説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置内にジャム発生によって滞留した用紙の装置外への取り出しを容易にする。
【解決手段】装置内で用紙を搬送するとともに排紙部への用紙搬送が可能な主搬送部と、主搬送部で搬送される用紙を受けて用紙反転後、主搬送部に用紙を戻す反転用搬送部と、反転用搬送部に介設され、反転用搬送部で搬送される用紙をその搬送方向と直交する方向に切り替えて直角搬送しつつ前記用紙を表裏方向に回転させることで表裏を反転させる直角反転部46と、直角反転部の搬送路上にある用紙を前記直角搬送方向に沿って前記搬送路の外に移動させる用紙取り出し部(反転用ローラ465、466、取り出しローラ490、491、492、スタック部49)を備えることで、画像形成装置内でジャムが発生した際にも、装置内に滞留する用紙を直角反転部46を介して速やかに装置外に排除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装置内で用紙を搬送し、該用紙に画像を形成して排紙する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、装置内で用紙を搬送して、画像形成等を行い、画像形成等がされた用紙をさらに装置内で搬送している。また、用紙は必要に応じて表裏反転されて搬送される(特許文献1、2参照)。
特許文献1では、用紙を一枚宛選択給紙するホッパーの前方に、表面印字されたものを収容する一次収容ボックス、横方向反転収容ボックス、縦方向収容ボックス及び反転ローラを設け、表面に印字された用紙を切替えバーによって一次収容ボックスに収容し、これを横方向反転ローラにより横方向に収容し、縦方向収容ボックスに転送し、縦方向反転ローラにより縦方向に反転し、縦方向の反転収容ボックスに転送する反転手段が開示されている。
特許文献2では、記録紙の進行方向における記録紙幅の中心線を回転軸として、記録紙を180度回転させる記録紙反転手段を備える画像記録装置が開示されている。
【0003】
ところで、画像形成装置では、上記用紙の搬送に際し、反転手段を含む搬送路でJAM(紙詰まり)が発生するのを完全に避けることは困難である。このため、画像形成装置全体を制御する制御部によってJAMを検知可能にし、JAMを検知した際には画像形成装置の稼働を停止して、操作者によるJAM用紙や搬送路に滞留した用紙の取り除きを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−222769号公報
【特許文献2】特開平7−43958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画像形成機能の高速化、大サイズ用紙対応等により、画像形成装置のサイズが大きくなると共に、滞留紙の枚数が多い機械も存在し、JAM(以下、ジャムという)処理に手間がかかり、ダウンタイムの増大につながっている。
例えば、複数のユニットで構成された画像形成装置でジャムが発生すると、ジャム処理をすべて行うためには、複数のユニットを個別に引き出す必要があり、また、滞留紙の位置が正確に把握できず、何度も同じ動作を繰り返すなどの作業が発生する問題がある。前記従来の装置でも、ジャム用紙や滞留用紙を装置内から効率よく取り出す手段については何ら手段が講じられていない。
【0006】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、通常の排紙部以外に直角反転部での排紙を可能にした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の画像形成装置は、装置内で用紙を搬送するとともに排紙部への用紙搬送が可能な主搬送部と、
前記主搬送部で搬送される用紙を受けて用紙反転後、前記主搬送部に用紙を戻す反転用搬送部と、
前記反転用搬送部に介設され、反転用搬送部で搬送される用紙をその搬送方向と直交する方向に切り替えて直角搬送しつつ前記用紙を表裏方向に回転させることで表裏を反転させる直角反転部と、
前記直角反転部の搬送路上にある用紙を前記直角搬送方向に沿って前記搬送路の外に移動させる用紙取り出し部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、用紙を搬送方向と直交する方向に切り替えて搬送しつつ用紙の表裏を反転させる直角反転部の搬送路上にある用紙を、用紙取り出し部によって直角搬送方向に沿って搬送路外に移動させることができ、必要に応じてさらに主搬送部や反転用搬送部にある用紙を直角反転部を介して取り出すことができる。
例えば、装置内でジャムが発生した場合、装置内のあちこちに滞留するダメージの無い用紙を、直角反転部に搬送し、直角反転部の機構の一部を利用して、ユニットを引き出すことなく装置前面へ滞留用紙を排出することができる。
【0009】
なお、直角反転部から用紙を取り出す用紙取り出し部は、直角反転部における搬送路を利用して、直角搬送方向に沿って前進または後進させて搬送路外に用紙を移動させるのが望ましい。さらには、上記搬送方向に沿って前進させて搬送路外に用紙を移動させるのが一層望ましい。これにより複雑な機構などを設けることなく直角反転部の機構を利用して用紙を取り出すことが可能になる。
用紙の取り出しは、画像形成装置の前面側に対し排紙するように行うのが望ましい。これにより操作者は、排紙された用紙の扱いを容易に行うことができる。
【0010】
また、用紙の取り出しに際し用紙をスタックすることができるスタック部を設けるようにしてもよい。装置内から複数枚の用紙を取り出す際に一旦スタック部に貯めることで用紙の扱いが容易になる。例えば、スタック部に装置内に滞留した用紙を排出した後、スタック部に貯まった用紙を一括して装置外に排出する動作を可能にする。
【0011】
また、スタック部に貯めた用紙を一括して排出する場合、滞留用紙搬送に要した時間の経過やスタック部に至る用紙の検知などによって自動的に行うことも可能であるが、操作者の操作指令によって上記排出を実行するようにしてもよい。操作者による排出指示は、排出指示部によって行うことができる。排出指示部は、画像形成装置に備える操作部を利用するものであってもよく、また、独立した排出釦などを設け、該排出釦などを操作することによって実行可能としたものであってもよい。
上記スタック部への用紙スタックは、直角反転部の前面側にある開閉扉が閉じられている場合に行うものとし、開閉扉が開いている際には、スタック部への用紙スタックを行うことなく装置前面側への排紙を行うようにすることも可能である。
【0012】
また、画像形成装置では、用紙のジャムを検知するジャム検知部を設けたものとすることができる。ジャム検知部は、例えば、主搬送部や反転用搬送部に設けた用紙センサと該用紙センサの出力を受けてジャム発生の判定を行う制御部によって構成することができる。制御部では、搬送された用紙が予定される時期を所定時間経過しても用紙センサで検知されない場合、ジャム発生ありと判定することができる。用紙が検知される予定時間は、給紙トレイなどから搬送された時期と、搬送速度、用紙センサの設置位置などによって制御部によって判定することができる。制御部では、ジャムの発生の有無やジャムの発生位置、発生エリアなどを合わせて判定することも可能である。
また、制御部では、ジャム発生ありの判定に基づいて画像形成装置内での動作を制御する。例えば、画像形成動作や給紙トレイからの給紙を停止し、用紙の搬送を一部で停止したり、一部で動作させたりする。
【0013】
制御部では、上記ジャム発生時の制御として、ジャム位置を通過することなく直角反転部に至ることができる主搬送部または反転用搬送部に滞留している用紙を主搬送部または前記反転用搬送部で直角反転部にまで搬送し、この用紙または直角反転部に滞留している用紙を直角反転部で搬送するとともに用紙取り出し部によって直角反転部の搬送路外に移動する滞留用紙排出の制御を実行することができる。これにより画像形成装置内に滞留する用紙は、可能な限り直角反転部を介して搬送部外に移動させることができる。
なお、滞留用紙排出の制御は、ジャム発生ありの判定に従って自動的に行うようにしてもよく、また、操作者の操作指示や後述する開閉扉の開検知をトリガーにして実行するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、本発明の画像形成装置によれば、画像形成装置内で搬送されている用紙を直角反転部の搬送路を通して搬送路外に移動して取り出すことができ、画像形成装置内でジャムが発生した際にも、装置内に滞留する用紙を速やかに排除することができ、ジャムのために操作者が画像形成装置を構成している複数のユニットを引き出す工数を削減し、ダウンタイムの軽減を実現する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置の機械的構成の概略を示す図である。
【図2】同じく、制御ブロックを示す図である。
【図3】同じく、直角反転部の側面を示す図である。
【図4】同じく、図4(a)は直角反転部の斜視図、図4(b)は、用紙の直角反転搬送状態を示す斜視図である。
【図5】同じく、ジャム発生時の滞留用紙排出の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】同じく、ジャム発生時に直角反転部を介して滞留用紙の排出が可能な経路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の画像形成装置1の概略を示す図である。
画像形成装置1は、大容量給紙装置2と、画像形成装置本体3と、定着装置4と、を備えている。大容量給紙装置2と画像形成装置本体3とは、大容量給紙装置2から画像形成装置本体3への用紙搬送が可能で、かつ信号の授受が可能に接続されている。また、画像形成装置本体3と定着装置4とは、画像形成装置本体3から定着装置4への用紙搬送が可能で、かつ信号の授受が可能に接続されている。
なお、本発明としては、画像形成装置は、画像形成装置本体のみで構成されるものであってもよく、その他の周辺装置が接続されたものであってもよい。
【0017】
大容量給紙装置2は、用紙を収納する1または2以上の給紙カセットを備えており、該給紙カセットに収納された用紙を画像形成装置本体3に給紙することができる。
画像形成装置本体3は、給紙トレイを有する給紙部30と、用紙に画像を形成する画像形成部31と、用紙を搬送する画像形成主搬送部32と、画像形成主搬送部32に合流する画像形成反転用搬送部34と、画像形成装置全体を制御する制御部36とを備えている。画像形成主搬送部32には用紙センサ33、画像形成反転用搬送部34には用紙センサ35が備えられている。なお、用紙センサ33、35は、例示であって、配置位置や配置個数は特に限定されない。用紙センサ33、35は、光学センサなどによって構成することができ、搬送される用紙の到達を用紙先端などで検知する。
【0018】
画像形成主搬送部32は、給紙部30から画像形成部31に至り、さらに定着装置4に用紙を搬送するように伸長している。さらに、大容量給紙装置2から給紙される用紙を受けて画像形成装置本体3内を搬送するように、大容量給紙装置2側にも伸長している。画像形成反転用搬送部34は、定着装置4から返送される用紙を受けて、画像形成主搬送部32に用紙を送る。
画像形成部31は、画像データに基づいて用紙にトナー画像を転写する。この画像形成部31は、図示しない露光部、帯電部および現像部を備えている。
帯電部は、感光体ドラム31aの表面を一様に帯電する。露光部は、画像データをもとに制御部36から出力される出力情報に対応して、感光体ドラム31aの表面をレーザビームにより走査露光して潜像を形成する。現像部は、トナー画像によって感光体ドラム31a上の潜像を顕像化する。
【0019】
定着装置4は、前記画像形成主搬送部32に接続される定着主搬送部40を備えており、定着主搬送部40上に定着部42が介設されている。定着主搬送部40は、定着部42の下流側で定着装置4外の排紙部43に至っている。定着主搬送部40には、前記定着部42の下流側で定着反転用搬送部44の上流側が接続されている。定着主搬送部40と定着反転用搬送部44と間には図示しない切替部が設けられており、該切替部によって定着主搬送部40の上流側から搬送される用紙を定着主搬送部40の下流側に搬送するか定着反転用搬送部44に搬送するかを切り替えることが可能になっている。転写主搬送部40には用紙センサ41、定着反転用搬送部44には用紙センサ45が備えられている。なお、用紙センサ41、45は、例示であって、配置位置や配置個数は特に限定されない。用紙センサ41、45は、光学センサなどによって構成することができ、搬送される用紙の到達を用紙先端などで検知する。
【0020】
また、定着反転用搬送部44には、直角反転部46が介設されており、直角反転部46の下流側で定着反転用搬送部44は、画像形成装置本体3の画像形成反転用搬送部34に接続される。また、直角反転部46の下方側であって、装置前面側には直角反転部46から搬送される用紙をスタックするスタック部49が設けられており、スタック部49にスタックされた用紙は、装置の前面に排紙可能になっている。
定着装置4の前面側には開閉扉47、47が設けられており、さらには開閉扉47、47の開閉を検知する扉開閉センサ48が設けられている。扉開閉センサ48は、リミットスイッチなどによって構成され、開閉扉47の開および閉を検知することができる。
上記画像形成主搬送部32および定着主搬送部40は、本発明の主搬送部に相当し、画像形成反転用搬送部34および定着反転用搬送部44は、本発明の反転用搬送部に相当する。
【0021】
次に、上記画像形成装置1の制御ブロックを図2に基づいて説明する。
画像形成装置1は、制御部36によって全体が制御されている。制御部36は、CPUとこれを動作させるプログラムとを主構成とし、作業エリアとなるRAMや画像形成装置各部の動作パラメータなどを格納した不揮発のメモリなどを備えている。
制御部36には、前記画像形成装置本体3に備える給紙部30、画像形成部31が制御可能に接続されている。また、制御部36には、画像形成主搬送部32、画像形成反転用搬送部34が制御可能に接続されており、画像形成装置本体3内での用紙の搬送が制御部36によって制御される。
【0022】
また、制御部36には、用紙センサ33、35が制御可能に接続されており、用紙センサ33、35の検知結果が制御部36に送信される。
制御部36では、用紙センサ33、35による検知によって画像形成主搬送部32、画像形成反転用搬送部34における用紙到達の判定を行うことができる。該判定において、用紙が到達する予定時間よりも所定時間遅れる場合には、ジャムが発生したと判定することができる。予定時間は、給紙部や上流側の用紙センサで用紙が検知された時期と、搬送速度とによって算出することができる。ジャム判定を行うための所定時間は予め設定して制御部36の不揮発メモリなどに格納しておき、必要に応じて読み出して判定に用いる。なお、ジャム判定の方法は、上記に限定されるものではなく、ジャム紙を直接検知するような構成を採用することも可能である。
制御部36では、ジョブデータに基づいて給紙部30から所定の用紙を給紙し、画像形成主搬送部32で搬送して画像形成部31でジョブデータに含まれる画像データに基づいて画像形成を行う制御を実行する。
【0023】
さらに、制御部36には、定着装置4内の転写主搬送部40、定着反転用搬送部44が制御可能に接続されており、定着装置4内での用紙Pの搬送が制御部36によって制御される。
制御部36には、用紙センサ41、45が制御可能に接続されており、用紙センサ41、45の検知結果が制御部36に送信される。
制御部36では、用紙センサ41、45による検知によって転写主搬送部40、定着反転用搬送部44における用紙到達の判定を行うことができる。該判定において、用紙が到達する予定時間よりも所定時間遅れる場合には、ジャムが発生したと判定することができる。予定時間は、給紙部や上流側の用紙センサで用紙が検知された時期と、搬送速度とによって算出することができる。ジャム判定を行うための所定時間は予め設定して制御部36の不揮発メモリなどに格納しておき、必要に応じて読み出して判定に用いる。なお、ジャム判定の方法は、上記に限定されるものではなく、ジャム紙を直接検知するような構成を採用することも可能である。
【0024】
また、制御部36には、定着部42が制御可能に接続されている。定着部42では、画像形成装置3で画像形成され、定着主搬送部40で搬送された用紙に対し、画像の定着が行われる。
制御部36には、直角反転部46が制御可能に接続されており、定着部42で定着され、定着主搬送部40で搬送される用紙を、反転を要する場合、定着反転用搬送部44に切り替えて搬送し、さらに直角反転部46で直角反転する制御を実行する。反転を要しない場合、定着主搬送部40で搬送される用紙を定着反転用搬送部44に搬送することなく定着装置4外の排紙部43に搬送する。
また、制御部36には、スタック部49が制御可能に接続されており、直角反転部46から用紙をスタック部49に搬送し、必要に応じて、スタック部49に貯めた用紙を一括して装置前面に排紙する制御を実行する。
【0025】
次に、直角反転部46の構成について図3〜5に基づいて詳細に説明する。
図3は、直角反転部46の要部を示す側面図であり、図4は、直角反転部46の構成および用紙の反転経路を模式的に示す斜視図である。
直角反転部46は、定着主搬送部40における用紙搬送方向FD1と直交する方向に用紙Pを直角搬送する搬送路(用紙Pの搬送方向FD2)を備えている。また、直角反転部46は、定着位置における用紙搬送方向FD1と平行な回転軸を中心として用紙Pを回転させることにより、用紙Pの表裏を反転させる。この直角反転部46は、第1の反転部46Aと、第2の反転部46Bと、回転搬送路46Cとを備えている。
【0026】
第1の反転部46Aは、搬送用ローラ461、搬送用ローラ462、反転用ローラ463、反転用ローラ464を有している。搬送用ローラ461は、回転ローラと回転ローラに当接された従動ローラとから構成され、図示しない駆動機構により駆動されることにより、圧接状態(ニップ状態)と離間状態(ニップ解除状態)とを切り替えることができる。回転ローラは回転軸とその両端部に取り付けられた一対のローラとから構成され、従動ローラは回転軸とその両端部に取り付けられた一対のローラとから構成される。なお、この搬送用ローラ461の構成は、搬送用ローラ462、反転用ローラ463、464、465、466、後述する搬送用ローラ467、468、取り出しローラ490、491、492においても同様である。各ローラを駆動する駆動モータは、制御部36に制御可能に接続されている。
【0027】
搬送用ローラ461、462のそれぞれは、ローラの回転軸が用紙搬送方向FD2と平行に配置されており、両搬送用ローラ461、462は、互いに所定距離を隔てた状態で対向するように配置されており、これらの間隔は、搬送される用紙Pの搬送方向長さ内に収まっている。
反転用ローラ463、464は、搬送用ローラ461、462の軸方向両端側に位置して、搬送用ローラ461、462の回転軸と直交する方向、すなわち搬送方向FD1と平行に回転軸を有している。
反転用ローラ463と反転用ローラ464は、互いに所定距離を隔てた状態で対向するように配置されており、これらの間隔は、搬送される用紙Pの搬送方向長さ内に収まっている。
【0028】
搬送用ローラ461、462は、定着位置を通過した用紙を定着主搬送部40から受け取るとともに、用紙搬送方向FD1から直角反転部46の用紙搬送方向FD2に切り替えるための第1の切替位置まで用紙Pを搬送する。この第1の切替位置は、搬送用ローラ461、462により搬送された用紙Pを反転用ローラ463、464によりニップして回転搬送路46Cに搬送することが可能な位置である。
【0029】
反転用ローラ463、464は、搬送用ローラ461、462により第1の切替位置に搬送された用紙Pを用紙搬送方向FD2に従って搬送する。具体的には、反転用ローラ463、464は、反転用ローラ463が上流側、反転用ローラ464が下流側となるようにして用紙Pを搬送し、回転搬送路46Cを介して第2の反転部46Bへと用紙Pを供給する。
【0030】
回転搬送路46Cは、第1の反転部46Aの反転用ローラ464の搬出側と第2の反転部46Bの反転用ローラ465の搬入側との間に設けられている。
回転搬送路46Cは、例えば金属部材からなる一対のガイド板470により構成され、外方向に円弧状に湾曲している。これにより、一対のガイド板470の間を用紙Pが通過することで、転写位置における用紙搬送方向FD1と平行な回転軸を中心として用紙Pが180度回転させられてセイムエッジで表裏が反転する。
【0031】
第2の反転部46Bは、反転用ローラ465、466と、搬送用ローラ467、468と、を有している。反転用ローラ465の構成は第1の反転部46Aの反転用ローラ464と同様の構成であり、反転用ローラ466の構成は第1の反転部46Aの反転用ローラ463と同様の構成である。搬送用ローラ467、468の構成は第1の反転部46Aの搬送用ローラ461、462と同様の構成である。各ローラの重複する部分についての説明は簡略化または省略する。
【0032】
反転用ローラ465は、回転搬送路46Cに沿って搬送された用紙Pを受け取ると、直角反転部46の用紙搬送方向FD2から用紙搬送方向FD1に切り替えるための第2の切替位置まで用紙Pを搬送する。この第2の切替位置は、反転用ローラ465、466により搬送された用紙Pを搬送用ローラ467、468によりニップして、用紙Pを定着反転用搬送部44における搬送路に搬送することが可能な位置である。
このように直角反転部46は、スイッチバックといった手法と異なり、図4(b)、図5に示すように、用紙Pの先後を入れ替えることなく用紙Pの表裏を反転させる。反転された用紙Pは、直角反転部46を経ることで、表裏が反転されて定着反転用搬送部44に戻される。定着反転用搬送部44に戻された用紙Pは、画像形成装置本体3の画像形成反転用搬送部34に戻されて、裏面への画像形成が可能になる。
【0033】
また、直角反転部46では、反転用ローラ466の搬送方向側に取り出しローラ490が配置されている。直角反転部46では、搬送路から用紙を取り出す場合、第2の切り替え位置を越えて用紙を反転用ローラ465、466で搬送し、取り出しローラ490でさらに前方に移動する。取り出しローラ490で搬送される用紙は、取り出しローラ491で搬送されてスタック部49に至る。スタック部49に至った用紙は、逆転する取り出しローラ491でスタック部49から取り出され、取り出しローラ492で定着装置4の前面側に排出することが可能になる。上記動作において、反転用ローラ465、466、取り出しローラ490、491、492、スタック部49は、本発明の用紙取り出し部に相当する。
上記構成では、用紙をスタック部49に貯めることなく排紙する場合にも、取り出しローラ490、491で一旦スタック部49側に用紙を搬送し、反転して取り出しローラ491、492で搬送するが、直角反転部46から、スタック部49を経ることなく直接定着装置前面側に用紙を排出するラインを設けることも可能である。
なお、この実施形態では、用紙が第2の切り替え位置に達した状態で用紙をさらに前進させて取り出しを可能にしているが、搬送路の途中で用紙の取り出しを可能にしてもよく、また、搬送方向に対し用紙を後進させることで取り出しを可能にするものであってもよい。
【0034】
次に、直角反転部46を介した用紙の取り出しの制御手順について、図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、該制御手順は、制御部36によって実行される。
画像形成装置1の動作中に、制御部36では、用紙センサ33、35、41、45の検知結果に基づいてジャムの発生を判定する。制御部36でジャムの発生有りの判定がなされることによって、ジャム発生時の制御が実行される。
先ず、ジャム発生有りの判定に従って、ジャム位置を検出する(ステップs1)。ジャム位置は、用紙到達が適正に検知された用紙センサと、用紙到達が所定時間内に検知されなかった用紙センサとの間の搬送路でジャムが発生しているものと判定することができる。さらにジャム位置の検出とともに、前面にある開閉扉47の開閉状態を検出する(ステップs1)。開閉状態は、扉開閉センサ48で検知されている。
【0035】
制御部36では、ジャム位置に従い、滞留用紙排出として、直角反転部46に搬送可能な位置にある用紙の搬送を開始し、直角反転部46でのセイムエッジ反転を可能にする(ステップs2)。直角反転部46に搬送可能な位置は、ジャムの発生箇所によって異なっている。図6は、ジャム発生位置(図中×印)によって、用紙の搬送可能な範囲を示す図であり、太線部分の範囲で用紙の搬送、取り出しが可能になる。前記直角反転部46は、ジャムが発生したジョブで直角反転が行われていなかった場合にも、ジャム発生時には動作が実行される。
【0036】
直角反転部46への用紙搬送に際し、前面にある開閉扉47が開いているか否かの判定を行う(ステップs3)。開閉扉47が開いている場合(ステップs3、Yes)、滞留している用紙を直角反転部46に搬送した後、取り出しローラ490、491、492によって直角反転部46の搬送路から用紙を取り出し、スタック部49にスタックすることなく(ノンスタック)、定着装置4の前面側に用紙を排出する(ステップs4)。滞留紙排出の制御を所定時間行うことで、搬送可能な用紙が全て定着装置4の前面側に排出され(ステップs7)、処理が終了する。
一方、前面の開閉扉47が開いていない場合(ステップs3、No)、直角反転部46から取り出した用紙を順次、取り出しローラ490、491によってスタック部49に貯める(ステップs5)。搬送可能な用紙が全てスタック部49に貯められるまで搬送を継続する(ステップs6)。全ての搬送可能な用紙の搬送が終了すると(ステップs6、Yes)、前面の開閉扉47の開が扉開閉センサ48で検知されるか、操作者が図示しない排出ボタンの押し下げを行ったことが検知されると、取り出しローラ491、492を制御して、スタック部49に貯められている用紙を一括して定着装置4の前面側に排出し(ステップs8)、処理を終了する。
【0037】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 画像形成装置
2 大容量給紙装置
3 画像形成装置本体
4 定着装置
31 画像形成部
32 画像形成主搬送部
33 用紙センサ
34 画像形成反転用搬送部
35 用紙センサ
36 制御部
40 定着主搬送部
41 用紙センサ
42 定着部
43 排紙部
44 定着反転用搬送部
45 用紙センサ
46 直角反転部
47 開閉扉
48 扉開閉センサ
49 スタック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内で用紙を搬送するとともに排紙部への用紙搬送が可能な主搬送部と、
前記主搬送部で搬送される用紙を受けて用紙反転後、前記主搬送部に用紙を戻す反転用搬送部と、
前記反転用搬送部に介設され、反転用搬送部で搬送される用紙をその搬送方向と直交する方向に切り替えて直角搬送しつつ前記用紙を表裏方向に回転させることで表裏を反転させる直角反転部と、
前記直角反転部の搬送路上にある用紙を前記直角搬送方向に沿って前記搬送路の外に移動させる用紙取り出し部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙取り出し部は、前記搬送路を搬送される用紙を前記直角搬送の方向に沿って前進または後進させて前記搬送路外に移動させるものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙取り出し部は、前記搬送路を搬送される用紙を前記直角搬送の方向に沿って前進させて前記搬送路外に移動させるものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記用紙取り出し部は、前記用紙を前記搬送路外に移動して装置の前面側に排出するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙取り出し部は、前記搬送路外を移動する用紙をスタックするスタック部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記スタック部は、スタックされた用紙を一括して装置外に排出可能であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記スタック部にスタックされた用紙を装置外に排出する動作を操作者が指示する排出指示部を備えることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記主搬送部または前記反転搬送部を搬送されている用紙のジャムを検知するジャム検知部と、画像形成装置の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記ジャム検知部の検知結果を受けてジャム発生時の制御を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ジャムが発生し、前記主搬送部、前記反転用搬送部または前記直角反転部にジャム以外の用紙が滞留していると判定される場合、前記ジャム検知部によって検知されたジャム位置情報に従い、前記ジャム位置を通過することなく前記直角反転部に至ることができる前記主搬送部または前記反転用搬送部に滞留している用紙を前記主搬送部または前記反転用搬送部で前記直角反転部にまで搬送し、この用紙または前記直角反転部に滞留している用紙を前記直角反転部で搬送するとともに前記用紙取り出し部によって前記搬送路外に移動する滞留用紙排出の制御を実行することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記直角反転部の装置前側に位置する開閉扉と、前記開閉扉の開動作を検知する扉開閉センサとを備え、
前記制御部は、前記ジャム検知部でジャムが検知され、前記主搬送部、前記反転用搬送部または前記直角反転部にジャム以外の用紙が滞留していると判定される場合、前記滞留用紙排出の制御を実行するとともに、該滞留用紙排出の制御では、少なくとも前記用紙取り出し部によって用紙を装置前面側に排出する動作を、前記扉開閉検知センサで扉の開が検知された後に行うことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記ジャム検知部でジャムが検知され、かつ扉開閉センサで前記開閉扉の開動作が検知されない場合、前記搬送路外に移動させる用紙を前記用紙取り出し部に備えられたスタック部にスタックする制御を実行することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−162378(P2012−162378A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25830(P2011−25830)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】