説明

画像記録装置およびその制御方法

【課題】複数のミシン目形成モードの中から選択されたミシン目形成モードに基づいてミシン目加工処理を行うことが出来る画像記録装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】上位装置から受け取ったジョブ情報内のミシン目位置モード情報に基づいて、制御部11はミシン目形成モードを決定する。制御部11は、ミシン目形成モードに基づいてウェブ3上に形成するミシン目の位置を決定し、その位置にミシン目が形成されるように切り替え部6を制御する。切り替え部6の動作によってミシン刃162、163のオン状態/オフ状態が切り替わり、ウェブ3上にミシン目が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にミシン目を形成するためのミシン目加工部を搭載した画像記録装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の所望の位置にミシン目加工を施すミシン目加工部を搭載した画像記録装置が知られている。このようなミシン目加工部には、記録媒体を挟んで対向して配置されたミシン刃とアンビルローラまたは受け刃とが設けられており、ミシン刃をアンビルローラまたは受け刃に当接させることで、記録媒体にミシン目を形成する。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているミシン目加工装置は、記録媒体に記されたマークを読み取り、これに基づいてミシン刃の駆動タイミングを制御し、記録媒体の所望の位置にミシン目の加工を行う。
【0004】
またインクジェット方式の画像記録装置の構成の1つとして、ラインヘッドを備える構成が知られている。ラインヘッドは、記録媒体の搬送方向に垂直な方向(主走査方向)にインクの吐出口(記録ノズル)を並べて設けられた、記録媒体の幅より長い記録ヘッドである。このようなラインヘッドを備えることにより、画像記録装置は、記録媒体とラインヘッドを相対的に移動(走査)するだけで、ラインヘッドが記録媒体の全域を走査して、記録媒体の全面に高速に画像記録を行うことができる。
【0005】
しかしその一方、ラインヘッドには、短尺なヘッドに比べコストが高い、歩留りが悪い、信頼性が低い等の欠点がある。これらの問題を解決するために、記録ノズルが一方向(主走査方向)に配列された短尺なヘッドを主走査方向に複数配列することにより、コスト、歩留り、信頼性等の短尺ヘッドの利点を生かしつつ、ラインヘッドを構成する画像記録装置も知られている。
【0006】
しかしながら、このような短尺ヘッドを配列する構成のラインヘッドを用いた場合、隣接する短尺ヘッド間につなぎ目ができるため、つなぎ目で記録ノズルのピッチの不適正が生じ、記録画像にスジ状の濃度ムラや白抜き等が生じることがある。
【0007】
この点に対処したものとして特許文献2の技術がある。特許文献2には、記録ヘッドを複数並べて配置して1つの記録ヘッドを形成した画像記録装置において、色/濃度ムラ等の無い高画質な画像を記録することができる画像記録方法が開示されている。
【0008】
特許文献2に開示されている方法を図8(a)乃至(c)を用いて説明する。
図8(a)に示される記録ヘッド100は、複数の短尺ヘッド101を配設して1つの記録ヘッドとした構成を持つ。
【0009】
この図8(a)の記録ヘッド100では、隣接する短尺ヘッド101Aと短尺ヘッド101Bが、副走査方向(ウェブ3の搬送方向)に重なる形で配置されている。このような構成の記録ヘッド100を用いてそのまま画像記録を行った場合、例えば図8(b)の領域dに示されるように、短尺ヘッド101Aと101Bの重複領域において副走査方向(記録媒体の搬送方向)に延在する高濃度領域ができてしまうので、高画質な画像記録を行うことができない。
【0010】
したがって特許文献2の方法では、記録制御部は記録ヘッド100を制御して、図8(a)に示されているように、短尺ヘッド101Aと短尺ヘッド101Bとでノズル列を切り換える継ぎ目位置Tを決定する。そして短尺ヘッド101Aは継ぎ目位置Tの左側の記録ノズルを用い、また短尺ヘッド101Bは継ぎ目位置Tの右側の記録ノズルを用いて画像記録を行う。
【0011】
また、継ぎ目位置T部分の短尺ヘッド101Aの記録ノズル102Aと短尺ヘッド101Bの記録ノズル102Bの間隔’δ’は、適正ノズルピッチ‘a’よりも狭いので、継ぎ目位置では、この部分で記録された画像は図8(b)に示すように濃度が適正値よりも高くなってしまう。これを補正するために、記録制御部は、図8(c)に示すように、継ぎ目位置Tにおいて副走査方向に1ラインおきに短尺ヘッド101Bの記録ノズル102Bによるインク吐出を停止し、適正な濃度となるようにして画像記録を行う。このような制御を行うことにより、特許文献2では、色/濃度ムラ等の無い高画質な画像を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−61889号公報
【特許文献2】特開2002−144542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に開示されている装置では、記録媒体に印刷したマークを検出し、このマークの位置に基づいてミシン目の加工を行うため、あらかじめ記録媒体にマークを記録しておく必要がある。
【0014】
また記録媒体が画像記録装置内を通過する際に所定の通過位置にマークが来ない場合、ユーザが所望した位置に縦ミシン目を加工することができない。
さらに画像に合わせて縦ミシン目を加工する場合、例えば画像で「キリトリセン」の文字と破線を記録し、その破線上に縦ミシン目を挿入するような場合に関しては、特許文献1では何の示唆も開示もされていない。
【0015】
また特許文献2により提案されている装置では、色/濃度ムラ等の無い高画質な画像を実現しているが、記録される画像の寸法精度、線形性による画像の品質の低下は免れない。この点ついて、図9(a)、(b)を用いて説明する。
【0016】
図9(a)は、図8(a)と同様の構成、配置の記録ヘッド100を示している。このような構成の記録ヘッド100を用いて、1ピクセルで記録される斜め線の画像103の記録を行った場合を図9(b)に示す。
【0017】
図9(b)の場合、継ぎ目位置Tの部分では短尺ヘッド101Aの記録ノズル102Aと短尺ヘッド101Bの記録ノズル102Bの間隔‘δ’は、適正なノズルピッチである他の部分のノズル間隔‘a’よりも狭い。そのため、例えば図9(b)の領域‘e’に示されるように、1ピクセルの画像103を短尺ヘッド101Aと101Bの異なる2つの記録ノズル102A及び102Bで記録することになる。これにより、記録画像の斜め線の画像103が直線ではなくなり、図9(b)に示すように記録画像103がノズル列方向に伸張してしまう。
【0018】
隣接する短尺ヘッド101Aと101Bのつなぎ目部分の記録ノズル102Aと102Bの間のピッチ‘δ’が他の部分の記録ノズル間のピッチ‘a’と一致するように各短尺ヘッド101の位置を調節して配置すれば、この画像の伸張は防げる。
【0019】
しかし、記録ノズル102は、例えば解像度が300dpiであれば85μmと、非常に微細な間隔で配列されている。したがって、複数の短尺ヘッド101を全て正確に位置合わせして配列することは非常に困難であり、このような配列を実現するには画像記録装置のコストアップを招く。そのため、このような複数の短尺ヘッドを配列した構成の記録ヘッド100では、短尺ヘッド101のつなぎ目部分での記録画像の伸張、または短縮が生じるのは免れない。
【0020】
したがって特許文献2に開示されている画像記録装置で記録した画像は、つなぎ目部分毎に伸張または短縮されている。そのためこの特許文献2の画像記録装置で例えば「キリトリセン」の画像及びその近傍に破線画像を画像記録した記録媒体に対して、特許文献1の装置で破線画像に合わせて精度良く縦ミシン目を加工するのは困難である。
【0021】
また、伸張や短縮された画像に精度良く合わせて縦ミシン目を加工した場合には、縦ミシン目の記録媒体端部からの位置が所望の位置からずれてしまう。
そこで本発明は、短尺ヘッドを複数配設して1つの記録ヘッドを形成した画像記録装置において、各短尺ヘッドの位置を厳密に調整せずに記録ヘッドを形成することが可能な画像記録装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
【0022】
またその際、記録媒体上に記録した画像の位置に合わせてミシン目加工を行うことが可能な画像記録装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
さらに事前に記録媒体にマークを設けることなく、記録媒体の端部から所望の位置にミシン目加工を行うことが可能な画像記録装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
【0023】
また複数のミシン目形成モードの中から選択されたミシン目形成モードに基づいてミシン目加工処理を行うことが出来る画像記録装置及びその制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本画像記録装置は、1方向に配列されたノズル列を有する短尺ヘッドを複数重複して配置して構成された記録ヘッドを有し、画像データに基づいて当該ノズル列を構成する記録ノズルからウェブに対してインクを吐出して当該ウェブに画像記録を行う画像記録装置において、1つ以上のミシン刃を有し、当該ミシン刃によって前記ウェブに対してミシン目を形成するミシン目加工処理を行うミシン目加工部と、複数のミシン目形成モードの中から選択された1つのミシン目形成モードに基づいて、前記ミシン目加工部によってミシン目加工処理によって形成するミシン目の位置を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【0025】
本画像記録装置の制御方法は、1方向に配列されたノズル列を有する短尺ヘッドを複数重複して配置して構成された記録ヘッドを有し、画像データに基づいて当該ノズル列を構成する記録ノズルからウェブに対してインクを吐出して当該ウェブに画像記録を行う画像記録装置の制御方法であって、前記記録ヘッドによって前記ウェブに対して画像記録を行い、複数のミシン目形成モードの中から選択された1つのミシン目形成モードに基づいて、前記画像記録を行ったウェブに対してミシン目を形成するミシン目の位置を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、短尺記録ヘッドを複数重複して配置して記録ヘッドを構成した画像記録装置であっても、厳密な位置調整なしに記録ヘッドを配置することが可能とする。
また、記録媒体上に記録した画像に合わせてミシン目を加えることを可能とし、またその際に事前に記録媒体にマークを設けることなく、記録媒体端部からの所望の位置にミシン目を加工することが可能となる。
【0027】
さらに複数のミシン目形成モードの中から選択されたミシン目形成モードに基づいて、ミシン目加工処理を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の画像記録装置の全体的な構成を示す概略図である。
【図2】(a)はミシン刃の位置をウェブにミシン目を形成するためのミシン目形成位置に移動した状態(オン状態)を示す図、(b)はミシン刃を退避位置に移動した状態(オフ状態)に切り替えた状態を示す図である。
【図3】(a)はミシン目加工部及びシートカッター部の正面図、(b)はその側面図である。
【図4】移動部の移動制御を説明する図である。
【図5】短尺ヘッドのつなぎ目位置部分の補正による主走査方向への画像の伸張の様子を示す図である。
【図6】ウェブの搬送位置が図4(a)に示した場合とは異なる場合のミシン目加工処理の一例を示す図である。
【図7】本実施形態の画像記録装置によるミシン目加工処理時の制御部の動作処理を示すフローチャートである。
【図8】特許文献2に開示されている方法を説明するための図である。
【図9】特許文献2に開示されている方法において、記録される画像の寸法精度、線形性による画像の品質の低下が生じることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の画像記録装置1の全体的な構成を示す概略図である。
同図において、媒体収納部2には、ロール状に巻かれたウェブ3が、回転軸に回転可能に軸支されている。ここでのウェブ3とは一定の幅を持つ長尺の記録媒体であり、紙やフィルムなどを材料としている。また媒体収納部2には、機械式又は磁気式の回転ブレーキが組み込まれており、媒体収納部2から引き出されたウェブ3に制動を掛けて、所定の張力を発生させる。
【0030】
媒体収納部2からウェブ3が引き出されるのに従って、媒体収納部2内のウェブ3の巻き径は小さくなるが、巻き径がどの大きさの時点においても、引き出されたウェブ3に一定の張力を与える必要がある。このために制御部11は、媒体収納部2内のウェブ3の回転速度と搬送経路の途中で検出されたウェブ3の搬送速度から媒体収納部2内のウェブ3の巻き径を計算する。あるいは媒体収納部2内にウェブ3の巻き径を直接検出するセンサを設け、制御部11はこのセンサからの通知によってウェブ3の巻き径を求める。そして制御部11は、求めた巻き径に適したブレーキトルクを媒体収納部2の回転軸に与え、巻き出したウェブ3に与える張力を可変制御する。
【0031】
媒体収納部2から巻き出されたウェブ3は、大径ドラム14に巻回装填される。このドラム14にウェブ3を一定の張力を与えて巻回駆動させることにより、ウェブ3のスリップを防止し、この駆動力を伝達してウェブ3を所望の速度で搬送させる。
【0032】
ウェブ3の搬送駆動力は、ローラ5の回転軸に取り付けられた図示しないモータにより供給され、所定の速度でウェブ3を搬送する。このドラム14の回転軸には例えばロータリーエンコーダからなる搬送情報生成部15が接続されており、ウェブ3の搬送距離に応じた搬送情報となる周期的なパルスを発生する。
【0033】
ドラム14の外径に沿った近接位置に配置された、画像記録部18の記録ヘッドは、ウェブ3の搬送方向に直行する方向(主走査方向)に記録ノズル列が配置されている。そして画像記録部18は、制御部11からの指示に基づいてこの記録ノズルからインクを吐出して、ウェブ3上に画像記録を行う。また制御部11は、この画像記録部18によるインクの吐出タイミングを、搬送情報生成部15からの搬送情報を基に制御する。
【0034】
なお画像記録装置1が、ウェブ3の両面に画像記録を行う構成の場合には、画像記録部18及びドラム14をそれぞれ2組備え、各画像記録部18によってウェブ3の裏面と表面のそれぞれに記録処理を行う。
【0035】
ウェブ3は、ローラ5の間を通過した後、ミシン目加工部16へと搬送される。ミシン目加工部16へと搬送されたウェブ3は、ウェブ3の搬送速度と同じ外周速度で回転しているアンビルローラ161と円盤状ミシン刃162、163との間を通る。ミシン目加工部16では、円盤状ミシン刃162、163をアンビルローラ161に当接することでミシン目を加工し(ミシン目オン)、離間させることでミシン目加工を停止させる(ミシン目オフ)。このミシン刃162、163のオン、オフ切り替えは制御部11が切り替え部6を制御して行う。
【0036】
ミシン目加工部16とシートカッター8との間にはローラ対19が設けられ、このローラ対19により、ミシン目加工を行う際、ウェブ3をシートカッター8側へ安定的に供給する。またウェブ3を、ローラ5とミシン目加工部16の間で弛ませることなく搬送することによって、ウェブ3上に搬送方向に沿ったミシン目を形成することができる。
【0037】
ミシン目加工部16によってミシン目加工されたウェブ3は、シートカッター8に搬送される。シートカッター8には、例えば、搬送されるウェブ3の搬送動作を止めることなく、連続的にページごとに切断可能なロータリー式カッターを用いる。シートカッター8は、例えばウェブ3のカット長に応じて金属ドラムの表面に形成されたカットローラ、及びカットローラに対向して配置された金属製の円筒形ローラであるアンビルローラを備える。またシートカッター8は、さらにアンビルローラへ切断されたシートの巻き付けを防止するための樹脂製スクレーパー等を備える構成となっている。
【0038】
またシートカッター8を構成するこれらのローラは、ウェブ3の移動状態に同期して連続的に回転制御される。そしてシートカッター8では、ウェブ3の搬送距離に同期して搬送情報生成部15から出力されるエンコーダ信号のカウント値を基に基づいて、切断のタイミングが制御される。これにより、連続したウェブを所定の長さのシートに切断することができる。そして本実施形態の画像記録装置1では、このような制御を行うことにより、全体のスループットが低下することなく、画像記録及び切断動作を行うことができる。
【0039】
シートカッター8によって切断されたウェブ3は、このウェブ3の幅方向に延出して表面側及び裏面側に設けられたガイド4で面を挟むようにガイドされて搬送路を通過する。そして切断されたウェブ3は、排出ローラ対9に受け渡されて、排出部10へと排出される。
【0040】
制御部11は、画像記録装置1全体の制御動作を司る。制御部11は、MPUと不揮発性記憶部を有する。このうち不揮発性記憶部には、制御部プログラムと各種設定値が記憶されており、MPUが不揮発性記憶部内の設定値を用いながら制御プログラムを実行することにより、後述する画像記録処理やミシン目形成処理塔の各種処理を実現する。なお制御部11は、プログラム実行形式による構成ではなく、専用のロジック回路でハードウエア的手法によって実現する構成としてもよい。
【0041】
制御部11は、画像記録処理の開始を指示するジョブ情報を不図示の上位装置から受け取ると、ウェブ3の搬送制御を行うと共に、画像記録部18を制御して画像記録処理を行う。そして制御部11はミシン目加工部16を制御して、後述するミシン目形成モードに基づいて、画像が記録されたウェブ3に対してミシン目加工を行う。そして制御部11は、シートカッター8を制御してウェブ3を指示された大きさに切断後、そのウェブ3を排出部10へと排出するよう制御する。
【0042】
画像記録処理においては、制御部11は、上位装置から受信したジョブ情報内の画像データを、予め記憶部に記憶されている設定値に基づいて、記録処理可能な記録データへと変換して、画像記録部18へ転送する。ここでの画像データの変換処理には、ノズル列毎のデータ分配やデータ位置合わせ、ノズル列重複部の濃度補正などの処理を含んでいる。このうちノズル列重複部の濃度補正については後に説明する。
【0043】
上位装置は、本実施形態に係る画像記録装置1に記録処理を行わせるユーザによって操作される、例えばコンピュータである。この上位装置は、本実施形態に係る画像記録装置1に外部機器として、例えばLocal Area Network(LAN)等を介して接続されている。
【0044】
上位装置は、本実施形態に係る画像記録装置1に対し、ユーザによる指示に基づいた記録処理の開始を指示する情報としてジョブ情報を通知する。ここで、ジョブ情報には、記録媒体に対し記録処理を行う際の画像記録情報が含まれる。この画像記録情報には、画像データの他に、記録媒体サイズ情報、記録画像サイズ情報、解像度、濃度、色情報等が含まれる。また、ジョブ情報には、ミシン目加工についての情報、例えば後述するミシン目形成モードを指示するミシン目位置モード情報、ミシン目加工を行う位置や長さ等を示す情報等が含まれる。
【0045】
制御部11は、ジョブ情報に含まれるミシン目加工についての情報を基に、切り替え部6及び移動部7を制御して画像記録処理を行ったウェブ3にミシン目加工を行う。
切り替え部6は、ミシン刃162及び163のオン状態(ミシン刃162や163がウェブ3に当たってミシン目を入れている状態)、オフ状態(ミシン刃162や163がウェブ3から離れている状態)を切り替える。
【0046】
図2(a)は円盤状のミシン刃162の位置をウェブ3にミシン目を形成するためのミシン目形成位置に移動した状態(オン状態)を示しており、図2(b)は、ミシン目形成位置から退避した退避位置に移動した状態(オフ状態)に切り替えた状態を示している。
【0047】
切り替え部6は、図2に示すように、カム622、リンクバー623、カムフォロア624、図示しないカム駆動モータ、及びバネを主要部品として構成され、円盤状ミシン刃162に接続されている。
【0048】
図2に示すように、ミシン刃162は円盤状の形状をしており、アンビルローラ161と対向するように、リンクバー623の一方の端部に不図示のベアリングを介して回転可能に保持されている。切り替え部6は、図2(a)に示すミシン刃162をミシン目の形成位置に移動した状態(オン状態)と、図2(b)に示すミシン刃162を退避位置に移動した状態を切り替える機構を有している。図2(a)のオン状態では、ミシン刃162は、ウェブ3の搬送に追従して回転し、ウェブ3にミシン目を形成する。また図2(b)のオフ状態では、ミシン刃162はウェブ3に接触しないので、ウェブ3が搬送されても、ミシン目は形成されない。
【0049】
切り替え部6のカムフォロア624は、カム622と対向するようにリンクバー623の他方の端部に固定されている。このリンクバー623は、リンク支点627を中心に回動可能に取り付けられている。そして、リンクバー623は、不図示のバネによってカムフォロア624とカム622が常に当接した状態を保つように構成されている。
【0050】
図2(a)、(b)に示すようにカム622は、半径Aの部分及び半径Bの部分と半径の異なる部分を有している。そしてカム622は、制御部11からの指示に基づいて不図示のカム駆動モータによって回転し、カムフォロア624と当接する部分を半径Aの部分又は半径Bの部分に切り替えている。
【0051】
後述する図4に示すように移動部7(72、73)は、不図示の駆動源を含んだ移動機構を持ち、制御部11の指示により円盤状のミシン刃162、163をそれぞれ独立にウェブ3の搬送方向に直交する方向(主査方向)に移動させる。これにより、円盤状ミシン刃162、163をウェブ3上での搬送方向に直交する方向の任意の位置に移動することができる。この移動部7の制御については、後述する説明する。
【0052】
次に、ウェブ3の任意の位置にミシン目を加工を行うミシン目形成処理について説明する。
図3(a)は、ミシン目加工部16及びシートカッター部8の正面図であり、また図3(b)は、その側面図である。
【0053】
ミシン目加工部16は、アンビルローラ161、及び2つの円盤状ミシン刃162、163を有する。円盤状のミシン刃162、163は、ウェブ3を挟んでアンビルローラ161に対向するように配置されている。アンビルローラ161は、定位置に固定配置されているが、2つのミシン刃162、163は、図1に示す移動部7によって、ウェブ3の幅方向に並進移動することができる。
【0054】
ミシン目加工部16へと搬送されたウェブ3は、ウェブ3の搬送速度と同じ同外周速度で回転しているアンビルローラ161と両円盤状ミシン刃162、163との間を通る。そしてミシン刃162、163がウェブ3上のミシン目加工を施す位置に来たら、切り替え部6によってミシン刃162、163をミシン目形成位置に移動(ミシン目オン)する。
【0055】
図3(a)では、円盤状のミシン刃162は制御部11によってK−1ページに対して、またミシン刃163はK−3ページに対して、ミシン目加工を施さ(ミシン目オフ)ないように制御される。またミシン刃162はK、K−2,K−3ページに、ミシン刃163は、K、K−1、K−2ページに共にミシン目加工を施す(ミシン目オン)ように制御され、各ページにミシン目部12を生成する。
【0056】
このような制御によって、本実施形態の画像記録装置1では、画像記録処理が施されたウェブ3に対して、用途に合わせて、例えば数枚で一綴りとなるシートの記録面に応じて、適切なミシン目加工を行うことができる。このミシン刃162、163のオン、オフの切り替えは、ページ境界であるシートカッター8によるカット予定の仮想線13に合わせて行う。
【0057】
カット予定の仮想線13は、制御部11がウェブ3の搬送位置から決定する。このとき制御部11は、ウェブ3の搬送位置を、搬送情報生成部15からの搬送情報であるパルスをカウントすることで知ることができる。カット予定の仮想線13の位置は、画像記録部18による画像記録処理後に、制御部11がこのカウント値と予め制御部11に記憶されたパルス数との比較によって決定する。このカット予定の仮想線13で、円盤状ミシン刃162、163をそれぞれオン/オフ制御を行えば、ウェブ3に形成された画像に対して所望の位置にミシン目を加工することができる。なお制御部11に記録されているパルス数は、画像記録装置1の生産時に調整値として予め記憶する。
【0058】
なお図3(a)では円盤状のミシン刃162、163を2つ備える構成を示しているが、本実施形態の画像記録装置1の構成は、このようなものに限定されるものではなく、ウェブ3の幅方向に対して1つ若しくは3つ以上のミシン刃を備える構成としてもよい。
【0059】
次に、本実施形態の画像記録装置1における移動部7の移動制御を図4を用いて説明する。
図4(a)は、ウェブ3上にミシン目加工を行う2つの縦ミシン目210、220の形成位置を示している。縦ミシン目210、220は、ウェブ3の搬送方向に形成されたミシン目である。
【0060】
図4(a)では画像記録部18は、8個の短尺ヘッド31−1〜31−8が並設される構成となっている。ここで短尺ヘッド31−1〜31−8は厳密な位置調整なしに配置されている。
【0061】
そのため図4(b)に示すように、つなぎ目位置部分にある短尺ヘッド31Aの吐出ノズル32Aと短尺ヘッド31Bの吐出ノズル32Bの間隔‘δ1’は、つなぎ目位置部分以外の短尺ヘッド31のノズル同士の間隔‘a’とは異なっている。また、画像記録部18は、8個の短尺ヘッド31−1〜31−8から構成されるため、7箇所のつなぎ目がある。短尺ヘッド31−1〜31−8を厳密な位置調整なしに配置しているために、この7箇所のつなぎ目位置部分での短尺ヘッド31間の吐出ノズル32の間隔は、全て異なっている。
【0062】
ウェブ3の搬送路上での位置を検出する位置検出部17は、画像記録部18に対してウェブ3搬送方向の上流に配置する第1の位置検出部171とミシン目加工部16の上流に配置する第2の位置検出部172を2つ設けられている。
【0063】
位置検出部17は、ウェブ3の主走査方向(幅方向)における少なくとも一方端の位置を検出するものであり、例えばCIS(Contact Image Sensor:密着型撮像素子)などで構成される。このウェブ3の位置情報は、画像記録部18による記録処理の制御や、移動部7によるミシン刃162、163の移動制御に用いられる。したがって位置情報の検出精度は、ノズル列32で記録されるドット間隔と同等かそれよりも微細な位置変化を検出できる程度の解像度があることが望ましい。
【0064】
ウェブ3は、第1の位置検出部171で主走査方向の端3a、3bの位置が検出された後、画像記録部18に対向する位置に搬送され、画像記録部18によって画像記録処理が行われる。
【0065】
制御部11は、第1の位置検出部171からのウェブ3の位置検出情報を元に、例えばウェブ3の主走査方向における中心を求め、その中心を基準として画像を記録する位置をずらすよう画像記録部18に対する制御を行う。
【0066】
この画像記録において制御部11は、図4(c)に示すように、短尺ヘッド31Aと31Bのつなぎ目位置Tにおいて、主走査方向の1ラインおきに短尺ヘッド31Bの吐出ノズル32Bからのインク吐出を停止している。これにより、つなぎ目位置部分による画像が適正な濃度の画像となるよう画像記録を行う。なお図4(c)においては、インク吐出の停止を1ライン毎に行っているが、このインク吐出の停止の割合は、ノズル間隔‘δ1’の大きさによって変化する。ノズル間隔‘δ1’が広ければ、インク吐出の停止の割合は小さくなり、逆にノズル間隔‘δ1’が狭ければ、インク吐出の停止の割合は大きくなる。
【0067】
このつなぎ目位置部分のノズル32によるインク吐出の停止の割合を決定するノズル列つなぎ目位置部分の補正値は、予めつなぎ目位置部分のノズル間距離δ1に応じて求めた値を制御部11に設定しておく。7箇所のつなぎ目位置部分それぞれに対して、この補正値またはノズル間距離‘δ1’を、制御部11の不揮発記憶部に記憶する。
【0068】
また画像記録部18が、階調出力特性を持つ例えばマルチドロップタイプのインクジェットヘッドとして構成されていた場合、短尺ヘッド31のつなぎ目位置部分の画像記録は、図4(d)示す方法を用いてもよい。図4(d)では、短尺ヘッド31のつなぎ位置部分のノズル間距離‘δ1’に応じてインクを吐出して記録するドットのサイズを変更することで、つなぎ目位置部分での画像記録の濃度調整を高精度に行っている。
【0069】
このドットサイズを決定するノズル列重複部補正値若しくはノズル間距離‘δ1’が、7箇所つなぎ目位置部分それぞれに応じて、制御部11の不揮発性記憶部に事前に記憶される。そして制御部11は、つなぎ目位置部分で画像記録を行う際には、この値を用いてドット径を調節するように画像記録部18を制御する。これにより各短尺ヘッドのつなぎ目位置部分のノズル間距離が異なっていても、均一な画像濃度で記録することが出来る。
【0070】
ここでのノズル列重複部補正値は、短尺ヘッド31のつなぎ目位置部分のノズル間距離‘δ1’の関数と考えることができる。またこのノズル列重複部補正値の定量値は、インクとウェブ3の組み合わせ特性によるにじみの程度で変化する。そのためノズル列重複部補正値として、例えばつなぎ目位置部分のノズル間距離‘δ1’の関数値を、インクやウェブ3の種類ごとの複数の補正値テーブルにして不揮発性記憶部に予め記憶させておく。そして画像記録処理を行う際には、制御部11は、これらの補正値テーブルを参照することによってノズル列重複部補正値を求め、このノズル列重複部補正値に基づいてドット径を制御することにより高精度な補正を行うことが出来る。
【0071】
このノズル列重複部補正値を、整数部分はインク滴数に相当させ、小数部分は誤差として次のラインの補正値に拡散処理すれば、高精度な補正を行うことができる。
また例えば7箇所のノズル列31のつなぎ目位置部分でのノズル間距離‘δ1’をそれぞれ、画像記録装置1の生産時の調整で予め算出して、制御部11の不揮発性記憶部に記憶しておく。そして画像記録処理時に、制御部11は、このノズル間距離‘δ1’を読み出し、その値をもとに補正値を算出して補正を行う。また逆に7箇所のノズル列31のつなぎ目位置部分に応じてノズル列重複部補正値を記憶しておけば、この値からノズル間隔‘δ1’を算出することも可能である。
【0072】
ところで短尺ヘッド31のつなぎ目位置部分に対する補正を行うと、つなぎ目位置部分での画像に伸張、または短縮が発生する。
例えば画像の欠落を防止するためにつなぎ目位置部分において2つのノズルで1ピクセルの画像を表現する場合は、その分画像が伸張することになる。この場合、つなぎ目位置部分以外のノズルで記録した画像に対して、つなぎ目位置部分で記録した画像は、数ピクセル画像の幅が広くなることがある。
【0073】
図5は、短尺ヘッド31のつなぎ目位置部分の補正による主走査方向への画像の伸張の様子を示している。
図5(a)は、短尺ヘッド31を全て精密に位置合わせして、画像記録部18内のノズル間隔を全て間隔‘a’に統一した画像記録部18で記録した画像である。図5(a)の画像には画像250aの大きさに合わせてキリトリセン画像230及び240が記録されている。
【0074】
また図5(b)は、8個の短尺ヘッド31を厳密に位置合わせせずに並設に構成した画像記録部18を示し、図5(c)は、図5(b)の画像記録部18で図5(a)と同じ内容の画像を記録した場合を示している。
【0075】
図5(b)の画像記録部18は、厳密な位置合わせをしていないので、短尺ヘッド31のつなぎ目位置部分のノズル間隔は同じではない。したがって図5(c)の画像は上述したようなつなぎ目位置部分の補正を行っており、これにより画像250bは画像250aに比して横に広がっている。またこれに伴い、キリトリセン画像231と241の間隔は図5(a)のキリトリセン画像230と240の間隔より広がっている。
【0076】
制御部11は、つなぎ目位置部分の補正を行うために図5(b)の画像記録部18の全てのつなぎ目位置部分のノズル間距離若しくはノズル列重複部補正値を記憶している。よって、制御部11は、画像記録部18の短尺ヘッド31−1〜31−8の7つのつなぎ目位置部分それぞれでの記録画像の伸縮の度合いを算出することが出来る。
【0077】
よって本実施形態の画像記録装置1では、図5(c)のように記録画像が伸張されていたり、あるいは逆に短縮されている場合にも、その度合いを求めて、画像に合わせてミシン目を形成することが出来る。
【0078】
本実施形態の画像記録装置1には、画像記録処理を行ったウェブ3に対するミシン目加工の仕方を示すミシン目形成モードとして、画像位置優先モードとウェブ位置優先モードがある。
【0079】
まず画像位置優先モードについて説明する。
本実施形態の画像記録装置1では、画像記録処理を開始する際に上位装置から通知されるジョブ情報内のミシン目位置モード情報によってモードが設定される。このとき記録画像に合わせてミシン目加工を行う画像位置優先モードを選択設定されると、ウェブ3上に記録した画像に合わせた位置にミシン目加工を行う。
【0080】
この画像位置優先モードに設定された画像記録装置1は、制御部11が、画像記録処理を行う際に不揮発性記憶部を参照して画像記録部18の各つなぎ目位置部分のノズル間隔‘δ1’を求める。そして制御部11は、このノズル間隔‘δ1’から各つなぎ目位置部分における画像の伸縮の度合いを算出する。この伸縮の度合いの算出では、例えば記録画像のどの位置において、主走査方向の画像中心を基準にどの程度画像が伸張しているかを算出する。そして制御部11は、この伸縮の度合いから移動部7によってミシン刃162、163を移動しての主走査方向のミシン目加工位置を決定する。
【0081】
また画像位置優先モードでは、画像記録処理において制御部11は、例えばウェブ3の主走査方向の中心を基準にして、画像の記録位置を決定し、画像記録部18の各ノズル32を制御して画像を記録する。
【0082】
画像記録部18によって画像記録処理が行われた後に、ウェブ3は第2の位置検出部172によって搬送方向に直行する方向の端が検出され、この検出結果が位置検出情報として第2の位置検出部172から制御部11に通知される。
【0083】
制御部11は、第2の位置検出部172からの位置検出情報と画像記録部18の各つなぎ目位置部分のノズル間隔‘δ1’から、ジョブ情報に含まれるミシン目加工位置情報が指定するミシン目加工位置に対して、つなぎ目位置部分での伸縮に対する補正量を算出する。これにより、制御部11は移動部7を制御して、ミシン刃162、163をウェブ3の搬送方向に対して直交する方向に動かし、上記補正量を考慮したミシン目加工を行う位置に移動する。また同時に制御部11は、画像記録処理がなされたウェブ3をミシン目加工部16に搬送する。
【0084】
そしてウェブ3が主走査方向にジョブ情報によってミシン目加工が指示された位置まで搬送されると、制御部11は切り替え部6を制御して、図2(a)のようにミシン目オンとし、つなぎ目位置部分による伸縮に対する補正を行った位置にミシン目加工を行う。
【0085】
よって図5(c)に示したように、画像250bが伸縮してキリトリセン画像231及び241の位置が変化しても、その変化した位置に合わせてミシン目加工を行うことが出来る。またこのときウェブ3上に記録する元画像が画像250のみで、キリトリセン画像231及び241が存在しない画像であっても、伸縮した画像250bの位置に合わせてキリトリセン加工を行うことが出来る。
【0086】
なお画像記録処理で記録する画像にキリトリセン画像231及び241がある場合には、このキリトリセン画像231及び241を第2の位置検出部172で検出する構成とすることも出来る。この場合制御部11は、この第2の位置検出部172からの位置検出情報からキリトリセン画像231及び241の位置を求めてキリトリセン加工を行う位置を決定する。これにより、精度の高いキリトリセン加工を行うことが出来る。
【0087】
次にウェブ3の搬送路上での位置が異なる場合での画像位置優先モードによるミシン目加工処理について説明する。
図6は、ウェブ3の搬送位置が図4(a)に示した場合とは異なる場合のミシン目加工処理の一例を示している。
【0088】
図6では、図4(a)に示した場合よりウェブ3が搬送路の右側に寄って搬送されて画像記録部18を通過している。したがって画像記録部18の短尺ヘッド31−1〜31−8のうち、ウェブ3に画像記録処理に用いるのは、図4(a)の場合には短尺ヘッド31−1〜31−6であるが、図6の場合は短尺ヘッド31−3〜31−8である。また短尺ヘッド31−1〜31−8のつなぎ目位置部分によって画像が記録されるウェブ3上の位置も異なってくる。
【0089】
そのためつなぎ目位置部分のノズル間隔‘δ1’の値も異なってくるので、つなぎ目位置部分に対する補正による記録画像の伸縮の度合いも異なり、記録画像の大きさや位置も異なってくる。
【0090】
そのため図4(a)の場合と、図6の場合とでウェブ3に同じ画像を記録したとしても、記録画像を基準としてミシン目加工処理を行う画像位置優先モードでは、ウェブ3上の異なる位置にミシン目加工処理を行う。例えば同じジョブ情報で画像記録処理及びミシン目加工処理を行ったとしても、図4(a)のミシン目210及び220と図6のミシン目211及び221とは、ウェブ3での位置が異なる可能性がある。したがって、ウェブ3の端部3aからの距離m1及びm2とm1’及びm2’は異なる値になる可能性がある。
【0091】
このように画像位置優先モードでは、ウェブ3の搬送位置が異なり、記録画像の大きさが補正によって異なる場合であっても、ウェブ3上に記録した画像の位置や大きさを基準にした位置にミシン目を形成することが出来る。
【0092】
次に、ウェブ位置優先モードについて説明する。
本実施形態の画像記録装置1は、ジョブ情報によってウェブ位置優先モードに設定されると、ウェブ3の副走査方向の端部を基準にして指定した位置にミシン目加工を行うことが出来る。またその際、事前にウェブ3にミシン目加工のための目印となるマークを設ける必要がない。
【0093】
ウェブ位置優先モードによってミシン目加工処理を行った場合の例を図4(a)を用いて説明する。同図では制御部11は、ジョブ情報に含まれるミシン目加工位置情報に基づいて、ミシン目210をウェブ3の主走査方向の端部3aから距離m1の位置に、ミシン目220をウェブ3の端部3aから距離m2の位置に加工を行っている。
【0094】
このようなミシン目加工処理を行うために、制御部11は、まず位置検出部17からのウェブ3の位置検出情報とジョブ情報内のミシン目加工位置情報を元にして移動位置を算出する。この位置情報は、例えば図4(a)の例ならば、ウェブ3の端3aから距離m1の位置及び距離m2の位置を主走査方向の原点位置からの絶対値α+m1及びα+m2となる。次に制御部11は、移動部7を制御して主走査方向への移動を行い、算出した上記位置にミシン刃162及び163を移動させる。ミシン目加工部16は、アンビルローラ161に沿った方向に移動部72がミシン刃162を、また移動部73がミシン刃163を移動させる機構となっている。このようにミシン刃162及び163を移動位置に移動すると共に制御部11は、ウェブ3をミシン目加工部16に搬送する。
【0095】
そして制御部11は、ミシン目加工部16内に搬送されてきたウェブ3に対して、ジョブ情報内のミシン目加工位置情報に基づいたタイミングで切り替え部6をミシン目オン状態にして、ミシン目加工を行う。
【0096】
図4(a)では、円盤状のミシン刃162でミシン目210を、またミシン刃163ではミシン目220を形成している。そしてこのミシン目210及び220は、ウェブ3の端3aからの距離によって指定された位置に設けられる。
【0097】
このように本実施形態の画像記録装置1は、ウェブ位置優先モードでは、ウェブ3の端部3aを基準とした所望の位置にミシン目加工を行うことが出来る。またその際、事前にウェブ3にミシン目加工処理の目印となるマークを設ける必要がない。
【0098】
なお図4に示した構成例では、本実施形態の画像記録装置1は位置検出部17として第1の位置検出部171及び第2の位置検出部172の2つの位置検出部を備えている。しかし、画像記録部18に対して主走査方向にウェブ3が一定の位置になるように搬送されるよう機械的に制御される場合は、画像記録部18の下流に第2の位置検出部172のみを設ける構成としても良い。あるいは第1の位置検出部171のみを設け、この第1の位置検出部171によってウェブ3の端部3a及び3bを検出した後、この検出情報からミシン目加工部16でのウェブ3の主走査方向の位置を推定する構成としても良い。
【0099】
次に本実施形態の画像記録装置1によるミシン目加工処理時の制御部11の動作処理について説明する。
図7は、本実施形態の画像記録装置1によるミシン目加工処理時の制御部11の動作処理を示すフローチャートである。なおミシン目加工処理をソフトウエア的手法によって行う場合には、同図の処理は制御部11のMPUが不揮発性記憶部に記憶されている制御プログラムを実行することによって実現する。
【0100】
同図の処理が開始されるとまず制御部11は、ステップS1として画像記録装置1に接続されている上位装置から画像記録処理を指示するジョブ情報を受け取る。そして制御部11は、ジョブ情報内の画像データに基づいて、ウェブ3上に画像を記録する。
次に制御部11は、ステップS2として、ステップS1で受信したジョブ情報内のミシン目加工処理を施す位置を示すミシン目挿入位置情報、ミシン目位置モード情報を検出する。
【0101】
そして次に制御部11は、ステップS3として、ジョブ情報から検出したミシン目位置モード情報から、ミシン目加工処理を画像位置優先モードで行うよう指示されているのか、あるいはウェブ位置優先モードで行うよう指示されているのかを判断する。
【0102】
そしてステップS3において、画像位置優先モードでミシン目加工処理を行うよう指示されていると判断したならば(ステップS3、Yes)、制御部11はステップS4として位置検出部17による検出結果から搬送路上でのウェブ3の主走査方向の位置を求める。そして次にステップS5として、制御部11は、画像記録部18の短尺ヘッド31の各つなぎ目部分のノズル間隔‘δ1’、及びステップS4で求めたウェブ3の位置の検出情報を元に、ウェブ3上に記録された画像の位置に合わせてミシン目加工処理を行う位置を算出する。
【0103】
なお画像位置優先モードでは、ステップS4で、画像記録処理でウェブ3上に記録されたミシン目加工位置の画像を位置検出部17で読み取り、ステップS5でこの読み取り結果も考慮してミシン目加工処理を行う位置を算出する構成としても良い。
【0104】
またステップS3において、制御部11がウェブ位置優先モードでミシン目加工処理を行うよう指示されていると判断したならば(ステップS3、No)、制御部11はステップS6として、位置検出部17による検出結果から搬送路上でのウェブ3の主走査方向の位置を求める。そして次にステップS7として、制御部11は、ステップS6で求めたウェブ3の位置を元に、ウェブ3の主走査方向の端を基準にしてミシン目加工処理を行う位置を算出する。
【0105】
そして制御部11は、移動部7を制御して、画像位置優先モードの場合はステップS5で、ウェブ位置優先モードの場合はステップS7で求めたミシン目加工処理を行う位置に円盤状のミシン刃162及び163を移動する。
【0106】
この状態で制御部11は、ウェブ3を搬送させてゆき、搬送情報生成部15から出力される搬送情報がミシン目オンとする位置を示すまで待つ(ステップS8、No)。そして、搬送情報がミシン刃162若しくは163をオンとする位置を示していると判定したならば(ステップS8、Yes)、ステップS9として制御部11は切り替え部6を制御してミシン目オンとする。
【0107】
この状態で制御部11は、ウェブ3を搬送させてゆき、搬送情報生成部15からの搬送情報がミシン目オフとする位置までウェブ3が搬送されるのを待つ(ステップS11、No)。そして搬送情報がミシン刃162(163)をオフとする位置を示していると判定したならば(ステップS11、Yes)、ステップS12として制御部11は切り替え部6を制御してミシン目オフとする。
【0108】
このようなミシン目加工処理を行った後、制御部11は、ジョブ情報内に次のページに対するミシン目加工処理の指示があるならば(ステップS13、Yes)、ステップS2に処理を戻して、上記したステップS2乃至S12の処理を繰り返す。またステップS13において、制御部11はジョブ情報内に次のページに対するミシン目加工処理の指示がなければ(ステップS13、No)、本処理を終了する。
【0109】
このように本実施形態の画像記録装置1では、ウェブ3上に記録した画像の位置を基準としてミシン目加工処理を行う画像位置優先モードと、ウェブ3の主走査方向の端を基準としてミシン目加工処理を行うウェブ位置優先モードの2つのモードから選択してミシン目加工処理を行うことが出来る。
【0110】
また本実施形態の画像記録装置1の画像記録部18が複数の短尺ヘッド31を並べてなる構成で、短尺ヘッド31のつなぎ目部分で濃度補正を行う構成であっても、画像位置優先モードによるミシン目加工を行うことが出来る。この場合つなぎ目位置部分による濃度補正によって生じる記録画像の伸縮に合わせて、ミシン目加工処理を行う位置をずらすことが出来る。
【0111】
以上、本実施形態の画像記録装置1の一例を説明したが、本実施形態は上述した例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良及び変更が可能である。例えば、上述の各実施形態に示された全体構成からいくつかの構成要素を削除しても良いし、さらには、各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0112】
なお上記説明は一例であり、本実施形態の画像記録装置1に示される全体構成からいくつかの要素を削除してもよいし、さらに異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 画像記録装置
2 媒体収納部
3 ウェブ
4 ガイド
5 ローラ
6 切り替え部
7、72、73 移動部
8 シートカッター
9 排出ローラ
10 排出部
11 制御部
15 搬送情報生成部
16 ミシン目加工部
161 アンビルローラ
17、171、172 位置検出部
18 画像記録部
19 ローラ
31 短尺ヘッド
162、163 ミシン刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1方向に配列されたノズル列を有する短尺ヘッドを複数重複して配置して構成された記録ヘッドを有し、画像データに基づいて当該ノズル列を構成する記録ノズルからウェブに対してインクを吐出して当該ウェブに画像記録を行う画像記録装置において、
1つ以上のミシン刃を有し、当該ミシン刃によって前記ウェブに対してミシン目を形成するミシン目加工処理を行うミシン目加工部と、
複数のミシン目形成モードの中から選択された1つのミシン目形成モードに基づいて、前記ミシン目加工部によってミシン目加工処理によって形成するミシン目の位置を制御する制御部と、
を有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、MPU及び記憶部を有し、前記MPUが前記制御部内の制御プログラムを実行することにより当該制御部としての機能を実現することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記複数のミシン目形成モードの中から画像位置優先モードが選択されたとき、前記制御部は、前記ウェブ上に記録された画像の位置を基準として、前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記位置を決定する際、前記短尺ヘッドのつなぎ目位置部分による濃度の補正による記録画像の伸縮の度合いを考慮することを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記短尺ヘッドのつなぎ目位置部分の前記記録ノズルの間隔、及び前記ウェブの搬送路上の前記ノズル列方向の位置に基づいて、前記前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ウェブ上に画像記録されたミシン目加工位置を示す画像の位置をも考慮して、前記前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記複数のミシン目形成モードの中からウェブ位置優先モードが選択されたとき、前記制御部は、前記ウェブの前記ノズル列方向の端の位置を基準として、前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ウェブの搬送路上の前記ノズル列方向の位置に基づいて、前記前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記ウェブの前記搬送路上の前記ノズル列方向の位置を検出する位置検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記位置検出部による検出結果を考慮して前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記ウェブの搬送距離を示す搬送情報を出力する搬送情報生成部をさらに備え、
前記制御部は、前記搬送情報をも考慮して前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記ミシン目加工部は、前記ミシン目加工処理によって、前記ウェブに縦ミシン目を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記短尺ヘッドのつなぎ目位置部分による濃度の補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記濃度の補正は、前記インクを吐出して記録されるドットのドット径を調整することによって行われることを特徴とする請求項12に記載の画像記録装置。
【請求項14】
前記濃度の補正は、前記つなぎ目位置部分における前記インクの吐出を停止する割合を調整することによって行われることを特徴とする請求項12に記載の画像記録装置。
【請求項15】
1方向に配列されたノズル列を有する短尺ヘッドを複数重複して配置して構成された記録ヘッドを有し、画像データに基づいて当該ノズル列を構成する記録ノズルからウェブに対してインクを吐出して当該ウェブに画像記録を行う画像記録装置の制御方法であって、
前記記録ヘッドによって前記ウェブに対して画像記録を行い、
複数のミシン目形成モードの中から選択された1つのミシン目形成モードに基づいて、前記画像記録を行ったウェブに対してミシン目を形成するミシン目の位置を制御する
ことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項16】
前記複数のミシン目形成モードの中から画像位置優先モードが選択されたとき、前記ウェブ上に記録された画像の位置を基準として、前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項15に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項17】
前記複数のミシン目形成モードの中からウェブ位置優先モードが選択されたとき、前記ウェブの前記ノズル列方向の端の位置を基準として、前記ミシン目を形成する位置を決定することを特徴とする請求項15に記載の画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−791(P2012−791A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135388(P2010−135388)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】