説明

画像形成装置

【課題】複数サイズの被走査体に対応する場合であっても、全サイズの被走査体の端部の位置を高い精度で検出して、適正な画像記録や画像読取を行うことができできる画像形成装置を提供することにある。
【解決手段】被走査体を所定の走査位置に搬送して、走査する画像形成装置であって、
走査位置に至る被走査体の搬送経路の途中に、被走査体の搬送方向と直交する方向の少なくとも一方の端部に対応して、端部を検出する端部検出手段を有し、端部検出手段が、対応する被走査体の端部に当接して回転する回転レバーと、回転レバーの回転角から端部を検出する検出手段とを有し、かつ、レバーの回転軸が、被走査体の搬送路が存在する平面以外に位置し、さらに、回転レバーの被走査体と当接する少なくとも一辺が、被走査体の搬送路を斜めに横切ることにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の技術分野に属し、詳しくは、複数のサイズの被走査体に対応する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラ等の普及により、撮影した画像データをカラープリンタで印刷して、カラープリントを作成する需要が増加している。
カラープリントを作成することのできるプリンタの1つに、カラー感熱プリンタが挙げられる。カラー感熱プリンタは、イエロー感熱発色層、マゼンタ感熱発色層、シアン感熱発色層を備えたカラー感熱記録紙にサーマルヘッドの発熱素子アレイを圧接させ、3色の感熱発色層を面順次で発色させてフルカラー画像を形成する。
また、カラープリントにおいては、特に、記録紙(記録媒体)の記録面を無駄にすることなく、記録面の全域に余白の無い描画が行われる縁無し印刷が望まれている。
【0003】
上述のようなカラー感熱プリンタを用いて、縁無しプリントを作成する場合には、通常、カラー感熱記録紙の幅より発熱素子アレイの幅を大きくしなければならない。
しかしながら、発熱素子アレイの発熱素子を全て発熱させ、カラー感熱記録紙に接触していない発熱素子まで発熱させると、いわゆる空発熱となり、発熱素子の寿命が短くなる。
そのため、感熱プリンタは、カラー感熱記録紙の位置を正確に把握して、この位置に対応する領域のみの発熱素子を発熱させるように制御しなければならない。
そこで、近年、カラー感熱記録紙の主走査方向(発熱素子アレイの延在方向)の端部の位置(以下、単に端部とする)を検出し、カラー感熱記録紙の正確な位置を把握して、カラー感熱記録紙に接触していない発熱素子に空発熱を行わせないように、この位置に対応する領域のみで発熱素子を発熱させるように制御するプリンタが種々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、記録紙の主走査方向位置に応じて回動する回動レバーと、この回動レバーの回動に連係して移動する検出板と、この検出板に移動方向に沿って形成された複数の光学的な被検出部と、この被検出部を検出する二相出力型エンコーダとからなる記録紙の主走査方向位置検出手段を設け、この検出手段によって、記録紙の端部を検出することにより、カラー感熱記録紙に接触していない発熱素子に空発熱を行わせないようにするプリンタが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004‐168029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているプリンタによれば、記録紙の端部を良好な安定性で検出し、カラー感熱記録紙に接触していない発熱素子に空発熱を行わせないように制御することは可能である。しかしながら、特許文献1に開示されているプリンタは、単一サイズの記録紙に対応するプリンタであり、一台で、複数のサイズの記録紙に対応する、すなわち、一台で、複数のサイズの記録紙に描画可能なプリンタではない。そのため、特許文献1に開示されるプリンタでは、一台で、複数のサイズの記録紙の端部を検出することはできない。
複数のサイズの記録紙の端部を検出するためには、各サイズの記録紙の端部に対応して、検出手段を配置する必要がある。仮に、特許文献1に開示されているプリンタの検出手段を各サイズの記録紙の端部に対応して配置しても、最小サイズ以外の記録紙を搬送する場合に、自身よりも小さいサイズに対応する検出手段が記録紙の搬送路に位置するため、記録紙Aが引っかかってしまい、記録紙を搬送することができない。
【0007】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、複数サイズの被走査体に対応する場合であっても、全サイズの被走査体の端部の位置を高い精度で検出して、適正な画像記録や画像読取を行うことができ、例えば、感熱記録装置に利用することにより、記録紙に接触していない発熱素子の空発熱を好適に防止することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被走査体を所定の走査位置に搬送して、走査する画像形成装置であって、前記走査位置に至る被走査体の搬送経路の途中に、前記被走査体の搬送方向と直交する方向の少なくとも一方の端部に対応して、前記端部を検出する端部検出手段を有し、前記端部検出手段が、対応する前記被走査体の前記端部に当接して回転する回転レバーと、前記回転レバーの回転角から前記端部を検出する検出手段とを有し、かつ、前記レバーの回転軸が、前記被走査体の搬送路が存在する平面以外に位置し、さらに、前記回転レバーの前記被走査体と当接する少なくとも一辺が、前記被走査体の搬送路を斜めに横切ることを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0009】
本発明においては、前記検出手段が、前記回転レバーと一体的に形成される検出部と、この検出部の回転量を検出する検出部材とを有し、前記検出部材による回転量の検出結果から前記端部の位置を検出するのが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記回転レバーの回転軸と前記被走査体の搬送路を含む平面とが交差するように前記検出手段を配置することにより、前記回転レバーの前記被走査体と当接する少なくとも一辺を、前記被走査体の搬送路を斜めに横切る状態とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置は、複数サイズの被走査体に対応する場合であっても、被走査体の主走査方向の端部の位置を高い精度で検出することができる。これにより、本発明の画像形成装置は、被走査体の位置を正確に把握して、適正な画像記録や画像読取、すなわち、適正な画像形成を行うことができる。
さらに、本発明の画像形成装置に関わる被走査体の端部の検出手段は、少ない構成要素で構成されているため、ローコスト化を促進することもできる。
特に、本発明の画像形成装置が感熱記録装置である場合には、感熱記録紙の端部の位置を高精度に検出することで、適正な感熱記録を行うことができることに加え、発熱素子の空発熱を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の画像形成装置を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の画像形成装置に係る感熱記録装置の一実施例を示す概略断面模式図である。
図1に示す感熱記録装置10は、所定のサイズのカットシートである感熱記録紙A(以下、記録紙Aとする)にサーマルヘッド66によって感熱記録を行うのものであり、記録紙Aが収容されたマガジン24が装填される第1装填部12および第2装填部14と、供給搬送部16と、サーマルヘッド66によって記録紙Aに感熱記録を行う記録部20と、搬出部22と、検出部80とを有する。
検出部80は、本発明の特徴的な部位であって、記録部20と供給搬送部16との間に位置する。
【0014】
このような感熱記録装置10は、供給搬送部16によって記録部20まで記録紙Aを搬送する途中で、検出部80において、記録紙Aの主走査方向(サーマルヘッドの発熱素子の配列方向=記録紙Aの搬送方向と直交する方向)の端部の位置(以下、単に端部とする)を検出し、この検出結果に応じてサーマルヘッド66を駆動させ、記録紙Aに感熱記録を行う。
【0015】
第1装填部12および第2装填部14は、共に、記録紙A(感熱記録材料)を収容するマガジン24を装填する部位である。マガジン24は、開閉自在な蓋体26を有する筐体である。
記録紙Aは、透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのフィルムや紙等を支持体として、その一面に感熱記録層を形成してなるものである。このような記録紙Aは、通常、100枚等の所定単位の積層体(束)とされて袋体や帯等で包装され、所定単位のまま感熱記録層を下面としてマガジン24に収容される。
【0016】
このようなマガジン24を装填する第1装填部12は、図示例の感熱記録装置10のハウジング28に形成された挿入口30aと、案内板32aと、二つの案内ロール34aと、停止部材36aとを有して構成される。他方、第2装填部14は、同様にハウジング28に形成された挿入口30bと、案内板32bと、二つの案内ロール34bと、停止部材36bとを有して構成される。
このような第1装填部12および第2装填部14は、基本的に、同様の構成を有するので、以下の説明は、第1装填部12を代表例として行う。
【0017】
案内板32a(32b)は、装填されたマガジン24の下面を支持するものである。また、案内ロール34a(34b)は、案内板32aと共に、マガジン24を上下面で挟持して、マガジン24の上下方向の位置決めを行うものである。
マガジン24は、蓋体26側を先にして、挿入口30aから感熱記録装置10に挿入され、案内板32aおよび案内ロール34aによって案内されつつ、停止部材36aに当接する位置まで押し込まれることにより、感熱記録装置10の所定位置に装填される。
【0018】
後に詳述するが、図示例の感熱記録装置10は、2種のサイズの記録紙Aに対応して感熱記録を行うことができる。
従ってこのような2つの装填部(第1装填部12および第2装填部14)を有し、互いに異なるサイズの記録紙Aを収容するマガジン24を装填することで、マガジン24の交換を行わなくても、異なる2種のサイズの記録紙Aに感熱記録画像を記録することが可能である。
図示例においては、一例として、第1装填部12に装填されるマガジン24には大サイズ記録紙A1が、第2装填部14に装填されるマガジン24には小サイズ記録紙A2が、それぞれ収容されている。
【0019】
図示例においては、供給搬送部16は、第1装填部12に対応する第1供給搬送部16aと、第2装填部14に対応する第2供給搬送部16bと、ガイド45と、規制ローラ対52とを有して構成される。第1供給搬送部16aおよび第2供給搬送部16bは、共に、記録紙Aをマガジン24から取り出して、搬送ガイド45に搬送する部位である。
このような第1供給搬送部16aおよび第2供給搬送部16bは、基本的に、同様の構成を有するもので、共に、吸盤40(40aおよび40b)を用いる枚葉機構と、搬送手段42(42aおよび42b)と、搬送ガイド44(44aおよび44b)とを有して構成される。
他方、第2供給搬送部16bは、同様に、吸盤40bを用いる枚葉機構と、搬送手段42bと、搬送ガイド44bとを有して構成される。
【0020】
枚葉機構(図示せず)は、吸盤を用いて、装填部に装填されたマガジン24から記録紙Aを取り出すものである。また、搬送手段42は、搬送ローラ46(46a、46b)、この搬送ローラ46と同軸のプーリ47(47a、47b)、回転駆動源(図示せず)に接続されるプーリ49(49a、49b)、テンションプーリ51(51a、51b)、この3つのプーリに張架されるエンドレスベルト48(48a、48b)、および、搬送ローラ46に押圧されるニップローラ50(50a、50b)とを有して構成され、吸盤40によって枚葉された記録紙Aの先端を搬送ローラ46とニップローラ50とによって挟持して、大サイズ記録紙A1を搬送するものである。また、搬送ガイド44は、供給された記録紙Aを、下流側に位置する搬送ガイド45まで案内するものである。
【0021】
搬送ガイド45は、第1供給搬送部16aおよび第2供給搬送部16bによって搬送される記録紙Aを規制ローラ対52まで案内するものである。
さらに、規制ローラ対52は、搬送ガイド45によって案内されつつ第1供給搬送部16aおよび第2供給搬送部16bによって搬送された記録紙Aの先端位置を規制して、記録部20に記録紙Aを搬送するものである。規制ローラ対52は、記録紙Aが搬送された当初は狭持状態で停止しており、従って、記録紙Aの先端は、この規制ローラ対52に当接して停止する。図示例の感熱記録装置10においては、その後、記録紙20における記録開始に応じた所定のタイミングで規制ローラ対52を駆動することにより、先端位置合わせをして、規制ローラ対52によって記録部20に記録紙Aを搬送する。
【0022】
感熱記録開始の指示が出されると、開閉機構がマガジン24の蓋体26を開放して、吸盤40が記録紙Aを一枚取り出し、記録紙Aの先端を搬送手段42(搬送ローラ47およびニップローラ50)に供給する。搬送ローラ47とニップローラ50とによって記録紙Aを狭持した時点で、吸盤40による記録紙Aの吸引は開放する。供給された記録紙Aは、搬送ガイド44、次いで、搬送ガイド45によって案内されつつ、検出部80によって記録紙Aの端部を検出された後、規制ローラ対52に搬送される。なお、記録にともされる記録紙Aがマガジン24から完全に排出された時点で前記開閉手段によって蓋体26が閉塞される。
【0023】
図2に検出部80の概略図を示す。図2(a)は、検出部を記録紙Aの面方向と直交する方向の記録紙側から見た図(以下、平面図とする)であり、図2(b)は、検出手段を記録紙Aの搬送方向の上流側から下流側に向かって側面から見た図(以下、側面図とする)である。
前述のように検出部80は、本発明の特徴的な部位であって、記録部20と供給搬送部16との間に位置し、記録部20に供給する記録紙Aの端部を検出するものである。図示例の感熱記録装置10においては、検出部80で記録紙Aの両端部を検出し、両端部に対応する領域のみで発熱素子を駆動するようにサーマルヘッド66の駆動を制御することにより、サーマルヘッド66の発熱素子の空発熱を防止する。
上述したように図示例の感熱記録装置10は、2種類のサイズの記録紙Aに対応するものであり、好ましい態様として、検出部80は、記録紙Aの端部を検出する検出手段82を4つ有する。具体的には、大サイズ記録紙A1の端部を検出する検出手段82aおよび82bと、小サイズ記録紙A2の端部を検出する検出手段82cおよび82dとを有する。
【0024】
図3に検出手段82(82a〜82d)の概略構成を示す。なお、図3(a)は、平面図であり、図3(b)は、側面から見た概略斜視図である。
【0025】
図示例において、検出手段82は、回転軸84、接触板86、検出板88、および、センサ92を有して構成される。また、センサ92には、制御部100が接続されている。
【0026】
回転軸84は、互いに中心を一致する軸84aによって回転自在に軸支される円柱(円筒)状のものである。なお、回転軸84は、図示例のような円柱状には限定されず、例えば、四角柱状等の角柱状であってもよい。
【0027】
接触板86は、2辺を回転軸84の軸線と平行にして、回転軸84の側面に端面を固定させる矩形の板状部材である。従って、接触板86は、回転軸84を中心に揺動可能になっている。なお、接触板86の形状は、矩形に限定はされず、後述するように、記録紙Aに接触して、押動可能な形状であれば、各種の形状が利用可能である。
【0028】
検出板88は、平面を回転軸84と直交して、回転軸84の側面に固定させる略扇形状の板状部材である。図示例において、検出板88は、中心側を回転軸84に固定されており、外側の端部付近には、円周方向に所定間隔で配列された貫通孔(被検出部90)が形成されている。先の接触板86と同様、検出板88も回転軸84を中心に揺動可能であり、また、共に回転軸84の側面に固定されるので、接触板86が揺動すれば、検出板88も同じ量(同じ回転角)だけ揺動する。
なお、図示例においては、検出板88は、接触板86に対して回転軸84の逆側に固定される扇形であるが、本発明は、これに限定されず、記録紙Aの搬送の妨害にならなければ、回転軸84の各位置に固定可能であり、また、形状も図示例のような扇形状に限定はされない。
【0029】
センサ92は、発光素子と受光素子とからなる、いわゆるフォトインタラプタである。また、センサ92の出力信号は、制御部100に供給される。
センサ92は、発光素子と受光素子とで検出板88を挟むようにして、被検出部90に対応する位置に配置される。従って、検出板88が揺動すれば、検出板88による遮光(受光off)と被検出部90による透光(受光on)が、交互に生じ、受光のon/offの回数によって、被検出部90の通過数すなわち検出板88の回転角が知見できる。
【0030】
図示例において、各検出手段80は、接触板86が、対応する記録紙Aの対応する端部に当接するように配置される。また、後述する図4に一例を示すように、記録紙Aの端部が接触板86の内側(回転軸84側)に当接するほど(=接触板86への記録紙Aの接触長が長くなるほど)、記録紙Aによる接触板86の押動量すなわち接触板86の揺動量が大きくなり、同量だけ揺動する検出板88の回転角が大きくなる。
従って、検出手段82は、検出板88の回転角を検出することにより、記録紙Aの端部を検出することができ、制御部100は、センサ92による出力信号から、記録紙Aの端部を検出して、この検出結果に応じてサーマルヘッド66の駆動を制御する。この点に関しては後に詳述する。
【0031】
前述のように、検出部82において、検出手段82aは、大サイズ記録紙A1の一方の端部を、検出手段82bは、大サイズ記録紙A1の他方の端部を検出する。
また、検出手段82cは、小サイズ記録紙A2の一方の端部を、検出手段82dは、小サイズ記録紙A2の他方の端部を検出する。
【0032】
図示例において、検出手段82aは、回転軸84を記録紙Aの搬送平面と直交して、接触板86の一部が、大サイズ記録紙A1の一方の端部側の搬送経路に存在するように配置される。他方、検出手段82bは、回転軸84を記録紙Aの搬送平面と直交して、接触板86の一部が、大サイズ記録紙A1の他方の端部側の搬送経路に存在するように配置される。
また、図4(a)の平面図に搬送方向に向って右側の検出手段82bを例示して示すように、両検出手段82aおよび82bは、記録紙Aが接触板86に当接していない状態(スタンバイ状態)では、一例として、接触板86の面が記録紙Aの先端辺(搬送方向の先端)と平行になるように配置されている。
【0033】
図4(b)に示すように、大サイズ記録紙A1が搬送されると、大サイズ記録紙A1によって接触板86が押動され、揺動する。一例として、図4(b)に実線で示す位置を端部にして大サイズ記録紙A1が搬送されると、大サイズ記録紙A1の端部が接触板86に当接し、押動する。これにより、接触板86は、大サイズ記録紙A1の先端辺から外れるまで、中心軸84を中心に、時計回りの方向に回転角θ1だけ揺動する。検出板88は、接触板86と同様に回転軸84の側面に固定されるので、接触板86が揺動すれば、検出板88も同じ量(回転角θ1)だけ揺動する。
これに対し、図4(b)に破線で示すように、先に実線で示した位置よりも、若干、図中右側を端部にして、大サイズ記録紙A1が搬送されると、大サイズ記録紙A1の端部は、先に実線で示した場合と比較して、より接触板86の内側(回転軸84側)に当接する。よって、搬送によって、先端辺から外れるまでの大サイズ記録紙A1の端部による接触板86の押動量すなわち接触板86の揺動量が、先に実線で示した場合と比較して大きくなり、同量だけ揺動する検出板88の回転角θ2も大きくなる。
【0034】
すなわち、接触板86が大サイズ記録紙A1の端部に対応して配置される検出手段82aおよび82bにおいては、検出板88の回転角θは、大サイズ記録紙A1の端部の位置に対応する。
ここで、前述のように、検出板88の端部には円周方向に配列する被検出部90が形成され、此処に対応してセンサ92が配置されている。従って、大サイズ記録紙A1を搬送する際に、検出手段82aおよび82bにおいて、センサ92によって、通過した被検出部90の数(on/offの数)を測定することにより、検出板88の回転角θすなわち大サイズ記録紙A1の端部を検出することができる。
【0035】
制御部100には、予め作成した、検出手段82aのセンサ92による被検出部90の検出数と、大サイズ記録紙A1の一方の端部(図2および図4左側端部)の位置との関係を示すLUT(ルックアップテーブル)、および、検出手段82bのセンサ92による被検出部90の検出数と、大サイズ記録紙A1の逆側の端部(同右側端部)の位置との関係を示すLUTが記憶されている。
制御部100は、このLUTと検出手段82aおよび82bの検出結果を用いて、大サイズ記録紙A1の端部を検出する。なお、LUTに変えて、検出数と端部の位置との関係を示す演算式を用いてもよい。
【0036】
図示例の感熱記録装置10においては、大サイズ記録紙A1に画像を記録する際には、このようにして、検出手段82aおよび82b、ならびに、制御部100のLUTによって大サイズ記録紙A1の両端部を検出して、両端部に対応する領域のみで発熱素子を駆動するように、制御部100がサーマルヘッド66の駆動を制御する。
これにより、大サイズ記録紙A1の位置を正確に把握して、適正な画像記録を行うことができると共に、発熱素子の空発熱も確実に防止できる。
【0037】
他方、前述のように、検出手段82cは、小サイズ記録紙A2の一方の端部を、検出手段82dは、小サイズ記録紙A2の他方の端部を検出する。
ここで、大サイズ記録紙A1の端部を検出する検出手段82aおよび82bと同様に、回転軸84を記録紙Aの搬送平面と直交した状態で、接触板86を記録紙Aの一方の端部側の搬送経路に位置して検出手段82cおよび82dを配置すると、検出手段82cおよび82dの回転軸84等が大サイズ記録紙A1の搬送経路に存在する結果となり、大サイズ記録紙A1を搬送することができなくなってしまう。
これに対し、図示例の感熱記録装置10では、検出手段82cおよび82dは、回転軸84が記録紙Aの搬送路が存在する平面(以下、搬送平面とする)以外に位置し、さらに、接触板86の記録紙Aと接触する少なくとも一辺が、記録紙Aの搬送路を斜めに横切るように構成される。図2においては、検出手段82cおよび検出手段82dは、共に、回転軸84を搬送平面よりも下方に位置し、かつ、点線で示す回転軸84の延長線が記録紙Aの搬送平面と交差するようにして、接触板86の一辺が小サイズ記録紙A2の搬送路を斜めに横切るようにしている。
【0038】
図5に、記録紙A搬送時の検出手段82cの作用を説明するための図を示す。
なお、図5は、検出手段82c(82d)の作用を説明するために、図2に示した検出手段82cを模式的に示したものであり、検出手段82cの作用を説明する際に、図を簡潔にして作用を明瞭に示すために、検出板88やセンサ92は省略する。
【0039】
図5(a)は、検出手段82cのスタンバイ状態を示す図であり、一例として、検出手段82cは、接触板86の面が記録紙Aと平行な状態となっている。なお、図5において、二点鎖線は、記録紙Aの搬送平面を示す。
【0040】
図5(b)〜(c)に示すように、小サイズ記録紙A2が搬送されると、小サイズ記録紙A2によって接触板86が押動され、揺動する。一例として、図5(b)に示す位置を端部にして小サイズ記録紙A2が搬送されると、小サイズ記録紙A2の端部が接触板86に当接し、押動する。これにより、接触板86は、図5(a)に示す状態から、中心軸84を中心に、小サイズ記録紙A2の搬送によって、小サイズ記録紙A2の先端辺が外れるまで、矢印c方向にθ3の回転角で揺動する。検出板88は、接触板86と同様に回転軸84の側面に固定されるので、接触板86が揺動すれば、検出板88も同じ量(回転角θ3)だけ揺動する。
これに対し、図5(c)に示すように、図5(b)に示す位置よりも、若干、図中左側を端部にして、小サイズ記録紙A2が搬送されると、小サイズ記録紙A2の端部は、図5(b)に示す場合と比較して、より接触板86の内側に当接する。よって、搬送によって先端辺が外れるまで小サイズ記録紙A2の端部による接触板86の押動量すなわち接触板86の揺動量が、先に図5(b)で示した回転角θ3よりも大きくなり、同量だけ揺動する検出板88の回転角θ4も大きくなる。
【0041】
すなわち、先の大サイズ記録紙A1の検出手段82aおよび82bと同様、接触板86が小サイズ記録紙A2の端部に対応して配置される検出手段82cおよび82dにおいては、検出板88の回転角は、小サイズ記録紙A2の端部の位置に対応する。
ここで、検出手段82aおよび82bと同様に、検出手段82cおよび82dの検出板88の端部にも被検出部90が形成され、此処に対応してセンサ92が配置されている。従って、小サイズ記録紙A2を搬送する際に、検出手段82cおよび82dは、センサ92によって、通過した被検出部90の数(on/offの数)を測定することにより、検出板88の回転角すなわち小サイズ記録紙A2の端部を検出することができる。
【0042】
制御部100には、予め作成した、検出手段82cのセンサ92による被検出部90の検出数と、小サイズ記録紙A2の一方の端部(図2および図5右側端部)の位置との関係を示すLUT(ルックアップテーブル)、および、検出手段82dのセンサ92による被検出部90の検出数と、小サイズ記録紙A2の逆側の端部(同左側端部)の位置との関係を示すLUTが記憶されている。
制御部100は、このLUTと検出手段82cおよび82dの検出結果を用いて、小サイズ記録紙A2の端部を検出する。
なお、LUTに変えて、検出数と端部の位置との関係を示す演算式を用いてもよい。
【0043】
図示例の感熱記録装置10においては、小サイズ記録紙A2に画像を記録する際においても、このようにして、検出手段82cおよび82d、ならびに、制御部100のLUTによって小サイズ記録紙A2の両端部を検出して、両端部に対応する領域のみで発熱素子を駆動するように、制御部100がサーマルヘッド66の駆動を制御する。
これにより、小サイズ記録紙A2の位置を正確に把握して、適正な画像記録を行うことができると共に、発熱素子の空発熱も確実に防止できる。
【0044】
また、図5(d)に示すように、大サイズ記録紙A1が搬送されると、大サイズ記録紙A1の搬送方向の先端が接触板86に当接し、押動する。これにより、接触板86は、図5(a)に示す状態から、中心軸84を中心に、大サイズ記録紙A1の搬送によって大サイズ記録紙A1の先端が外れるまで揺動する。大サイズ記録紙A1の先端が外れた際には、接触板86の全体が、搬送される大サイズ記録紙A1の下面側に位置する状態となる。そのため、検出手段82cは、大サイズ記録紙A1の搬送を妨げることがない。
本実施例においては、小サイズ記録紙A2に対応する検出手段82cおよび82dを、その回転軸84が搬送平面よりも下方に位置し、かつ、回転軸84の延長線が記録紙Aの搬送平面と交差するようにして、接触板86の一辺が記録紙Aの搬送路を斜めに横切るように配置することにより、検出手段82cおよび82dは、大サイズ記録紙A1の搬送を妨げることなく、小サイズ記録紙A2の端部を高い精度で検出することができる。すなわち、上記のような検出手段82cおよび82dを設けることにより、複数サイズの記録紙Aに対応する感熱記録装置10、さらには、本発明の画像形成装置を実現することができる。
さらに、図示例の感熱記録装置10の検出手段82は、少ない構成要素で構成されているため、ローコスト化を促進することもできる。
【0045】
記録紙Aの先端は、検出部80を通過した後、規制ローラ対52に至るが、上述のように規制ローラ対52は最初は停止しており、記録紙Aの先端はここで一旦停止して位置決めされる。
この記録紙Aの先端が規制ローラ対52に至った時点で、サーマルヘッド66の温度が確認され、サーマルヘッド66の温度が所定温度であれば、規制ローラ対52による記録紙Aの搬送が開始され、記録紙Aは、記録部20に搬送させる。
【0046】
図6に記録部20の概略図を示す。記録部20は、サーマルヘッド66、プラテンローラ60、クリーニングローラ対56、サーマルヘッド66を冷却する冷却ファン76(図1参照)およびガイド62を有する。
サーマルヘッド66は、例えば、約300dpiの記録(画素)密度の感熱記録を行うものであって、記録紙Aの感熱記録を行う発熱素子となる発熱抵抗体が多数一方向(図1および図6中紙面と垂直な長手方向)に配列されるグレーズ66aが形成されたアルミナセラミックス等の耐熱性に優れた電気絶縁材料からなるセラミック基板66bと、セラミック基板66bのグレーズ66aと、ベース66dと、このベース66dの他方の面に固定され、多数の放熱フィンを持つアルミニウム等の金属製のヒートシンク66cとを有する。サーマルヘッド66は、支点68aを中心に矢印A方向および逆方向に回転自在な支持部材68に支持されている。
なお、ベース66dは、制御部100に接続されている。
【0047】
プラテンローラ60は、記録紙Aを所定位置に保持しつつ所定の画像記録速度で回転し、主走査方向と直交する方向(図6中の矢印b方向)に記録紙Aを搬送する。
クリーニングローラ対56は、弾性体である粘着ゴムローラ56aと、通常のローラ56bとからなるローラ対であり、粘着ゴムローラ56aが記録紙Aの感熱記録層に付着したゴミ等を除去して、グレーズ66aへのゴミの付着や、ゴミが感熱記録に悪影響を与えることを防止する。
【0048】
図示例の感熱記録装置10において、記録紙Aが搬送される前は、支持部材68は上方(矢印a方向と逆の方向)に回動しており、サーマルヘッド66(グレーズ66a)とプラテンローラ60とは接触していない。
前述の規制ローラ対52による搬送が開始されると、記録紙Aは、次いで、クリーニングローラ対56に挟持され、さらに、ガイド58によって案内されつつ搬送される。記録紙Aの先端が記録開始位置(グレーズ66aに対応する位置)に搬送されると、支持部材68が矢印a方向に回動して、記録紙Aがサーマルヘッド66のグレーズ66aとプラテンローラ60とで挟持されて、記録層にグレーズ66aが押圧された状態となり、記録紙Aはプラテンローラ60によって所定位置に保持されつつ、プラテンローラ60(および規制ローラ対52と搬送ローラ対63)によって矢印b方向に搬送される。
この搬送に伴い、制御部100は、記録画像に応じてサーマルヘッド66の各発熱素子を駆動することにより、記録紙Aに感熱記録を行う。ここで、本発明に係る感熱記録装置10においては、前述のように、大サイズ記録紙A1でも、小サイズ記録紙A2でも、検出部80において両端部が正確に検出されているので、制御部100はこれに応じて、この端部の内側のみの発熱素子を駆動させて、適正な感熱記録を行うことができ、かつ、発熱素子の空発熱も確実に防止できる。
【0049】
感熱記録が終了した記録紙Aは、ガイド62に案内されつつ、プラテンローラ60および搬送ローラ対63に搬送されて排出部22のトレイ72に排出される。トレイ72は、ハウジング28に形成された排出口74を経て感熱記録装置10の外部に突出しており、画像が記録された記録紙Aは、この排出口74を経て外部に排出され、取り出される。
【0050】
以上の実施例は、本発明の画像形成装置を感熱記録装置に利用した例であるが、本発明はこれに限定されず、例えば、インクジェットプリンタ、電子写真プリンタ、デジタル写真プリンタ、感光性熱現像記録材料を用いるプリンタなどの各種の画像記録装置やスキャナなどの画像読取装置等、各種の画像形成装置に利用可能である。
【0051】
また、以上の実施例の感熱記録装置10は、2つのマガジン24の装填部を有する感熱記録装置10であるが、本発明の画像形成装置は、これに限定されず、マガジン24の装填部は1つでもよく、あるいは3つ以上装填部を有するものであってもよい。あるいは、マガジン24にカットシートを装填するものにも限定はされず、長尺な被走査体をロール状に巻回してなる、いわゆるロールペーパーを用いる装置でもよい。
また、以上の実施例は、2サイズの記録紙Aに対応するものであるが、本発明は、これに限定はされず、1サイズのみ、あるいは、3サイズ以上の被走査体に対応するものであってもよい。
【0052】
また、以上の実施例では、好ましい態様として、記録紙A(被走査体)の両端部を検出しているが、本発明は、これに限定はされず、被走査体の一方の端部のみを検出するものであってもよく、また、被走査体の一方の端部の位置を規定位置として被走査体を搬送する、いわゆるサイドレジストの場合は、規定端と逆端部のみを検出すればよいのは、もちろんのことである。
【0053】
さらに、以上の実施例では、大サイズ記録紙A1に対応する検出手段82aおよび82bを回転軸84と記録紙Aの搬送平面とが直交するように配置しているが、本実施例の小サイズ記録紙A2に対応する検出手段82cおよび82dと同様に、回転軸84が搬送平面よりも下方に位置し、かつ、回転軸84の延長線が記録紙Aの搬送平面と交差するようにして、接触板86の一辺が記録紙Aの搬送路を斜めに横切るように配置してもよい。
【0054】
以上、本発明の感熱記録装置10について詳細に説明したが、本発明はこれらに限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および設計の変更を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の感熱記録装置の一実施例を示す概略断面模式図である。
【図2】(a) 検出部の概略平面図を示す。 (b) 検出部の概略側面図を示す。
【図3】(a) 検出手段の概略構成を示す平面図である。 (b) 検出手段の概略構成を示す概略斜視図である。
【図4】(a) スタンバイ状態の大サイズ記録紙の検出手段の側面図である。 (b) 大サイズ記録紙の搬送時の検出手段の側面図である。
【図5】(a) 小サイズ記録紙の検出手段のスタンバイ状態を示す図である。 (b) 小サイズ記録紙検出手段の搬送時の状態を示す図である。 (c) 小サイズ記録紙検出手段の搬送時の状態を示す図である。 (d) 小サイズ記録紙検出手段の大サイズ記録紙搬送時の状態を示す図である。
【図6】記録部の概略構成図を示す。
【符号の説明】
【0056】
10 感熱記録装置
12 第1装填部
14 第2装填部
16 供給搬送部
20 記録部
22 搬出部
24 マガジン
26 蓋体
28 ハウジング
30 挿入口
32 案内板
34 案内ロール
36 停止部材
40 吸盤
42 搬送手段
44 搬送ガイド
46 搬送ローラ
47、49 プーリ
48 エンドレスベルト
50 ニップローラ
51 テンションプーリ
52 規則ローラ対
56 クリーニングローラ対
56a 粘着ゴムローラ
56b ローラ
58 ガイド
60 プラテンローラ
62 ガイド
63 搬送ローラ対
66 サーマルヘッド
66a グレーズ
66b セラミック基板
66c ヒートシンク
66d ベース
68 支持部材
72 トレイ
74 排出口
76 冷却ファン
80 検出部
82 検出手段
84 回転軸
86 接触板
88 検出板
90 被検出部
92 センサ
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被走査体を所定の走査位置に搬送して、走査する画像形成装置であって、
前記走査位置に至る被走査体の搬送経路の途中に、前記被走査体の搬送方向と直交する方向の少なくとも一方の端部に対応して、前記端部を検出する端部検出手段を有し、
前記端部検出手段が、対応する前記被走査体の前記端部に当接して回転する回転レバーと、前記回転レバーの回転角から前記端部を検出する検出手段とを有し、かつ、前記レバーの回転軸が、前記被走査体の搬送路が存在する平面以外に位置し、さらに、前記回転レバーの前記被走査体と当接する少なくとも一辺が、前記被走査体の搬送路を斜めに横切ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検出手段が、前記回転レバーと一体的に形成される検出部と、この検出部の回転量を検出する検出部材とを有し、前記検出部材による回転量の検出結果から前記端部の位置を検出する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転レバーの回転軸と前記被走査体の搬送路を含む平面とが交差するように前記検出手段を配置することにより、前記回転レバーの前記被走査体と当接する少なくとも一辺を、前記被走査体の搬送路を斜めに横切る状態とする請求項1または2に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−335037(P2006−335037A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165750(P2005−165750)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】