説明

画像形成装置

【課題】一面に粘着層を備え、粘着層の粘着力によって他の媒体に貼り付ける用途に用いる記録媒体に対して画像形成する場合に、装置内での搬送中の搬送不良となることを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】プリンタ100が備える現像手段である現像装置4が用いる液体現像剤中の画像形成物質は、キャリア液を除去することによって粘着性が生じる粘着剤を含有し、記録媒体Pに転写した後に粘着剤の粘着性によって記録媒体Pを別の媒体に貼り付け可能な粘着力を発現するものであり、さらに、プリンタ100は記録媒体Pの画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシート201を、画像が転写された後の記録媒体Pの画像面に供給するカバーシート供給装置200を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に係り、詳しくは、潜像担持体上に形成される静電潜像を液体現像剤を用いて顕像化する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消費者のニーズが多様化している今日、印刷物の製造についても少量かつ多品種の製造が要求される傾向が顕著になってきている。このような要求に対応するための方法として、費用と時間がかかる製版工程を必要としない電子写真法が着目されている。中でも、液体トナーを用いた湿式電子写真法である静電荷現像法は、粉体トナーを用いた乾式電子写真法と比較して、トナーを構成する粒子の平均粒径を小さくすることができる。このため、グラビア印刷方式やオフセット印刷方式などのような高精細な画像の印刷が可能な方式と同程度の高精細性を達成することができる。このような湿式電子写真法を用いた画像形成装置としては、特許文献1や特許文献2に記載されたものなどがある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−109269号公報
【特許文献2】特開2006−301503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、通常の印刷物に限らず、商品等に貼付するラベルやシール、ステッカー等においても同様であり、従来の印刷から湿式電子写真法を用いた画像形成装置での画像形成に置き換えることが行われている。
ラベル等では、貼付するための粘着層が必要なため、一般的な印刷物よりも電子写真方式に置き換える場合の課題が大きい。
一般的な電子写真用のラベル紙の層構成としては、画像面の裏面には粘着層があり、その粘着層が貼付するとき以外に他の貼り付かないように粘着層のカバーシートがある。また、フィルムからなるラベル側の画像面にトナーの密着性を上げるためトナー附着樹脂層を設けたり、表面の導電性を高くして静電気による帯電を少なくし、より安定な走行性を得るなどの工夫がなされている。
このように複雑な構成をしているため、電子写真方式の画像形成装置での搬送性の面で通常の記録媒体、いわゆる普通紙にはない課題が発生する。詳しくは、搬送中にカバーシートが剥がれ粘着層が露出して搬送路を形成する部材に貼り付き紙詰まりとなることがある。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、一面に粘着層を備え、粘着層の粘着力によって他の媒体に貼り付ける用途に用いる記録媒体に対して画像形成する場合に、装置内での搬送中の搬送不良となることを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像担持体と、絶縁性の液体からなるキャリア液中に着色剤を含んだ画像形成物質を分散した液体現像剤によって上記潜像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、現像手段によって形成された上記潜像担持体上の画像を記録媒体に転写するための転写手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段が用いる上記液体現像剤中の画像形成物質は、上記キャリア液を除去することによって粘着性が生じる粘着剤を含有し、記録媒体に転写した後に該粘着剤の粘着性によって該記録媒体を別の媒体に貼り付け可能な粘着力を発現するものであり、記録媒体の画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシートを、画像が転写された後の記録媒体の画像面に供給するカバーシート供給装置を備えることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記カバーシート供給装置から供給される上記カバーシートを記録媒体の画像面に押圧するカバーシート押圧手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記カバーシートとして、上記粘着剤の粘着性に対して剥離性が無く、且つ、透明な透明シートを供給する透明シート供給装置を備えることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、記録媒体として画像面の裏面から画像を認識することが可能な透明記録媒体に画像を形成するときには、該透明記録媒体の画像面に対して形成する画像を鏡像化して形成するように上記静電潜像を形成する潜像形成手段を制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記透明記録媒体を介して画像を正像と認識できる側となる面から見て画像の背面となる画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシートとして、上記粘着剤の粘着性に対して剥離性のない背面シートを画像が転写された後の記録媒体の画像面に供給する背面シート供給装置を備えることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記現像手段とは別に、該現像手段が用いる液体現像剤の上記着色剤の代わりに無色透明な無色樹脂を含有する無色液体現像剤を用いる無色現像手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記無色現像手段は、上記潜像担持体表面の画像の非画像部に対応する部分を上記無色液体現像剤によって現像することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記現像手段を複数備え、該現像手段の一つが白色の着色剤を含む液体現像剤を用いる白色現像手段であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記白色現像手段は、上記潜像担持体表面の画像の白色部に対応する部分を上記白色液体現像剤によって現像することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
従来の粘着層を備えた記録媒体に画像を形成する画像形成装置では、記録媒体の粘着層がカバーシートで覆われていることを前提で搬送路を形成する各部材を設定している。このため、カバーシートが剥がれて粘着層が露出した状態となると紙詰まりが生じる。また、記録媒体は搬送される前から粘着層をカバーシートで覆われており、搬送路の最初から最後まで粘着層がカバーシートで覆われた状態で搬送されるため、搬送経路を形成する各部材との接触等により搬送中にカバーシートが剥がれる可能性は高くなる。
一方、上記本願請求項1の画像形成装置では、記録媒体に転写した後の画像を形成する画像形成物質が、粘着剤の粘着性によって記録媒体を別の媒体に貼り付け可能な粘着力を有するため、画像を粘着層として機能させることができる。このため、記録媒体に画像を転写する前の記録媒体は粘着層を備えておらず、転写位置までの記録媒体の搬送経路では粘着層が露出することに起因する紙詰まりが発生することはない。また、転写位置通過後の記録媒体の搬送路では、画像が露出することにより、粘着層が露出していることを前提として搬送路を形成する各部材を設定することにより、粘着層が露出することに起因する紙詰まりの発生を抑制することが出来る。また、画像が転写された後の記録媒体の画像面にカバーシートを供給する位置を通過後の記録媒体は粘着層がカバーシートで覆われた状態で搬送されるが、従来の画像形成装置に比べてカバーシートで覆った状態で搬送する搬送経路は短い。このため、搬送中にカバーシートが剥がれる可能性は従来の画像形成装置よりも低く、粘着層が露出することに起因する紙詰まりの発生を抑制することが出来る。よって、上記請求項1の構成を備えた発明においては、画像形成後に他の媒体に貼り付ける記録媒体が装置内で搬送不良となることを抑制することが出来るという優れた効果がある。
【0008】
なお、普通紙以上の高品質の画像を形成するため、コート紙ではなくポリプロピレンなどからなる表面に光沢あるような記録媒体の表面に画像を形成する場合であっても、従来の印刷から湿式電子写真法を用いた画像形成装置での画像形成に置き換えることが行われている。このような光沢のある記録媒体は、表面の平滑性が高いため、画像を構成するトナーと記録媒体の表面と密着性が低く、トナーが記録媒体から剥がれやすい。このため、画像形成装置内での搬送時や出力後の記録媒体の取り扱い時のこすれ等によって画像が剥がれたり、画像の一部が欠損してしまうなどの問題が生じる。このような問題は、上記請求項3または請求項5の構成を備えた画像形成装置によって解決することが出来る。
すなわち、上記請求項3の画像形成装置では、記録媒体に転写した後の画像を構成する画像形成物質が、粘着剤の粘着性によって記録媒体を別の媒体に貼り付け可能な粘着力を有する。そして、この粘着剤の粘着性に対して剥離性が無く、且つ、透明な透明シートを画像が転写された後の記録媒体の画像面に供給することで、出力された記録媒体は画像面が透明な透明シートで覆われた状態となる。よって、上記請求項3の構成を備えた発明においては、記録媒体や透明な透明シートとして表面の平滑性の高いものを用いた場合でも、画像が透明シートで覆われるため擦れなどによって画像が剥がれたり、一部が欠損してしまうなどの問題を防止することが出来るという優れた効果がある。また、透明シートは粘着剤に対して剥離性が無いため、記録媒体の画像面に透明シートを供給すると記録媒体から透明シートが剥がれることがなく、粘着層が露出することが無いので、透明シート供給後は記録媒体の粘着層が露出することに起因する紙詰まりの発生を抑制することが出来る。
また、上記請求項5の画像形成装置は、記録媒体に転写した後の画像を構成する画像形成物質が、粘着剤の粘着性によって記録媒体を別の媒体に貼り付け可能な粘着力を有する。そして、記録媒体が透明記録媒体である場合は、透明記録媒体の画像面に対して形成する画像を鏡像化して形成し、透明記録媒体の画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシートとして、粘着剤の粘着性に対して剥離性のない背面シートを画像が転写された後の記録媒体の画像面に供給する。これにより、出力された記録媒体を、記録媒体側から見ると背面シート上に画像が形成され、透明な記録媒体で画像が覆われた状態となる。よって、上記請求項5の構成を備えた発明においては、記録媒体や背面シートとして表面の平滑性の高いものを用いた場合でも、画像が記録媒体と背面シートによって挟まれているため擦れなどによって画像が剥がれたり、一部が欠損してしまうなどの問題を防止することが出来るという優れた効果がある。また、背面シートは粘着剤に対して剥離性が無いため、記録媒体の画像面に背面シートを供給すると記録媒体から背面シートが剥がれることがなく、粘着層が露出することが無いので、背面シート供給後は記録媒体の粘着層が露出することに起因する紙詰まりの発生を抑制することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明を液体現像剤を使用した画像形成装置であるプリンタ装置(以下、プリンタ100という)に適用し、粘着層を持たない透明もしくは画像を透過して認識することが可能なシートに転写してラベルを作成する場合の実施形態の一例(以下、実施形態1と呼ぶ)について説明する。
図1は、実施形態1に係るプリンタ100の概略構成図である。
本実施形態に係るプリンタ100は、潜像担持体として感光体1のまわりに、帯電器2、露光装置3、現像装置4、中間転写ローラ5を備えた転写装置、クリーニング装置7が配設されている。感光体1の材質としてはa−Si,OPC等が使用できる。また、帯電器2としては、帯電ローラや帯電チャージャ等の形態が使用できる。また、露光装置3としてはLEDやレーザー走査光学系等が使用できる。
このような構成のプリンタ100で反転現像により画像を形成する場合について説明する。感光体1は、図示しないモータ等の駆動手段によって画像形成時には一定速度で矢印方向に回転駆動される。そして帯電チャージャからなる帯電器2により暗中にて一様に帯電された後に、露光により原稿光像が照射結像されて静電潜像が感光体1の外周表面上に担持される。その後、静電潜像は現像装置4の部分を通過する間に現像される。静電潜像に現像されたトナー像は、粘着層を持たない透明もしくは画像を透過して認識することが可能な記録媒体Pに転写手段により転写される。転写後、感光体1は除電ランプ6により残留電位が除去されて、クリーニング装置7により、残留トナーが除去され次の作像に備えられる。
そして、感光体1、帯電器2、露光装置3、現像装置4、除電ランプ6及びクリーニング装置7によって、一つの色の画像形成を行うステーション10を構成する。
【0010】
次に、本実施形態の現像装置4について説明する。
現像装置4は、図1に示すように内部に液体現像剤Dを収容する現像剤収容タンク41、現像ローラ42、塗布装置43、攪拌スクリュ48から主に構成されている。塗布装置43は、塗布ローラ46、中間ローラ47、中間ローラブレード49から主に構成される。
図2は、塗布ローラ46の説明図である。図2(a)は、塗布ローラ46の全体図であり、本実施形態の塗布ローラ46はローラ表面に図2(b)に示すようなパターンの彫刻溝が形成されている。そして、ローラ表面についた液体現像剤Dを図2(c)に示すように計量手段であるドクタブレード46aで余剰分をかきおとすなどして彫刻溝によって正確に計量する。そして、正確に計量された液体現像剤Dを中間ローラ47を介して現像ローラ42上に塗布することで現像ローラ42上に液体現像剤Dの均一な薄層を形成する。また、塗布ローラ46表面の彫刻の形状としては図2(b)の斜線型に限らず、図2(d)のピラミッド型や図2(e)の格子型なども一般に使用されている。
【0011】
現像ローラ42に対して感光体1の表面移動方向下流側には、感光体1上の余剰現像剤を除去するスィープ装置44のスィープローラ45が感光体1と対向している。中間ローラ47とスィープローラ45とにはそれぞれ金属ブレードもしくはゴムブレードからなるクリーニング部材(中間ローラブレード49及びスィープローラブレード50)が備えられている。各クリーニング部材はブレードに限らずローラ式であってもよい。
現像ローラ42及びスィープローラ45は、外周面にそれぞれ導電性を有する弾性体の層が設けられている。これらの弾性体層の材質としてはウレタンゴムを用いることができる。弾性体層の表面硬度としては、感光体1との間で効率的にニップを形成できるようにJIS−A硬度で50[度]以下であることが望ましい。弾性体層の材質はウレタンゴムに限られるものではなく、導電性を有するものであって、かつキャリア液および液体現像剤D中の固形分で膨潤したり溶解したりしない材質であればよい。また、現像ローラ42とスィープローラ45の表面が導電性を有し、かつキャリア液および液体現像剤D中の固形分で膨潤したり溶解したりしない材質であり、その内層にキャリア液および液体現像剤Dが接触しないような構成である。
このような構成であれば、その内層としての、弾性体層の材質は、導電性・膨潤溶解の制約なく、弾性を有していればよい。このとき、現像バイアス電圧・スィープバイアス電圧は、現像ローラ42・スィープローラ45の軸からではなく、表面から印加する必要がある。
また、弾性体層を現像ローラ42とスィープローラ45とに設ける構成ではなく、弾性体の層を感光体1側に設ける構成であってもよい。さらに,感光体1を無端ベルト状部材で構成してもよい。また、現像ローラ42、スィープローラ45、コーティングもしくはチューブにより、その表面がRz5[μm]以下の平滑性を有するように構成されている。
【0012】
現像ローラ42及びスィープローラ45を感光体1に対してそれぞれ適当な圧力で当接させると、各ローラの弾性体の層が弾性変形し、現像ニップ及び除去ニップを形成する。特に、現像ニップを形成することによって、液体現像剤D中の固形分(以下トナー)が現像領域の現像電界により、感光体1に対して移動し付着するための一定の現像時間を確保することができる。また、当接圧力を調整することで各ニップ部における表面移動方向の幅であるニップ幅を調整することができる。各ニップ幅は、各ローラの線速と現像時定数との積、以上に設定する。
ここで、現像時定数とは、現像量が飽和するまでに要する時間であって、必要最小ニップ幅をプロセス速度で除したものである。例えば、必要最小ニップ幅が5[mm]でプロセス速度が200[mm/sec]であれば、現像時定数は25[msec]となる。
現像動作時においては、現像ローラ42に塗布ローラ46によって現像剤の薄層が形成される。このとき現像ローラ42上に塗布される液体現像剤Dの厚みが、その表面の1[cm]当たりに担持されるトナー中の着色剤含有分が3[μg]以上、60[μg]以下となるように設定した。
このために、液体現像剤Dの薄層を3〜12[μm]の厚みに塗布するようにした。この理由は、液体現像剤Dの塗布厚が、現像ローラ42表面の1[cm]当たりに担持されるトナー中の顔料含有分が3[μg]より小さくなるような厚みでは、十分な量の顔料が感光体1上に形成された潜像の画像部に移動せず、画像部の画像濃度が薄くなるおそれがあるからである。
また、現像ローラ表面の1[cm]当たりに担持されるトナー中の着色剤成分が60[μg]より大きくなるような厚みでは、現像後の地肌部に残留する余剰トナーが多くなりスィープローラ45による除去が不完全になるおそれがあるからである。
【0013】
そして、現像ローラ42表面に形成された液体現像剤Dの薄層は、感光体1と現像ローラ42とにより形成された現像ニップを通過する際に感光体1上の潜像に応じて現像される。すなわち、画像部では、トナーが感光体1に移動し、地肌部(非画像部)では、現像バイアス電位と感光体電位とによって形成される電界により、現像ローラ42表面にトナーを移動させて地肌部分にトナーが付着しないようにする。
しかしながら、地肌部分のトナーの一部が、現像ローラ42表面まで移動しきれずに感光体1に残るとカブリの原因となる。そこで、本実施形態に係るプリンタ100では、このカブリの原因となるトナー(以下、「カブリトナー」という)をスィープ(掃除)するためスィープローラ45を設けている。このスィープローラ45は、現像ローラ42に対し感光体1の回転方向下流側であって、現像されたトナー層を挟むように、感光体1に押圧して設置されている。スィープローラ45の表面は、感光体1の表面と略等速で移動しながら地肌部のカブリトナーを除去している。
【0014】
現像ローラ42の現像後の液体現像剤Dはゴースト防止のために中間ローラ47と現像ローラ42とのニップ部で中間ローラ47側へ移動し、中間ローラブレード49によって除去される。また、スィープローラ45で除去した液体現像剤Dもスィープの性能の維持のためにスィープローラブレード50によって除去される。
これらの液体現像剤Dは不図示の調整用のタンクに集められて、ここで、濃度を調整後に改めて現像装置4の現像剤収容タンク41内へ送られるようになっている。調整用のタンク内には攪拌手段および濃度検知手段(図示していない)および液量検知手段(図示していない)があり、タンク内のトナー濃度を均一にした状態で濃度および液量を検知して、新しい液体現像剤Dの補給やキャリア液の補給による濃度調整を行っている。
この調整用のタンクからの現像装置4の現像剤収容タンク41内への液体現像剤Dの付与量は液体現像剤Dの使用量より若干多くなるように設定されており、溢れた分は調整用のタンクへ戻るようになっていて、液体現像剤Dは常に循環するようになっている。
【0015】
本実施形態の現像装置4で用いられる液体現像剤Dは、従来一般的に市販され使用されているIsopar(エクソン商標)をキャリア液とした低トナー濃度(3[%]程度)に希釈した液体現像剤であっても、トナー濃度が15[%]を超えるような高濃度の液体現像剤であっても構わない。本実施形態の装置では、後者の高濃度の液体現像剤Dを使用する例で説明している。この現像剤の粘度及び濃度の範囲としては、例えば粘度が10[mPa・s]以上、濃度が10[%]から40[%]のものを用いる。
キャリア液としては、Isopar(エクソン商標)以外にもシリコーンオイル、ノルマルパラフィン、植物油、鉱物油等の絶縁性が高いものを使用することができる。揮発性、不揮発性については、目的に合わせて選択することができる。
着色剤粒子は、加熱による定着を行う場合には、スチレンアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、等の樹脂を使用し、これに有色微粒子である着色顔料もしくは着色染料を混ぜ、さらに電荷制御剤及び分散剤が配合している。本実施形態で使用する液体現像剤Dでは、加熱によって樹脂を溶融させて定着させる必要がないので有色微粒子を樹脂で覆う必要はないが、抵抗値の低いカーボンのような有色微粒子の場合には帯電特性を保持するために絶縁性の樹脂で覆う処理を行う必要がある。
【0016】
着色剤は一般の無機・有機顔料、染料を用いることができる。
例えば、プリンテックスV、プリンテックスU、プリンテックスG、スペシャルブラック15、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4−B(以上デグサ社製)、三菱#44、#30、MR−11、MA−100(以上三菱化成社製)、ラーベン1035、ラーベン1252、ニュースペクトII(以上コロンビアカーボン社製)、リーガル400、660、ブラックパール900、1100、1300、モーガルL(以上キャボット社製)などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ、ピーコックブルーレーキ、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY、ナフトールイエローS、ナフトールレッド、リソールファーストイエロー2G、パーマネントレッド4R、ブリリアントファーストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R、ピグメントスカーレット3Bインジゴ、チオインジゴオイルピンクおよびボルド−10Bなどの有機顔料、ディスパースファーストイエローG、ディスパースブルーFFR、ディスパースブルーグリーンB、ディスパースイエロー5G、ディスパースレッドFB、リアクティブオレンジ2R、リアクティブレッド3B、リアクティブブルー3G、リアクティブブリリアントブルーR、リアクティブブラックBなどの染料があげられる。
これらの着色剤は純度が高いものが望ましく特に80[%]以上のものが望ましい。
【0017】
さらに、本発明の装置で使用する液体現像剤Dは、絶縁性の液体(キャリア液)を取り除いた際に粘着性を生じるような粘着剤を含有している。この粘着剤はキャリア液中では、粘着性を示さないように、キャリア液と親和性が高く、Tg(ガラス転移点)が低温(−20[℃]以下)であるような材料を含んでいる。さらに凝集力を高めるためにTgが高く(常温以上)製膜性の良い材料と重合させておくと貼付した後の粘着強度を高めることができる。
Tgが低いと言うことは、常温で液体であるということであり、液体状態での粘着性は低くなる。これに対してTgは高いものは常温において固体までは行かないまでもかなり粘度の高いゲル化した状態になり、これをキャリア液中に分散した場合も分散後の液体の粘度が高くなり粘着性を示す状態となる。
また、Tgが高く、粘度が高いということはその中にあるものの動きを阻害する力が強いということで凝集力の高さにつながる。トナーの製膜性はさらに粘度が高くなり、その中での着色剤等が移動できない状態、固体状態になったものを製膜状態と考えている。キャリア液が除去された場合にこのように固体化するものは製膜性の良い材料であり、良好な製膜性を得るにはTgが高い材料を含有する必要がある。
【0018】
このような粘着性を発現するためのキャリア液と親和性が高く、Tgが低温であるような材料としてはヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート(LMA)、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレートなどがあり、これらのモノマーを単独で用いてポリマーを合成しても良いし、あるいは複数種を重合しても良い。
また、Tgが高く製膜性の良い材料としては、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、メチルメタクリレート(MMA)、2エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ジビニルベンゼン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル,スチレン(St)などがあり、これらのモノマーを単独で用いてポリマーを合成しても良いし、あるいは複数種を重合しても良い。
さらに、粘着剤樹脂を着色剤に吸着させて、着色剤と一緒に移動するようにするためには、キャリア液に親和性を持たないものを一部含んでいることが好ましい。この場合、キャリア液に親和性を有していない樹脂であっても、上述した親和性の良い樹脂と重合させることでキャリア液中に分散させることが可能になる。この際、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートを使用してグラフトさせても良い。このように樹脂骨格をグラフト、架橋構造にすることで着色剤に吸着、一体化させる効果を増すことができる。
【0019】
このような粘着剤は、キャリア液中では低Tgの樹脂は親和性を有するので粘着性を示さないが、キャリア液がなくなると、この低Tgの樹脂がタック性を発揮して粘着性を有するようになる。この際、低Tgの樹脂のみであると凝集力が弱く粘着した場合の強度が不足するが、ここにTgの高い樹脂を重合させておくことで凝集力を高め、粘着強度を高めることが可能になる。
樹脂の重量平均分子量Mwは20000〜50000、数平均分子量Mnは1000〜40000が好ましい。Mw20000未満、Mn1000未満では粘着性が低下し、Mw50000、Mn40000以上では分散安定性が低下する。また、トナーは着色剤と粘着剤とからなり、着色剤と本発明の粘着剤の割合は1/1〜1/5が望ましい。粘着剤の割合が1/1未満では粘着性が低下し、1/5より多いとトナー着色力が低下する。
このほかに、液体現像剤ではトナーの帯電を制御するための帯電制御剤(CCA)を使用している。
本実施形態で使用する液体現像剤Dと共通点を備える液体現像剤を用いるものとして、キャリア液の減少によってトナーを凝集させ、この状態で加熱による溶融粘着性を利用して転写する画像形成装置およびこれに使用する液体現像剤の公知の発明がある。特表1999−513423号公報や特表2001−501654号公報は液体現像剤の発明であり、特開2001−109269号公報は装置の発明の例である。これらの公知の発明は、トナーに含まれている粘着剤の材料が共通する。材料は同じものであってもその比率が大きく異なっているために本実施形態では転写後にも粘着性を保持するが、上述した公知文献に記載されているものは、転写後は粘着性を残さないようにしている。材料の組み合わせは同じものもがある点が共通しており、その量や成分比が異なる点で差がある。よって、これらは、最終的な記録媒体上に転写した後のトナー像は粘着性を残さないようにすることが課題のひとつとなっており、本発明で使用する液体現像剤とは異なるものである。
【0020】
実施形態1では、透明もしくは画像を透過して認識することが可能な記録媒体Pに転写した後のトナーからキャリア液を除去することによってトナーに含有されている粘着剤により粘着力を生じる。この粘着力により、画像の印刷された記録媒体Pを必要な場所に貼付してラベルとして使用することができる。この際、記録媒体Pがトナー画像に対して保護層の役割を果たすので、トナー像の品質を維持することが可能である。また,引き剥がした際には、トナー像が乱されるので再度貼付した際に画像が劣化するため、ラベルの張替え防止の効果もある。
さらに、ここで使用される記録媒体Pは、粘着層などを持っていないので搬送時の粘着層の剥がれやそれに伴う搬送不良を引起す可能性が低い。
また、従来の画像形成装置でラベルに作像する場合、粘着層と保護層とを備えた記録媒体を転写位置まで搬送するときに、記録媒体の多重構造の厚さによって紙詰まりが発生することがあった。これに対して、実施形態1のプリンタ100で使用される記録媒体Pは、粘着層などを持たず、多層構造となっていないので搬送時の記録媒体の厚さに伴う搬送不良を引起す可能性が低い。
【0021】
なお、記録媒体Pをラベルとして使用する場合は、透明な記録媒体Pに転写した後、トナーの粘着剤に対して剥離性を備えたカバーシートを記録媒体Pの画像面に供給する。このように使用時には、プリンタ100により作成された画像は2つの媒体に挟まれた状態となるので、電子写真方式のプリンタ100でトナー像を記録媒体Pに固定させるための定着装置が不要となる。このことは、装置の小型化やコストダウン、さらに熱ローラ方式の定着装置では多大な電力を消費するのでランニングコストの面で非常に有利なプリンタ100となる。
また、ラベルのような多層構造の記録媒体P上の画像を加熱ローラによって定着する場合、記録媒体Pの厚さに伴う熱容量の変化による定着不良やカールなどの問題が発生する。一方、プリンタ100での定着は、熱による定着を行わないため、このような問題が生じることがない。
また、通常のトナーにおいても含有されている樹脂を加熱溶融させて粘着させることが可能であるが、貼付時に加熱手段が必要であり、手間とコストが発生する。また、貼付する対象が熱に弱い場合にはこのような加熱による貼付は困難である。一方、プリンタ100を用いて作成したラベルであれば、粘着層を露出することで貼付が可能であるため、貼付時に加熱手段が不要であり、作成したラベルを貼り付けるために加熱手段を用いる手間が不要であり、貼付する対象が熱に弱い場合であっても貼付を行うことが出来る。
【0022】
前述したように、プリンタ100で使用する液体現像剤Dはキャリア液を除去することによって粘着性を生じるので、プリンタ100は、液除去手段として、送風ファン61とヒータ62とからなるキャリア液乾燥装置60を備えている。揮発性のキャリア液では出力後に自然乾燥により、キャリア液を除去することも可能であるが、環境等により貼付可能な状態になるまでの時間が左右され、ラベルとしてすぐには使えないことがあるため、積極的な液除去手段を備えている方が好ましい。
記録媒体Pに転写した後に除去しても良いし、転写前に除去してもよいし、さらに両方行っても良い。このような液除去手段の一例として前述のスィープローラ45がある。不図示の電界発生手段の電界によりトナーの固形分を感光体1表面側に圧縮した状態で表面のキャリア液層にローラを接触させることで、表面のキャリア液を除去することになる。このように回収したキャリア液は不純物の混入が少なくそのまま再利用することが可能である。
【0023】
〔実施形態2〕
次に、本発明を適用可能な二つ目の実施形態(以下、実施形態2と呼ぶ)について説明する。
図3は、実施形態2のプリンタ100の概略説明図であり、実施形態2のプリンタ100は実施形態1の中間転写ローラ5の代わりに、中間転写ベルト51を備えた構成である。図3の構成では、中間転写ベルト51に対向するベルトスィープローラ451を備えるベルトスィープ装置441を備える。さらに、ベルトスィープローラ451に対して中間転写ベルト51の移動方向下流側にはキャリア液乾燥装置60、ベルトスィープローラ451に対して中間転写ベルト51の移動方向上流側には電界発生手段としてのチャージャ70を配置している。また、図3に示すプリンタ100では、ステーション10を2つ配置した構成が記載されているが、ステーション10の数は2つに限らず、使用する色の数に応じた数を配置する。
このように、ベルトスィープローラ451の上流側にチャージャ70によって電界を付与することで、液体現像剤中のトナー層が圧縮されて、ベルトスィープローラ451の除去能力を向上させることが可能である。Isopar_Hのような揮発性のキャリア液であれば、エアを利用したエアナイフや送風ファン、さらにヒータを組合せることでキャリア液を除去することができる。
記録媒体Pへの転写前の位置にこのような液除去手段を設けることで、転写前にトナー層の凝集力を高め、粘着力を得ることができるので、転写特性を向上させることができる。また、転写時にキャリア液を多く含んでいると像流れなどの問題が発生するが、転写前にこれを除去することで、転写時の像流れなどの画像の劣化を防止することができる。このため、液除去手段が設けられている。
ラベル用の記録媒体Pとして液を吸収しないプラスチック素材を使用することが多い場合には特に液除去手段を設けることの効果は大きく、除去手段なしの場合には、記録媒体Pである受像シート側に液吸収層を予め設けておくなどの対応が必要となる。このような受像シートとしては、インクジェットプリンター用に開発された、液吸収層つきのプラスチックシートなどをそのまま利用することができる。
【0024】
さらに液除去手段により、記録媒体Pへの転写前に液体現像剤中のトナー固形分率を充分に高くすることで、トナー中の粘着剤の粘着力による転写も可能になる。潜像支持体である感光体1上で、液除去手段によってトナーの粘着力を高め、直接、記録媒体Pに転写することも可能であるが、一旦、中間転写部材である中間転写ベルト51に電界によって転写後に、さらに液除去手段により粘着力を高めて記録媒体Pに粘着力により転写するほうが好ましい。潜像を形成する感光体1で粘着転写が可能なレベルまで粘着力を高めた場合、感光体1表面とトナーの間の結合力が強く、記録媒体Pに転写しないで残ってしまうという不具合が発生する。
このように粘着性を備えたトナーが残っている場合、これを除去するには例えばキャリア液を再度供給するなどが必要となり、感光体の径を大きくしてスペースを確保する必要が生じる上にレイアウトの面で様々な問題が生じてくる。そこで、一旦中間転写体に転写してしまうことで、感光体回りの配列に余裕を持たせることができる。また、中間転写体の材料は感光体に比較して選択の自由度が高く、例えば、PFAなどのフッ素を含んだ表面エネルギーの低い材質とすることで、粘着状態でのトナーとの結合力を弱くし記録媒体への転写を効率的に行うことができる。
【0025】
中間転写部材を用いる場合、そのクリーニング特性を向上させる意味で、フッ素系の材料は良く使われているが、粘着力による転写を行う場合,転写部での力関係を次式のようにする必要があり、より重要な意味を持つことになる。
中間転写体表面とトナーの結合力 < 記録媒体表面とトナーの結合力 < トナー層内結合力
ここで、粘着転写を行うには、特に最後のトナー層内の結合力が高いことが必要であり、これが弱いと転写時にトナー層内でトナー層が分かれてしまい、転写残が多くなってしまう。
液体現像剤D中の固形分率を上げてトナーの凝集力を増大させた場合には、従来の電界による転写は困難になる。例えば、特開2006−301503号公報では、電界による転写が可能な程度のキャリア液が残るように液除去手段による液除去量を調整している。液体現像剤Dでは絶縁性の液体中に分散している状態で帯電しており、凝集状態では、帯電しにくくなり結果として電界による移動、転写が困難になる。そこで、上述したようにトナーの粘着力を利用して中間転写体から記録媒体Pへの転写部に加圧手段を設け、加圧力により、転写媒体にトナー層を接触させてトナー層と記録媒体Pとの結合力によって転写を行うと良い。
【0026】
プリンタ100では、記録媒体Pに転写した後のキャリア液を除去したトナー像が粘着性を保持している。このため、そのままでは意図しない部分にトナー像が付着してトナー像を乱してしまうばかりでなく、取扱い上も重ねて置けないなどの問題が生じる。そこで実施形態2のプリンタ100は、図4に示すようにカバーシート201を供給するカバーシート供給装置200およびシート押圧手段である貼付ローラ300を備えており、トナー画像面を保護できるようになっている。記録媒体Pの画像面に合わせるようにカバーシート201を供給搬送して、接触させて圧力をかけることでトナーの粘着性により貼付させることができる。
カバーシート201で覆われることでトナーによる画像は保護されてその粘着力により意図しない部分に付着してしまうことや、画像が乱されることから防止できる。
【0027】
図4に示すように、中間転写ベルト51に転写された画像を構成するトナーから、チャージャ70、ベルトスィープローラ451、温風Hを発生させるキャリア液乾燥装置60などの液除去手段により、キャリア液が除去されることにより粘着力を発現する。図示していない記録媒体Pの供給装置から搬送されてきた記録媒体Pは、中間転写ベルト51の画像面側に接触するようにして転写ローラ8により、押圧され、トナーの粘着力により転写される。転写後の記録媒体Pはトナーが粘着力を有するので、例えば、穴の開いた搬送ガイド81に吸引ファン80を組合わせた搬送ガイド手段により、その動きが規制されるような工夫をしている。ここに、カバーシート201のスタック部からカバーシート201が記録媒体Pのトナー像側に合わせるように搬送される。記録媒体Pとカバーシート201とを挟んで押圧する貼付ローラ300により、記録媒体Pとカバーシート201とが貼り合わせられ、排紙ローラ90によって図示していない排紙部へと搬送される。
カバーシート201としては表面にシリコン系の樹脂をコートした、いわゆる剥離紙を使用すれば再剥離可能となり、必要に応じて剥がして、所望の部位に貼付することが可能である。
【0028】
また、プリンタ100は、図5のような画像データを鏡像化して感光体1上の画像を形成する機構を備えている。透明シートを記録媒体Pとしてラベルを作成する再に有効であり、記録媒体P上に転写された画像が鏡像になるようにすることでシートから透過してみた画像が正像となるようにすることができる。
このことは通常の正像を転写できる場合から鏡像化して潜像を形成することで可能であり、データを記憶する記憶装置400と、これを露光手段を制御する露光制御部403に送る前に鏡像化する演算処理をする演算装置402、及び、これをプリンタ100のオペレータが制御できる選択スイッチ401を備えている。プリンタ100のオペレータは、記録媒体Pやその使用時の状態を考慮して適正な像を形成できるように選択することが可能である。
【0029】
図6は、鏡像化処理を行う制御のフローチャートである。
図6のように記録媒体Pに形成される画像は、その使用時の状態によって正像であったり鏡像であったり選択する必要があるので、この機能は使用するしないを選択することができる選択手段を備え、さらに、どちらを選択しているかがわかるように表示する表示手段を備えている。図7は、粘着層を持たない透明もしくは画像を透過して認識することが可能な記録媒体Pに鏡像の画像を転写してラベルを作成する場合の実施例を示すものである。図7(a)は、トナー像Tが形成された状態の画像面側から見た記録媒体Pの平面図であり、図7(b)は、トナー像Tが形成された状態の記録媒体Pの断面図である。また、図7(c)は、トナー像Tを記録媒体Pとカバーシート201とで挟んだ状態を記録媒体P側から見た平面図であり、図7(d)は、トナー像Tを記録媒体Pとカバーシート201とで挟んだ状態の断面図である。
まず、図7(a)及び図7(b)に示すように鏡像となるように形成されたトナー像Tを透明な記録媒体Pに転写する。そして、プリンタ100内において、図7(c)及び図7(d)に示すように再剥離可能なカバーシート201を画像面を覆うように貼付する。画像を貼付したい場所に貼付する際には、このカバーシート201を剥がしてトナー像Tの粘着性により貼付する。貼付後のトナー像Tは透明な記録媒体Pを通して裏側から見るようになり、その際に画像を正像として認識できるようになっている。
【0030】
プリンタ100では、トナー像Tが粘着力を保持して、記録媒体Pと被貼付体あるいはカバーシート201を粘着した状態として使用することになる。このため、トナー像Tのない部分、非画像部では粘着力が作用しない。このため像のパターンによっては、記録媒体Pのシート全体として粘着力に偏りが生じ、意図しない剥がれの原因となる。そこで、プリンタ100では、着色剤の代わりにキャリア液に不溶で導電性を持たない樹脂粒子を分散させた無色透明のトナーによる液体現像剤Dを保持する現像装置4を備え、粘着力の必要な場所に任意の無色透明な画像を形成できるようになっている。
例えば、ラベルとして使用する場合の画像領域のエッジ部分で画像のない部分などをこの現像装置4により現像することによって、エッジ部分の粘着力の不足を補いラベルの剥がれを防止することができる。さらに、有色トナーによるトナー像Tのない非画像部をこの無色透明のトナーで形成することによって、全面で同等の粘着力を得られる。
【0031】
無色透明な樹脂粒子としては、従来のプリンタ100で定着のために着色剤の回りを覆うのに使用されていた樹脂、スチレンアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系の樹脂を微粒子化して使用すれば良い。このような樹脂がなく、粘着樹脂のみの場合、安定した帯電特性を得ることが難しく、必要な部分にのみ付着させることが難しい。
また、ラベルとして使用する場合、商品等の被貼付部の色や模様によって、記録媒体Pに形成した画像が影響を受けて、貼付した場合に意図していた画像とは異なった色に見えたり、文字や記号が判別しにくくなったりすることが考えられる。
電子写真方式のプリンタ100では、有色のトナーとして通常、イエロー,マゼンタ,シアン,さらにブラックを使用し、これらの色の組み合わせによってフルカラーの画像を形成することが一般的に行わる。通常の電子写真方式のプリンタ100では、白色の記録媒体P上で所望の色が得られるように画像データが作成されている。
しかし、白色はこれらの有色トナーでは作り出すことができないので、プリンタ100では、白色の着色剤を使用した液体現像剤Dを備えている。必要に応じて白色のトナーで全面あるいは必要な部分に画像を形成することで、このような問題を防止することができる。白色トナーに使用する着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華、などが挙げられる。これらの中でも、陰蔽性の点から、酸化チタンが好ましい。
【0032】
図8は、4色カラー、白、及び、無色の現像剤を用いて記録媒体P上に画像を形成するプリンタ100の模式図である。
プリンタ100は、潜像担持体である感光体1と帯電、露光部,現像部およびクリーニング部を含んだの各色のステーション10を中間転写体である中間転写ベルト51の回りに配置し、中間転写ベルト51上に重ねて転写することでカラー画像を形成する構成になっている。その後、液除去手段であるベルトスィープ装置441等によってキャリア液を除去してトナーの粘着力を発現させ、中間転写ベルト51と転写ローラ8との対向部で、記録媒体Pに二次転写し、さらにカバーシート201を画像面をカバーするように貼付して排紙する。この各色のステーション10には、イエロー,マゼンタ,シアン,黒などの有色の液体現像剤Dを備えたものに加えて、無色や白色の液体現像剤Dを保持できるようになっている。これらの配置の順序はこれに限られるもので無く、配置を入れ替えても良いが、白色については、全面に使用する場合もあり、最初もしくは最後であることが好ましく、記録媒体Pに対して表裏どちらから画像を認識するものかによって切り替えると良い。さらに、ステーション10が備える感光体1は、使用しない場合には中間転写ベルト51に対して離間しておくようにすると良い。また、ステーション10の数はこれに限定されるものではなく、さらに特色用の液体現像剤Dを備えたステーション10をセットできるようにしても良いし、単色で十分な場合には減らしても構わない。
【0033】
また、図7を用いて説明した画像形成では、粘着層を持たない透明もしくは画像を透過して認識することが可能なシートとしての記録媒体Pに転写してラベルを作成する方法である。プリンタ100による画像形成は、これに限るものではなく、例えば、記録媒体Pとして通常の転写紙に画像を転写後、透明体の裏側に貼付する方式とすることでラベルとして使用することもできる。
さらに、最初に画像を転写する記録媒体Pを第1の転写体、その後、トナーの粘着力によって第一の転写体と一体で第2の転写体に転写すると考え、2つの転写体のどちらか一方を透明体で形成することによって、通常のシート画像としての利用も可能である。この場合、透明体によって光沢を得たり、画像を覆うことで画像を保護するなどの効果があるので写真画像のようなものへの展開が可能であり、ラベルに限るものではない。例えば、顔写真入りの会員証のようなものも通常の紙に印刷後に透明体フィルムでラミネートして作成することが多いが、プリンタ100では、トナーの粘着力で2つの転写体の間を接着させることができ、容易に作成することができる。さらに、2つの転写体の両方をトナーの粘着剤に対して剥離性の無いものを用いることにより、画像自体が粘着剤になっているので再度貼付することが困難で画像データの改ざんが不可能である。このようにプリンタ100は、ラベルの作成に限らず、様々なものに使用することができる。
このとき、カバーシート201である第二の転写体としてトナーの粘着剤に対して剥離性を有しない透明な透明シートを用いる場合は、記録媒体Pに対してトナー像Tが正像となるように転写する。そして、正像で形成されたトナー像Tを透明シートとしてのカバーシート201でカバーする。
また、記録媒体Pである第一の転写体としてトナーの粘着剤に対して剥離性を有しない透明ない透明記録媒体を用いる場合は、記録媒体Pに対してトナー像Tが鏡像となるように転写する。そして、鏡像で形成されたトナー像Tを背面シートとしてのカバーシート201でカバーする。
【0034】
従来、高品質の画像を要求されるラベルではコート紙ではなくポロプロピレンなどの合成紙が使用される。受像シートの基材がプラスチックフィルムやプラスチックシート等であると、トナーと受像シートとの密着性が低く、トナーが受像シートから剥がれやすいという問題がある。
そこで、液体トナーと受像シートとの密着性を改善するための方法として、例えば、特開平9−281738号公報には、基材の表面に受像層となるポリエチレンを主成分とする樹脂を塗付したシートが記載されている。また、特開平10−76744号公報には、プラスチックフィルム等の被印刷体上に、受像層となるエチレン・アクリル酸系樹脂またはポリブタジエン系樹脂からなるプライマー層を形成したものが記載されている。
しかしながら、これらの文献に記載されている受像シートは、受像層と液体トナーの密着が不十分であり、ラベルとして使用した場合、こすれ等により画像が剥がれたり、一部欠損してしまうなどの問題がある。また、前述したように粘着層を有するがための多層構造の記録体の搬送や定着に関わる問題は、トナー受像層がプラスチックフィルムである場合の方がより課題が大きくなる。一方、プリンタ100で一方が透明体の2つの転写体でトナー像を挟むことにより、透明体によって光沢を得たり、画像を保護することができるので、高画質の画像で定着後の画像の強度を高めることができる。
【0035】
図9は、粘着層を持たない非透明な記録媒体Pに正像の画像を転写して通常のシート画像を作成する場合の実施例を示すものである。図9(a)は、トナー像Tが形成された状態の画像面側から見た記録媒体Pの平面図であり、図9(b)は、トナー像Tが形成された状態の記録媒体Pの断面図である。また、図9(c)は、トナー像Tを記録媒体Pとカバーシート201とで挟んだ状態をカバーシート201側から見た平面図であり、図9(d)は、トナー像Tを記録媒体Pとカバーシート201とで挟んだ状態の断面図である。
まず、図9(a)及び図9(b)に示すように正像となるように形成されたトナー像Tを非透明な記録媒体Pに転写する。そして、プリンタ100内において、図9(c)及び図9(d)に示すように再剥離不可能な透明なカバーシート201を画像面を覆って保護するように貼付する。これにより、透明体によって光沢を得あり、高画質の画像で定着後の画像の強度を高めた通常のシート画像を出力することが出来る。
【0036】
上述した通常のシート画像を形成する場合は、再剥離しての使用が不要であり、カバーシートとして剥離紙を使用する必要がない。図9のように、透明なプラスチックシートを使用して画像を透過して認識できるシートをカバーシート201として使用すれば、カバーシートつきの画像を作成することができる。この場合、記録媒体Pとカバーシートの組み合わせでどちらか一方を画像を透過して認識可能な透明体を使用すれば良く、どちらであっても構わない。また、両方を透過可能なシートとして両面から認識できるようにすることも容易に可能であり、例えば広告に使用する旗として使用するなどの利用方法が考えられる。
図4では、1種類のカバーシート201がスタックされる構成で説明しているが、カバーシート201は複数種をスタックできるようにして必要に応じて使い分けるような構成とすることも可能で、記録媒体Pについても同様である。
【0037】
粘着剤の構成の違いによるトナー像の凝集性を調べる実験を行った。
記録媒体としてはPETシート(厚さ100[μm])を使用し、材料となる粘着剤の材料または材料の構成重量比が異なる6種のトナーを、それぞれ粘着性を発現させた状態で直径5[mm]の円形のPETシートを押付け引き剥がす際のタック力を測定した。なお、タック力の測定は、転写後の画像に、直径5[mm]の円形のPETシートを与圧5[N]で押付け引き剥がす際の力をデジタルフォースゲージで測定し、そのピーク値をPETシートの面積(直径5[mm]の円)で割って応力値を求めてタック応力を算出した。
また凝集性を判定するために引き剥がす際の状態が、凝集破壊であるか界面破壊であるかを観察した。なお、凝集破壊はトナー層の内部で分裂するものでこの場合、転写媒体側のPETシートと試験用のPETシートの両側にトナーが分裂して付着する。界面破壊はPET表面とトナー表面で分離する。トナーの凝集力が高い場合には界面破壊になるが、弱い場合には凝集破壊になる。
実験結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
本実験に用いるトナーは、着色剤(フタロシアニンブルー(PB−15:3)(大日精化社製))に対して表1の粘着剤を重量比で1対3の比率とし、さらに重量比1[%]相当の帯電制御剤(フォスファチジルコリン)(辻製油社製) を加えてキャリア液(IsoparH(エクソンモービル社製))中で72時間ボールミルに入れて分散させ、固形分率23[%]の液体現像剤としている。
【0040】
タック応力の値が200[mPa]以上であれば貼付可能で400[mPa]程度のタック応力があることが望ましい。低Tgのタック性ラウリルメタクリレート(LMA)(Tg:−65[℃])の量によってタック力に差が出る。凝集性を持たせるメチルメタクリレート(MMA)(Tg:105[℃])の比を2割以下とすると充分なタック力を得ることができた。2エチルヘキシルアクリレート(2EHA)(Tg:−85[℃])においてもほぼ同様の結果が得られた。
メチルメタクリレート(MMA)に対してイソボルニルメタクリレート(IBXMA)(Tg:155[℃])ではややタック力が減少し、スチレン(St)(Tg:100[℃])を重合した場合にはタック力は大きいが凝集力が不足して、剥がす際に凝集破壊となった。
また、ラウリルメタクリレート(LMA)単独でもタック力は高いが、凝集力が不足して剥がす際に凝集破壊となった。キャリア液の除去により粘着性を発現させるための粘着剤は、キャリア液に親和性が高くTgが−20[℃]以下の低Tgの樹脂とキャリア液に親和性が低くTgが高い樹脂を重合させて合成するとタック性と凝集性を備えたものを得る事ができる。
ここで凝集性について評価しているが、凝集性が弱いものであっても剥がす際に画像が破壊されて再度利用できないという特性を利用した使用方法も想定されるので、必ずしも必要な特性であるとは言えない。しかし、通常のラベルでは、剥がした際の残りはない方が望ましく凝集性を備えている方が好ましい。
【0041】
透明体に対して転写し、ラベルとして使用する用途に対しては、表1のNo.1、3、及び、4の液体現像剤は転写後も十分な粘着性があり、カバーシートとして使用した剥離シートを剥離後に被貼付体に対して貼付することができたが、No.2の液体現像剤では転写後の粘着性が弱く貼付後にすぐ剥がれてしまい、ラベルとしての使用ができなかった。
また、No.5、6の液体現像剤では、カバーシートとして使用した剥離シートを剥離する際に画像が乱れてしまいラベルとしての使用はできなかったが、カバーシートとして普通紙(リコー製PPC用紙タイプ6000<70W>)を使用したところ、写真のような光沢を持ち、画像面がPETシートによって保護されている画像体を得ることができた。
【0042】
なお、本発明の画像形成装置で使用する液体現像剤に含まれる粘着剤は上述したものに限定されるものでなく、キャリア液の除去によって粘着性を発現し、記録媒体に転写した後においても粘着性を維持することができるものであれば構わない。
【0043】
以上、本実施形態の画像形成装置であるプリンタ100は、潜像担持体である感光体1と、絶縁性の液体からなるキャリア液中に着色剤を含んだ画像形成物質を分散した液体現像剤Dによって感光体1上の静電潜像を現像する現像手段である現像装置4を備える。また、現像装置4によって、形成された感光体1上の画像を記録媒体Pに転写するための中間転写ローラ5(実施形態2では中間転写ベルト51)を備える転写手段としての転写装置を備える。現像装置4が用いる液体現像剤D中の画像形成物質であるトナーは、キャリア液を除去することによって粘着性が生じる粘着剤を含有し、記録媒体Pに転写した後に粘着剤の粘着性によって記録媒体Pを別の媒体である商品等の被貼付部に貼り付け可能な粘着力を発現する。このため、記録媒体Pに転写した後の画像を形成するトナーが、粘着剤の粘着性によって記録媒体Pを別の媒体に貼り付け可能な粘着力を有するため、記録媒体Pをラベル等として使用する場合、画像が粘着層として機能する。このため、記録媒体Pに画像を転写する前の記録媒体Pは粘着層を備えておらず、転写位置である中間転写ローラ5(実施形態2では中間転写ベルト51)と転写ローラ8との対向部までの記録媒体Pの搬送経路では粘着層が露出することに起因する紙詰まりが発生することはない。また、転写位置通過後の記録媒体Pの搬送路では、画像が露出することにより、粘着層が露出していることを前提として搬送路を形成する各部材を設定することにより、粘着層が露出することに起因する紙詰まりの発生を抑制することが出来る。このように、予め粘着層を備えたシートを搬送することなく、粘着層を備えていない記録媒体Pを用いてラベルを作成できるので搬送性に関わる課題を解消できる。よって、プリンタ100では、画像形成後に商品等に貼り付ける記録媒体Pが装置内で搬送不良となることを抑制することができる。また、従来の画像形成装置のように定着装置を備え、加熱ローラの間を通紙して定着することもないのでカールなどの問題も引起すことがない。さらに、ラベルの作成時の記録媒体Pは画像の保護層の役割をするので、貼付後に画像が欠落したりすることがない。
【0044】
また、実施形態2のプリンタ100は、記録媒体Pの画像面上に形成されたトナー像を覆うためのカバーシート201を、トナー像が転写された後の記録媒体Pの画像面に供給するカバーシート供給装置200を備える。カバーシート201をトナーの粘着性によって記録媒体Pに貼り付けることにより、画像を維持することが出来る。また、カバーシート201として粘着剤に対して剥離性を有するシートを用いることにより、粘着性を保護して画像を維持することが可能になる。このように、カバーシート201と記録媒体Pとでトナー像Tを挟むことにより、不用意な付着を抑制でき、取扱い性が向上する。
【0045】
また、実施形態2のプリンタ100は、カバーシート供給装置200から供給されるカバーシート201を記録媒体Pの画像面に押圧するカバーシート押圧手段である貼付ローラ300を備える。貼付ローラ300によって記録媒体Pとカバーシート201とを挟んで押圧することにより、カバーシート201を記録媒体Pに対して確実に固定することができ、取扱い性が向上する。
【0046】
また、実施形態2のプリンタ100で用いるカバーシート供給装置200を、カバーシート201として粘着剤の粘着性に対して剥離性が無く、且つ、透明な透明シートを供給し、透明シート供給装置として機能させてもよい。画像が透明体の透明シートで覆われるため、透明体によって光沢を得たり、画像を保護したりすることができるので、高画質の画像で定着後の画像の強度を高めることができる。このようなプリンタ100では、記録媒体Pに転写した後の画像を構成するトナーが、粘着剤の粘着性によって記録媒体Pを別の媒体に貼り付け可能な粘着力を有する。そして、この粘着剤の粘着性に対して剥離性が無く、且つ、透明な透明シートとしてのカバーシート201を画像が転写された後の記録媒体の画像面に供給することで、出力された記録媒体Pは画像面が透明な透明シートで覆われた状態となる。これにより、記録媒体Pや透明なカバーシート201として表面の平滑性の高いものを用いた場合でも、画像が透明シートであるカバーシート201で覆われるため擦れなどによって画像が剥がれたり、一部が欠損してしまうなどの問題を防止することができる。さらに、画像が透明体の透明シートで覆われるため、透明体によって光沢を得たり、画像を保護したりすることができるので、高画質の画像で定着後の画像の強度を高めることができる。
【0047】
また、実施形態2のプリンタ100で用いる記録媒体Pは画像面の裏面から透過して画像を認識することが可能な透明記録媒体である場合、透明記録媒体の画像面に対して形成する画像を鏡像化して形成する。これにより、透明記録媒体に転写し、記録媒体を透過して画像を認識する場合なども画像を正像とすることが可能である。また、ラベルとして用いる場合、画像面側を貼付する商品等の被貼付部に向けて貼り付けることにより、被貼付部にラベルを貼った状態では、透明記録媒体からなる記録媒体Pを透過して正像の状態の画像を視認することが出来る。
【0048】
また、記録媒体Pとして透明記録媒体を用い、この記録媒体Pの画像面に透明記録媒体の画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシート201として、カバーシート供給装置200を、粘着剤の粘着性に対して剥離性のない背面シートを画像が転写された後の記録媒体Pの画像面に供給し、背面シート供給装置として機能させても良い。記録媒体Pに転写した後の画像を構成するトナーが、粘着剤の粘着性によって記録媒体Pを別の媒体に貼り付け可能な粘着力を有する。そして、記録媒体Pが透明記録媒体である場合は、記録媒体Pの画像面に対して形成する画像を鏡像化して形成し、記録媒体Pの画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシート201として、粘着剤の粘着性に対して剥離性のない背面シートを画像が転写された後の記録媒体Pの画像面に供給する。これにより、出力された記録媒体Pを、記録媒体P側から見ると背面シート上に画像が形成され、透明な記録媒体Pで画像が覆われた状態となる。よって、記録媒体Pや背面シートとして表面の平滑性の高いものを用いた場合でも、画像が記録媒体Pと背面シートによって挟まれているため擦れなどによって画像が剥がれたり、一部が欠損してしまうなどの問題を防止することができる。画像が透明体の記録媒体Pで覆われるため、透明体によって光沢を得たり、画像を保護したりすることができるので、高画質の画像で定着後の画像の強度を高めることができる。
【0049】
また、実施形態2のプリンタ100は、図8に示すように、有色の液体現像剤Dを備える現像装置4と、有色の現像装置4が用いる液体現像剤Dの着色剤の代わりに無色透明な無色樹脂を含有する無色液体現像剤を用いる無色現像手段としての現像装置4を備える無色のステーション10Uを備える。これにより、画像の有無に関わらず、任意の場所で粘着性向上させることができる。
【0050】
また、無色のステーション10Uが備える現像装置4は、感光体1表面に形成される画像の非画像部に対応する部分を無色液体現像剤によって現像する。これにより、非画像部での粘着性向上により、全面で均一な粘着性を得る事ができる。特に、ラベルとした場合の不用意な剥離を抑制できる。
【0051】
また、実施形態2のプリンタ100は、図8に示すように、有色の液体現像剤Dを備える現像装置4と、白色の着色剤を含む液体現像剤Dを用いる白色現像手段としての現像装置4を備える白色のステーション10Wを備えている。これにより、貼付する部位の色に関わらず、所望の色の画像を得ることが可能になり、画像の品質を向上させることができる。
【0052】
また、白色のステーション10Wが備える現像装置4は、感光体1表面に形成される画像の非画像部に対応する部分を白色液体現像剤によって現像する。これにより、非画像部での粘着性向上により、全面で均一な粘着性を得る事ができる。特に、ラベルとした場合の不用意な剥離を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1のプリンタの概略構成図。
【図2】塗布ローラの説明図、(a)は、塗布ローラの全体図、(b)はパターン彫刻溝の拡大説明図、(c)は、塗布ローラとドクタブレードとの説明図、(d)は、塗布ローラに適用可能なピラミッド型のパターン彫刻溝の拡大説明図、(e)は、塗布ローラに適用可能な格子型のパターン彫刻溝の拡大説明図。
【図3】実施形態2のプリンタの概略構成図。
【図4】カバーシート供給装置を備える実施形態2のプリンタの概略構成図。
【図5】画像データを鏡像化して感光体上の画像を形成する機構のブロック図。
【図6】鏡像化処理を行う制御のフローチャート。
【図7】粘着層を持たない透明もしくは画像を透過して認識することが可能な記録媒体に鏡像の画像を転写してラベルを作成する場合の説明図。
【図8】4色カラー、白、及び、無色の現像剤を用いて記録媒体上に画像を形成するプリンタの模式図。
【図9】粘着層を持たない非透明な記録媒体Pに正像の画像を転写して通常のシート画像を作成する場合の説明図。
【符号の説明】
【0054】
1 感光体
2 帯電器
3 露光装置
4 現像装置
5 中間転写ローラ
6 除電ランプ
7 クリーニング装置
8 転写ローラ
10 ステーション
41 現像剤収容タンク
42 現像ローラ
43 塗布装置
44 スィープ装置
45 スィープローラ
46 塗布ローラ
46a ドクタブレード
47 中間ローラ
48 攪拌スクリュ
49 中間ローラブレード
50 スィープローラブレード
51 中間転写ベルト
60 キャリア液乾燥装置
61 送風ファン
62 ヒータ
70 チャージャ
80 吸引ファン
81 搬送ガイド
90 排紙ローラ
100 プリンタ
200 カバーシート供給装置
201 カバーシート
300 貼付ローラ
400 記憶装置
401 選択スイッチ
402 演算装置
403 露光制御部
441 ベルトスィープ装置
451 ベルトスィープローラ
D 液体現像剤
P 記録媒体
T トナー像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
絶縁性の液体からなるキャリア液中に着色剤を含んだ画像形成物質を分散した液体現像剤によって上記潜像担持体上の静電潜像を現像する現像手段と、
現像手段によって形成された上記潜像担持体上の画像を記録媒体に転写するための転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記現像手段が用いる上記液体現像剤中の画像形成物質は、上記キャリア液を除去することによって粘着性が生じる粘着剤を含有し、記録媒体に転写した後に該粘着剤の粘着性によって該記録媒体を別の媒体に貼り付け可能な粘着力を発現するものであり、
記録媒体の画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシートを、画像が転写された後の記録媒体の画像面に供給するカバーシート供給装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記カバーシート供給装置から供給される上記カバーシートを記録媒体の画像面に押圧するカバーシート押圧手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記カバーシートとして、上記粘着剤の粘着性に対して剥離性が無く、且つ、透明な透明シートを供給する透明シート供給装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2の画像形成装置において、
記録媒体として画像面の裏面から画像を認識することが可能な透明記録媒体に画像を形成するときには、該透明記録媒体の画像面に対して形成する画像を鏡像化して形成するように上記静電潜像を形成する潜像形成手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記透明記録媒体を介して画像を正像と認識できる側となる面から見て画像の背面となる画像面上に形成された画像を覆うためのカバーシートとして、上記粘着剤の粘着性に対して剥離性のない背面シートを画像が転写された後の記録媒体の画像面に供給する背面シート供給装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、
上記現像手段とは別に、該現像手段が用いる液体現像剤の上記着色剤の代わりに無色透明な無色樹脂を含有する無色液体現像剤を用いる無色現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記無色現像手段は、上記潜像担持体表面の画像の非画像部に対応する部分を上記無色液体現像剤によって現像することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記現像手段を複数備え、該現像手段の一つが白色の着色剤を含む白色液体現像剤を用いる白色現像手段であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記白色現像手段は、上記潜像担持体表面の画像の白色部に対応する部分を上記白色液体現像剤によって現像することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−300656(P2009−300656A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153964(P2008−153964)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】