説明

画像形成装置

【課題】画像形成ユニットの全体に対して冷却ファンにより均一かつ効果的に冷却することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】冷却ファン52の送風口52aとトナーボックス51との間を、フレキシブルチューブ53〜56で変形させながら連結することができる。フレキシブルチューブ53〜56側面の上側に開口された複数の開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eは、開口面積がトナーボックス51底面の前方側から後方側まで順々に開口面積が広くなるように開口されているため、トナーボックス51底面の後方側と前方側とで上昇する温度が異なっている場合でも、トナーボックス51底面の全体に対して均一かつ効果的に冷却することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙等の印刷媒体に画像を印刷する画像形成装置に係り、特に、冷却ファンにより画像形成ユニット等の被冷却部を冷却する構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機などの画像形成装置には、装置本体内において感光体ドラム(像担持体)を備えた画像形成ユニットが内蔵されている。画像形成ユニットは、感光体ドラム表面にて静電潜像を形成したり、これを現像してトナー画像を形成したりする際に熱を発するため、この感光体ドラム面を適度に冷却する必要がある。以下の特許文献1に記載されたタンデム式画像形成装置では、冷却ファンの吹出し口と画像形成ユニットとの間を主ダクトと分岐ダクトとで連結し、冷却ファンから画像形成ユニットに冷却風を送って感光体ドラム面等を冷却している(特許文献1参照)。
【0003】
また、タンデム方式のフルカラー印刷に対応した画像形成装置は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色別の画像形成ユニットを備えており、各色別の画像形成ユニットは、それぞれ色別のトナーを収納した4個のトナーボックスを有している。これらの4個のトナーボックス(被冷却部)では、トナーを攪拌する際に攪拌軸の摺動部やブレードの摩擦で熱を発生するが、この熱を適度に冷却しないと、トナーボックス内のトナーが熱によって流動性を失い、適正な画像を形成できなくなるおそれがある。
【0004】
このため公知の画像形成装置では、冷却ファンの吹出し口と各トナーボックスとの間を4本の分岐ダクトでそれぞれ連結して、冷却ファンからの冷却風を各ダクトを介して各トナーボックスに供給することにより、各トナーボックスを満遍なく冷却している。
【特許文献1】特開2002−6697号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば画像形成装置の後方(背面)側が室内の壁面に面していた場合、この後方側では画像形成装置の動作時に発生した熱が外部に発散されにくい。このため、装置本体内では画像形成ユニットの後方側が前面側よりも熱がこもりやすく、その結果、装置本体内では後方側と前面側とでは温度上昇に分布が生じることになる。
【0006】
このような場合に、従来技術で挙げた分岐ダクトを用いて感光体ドラム面やトナーボックスの長手方向に対して一様に冷却風を吹き付けても、その後方側と前方側とでは冷却効率にばらつきが生じ、特に温度上昇の幅が大きい箇所の冷却が不十分になるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、被冷却部の長手方向に対して均一かつ効果的に冷却を行うことが可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、装置本体内で所定の長さを有する範囲にわたって設けられた被冷却部に対して冷却風を供給する冷却ファンを備えており、この冷却ファンから冷却風が吹き出される送風口と被冷却部との間を送風流路で連結するとともに、送風流路から冷却風を吹き出させて被冷却部を冷却するものである。特に本発明では、送風流路を被冷却部に対してその長手方向に沿って隣接する位置まで延びる構成とし、この送風流路の外面に被冷却部の長手方向に沿って対向する位置で冷却風を吹き出す開口部を設けることで上記の課題を解決する。
【0009】
本発明の画像形成装置によれば、例えば装置本体の後方側にて被冷却部の温度上昇幅が大きければ、それに応じて送風流路を装置本体内の後方側まで延長し、そして後方側の位置に開口部を形成することにより、温度上昇の高い箇所に集中して冷却風を吹き付けることができる。これにより、装置本体内での温度上昇の分布を効果的に解消することができる。
【0010】
より好ましくは、送風流路の外面には、被冷却部の長手方向に沿って対向する位置に複数の開口部が形成されている。この場合、被冷却部に対しその長手方向の複数の位置で冷却風が吹き付けられるので、温度上昇の分布に合わせて被冷却部をその長手方向に沿って均一に冷却することができる。
【0011】
あるいは、複数の開口部は、被冷却部の長手方向でみた温度上昇の分布に応じて冷却風の吹き出し面積が互いに異なる態様であっても良い。このような態様であれば、温度上昇の幅が大きい箇所では吹き出し面積を大きくし、温度上昇の幅が小さい箇所では吹き出し面積を小さくすることで、長手方向でみた温度上昇の分布に合わせて均一な冷却を行うことができる。
【0012】
また複数の開口部は、送風流路の外面において被冷却部の前方側から後方側へ向かうにつれて冷却風の吹き出し面積が拡大されている態様であっても良い。この場合、装置本体の前方側よりも後方側で熱がこもりやすい状況下においても、後方側の冷却効率を高めることで、被冷却部全体を均一に冷却することができる。
【0013】
上記の送風流路は、冷却ファンから冷却風が吹き出される送風口と被冷却部との間を連結するとともに、被冷却部の長手方向に沿って外面が隣接して配置されたフレキシブルチューブであっても良い。
【0014】
このような構成より、装置本体内にダクト等を設けるスペースが無くても、フレキシブルチューブを変形させながら各構成要素間の隙間を縫って取り回し、冷却ファンと被冷却部との間を確実に連結することができる。
【0015】
フレキシブルチューブを用いた場合、冷却風を吹き出す開口部の形状としては、円形や正方形のように縦横比が同じである形状のほか、楕円形や長方形のような縦横比が異なる形状が考えられる。その中で、特に後者のタイプを採用すると、横(フレキシブルチューブの長さ方向)の寸法を変えることで開口面積を大小に変えることができる。この場合、フレキシブルチューブに開口部を形成する際の開口面積にバリエーションを持たせる上で特に有利である。
【0016】
上述の画像形成装置において、被冷却部は、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各トナー画像を像担持体に形成させる複数の画像形成ユニットであっても良い。このような構成により、フルカラー印刷に対応した画像形成装置において、各画像形成ユニットを長手方向の温度上昇の分布に合わせて均一かつ効果的に冷却することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、被冷却部の長手方向の温度上昇の分布に応じて均一に冷却することが可能となるという効果が得られる。これにより、像担持体やトナーボックス等を有した画像形成ユニット(現像器)の長手方向でみた熱影響のばらつきをなくし、トナーの流動性を高めて高品質の画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態である画像形成装置1の構成例を示した説明図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて印刷用紙等の印刷媒体の表面にトナー画像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機などの装置によって実現され、印刷動作により装置本体内で画像形成ユニット等の熱が発生する部分を冷却させる冷却ファンを備えた装置である。
【0019】
図1に示される画像形成装置1は例えばタンデム型のカラープリンタである。画像形成装置1は、内部で用紙にカラー画像を形成(プリント)する四角箱状の装置本体2を備え、この装置本体2の上面部には、カラー画像が印刷された用紙を排出するための用紙排出部(排出トレイ)3が設けられている。
【0020】
装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また装置本体2内の中央部には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ6が配設されている。そして装置本体2の上部には、装置外部から送信されてくる文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部7が設けられている。また、図1中でみて装置本体2の左部には、給紙カセット5から繰り出された用紙を画像形成部7に搬送する第1の搬送路9が配設されており、右部から左部にかけては、スタックトレイ6から繰り出された用紙を画像形成部7に搬送する第2の搬送路10が配設されている。また装置本体2内の左上部には、画像形成部7で画像が形成された用紙に対して定着処理を行う定着ユニット14と、定着処理の行われた用紙を用紙排出部3に搬送する第3の搬送路11とが配設されている。
【0021】
給紙カセット5は、装置本体2の外部(例えば図1中の手前側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたものである。この給紙カセット5は、給紙方向のサイズが異なる少なくとも2種類の用紙を選択的に収納可能な収納部16を備えており、この収納部16に収納されている用紙が給紙ローラ17及び捌きローラ18により1枚ずつ第1の搬送路9側に繰り出される。
【0022】
スタックトレイ6は、装置本体2外の右部に手差し用の用紙が積載されるトレイ19を備えており、このトレイ19に積載されている用紙がピックアップローラ20及び捌きローラ21により1枚ずつ第2の搬送路10側に繰り出される。
【0023】
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ22の手前で合流しており、二次転写ローラ23で、後述する中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー画像が用紙に二次転写される。この後、定着ユニット14でトナー画像が定着された用紙は、必要に応じて第4の搬送路12で反転され、最初とは反対側の面にも二次転写ローラ23でフルカラーのトナー画像が二次転写される。そして、反対面のトナー画像が定着ユニット14で定着された後、第3の搬送路11を通って排出ローラ24により用紙排出部3に排出される。
【0024】
画像形成部7は、ブラック(B)のトナー画像を形成する第1の画像形成ユニット26と、イエロー(Y)のトナー画像を形成する第2の画像形成ユニット27と、シアン(C)のトナー画像を形成する第3の画像形成ユニット28と、マゼンタ(M)のトナー画像を形成する第4の画像形成ユニット29と、各画像形成ユニット26〜29で形成されるフルカラーのトナー画像を用紙に転写する転写搬送部30とを備えている。
【0025】
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33と、帯電部33の下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置の下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35と、現像部35の下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36とを備えている。
【0026】
なお、各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32は、図示しない駆動モータにより図中の反時計回り方向に回転する。また、各画像形成ユニット26〜29の現像部35には、各トナーボックス51にブラックトナー、イエロートナー、シアントナー及びマゼンタトナーがそれぞれ収納されている。
【0027】
転写搬送部30は、第1の画像形成ユニット26の近傍位置に配設された後ローラ(駆動ローラ)38と、第4の画像形成ユニット29の近傍位置に配設された前ローラ(従動ローラ)39と、後ローラ38と前ローラ39とに跨って配設された中間転写ベルト40と、各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32における現像部35の下流側の位置に中間転写ベルト40を介して圧接可能に配設された4つの転写ローラ41とを備えている。
【0028】
この転写搬送部30では、各画像形成ユニット26〜29の転写ローラ41の位置で、中間転写ベルト40上に各色別のトナー画像がそれぞれ重ね合わせて転写されて、最後にはフルカラーのトナー画像となる。
【0029】
第1の搬送路9は、給紙カセット5から繰り出されてきた用紙を転写搬送部30側に搬送するものであり、装置本体2内で所定の位置に配設された複数の搬送ローラ43と、転写搬送部30の手前に配設され、画像形成部7における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取るためのレジストローラ22とを備えている。
【0030】
定着ユニット14は、画像形成部7でトナー画像が転写された用紙を加熱することにより定着させる処理を行うものであり、内蔵されたヒータにより加熱される定着ローラ(加熱ローラ)44と、この定着ローラ44に圧接して配設された加圧ローラ45と、定着ローラ44及び加圧ローラ45の上流側に配設され、転写搬送部30により搬送されてきた用紙を定着ローラ44及び加圧ローラ45間に案内する前搬送路46と、定着ローラ44及び加圧ローラ45の下流側に配設され、定着ローラ44及び加圧ローラ45間を通過した用紙を第3の搬送路11に案内する後搬送路47とを備えている。
【0031】
第3の搬送路11は、定着ユニット14で定着処理の行われた用紙を用紙排出部3に搬送するものであり、所定位置に搬送ローラ48が配設されると共に、出口側に前記排出ローラ24が配設されている。
【0032】
一方、画像形成部7の各画像形成ユニット26〜29の現像部35の各トナーボックス51に、ブラックトナー、イエロートナー、シアントナー及びマゼンタトナーがそれぞれ収納されていて、4個のトナーボックス(被冷却部)51において、トナーの攪拌時に攪拌軸の摺動部やブレード等の摩擦により熱を発散するが、この熱によってトナーが流動性を失って適正な画像を形成できなくなるおそれがある。
【0033】
そこで本実施形態では、例えば以下の図2〜図6に示すように、4個のトナーボックス(被冷却物)51を1台の冷却ファン52で冷却することとしている。
【0034】
図2に示されるように、装置本体2内の右部には、冷却ファン(シロッコファン)52が取付けられている。また、図3に示されるように、冷却ファン52から冷却風が吹き出される送風口52aには4つのノズルが形成されている。送風口52aには、各ノズルから吹き出された冷却風を送るための送風流路を成す4本のフレキシブルチューブ53〜56の後端部がそれぞれ差し込まれている。そして図4〜図7に示すように、4本のフレキシブルチューブ53〜56は、冷却ファン52と各画像形成ユニット26〜29との間を連結するとともに、さらにトナーボックス51底面の後方側の端部まで延長して設けられている。この状態で各フレキシブルチューブ53〜56は、トナーボックス51の底面の長手方向に沿ってその側面(外面)が隣接して配置されている。
【0035】
ここで、図4、図8に示すように、4本のフレキシブルチューブ53〜56には、それぞれ側面の上側に複数の開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eが形成されている。このためフレキシブルチューブ53〜56は、それぞれ複数の開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eからトナーボックス51の底面に向けて冷却風を吹き付けることができるものとなっている。なお図8に示されているように、フレキシブルチューブ53〜56の先端は、例えばキャップ70により閉塞されている。
【0036】
開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eは、フレキシブルチューブ53〜56側面の上側においてトナーボックス51底面の前方側から後方側に向かうにつれて順々に開口面積(冷却風の吹き出し面積)が広くなっている。即ち、例えば1本のフレキシブルチューブ53において、トナーボックス51底面の前方側に位置する開口部53eの開口面積が最も小さく、この開口部53eから後方側の開口部53aまで順々に開口面積が広くなっていき、そしてトナーボックス51底面の後方側に位置する開口部53aの開口面積が最も大きくなっている。したがって、トナーボックス51底面の前方側で冷却風を吹き付ける風量(流量)が最も少なく、風量は開口部53aから開口部53eまで順々に多くなっていき、そしてトナーボックス51底面の後方側では風量が最も多くなっている。
【0037】
なお、その他のフレキシブルチューブ54〜56に形成された開口部54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eについても上記と同様であり、ここではそれぞれの説明を省略する。また、装置本体2内の右部には、他の被冷却物を冷却するための冷却ファン60,61も取付けられているが、これらの冷却ファン60,61は、例えば図示しないダクトを介して被冷却物に連結されている。
【0038】
図4及び図6に示されるように、装置本体2の手前部には、各トナーボックス51の下方に位置して本体フレーム57のフレーム側板57pが配置され、このフレーム側板57pの前面には、上下方向に4段で各フレキシブルチューブ53〜56をそれぞれ嵌め込んでガイドする凹部57a〜57dが左右方向に延びて形成されている。なお、凹部57a〜57dは、本体フレーム57のフレーム側板57p以外に、例えばレーザ走査ユニット34のフレームの側板に形成することもできる。各フレキシブルチューブ53〜56は、冷却ファン52を取付けた装置本体2内の右部の位置からフレーム側板57pの貫通穴57e〜57hを裏面側から貫通させ、前面側の対応する凹部57a〜57d内に引き出されて、凹部57a〜57dに嵌め込まれるようになる。
【0039】
最上段の凹部57dは、マゼンタ(M)のトナー画像を形成する第4の画像形成ユニット29のトナーボックス51の下方付近まで左方に延びている。また、その下段の凹部57cは、シアン(C)のトナー画像を形成する第3の画像形成ユニット28のトナーボックス51の下方付近まで左方に延びている。さらに、その下段の凹部57dは、イエロー(Y)のトナー画像を形成する第2の画像形成ユニット27のトナーボックス51の下方付近まで左方に延びている。そして最下段の凹部57aは、ブラック(B)のトナー画像を形成する第1の画像形成ユニット26のトナーボックス51の下方付近まで左方に延びている。
【0040】
そして、各凹部57a〜57dは、対応するトナーボックス51の下方付近から、トナーボックス51の底面に向かって上方に湾曲されている。さらに各凹部57a〜57dには、図6に示されるように、その上端部分に差し込み穴57iがそれぞれ形成されている。フレキシブルチューブ53〜56はこの差し込み穴57iに挿通され、そしてトナーボックス51の底面(冷却部分)に沿って装置本体2内を後方側へ延びている。
【0041】
以上のように、装置本体2内のトナーボックス51を冷却するための冷却ファン52の送風口52aとトナーボックス51との間をフレキシブルチューブ53〜56で連結することにより、冷却ファン52の送風口52aとトナーボックス51との間にダクトを設けるスペースの余裕が無い場合でも、フレキシブルチューブ53〜56を装置本体2内の隙間に這わせるように変形させながら、トナーボックス51に連結することができる。このため、フレキシブルチューブ53〜56側面の上側に開口された複数の開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eから吹き出された冷却風は、図6,図7中に矢印aで示すように、トナーボックス51の底面(被冷却部)に対しその長手方向の全体に吹き付けられる。
【0042】
このとき複数の開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eは、トナーボックス51底面の前方側から後方側に向かうに連れて順々に開口面積が広くなっている。このため、例えば装置本体2内の前方側よりも後方側で熱がこもりやすく、トナーボックス51の長手方向でみて温度上昇の幅にばらつきがある場合であっても、温度上昇が比較的高い装置本体2内の後方側で冷却風の吹き出し量(流量)を多くし、温度上昇が比較的低い前方側で吹き出し量を少なくすることができる。これにより、トナーボックス51の長手方向全体をむらなく均一に冷却することが可能となる。
【0043】
また本実施形態では、フルカラーの4個のトナーボックス51をそれぞれ冷却できることから、トナーの攪拌時等に発生する熱によってトナーが流動性を失うことを未然に防止でき、常に高品質なフルカラー画像を形成することができる。
【0044】
さらに、フレキシブルチューブ53〜56は、本体フレーム57のフレーム側板57pの凹部57a〜57dに嵌め込んでガイドできるとともに、フレキシブルチューブ53〜56の側面は、フレーム側板57pの差し込み穴57iに差し込めば、トナーボックス51の底部(冷却部分)の長手方向に沿って配置されるように正確に位置決めできるので、フレキシブルチューブ53〜56の組み付けが容易に行える。
【0045】
また本実施形態では、開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eの形状を長方形としているが、この他に楕円形としても良い。長方形や楕円形のように縦横比が異なる形状とした場合、その横(フレキシブルチューブ53〜56の長さ方向)の寸法を変えることで開口面積を大小に変えることが容易であるため、開口面積にバリエーションを持たせる上で有利である。
【0046】
上述した実施形態では、フルカラー対応の4個の画像形成ユニット26〜29に対する冷却を挙げて説明しているが、例えば単色(ブラック)の画像形成ユニットとその他の構成要素(被冷却部)との関係においても本実施形態を適用することができる。
【0047】
あるいは、本実施形態を他の被冷却部(例えば、感光体ドラム32、CPU、ポリゴンモータ、定着ユニット14等)の冷却にも適用できることは言うまでもない。
【0048】
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態において、フレキシブルチューブ53〜56側面の上側に開口された複数の開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eは、フレキシブルチューブ53〜56側面の上側においてトナーボックス51底面の前方側から後方側まで順々に数を増加して開口された複数の開口穴(開口面積が略同じもの)によって構成されていても良い。
【0049】
図9は、その他の実施形態に適用できるフレキシブルチューブ53〜56を示す上面視図である。この場合、トナーボックス51底面の前方側の開口部53e〜56eが小穴の開口穴の数が最も少なくなって構成され、前方側の開口部53e〜56eから後方側の53a〜56aまで順々に多くなっていきトナーボックス51底面の後方側の開口部53a〜56aが小穴の開口穴の数が最も多くなって構成される。
【0050】
あるいは、上述の実施形態において、フレキシブルチューブ53〜56側面の上側に開口された複数の開口部53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56eは、それぞれの開口面積がトナーボックス51底面の前方側から後方側まで順々に開口面積が広くなるように開口されているが、これに限られず、トナーボックス51底面の後方側に開口された開口部53a〜56aの開口面積を他の開口部53b〜56b,53c〜56c,53d〜56d,53e〜56eよりも広く開口するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す説明図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットと冷却ファンとの位置関係を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットと冷却ファンとの位置関係およびフレキシブルチューブの連結状態を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態に係る画像形成装置の側面斜視図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成装置のフレーム側板の凹部を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットのトナーボックスとフレキシブルチューブの先端吹出し部との位置関係を示す説明図である。
【図7】本実施の形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットのトナーボックスとフレキシブルチューブの開口部との位置関係を示す説明図である。
【図8】本実施の形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットのフレキシブルチューブの開口部の構成を示す説明図である。
【図9】他の実施の形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットのフレキシブルチューブの開口部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
2 装置本体
35 現像部
51 トナーボックス
52 冷却ファン
52a 送風口
53〜56 フレキシブルチューブ
53a〜53e,54a〜54e,55a〜55e,56a〜56e 開口部
57 本体フレーム
57a〜57d 凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内で所定の長さを有する範囲にわたって設けられた被冷却部と、
前記被冷却部に対して冷却風を供給する冷却ファンと、
前記冷却ファンから冷却風が吹き出される送風口と前記被冷却部との間を連結するとともに、前記被冷却部に対しその長手方向に沿って隣接する位置まで延びる送風流路と、
前記送風流路の外面に形成され、前記被冷却部の長手方向に沿って対向する位置で冷却風を吹き出す開口部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記送風流路の外面には、前記被冷却部の長手方向に沿って対向する位置に複数の前記開口部が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記複数の開口部は、
前記被冷却部の長手方向でみた温度上昇の分布に応じて冷却風の吹き出し面積が互いに異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像形成装置において、
前記複数の開口部は、
前記送風流路の外面において前記被冷却部の前方側から後方側へ向かうにつれて冷却風の吹き出し面積が拡大されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記送風流路は、
前記冷却ファンから冷却風が吹き出される送風口と前記被冷却部との間を連結するとともに、前記被冷却部の長手方向に沿って外面が隣接して配置されたフレキシブルチューブであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記被冷却部は、
マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各トナー画像を像担持体に形成させる複数の画像形成ユニットであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−224747(P2008−224747A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58876(P2007−58876)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】