説明

画像記録装置及び画像記録装置の制御方法

【課題】本発明は連続する記録媒体に画像情報を記録し、ミシン目加工を行うミシン目加工部を備えた画像記録装置及び画像記録装置の制御方法に関し、特に複数のミシン刃加工部を同時、若しくはランダムに制御した場合でも、ミシン目加工位置にズレを生じない画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法を提供するものである。
【解決手段】連続紙を使用する画像記録装置であって、記録媒体にミシン目加工を施すためのミシン目加工部と、ミシン目加工のためのミシン刃を当接もしくは退避させる駆動機構と、上記ミシン刃を当接又は退避させるタイミングを制御する制御部とを有することを特徴とし、更に連続紙を使用する画像記録装置の制御方法において、記録媒体にミシン目加工を施すためのミシン目加工処理と、ミシン目加工のためのミシン刃を当接もしくは退避させる処理と、前記ミシン刃を当接又は退避させるタイミングを制御する処理とを行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は連続する記録媒体に画像情報を記録し、ミシン目加工を行うミシン目加工部を備えた画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、各種の画像記録装置が使用されている。このような画像記録装置の中で、例えばインクジェットプリンタは、搬送系により保持、搬送される記録媒体に対して、記録ヘッドの複数ノズルよりインク滴を吐出し、高速且つ高画質に画像記録を行うプリンタ装置である。このインクジェットプリンタは、例えばカットシート状の記録媒体(用紙)に画像を記録するオフィス用途として幅広く使用されている。
【0003】
また、近年では、インクジェットプリンタは多数の記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する方向に整列配置したラインヘッドを構成することで、スループットの向上を可能とし、ロール紙などの記録媒体(連続紙)に画像を記録する産業用途としても使用されている。
【0004】
ロール紙等の連続紙に画像を記録した場合、画像記録後の連続紙(記録媒体)の所望位置にミシン目を入れる機能を有する装置が広く知られている。このような構成の画像記録装置として、例えば特許文献1に記載の発明が提案されている。
この特許文献1に記載の発明は、駆動軸に摺動可能に支持された回転駆動するフランジに保持されたミシン刃を有し、駆動軸の上下移動により任意に設定した位置にミシン目加工ができるミシン目加工装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−81512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、ミシン目加工部が同一軸上に支持されているため、常にミシン目の加工/非加工を同時に行う必要があり、複数のミシン目加工部を個別に動作させることはできない。
【0007】
また、実際の製品では同時にミシン目加工を行う際にも、ミシン目加工部等の部品寸法の公差や組み付け公差により、ミシン目加工位置に微妙なズレが生じる。しかし、上記特許文献1にはこのズレを調整する手段は明確にされていない。
【0008】
そこで、上記課題を解決すべく、本発明は部品寸法の公差や組み付け公差により、ミシン目加工位置にズレが生じた場合でも、このズレを調整することが可能であり、また複数のミシン目加工部を使用して、それぞれのミシン目加工部によってミシン目の加工/非加工を同時に行うことができる画像記録装置、及び画像記録装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、開示の画像記録装置によれば、連続紙を使用する画像記録装置であって、記録媒体にミシン目加工を施すためのミシン目加工部と、ミシン目加工のためのミシン刃を当接若しくは退避させる駆動機構と、前記ミシン刃を当接又は退避させるタイミングを制御する制御部とを備える構成とする。
【0010】
あるいは、開示の画像記録装置の制御方法によれば、連続紙を使用する画像記録装置の制御方法であって、記録媒体にミシン目加工を施すためのミシン目加工処理と、ミシン目加工のためのミシン刃を当接もしくは退避させる処理と、前記ミシン刃を当接又は退避させるタイミングを制御する処理とを行う構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のミシン刃加工部を同時、もしくはランダムに制御しても、ミシン目加工位置にズレの無いミシン目加工装置付き画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の画像記録装置の模式的な配置図である。
【図2】(a)は、ミシン目オンの状態における切り替え部及びミシン目加工部の構成を示す図であり、(b)は、ミシン目オフの状態における切り替え部及びミシン目加工部の構成を示す図である。
【図3】(a)は、ミシン目加工部及びカッター部の正面図であり、(b)は、ミシン目加工部及びカッター部の側面図である。
【図4】(a)は、カムA部とB部の切り替え段差までの角度がθ1である切り替え部及びミシン目加工部の構成を示す図であり、(b)は、カムA部とB部の切り替え段差までの角度がθ2である切り替え部及びミシン目加工部の構成を示す図である。
【図5】(a)は、カムA部とB部の切り替え段差までの角度がθ3である切り替え部及びミシン目加工部の構成を示す図であり、(b)は、カムA部とB部の切り替え段差までの角度がθ4である切り替え部及びミシン目加工部の構成を示す図である。
【図6】第2の実施形態における、ミシン目加工を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像記録装置の全体構成図である。図1に示す画像記録装置1は、パーソナルコンピュータ(PC)等の画像記録装置1のホスト機器である上位装置2に接続されている。この上位装置2からの指令に従って、連続する記録媒体(ウェブ)3に画像情報を記録する。ここで、画像情報とは、上位装置2から取得した、ウェブ3に記録すべき画像、ミシン目加工情報、及び切断情報等を含む情報である。ウェブ3は、搬送系に搬送される過程で、画像記録やミシン目加工及び所定長への切断等の処理がなされる。
【0014】
以下、ウェブ3が搬送される過程沿って、本実施形態に係る画像記録装置1の各部の動作について説明する。
媒体収納部4は、ロール状に巻かれたウェブ3を回転可能に軸支する。媒体収納部4には、機械式または磁気式の回転ブレーキが組み込まれており、引き出されたウェブ3に制動を掛けてウェブ3に所定の張力を付与する。媒体収納部4からウェブ3が引き出されるに従って、ウェブ3の巻き径は小さくなるが、どの時点の巻き径においても、引き出されたウェブ3に一定の張力を与える必要がある。
【0015】
このため、ウェブ3の半径における回転速度と、搬送経路の途中で検出されたウェブ3の搬送速度を利用して、媒体収納部4内のウェブ3の巻き径を計算し、又は不図示のセンサによってウェブ3の巻き径を直接検出することによって、巻き径を求める。そして、制御部5が求めた巻き径に適したブレーキトルクを媒体収納部4の回転軸に与え、巻き出したウェブ3に与える張力を可変制御する。
【0016】
大径ドラム(以下、単にドラムで示す)6は、巻き出されたウェブ3を巻回保持する。ドラム6に一定の張力を与えて回転駆動させることによってウェブ3のスリップを防止し、ドラム6の回転駆動による駆動力を伝達してウェブ3を所定速度で搬送させる。また、ウェブ3の搬送駆動力は、ローラ対7の回転軸に取り付けられた不図示のモータにより供給され、このモータは所定の速度でウェブ3を搬送する。
【0017】
また、ドラム6の回転軸には、例えばロータリーエンコーダ等の搬送情報生成部8が接続されている。この搬送情報生成部8はウェブ3の搬送距離に応じた搬送情報として、周期的なパルスを発生する。画像記録部9はドラム6の外径に沿った近接位置に配設され、ウェブ3に上位装置2からの画像情報に従った画像を記録する。具体的には、画像記録部9に配設された、例えばライン型インクジェットヘッドから画像情報に従ってインクを吐出し、ウェブ3に画像を記録する。なお、インクの吐出タイミングは、制御部5によって制御され、制御部5の制御は、搬送情報生成部8から出力される搬送情報に基づいて行われる。
【0018】
画像検知部10は、例えばカラーイメージセンサ等のセンサで構成され、画像記録部9によってウェブ3に記録された画像情報を読み取る。画像検知部10で読み取られた画像情報は制御部5において、ウェブ3への記録内容の良否を判断するために使用される。例えば、インクの不吐出や着弾ずれ等の画像不良の有無、及びインクの異常吐出や記録媒体に付着した汚れ等の画像品質の異常の有無を判断するために使用される。
【0019】
尚、ウェブ3の表面及び裏面の両面に画像記録を行う場合には、同じ構成のドラム6、画像記録部9、及び画像検知部10をそれぞれ2組用意し、ウェブ3の表面及び裏面のそれぞれの面に対して、画像情報の記録や検知を行う。
【0020】
一方、ローラ対7の間を通過したウェブ3は、ウェブ3にミシン目加工を施すミシン目加工部11へと搬送される。ミシン目加工部11に搬送されたウェブ3は、ウェブ3の搬送速度と同じ周速度で回転するアンビルローラ12とミシン刃13との間を搬送される。尚、本実施形態に示す例では、2つのミシン刃13a、13bを備える構成であるが、図2においては、一方のミシン刃13a(又は13b)のみを記載している。
【0021】
本実施形態の画像記録装置は、このミシン目加工部11のミシン刃13a、13bをアンビルローラ12に当接させることによってウェブ3にミシン目を加工し、離間(退避)させることでシン目加工を停止させるものである。
【0022】
なお、以下の説明においては、ウェブ3にミシン目を加工するためにミシン刃13a、13bをアンビルローラ12に当接させた状態を、ミシン目オン状態であるとし、ウェブ3にミシン目加工を行わせないためにミシン刃13a、13bをアンビルローラ12から離間させた状態を、ミシン目オフ状態であるとする。
【0023】
ミシン目加工部11には、ミシン刃13a、13bの回転位置情報を出力するミシン刃回転位置情報生成部13cが備えられている。このミシン刃回転位置情報生成部13cはロータリーエンコーダ等で構成され、ミシン刃13a、13bの回転位置に相当するパルスを出力する。
【0024】
ミシン刃13a、13bのオン/オフ切り替えは、制御部5が切り替え部14を制御することにより実施する。この制御は搬送情報生成部8及びミシン刃回転位置情報生成部13cからの情報に従って行う。尚、切り替え部14によるミシン刃13a、13bのオン/オフ切り替え動作の詳細については、後述する。
【0025】
ミシン目加工部11において必要なミシン目加工が施されたウェブ3は、シートカッター部16に搬送される。このとき、ミシン目加工部11とシートカッター部16との間に設けられたローラ対15により、ウェブ3をシートカッター部16への供給を安定的に行うことができると共に、ローラ対15との間でウェブ3を弛ませることなく搬送させることで、搬送方向に沿ったミシン目の形成が可能となる。
【0026】
シートカッター部16としては、例えばロータリー式のカッターを使用する。すなわち、シートカッター部16は、ウェブ3のカット長に応じて金属ドラムの表面にカッター刃が備えられたカットローラ16a、このカットローラ16aに対向して配設された金属製の円筒形ローラであるアンビルローラ16b、及びアンビルローラ16bに切断されたシートの巻き付きを防止するための不図示の樹脂製スクレーパーで構成されている。
【0027】
このように構成することにより、搬送されるウェブ3の搬送動作を止めることなく、連続的にページごとにウェブ3を切断する。また、シートカッター部16のこれらローラは、ウェブ3の移動状態に同期して連続的に回転制御され、搬送情報生成部8からのウェブ搬送距離に同期して出力されるエンコーダ信号のカウント値に基づき、切断のタイミングが制御部5により制御される。
【0028】
このような制御を行うことにより、シートカッター部16は連続したウェブ3を所定長のシートに切断でき、全体のスループットを低下させることなく、画像記録及び切断動作を行うことが可能となる。
【0029】
また、切断されたシートは、シートの幅方向に延出して表面側及び裏面側に設けられたガイド17によって、シート面を挟むようにガイドされ、排出ローラ対18に受け渡され、排出部19に排出される。尚、図1に示す20は後述する実施形態の説明において使用する排紙画像検知部である。
【0030】
上記の各部の動作のうち、画像記録部9がウェブ3に記録する画像情報や、ミシン目加工部11においてミシン目加工を行うときのジョブごとの制御情報は、上位装置2から制御部5に送信される。
【0031】
次に、本実施形態に係る画像記録装置1において、制御部5が切り替え部14及びミシン目加工部11を制御して、ミシン目オン/オフの切り替えを行う処理について、具体的に説明する。
図2はミシン目加工部11及び切り替え部14の構成を具体的に示す図である。同図に示す通り、切り替え部14は、カム22、リンクバー23、カムフォロア24、引っ張りバネ25、及び不図示のカム駆動モータを主な構成要素とし、ミシン目加工部11のミシン刃13a、13bに接続されている。
【0032】
ミシン刃13a、13bは、前述のアンビルローラ12と対向するようにリンクバー23の一方の端部に不図示のベアリングを介して回転可能に保持されている。ミシン刃13a、13bは、ウェブ3の搬送に追従して回転し、ウェブ3にミシン目を形成する。
【0033】
カムフォロア24は、カム22と対向するようにリンクバー23の他方の端部に固定されている。リンクバー23は、リンク支点26を中心に回動可能に取り付けられている。そして、リンクバー23は引っ張りバネ25によって、カム22とカムフォロア24とが常に当接した状態を保つように付勢されている。
【0034】
図2(a)はミシン目オン状態におけるミシン目加工部11及び切り替え部14の状態を示し、図2(b)はミシン目オフ状態におけるミシン目加工部11及び切り替え部14の状態を示す。ミシン目オン状態においては、図2(a)に示すとおり、ミシン刃13a、13bによりリンクバー23を介してウェブ3にミシン目を形成するため、ミシン刃13a、13bの位置はミシン目形成位置に移動している。一方、ミシン目オフ状態においては、図2(b)に示すとおり、ミシン刃13a、13bの位置は、ミシン目形成位置から退避した位置に切り替えられている。
【0035】
なお、ミシン目形成位置とは、ミシン刃13a、13bとアンビルローラ12との間を通過するウェブ3にミシン目が形成されるときのミシン刃13a、13bの位置をいい、図2(a)に示すミシン刃13a、13bの位置が、これに相当する。
【0036】
上記カム22は、不図示のカム駆動モータによって回転し、カムフォロア24と当接する部分を、半径の小さいA部又は半径の大きいB部に切り替える。すなわち、不図示のカム駆動モータを駆動し、(A部の半径<B部の半径)の関係を有する構成のカムフォロア24を回転させ、ウェブ3の所定位置にミシン目を形成する。
【0037】
次に、ウェブ3の所定位置にミシン目を形成する具体的な方法について、図3を参照して説明する。図3(a)は、ミシン目加工部11及びカッター部16の正面図を示し、図3(b)はその側面図を示す。
【0038】
前述のように、ミシン目加工部11はアンビルローラ12と2つのミシン刃13a、13bとで構成されている。アンビルローラ12はウェブ3の搬送方向に対し、直行する方向に配置されている。また、2つのミシン刃13a、13bは、ウェブ3を挟んでアンビルローラ12に対向するように配設されている。アンビルローラ12は、ウェブ3の幅方向に関して定位置に配設されている。また、ミシン刃13a、13bは図2を参照して説明したとおり、切り替え部14により、図3(b)に示すミシン目オン/オフ切り替え方向(a方向)に移動する。
【0039】
ミシン目加工部11へと搬送されたウェブ3は、ウェブ3の搬送速度Vと同じ周速度で回転するアンビルローラ12とミシン刃13a、13bとの間を通る。
ウェブ3が搬送経路上のどの位置にあるかについては、制御部5が搬送情報生成部8において生成する搬送情報、即ちウェブ3の搬送距離に応じて発生させる周期的パルスをカウントすることにより認識可能である。制御部5は画像記録部9で画像記録を行った後、記憶したパルス数を所定数カウントした位置で、ミシン刃13a、13bがオン/オフされるよう切り替え部14を制御する。
【0040】
切り替え部14は、先に図2を参照して説明したとおり、制御部5の指示に従って、不図示のカム駆動モータにより、カム22のカムフォロア24と当接する部分を切り替える。この制御よって、ミシン目加工オン/オフ状態が切り替えられ、画像記録のなされたウェブ3の所望の位置にミシン目が加工される。
【0041】
なお、ここで使用するパルス数については、画像記録部9からミシン目加工部11までの搬送経路長に対応するパルス数を、例えば画像記録装置1の生産時等に調整値として予めメモリ等に記憶させておく。
【0042】
本実施形態では、上位装置2の指令に基づきページ単位でミシン目加工を実施する場合を示している。なお、図3(a)、(b)に示す例では、ミシン刃13aは、n−3ページ(nは自然数であり、図3(a)、(b)の例ではn≧4)に対してはミシン目を施さず、n−2ページ〜nページまではミシン目加工を施す例である。また、ミシン刃13bは、n−1ページにはミシン目を施さず、他のページ(n−3、n−2及びnページ)にはミシン目加工を施す例である。
【0043】
制御部5は搬送情報生成部8から入力される搬送情報に従って、カッター部16においてカット予定の位置(仮想線b)を境界にミシン目オン/オフ制御を行い、ウェブ3にミシン目部28を形成させる。
【0044】
このように制御することにより、用途に合わせて、例えば数枚で一綴りとなるシートの記録面に応じて、適切なミシン目加工を行うことが可能になる。さらには、ページごとにミシン目加工のオン/オフを制御することを適用して、上位装置2からの命令によりミシン目加工を施すべきページであっても、画像不良や画像品質に異常のあることが検出された場合、ミシン目加工をオフとすることができる。
【0045】
なお、図3に示すミシン刃13a、13bをウェブ3の幅方向に対して移動させる機構を設ける構成としてもよい。ミシン刃13a、13bを幅方向に移動させる機構を介してミシン刃13a、13bの移動制御を行うことで、ウェブ3の幅方向に関して所定の位置にミシン目加工を適切に行うことができる。
【0046】
さらには、図3(a)、(b)において、ミシン刃を2つ設ける構成を示しているが、この構成に限らず、例えばミシン刃を1つ設ける構成としてもよいし、又3以上のミシン刃をウェブ3の幅方向に設ける構成としてもよい。
続いて、本実施形態の特徴となる、ミシン目加工の制御について説明する。
【0047】
制御部5はミシン刃13a、13bがオン/オフされるよう切り替え部14を制御する。しかしながら、実際の製品では、カム22、リンクバー23、カムフォロア24、ミシン刃13a、13b等の寸法公差や組み付け公差、及び不図示のカム駆動モータの特性等により複数のミシン目加工ごとに切り替えタイミングが異なるので、制御部5はそれぞれ個別のオン/オフ切り替えタイミング信号で切り替え部14を制御する必要がある。このため、複数のミシン目切り替え部がウェブ3に対して並列に組み付けられた製品では、制御部5からの切り替えタイミングが1系統だけの場合では、切り替えタイミング指示に対してそれぞれのミシン目加工位置に若干のズレが生じる。
【0048】
多くの場合、ミシン目加工はウェブ3のカット位置(用紙端)に合わせてオン/オフ制御されるため、ミシン目加工を複数個所同時に行う際はミシン目加工のズレを調整して位置合わせを行う必要がある。
【0049】
図4(a)、(b)とも、ミシン目加工前の待機状態を示している。異なる部分は、カムフォロア24と接している、カム22のA部とB部の切り替え段差までの距離(角度)である。図4(a)と図4(b)のカム22の待機位置を比較すると、角度θ1<角度θ2であり、切り替え部14が制御部5からの制御信号を同時に受けた場合、図4(a)の方が図4(b)より、ミシン刃13a、13bの当接タイミングを早くすることができる。この角度θ1、角度θ2を適切に調整することにより、ミシン目加工部各部品の寸法公差、組み付け公差による、ウェブ3へのミシン目加工開始位置を、ウェブ3のカット位置(用紙端)に正確に合わせ込むことが可能となる。したがって、複数のミシン目加工部の加工開始タイミングを合わせることが可能となる。
【0050】
次に、図5(a)、(b)について説明する。双方の図とも、切り替え部14が制御部5からの制御信号により、カム22が回転駆動し、ミシン刃13a、13bをウェブ3に当接させた状態を示している。異なる部分は、カムフォロア24と接している、カム22のA部とB部の切り替え段差までの距離(角度)である。
【0051】
図5(a)と図5(b)のカム22の停止位置を比較すると、角度θ4>角度θ3となっており、切り替え部14が制御部5からの制御信号を同時に受けた場合、図5(a)の方が図5(b)より、ミシン刃13a、13bの退避タイミングを早くすることができる。この角度θ3、角度θ4は、それぞれミシン刃13a、13bの当接前の待機位置からのカム角度送り量により決まる角度である。これは、待機位置からのカム角度送り量が多ければ、ミシン刃13a、13bのウェブ3当接後からの退避時間が短くなることを意味する。
【0052】
また、反対に、待機位置からのカム角度送り量が少なければ、ミシン刃13a、13bのウェブ3当接後からの退避時間が長くなることを意味する。したがって、角度θ3、角度θ4を適切に調整することにより、ミシン目加工部の各部品の寸法公差、及び組み付け公差による、ウェブ3へのミシン目加工終了位置をウェブ3のカット位置(用紙端)に正確に合わせ込むことが可能となる。したがって、複数のミシン目加工部の終了タイミングを合わせることが可能となる。
なお、今までの説明ではカム22は一方方向のみ回転することで説明してきたが、本発明の実施形態を満足させるためにカム22を両方向回転で制御しても良いのは勿論である。
以上のように、本発明の第1実施形態では、複数のミシン目加工部がそれぞれ独立した駆動部を備え、制御部5からの1系統のタイミング信号により複数のミシン目加工部のタイミングを微調整可能とするため、複数のミシン目加工の開始及び終了タイミングを合わせることが可能となる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態として、ミシン目加工部11のウェブ搬送方向下流に画像を検知する排紙画像検知部20が設置された画像記録装置にについて説明する。ここでは第1の実施形態との差異のみを説明するものとする。すなわち、本実施形態の画像記録装置も媒体収納部4や、制御部5、ドラム6、画像記録部9、切り替え部14等を備え、上位装置2からの指令により制御部5が制御を行い、ドラム6上を搬送されるウェブ3に画像記録部9によって画像情報を記録する構成は前述の実施形態と同様である。
【0054】
図6は、第2の実施形態におけるミシン目加工部11以降の模式的な配置図を示す。ミシン目加工部11でウェブ3に生成されたミシン目は、カッター部16で搬送方向と直交する向きに切断される。所定のサイズにカットされたウェブ3は、ガイド17の直後に設置された排紙画像検知部20によって、ミシン目の開始位置及び終了位置が検知される。
【0055】
排紙画像検知部20には、例えばイメージセンサ等が使用され、ミシン目加工部11でウェブ3に生成されたミシン目を検知する。排紙画像検知部20で検知した、ウェブ3のカット位置(用紙端)からのミシン目位置ズレ情報は、制御部5においてミシン目加工部11の制御タイミングを調整するために用いられる。
【0056】
上記で検知された位置ズレ情報をもとに、カム22の待機位置及びミシン刃13a、13b当接動作時のカム角度送り量を変更し、常時ウェブ3のカット位置(用紙端)にミシン目の開始位置及び終了位置が生成されるよう調整する。
以上より、本発明の第2実施例においても制御部5からの1系統のタイミング信号により複数のミシン目加工部のタイミングを微調整可能とするため、複数のミシン目加工の開始及び終了タイミングを合わせることが可能となる。
【0057】
なお、上記のとおり、本発明の実施形態についてそれぞれ説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の改良
及び変更が可能である。例えば、上述の各実施形態に示された全体構成からいくつかの構
成要素を削除しても良いし、更には、各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせても
よい。
【符号の説明】
【0058】
1・・・画像記録装置
2・・・上位装置
3・・・ウェブ
4・・・媒体収納部
5・・・制御部
6・・・ドラム
7・・・ローラ対
8・・・搬送情報生成部
9・・・画像記録部
10・・画像検知部
11・・ミシン目加工部
12・・アンビルローラ
13a、13b・・ミシン刃
13c・・ミシン刃回転位置情報生成部
14・・切り替え部
15・・ローラ
16・・シートカッター部
16a・・カットローラ
16b・・アンビルローラ
17・・ガイド
18・・排出ローラ対
19・・排出部
20・・排紙画像検知部
22・・カム
23・・リンクバー
24・・カムフォロア
25・・引っ張りバネ
26・・リンク支点
28・・ミシン目部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続紙を使用する画像記録装置において、
記録媒体にミシン目加工を施すためのミシン目加工部と、
ミシン目加工のためのミシン刃を当接もしくは退避させる駆動機構と、
前記ミシン刃を当接又は退避させるタイミングを制御する制御部と、
を有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記ミシン目加工部を複数有し、各々のミシン目加工部が前記記録媒体に加工するミシン目開始位置を、前記駆動機構内のカムの初期角度を調整することによって、各々のミシン目加工部が生成するミシン目開始位置のズレを修正することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記ミシン目加工部を複数有し、各々のミシン目加工部が前記記録媒体に加工するミシン目終了位置を、前記駆動機構内のカムの角度送り量を調整することによって各々のミシン目加工部が生成するミシン目終了位置のズレを修正することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記ミシン目加工部の後部に画像を検知する画像検知部を備え、前記ミシン目加工部で生成されたミシン目の開始位置及び終了位置を検知し、そのズレ量を随時補正することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
連続紙を使用する画像記録装置の制御方法において、
記録媒体にミシン目加工を施すためのミシン目加工処理と、
ミシン目加工のためのミシン刃を当接もしくは退避させる処理と、
前記ミシン刃を当接又は退避させるタイミングを制御する処理と、
を行うことを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【請求項6】
ミシン目加工部を複数有し、各々のミシン目加工部が前記記録媒体に加工するミシン目開始位置を、前記駆動機構内のカムの初期角度を調整することによって、各々のミシン目加工部が生成するミシン目開始位置のズレを修正することを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項7】
ミシン目加工部を複数有し、各々のミシン目加工部が前記記録媒体に加工するミシン目終了位置を、前記駆動機構内のカムの角度送り量を調整することによって各々のミシン目加工部が生成するミシン目終了位置のズレを修正することを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置の制御方法。
【請求項8】
ミシン目加工部を有し、前記ミシン目加工部の後部に画像を検知する画像検知部を備え、前記ミシン目加工部で生成されたミシン目の開始位置及び終了位置を検知し、そのズレ量を随時補正することを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−143951(P2012−143951A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3616(P2011−3616)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】