説明

画像検査装置、画像検査方法および画像検査プログラム

【課題】検査精度に寄与する項目を効率的に選択し、選択した項目により検査することのできる画像検査装置を提供する。
【解決手段】基準画像から特徴量を算出し仮基準空間記憶部106に格納する仮基準空間マハラノビス距離算出部104と、直交表においてマハラノビス距離の算出に利用すると規定された項目に対する特徴量を仮基準空間マハラノビス距離算出部104から抽出し、抽出した特徴量に基づいて、各項目を利用する場合、しない場合のSN比を算出するSN比算出部112と、SN比に基づいて項目を選択する項目選択部114と、選択された項目に対応する特徴量を仮基準空間記憶部106から抽出し、抽出した特徴量に基づいて、基準空間のマハラノビス距離を算出する基準空間マハラノビス距離算出部116を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の画像を利用して製品の検査を行う画像検査装置、画像検査方法および画像検査プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDカメラなどのカメラにより撮影した製品外観の画像に対し、フィルタリング処理、2値化処理などの画像処理を施し、処理後の画像を用いて、欠陥候補を検出し、製品の良否を判定する画像検査方法が知られている。このような画像検査方法の1つに、マハラノビス・タグチ法(以下、「MT法」と呼ぶ)がある。
【0003】
MT法においては、正常な状態の複数の製品画像(製品の分布において、最も出現頻度の高い製品群とするのが一般的である)から、画像の状態を表す複数の項目にしたがい特徴量を抽出し、基準空間を設定し、基準空間から閾値を決定する。そして、画像検査の対象となる被検査画像、すなわち状態が不明な製品画像のマハラノビス距離を算出する。そして、マハラノビス距離と閾値とを比較することにより異常の有無を判断する。
【0004】
このように、MT法は多変量解析の手法を用いて製品の状態を判定するので、作業員が目視で製品の状態を判定する目視検査と同様に、様々な情報(特徴量)を基にした総合的な判定を行うことができる。
【0005】
MT法における上記処理は、多変量解析そのものであるが、MT法では項目選択と呼ばれる方法を用いて、検査精度に寄与する項目を選択することができる。MT法はこの点で通常の多変量解析と異なる。項目選択は、品質工学の考え方であるSN比(機能がばらつかない程度)に基づいて、検査精度に寄与する項目を選択するものである。項目選択の基本的な進め方は以下の通りである。
1)予め規定した複数の項目を、水準1「項目を使用する」、水準2「項目を使用しない」として直交表に割付ける。
2)直交表の各条件に基づいて、被検査画像から特徴量を抽出する。
3)抽出した特徴量から、直交表の各条件のマハラノビス距離を算出する。
4)算出したマハラノビス距離から、各項目のSN比を算出する。
5)水準2のSN比よりも、水準1のSN比の方が大きくなる項目を、検査精度に寄与する項目として選択する。必要に応じて(検査仕様に合わせて)選択した項目の中から、さらに項目を選択する。
【0006】
このように、項目選択では直交表の条件数だけ、特徴量の抽出とマハラノビス距離算出のための演算処理を行う必要がある。例えば、項目数が63個の場合はL64の直交表に割り付けるので、64回の特徴量の抽出とマハラノビス距離算出が必要となる。また、項目数が127個の場合はL128の直交表に割付けるので、128回の特徴量の抽出とマハラノビス距離算出が必要となる。このように、演算処理に多大な時間を要することが実用上の問題となっている。
【0007】
MT法のもう一つの問題点に、多重共線性がある。多重共線性を生じると、相関行列の逆行列を求めることができなくなる。つまり、マハラノビス距離を算出することができなくなる。多重共線性の要因としては、i)特徴量間の相関が強すぎる、ii)基準空間を構成するサンプル数が項目数よりも少ないという2点が上げられる。要因ii)に関し、基準空間を構成するサンプル数は、項目数の総数の2倍以上が適当であると言われている。
【0008】
しかしながら、項目数を多くすると、前述した項目選択と合わせて、演算処理の負担が非常に重くなってしまうという問題がある。このような問題を解決するものとして、特許文献1には、項目として、色、輝度、濃度などの一次パラメータや、一次パラメータの平均や標準偏差である二次パラメータではなく、画像全体を表現することができる特徴量分布を用いて、マハラノビス距離を求めることにより、少ない項目で効率良く、精度の良い検査を行う方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−252451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の方法では、特徴量分布を用いることにより画像全体を表現することができるものの、その特徴量分布が検査精度に寄与しているかどうかはわかっておらず、適切な画像検査が行われているか不明である。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、検査精度に寄与する項目を効率的に選択し、検査精度に寄与する項目を用いて検査することのできる画像検査装置、画像検査方法および画像検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、マハラノビス距離により画像検査を行う画像検査装置であって、基準空間の算出に利用する基準画像から、予め規定された複数の項目それぞれに対応するすべての特徴量を算出し、記憶手段に格納する特徴量算出手段と、各項目を前記マハラノビス距離の算出に利用するか否かの2水準と、前記項目の数により定まる直交表において、前記マハラノビス距離の算出に利用すると規定された項目に対する前記特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記直交表の各条件での前記マハラノビス距離を算出する第1マハラノビス距離算出手段と、前記第1マハラノビス距離算出手段により算出された前記マハラノビス距離に基づいて、各項目を利用する場合のSN比および各項目を利用しない場合のSN比を算出するSN比算出手段と、前記項目を利用する場合のSN比が前記項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなる項目を選択する項目選択手段と、前記項目選択手段により選択された前記項目に対応する特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記基準空間のマハラノビス距離を算出する第2マハラノビス距離算出手段と、前記第2マハラノビス距離算出手段により算出された前記マハラノビス距離に基づいて、画像検査の対象となる被検査画像の良否判定を行う良否判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の他の形態は、マハラノビス距離により画像検査を行う画像検査方法であって、特徴量算出手段が、基準空間の算出に利用する基準画像から、予め規定された複数の項目それぞれに対応するすべての特徴量を算出し、記憶手段に格納する特徴量算出ステップと、第1マハラノビス距離算出手段が、各項目を前記マハラノビス距離の算出に利用するか否かの2水準と、前記項目の数により定まる直交表において、前記マハラノビス距離の算出に利用すると規定された項目に対する前記特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記直交表の各条件での前記マハラノビス距離を算出する第1マハラノビス距離算出ステップと、SN比算出手段が、前記第1マハラノビス距離算出で算出された前記マハラノビス距離に基づいて、各項目を利用する場合のSN比および各項目を利用しない場合のSN比を算出するSN比算出ステップと、項目選択手段が、前記項目を利用する場合のSN比が前記項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなる項目を選択する項目選択ステップと、第2マハラノビス距離算出手段が、前記項目選択ステップで選択された前記項目に対応する特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記基準空間のマハラノビス距離を算出する第2マハラノビス距離算出ステップと、良否判定手段が、前記第2マハラノビス距離算出ステップで算出された前記マハラノビス距離に基づいて、画像検査の対象となる被検査画像の良否判定を行う良否判定ステップとを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の形態は、マハラノビス距離による画像検査処理をコンピュータに実行させるための画像検査プログラムであって、基準空間の算出に利用する基準画像から、予め規定された複数の項目それぞれに対応するすべての特徴量を算出し、記憶手段に格納する特徴量算出ステップと、各項目を前記マハラノビス距離の算出に利用するか否かの2水準と、前記項目の数により定まる直交表において、前記マハラノビス距離の算出に利用すると規定された項目に対する前記特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記直交表の各条件での前記マハラノビス距離を算出する第1マハラノビス距離算出ステップと、前記第1マハラノビス距離算出ステップで算出された前記マハラノビス距離に基づいて、各項目を利用する場合のSN比および各項目を利用しない場合のSN比を算出するSN比算出ステップと、前記項目を利用する場合のSN比が前記項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなる項目を選択する項目選択ステップと、前記項目選択ステップで選択された前記項目に対応する特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記基準空間のマハラノビス距離を算出する第2マハラノビス距離算出ステップと、前記第2マハラノビス距離算出ステップで算出された前記マハラノビス距離に基づいて、画像検査の対象となる被検査画像の良否判定を行う良否判定ステップとを前記コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検査精度に寄与する項目を効率的に選択し、検査精度に寄与する項目を用いて検査することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる画像検査装置10の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、電子計算機14の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、L8直交表を示す図である。
【図4】図4は、L128直交表を示す図である。
【図5】図5は、基準空間を作成する際の電子計算機14の処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、輝度波形を説明するための図である。
【図7−1】図7−1は、輝度波形の微分値および積分値を説明するための図である。
【図7−2】図7−2は、輝度波形の微分値および積分値を説明するための図である。
【図8】図8は、特徴量Xnkの行列を示す図である。
【図9】図9は、特徴量xnkの行列を示す図である。
【図10】図10は、MD−1と欠陥の程度の関係のグラフを示す図である。
【図11】図11は、基準空間再作成処理(ステップS118)における詳細な処理を示すフローチャートである。
【図12】図12は、項目が抽出された行列を示す図である。
【図13】図13は、要因効果図である。
【図14】図14は、図13に示す要因効果図を水準1のSN比と水準2のSN比の差分値を縦軸として書き直したグラフを示す図である。
【図15】図15は、電子計算機14による被検査画像の良否判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像検査装置、画像検査方法および画像検査プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態にかかる画像検査装置10の全体構成を示す図である。画像検査装置10は、検査対象であるワーク20の概観を撮影し、得られた画像データに基づいて検査を行う。ワーク20は、例えば切削加工した金属部品であり、ワーク20の表面にある、傷、バリ、異物などの欠陥の有無の検査を要するものである。画像検査装置10は、このワーク20を被検査品とし、ワーク20の欠陥の有無の検査を行う。
【0019】
画像検査装置10は、カメラ12と、照明13と、電子計算機14と、表示装置15とを備えている。カメラ12は、ワーク20の概観を撮影し、ワーク20の画像データである被検査画像を得る。カメラ12は、具体的にはCCDカメラである。なお、他の例としては、カメラ12として、CMOSカメラ、アナログカメラなどを使用してもよい。照明13は、カメラ12によりワーク20の概観を撮像する際に、ワーク20の撮像箇所の明るさを調整する。照明13は、具体的にはLEDリング照明である。他の例としては、照明13として、ファイーバー照明、LED照明、リング照明、同軸落射照明などを使用してもよい。
【0020】
カメラ12により撮影された被検査画像は、電子計算機14に送られる。電子計算機14は、被検査画像に対する画像処理を施した後、画像処理後の被検査画像に基づいて、ワーク20の欠陥の有無の判定、すなわち良否判定を行い、良否判定の結果を表示装置15に表示させる。
【0021】
なお、カメラ12は、良品であることがわかっている製品の撮影も行う。これにより、基準画像を得る。ここで、基準画像は、最も正常な状態にある複数の製品それぞれの画像である。すなわち、出現頻度が最も高くなる良品画像群の画像データであり、マハラノビス基準空間を作成するために利用する画像群である。電子計算機14は、複数の基準画像に基づいて、良品判定の際に利用するマハラノビス基準空間を作成する。
【0022】
図2は、電子計算機14の構成を示すブロック図である。電子計算機14は、基準画像取得部100と、第1画像処理部102と、仮基準空間マハラノビス距離算出部104と、仮基準空間記憶部106と、直交表記憶部108と、直交表マハラノビス距離算出部110と、SN比算出部112と、項目選択部114と、基準空間マハラノビス距離算出部116と、基準空間記憶部118と、閾値決定部120と、閾値記憶部122と、被検査画像取得部130と、第2画像処理部132と、被検査画像マハラノビス距離算出部134と、良否判定部136とを備えている。
【0023】
基準画像取得部100は、カメラ12から複数の基準画像を取得する。第1画像処理部102は、基準画像取得部100が取得した基準画像に対して、フィルタリングやエッジ強調などの画像処理を施す。仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、予め規定されている数(K)の項目に基づいて、各基準画像の各行(ライン)の特徴量を抽出し、マハラノビス距離を算出する。特徴量は、例えば、輝度波形の微分値、積分値、輝度最大値と輝度最小値の差分など輝度情報に関する情報である。特徴量については後述する。そして、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、特徴量を仮基準空間記憶部106に記憶する。さらに、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、マハラノビス距離およびマハラノビス距離を算出する際に利用したパラメータを仮基準空間のパラメータとして仮基準空間記憶部106に記憶する。
【0024】
直交表記憶部108は、直交表を記憶している。直交表は、各項目を利用した場合およびしない場合のマハラノビス距離のSN比を効率的に算出するために利用されるものである。ここで、直交表について説明する。図3は、L8直交表を示す図である。例えば、2水準を有する因子が7つある場合には、7つの因子の2つの水準の組み合わせは256通り(2^8通り)存在する。これに対し、L8直交表を用いて、図3に示すようにNo1〜No8の8回の実験を行うことにより、256通りの実験を行うことと同等の結果を得ることができる。直交表における各因子の水準1、2の取り方は、予め定まっており、L8直交表における各因子の水準は図3に示す通りである。なお、因子数と水準数により、L8、L16、L64、L128など直交表の大きさが決定される。いずれの大きさの直交表においても、各因子の水準は予め定められている。
【0025】
本実施の形態においては、因子に相当する項目数が127個あり(K=127)、図4に示すようなL128の直交表が直交表記憶部108に記憶されている。SN比の算出には、直交表記憶部108に記憶されているL128直交表が利用される。L128を利用することにより、128回の演算により、2^128通りの演算を行うことと同等の結果を得ることができる。なお、図4における直交表中の「1」は、「水準1」すなわち「項目を利用する」に相当し、直交表中の「2」は、「水準2」、すなわち「項目を利用しない」に相当する。
【0026】
直交表マハラノビス距離算出部110は、直交表記憶部108が記憶する直交表と、仮基準空間記憶部106が記憶する仮基準空間の特徴量およびパラメータに基づいて、各直交表におけるマハラノビス距離を算出する。SN比算出部112は、直交表マハラノビス距離算出部110により算出されたマハラノビス距離のSN比を算出する。SN比とは、品質工学においてロバスト性(入出力の関係がばらつかない性質)を定量的に表したものである。項目選択部114は、SN比算出部112により算出されたSN比に基づいて、予め規定された複数の項目の中から基準空間を作成するために利用する項目を選択する。
【0027】
基準空間マハラノビス距離算出部116は、項目選択部114により選択された項目を利用して、基準空間のマハラノビス距離を算出する。基準空間マハラノビス距離算出部116は、基準空間のマハラノビス距離および基準空間のマハラノビス距離を算出する際に用いたパラメータを基準空間記憶部118に格納する。閾値決定部120は、基準空間マハラノビス距離算出部116により得られたマハラノビス距離に基づいて、ワーク20の画像、すなわち被検査画像に異常があるか否かの良否判定に利用する閾値を決定する。閾値決定部120はさらに決定した閾値を閾値記憶部122に格納する。
【0028】
被検査画像取得部130は、カメラ12から、カメラ12により撮影された被検査品の画像である、被検査画像を取得する。第2画像処理部132は、被検査画像に対して第1画像処理部102と同様の画像処理を施す。このように、画像処理を施すことにより、欠陥の検出を容易にすることができる。なお、基準画像と被検査画像に対し、同一条件化で検査を行うべく、基準画像に対しても画像処理を施すこととしている。
【0029】
被検査画像マハラノビス距離算出部134は、基準空間記憶部118が記憶しているパラメータを利用して、第2画像処理部132による画像処理後の各被検査画像のマハラノビス距離を算出する。良否判定部136は、閾値記憶部122が記憶している閾値と被検査画像マハラノビス距離算出部134が算出したマハラノビス距離とを比較することにより、被検査画像に対応する製品が良品であるか不良品であるかの判定を行う。具体的には、マハラノビス距離が閾値よりも大きい場合に異常がある、すなわち不良品であると判定し、マハラノビス距離が閾値以下である場合に異常なし、すなわち良品であると判定する。
【0030】
図5は、基準空間を作成する際の電子計算機14の処理を示すフローチャートである。基準空間作成処理においては、まず基準画像取得部100は、カメラ12により撮影された、最も正常な状態にある製品の画像、すなわち基準画像を取得する(ステップS100)。取得する基準画像の数は、項目数の2倍以上が好ましく、例えば項目数が127個である場合には、250以上の基準画像を取得するのが好ましい。次に、第1画像処理部102は、基準画像に対して画像処理を施す(ステップS102)。
【0031】
次に、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、予め規定されている数の項目に基づいて、各基準画像の各行(ライン)の特徴量を算出する(ステップS104)。特徴量は、例えば、輝度波形の微分値、積分値、輝度最大値と輝度最小値の差分など輝度情報に関する情報である。
【0032】
図6は、輝度波形を説明するための図である。図6のグラフの横軸は基準画像の所定のラインにおける画素位置を示し、縦軸は各画素の輝度値を示している。グラフ上の曲線が輝度波形である。輝度波形は、画素の行(ライン)毎に各画素の輝度値を波形化したもの、すなわち各行に含まれる各画素と各画素における輝度値との関係を示す波形である。
【0033】
図7−1および図7−2は、輝度波形の微分値および積分値を説明するための図である。仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、輝度波形に対して任意の輝度値の直線、すなわち横線を引き、横線と輝度波形の交点数を微分値として得る。また、横線よりも上の輝度波形の区間総和を積分値として得る。仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、例えば所定の行に含まれる複数の輝度値の平均値をμ、標準偏差をσとし、μ±σ、μ±0.8σ、μ±0.6σ、・・・のように等間隔に横線を設定し、各横線に対する微分値、積分値を特徴量として算出する。このようにして、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、合計K個の特徴量を抽出する。本実施の形態においては、127の項目(K=127)に対する特徴量を抽出する。
【0034】
仮基準空間マハラノビス距離算出部104はさらに、図8に示すように各基準画像(1〜N)から抽出した特徴量Xnkを基準画像毎、項目毎に配置し行列とする。ここで、添え字n(1,2,…N)は、基準画像を識別する番号(基準画像No)、添え字k(1,2,・・・K)は項目を識別する番号(項目No)を示している。図8は、特徴量Xnkの行列を示す図である。このように、N個の基準画像それぞれについてK個の項目に対する特徴量が抽出される。
【0035】
さらに、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、各特徴量を規準化する(ステップS106)。具体的には、項目毎に特徴量の平均値μと、標準偏差σを算出し、(式1)により、規準化した特徴量xnkを算出し、図9に示すように特徴量xnkの行列とする。
【数1】

仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、この行列を仮基準空間記憶部106に格納する(ステップS108)。仮基準空間マハラノビス距離算出部104および仮基準空間記憶部106は、それぞれ特許請求の範囲に記載の特徴量算出手段および記憶手段に相当する。
【0036】
さらに、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、(式2)により項目pと項目qの相関係数rpqを算出し、各相関係数を要素とする相関係数行列Rを得る(ステップS110)。
【数2】

相関係数行列Rは、(式3)に示すように、相関係数を画像毎、項目毎に並べたものである。
【数3】

【0037】
次に、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、相関係数行列Rの逆行列Aを算出する(ステップS112)。逆行列Aは、(式4)で表される。
【数4】

【0038】
次に、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、(式5)により、n番目の基準画像のマハラノビス距離MDを算出する(ステップS114)。なお、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、すべての基準画像のマハラノビス距離MDを算出する。
【数5】

そして、仮基準空間マハラノビス距離算出部104は、すべての基準画像のマハラノビス距離、項目毎の平均値μ、標準偏差σ、逆行列Aを仮基準空間のパラメータとして仮基準空間記憶部106に格納する(ステップS116)。
【0039】
次に、基準空間再作成処理が行われ、基準空間のマハラノビス距離およびパラメータが基準空間記憶部118に格納される(ステップS118)。基準空間再作成処理については後述する。
【0040】
次に、閾値決定部120は、誤差範囲を考慮し、基準空間マハラノビス距離算出部116により算出されたマハラノビス距離よりもわずかに大きい値を閾値として決定し、これを閾値記憶部122に格納する(ステップS120)。図10は、MD−1と欠陥の程度の関係のグラフを示す図である。図10に示すように、マハラノビス距離MDは、欠陥の程度に比例する値である。つまり、マハラノビス距離の平均値が1前後となる基準空間からの距離が離れるほど、欠陥が存在する可能性が高くなる。なお、図10においては原点が単位空間となる。そこで、閾値決定部120は、基準空間のマハラノビス距離の分布から良品と不良品とを切り分けるための閾値、すなわち良否判定の閾値を決定する。具体的には、基準空間マハラノビス距離算出部116により算出されたマハラノビス距離の最大値が1.25である場合には、最大値よりもわずかに大きい1.3を閾値と決定する。以上で、基準空間作成処理が完了する。
【0041】
図11は、基準空間再作成処理(ステップS118)における詳細な処理を示すフローチャートである。基準空間再作成処理(ステップS118)においては、まず、直交表マハラノビス距離算出部110は、直交表記憶部108から直交表を抽出し、抽出した直交表において「水準1」すなわち「項目を利用する」が割り付けられている項目の特徴量を仮基準空間記憶部106から抽出する(ステップS130)。本実施の形態においては、図4に示すL128直交表に対応して図12に示すように、水準1が割り当てられた項目に対応する特徴量のみが抽出される。
【0042】
次に、直交表マハラノビス距離算出部110は、直交表中の各条件でのマハラノビス距離を算出する(ステップS132)。なお、マハラノビス距離算出の詳細は、仮基準空間マハラノビス距離算出部104によるステップS110からステップS114の処理と同様であり、ステップS132においても、仮基準空間マハラノビス距離算出部104が利用した仮基準空間の平均値μと、標準偏差σおよび逆行列Aを利用する。直交表マハラノビス距離算出部110は、特許請求の範囲に記載の第1マハラノビス距離算出手段に相当する。
【0043】
このように、本実施の形態にかかる画像検査装置10においては、仮基準空間記憶部106にすべての項目に対する特徴量を記憶しておき、直交表においてすべての条件において水準1が割り当てられた項目に対応する特徴量をすべて抽出することとした。このため、特徴量の算出処理および特徴量の規準化の処理はいずれも1回だけ行えばよく、各条件に対して特徴量の算出、特徴量の規準化を行う場合に比べて、演算量を大幅に削減することができる。
【0044】
次に、SN比算出部112は、直交表マハラノビス距離算出部110により算出されたマハラノビス距離に基づいてSN比を算出する(ステップS134)。入出力が比例関係にあるゼロ点比例、出力が大きいほど良い望大特性、出力が小さいほど良い望小特性など入出力の関係により、SN比の算出方法が異なるが、基本的にはいずれも標準偏差σの逆数を対数で表したものがSN比となる。本実施の形態においては、望大特性でSN比を算出することとする。具体的には、望大特性において、(式6)によりSN比ηを算出する。
【数6】

ここで、yiは、各項目に対応する特徴量であり、添え字iは、特徴量の番号、すなわち項目番号であり、i=1,2,・・・mである。なお、mは、所定の条件において「水準1」すなわち「項目を利用する」が割り当てられた項目数である。
【0045】
SN比算出部112は、さらにSN比に基づいて、各項目の各水準の要因効果を求める。図13は、要因効果図である。図14は、図13に示す要因効果図を水準1のSN比と水準2のSN比の差分値を縦軸として書き直したグラフを示す図である。図13に示すように、各項目に対する「水準1」の場合のSN比と「水準2」の場合のSN比が得られる。さらに、図14に示すように各項目のSN比の差分も得られる。
【0046】
次に、SN比算出部112は、SN比の向上に効果のある項目を選択する(ステップS136)。具体的には、図13に示す項目1、項目127のように、項目を利用した場合のSN比が項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなるような項目をすべて選択する。なお、例えば図13に示す項目2、項目3のように、利用することによりSN比が減少するような項目は選択しないことは言うまでもない。
【0047】
他の例としては、予め選択する項目の数、すなわち規定数を設定しておき、項目を利用した場合のSN比が項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなるような項目数が規定数数よりも多い場合には、SN比が増加する項目の中からさらに所定の項目を選択することとしてもよい。例えば、SN比の差分が大きいものから順に、規定数の項目を選択してもよいし、任意の項目を選択してもよい。規定数は、求める検査精度と検査効率のバランスなどを考慮して決定するのが望ましい。
【0048】
次に、基準空間マハラノビス距離算出部116は、SN比算出部112により選択された項目を利用して、基準空間の相関係数行列を得て(ステップS138)、さらに基準空間の逆行列を算出し(ステップS140)、基準空間のマハラノビス距離を算出する(ステップS142)。なおステップS138〜ステップS142における処理は、ステップS110〜ステップS114の処理とほぼ同様である。ただし、ステップS138〜ステップS142においては、ステップS136において選択された項目を対象として、基準空間の平均値と、標準偏差および逆行列を算出する。そして、基準空間マハラノビス距離算出部116は、算出した基準空間のマハラノビス距離およびマハラノビス距離を算出する際に得られたパラメータを基準空間記憶部118に格納する(ステップS144)。以上で、基準空間再作成処理(ステップS118)が完了し、図5に示すステップS120に進む。基準空間マハラノビス距離算出部116は、特許請求の範囲に記載の第2マハラノビス距離算出手段に相当する。
【0049】
図15は、電子計算機14による被検査画像の良否判定処理を示すフローチャートである。良否判定処理においては、まず被検査画像取得部130は、カメラ12から被検査画像を取得する(ステップS200)。次に、第2画像処理部132は、被検査画像に対して画像処理を施す(ステップS202)。なお、被検査画像に対して施す画像処理は、基準画像に対して施す画像処理と同様のものである。
【0050】
次に、被検査画像マハラノビス距離算出部134は、各被検査画像の特徴量を抽出し(ステップS204)、特徴量を規準化する(ステップS206)。次に、被検査画像マハラノビス距離算出部134は、被検査画像のマハラノビス距離MDを算出する(ステップS208)。なお、マハラノビス距離の算出においては、基準空間記憶部116が記憶する基準空間の平均値、標準偏差および逆行列を利用する。なお、特徴量の抽出、規準化、およびマハラノビス距離算出の処理は、上記のように一部パラメータが異なる点と対象とする画像が異なる点を除いては、基準空間を作成する際の特徴量の抽出、規準化、およびマハラノビス距離算出の処理と同様である。
【0051】
次に、良否判定部136は、閾値記憶部122が記憶している閾値と、被検査画像マハラノビス距離算出部134により算出されたマハラノビス距離MDとを比較することにより、被検査画像の良否判定を行う。マハラノビス距離MDが閾値よりも大きい場合には(ステップS210,Yes)、被検査画像に異常がある、すなわちワーク20は不良品であると判定する(ステップS212)。一方、マハラノビス距離が閾値以下である場合には(ステップS210,No)、被検査画像は正常である、すなわちワーク20は良品であると判定する(ステップS214)。次に、良否判定部136は、異常の有無、すなわち良品であるか不良品であるかを示す判定結果を表示装置15に出力し(ステップS216)、表示装置15に判定結果が表示される。以上で、被検査画像の良否判定処理が完了する。
【0052】
本実施の形態にかかる画像検査装置10において127の項目からSN比が増加するすべての項目として63個の項目を選択したところ、基準空間のマハラノビス距離の平均値は約1、最大値は1.25となった。さらに、マハラノビス距離の最大値が1.25であることから、閾値を1.3に設定した。そして、被検査画像のマハラノビス距離を算出したところ、1.9となったため、不良品であると判定した。この被検査画像を目視により確認したところ、製品上に傷があり不良品であることが確認された。このように、本実施の形態にかかる画像検査装置10においては、項目数を減らしつつも、良好な検査精度を保つことができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態にかかる画像検査装置10においては、予め規定した項目に対する特徴量を算出し、さらにこれを規準化して仮基準空間記憶部106に記憶しておく。そして直交表に割り付けられた水準にしたがい「水準1」に該当するすべての特徴量を抽出することとしたので、特徴量の算出および特徴量の規準化の演算処理を大幅に削減することができる。さらに、検査精度に寄与する項目を効率的に選択することができる。
【0054】
なお、電子計算機14は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0055】
電子計算機14で実行される画像検査プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0056】
また、電子計算機14で実行される画像検査プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、電子計算機14で実行される画像検査プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、画像検査プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0057】
電子計算機14で実行される画像検査プログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から画像検査プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0058】
10 画像検査装置
12 カメラ
13 照明
14 電子計算機
15 表示装置
100 基準画像取得部
102 第1画像処理部
104 仮基準空間マハラノビス距離算出部
106 仮基準空間記憶部
108 直交表記憶部
110 直交表マハラノビス距離算出部
112 SN比算出部
114 項目選択部
116 基準空間マハラノビス距離算出部
118 基準空間記憶部
120 閾値決定部
122 閾値記憶部
130 被検査画像取得部
132 第2画像処理部
134 被検査画像マハラノビス距離算出部
136 良否判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マハラノビス距離により画像検査を行う画像検査装置であって、
基準空間の算出に利用する基準画像から、予め規定された複数の項目それぞれに対応するすべての特徴量を算出し、記憶手段に格納する特徴量算出手段と、
各項目を前記マハラノビス距離の算出に利用するか否かの2水準と、前記項目の数により定まる直交表において、前記マハラノビス距離の算出に利用すると規定された項目に対する前記特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記直交表の各条件での前記マハラノビス距離を算出する第1マハラノビス距離算出手段と、
前記第1マハラノビス距離算出手段により算出された前記マハラノビス距離に基づいて、各項目を利用する場合のSN比および各項目を利用しない場合のSN比を算出するSN比算出手段と、
前記項目を利用する場合のSN比が前記項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなる項目を選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段により選択された前記項目に対応する特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記基準空間のマハラノビス距離を算出する第2マハラノビス距離算出手段と、
前記第2マハラノビス距離算出手段により算出された前記マハラノビス距離に基づいて、画像検査の対象となる被検査画像の良否判定を行う良否判定手段と
を備えたことを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記特徴量算出手段は、算出した前記特徴量をさらに規準化し、規準化後の前記特徴量を前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記項目選択手段は、予め定められた規定数の項目を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記項目選択手段は、前記項目を利用する場合のSN比と前記項目を利用しない場合のSN比の差が大きい項目から順に前記規定数の項目を選択することを特徴とする請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項5】
マハラノビス距離により画像検査を行う画像検査方法であって、
特徴量算出手段が、基準空間の算出に利用する基準画像から、予め規定された複数の項目それぞれに対応するすべての特徴量を算出し、記憶手段に格納する特徴量算出ステップと、
第1マハラノビス距離算出手段が、各項目を前記マハラノビス距離の算出に利用するか否かの2水準と、前記項目の数により定まる直交表において、前記マハラノビス距離の算出に利用すると規定された項目に対する前記特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記直交表の各条件での前記マハラノビス距離を算出する第1マハラノビス距離算出ステップと、
SN比算出手段が、前記第1マハラノビス距離算出で算出された前記マハラノビス距離に基づいて、各項目を利用する場合のSN比および各項目を利用しない場合のSN比を算出するSN比算出ステップと、
項目選択手段が、前記項目を利用する場合のSN比が前記項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなる項目を選択する項目選択ステップと、
第2マハラノビス距離算出手段が、前記項目選択ステップで選択された前記項目に対応する特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記基準空間のマハラノビス距離を算出する第2マハラノビス距離算出ステップと、
良否判定手段が、前記第2マハラノビス距離算出ステップで算出された前記マハラノビス距離に基づいて、画像検査の対象となる被検査画像の良否判定を行う良否判定ステップと
を有することを特徴とする画像検査方法。
【請求項6】
マハラノビス距離による画像検査処理をコンピュータに実行させるための画像検査プログラムであって、
基準空間の算出に利用する基準画像から、予め規定された複数の項目それぞれに対応するすべての特徴量を算出し、記憶手段に格納する特徴量算出ステップと、
各項目を前記マハラノビス距離の算出に利用するか否かの2水準と、前記項目の数により定まる直交表において、前記マハラノビス距離の算出に利用すると規定された項目に対する前記特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記直交表の各条件での前記マハラノビス距離を算出する第1マハラノビス距離算出ステップと、
前記第1マハラノビス距離算出ステップで算出された前記マハラノビス距離に基づいて、各項目を利用する場合のSN比および各項目を利用しない場合のSN比を算出するSN比算出ステップと、
前記項目を利用する場合のSN比が前記項目を利用しない場合のSN比に比べて大きくなる項目を選択する項目選択ステップと、
前記項目選択ステップで選択された前記項目に対応する特徴量を前記記憶手段から抽出し、抽出した前記特徴量に基づいて、前記基準空間のマハラノビス距離を算出する第2マハラノビス距離算出ステップと、
前記第2マハラノビス距離算出ステップで算出された前記マハラノビス距離に基づいて、画像検査の対象となる被検査画像の良否判定を行う良否判定ステップと
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−287179(P2010−287179A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142556(P2009−142556)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】