス数によるマルチパス印字を行うが、実質的に有効とするパス数が、入力信号値判定部1024での判定結果に基づいて設定される。なお、本実施形態におけるマルチパス印字として、4パス固定によるマルチパス印字を行うものとして、以下説明する。
【0022】
さらに1025は、入力信号値判定部1024での判定結果を参照して、マルチパスにおける各パスの出力データ値を設定する記録データ設定部である。1027は、記録データ設定部1025で設定された各パスの出力データ値を格納する記録データ格納メモリである。そして、1028は、多階調の画像データを2値に変換するハーフトーン(HT)処理部、1029はHT処理後の2値画像データを格納するHT画像格納メモリ、103は一連の処理によって形成された画像データをプリンタ104へ出力する出力端子である。
【0023】
プリンタ104は、記録ヘッド1044を、記録媒体1047の搬送方向である副走査方向と、副走査方向に対して垂直な主走査方向に移動させることにより、記録媒体1047上に画像を形成する。本実施形態のプリンタ104は、記録ヘッド1044が記録媒体上の同一領域を複数回走査(スキャン)する、いわゆるマルチパス方式によって画像を形成する。また、記録ヘッド1044からは顔料インクが吐出され、光沢感のある画像の形成を可能とする。なお、記録ヘッド1044としては、ワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式等のヘッドを用いることが可能であり、いずれも一つ以上の画素形成手段(ノズル等)から構成される。
【0024】
1045は、記録ヘッド1044を移動するための移動部であり、ヘッド制御部1043によって制御されている。1046は記録媒体1047を搬送する搬送部である。さらに、インク色及び吐出量選択部1042は、画像処理装置102からの画像データの出力値に応じて、記録ヘッド1044に搭載されるインク色から適切なインク色を選択し、さらに、その吐出量を選択する。
【0025】
図2は、記録ヘッド1044の構成例を示す図である。本実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に加え、シアン,マゼンタと比べて相対的にインク濃度が低い淡シアン(Lc)、淡マゼンタ(Lm)を含めた6色の顔料インクを、記録ヘッド1044に搭載している。同図に示すように記録ヘッド1044は、各色ごとに複数の記録素子(ノズル)を備えている。
【0026】
なお、図2においては、説明を簡単にするため用紙搬送方向に各色のノズルが一列に配置された構成を示しているが、ノズルの数、配置はこの例に限られるものではなく、マルチパス印字を実行可能とする構成であれば良い。例えば、同一色でも吐出量が異なるノズル列を有しても良いし、同一吐出量ノズルが複数列あっても良いし、ノズルがジグザグに配置されているような構成であっても良い。また、図2ではインク色の配置順序はヘッド移動方向に一列となっているが、用紙搬送方向に一列に配置する構成であっても良い。
【0027】
●画像形成処理
次に、上述した機能構成を備えた本実施形態の画像形成システムにおける、マルチパスによる画像形成処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。以下、本実施形態では4パスによるマルチパス印字を行うものとして説明する。
【0028】
まずS301で、多階調のカラー入力画像データが入力端子101より入力され、入力画像バッファ1021に格納される。ここで入力画像データは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3つの色成分によりカラー画像データを構築している。
【0029】
次にS302で入力信号値判定部1024において、入力画像バッファ1021に格納された画像データの各画素について、予め設定された閾値との大小判定を行う。この判定結果はすなわち有効とするパス数を示し、後段の記録データ設定部1025において各パスの出力データ値を設定するための情報として用いられる。本実施形態では、詳細は後述するが、記録画像の光沢度は画像形成時のパス数が多いほど低くなり、少ないほど高くなるという一般的な傾向に基づき、入力信号値の範囲によって記録パス数を制御することを特徴とする。すなわち、相対的に光沢度の高い中間明度域では全パス記録を行うようにし、相対的に光沢度の低い高/低明度領域では実質的な記録パス数を減らすことによって、画像全体における光沢差を抑制する。なお、この入力信号値判定処理の詳細については後述する。
【0030】
次にS303で色分解処理部1022において、入力画像バッファ1021に格納された多階調のカラー入力画像データに対し、色分解LUT1023を用いて、RGBからCMYK及びLcLmのインク色プレーンへの色分解処理を行う(S102)。このように作成された色分解後データがすなわち、記録ヘッド1044における各色の記録量に相当する。なお、本実施形態では色分解処理後の各画素データを8ビットとして扱うが、それ以上の階調数への変換を行っても構わない。なお、この色分解処理の詳細については後述する。
【0031】
以下、上述したように作成された色分解後データについて、S304〜S310の処理を行う。
【0032】
まずS304で記録データ設定部1025において、走査番号k及び色分解データ切り出し位置としてのY座標を示すYcut(k)を設定する。Ycut(k)はすなわち、走査番号kにおける色分解データ切り出し位置であり、形成画像に対するノズル上端座標に相当する。なお、この走査番号kおよび色分解データ切り出し位置Ycut(k)の設定処理の詳細については後述する。
【0033】
次にS305で記録データ設定部1025において、入力信号値判定部1024での判定結果と色分解後の各色プレーンの画像データに基づき、走査毎に、各ノズル毎の記録量を示す記録データ値を設定する。なお、この記録データ設定処理の詳細については後述する。S305で設定した記録データは、S306で記録データ格納メモリ1027に格納される。
【0034】
次にS307でHT処理部1028において、記録データ格納メモリ1027に格納された記録データについて、より少ない階調数への変換を行うハーフトーン処理を実施する。ここでは、入力画像の各画素データの階調数を8ビット(256値)とし、これをハーフトーン処理によって1ビット(2値)に変換する。なお、本実施形態におけるハーフトーン処理は、多値の入力画像データを周知の誤差拡散法によって2値画像に変換するものである。本実施形態におけるハーフトーン処理の詳細については後述する。
【0035】
そしてS308で、ハーフトーン処理後の2値画像データが、形成対象のドットパターンとしてHT画像格納メモリ1029に格納される。本実施形態のハーフトーン処理においては、記録データ格納メモリ1027に格納された(ノズル数)×(画像Xサイズ)の記録データに対し、順次2値画像データを生成していく。したがってHT画像格納バッファ1029も同様に、(ノズル数)×(画像Xサイズ)のバンドデータ分のメモリ空間が確保されている。
【0036】
以上により、走査番号k=1でのハーフトーン処理が終了し、その結果、一回のヘッド動作で形成される2値画像が、HT画像格納メモリ1029に格納されることになる。
【0037】
次にS309で、HT画像格納メモリ1029に蓄えられた、(ノズル数)×(画像Xサイズ)のバンドデータが、出力端子103より出力される。
【0038】
次に処理はプリンタ104側に移る。まずS310においてプリンタ104は、画像処理装置102から受けた画像データをHT画像格納メモリ1041に格納し、インク色および吐出量選択部1042で該画像データに適合するインク色及び吐出量を選択することで、画像形成が開始される。プリンタ104における画像形成は、記録ヘッド1044が記録媒体に対して左から右に移動しながら、一定の駆動間隔で各ノズルを駆動して記録媒体上に画像を記録することにより行われる。
【0039】
そしてS311において、全ての走査が終了したか否かの判定を行う。終了した場合には、多階調のカラー入力画像データに対する一連の画像形成処理が完了し、終了していない場合にはステップS304に戻って次の走査に関する処理を開始する。
【0040】
●入力信号値判定処理(S302)
以下、上記S302における、入力信号値判定部1024での入力信号値判定処理について詳細に説明する。
【0041】
一般に、ある一定のインク量で記録を行う際に、多くのパスに分割して記録を行うと記録画像の光沢度は相対的に低くなり、少ないパス数で記録を行うと光沢度は相対的に高くなる傾向がある。これは、多くのパスに分割した記録では、記録媒体上で隣接するインクドットが時間差を空けて記録されるため、隣接するドット同士の融合が、少ないパスによる記録時と比べて少なくなり、形成されるドットの表面形状に凹凸が生じるためである。したがって、多くのパスに分割した記録では、少ないパスによる記録と比べて光沢度が低くなる。
【0042】
そこで本実施形態では、記録画像の領域ごとに光沢感が異なる、いわゆる光沢ムラの現象を低減させるために、マルチパス印字における全パス(第1のパス数、本実施形態では4パス)のうち、実質的に有効とするパス数を入力信号値に応じて決定する。ここで図4に、本実施形態におけるパス数制御の概要を示す。同図によればすなわち、相対的に光沢度の高い中間明度域では全パス数(第1のパス数)による記録を行う。一方、相対的に光沢度の低い高明度域と低明度域では、全パス数(第1のパス数)よりも少ない限定パス数(第2のパス数、本実施形態では2パス)による記録を行う。これにより、各領域間における光沢差を抑制することができる。
【0043】
ここで図5に、S302における入力信号値判定処理のフローチャートを示す。まずS1501において、現在処理中の画素の明度を低明度領域判定用の閾値Th1と比較する。画素の明度がTh1以上であればS1502に進み、今度は高明度領域判定用の閾値Th2と比較し、Th2以下であれば、当該画素は中間明度域内であるとしてS1503で全パス印字設定を行う。一方、S1501で画素の明度がTh1未満である、またはS1502で画素の明度がTh2よりも大きい場合には、当該画素は中間明度域外、すなわち低明度領域または高明度領域に相当するとして、S1504で限定パス印字設定を行う。S1503およびS1504における印字設定が、入力信号値判定部1024における判定結果として記録データ設定部1025に送られる。そしてS1505で、形成対象となる画像データにおける全画素についての判定処理を行ったか否かを判定し、全画素終了していれば入力信号判定処理を終了し、未処理の画素があればS1501に戻って次の画素の処理を開始する。
【0044】
ここで、上記閾値Th1およびTh2の設定方法について、図6のフローチャートおよび図7の概念図を用いて説明する。
【0045】
まずS1601において、所定の複数の明度となるよう調整した色票(パッチ)を、所定の記録媒体に対して2回のパス(2パス)で印字し、該2パス印字パッチのそれぞれの光沢度L2iを測定する。なお、ここで用いられるパッチとしては、所定の明度に調整したパッチに限定されず、所定の入力信号値あるいは所定の記録インク量に応じて定めたパッチであっても良い。図7に示す701が、2パス印字パッチの光沢度L2iである。次にS1602において、S1601と同様のパッチを4回のパス(4パス)で印字し、4パス印字パッチのそれぞれの光沢度L4i(702)を測定する。そしてS1603において、2パス印字パッチの平均光沢度、および4パス印字パッチの平均光沢度を算出し、さらにその平均である全平均光沢度Laveを算出する。
【0046】
次にS1604において、明度iのパッチについて、2パス印字の光沢度L2iと4パス印字の光沢度L4iのいずれが、全平均光沢度Laveとの差が小さいかを判定する。すなわち、L2iとLaveの差の絶対値と、L4とLaveの差の絶対値とを比較し、前者の方が小さければS1605で当該明度iを2パス記録領域に設定(2パス設定)し、そうでなければS1606で4パス記録領域に設定(4パス設定)する。以上の処理を、S1607でパッチの全明度分が終了するまで行う。これにより、各明度における有効パス数が設定される。
【0047】
以上のように、各明度(入力信号値)に対して有効パス数を設定していくと、2パス設定から4パス設定に切り替わる明度、および4パス設定から2パス設定に切り替わる明度が取得される。この切り替わり点となる明度が、低明度領域判定用の閾値Th1,高明度領域判定用の閾値Th2として、S1608で決定される。すなわち、Th1より低い明度では2パス印字の方が4パス印字よりも全平均光沢度との差が小さいが、Th1とTh2の間の明度では4パス印字の方が2パス印字よりも全平均光沢度との差が小さくなる。また、Th2より高い明度では再び、2パス印字の方が4パス印字よりも全平均光沢度との差が小さくなる。したがって、図4に示すように、Th1より低い明度では2パス印字を行い、Th1とTh2の間の明度では4パス印字を行い、Th2より高い明度では2パス印字を行うように、明度ごとのパス数が決定される。
【0048】
なお、ここでは2パス印字と4パス印字の2種類を切り替える例を挙げたが、本発明はもちろんこの限りではなく、n(n≧2)パスの場合において同一の議論が成り立つことは言うまでもない。また、ここでは閾値としてTh1,Th2を定める例を示したが、各明度におけるパス数設定を記載した記録パス数テーブルを予め作成しておき、該テーブルを参照して記録パス数を決定することも可能である。
【0049】
以上のようにS302においては、入力画像バッファ1021に格納された画像データの各画素について、上記のように設定された閾値との大小関係に基づいて対応する有効パス数を判定し、該判定結果を記録データ設定部1025に渡す。
【0050】
●色分解処理(S303)
以下、上記S303における色分解処理の詳細について、図8を用いて説明する。図8は、色分解処理部1022における入出力データの詳細を示している。同図に示すように入力された画像データR'G'B'は、色分解LUT1023を参照して次式の通りに、CMYKLcLmデータへ変換される。
【0051】
C=C_LUT_3D(R',G',B') ・・・(1)
M=M_LUT_3D(R',G',B') ・・・(2)
Y=Y_LUT_3D(R',G',B') ・・・(3)
K=K_LUT_3D(R',G',B') ・・・(4)
Lc=Lc_LUT_3D(R',G',B') ・・・(5)
Lm=Lm_LUT_3D(R',G',B') ・・・(6)
ここで、式(1)〜(6)の右辺に定義される各関数が、色分解LUT1023の内容に該当する。色分解LUT1023はレッド、グリーン、ブルーの3入力値から、各インク色への出力値を定める。本実施形態では、CMYKLcLmの6色を具備する構成であるため、3入力値から6出力値を得るLUT構成となる。
【0052】
以上の処理により、本実施形態における色分解処理が完了する。
【0053】
●走査番号および色分解データ切り出し位置設定処理(S304)
以下、上記S304における、記録データ設定部1025での走査番号kおよび色分解データ切り出し位置Ycut(k)の設定処理について、詳細に説明する。以下、記録ヘッド1044が8個のノズルを一列に配置し、画像上の同一主走査記録領域に対して4回のスキャンで画像を形成させる4パス印字の場合を例として説明する。なお、ここでは簡単のため、走査番号kにおける走査後の紙送り量LF(k)が一定であるとして説明するが、実際には一定でなくても構わない。また、走査番号kの初期値は1であり、処理ループ毎にインクリメントされる。
【0054】
一般に4パス印字の場合、図9に示すように、走査番号k=1において、ノズル501の下端1/4(ノズル番号n7,n8)のみを使用して画像形成を行う。続いて、走査番号k=2では、走査番号k=1に対してノズル長の1/4分を紙送りした後(すなわちLF(1)=2)、ノズル501の下端1/2(ノズル番号n5,n6,n7,n8)を使用して画像形成を行う。さらに走査番号k=3では、走査番号k=2に対してノズル長の1/4分を紙送りした後(すなわちLF(2)=2)、ノズルの下端3/4(ノズル番号n3,n4,n5,n6,n7,n8)を使用して画像形成を行う。以上のような画像形成および紙送りを繰り返して、最終出力画像502が形成され、走査番号k=1における、ノズル上端座標に相当する色分解データ切り出し位置はYcut(1)=−6となる。
【0055】
ここで、紙送り量LF(k)が一定の場合、上記Ycutを一般化すると、ノズル列数をNzzl、印字パス数をPassとした場合、走査番号kにおけるYcut(k)は次式で与えられる。
【0056】
Ycut(k)=−Nzzl+(Nzzl/Pass)×k ・・・(7)
本実施形態では、以上のように走査番号とパス数に応じて設定されるYcut(k)を、予め記録データ設定部1025内に保持しておく。
【0057】
●記録データ設定処理(S305)
以下、上記S305における、記録データ設定部1025での記録データの設定方法について、図10を用いて説明する。なお、本実施形態では簡単のため紙送り量LFが一定である場合の例を示す。
【0058】
図10に示すように、記録ヘッド1044における各ノズルに対し、入力データを分割する割合を示す記録データ分割率802が、走査ごとに予め与えられている。802において横軸は、入力データを1としたときに、0から1の値をとる実数値で設定される記録データ分割率である。また縦軸は、画像の紙送り方向であるY軸方向における位置を示すアドレスを表す。なお、マルチパス印字における各ノズルに対する記録データ分割率の設定については、周知の方法が適用可能であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、上述した入力信号値判定部1024からの判定結果(有効パス設定)に応じて、記録データ分割率802を制御する。本実施形態における記録データ分割率の制御を説明するに先立ち、一般的な記録データ分割率802に基づく記録データ設定処理について説明する。
【0060】
各ノズルの記録データ803は、色分解後データ801と記録データ分割率802との積で設定される。ただし、図11に示すように対応するノズルが画像のYアドレスの領域外座標になるときは、記録データを0とする。例えば、走査番号k=1では、図11に示すように、画像Yアドレスが負になるノズル列(上端3/4)には記録データ値=0が代入され、画像Yアドレスが正になるノズル列(下端1/4)には有意な値が代入される。
【0061】
なお、色分解データ切り出し位置Ycut(k)は走査番号kによって決まるため、走査番号k=1〜7の場合、記録データは図11に示すように決定される。図11においては、走査番号ごとのノズル位置に対する記録データが示されており、走査番号ごとに記録データが異なっていることが分かる。図11における各記録データは、色分解後データと、記録データ分割率の積により定まる。したがって、紙送りしながら記録データ分割率との積をとると、図11において領域1の部分では、走査番号k=1〜4の4回の走査(4パス)で形成される記録データ(1ラスタ)の合計値が色分解データと同じになる。同様に領域2、3、4においても、1ラスタの合計値が色分解データと同じになる。すなわち、ある領域を形成する4回の走査のそれぞれに設定された記録データ分割率の合計は1となり、記録媒体上の同一領域に対するノズルごとの記録データの合計が、色分解後データと等しくなる。
【0062】
上述したような記録データ設定処理は、下式のように表される。なお、C(X,Y)、Lc(X,Y)、M(X,Y)、Lm(X,Y)、Y(X,Y)、K(X,Y)は、アドレス(X,Y)における各色の色分解データ801を示す。また、C_d(X,Y)、Lc_d(X,Y)、M_d(X,Y)、Lm_d(X,Y)、Y_d(X,Y)、K_d(X,Y)は、アドレス(X,Y)における各色の記録データ803を示す。また、記録データ分割率802は予めLUTとして、記録データ設定部1025内に保持されているものとし、S_LUT(Y)が、アドレスYにおける記録データ分割率802の値を示す。また、0≦nx<画像Xサイズ、0≦ny<Nzzl(ノズル列数:この場合8)、である。
【0063】
C_d(nx,ny)=C(nx,Ycut(k)+ny)×S_LUT(ny) ・・・(8)
Lc_d(nx,ny)=Lc(nx,Ycut(k)+ny)×S_LUT(ny) ・・・(9)
M_d(nx,ny)=M(nx,Ycut(k)+ny)×S_LUT(ny) ・・・(10)
Lm_d(nx,ny)=Lm(nx,Ycut(k)+ny)×S_LUT(ny) ・・・(11)
Y_d(nx,ny)=Y(nx,Ycut(k)+ny)×S_LUT(ny) ・・・(12)
K_d(nx,ny)=K(nx,Ycut(k)+ny)×S_LUT(ny) ・・・(13)
以上のように、マルチパス印字における各ノズルの記録データは、記録データ分割率802に基づいて設定される。
【0064】
上述したように本実施形態では、入力信号値判定部1024での判定結果(有効パス設定)に応じて、記録データ分割率802を制御する。すなわち、入力信号値判定部1024での判定結果が4パス設定を示していれば、記録データ分割率802に対して何ら制御を行わない。しかしながら判定結果が2パス設定を示している場合には、4パス分に分割されている記録データ分割率を、該4パスのうちのいずれか2パスに振り分け、他の2パスへの分割率を0とする。すなわち、同一領域に対する記録データ分割率が、2パス分のみで合計1となるように制御する。この制御は、もちろん、2パス設定と判定された画素についてのみ行い、同一走査において4パス設定と判定された画素の処理に到達した時点で、記録データ分割率を元に戻す。これにより、2パス設定と判定された画素領域については、記録ヘッド1044は4回の走査を行うものの、実際の画像形成はそのうちの2回(2パス)によって行われる。
【0065】
以上のようにS305においては、設定された有効パス数に応じて各ノズルの記録データを設定する。
【0066】
●ハーフトーン処理(S307)
以下、上記S307における、HT処理部1028でのハーフトーン処理について、図12および図13を用いて詳細に説明する。ここでは説明を簡略化するため、4パス印字、走査番号k=1におけるシアンのハーフトーン処理を例として説明する。図13は、HT処理部1028の詳細構成を示すブロック図であり、図12はHT処理部1028におけるハーフトーン処理の詳細を示すフローチャートである。
【0067】
まず図12に示すS201において、シアンの記録データをHT処理部1028に入力する。次にS202において、誤差拡散処理用に累積誤差を加算する。以下、累積誤差の加算処理について詳細に説明する。
【0068】
本実施形態においては、誤差拡散処理のための誤差拡散係数として、図14に示すようにK1〜K4の4つの係数を持つとする。例えば、K1=7/16、K2=3/16、K3=5/16、K4=1/16とする。ただし、拡散係数は上記のように固定とする必要はなく、階調に応じて変更させても良いし、上記4係数に限らずさらに多くの係数を持たせても良い。
【0069】
このような誤差拡散係数により誤差を拡散、累積するために、HT処理部1028では累積誤差ラインバッファを4組確保し(2092〜2095)、使用する累積誤差ラインバッファを走査番号ごとに切り替える。累積誤差ラインバッファ2902は、1個の記憶領域E1_0と、入力画像の横画素数Wと同数の記憶領域E1_(x)(x=1〜W)とを有し、2903、2904、2905も同様の記憶領域を有する。また、各累積誤差ラインバッファ2902、2903、2904、2905はそれぞれ、走査番号k=1、2、3、4の処理開始時のみ、全て初期値0で初期化されている。本実施形態では、1色のハーフトーン処理について、上述した4組の累積誤差ラインバッファが必要となるため、これを6色分、すなわち、合計4×6=24組のラインバッファが必要となる。
【0070】
すなわちS202では、累積誤差加算部2906で記録データに対し、その横画素位置xに対応する誤差E1_(x)が加算される。即ち、入力された注目画素の記録データをC_d、累積誤差加算後のデータをC_d'とすると、以下の式が成り立つ。
【0071】
C_d'=C_d+E1_(x) ・・・(14)
次にS203において、閾値選択部2907は閾値Tを選択する。閾値Tは、例えば以下のように設定される。
【0072】
T=128 ・・・(15)
或いは、ドット生成遅延を回避するため、平均量子化誤差が小さくなるよう、入力された注目画素の記録データC_dに応じて閾値Tを以下のように細かく変更しても良い。
【0073】
T=f(C_d) ・・・(16)
或いは、バンド内のアドレス(X,Y)に応じて閾値Tを以下のように細かく変更しても良い。
【0074】
T=f(X,Y) ・・・(17)
次にS204において、量子化部2908は、誤差加算後の画素データC_d'と閾値Tを比較し、ドットの2値化結果であるOut_cを決定する。その規則は次の通りである。
【0075】
C_d'<Tのとき、
Out_c=0 ・・・(18)
C_d'≧Tのとき、
Out_c=255 ・・・(19)
次にS205において、誤差演算部2909は、注目画素の記録データC_dに誤差を加算した画素データC_d'と、出力画素値Out_cとの差分Errを、次のように算出する。
【0076】
Err(x)=C_d'−Out_c ・・・(20)
次にS206において、誤差拡散部2910が誤差を拡散する。即ち、(4n+1)累積誤差ラインバッファ2902を用いて、横画素位置xに応じた誤差Err(x)の拡散処理が、以下のように行われる。
【0077】
E1_(x+1)←E1_(x+1)+Err(x)×7/16 (x<W)
E1_(x-1)←E1_(x-1)+Err(x)×3/16 (x>1)
E1_(x)←E1_0+Err(x)×5/16 (1<x<W)
E1_(x)←E1_0+Err(x)×8/16 (x=1)
E1_(x)←E1_0+Err(x)×13/16 (x=W)
E1_0←Err(x)×1/16 (x<W)
E1_0←0 (x=W)
・・・(21)
以上で、走査番号k=1のシアン1画素分の2値化(量子化値0,255)が完了する。
【0078】
以上説明したステップS201〜S206の処理を、バンド内の全ての画素について行う(S207)ことにより、ハーフトーン画像データを生成することができる。
【0079】
なお、以上は走査番号k=1について説明したが、走査番号k=2〜4については、それぞれのシアン累積誤差ラインバッファ403〜405を用いて上記ハーフトーン処理を行う。すなわち、走査番号k=2では(4n+2)累積誤差ラインバッファ2903を、走査番号k=3では(4n+3)累積誤差ラインバッファ2904を、走査番号k=4では(4n+4)累積誤差ラインバッファ2905を用いて、上記ハーフトーン処理を行う。そして走査番号k=5の処理では、走査番号k=1と同じ(4n+1)累積誤差ラインバッファ2902を、初期化せずに(全0を代入せずに)そのまま用いる。これは、走査番号k=1と走査番号k=5の印字領域が上下に隣接しているため、保存されている累積誤差をそのまま、隣接下の領域に適用するためである。もしも、k=5で累積誤差バッファ2902を初期化すると、k=1と隣接する境界部で誤差が保存されなくなり、ドットの連続性が保てなくなってしまう。
【0080】
なお、本実施形態におけるハーフトーン処理は上記2値化処理に限らず、多値の入力画像データに対してN値化処理(Nは2以上の整数)を施すことによって、入力階調数よりも少ない階調数を有するN値画像に変換するものであれば良い。その手法としては、上記誤差拡散法に代えて、ブルーノイズマスク系やベイヤ系のディザ法、濃度パターン法を利用しても良い。あるいは、これら複数の方法を組み合わせて利用しても良い。
【0081】
●本実施形態の効果
以上説明したように本実施形態によれば、マルチパス印字方式の顔料インクジェットプリンタにおいて、入力多値データの値に応じて、画像を形成する実質的なパス数を変更することにより、形成される画像の光沢ムラを抑制することができる。
【0082】
<その他の実施形態>
本発明は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体(記録媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、撮像装置、webアプリケーション、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0083】
また、本発明は上記実施形態と同等の処理を、コンピュータプログラムでも実現できる。この場合、図1をはじめとする構成要素の各々は関数、もしくはCPUが実行するサブルーチンで機能させれば良い。また、通常、コンピュータプログラムは、CD−ROM等のコンピュータ可読記憶媒体に格納されており、それを、コンピュータが有する読み取り装置(CD−ROMドライブ等)にセットし、システムにコピーもしくはインストールすることで実行可能になる。従って、かかるコンピュータ可読記憶媒体も本発明の範疇にあることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録素子を備えた記録ヘッドが記録媒体上の同一領域に対して複数回の主走査を行うことによって画像を形成する画像形成装置であって、
多値の画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記画像データの明度に応じて、前記記録媒体上で該画像データに対応する領域を形成するための主走査の回数であるパス数を設定するパス数設定手段と、
前記記録ヘッドの主走査ごとに、前記記録素子ごとの記録データを前記パス数に応じて設定する記録データ設定手段と、
前記記録データ設定手段で設定された記録データに対し、N値化処理(Nは2以上の整数)を施して形成対象となるドットパターンを作成するN値化手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記パス数設定手段は前記パス数として、前記画像データの明度が予め定められた中間明度域内にある場合には第1のパス数を設定し、前記画素が前記中間明度域外にある場合には前記第1のパス数よりも少ない第2のパス数を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間明度域は、複数の明度からなる色票を前記第1のパス数で形成した際に測定される光沢度と、前記色票を前記第2のパス数で設定した際に測定される光沢度に基づいて設定されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録データ設定手段は、前記パス数と、前記記録ヘッドにおける前記記録素子の位置に応じて予め定められた分割率に基づき、前記画像データに応じた記録量を分割することによって、前記記録素子ごとの記録データを設定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記分割率は前記第1のパス数に基づいて定められており、
前記記録データ設定手段は、前記パス数として前記第2のパス数が設定された場合に、前記分割率を該第2のパス数に基づくように変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記録データ設定手段は、前記記録媒体上の前記画像データに対応する領域に対する前記記録素子ごとの記録データの合計が、前記画像データに応じた記録量と等しくなるように、前記記録素子ごとの記録データを設定することを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドは、顔料インクを吐出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
複数の記録素子を備えた記録ヘッドが記録媒体上の同一領域に対して複数回の主走査を行うことによって画像を形成する画像形成装置の制御方法であって、
多値の画像データを入力する画像データ入力ステップと、
前記画像データの明度に応じて、前記記録媒体上で該画像データに対応する領域を形成するための主走査の回数であるパス数を設定するパス数設定ステップと、
前記記録ヘッドの主走査ごとに、前記記録素子ごとの記録データを前記パス数に応じて設定する記録データ設定ステップと、
前記記録データ設定ステップにおいて設定された記録データに対し、N値化処理(Nは2以上の整数)を施して形成対象となるドットパターンを作成するN値化ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
コンピュータで実行されることにより、該コンピュータを請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ可読な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−31560(P2011−31560A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181965(P2009−181965)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】