説明

画像形成装置

【課題】 複数の像担持体に対する静電潜像書き込み用の光を出射するLSUに設けられた複数の出射口を被覆する複数の防塵ガラスを簡素な構成で一括して清掃することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 所定の駆動手段から回転軸51に駆動力が伝達されて偏心カム52(52a,52b)が回転駆動することにより連結部材43に駆動力が伝達され,該連結部材43(43a,43b)で連結された複数のゴムブレード41(41BK,41M,41Y,41C)が防塵ガラス32(32BK,32M,32Y,32C)の表面に接触しながら一斉に駆動するため,該防塵ガラス32(32BK,32M,32Y,32C)の表面が一括して清掃される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,像担持体に対して静電潜像書き込み用の光を出射する光走査ユニットに設けられた出射口を被覆する透光性部材(防塵ガラス等)の清掃技術に関し,特に,前記透光性部材が複数設けられる場合の該透光性部材の清掃技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置(プリンタ,複写機,ファクシミリ装置等)では,所定電位に一様に帯電された感光体ドラム(像担持体)に静電潜像を書き込むために,レーザービーム等のビーム光が用いられる。このビーム光は,ビーム光源やポリゴンミラー,fθレンズ,偏向ミラー等の光学機器が組み込まれ,前記感光体ドラムへビーム光を出射する出射口が設けられた光走査ユニット(以下「LSU」という)により,前記感光体ドラムに対して出射される。そして,この出射されたビーム光により前記感光体ドラムの表面に形成された静電潜像は,現像装置によるトナーの付着によってトナー像として顕像化された後,記録紙に転写・定着される。
ところで,現像装置から感光体ドラムへ付着されるトナーは,その付着過程や感光体ドラムの回転時や感光体ドラムの残留トナーを回収(クリーニング)する際などに,感光体ドラムから剥離して画像形成装置内部に浮遊することがある。したがって,一般に,前記LSUの出射口には,トナーがLSU内部に入り込んで前記光学機器に付着しないように,その出射口を被覆する防塵ガラス(透光性部材)が設けられる。特に,前記LSUが前記感光体ドラム等の下部に設けられる場合には,該感光体ドラムから剥落したトナーが前記LSUへ侵入する危険性が高いため,必要不可欠なものである。
ここで,前記のように防塵ガラスを設けることによって前記光学機器へのトナーの付着を防止することができるが,前記防塵ガラスにはトナー等の塵埃が付着することとなる。この防塵ガラスに塵埃が付着すると,前記ビーム光源から前記感光体ドラムへ導かれるべきビーム光がその塵埃により遮られるなど,該防塵ガラスの光の透過性が悪くなり,以後の画像形成処理時に該感光体ドラムへの正確な静電潜像の形成が行われないという問題が生じる。
そのため,画像形成装置には,その防塵ガラスを清掃する清掃装置が設けられることがある。この清掃装置の一例として,防塵ガラスの表面に接触させた清掃部材(ブラシ,ブレード等)を摺動させることにより,その防塵ガラスの表面を清掃する清掃装置が知られている(例えば,特許文献1)。一方,特許文献1には,清掃部材を摺動させるための駆動源と,帯電装置の帯電部材(放電ワイヤー)の清掃を行う清掃部材の駆動源とを兼用する技術が提案されており,これによって,装置の小型化及びコストの低減が図られている。
【特許文献1】特開2002−268341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで,ブラック,マゼンダ,イエロー,シアンの4色のトナー像が形成される複数の感光体ドラムが並設されるタンデム方式の画像形成装置では,LSUからその複数の感光体ドラム各々に対して静電潜像書き込み用のビーム光が出射される。そのため,前記LSUには,その複数の感光体ドラム各々に対応する複数の出射口及びその出射口各々を被覆する複数の防塵ガラスが設けられる。したがって,この場合には,その複数の防塵ガラスを清掃する必要がある。
しかしながら,従来,このように複数の防塵ガラスを清掃し得る画像形成装置は提案されておらず,ユーザやサービスマン等が適宜その複数の防塵ガラスを清掃する必要があり,このような作業を強いられるユーザやサービスマン等の大きな負担となっている。
また,例えば特許文献1に記載された画像形成装置のように一つの防塵ガラスを清掃する清掃装置を前記複数の防塵ガラス各々に対応して設ければ,該複数の防塵ガラスの清掃は可能となるが,このように画像形成装置を構成すると,装置の大型化が否めず,さらに,部品点数及びコストが増大するという問題が伴うこととなる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,複数の像担持体に対する静電潜像書き込み用の光を出射するLSUに設けられた複数の出射口を被覆する複数の防塵ガラスを簡素な構成で一括して清掃することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,並設された複数の像担持体に対して静電潜像書き込み用の光を出射する光学機器が組み込まれ,前記光の出射口及び該出射口を被覆する透光性部材が複数設けられた光走査ユニットを具備する画像形成装置に適用されるものであり,前記複数の透光性部材各々に位置対応して配設され前記透光性部材の表面に付着したトナー等の塵埃を除去する複数の塵埃除去部材が連結部材で一体に連結されて構成される。さらに,所定の駆動手段から伝達される駆動力を得て前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を一斉に駆動させる駆動機構が設けられて構成される。
このように構成された前記画像形成装置によれば,前記駆動機構によって前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を一斉に駆動させることにより,前記複数の透光性部材を一括して清掃することが可能となる。さらに,このように前記複数の透光性部材を一括して清掃し得る当該画像形成装置の構成は,前述したような従来の清掃装置を複数設ける構成に比べて簡素化されているため,該画像形成装置の大型化を抑制すると共に,部品点数及びコストの増大を抑制し得る。
ここに,前記塵埃除去部材は,前記透光性部材に接触するブラシを有するローラ部材などであってもよいが,弾性を有するブレード部材からなる簡易的なものを用いることが当該画像形成装置の構成を簡素化する上で好適である。
さらに,前記所定の駆動手段が,当該画像形成装置において他の部材を駆動する手段を兼ねていることが望ましい。これにより,当該画像形成装置の構成が簡素化され,装置の大型化の抑制,部品点数及びコストの低減が達成される。
【0005】
また,前記複数の塵埃除去部材により前記複数の透光性部材の表面に付着した塵埃を除去する際には,前記駆動機構により,前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を前記複数の透光性部材の表面に沿って摺動させることが考えられる。より具体的には,前記所定の駆動手段から伝達される駆動力を得て回転駆動することにより前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を一方向へ摺動させる偏心カムと,前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を前記偏心カムによる摺動方向とは逆方向に付勢する付勢手段と,を設けておき,前記偏心カム及び前記付勢手段により前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を往復動させる構成が考えられる。これにより,前記複数の透光性部材の表面が前記複数の塵埃除去部材によって一括清掃される。
【0006】
さらに,前記駆動機構による前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材の駆動を制御し得る構成が望ましい。より具体的には,前記所定の駆動手段から前記駆動機構への駆動力の伝達の有無を切り換えるクラッチと,該クラッチによる切り換えを通電状態に応じて制御するソレノイドとを設けておき,前記ソレノイドへの通電の有無を制御することによって,前記駆動機構による前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材の駆動を制御する構成が考えられる。これにより,前記透光性部材の清掃タイミングを任意に設定することが可能となる。また,前記所定の駆動手段から前記駆動機構への不必要な駆動力の伝達を規制することができ,前述したように前記所定の駆動手段が当該画像形成装置における他の駆動手段を兼ねている場合であっても,該駆動手段の駆動中に前記駆動機構への駆動力の伝達を規制しておくことが可能であるから,兼用する駆動手段の選択幅が広がる。
ところで,前記光走査ユニットを備えた前記画像形成装置では,画像形成の処理速度を上げる観点等から前記光走査ユニットが前記像担持体よりも下部に配設されることがあるが,この場合には,前記像担持体などから剥落したトナーが前記光走査ユニットの防塵ガラスへ付着しやすい。したがって,本発明は,特に,前記光走査ユニットが前記像担持体よりも下部に設けられる画像形成装置に好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,複数の像担持体に対する静電潜像書き込み用の光を出射する光走査ユニットに設けられた複数の出射口を被覆する複数の防塵ガラスを一括して清掃することが可能となり,また,このように前記複数の透光性部材を一括して清掃し得る当該画像形成装置の構成は,前述したような従来の清掃装置を複数設ける構成に比べて簡素化されているため,該画像形成装置の大型化を抑制すると共に,部品点数及びコストの増大を抑制し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るカラープリンタAの概略構成図,図2は前記カラープリンタAに設けられた光走査ユニットXの分解図である。
まず,図1を用いて本発明の実施の形態に係るカラープリンタA(画像形成装置の一例)の概略構成について説明する。
図1に示すように,本発明の実施の形態に係るカラープリンタAは,トナー像を形成し,これを転写することにより印刷用紙に印字を行う印字部α1,前記印刷用紙を前記印字部α1に供給する給紙部α2,印字の行われた前記印刷用紙を排紙する排紙部α3,を有して構成されている。
パーソナルコンピュータ等の外部装置から不図示の通信部により受信された画像情報は,不図示の画像処理制御部(CPUやASICなど)によりブラック(BK),マゼンダ(M),イエロー(Y),シアン(C),の4色各々に対する濃淡値情報に変換される。
【0009】
前記印字部α1は,前記4色各々に対応して並設された感光体ドラム1(ブラック用感光体ドラム1BK,マゼンダ用感光体ドラム1M,イエロー用感光体ドラム1Y,シアン用感光体ドラム1C;像担持体の一例),前記感光体ドラム1各々に対して静電潜像書き込み用のビーム光を出射する後述の光学機器が組み込まれたユニット本体部X1及び該ユニット本体部X1の上面蓋X1a(図2参照)と一体に構成された清掃装置X2からなる光走査ユニットX,前記4色各々に対応する現像装置6(ブラック用現像装置6BK,マゼンダ用現像装置6M,イエロー用現像装置6Y,シアン用現像装置6C),中間転写ベルト7,搬送ローラ8,及び定着装置9などを有して概略構成されている。
本実施の形態に係るカラープリンタAは,前記光走査ユニットXの上面蓋X1aに設けられた後述する複数の防塵ガラス32(透光性部材の一例)を一斉に清掃することのできる前記清掃装置X2の構成に特徴を有しており,この点については後段において詳説する。なお,本実施の形態では前記4色各々に対応して4つの感光体ドラム1(1BK,1M,1Y,1C)が設けられる前記カラープリンタAについて述べるが,本発明はこれに限られず,少なくとも二以上の感光体ドラムを有する画像形成装置に適用可能である。
【0010】
前記光走査ユニットXは,前記感光体ドラム1各々に対して静電潜像書き込み用のビーム光を出射する光学機器,例えば,ビーム光を出力するビーム光源2(図2参照,ブラック用ビーム光源2BK,マゼンダ用ビーム光源2M,イエロー用ビーム光源2Y,シアン用ビーム光源2C),偏向ミラー3(3BK1,3M1〜3,3Y1〜2,3C1〜2),ポリゴンミラー4(回転多面鏡),fθレンズ等の各種レンズ5(5BK,5M,5Y,5C)等が組み込まれてユニット化されたものである。
前記画像処理制御部は,前記濃淡値情報に基づいてビーム光を出力する前記光走査ユニットXのビーム光源2各々を制御することにより,ブラック(BK),マゼンダ(M),イエロー(Y),シアン(C)の4色各々に対応した感光体ドラム1各々に対してビーム光を出射させる。ここで,前記ビーム光源2各々から出射されたビーム光は,前記光走査ユニットXに組み込まれた前記光学機器により前記感光体ドラム1各々に導かれ,該感光体ドラム1各々の表面に静電潜像が形成される。そして,前記感光体ドラム1各々に対応する前記現像装置6各々に設けられた現像ローラ上のトナーが,その感光体ドラム1各々と現像ローラ6各々との電位ギャップ(現像バイアス)に応じて前記感光体ドラム1各々の表面上に引き寄せられ,前記静電潜像はそのトナーによりトナー像として顕像化される。
【0011】
前記給紙部α2は,給紙カセット10,給紙ローラ11等を有して概略構成される。前記給紙カセット10には,予め印刷用紙が載置されている。ユーザによる印字要求(例えば,前記通信部を通じた画像情報(印刷ジョブ)の入力)に基づいて,前記画像処理制御部の制御により前記給紙ローラ11が回転駆動され,これにより前記給紙カセット10に載置されている前記印刷用紙が,前記印字部α1に搬送される。
前記給紙部α2からの前記印刷用紙は,前記搬送ローラ8により搬送される。一方,前記感光体ドラム1各々の表面上に形成された前記トナー像は,前記中間転写ベルト7に転写され,その中間転写ベルト7に転写されたトナー像は該中間転写ベルト7の駆動によって,前記搬送ローラ8により搬送された前記印刷用紙に転写される。そして,前記トナー像が転写された前記印刷用紙は前記定着装置9に搬送され,例えば熱ローラ等により前記印刷用紙に定着される。その後,前記トナー像が定着された前記印刷用紙は,前記排紙部α3に排紙される。
【0012】
次に,図2を用いて,前記光走査ユニットXについて詳説する。ここに,図2は,前記光走査ユニットXのユニット本体部X1及び前記光走査ユニットXの上面蓋X1aと一体に構成された前記清掃装置X2の概略構成図であり,図示する破線は,前記ユニット本体部X1と前記清掃装置X2との組み立て対応位置を示している。
前記ユニット本体部X1には,前述したようにビーム光源2,偏向ミラー3,ポリゴンミラー4,レンズ5(図1参照)等の光学機器が組み込まれている。一方,前記光走査ユニットXの上面蓋X1aには,該光学機器の上方に位置する前記感光体ドラム1各々(図1参照)に対してビーム光を出射するための複数の出射口31(31BK,31M,31Y,31C)が形成されている(図2の部分拡大図A参照)。また,前記出射口31から前記ユニット本体部X1へのトナー等の塵埃の侵入を防止するため,前記出射口31各々は,前記ビーム光を透過する防塵ガラス32(32BK,32M,32Y,32C)で被覆されている(図2の部分拡大図A参照)。したがって,前記光走査ユニットXのユニット本体部X1に組み込まれた前記光学機器から出射されたビーム光は,前記上面蓋X1aの出射口31各々の防塵ガラス32を透過して前記感光体ドラム1各々に対して照射される。
ところで,前記防塵ガラス32が塵埃の付着により汚れていれば,前記感光体ドラム1に対するビーム光の照射が正常に行われず,形成される画像の精度が劣化する。特に,前記防塵ガラス32の前記感光体ドラム1側の表面には,前記感光体ドラム1や前記現像装置6等から剥落したトナーが付着するおそれがあり汚れる可能性が高い。そのため,前述したように前記光走査ユニットXは,上面蓋X1aと一体に構成されて該上面蓋X1aの防塵ガラス32を一斉に清掃し得る清掃装置X2を備えている。
【0013】
前記清掃装置X2は,前記上面蓋X1a,連結清掃部材40,図示しない所定の駆動モータ(駆動手段の一例)からの駆動力の伝達を得て前記連結清掃部材40を駆動する後述の駆動機構,前記所定の駆動モータから前記駆動機構への駆動力の伝達の有無を制御することにより該駆動機構による前記連結清掃部材40の駆動を制御する後述の駆動制御機構(駆動制御手段の一例)などを有して概略構成されている。なお,前記所定の駆動モータは,前記清掃装置X2にのみ用いられるものであってもよいが,本実施の形態における前記所定の駆動モータは,前記カラープリンタAにおいて前記搬送ローラ8を駆動する手段を兼ねたものである。これにより,前記清掃装置X2を具備することによる前記カラープリンタAの大型化が抑制される。なお,前記所定の駆動モータは前記搬送ローラ8を駆動する手段に限られず,その他,前記プリンタAにおいて前記感光体ドラム1等の他の部材を駆動する手段を兼ねたものであってもかまわない。また,本実施の形態における前記清掃装置X2は,前記光走査ユニットXの上面蓋X1aと一体に構成されているが,これに限られず,前記上面蓋X1aと分離して構成されて前記光走査ユニットXの上部に装着される実施例も考えられる。
【0014】
前記連結清掃部材40は,前記防塵ガラス32の長手方向と略同じ長さに形成された弾性を有する複数のゴムブレード41(41BK,41M,41Y,41C;塵埃除去部材の一例)と,部分拡大図Aに示すように該ゴムブレード41各々を保持する保持部材42(42BK,42M,42Y,42C)と,前記保持部材42各々の両端部それぞれを連結することにより前記複数のゴムブレード41を一体に連結する連結部材43(43a,43b)と,を有して構成されている。
前記ゴムブレード41各々は,前記防塵ガラス32各々に位置対応して表面に接触(圧接)した状態で配設されており(図2の部分拡大図A参照),前記防塵ガラス32の表面に沿って動作することにより該防塵ガラス32の表面に付着したトナー等の塵埃を除去し得るものである。なお,前記防塵ガラス32に付着した塵埃を除去する前記ゴムブレード41の他の実施例としては,例えばブラシを有するローラ部材を用いることも考えられ,また,これに限定されるものではない。
また,前記連結部材43(43a,43b)は,前記上面蓋X1aに設けられたレール溝X1b(X1b−1,X1b−2)に嵌め込まれており,該レール溝X1b(X1b−1,X1b−2)に沿って摺動自在な状態にある。この連結部材43(43a,43b)に前記駆動機構により駆動力が伝達されることによって,該連結清掃部材40が前記レール溝X1bに沿って摺動し,即ち前記連結部材43(43a,43b)で連結された前記複数のゴムブレード41(41BK,41M,41Y,41C)が前記複数の防塵ガラス32(32BK,32M,32Y,32C)の表面に沿って一斉に摺動することとなる。
本実施の形態における前記駆動機構は,前記所定の駆動モータの回転軸(不図示)に連結されて該回転軸と同期回転する回転軸51と,該回転軸51に軸支されて回転駆動することにより前記連結清掃部材40の連結部材43を押圧して一方向(図2の矢印S)に摺動させる偏心カム52(52a,52b)と,前記偏心カム52により前記連結清掃部材40が摺動される方向とは逆方向(図2の矢印R)に対して該連結清掃部材40の連結部材43を弾性付勢するバネ53(53a,53b;付勢手段の一例)と,を有して構成されている。前記偏心カム52(52a,52b)は,円の中心点からずれた所に回転駆動の中心となる前記回転軸51が挿通された偏心輪であって,該偏心カム52(52a,52b)の回転運動は前記連結部材43(43a,43b)の往復運動に変換される。前記バネ53(53a,53b)は,前記連結部材43(43a,43b)のバネ53側の端部から突起して設けられたピン54(54a,54b)に貫装されており,このピン54(54a,54b)は,前記上面蓋X1aに設けられた突起部55(55a,55b)に形成された孔に挿通されている。
このように構成された駆動機構では,前記連結部材42が前記偏心カム52の回転駆動により一方向(図2の矢印S)に押圧されて摺動されると,前記バネ53が前記連結部材42と前記突起部55とに挟まれて圧縮されて該連結部材42に逆方向(図2の矢印R)の付勢力が作用する。したがって,前記連結部材42を有する前記連結清掃部材40は,前記偏心カム52の回転駆動に伴って該偏心カム52における中心点と前記回転軸51とのズレ幅分だけに往復動することとなる。なお,前記偏心カム52における中心点と前記回転軸51とのズレ幅は,前記防塵ガラス32の短手方向の幅と略同寸法となるように設定されている。したがって,このときの前記連結清掃部材40の往復動,即ち前記複数のゴムブレード41の往復動により前記複数の防塵ガラス32は一斉に清掃されることとなる。
ところで,前述したように,前記駆動機構に伝達される駆動力の駆動源である前記所定の駆動モータは前記搬送ローラ8を駆動する手段を兼ねているため,前記駆動機構には,前記搬送ローラ8の回転駆動時に駆動力が伝達されることとなる。しかし,これでは前記駆動機構が不要に前記連結清掃部材40の駆動を繰り返して,騒音や前記ゴムブレード41を無駄に消費するという問題が生じる。そのため,本実施の形態に係るカラープリンタAには,この問題を改善し得る前記駆動制御機構が設けられている。
【0015】
前記駆動制御機構は,前記所定の駆動モータから前記駆動機構への駆動力の伝達の有無を制御することにより,前記駆動機構による前記連結清掃部材40の駆動を制御するものであって,前記所定の駆動モータの回転軸から前記回転軸51への駆動力の伝達の有無を切り替えるクラッチ61と,非通電状態で前記回転軸51の不図示のギヤなどに係合して該回転軸51の回転駆動を停止させるソレノイド62と,を有して構成されている。なお,前記ソレノイド62の通電状態の切り換えは,前記画像処理制御部により行われ,これにより前記回転軸51の回転駆動が制御される。前記クラッチ61は,前記ソレノイド62の動作により前記回転軸51の回転駆動が停止された場合に,前記所定の駆動モータの回転軸を空回りさせて前記回転軸51への駆動力の伝達を遮断するものであり,例えば一方向にのみ回転駆動するいわゆるワンウェイクラッチ等が用いられる。これにより,前記所定の駆動モータへの過負荷が防止される。また,前記回転軸51のギヤに,前記ソレノイド62と係合する歯がその外周の一部にのみ設けられたものを用いることにより,前記ソレノイド62への通電はその一部の歯との係合が解かれる瞬時的なものであればよく,該ソレノイド62の保護に好適である。
このように構成された前記駆動制御手段により,前記ソレノイド62が非通電状態である場合には,前記所定の駆動モータが駆動しても,その駆動力が前記駆動機構の回転軸51に伝達されないため前記連結清掃部材40が駆動されることはない。したがって,前記所定の駆動モータが駆動している間であれば,前記清掃装置X2における前記防塵ガラス32の清掃,即ち前記複数のゴムブレード41の一斉駆動は,前記ソレノイド62への通電の有無を制御することにより容易に制御することができる。なお,前記画像処理制御部の制御による前記ソレノイド62への通電は,例えば前記カラープリンタAの電源投入時や画像形成処理の実行の前後などに行われる。
【0016】
以上のように構成された前記清掃装置X2を具備する前記カラープリンタAにおいては,前記所定の駆動モータが駆動している際に,前記画像形成処理部の制御により前記ソレノイド62に通電されると,該ソレノイド62による前記回転軸51の回転駆動の規制が解除されて,前記クラッチ61により前記駆動モータの駆動力が前記回転軸51に伝達され,前記偏心カム52が回転駆動することとなる。そして,前記偏心カム52が一回転する間に,前述したように前記偏心カム52と前記バネ53により前記連結清掃部材40が,前記防塵ガラス32の短手方向の幅分だけ往復動される。このとき,前記ゴムブレード41が前記防塵ガラス32の表面に接触しながら一斉に摺動されるため,該防塵ガラス32の表面が一括して清掃される。このように,前記清掃装置X2を具備する前記カラープリンタAの構成では,前述したような従来の清掃装置を複数設ける構成に比べて著しく簡素化されているため,装置の大型化を抑制すると共に,部品点数及びコストの増大を抑制し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラープリンタAの概略構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係るカラープリンタAに設けられた光走査ユニットXの分解図。
【符号の説明】
【0018】
A…プリンタ
X…光走査ユニット
X1…ユニット本体部
X1a…上面蓋
X1b−1,X1b−2…レール溝
X2…清掃装置
1BK,1M,1Y,1C…感光体ドラム
2BK,2M,2Y,2C…ビーム光源
3BK1,3M1〜3,3Y1〜2,3C1〜2…偏向ミラー
4…ポリゴンミラー
5…レンズ
6BK,6M,6Y,6C…現像装置
7…中間転写ベルト
8…搬送ローラ
9…定着装置
10…給紙カセット
11…給紙ローラ
31BK,31M,31Y,31C…出射口
32BK,32M,32Y,32C…防塵ガラス(透光性部材の一例)
40…連結清掃部材
41BK,41M,41Y,41C…ゴムブレード(塵埃除去部材の一例)
42BK,42M,42Y,42C…保持部材
43a,43b…連結部材
51…回転軸
52a,52b…偏心カム
53a,53b…バネ
54a,54b…ピン
55a,55b…突起部
61…クラッチ
62…ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数の像担持体に対して静電潜像書き込み用の光を出射する光学機器が組み込まれ,前記光の出射口及び該出射口を被覆する透光性部材が複数設けられた光走査ユニットを具備してなる画像形成装置であって,
前記複数の透光性部材各々に位置対応して配設され前記透光性部材の表面に付着した塵埃を除去する複数の塵埃除去部材と,
前記複数の塵埃除去部材を一体に連結する連結部材と,
所定の駆動手段から伝達される駆動力を得て前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を一斉に駆動させる駆動機構と,
を具備してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記塵埃除去部材が,弾性を有するブレード部材からなるものである請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の駆動手段が,当該画像形成装置において他の部材を駆動する手段を兼ねているものである請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記駆動機構が,前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を前記複数の透光性部材の表面に沿って摺動させるものである請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動機構が,
前記所定の駆動手段から伝達される駆動力を得て回転駆動することにより前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を一方向へ摺動させる偏心カムと,前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を前記偏心カムによる摺動方向とは逆方向に付勢する付勢手段と,を有してなり,
前記偏心カム及び前記付勢手段により前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材を往復動させるものである請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動機構による前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材の駆動を制御する駆動制御手段を更に具備してなる請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記駆動制御手段が,
前記所定の駆動手段から前記駆動機構への駆動力の伝達の有無を切り換えるクラッチと,前記クラッチによる切り換えを通電状態に応じて制御するソレノイドと,を有してなり,
前記ソレノイドへの通電の有無を制御することにより前記駆動機構による前記連結部材で連結された前記複数の塵埃除去部材の駆動を制御するものである請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−154228(P2006−154228A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344050(P2004−344050)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】