画像形成装置及び階調補正用トナー像形成方法
【課題】階調補正時間の増加や階調補正用のトナー消費を抑制しつつ、高精度の階調補正を行うことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】湿度温度センサー41は、画像形成装置100がおかれた湿度及び温度を検出する。画像形成装置100は、検出された湿度及び温度に応じて、階調補正用のトナー像の配置、及び、個数を決定する。周期ムラが生じ難い湿度及び温度の環境下では、階調補正用のトナー像の個数が1個とされ、無駄な階調補正用のトナー消費及び階調補正時間の増加が抑制される。一方、周期ムラが生じ難い湿度及び温度の環境下では、階調補正用のトナー像の個数が複数個とされ、かつ、この複数のトナー像は周期ムラが打ち消される間隔で配置され、これにより高精度の階調補正が行われる。
【解決手段】湿度温度センサー41は、画像形成装置100がおかれた湿度及び温度を検出する。画像形成装置100は、検出された湿度及び温度に応じて、階調補正用のトナー像の配置、及び、個数を決定する。周期ムラが生じ難い湿度及び温度の環境下では、階調補正用のトナー像の個数が1個とされ、無駄な階調補正用のトナー消費及び階調補正時間の増加が抑制される。一方、周期ムラが生じ難い湿度及び温度の環境下では、階調補正用のトナー像の個数が複数個とされ、かつ、この複数のトナー像は周期ムラが打ち消される間隔で配置され、これにより高精度の階調補正が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複写機や、レーザビームプリンタ、ファクシミリ、ディジタル複合機等の画像形成装置及びそれに用いられる階調補正用トナー像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、温湿度などの装置周囲の環境や、装置の経時的変化などの外乱に起因して、トナー像の画像濃度が変動することがある。そこで、画像形成装置では、一般に、画像濃度の安定化を図るために、階調補正が行われる。
【0003】
例えば、画像形成装置では、感光ドラム上にテスト用のトナー像として複数の階調からなる階調パターン像を形成し、この階調パターン像の濃度に基づいて階調補正が行われる。この階調補正は、電源投入時や、スリープ復帰時、ある所定の印刷枚数に達したとき、あるいは、外部環境が大きく変わった場合に、印字中の階調特性を補正するために行われる。
【0004】
具体的には、画像形成装置では、階調補正時に、中間転写ベルト上に階調パターン像を形成し、その各階調の濃度が濃度センサーによって検出される。そして、検出された濃度が予め設定された目標濃度と一致するように現像バイアスを調節することで(つまり階調補正を行うことで)、所望の画像濃度を得るようになっている。実際上、この階調補正は、濃度センサーによって得られた濃度検出値に基づき、それぞれの階調が所定の濃度となるように、画像データの入力階調を、制御部の階調変換テーブルにおいて補正することで行われる。
【0005】
ここで、階調パターン像の検出精度が悪いとそれに伴って階調補正の精度も悪くなるので、従来、階調パターン像の濃度を高精度で検出するために、多くの工夫がなされている。特許文献1及び2には、複数の階調パターン像を用いる技術が開示されている。また、特許文献3−8には、現像ローラや、中転転写ベルト、感光ドラムの周期で現れるムラ(周期ムラ)を打ち消すように、複数の階調パターンを、上記周期の1/2や、M/N(M、Nは互いに素な自然数)の間隔で配置する技術が開示されている。さらに、特許文献9には、湿度に応じて階調パターン像の階調数を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−171689号公報
【特許文献2】特開2008−26551号公報
【特許文献3】特開2010−134366号公報
【特許文献4】特開2007−264364号公報
【特許文献5】特開2006−47349号公報
【特許文献6】特開2007−3688号公報
【特許文献7】特開2006−343679号公報
【特許文献8】特開2010−134160号公報
【特許文献9】特開2009−198610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した従来技術では、階調補正に要する時間や、階調補正用のトナー消費に関する考察が不十分であった。
【0008】
例えば、階調パターン像の配置によっては、階調補正に要する時間が不必要に増加する。また、階調パターンの個数によっては、階調補正用のトナーが無駄に消費される。
【0009】
具体的に説明すると、周期ムラを打ち消すために、常に複数の階調パターン像を形成すると、周期ムラが小さい場合には、無駄な階調パターン像を形成することになる。この結果、トナーが無駄に消費されたり、階調補正の時間も必要以上に長くなるといった問題がある。
【0010】
一方で、階調パターン像に使われるトナー消費量を削減し、かつ、階調補正時間を短くするために、常に1個の階調パターン像だけを形成すると、次の問題が生じる。つまり、周期ムラが大きくなると、1個の階調パターン像が、周期ムラにより濃度の特に濃くなる部分あるいは濃度の特に薄くなる部分に形成されることが生じ得る。このような場合、階調パターン像の濃度検出結果が周期ムラの影響を大きく受けてしまい、濃度検出精度が悪くなる。その結果、階調補正の精度も悪くなる。
【0011】
本発明の目的は、階調補正時間の増加や階調補正用のトナー消費を抑制しつつ、高精度の階調補正を行うことができる、画像形成装置及び階調補正用トナー像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像形成装置の一つの態様は、像担持体上にトナー像を形成する画像形成ユニットと、前記画像形成ユニットにより形成された階調補正用のトナー像の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、前記濃度検出部によって得た濃度検出結果に基づいて階調補正を行う画像形成装置であって、前記画像形成ユニットは、前記画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定する。
【0013】
本発明の階調補正用トナー像形成方法の一つの態様は、画像形成装置の像担持体上に階調補正用のトナー像を形成する階調補正用トナー像形成方法であって、前記画像形成装置がおかれた環境条件を検出するステップと、検出した前記環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定して、前記像担持体上に形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、階調補正用のトナー像の配置を決定するので、階調補正時間の増加や階調補正用のトナー消費を抑制しつつ、高精度の階調補正を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図
【図2】入力される元画像と実際のプリント画像との間の濃度の関係である、階調特性を示す図
【図3】階調パターン及び階調パッチの説明に供する図
【図4】トナーセンサーによって検出した階調パターンの濃度検出値を、元画像濃度データに対応させて示した図
【図5】トナーセンサー出力値と濃度との関係を示す図
【図6】階調変換テーブル(図中の曲線L3)の様子を示す図
【図7】図7Aは、周期ムラが発生し難い環境条件における、階調パターンの配置を示す図、図7Bは、周期ムラの様子を示す図
【図8】図8Aは、周期ムラが発生し易い環境条件における、階調パターンの配置を示す図、図8Bは、周期ムラの様子を示す図
【図9】階調パターンの配置を分かり易く説明するための図であり、図9(a)は濃度の様子を示す図、図9(b)は階調パターンに含まれるある1つの階調パッチの配置を示す図
【図10】実施の形態による階調補正の処理手順を示すフローチャート
【図11】図11Aは、周期ムラが発生し難い環境条件の場合における階調パターンの配置の様子を示す図、図11Bは、周期ムラの様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[1]全体構成
図1は、実施の形態の画像形成装置100の全体構成を示す概略図である。図1に示した画像形成装置100は、タンデム方式のカラーレーザプリンタである。
【0018】
図1の画像形成装置100は、記録紙Sに未定着のトナーを付着して画像を形成する作像装置10と、トナーを溶融して記録紙Sに定着させる定着装置20と、を有する。
【0019】
作像装置10は、中間転写ベルト11と、4つの画像形成ユニット12−1〜12−4と、一次転写ローラ13と、二次転写ローラ14と、を有する。画像形成ユニット12−1〜12−4は、中間転写ベルト11に沿って配置され、トナー像を形成する。一次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して感光ドラム31に対向する位置に配置されており、各画像形成ユニット12−1〜12−4によって形成されたトナー像を中間転写ベルト11上に転写する。二次転写ローラ14は、中間転写ベルト11に転写された像を記録紙Sに転写する。
【0020】
中間転写ベルト11は、複数のローラ15−1〜15−4に架け回されている。中間転写ベルト11に対向する位置にはクリーニング装置16が配置され、クリーニング装置16は中間転写ベルト11上に残留したトナーを回収する。
【0021】
また、中間転写ベルト11に対向する位置には、トナーセンサー17が配置されている。トナーセンサー17は、階調補正時に、中間転写ベルト11上に形成された階調パターン(トナー像)の濃度を検出する。なお、階調補正時に中間転写ベルト11上に形成された階調パターンは、濃度検出が終わると、クリーニング装置16によって廃トナーとして除去される。
【0022】
トナーセンサー17の構成例について説明する。トナーセンサー17は、光学式のセンサーである。トナーセンサー17は、光を発光する発光部と光を受光する受光部とを有し、発光部からトナーパッチに向け光を発光し、トナーパッチ上で反射された光を受光部で受光する。受光部は、受光素子を有し、受光素子で受けた光の量を電気信号に変換することでセンサー出力を得る。トナーパッチはベルト面とトナー面からなり、トナーセンサー17は、トナーによる隠蔽率(パッチ全体の面積に対するトナーが占める割合)を検出する。ベルト面から反射された光が少なくなるほどセンサー出力が小さくなる。トナーパッチの濃度が濃くなると、トナーによるベルト面の隠蔽率が高くなり、センサー出力が小さくなる。よって、センサー出力の大小によって、トナーによるベルト面の隠蔽率、つまりは、トナーパッチの濃度を検出することができる(図5参照)。なお、トナーセンサー17の構成は、上述の構成に限らず、濃度を検出することができるものであればよい。
【0023】
画像形成ユニット12−1はイエロー(Y)のトナー像を形成し、画像形成ユニット12−2はマゼンタ(M)のトナー像を形成し、画像形成ユニット12−3はシアン(C)のトナー像を形成し、画像形成ユニット12−4はブラック(BK)のトナー像を形成する。これらの画像形成ユニット12−1〜12−4は、中間転写ベルト11の上流から下流に沿って順に配置されている。
【0024】
各画像形成ユニット12(12−1〜12−4)は、感光ドラム31と、感光ドラム31を一様に帯電させるための帯電装置32と、帯電した感光ドラム31に画像露光を行うための露光装置33と、露光によって形成された静電潜像に各色のトナーで現像を行うための現像器34と、を有する。
【0025】
現像器34は、現像ローラ35を有し、現像ローラ35から感光ドラム31にトナーを付着させる。感光ドラム31に対向する位置にはクリーナ36が配置され、クリーナ36は感光ドラム31に残留したトナーを回収する。全ての画像形成ユニット12−1〜12−4は、制御部40によって制御される。
【0026】
かかる構成に加えて、本実施の形態の画像形成装置100は、湿度温度センサー41を有する。湿度温度センサー41は、画像形成装置100の装置内に設けられており、画像形成装置100の装置内の湿度及び温度を画像形成装置100の環境条件として検出し、検出した湿度及び温度の情報を制御部40に送出する。制御部40は、検出された湿度及び温度に基づいて、各画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって形成される階調補正用のトナー像の配置及び個数を制御する。
【0027】
なお、湿度温度センサー41は、できるだけトナー像の濃度に影響を及ぼす部品(例えば感光ドラム等)の近傍に配置することが好ましい。しかし、湿度温度センサー41の配置位置は、これに限らず、例えば画像形成装置100の装置外であってもよい。
【0028】
次に、この画像形成装置100の動作を説明する。
【0029】
画像形成ユニット12−1〜12−4の感光ドラム31上に現像されたトナー像は、中間転写ベルト11との接触位置で、一次転写ローラ13によって、中間転写ベルト11上に一次転写される。
【0030】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー像は、各画像形成ユニット12−1〜12−4を通過するごとに、各色がその上に重ねられる。これにより、最終的に、フルカラーのトナー画像が、中間転写ベルト11上に形成される。
【0031】
次に、中間転写ベルト11上のフルカラーのトナー像は、中間転写ベルト11の下流において、二次転写ローラ14によって、記録紙Sに一括して二次転写される。
【0032】
次に、記録紙Sは、記録紙Sの搬送路の下流にある定着装置20を通過することによって、トナー像が定着されて、排紙トレー(図示せず)上に排紙される。なお、記録紙Sは、カセット(図示せず)に納められており、このカセットから1枚ずつ二次転写ローラ14まで搬送される。
【0033】
なお、一次転写後、感光ドラム31に残留したトナーは、下流に配置されたクリーナ36によって除去され、図示しない廃トナーボックスへ回収される。また、二次転写後に、中間転写ベルト11上に残留したトナーは、クリーニング装置16によって回収される。
【0034】
ここで、画像形成装置100においては、温湿度などの装置周囲の環境や、装置の耐久などの外乱に起因して、トナー像の画像濃度が異なることがある。そこで、画像形成装置100では、画像濃度の安定化を図るため、中間転写ベルト11上にテスト用(階調補正用)のトナー像を形成し、このテスト用のトナー像の濃度に基づいて、画像形成ユニット12−1〜12−4でのトナー付着量を制御するようになっている。
【0035】
具体的には、中間転写ベルト11上に形成されるトナー像のトナー付着量は、現像器34によって変更される。中間転写ベルト11に形成されるトナー像における中間転写ベルト11の周方向の長さは、現像器34及び露光装置33によって変更される。
【0036】
制御部40は、現像器34及び露光装置33を制御することにより、上記トナー付着量及びトナー像の長さを制御する。実際上、画像形成装置100は、階調補正時には、中間転写ベルト11上にテスト用(階調補正用)のトナー像を形成し、このトナー像の濃度をトナーセンサー17で検出する。画像形成装置100は、この濃度検出結果に応じて、制御部40に設けられた階調変換テーブルを補正することで、階調補正を行う。画像形成装置100は、記録紙Sへのプリント時(つまり実際のプリント時)には、補正された階調変換テーブルを用いて、現像器34を制御することで、中間転写ベルト11上に濃度が補正されたトナー像を形成する。
【0037】
制御部40には、湿度温度センサー41からの湿度情報及び温度情報が入力される。制御部40は、入力した湿度情報及び温度情報に基づいて、各画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって形成される階調補正用のトナー像の配置及び個数を制御する。つまり、画像形成ユニット12(12−1〜12−4)は、画像形成装置100がおかれた環境の湿度及び温度に応じて、階調補正用のトナー像の配置、及び、階調補正用のトナー像の個数を決定する。
【0038】
[2]階調補正
次に、階調補正について詳しく説明する。なお、本明細書では、「階調」を「濃度」と言い換えてもよく、逆に、「濃度」を「階調」と言い換えてもよい。
【0039】
図2は、入力された元画像データで示される濃度をO.D.(Original Density)とし、記録紙S上に出力されたプリント画像の濃度をI.D.(Image Density)とした場合の、濃度O.D.と濃度I.D.との関係である階調特性を示す図である。濃度O.D.と濃度I.D.との関係において、図2の階調特性直線L1で示すように線形な関係が維持されれば、理想的なプリント画像を得ることができる。
【0040】
しかし、実際には、濃度O.D.と濃度I.D.との関係は、温湿度などの装置周囲の環境や、装置の耐久、製造のばらつきなどの変動要因により、図2の階調曲線L2で示すように、非線形な関係となる。この結果、プリント画像の濃度は、入力される元画像データに対して、階調ごとに大きく変化してしまう。階調曲線L2からも分かるように、通常は、元画像データが低濃度の領域では、元画像濃度O.D.よりもプリント画像濃度I.D.が低くなるので、色飛びが発生し、極めて濃度の薄いプリント画像は記録紙S上に再現することが困難となる。また、元画像データが高濃度の領域では、元画像濃度O.D.よりもプリント画像濃度I.D.が高くなるので、色つぶれが発生し、最大濃度付近の濃度差を記録紙S上に再現することが困難となる。
【0041】
そこで、プリント画像の濃度を、入力された元画像データで示される濃度に一致させるためには、階調特性を補正する必要がある。具体的には、階調補正によって、濃度O.D.と濃度I.D.との関係を、全階調において安定して線形なものにする。実際上、階調補正は、制御部40に設けられた階調変換テーブルを補正することで行われる。
【0042】
階調変換テーブルの作成方法について説明する。画像形成装置100は、階調補正時に、図3に示すような階調パターン50のトナー像を中間転写ベルト11上に形成し、この階調パターン50の濃度をトナーセンサー17によって検出する。階調パターン50は、階調の異なる複数の階調パッチP1〜P10により構成されている。
【0043】
図4は、トナーセンサー17によって検出した階調パターン50の濃度(プリント画像濃度)検出値を、元画像濃度データに対応させて示したものである。図中の黒丸がそれぞれの各階調パッチP1〜P10(図3)の濃度検出値を表している。濃度検出値は、図5に示すように、あらかじめ作成しておいたトナーセンサー17のセンサー出力値と濃度との関係を示す変換テーブルを用いて、センサー出力値から濃度に変換することで求めることができる。図4から分かるように、濃度検出値は、階調曲線L2上に存在し、目標階調特性直線L1からずれている。そこで、このずれを補正するような階調補正が必要である。
【0044】
図6は、制御部40に設けられる階調変換テーブルの様子を示すものである。図6における、曲線L3が補正された階調変換テーブルのデータを示す。曲線L3で示される補正データは、階調曲線L2の目標階調特性直線L1からのずれを相殺する値とされている。つまり、元画像データが入力されたときに、その元画像データに対応する曲線L3上の補正濃度制御データを用いて画像形成ユニット12−1〜12−4のトナー像形成動作を制御すれば、トナー像の濃度を目標階調曲線L1上の濃度にすることができる。
【0045】
[3]本実施の形態による階調補正用のトナー像、及び、階調補正
次に、本実施の形態による階調補正用のトナー像の形成方法と、階調補正の方法について、詳しく説明する。
【0046】
本実施の形態の場合、階調補正時に中間転写ベルト11上に形成する階調パターン50(図3)は、最大階調を100%として、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%の階調パッチP1〜P10が隣り合ってつながったものにより構成される。階調パターン50の長さは、各階調パッチP1〜P10がトナーセンサー17で精度良く検出できる長さとする。階調パターン50の幅は、トナーセンサー17の口径、トナーセンサー17の取り付け、画像の主走査方向の作像位置などが振れても、十分に検出できる幅とする。現像ローラ35の直径を16mmとすると、現像ローラ35の1周に相当する中間転写ベルト11上での長さは、16mm×3.14/1.5=33.5mmとなる。ここで、1.5は現像ローラ35と感光ドラム31の周速比である。
【0047】
実施の形態の画像形成装置100は、画像形成装置100がおかれた環境条件に応じて、階調パターン50の配置、及び、階調パターンの個数を決定する。本実施の形態の例では、環境条件として、湿度及び温度を用いる。なお、環境条件としては、湿度のみ、又は、温度のみを用いてもよい。また、環境条件としては、明るさや、プロセス条件(例えば印刷速度等)を用いてもよい。要は、環境条件としては、トナー像に周期ムラを生じさせる原因となる条件を用いることができる。例えば、明るさがある範囲以内であれば周期ムラが発生し難い環境条件であると判断したり、印刷速度がある範囲内であれば周期ムラが発生し難い環境条件であると判断すればよい。
【0048】
本実施の形態の例では、階調パターンの配置と個数は、以下のように湿度及び温度によって場合分けされる。
【0049】
■場合1:湿度が40%〜60%、かつ、温度が18℃〜25℃の場合(周期ムラが発生し難い環境条件の場合)
【0050】
この場合、図7Aに示すように、階調パターン50は、中間転写ベルト11上に1個だけ形成される。このように、階調パターン50を1個だけ形成するのは、場合1では、図7Bに示すように、現像ローラ35の周期に対応する周期ムラが発生しないためである。
【0051】
ここで、図7Aの階調パターン50をトナーセンサー17で検出したときのトナーセンサー出力値(V)を、IDC0、IDC10、IDC20、IDC30、IDC40、IDC50、IDC60、IDC70、IDC80、IDC90、IDC100 とする。IDC0は階調0%であり、トナーが全く付着されていない中間転写ベルト11のベース面の出力値である。IDC50は、階調50%の階調パッチを検出したときのトナーセンサー出力値である。各階調パッチそれぞれに得たトナーセンサー出力値を、あらかじめ定めておいた変換式(図5)を用いて、それぞれ濃度検出値に変換する。
【0052】
■場合2:上記場合1以外の場合(周期ムラが発生し易い環境条件の場合)
【0053】
この場合、図8Aに示すように、階調パターン50−1、50−2は、中間転写ベルト11上に2個形成される。このように、2個の階調パターン50−1、50−2を形成するのは、場合2では、図8Bに示すように、現像ローラ35の周期に対応する周期ムラが発生するためである。
【0054】
2個の階調パターン50−1、50−2の間隔(シフト量)は、現像ローラ35の周期のムラを打ち消すように、現像ローラ35の1周に相当する中間転写ベルト11上の長さの1/2の3倍となるような間隔とする。現像ローラ35の1周に相当する中間転写ベルト11上での長さが33.5mmならば、間隔(シフト量)は50.25mmとする。
【0055】
なお、階調パターン50の間隔(シフト量)を、周期の1/2の奇数倍に設定すれば、周期ムラを打ち消すことができる。また、階調パターン50の間隔(シフト量)は、周期の1/3や他の値でもよく、要は、周期ムラを打ち消すことができる間隔であればよい。つまり、加算したときに、周期ムラによる濃度の上下変動が打ち消させる位置に、階調パターン50を形成すればよい。
【0056】
図9は、階調パターンの配置をさらに説明を分かり易くするために、階調パターン50−1、50−2の中にそれぞれ存在する1つの階調パッチに着目して、この1つの階調パッチのみを図示したものである。図9(b)に示すように、2つの階調パッチを、例えば、周期ムラによって濃度が最も高くなる位置と、濃度が最も低くなる位置とに、形成すればよい。図9(b)の例では、2つの階調パッチは、3/2周期シフトした位置に形成されている。
【0057】
ここで、図8Aの階調パターン50−1、50−2をトナーセンサー17で検出したときのトナーセンサー出力値(V)において、1個目の階調パターン50−1のトナーセンサー出力値(V)を、IDC0_1、IDC10_1、IDC20_1、IDC30_1、IDC40_1、IDC50_1、IDC60_1、IDC70_1、IDC80_1、IDC90_1、IDC100_1 とし、2個目の階調パターン50−2のトナーセンサー出力値(V)を、IDC0_2、IDC10_2、IDC20_2、IDC30_2、IDC40_2、IDC50_2、IDC60_2、IDC70_2、IDC80_2、IDC90_2、IDC100_2 とする。そして、次式に示すように、各階調パッチごとに2個の検出値を平均する。次式において、IDC0_ave、IDC10_ave、IDC20_ave、IDC30_ave、IDC40_ave、IDC50_ave、IDC60_ave、IDC70_ave、IDC80_ave、IDC90_ave、IDC100_aveは、各階調ごとの平均値である。
IDC0_ave=(IDC0_1 + IDC0_2)/2
IDC10_ave=(IDC10_1 + IDC10_2)/2
:
:
IDC100_ave=(IDC100_1 + IDC100_2)/2
【0058】
画像形成装置100は、各階調パッチそれぞれについて求めた上記平均値を、あらかじめ定めておいた変換式(図5)を用いて、濃度検出値に変換する。
【0059】
場合1及び場合2のいずれの場合においても、上述したように各階調の濃度検出値が得られたら、次に、濃度検出値に基づいて階調補正を行うための階調変換テーブル(図6の曲線L3)を算出して、これを保存する。実際の印刷時には、この階調変換テーブルを用いて、元画像濃度データを補正濃度制御データに変換して、画像形成ユニット12−1〜12−4のトナー像形成動作を制御することで、階調特性を線形にすることができる。
【0060】
次に、図10を用いて、本実施の形態による階調補正の処理手順について説明する。
【0061】
画像形成装置100は、先ず、ステップS0で処理を開始し、続くステップS1で階調補正を行うタイミングか否か判断する。画像形成装置100は、階調補正を行うタイミング(すなわち、電源投入時や、スリープ復帰時、ある所定の印刷枚数に達したとき、あるいは、外部環境が大きく変わったタイミング)になると(ステップS1;YES)、ステップS2に進む。
【0062】
画像形成装置100の制御部40は、ステップS2で、湿度が40%〜60%、かつ、温度が18℃〜25℃であるか否か判断する。この湿度閾値及び温度閾値は、装置の性能に応じて適宜設定すればよい。
【0063】
画像形成装置100は、ステップS2で肯定結果を得ると(ステップS2;YES)、つまり、制御部40によって、周期ムラが発生する環境条件であると判断されると、ステップS3で、画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって、中間転写ベルト11上に1個の階調パターン50を形成し(図7A参照)、続くステップS4で階調パターン50を構成する各階調のパッチをトナーセンサー17により検出する。
【0064】
これに対して、画像形成装置100は、ステップS2で否定結果を得ると(ステップS2;NO)、つまり、制御部40によって、周期ムラが発生しない環境条件であると判断されると、ステップS5で、画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって、中間転写ベルト11上に2個の階調パターン50−1、50−2を形成し(図8A参照)、続くステップS6で階調パターン50−1、50−2を構成する各階調のパッチをトナーセンサー17により検出し、続くステップS7で各階調ごとに検出値を平均する。
【0065】
画像形成装置100は、ステップS8で、各階調ごとに、トナーセンサー検出値を濃度検出値に変換する。ステップS9では、濃度検出値から階調特性を算出する。ステップS10では、得られた階調特性から、階調変換テーブルを算出することで、階調補正を行う。具体的には、図6の曲線L3を階調補正後の階調変換テーブルとして作成する。ステップS11では、階調補正の結果を、印字中の設定に反映する。そして、ステップS12で、階調補正処理手順を終了する。
【0066】
[4]実施の形態の効果
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像形成装置100がおかれた環境条件(実施の形態の場合には、湿度及び温度)に応じて、階調補正用のトナー像(実施の形態の場合には、階調パターン50)の配置、及び、個数を決定したことにより、無駄な階調補正用のトナー消費や階調補正時間の増加を抑制しつつ、高精度の階調補正を行うことができる。
【0067】
つまり、周期ムラが生じ難い環境下では、階調補正用のトナー像の個数を1個とすることで、無駄な階調補正用のトナー消費及び階調補正時間の増加を抑制できる。一方、周期ムラが生じ難い環境下では、階調補正用のトナー像の個数を複数個とし、かつ、この複数のトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置したことにより、高精度の階調補正を行うことができる。
【0068】
[5]他の実施の形態
なお、上述の実施の形態では、環境条件(湿度及び温度)に応じて、階調補正用のトナー像(階調パターン50)の個数、及び、階調補正用のトナー像の配置を変更する場合について述べたが、階調補正用のトナー像(階調パターン50)の個数は変えずに、階調補正用のトナー像(階調パターン50)の配置のみを変えてもよい。
【0069】
図11Aは、周期ムラが発生し難い環境条件の場合(場合1)における、階調パターン50の配置の様子を示したものである。なお、図11Bは、周期ムラの様子を示す(周期ムラが無い状態を示す)図である。つまり、図10のステップS3において、階調パターンを1個作成するのではなく、図11Aのような配置の階調パターン50−1、50−2を作成し、その間隔を図8Aとは異なるようにする。なお、周期ムラが発生し易い環境条件の場合(場合2)における、階調パターン50の配置は、図8Aに示すようにすればよい。
【0070】
図11Aは、図8Aと比較して、階調パターン50−1、50−2の個数は同じで、配置のみが異なる。図11Aの階調パターン50−1、50−2は、図8Aの階調パターン50−1、50−2においては周期ムラが打ち消される間隔で配置されているのに対して、間隔を空けずに配置されている。このようにすることで、周期ムラが発生し難い環境条件下での階調補正の所要時間を短縮できるようになる。つまり、周期ムラが発生し難い環境条件下では、周期ムラが打ち消される間隔で階調パターン50−1、50−2を配置する必要が無いので、階調パターン50−1、50−2の間隔をそれよりも短くして、階調補正の所要時間の短縮を図る。なお、図11Aの階調パターン50−1、50−2の間隔は、0に限らず、周期ムラが打ち消される間隔よりも短い間隔であれば、同様に時間短縮効果を得ることができる。
【0071】
また、上述の実施の形態では、周期ムラが生じ易い環境条件(場合2)に形成する階調パターンの個数を2個としたが、この個数は2個に限らず、例えば3個でも4個でもよい。要は、周期ムラが生じ易い環境条件(場合2)では、階調補正用のトナー像の個数を複数とし、かつ、この複数のトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置すればよい。
【0072】
また、上述の実施の形態では、周期ムラが発生しないと判断された場合のトナー像(階調パターン)の個数を1個とした場合について述べたが、これに限らない。要は、周期ムラが発生する環境条件であると判断された場合には、周期ムラが発生しない環境条件であると判断された場合よりも、階調補正用のトナー像の個数を増やすようにすればよい。
【0073】
また、上述の例では、濃度を検出するための階調パターンとして、階調の異なる10個の階調パッチP1〜P10からなる階調パターン50を用いたが、階調パターンを構成する階調パッチの数は10個に限らない。
【0074】
また、上述の例では、階調パターンの配置位置を、現像ローラ35の回転周期に基づいて選定したが、階調パターンの配置位置は、感光ドラム31の周期、又は、中間転写ベルト11の周期に基づいて、選定してもよい。要は、周期ムラの原因となるデバイスの周期に基づいて、階調パターンの配置位置を選定すればよい。
【0075】
周期ムラが生じ易い環境条件の場合に、感光ドラム31の周期に基づいて階調パターンの配置位置を選定するには(つまりトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置するには)、図8Aに示したように、2個の階調パターン50−1、50−2を、感光ドラム31の回転周期の半分の奇数倍だけシフトさせて配置すればよい。また、周期ムラが生じ易い環境条件の場合に、中間転写ベルト11の周期に基づいて、階調パターンの配置位置を選定するには(つまりトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置するには)、図8Aに示したように、2個の階調パターン50−1、50−2を、中間転写ベルト11の回転周期の半分の奇数倍だけシフトさせて配置すればよい。
【0076】
また、上述の例では、中間転写ベルト11が像担持体である画像形成装置100を例に説明したが、感光ベルト、感光ドラム、又は、中間転写ドラムが像担持体である画像形成装置にも同様に適用できる。
【0077】
さらに、本発明の画像形成装置は、フルカラーの複写機、プリンタ、FAX、又は、これらの複合機などのいずれにでも適用できる。
【0078】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記各装置の構成および動作についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0079】
10 作像装置
11 中間転写ベルト
12−1、12−2、12−3、12−4 画像形成ユニット
17 トナーセンサー
31 感光ドラム
32 帯電装置
33 露光装置
34 現像器
35 現像ローラ
40 制御部
41 湿度温度センサー
50 階調パターン
100 画像形成装置
S 記録紙
P1〜P10 階調パッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、複写機や、レーザビームプリンタ、ファクシミリ、ディジタル複合機等の画像形成装置及びそれに用いられる階調補正用トナー像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置では、温湿度などの装置周囲の環境や、装置の経時的変化などの外乱に起因して、トナー像の画像濃度が変動することがある。そこで、画像形成装置では、一般に、画像濃度の安定化を図るために、階調補正が行われる。
【0003】
例えば、画像形成装置では、感光ドラム上にテスト用のトナー像として複数の階調からなる階調パターン像を形成し、この階調パターン像の濃度に基づいて階調補正が行われる。この階調補正は、電源投入時や、スリープ復帰時、ある所定の印刷枚数に達したとき、あるいは、外部環境が大きく変わった場合に、印字中の階調特性を補正するために行われる。
【0004】
具体的には、画像形成装置では、階調補正時に、中間転写ベルト上に階調パターン像を形成し、その各階調の濃度が濃度センサーによって検出される。そして、検出された濃度が予め設定された目標濃度と一致するように現像バイアスを調節することで(つまり階調補正を行うことで)、所望の画像濃度を得るようになっている。実際上、この階調補正は、濃度センサーによって得られた濃度検出値に基づき、それぞれの階調が所定の濃度となるように、画像データの入力階調を、制御部の階調変換テーブルにおいて補正することで行われる。
【0005】
ここで、階調パターン像の検出精度が悪いとそれに伴って階調補正の精度も悪くなるので、従来、階調パターン像の濃度を高精度で検出するために、多くの工夫がなされている。特許文献1及び2には、複数の階調パターン像を用いる技術が開示されている。また、特許文献3−8には、現像ローラや、中転転写ベルト、感光ドラムの周期で現れるムラ(周期ムラ)を打ち消すように、複数の階調パターンを、上記周期の1/2や、M/N(M、Nは互いに素な自然数)の間隔で配置する技術が開示されている。さらに、特許文献9には、湿度に応じて階調パターン像の階調数を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−171689号公報
【特許文献2】特開2008−26551号公報
【特許文献3】特開2010−134366号公報
【特許文献4】特開2007−264364号公報
【特許文献5】特開2006−47349号公報
【特許文献6】特開2007−3688号公報
【特許文献7】特開2006−343679号公報
【特許文献8】特開2010−134160号公報
【特許文献9】特開2009−198610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した従来技術では、階調補正に要する時間や、階調補正用のトナー消費に関する考察が不十分であった。
【0008】
例えば、階調パターン像の配置によっては、階調補正に要する時間が不必要に増加する。また、階調パターンの個数によっては、階調補正用のトナーが無駄に消費される。
【0009】
具体的に説明すると、周期ムラを打ち消すために、常に複数の階調パターン像を形成すると、周期ムラが小さい場合には、無駄な階調パターン像を形成することになる。この結果、トナーが無駄に消費されたり、階調補正の時間も必要以上に長くなるといった問題がある。
【0010】
一方で、階調パターン像に使われるトナー消費量を削減し、かつ、階調補正時間を短くするために、常に1個の階調パターン像だけを形成すると、次の問題が生じる。つまり、周期ムラが大きくなると、1個の階調パターン像が、周期ムラにより濃度の特に濃くなる部分あるいは濃度の特に薄くなる部分に形成されることが生じ得る。このような場合、階調パターン像の濃度検出結果が周期ムラの影響を大きく受けてしまい、濃度検出精度が悪くなる。その結果、階調補正の精度も悪くなる。
【0011】
本発明の目的は、階調補正時間の増加や階調補正用のトナー消費を抑制しつつ、高精度の階調補正を行うことができる、画像形成装置及び階調補正用トナー像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像形成装置の一つの態様は、像担持体上にトナー像を形成する画像形成ユニットと、前記画像形成ユニットにより形成された階調補正用のトナー像の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、前記濃度検出部によって得た濃度検出結果に基づいて階調補正を行う画像形成装置であって、前記画像形成ユニットは、前記画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定する。
【0013】
本発明の階調補正用トナー像形成方法の一つの態様は、画像形成装置の像担持体上に階調補正用のトナー像を形成する階調補正用トナー像形成方法であって、前記画像形成装置がおかれた環境条件を検出するステップと、検出した前記環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定して、前記像担持体上に形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、階調補正用のトナー像の配置を決定するので、階調補正時間の増加や階調補正用のトナー消費を抑制しつつ、高精度の階調補正を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図
【図2】入力される元画像と実際のプリント画像との間の濃度の関係である、階調特性を示す図
【図3】階調パターン及び階調パッチの説明に供する図
【図4】トナーセンサーによって検出した階調パターンの濃度検出値を、元画像濃度データに対応させて示した図
【図5】トナーセンサー出力値と濃度との関係を示す図
【図6】階調変換テーブル(図中の曲線L3)の様子を示す図
【図7】図7Aは、周期ムラが発生し難い環境条件における、階調パターンの配置を示す図、図7Bは、周期ムラの様子を示す図
【図8】図8Aは、周期ムラが発生し易い環境条件における、階調パターンの配置を示す図、図8Bは、周期ムラの様子を示す図
【図9】階調パターンの配置を分かり易く説明するための図であり、図9(a)は濃度の様子を示す図、図9(b)は階調パターンに含まれるある1つの階調パッチの配置を示す図
【図10】実施の形態による階調補正の処理手順を示すフローチャート
【図11】図11Aは、周期ムラが発生し難い環境条件の場合における階調パターンの配置の様子を示す図、図11Bは、周期ムラの様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[1]全体構成
図1は、実施の形態の画像形成装置100の全体構成を示す概略図である。図1に示した画像形成装置100は、タンデム方式のカラーレーザプリンタである。
【0018】
図1の画像形成装置100は、記録紙Sに未定着のトナーを付着して画像を形成する作像装置10と、トナーを溶融して記録紙Sに定着させる定着装置20と、を有する。
【0019】
作像装置10は、中間転写ベルト11と、4つの画像形成ユニット12−1〜12−4と、一次転写ローラ13と、二次転写ローラ14と、を有する。画像形成ユニット12−1〜12−4は、中間転写ベルト11に沿って配置され、トナー像を形成する。一次転写ローラ13は、中間転写ベルト11を介して感光ドラム31に対向する位置に配置されており、各画像形成ユニット12−1〜12−4によって形成されたトナー像を中間転写ベルト11上に転写する。二次転写ローラ14は、中間転写ベルト11に転写された像を記録紙Sに転写する。
【0020】
中間転写ベルト11は、複数のローラ15−1〜15−4に架け回されている。中間転写ベルト11に対向する位置にはクリーニング装置16が配置され、クリーニング装置16は中間転写ベルト11上に残留したトナーを回収する。
【0021】
また、中間転写ベルト11に対向する位置には、トナーセンサー17が配置されている。トナーセンサー17は、階調補正時に、中間転写ベルト11上に形成された階調パターン(トナー像)の濃度を検出する。なお、階調補正時に中間転写ベルト11上に形成された階調パターンは、濃度検出が終わると、クリーニング装置16によって廃トナーとして除去される。
【0022】
トナーセンサー17の構成例について説明する。トナーセンサー17は、光学式のセンサーである。トナーセンサー17は、光を発光する発光部と光を受光する受光部とを有し、発光部からトナーパッチに向け光を発光し、トナーパッチ上で反射された光を受光部で受光する。受光部は、受光素子を有し、受光素子で受けた光の量を電気信号に変換することでセンサー出力を得る。トナーパッチはベルト面とトナー面からなり、トナーセンサー17は、トナーによる隠蔽率(パッチ全体の面積に対するトナーが占める割合)を検出する。ベルト面から反射された光が少なくなるほどセンサー出力が小さくなる。トナーパッチの濃度が濃くなると、トナーによるベルト面の隠蔽率が高くなり、センサー出力が小さくなる。よって、センサー出力の大小によって、トナーによるベルト面の隠蔽率、つまりは、トナーパッチの濃度を検出することができる(図5参照)。なお、トナーセンサー17の構成は、上述の構成に限らず、濃度を検出することができるものであればよい。
【0023】
画像形成ユニット12−1はイエロー(Y)のトナー像を形成し、画像形成ユニット12−2はマゼンタ(M)のトナー像を形成し、画像形成ユニット12−3はシアン(C)のトナー像を形成し、画像形成ユニット12−4はブラック(BK)のトナー像を形成する。これらの画像形成ユニット12−1〜12−4は、中間転写ベルト11の上流から下流に沿って順に配置されている。
【0024】
各画像形成ユニット12(12−1〜12−4)は、感光ドラム31と、感光ドラム31を一様に帯電させるための帯電装置32と、帯電した感光ドラム31に画像露光を行うための露光装置33と、露光によって形成された静電潜像に各色のトナーで現像を行うための現像器34と、を有する。
【0025】
現像器34は、現像ローラ35を有し、現像ローラ35から感光ドラム31にトナーを付着させる。感光ドラム31に対向する位置にはクリーナ36が配置され、クリーナ36は感光ドラム31に残留したトナーを回収する。全ての画像形成ユニット12−1〜12−4は、制御部40によって制御される。
【0026】
かかる構成に加えて、本実施の形態の画像形成装置100は、湿度温度センサー41を有する。湿度温度センサー41は、画像形成装置100の装置内に設けられており、画像形成装置100の装置内の湿度及び温度を画像形成装置100の環境条件として検出し、検出した湿度及び温度の情報を制御部40に送出する。制御部40は、検出された湿度及び温度に基づいて、各画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって形成される階調補正用のトナー像の配置及び個数を制御する。
【0027】
なお、湿度温度センサー41は、できるだけトナー像の濃度に影響を及ぼす部品(例えば感光ドラム等)の近傍に配置することが好ましい。しかし、湿度温度センサー41の配置位置は、これに限らず、例えば画像形成装置100の装置外であってもよい。
【0028】
次に、この画像形成装置100の動作を説明する。
【0029】
画像形成ユニット12−1〜12−4の感光ドラム31上に現像されたトナー像は、中間転写ベルト11との接触位置で、一次転写ローラ13によって、中間転写ベルト11上に一次転写される。
【0030】
中間転写ベルト11上に転写されたトナー像は、各画像形成ユニット12−1〜12−4を通過するごとに、各色がその上に重ねられる。これにより、最終的に、フルカラーのトナー画像が、中間転写ベルト11上に形成される。
【0031】
次に、中間転写ベルト11上のフルカラーのトナー像は、中間転写ベルト11の下流において、二次転写ローラ14によって、記録紙Sに一括して二次転写される。
【0032】
次に、記録紙Sは、記録紙Sの搬送路の下流にある定着装置20を通過することによって、トナー像が定着されて、排紙トレー(図示せず)上に排紙される。なお、記録紙Sは、カセット(図示せず)に納められており、このカセットから1枚ずつ二次転写ローラ14まで搬送される。
【0033】
なお、一次転写後、感光ドラム31に残留したトナーは、下流に配置されたクリーナ36によって除去され、図示しない廃トナーボックスへ回収される。また、二次転写後に、中間転写ベルト11上に残留したトナーは、クリーニング装置16によって回収される。
【0034】
ここで、画像形成装置100においては、温湿度などの装置周囲の環境や、装置の耐久などの外乱に起因して、トナー像の画像濃度が異なることがある。そこで、画像形成装置100では、画像濃度の安定化を図るため、中間転写ベルト11上にテスト用(階調補正用)のトナー像を形成し、このテスト用のトナー像の濃度に基づいて、画像形成ユニット12−1〜12−4でのトナー付着量を制御するようになっている。
【0035】
具体的には、中間転写ベルト11上に形成されるトナー像のトナー付着量は、現像器34によって変更される。中間転写ベルト11に形成されるトナー像における中間転写ベルト11の周方向の長さは、現像器34及び露光装置33によって変更される。
【0036】
制御部40は、現像器34及び露光装置33を制御することにより、上記トナー付着量及びトナー像の長さを制御する。実際上、画像形成装置100は、階調補正時には、中間転写ベルト11上にテスト用(階調補正用)のトナー像を形成し、このトナー像の濃度をトナーセンサー17で検出する。画像形成装置100は、この濃度検出結果に応じて、制御部40に設けられた階調変換テーブルを補正することで、階調補正を行う。画像形成装置100は、記録紙Sへのプリント時(つまり実際のプリント時)には、補正された階調変換テーブルを用いて、現像器34を制御することで、中間転写ベルト11上に濃度が補正されたトナー像を形成する。
【0037】
制御部40には、湿度温度センサー41からの湿度情報及び温度情報が入力される。制御部40は、入力した湿度情報及び温度情報に基づいて、各画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって形成される階調補正用のトナー像の配置及び個数を制御する。つまり、画像形成ユニット12(12−1〜12−4)は、画像形成装置100がおかれた環境の湿度及び温度に応じて、階調補正用のトナー像の配置、及び、階調補正用のトナー像の個数を決定する。
【0038】
[2]階調補正
次に、階調補正について詳しく説明する。なお、本明細書では、「階調」を「濃度」と言い換えてもよく、逆に、「濃度」を「階調」と言い換えてもよい。
【0039】
図2は、入力された元画像データで示される濃度をO.D.(Original Density)とし、記録紙S上に出力されたプリント画像の濃度をI.D.(Image Density)とした場合の、濃度O.D.と濃度I.D.との関係である階調特性を示す図である。濃度O.D.と濃度I.D.との関係において、図2の階調特性直線L1で示すように線形な関係が維持されれば、理想的なプリント画像を得ることができる。
【0040】
しかし、実際には、濃度O.D.と濃度I.D.との関係は、温湿度などの装置周囲の環境や、装置の耐久、製造のばらつきなどの変動要因により、図2の階調曲線L2で示すように、非線形な関係となる。この結果、プリント画像の濃度は、入力される元画像データに対して、階調ごとに大きく変化してしまう。階調曲線L2からも分かるように、通常は、元画像データが低濃度の領域では、元画像濃度O.D.よりもプリント画像濃度I.D.が低くなるので、色飛びが発生し、極めて濃度の薄いプリント画像は記録紙S上に再現することが困難となる。また、元画像データが高濃度の領域では、元画像濃度O.D.よりもプリント画像濃度I.D.が高くなるので、色つぶれが発生し、最大濃度付近の濃度差を記録紙S上に再現することが困難となる。
【0041】
そこで、プリント画像の濃度を、入力された元画像データで示される濃度に一致させるためには、階調特性を補正する必要がある。具体的には、階調補正によって、濃度O.D.と濃度I.D.との関係を、全階調において安定して線形なものにする。実際上、階調補正は、制御部40に設けられた階調変換テーブルを補正することで行われる。
【0042】
階調変換テーブルの作成方法について説明する。画像形成装置100は、階調補正時に、図3に示すような階調パターン50のトナー像を中間転写ベルト11上に形成し、この階調パターン50の濃度をトナーセンサー17によって検出する。階調パターン50は、階調の異なる複数の階調パッチP1〜P10により構成されている。
【0043】
図4は、トナーセンサー17によって検出した階調パターン50の濃度(プリント画像濃度)検出値を、元画像濃度データに対応させて示したものである。図中の黒丸がそれぞれの各階調パッチP1〜P10(図3)の濃度検出値を表している。濃度検出値は、図5に示すように、あらかじめ作成しておいたトナーセンサー17のセンサー出力値と濃度との関係を示す変換テーブルを用いて、センサー出力値から濃度に変換することで求めることができる。図4から分かるように、濃度検出値は、階調曲線L2上に存在し、目標階調特性直線L1からずれている。そこで、このずれを補正するような階調補正が必要である。
【0044】
図6は、制御部40に設けられる階調変換テーブルの様子を示すものである。図6における、曲線L3が補正された階調変換テーブルのデータを示す。曲線L3で示される補正データは、階調曲線L2の目標階調特性直線L1からのずれを相殺する値とされている。つまり、元画像データが入力されたときに、その元画像データに対応する曲線L3上の補正濃度制御データを用いて画像形成ユニット12−1〜12−4のトナー像形成動作を制御すれば、トナー像の濃度を目標階調曲線L1上の濃度にすることができる。
【0045】
[3]本実施の形態による階調補正用のトナー像、及び、階調補正
次に、本実施の形態による階調補正用のトナー像の形成方法と、階調補正の方法について、詳しく説明する。
【0046】
本実施の形態の場合、階調補正時に中間転写ベルト11上に形成する階調パターン50(図3)は、最大階調を100%として、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%の階調パッチP1〜P10が隣り合ってつながったものにより構成される。階調パターン50の長さは、各階調パッチP1〜P10がトナーセンサー17で精度良く検出できる長さとする。階調パターン50の幅は、トナーセンサー17の口径、トナーセンサー17の取り付け、画像の主走査方向の作像位置などが振れても、十分に検出できる幅とする。現像ローラ35の直径を16mmとすると、現像ローラ35の1周に相当する中間転写ベルト11上での長さは、16mm×3.14/1.5=33.5mmとなる。ここで、1.5は現像ローラ35と感光ドラム31の周速比である。
【0047】
実施の形態の画像形成装置100は、画像形成装置100がおかれた環境条件に応じて、階調パターン50の配置、及び、階調パターンの個数を決定する。本実施の形態の例では、環境条件として、湿度及び温度を用いる。なお、環境条件としては、湿度のみ、又は、温度のみを用いてもよい。また、環境条件としては、明るさや、プロセス条件(例えば印刷速度等)を用いてもよい。要は、環境条件としては、トナー像に周期ムラを生じさせる原因となる条件を用いることができる。例えば、明るさがある範囲以内であれば周期ムラが発生し難い環境条件であると判断したり、印刷速度がある範囲内であれば周期ムラが発生し難い環境条件であると判断すればよい。
【0048】
本実施の形態の例では、階調パターンの配置と個数は、以下のように湿度及び温度によって場合分けされる。
【0049】
■場合1:湿度が40%〜60%、かつ、温度が18℃〜25℃の場合(周期ムラが発生し難い環境条件の場合)
【0050】
この場合、図7Aに示すように、階調パターン50は、中間転写ベルト11上に1個だけ形成される。このように、階調パターン50を1個だけ形成するのは、場合1では、図7Bに示すように、現像ローラ35の周期に対応する周期ムラが発生しないためである。
【0051】
ここで、図7Aの階調パターン50をトナーセンサー17で検出したときのトナーセンサー出力値(V)を、IDC0、IDC10、IDC20、IDC30、IDC40、IDC50、IDC60、IDC70、IDC80、IDC90、IDC100 とする。IDC0は階調0%であり、トナーが全く付着されていない中間転写ベルト11のベース面の出力値である。IDC50は、階調50%の階調パッチを検出したときのトナーセンサー出力値である。各階調パッチそれぞれに得たトナーセンサー出力値を、あらかじめ定めておいた変換式(図5)を用いて、それぞれ濃度検出値に変換する。
【0052】
■場合2:上記場合1以外の場合(周期ムラが発生し易い環境条件の場合)
【0053】
この場合、図8Aに示すように、階調パターン50−1、50−2は、中間転写ベルト11上に2個形成される。このように、2個の階調パターン50−1、50−2を形成するのは、場合2では、図8Bに示すように、現像ローラ35の周期に対応する周期ムラが発生するためである。
【0054】
2個の階調パターン50−1、50−2の間隔(シフト量)は、現像ローラ35の周期のムラを打ち消すように、現像ローラ35の1周に相当する中間転写ベルト11上の長さの1/2の3倍となるような間隔とする。現像ローラ35の1周に相当する中間転写ベルト11上での長さが33.5mmならば、間隔(シフト量)は50.25mmとする。
【0055】
なお、階調パターン50の間隔(シフト量)を、周期の1/2の奇数倍に設定すれば、周期ムラを打ち消すことができる。また、階調パターン50の間隔(シフト量)は、周期の1/3や他の値でもよく、要は、周期ムラを打ち消すことができる間隔であればよい。つまり、加算したときに、周期ムラによる濃度の上下変動が打ち消させる位置に、階調パターン50を形成すればよい。
【0056】
図9は、階調パターンの配置をさらに説明を分かり易くするために、階調パターン50−1、50−2の中にそれぞれ存在する1つの階調パッチに着目して、この1つの階調パッチのみを図示したものである。図9(b)に示すように、2つの階調パッチを、例えば、周期ムラによって濃度が最も高くなる位置と、濃度が最も低くなる位置とに、形成すればよい。図9(b)の例では、2つの階調パッチは、3/2周期シフトした位置に形成されている。
【0057】
ここで、図8Aの階調パターン50−1、50−2をトナーセンサー17で検出したときのトナーセンサー出力値(V)において、1個目の階調パターン50−1のトナーセンサー出力値(V)を、IDC0_1、IDC10_1、IDC20_1、IDC30_1、IDC40_1、IDC50_1、IDC60_1、IDC70_1、IDC80_1、IDC90_1、IDC100_1 とし、2個目の階調パターン50−2のトナーセンサー出力値(V)を、IDC0_2、IDC10_2、IDC20_2、IDC30_2、IDC40_2、IDC50_2、IDC60_2、IDC70_2、IDC80_2、IDC90_2、IDC100_2 とする。そして、次式に示すように、各階調パッチごとに2個の検出値を平均する。次式において、IDC0_ave、IDC10_ave、IDC20_ave、IDC30_ave、IDC40_ave、IDC50_ave、IDC60_ave、IDC70_ave、IDC80_ave、IDC90_ave、IDC100_aveは、各階調ごとの平均値である。
IDC0_ave=(IDC0_1 + IDC0_2)/2
IDC10_ave=(IDC10_1 + IDC10_2)/2
:
:
IDC100_ave=(IDC100_1 + IDC100_2)/2
【0058】
画像形成装置100は、各階調パッチそれぞれについて求めた上記平均値を、あらかじめ定めておいた変換式(図5)を用いて、濃度検出値に変換する。
【0059】
場合1及び場合2のいずれの場合においても、上述したように各階調の濃度検出値が得られたら、次に、濃度検出値に基づいて階調補正を行うための階調変換テーブル(図6の曲線L3)を算出して、これを保存する。実際の印刷時には、この階調変換テーブルを用いて、元画像濃度データを補正濃度制御データに変換して、画像形成ユニット12−1〜12−4のトナー像形成動作を制御することで、階調特性を線形にすることができる。
【0060】
次に、図10を用いて、本実施の形態による階調補正の処理手順について説明する。
【0061】
画像形成装置100は、先ず、ステップS0で処理を開始し、続くステップS1で階調補正を行うタイミングか否か判断する。画像形成装置100は、階調補正を行うタイミング(すなわち、電源投入時や、スリープ復帰時、ある所定の印刷枚数に達したとき、あるいは、外部環境が大きく変わったタイミング)になると(ステップS1;YES)、ステップS2に進む。
【0062】
画像形成装置100の制御部40は、ステップS2で、湿度が40%〜60%、かつ、温度が18℃〜25℃であるか否か判断する。この湿度閾値及び温度閾値は、装置の性能に応じて適宜設定すればよい。
【0063】
画像形成装置100は、ステップS2で肯定結果を得ると(ステップS2;YES)、つまり、制御部40によって、周期ムラが発生する環境条件であると判断されると、ステップS3で、画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって、中間転写ベルト11上に1個の階調パターン50を形成し(図7A参照)、続くステップS4で階調パターン50を構成する各階調のパッチをトナーセンサー17により検出する。
【0064】
これに対して、画像形成装置100は、ステップS2で否定結果を得ると(ステップS2;NO)、つまり、制御部40によって、周期ムラが発生しない環境条件であると判断されると、ステップS5で、画像形成ユニット12(12−1〜12−4)によって、中間転写ベルト11上に2個の階調パターン50−1、50−2を形成し(図8A参照)、続くステップS6で階調パターン50−1、50−2を構成する各階調のパッチをトナーセンサー17により検出し、続くステップS7で各階調ごとに検出値を平均する。
【0065】
画像形成装置100は、ステップS8で、各階調ごとに、トナーセンサー検出値を濃度検出値に変換する。ステップS9では、濃度検出値から階調特性を算出する。ステップS10では、得られた階調特性から、階調変換テーブルを算出することで、階調補正を行う。具体的には、図6の曲線L3を階調補正後の階調変換テーブルとして作成する。ステップS11では、階調補正の結果を、印字中の設定に反映する。そして、ステップS12で、階調補正処理手順を終了する。
【0066】
[4]実施の形態の効果
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像形成装置100がおかれた環境条件(実施の形態の場合には、湿度及び温度)に応じて、階調補正用のトナー像(実施の形態の場合には、階調パターン50)の配置、及び、個数を決定したことにより、無駄な階調補正用のトナー消費や階調補正時間の増加を抑制しつつ、高精度の階調補正を行うことができる。
【0067】
つまり、周期ムラが生じ難い環境下では、階調補正用のトナー像の個数を1個とすることで、無駄な階調補正用のトナー消費及び階調補正時間の増加を抑制できる。一方、周期ムラが生じ難い環境下では、階調補正用のトナー像の個数を複数個とし、かつ、この複数のトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置したことにより、高精度の階調補正を行うことができる。
【0068】
[5]他の実施の形態
なお、上述の実施の形態では、環境条件(湿度及び温度)に応じて、階調補正用のトナー像(階調パターン50)の個数、及び、階調補正用のトナー像の配置を変更する場合について述べたが、階調補正用のトナー像(階調パターン50)の個数は変えずに、階調補正用のトナー像(階調パターン50)の配置のみを変えてもよい。
【0069】
図11Aは、周期ムラが発生し難い環境条件の場合(場合1)における、階調パターン50の配置の様子を示したものである。なお、図11Bは、周期ムラの様子を示す(周期ムラが無い状態を示す)図である。つまり、図10のステップS3において、階調パターンを1個作成するのではなく、図11Aのような配置の階調パターン50−1、50−2を作成し、その間隔を図8Aとは異なるようにする。なお、周期ムラが発生し易い環境条件の場合(場合2)における、階調パターン50の配置は、図8Aに示すようにすればよい。
【0070】
図11Aは、図8Aと比較して、階調パターン50−1、50−2の個数は同じで、配置のみが異なる。図11Aの階調パターン50−1、50−2は、図8Aの階調パターン50−1、50−2においては周期ムラが打ち消される間隔で配置されているのに対して、間隔を空けずに配置されている。このようにすることで、周期ムラが発生し難い環境条件下での階調補正の所要時間を短縮できるようになる。つまり、周期ムラが発生し難い環境条件下では、周期ムラが打ち消される間隔で階調パターン50−1、50−2を配置する必要が無いので、階調パターン50−1、50−2の間隔をそれよりも短くして、階調補正の所要時間の短縮を図る。なお、図11Aの階調パターン50−1、50−2の間隔は、0に限らず、周期ムラが打ち消される間隔よりも短い間隔であれば、同様に時間短縮効果を得ることができる。
【0071】
また、上述の実施の形態では、周期ムラが生じ易い環境条件(場合2)に形成する階調パターンの個数を2個としたが、この個数は2個に限らず、例えば3個でも4個でもよい。要は、周期ムラが生じ易い環境条件(場合2)では、階調補正用のトナー像の個数を複数とし、かつ、この複数のトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置すればよい。
【0072】
また、上述の実施の形態では、周期ムラが発生しないと判断された場合のトナー像(階調パターン)の個数を1個とした場合について述べたが、これに限らない。要は、周期ムラが発生する環境条件であると判断された場合には、周期ムラが発生しない環境条件であると判断された場合よりも、階調補正用のトナー像の個数を増やすようにすればよい。
【0073】
また、上述の例では、濃度を検出するための階調パターンとして、階調の異なる10個の階調パッチP1〜P10からなる階調パターン50を用いたが、階調パターンを構成する階調パッチの数は10個に限らない。
【0074】
また、上述の例では、階調パターンの配置位置を、現像ローラ35の回転周期に基づいて選定したが、階調パターンの配置位置は、感光ドラム31の周期、又は、中間転写ベルト11の周期に基づいて、選定してもよい。要は、周期ムラの原因となるデバイスの周期に基づいて、階調パターンの配置位置を選定すればよい。
【0075】
周期ムラが生じ易い環境条件の場合に、感光ドラム31の周期に基づいて階調パターンの配置位置を選定するには(つまりトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置するには)、図8Aに示したように、2個の階調パターン50−1、50−2を、感光ドラム31の回転周期の半分の奇数倍だけシフトさせて配置すればよい。また、周期ムラが生じ易い環境条件の場合に、中間転写ベルト11の周期に基づいて、階調パターンの配置位置を選定するには(つまりトナー像を周期ムラが打ち消される間隔で配置するには)、図8Aに示したように、2個の階調パターン50−1、50−2を、中間転写ベルト11の回転周期の半分の奇数倍だけシフトさせて配置すればよい。
【0076】
また、上述の例では、中間転写ベルト11が像担持体である画像形成装置100を例に説明したが、感光ベルト、感光ドラム、又は、中間転写ドラムが像担持体である画像形成装置にも同様に適用できる。
【0077】
さらに、本発明の画像形成装置は、フルカラーの複写機、プリンタ、FAX、又は、これらの複合機などのいずれにでも適用できる。
【0078】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記各装置の構成および動作についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0079】
10 作像装置
11 中間転写ベルト
12−1、12−2、12−3、12−4 画像形成ユニット
17 トナーセンサー
31 感光ドラム
32 帯電装置
33 露光装置
34 現像器
35 現像ローラ
40 制御部
41 湿度温度センサー
50 階調パターン
100 画像形成装置
S 記録紙
P1〜P10 階調パッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上にトナー像を形成する画像形成ユニットと、前記画像形成ユニットにより形成された階調補正用のトナー像の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、前記濃度検出部によって得た濃度検出結果に基づいて階調補正を行う画像形成装置であって、
前記画像形成ユニットは、前記画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成ユニットは、前記画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置に加えて、前記階調補正用のトナー像の個数を決定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記環境条件が、前記トナー像の濃度に周期ムラが発生する条件であるか否かを判断する判断部を具備し、
前記画像形成ユニットは、
前記判断部によって前記周期ムラが発生する環境条件であると判断された場合には、前記階調補正用のトナー像を、前記周期ムラが打ち消される間隔で配置し、
前記判断部によって前記周期ムラが発生しない環境条件であると判断された場合には、前記階調補正用のトナー像を、前記周期ムラが打ち消される間隔よりも短い間隔で配置する、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記環境条件が、前記トナー像の濃度に周期ムラが発生する条件であるか否かを判断する判断部を具備し、
前記画像形成ユニットは、
前記判断部によって前記周期ムラが発生する環境条件であると判断された場合には、前記判断部によって前記周期ムラが発生しない環境条件であると判断された場合よりも、前記階調補正用のトナー像の個数を増やす、
請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記環境条件は、湿度である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記環境条件は、温度である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置の像担持体上に階調補正用のトナー像を形成する階調補正用トナー像形成方法であって、
前記画像形成装置がおかれた環境条件を検出するステップと、
検出した前記環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定して、前記像担持体上に形成するステップと、
を含む階調補正用トナー像形成方法。
【請求項8】
さらに、前記環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の個数を決定するステップを含む、
請求項7に記載の階調補正用トナー像形成方法。
【請求項1】
像担持体上にトナー像を形成する画像形成ユニットと、前記画像形成ユニットにより形成された階調補正用のトナー像の濃度を検出する濃度検出部と、を有し、前記濃度検出部によって得た濃度検出結果に基づいて階調補正を行う画像形成装置であって、
前記画像形成ユニットは、前記画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成ユニットは、前記画像形成装置がおかれた環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置に加えて、前記階調補正用のトナー像の個数を決定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記環境条件が、前記トナー像の濃度に周期ムラが発生する条件であるか否かを判断する判断部を具備し、
前記画像形成ユニットは、
前記判断部によって前記周期ムラが発生する環境条件であると判断された場合には、前記階調補正用のトナー像を、前記周期ムラが打ち消される間隔で配置し、
前記判断部によって前記周期ムラが発生しない環境条件であると判断された場合には、前記階調補正用のトナー像を、前記周期ムラが打ち消される間隔よりも短い間隔で配置する、
請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記環境条件が、前記トナー像の濃度に周期ムラが発生する条件であるか否かを判断する判断部を具備し、
前記画像形成ユニットは、
前記判断部によって前記周期ムラが発生する環境条件であると判断された場合には、前記判断部によって前記周期ムラが発生しない環境条件であると判断された場合よりも、前記階調補正用のトナー像の個数を増やす、
請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記環境条件は、湿度である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記環境条件は、温度である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置の像担持体上に階調補正用のトナー像を形成する階調補正用トナー像形成方法であって、
前記画像形成装置がおかれた環境条件を検出するステップと、
検出した前記環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の配置を決定して、前記像担持体上に形成するステップと、
を含む階調補正用トナー像形成方法。
【請求項8】
さらに、前記環境条件に応じて、前記階調補正用のトナー像の個数を決定するステップを含む、
請求項7に記載の階調補正用トナー像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−109208(P2013−109208A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255000(P2011−255000)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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