画像記録装置
【課題】ロール状の被記録材が幅方向に伸びた場合であっても、被記録材の幅方向の端部を損傷させることなく、ロール状の被記録材を画像記録装置に装着するときの取り扱い性を向上する。
【解決手段】ロール保持部材5は、ロールシート101の幅方向の端面をガイドするガイド面12aを有し、ガイド面12aが、端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、ロールシート101の幅方向の両端がロール保持部材5に保持されたときに、ロールシート101の幅方向の両端で共にガイド面12aが第一の位置に移動する。ロール保持部材5に保持されたロールシート101が画像記録装置に装着されたときに、一方のロール保持部材5のガイド面12aが第二の位置に移動し、他方のロール保持部材5のガイド面12aが第一の位置に保たれる。
【解決手段】ロール保持部材5は、ロールシート101の幅方向の端面をガイドするガイド面12aを有し、ガイド面12aが、端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、ロールシート101の幅方向の両端がロール保持部材5に保持されたときに、ロールシート101の幅方向の両端で共にガイド面12aが第一の位置に移動する。ロール保持部材5に保持されたロールシート101が画像記録装置に装着されたときに、一方のロール保持部材5のガイド面12aが第二の位置に移動し、他方のロール保持部材5のガイド面12aが第一の位置に保たれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状の被記録材を保持するロール保持部材を備える画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像記録装置では、給紙部から被記録材が供給され、画像データに基づいて記録ヘッドによって被記録材に画像を記録するように構成されている。被記録材としては、ロール状の被記録材、カット状の被記録材、プラスチックシートなどの被記録材が一般的に使用されている。特に、大きなサイズの被記録材を扱う画像記録装置では、いわゆるロールシートを用いるものが多い。
【0003】
従来の技術では、フランジ状のガイド部材が固定されたパイプ軸と、パイプ軸が挿通される軸穴を有するフランジ状のガイド部材とを備えるスプールユニットによって、給紙部に、ロールシートが回転可能に保持されている。ロール状の被記録材の芯である中空の紙管に、パイプ軸を差し込み、パイプ軸に設けられたガイド部材がロールシートの紙管を保持することによって、ロールシートの長手方向に直交する幅方向(軸方向)の一方の端面が、ガイド部材によってガイドされる。続いて、ロールシートの幅方向の他方の端面側から、軸穴を有するガイド部材の軸穴にパイプ軸を通し、ガイド部材によってロールシートの紙管を保持する。これによって、ロールシートの幅方向の両側の端面の各々がガイド部材によって保持される。
【0004】
パイプ軸に固定されたガイド部材は、基準側に配されており、ロールシートの端面に当接してロールシートをガイドする。これによって、ロールシートの位置決めを行うと共に、ロールシートの巻き状態が、幅方向に竹の子状に伸びて解けることを防止している。パイプ軸が挿通される軸穴を有するガイド部材は、非基準側に配されており、ガイド部材とロールシートの端面とが離間するように構成されている。これによって、ロールシートの幅方向に対する幅が、温度や湿度などによって増大した場合に、増大したロールシートの逃げ場がなくなり、ロールシートが損傷することが防止されている。特に、ロールシートの巻き径方向の外周側において、温度や湿度などの影響を受けやすく、ロールシートの幅が増大しやすい。
【0005】
また、ガイド部材とロールシートの端面との当接、離間を切り替える構成を有するものも開示されている(特許文献1参照)。この構成では、ロールシートを画像記録装置に装着する前、ガイド部材とロールシートの端面とが当接されており、ロールシートを画像記録装置に装着したときに、ガイド部材とロールシートの端面とが離間される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−83964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、幅寸法が大きなロールシートの紙管に、幅方向に沿って長いパイプ軸を通す作業が手間になっており、ロールシートの両端にガイド部材のみを取り付けるようなパイプ軸を有していない構成が求められている。パイプ軸を有していない、一対のガイド部材のみからなる構成の場合、基準側のガイド部材と非基準側のガイド部材の構成が異なると、ユーザーがガイド部材の取り付けを間違えて、各ガイド部材を基準側と非基準側とで反対に取り付けてしまう可能性がある。そのため、基準側のガイド部材と非基準側のガイド部材とを構成を共通化することが求められている。
【0008】
また、ガイド部材のガイド面とロールシートの端面との当接、離間を切り替える構成では、画像記録装置のシート装着部からロールシートを取り出したときに、離間していたガイド面とロールシートの端面とが当接することになる。このため、巻き状態が解けて幅方向に伸びたロールシートは、ガイド部材によって損傷してしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、巻き状態が解けて幅方向に伸びた場合であってもロール状の被記録材の端部を損傷させることなく、取り扱いが容易なロール保持部材を備えた画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明に係る画像記録装置は、ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された被記録材に記録を行う画像記録装置である。ロール保持部材は、ロール状の被記録材の幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、ガイド面が、端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、ロール状の被記録材の幅方向の両端がロール保持部材に保持されたときに、ロール状の被記録材の幅方向の両端で共にガイド面が第一の位置に移動する。ロール保持部材に保持されたロール状の被記録材が画像記録装置に装着されたときに、一方のロール保持部材のガイド面が第二の位置に移動し、他方のロール保持部材のガイド面が第一の位置に保たれることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の画像記録装置は、ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された被記録材に記録を行う画像記録装置である。ロール保持部材は、ロール状の被記録材の幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、ガイド面が、端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、ロール状の被記録材の幅方向の両端がロール保持部材に保持されたときに、ロール状の被記録材の幅方向の両端で共にガイド面が第一の位置に移動する。ロール保持部材に保持されたロール状の被記録材が画像記録装置に装着されたときに、ロール状の被記録材の幅方向の両端で共にガイド面が第二の位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロール状の被記録材の幅方向に沿って挿通させる軸を有していない、一対のロール保持部材のみでロール状の被記録材を保持することによって、ロール状の被記録材を画像記録装置に装着するときの取り扱い性を向上することができる。また、基準側のロール保持部材と非基準側のロール保持部材の構成を共通化することで、ロール状の被記録材に対するロール保持部材の取り付け間違いを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の画像記録装置の全体を示す断面図である。
【図2】実施形態の画像記録装置を示す斜視図である。
【図3】実施形態の画像記録装置において、図2に示すロールシートを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】ロールシートにロール保持部材を差し込む状態を示す斜視図である。
【図5】ロール保持部材をレバー側から示す斜視図である。
【図6】ロール保持部材を差込部材側から示す斜視図である。
【図7】ロール保持部材を示す断面図である。
【図8】紙管にロール保持部材を差し込んだ状態を示す断面図である。
【図9】紙管にロール保持部材が固定された状態を示す断面図である。
【図10】ロール保持部材に基準支持軸が差し込まれた状態を示す断面図である。
【図11】図10に示したロールシートの軸回りに45度回転させた断面を示す断面図である。
【図12】ロール保持部材に非基準支持軸が差し込まれた状態を示す断面図である。
【図13】紙管に対してロール保持部材が固定された状態を解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態の画像記録装置100はインクジェット方式のプリンタである。画像記録装置100は、ロール状の被記録材としてのロールシート101に画像を記録する装置である。図1に示すように、画像記録装置100は、その内部に、記録ヘッド1、搬送手段としての搬送機構2、プラテン3、給紙機構4、ロール保持部材5などを備えている。
【0015】
ロールシート101は、同一形状に形成された一対のロール保持部材5によって、ロールシート101の長手方向に直交する幅方向(軸方向)の両端の各々が保持されており、給紙機構4によって回転自在に軸支される。ロールシート101は、搬送機構2によって記録ヘッド1へ向けて給送され、記録ヘッド1とロールシート101とのギャップを確保するプラテン3の上部で、記録ヘッド1によって画像が記録される。記録ヘッド1によって記録されたロールシート101は、画像記録装置100から排出されて搬送される。
【0016】
記録ヘッド1は、画像情報に基づいてロールシート101に画像を記録するものであり、インクジェット方式の場合は、画像情報に基づいて記録ヘッド1の複数の吐出口からロールシート101へインクを吐出して記録が行われる。また、ロールシート101の材質としては、紙、写真調印画紙、皮革などの、画像を記録できるものであれば、種々のものを使用することができる。
【0017】
次に、図3に示す給紙機構4の構成について説明する。
【0018】
給紙機構4は、搬送機構2の上流側に配されており、一対のロール保持部材5を回転自在に軸支する一対の固定支持部6及び可動支持部7と、可動支持部7を移動可能に支持するレール8と、を備えている。固定支持部6は、基準側の側面に対応して配されており、非基準側に向かって突出する基準支持軸9を有している。可動支持部7は、非基準側の側面側に可動自在に配されており、基準側に向かって突出する非基準支持軸10を有している。基準支持軸9と非基準支持軸10は、異なる軸形状に形成されており、基準支持軸9が、非基準支持軸10よりも径が細くされている。なお、基準支持軸9の軸長を非基準支持軸10の軸長よりも短くすることによっても、同様に対応できる。
【0019】
ロール保持部材5に対して、ロールシート101の幅方向の両側から基準支持軸9、非基準支持軸10が差し込まれることによって、ロール保持部材5を回転自在に軸支する。可動支持部7は、可動支持部7の下側に配されたレール8によってスライドが案内される。なお、可動支持部7は、レール8に沿ってスライド可能に設けられているので、可動支持部7の位置をレール8に沿って調整することで、ロールシート101の幅方向のサイズが異なる場合でも支持することができる。
【0020】
次に、図4〜図7を参照して、ロール保持部材5の構成について説明する。
【0021】
図4〜図6に示すように、ロール保持部材5は、ロールシート101の紙管102の両端の各々に取り付けられる。ロール保持部材5は、紙管102内に差し込まれる差込部材11(段差部11a)と、差込部材11が差し込まれたロールシート101の幅方向の位置をガイドするガイド面12aを有するガイド部材12と、を備えている。
【0022】
ガイド部材12は、ガイド面12aが、ロールシート101の幅方向の端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられている。ガイド部材12は、ロールシート101の幅方向の両端がロール保持部材5に保持されたときに、ガイド面12aが第一の位置に移動する。
【0023】
また、ロール保持部材5の差込部材11は、紙管102の内周面に当接する位置と、内周面から退避する位置とに切り替え可能な複数の当接部材13を有している。当接部材13を移動させることで、紙管102に対してロール保持部材5が固定された状態と、紙管102に対するロール保持部材5の固定を解除した状態とに切り替えをすることができる。このような固定状態と、固定の解除状態との切り替えは、ガイド部材12に回転可能に設けられたレバー14を操作することによって可能に構成されている。
【0024】
図7に示すように、ロール保持部材5の内部には、ロール保持部材5とロールシート101の固定状態と、固定状態を解除した状態とに切り替えるための押込部材15と、押込部材15によって作動される突起部16aを有するくさび部材16と、を備えている。押込部材15は、ロール保持部材5を支持する基準支持軸9及び非基準支持軸10が挿入される中空部15aを有しており、レバー14の操作に連動してガイド部材12に対する位置を変化させることが可能に設けられている。押込部材15と、くさび部材16との間には圧縮バネ17が配されており、くさび部材16は、押込部材15の移動に連動して、変位することが可能にされている。
【0025】
また、差込部材11は、図6及び図7に示すように、外径が大きくされた段差部11aを有しており、ガイド部材12と差込部材11の間には、複数の引張バネ18が配されている。ガイド部材12に回転可能に設けられた複数の回転カム19が回転することによって、ガイド部材12のガイド面12aから段差部11aを突出させる位置に、ガイド部材12を移動させることができる。
【0026】
また、差込部材11は、ガイド面12aから段差部11aを突出させる位置に、ガイド部材12を維持するための複数の爪部11bが設けられている。差込部材11の爪部11bが、ガイド部材12に設けられた複数の爪穴部12bに係合することで、ガイド面12aから段差部11aを突出させる位置にガイド部材12が保たれる。また、押込部材15には、爪部11bが爪穴部12bに係合した係合状態を解除するための複数のスライド部15bが設けられている。
【0027】
次に、図2、図8〜図12を参照して、画像記録装置100にロールシート101を装着する一連の動作を説明する。
【0028】
図8に示すように、ロール保持部材5は、差込部材11が、ロールシート101の紙管102に差し込まれる。このとき、レバー14をガイド部材12から離間させる方向へ移動させておく。押込部材15は、ガイド部材12の外側へ引っ張られて移動すると共に、くさび部材16は、ガイド部材12の外側へ引っ張られて移動し、突起部16aが当接部材13から外れる。当接部材13は、差込部材11の外径よりも内側へ退避するので、差込部材11を紙管102内に差し込むことが可能となる。差込部材11が差し込まれたロールシート101は、ガイド面12aに接触して位置決めされる。これによって、ロールシート101のシートの安定した位置決めを行うと共に、ロールシート101の巻き状態が、幅方向に竹の子状に伸びて解けることが防止されている。
【0029】
次に、図8に示す状態から、レバー14を、ガイド部材12に接近させる方向へ移動させる。これによって、図9に示すように、押込部材15は、ガイド部材12の内側に押し込まれて移動すると共に、くさび部材16は、圧縮バネ17の付勢力によってガイド部材12の内側へ移動し、突起部16aが当接部材13を径方向の外側へ押し出す。当接部材13は、差込部材11の外径から突出し、紙管102の内周面に当接するので、ロール保持部材5と紙管102を固定することができる。以上の取り付け操作をロールシート101の両端に対してそれぞれ行う。
【0030】
次に、図2に示すように、ロール保持部材5に両端が保持されたロールシート101を給紙機構4に装着する。まず、レール8に沿ってスライド可能な可動支持部7を非基準側へ移動させることで、固定支持部6と可動支持部7との間に、ロール保持部材5に保持されたロールシート101が入る空間が確保される。これによって、ロールシート101は、固定支持部6と可動支持部7との間の空間のレール8の上に配置することができる。さらに、可動支持部7をレール8に沿って、非基準側から基準側へ移動させることで、可動支持部7をロールシート101と共に固定支持部6(基準側)へ押し付ける。
【0031】
このとき、図10及び図11に示すように、非基準支持軸10は、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5の中空部15aに差し込まれる。また、図12に示すように、基準支持軸9は、基準側に取り付けられたロール保持部材5の中空部15aに差し込まれることによって、一方のロール保持部材5が取り付けられたロールシート101を回転自在に支持する。
【0032】
図10に示すように、非基準支持軸10が、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5の中空部15aに差し込まれたとき、非基準支持軸10は、回転カム19に接触して、回転カム19を回転させる。回転カム19が回転されることで、ガイド面12aから段差部11aを突出させる位置に、ガイド部材12は移動する。これによって、ガイド面12aは、ロールシート101の端面から離間103することができる。このため、ロールシート101の幅寸法が、温度や湿度などの影響によって増大した場合であっても、幅方向に伸びたロールシート101の逃げ場がないことに起因するロールシート101の幅方向の端部の損傷を防止することができる。
【0033】
このとき、図11に示すように、爪部11bは、爪穴部12bに係合し、ガイド面12aとロールシート101の端面との離間103を維持している。
【0034】
また、図12に示すように、基準支持軸9が、ロールシート101の基準側に取り付けられた他方のロール保持部材5の中空部15aに差し込まれたとき、基準支持軸9は回転カム19に接触しない。このため、ガイド面12aは、ロールシート101の端面に当接されたままの状態で第一の位置に保たれる。これによって、他方のロール保持部材5によって、ロールシート101の基準側の端面の位置を安定して保持することができる。
【0035】
以上の操作によって、画像記録装置100にロールシート101を装着することができる。本実施形態は、ロール保持部材5に保持されたロールシート101が画像記録装置100に装着されたときに、一方のロール保持部材5のガイド面12aが第二の位置に移動し、他方のロール保持部材5のガイド面12aが第一の位置に保たれるように構成された。なお、必要に応じて、ロール保持部材5に保持されたロールシート101が画像記録装置100に装着されたときに、ロールシート101の幅方向の両端で共にガイド面12aが第二の位置にそれぞれ移動するように構成されてもよい。この場合、ロールシートの両端部の損傷を防ぐことができる。
【0036】
また、本実施形態では、ロール保持部材5が、一対の基準支持軸9と非基準支持軸10の径の違いに応じて、ガイド面12aが、第一の位置と前記第二の位置のいずれかに移動するように構成された。なお、必要に応じて、ロール保持部材5が、一対の基準支持軸9と非基準支持軸10の長さの違いに応じて、ガイド面12aが、第一の位置と第二の位置のいずれかに移動するように構成されてもよい。
【0037】
次に、画像記録装置100からロールシート101を取り外すときの一連の動作を説明する。
【0038】
図2に示すように、一対のロール保持部材5が取り付けられたロールシート101が給紙機構4に装着された状態から、可動支持部7をレール8に沿って、非基準側へ移動させる。このとき、基準支持軸9と非基準支持軸10は、ロール保持部材5の中空部15aから抜き取られて、ロール保持部材5が取り付けられたロールシート101が、給紙機構4から取り出せる位置まで、十分に移動させる必要がある。なお、可動支持部7の移動に連動して、基準支持軸9と非基準支持軸10が中空部15aから抜けるように構成されてもよく、操作性を向上することができる。
【0039】
次に、図2及び図13に示すように、ロール保持部材5が取り付けられたロールシート101を、給紙機構4から取り外す。このとき、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5は、非基準支持軸10が中空部15aから抜けたときであっても、爪部11bが爪穴部12bに係合されている。このため、回転カム19に関係なく、ガイド面12aとロールシート101の端面との離間103が維持される(図10、図11)。これによって、ロール保持部材5が取り付けられたロールシート101を、給紙機構4から取り外した状態であっても、ガイド面12aとロールシート101の端面とが離間103された状態が維持される。このため、巻き状態が解けて幅方向に伸びたロールシート101の幅方向の端部が損傷することを防止することができる。
【0040】
次に、レバー14をガイド部材12から離間させる方向へ移動させる。これによって、図13に示すように、押込部材15は、ガイド部材12の外側へ引っ張られて移動すると共に、くさび部材16をガイド部材12の外側へ引っ張られて移動し、突起部16aが当接部材13から外れる。当接部材13は、差込部材11の外径よりも内側へ退避するので、紙管102に対してロール保持部材5が固定された状態を解除することができる。これによって、ロールシート101からロール保持部材5を取り外すことができる。
【0041】
また、レバー14の動作に連動して、押込部材15に設けられたスライド部15bは、ガイド部材12の外側に引っ張られて移動する。このとき、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5は、スライド部15bが爪部11bに接触し、爪部11bと爪穴部12bとの係合が外れるので、引張バネ18の付勢力によって、段差部11aがガイド面12aの内側に入り込む。これによって、ロールシート101の端面にガイド面12aが突き当てられた第一の位置にガイド部材12が移動し、ロール保持部材5によってロールシート101が保持される。
【0042】
以上の取り外し操作によって、画像記録装置100からロールシート101を取り外すことができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、パイプ軸を有していない、一組のロール保持部材5を用いることによって、ロールシート101を画像記録装置100に装着するための取り付け作業を容易に行うことができる。また、同一形状である一対のロール保持部材5を用いることによって、ロールシート101の幅方向の両側に対する取り付け時の取り扱いに差が無くなるので、ロール保持部材5の取り付け間違いを防ぐことができる。
【0044】
また、ロール保持部材5は、非基準側のガイド面12aと、ロールシート101の端面とを離間させることで、幅方向に伸びたロールシート101の損傷を防止することができる。さらに、ロール保持部材5に保持されたロールシート101を画像記録装置100から取り出したときも、ロールシート101の非基準側の端面がガイド面12aから離間された状態に保たれるので、幅方向に伸びたロールシート101の端部の損傷を防止できる。
【符号の説明】
【0045】
1 記録ヘッド
2 搬送機構
4 給紙機構
5 ロール保持部材
6 固定支持部
7 可動支持部
9 基準支持軸
10 非基準支持軸
12 ガイド部材
12a ガイド面
14 レバー
100 画像記録装置
101 ロールシート
102 紙管
103 離間
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状の被記録材を保持するロール保持部材を備える画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像記録装置では、給紙部から被記録材が供給され、画像データに基づいて記録ヘッドによって被記録材に画像を記録するように構成されている。被記録材としては、ロール状の被記録材、カット状の被記録材、プラスチックシートなどの被記録材が一般的に使用されている。特に、大きなサイズの被記録材を扱う画像記録装置では、いわゆるロールシートを用いるものが多い。
【0003】
従来の技術では、フランジ状のガイド部材が固定されたパイプ軸と、パイプ軸が挿通される軸穴を有するフランジ状のガイド部材とを備えるスプールユニットによって、給紙部に、ロールシートが回転可能に保持されている。ロール状の被記録材の芯である中空の紙管に、パイプ軸を差し込み、パイプ軸に設けられたガイド部材がロールシートの紙管を保持することによって、ロールシートの長手方向に直交する幅方向(軸方向)の一方の端面が、ガイド部材によってガイドされる。続いて、ロールシートの幅方向の他方の端面側から、軸穴を有するガイド部材の軸穴にパイプ軸を通し、ガイド部材によってロールシートの紙管を保持する。これによって、ロールシートの幅方向の両側の端面の各々がガイド部材によって保持される。
【0004】
パイプ軸に固定されたガイド部材は、基準側に配されており、ロールシートの端面に当接してロールシートをガイドする。これによって、ロールシートの位置決めを行うと共に、ロールシートの巻き状態が、幅方向に竹の子状に伸びて解けることを防止している。パイプ軸が挿通される軸穴を有するガイド部材は、非基準側に配されており、ガイド部材とロールシートの端面とが離間するように構成されている。これによって、ロールシートの幅方向に対する幅が、温度や湿度などによって増大した場合に、増大したロールシートの逃げ場がなくなり、ロールシートが損傷することが防止されている。特に、ロールシートの巻き径方向の外周側において、温度や湿度などの影響を受けやすく、ロールシートの幅が増大しやすい。
【0005】
また、ガイド部材とロールシートの端面との当接、離間を切り替える構成を有するものも開示されている(特許文献1参照)。この構成では、ロールシートを画像記録装置に装着する前、ガイド部材とロールシートの端面とが当接されており、ロールシートを画像記録装置に装着したときに、ガイド部材とロールシートの端面とが離間される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−83964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、幅寸法が大きなロールシートの紙管に、幅方向に沿って長いパイプ軸を通す作業が手間になっており、ロールシートの両端にガイド部材のみを取り付けるようなパイプ軸を有していない構成が求められている。パイプ軸を有していない、一対のガイド部材のみからなる構成の場合、基準側のガイド部材と非基準側のガイド部材の構成が異なると、ユーザーがガイド部材の取り付けを間違えて、各ガイド部材を基準側と非基準側とで反対に取り付けてしまう可能性がある。そのため、基準側のガイド部材と非基準側のガイド部材とを構成を共通化することが求められている。
【0008】
また、ガイド部材のガイド面とロールシートの端面との当接、離間を切り替える構成では、画像記録装置のシート装着部からロールシートを取り出したときに、離間していたガイド面とロールシートの端面とが当接することになる。このため、巻き状態が解けて幅方向に伸びたロールシートは、ガイド部材によって損傷してしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、巻き状態が解けて幅方向に伸びた場合であってもロール状の被記録材の端部を損傷させることなく、取り扱いが容易なロール保持部材を備えた画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明に係る画像記録装置は、ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された被記録材に記録を行う画像記録装置である。ロール保持部材は、ロール状の被記録材の幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、ガイド面が、端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、ロール状の被記録材の幅方向の両端がロール保持部材に保持されたときに、ロール状の被記録材の幅方向の両端で共にガイド面が第一の位置に移動する。ロール保持部材に保持されたロール状の被記録材が画像記録装置に装着されたときに、一方のロール保持部材のガイド面が第二の位置に移動し、他方のロール保持部材のガイド面が第一の位置に保たれることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の画像記録装置は、ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された被記録材に記録を行う画像記録装置である。ロール保持部材は、ロール状の被記録材の幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、ガイド面が、端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、ロール状の被記録材の幅方向の両端がロール保持部材に保持されたときに、ロール状の被記録材の幅方向の両端で共にガイド面が第一の位置に移動する。ロール保持部材に保持されたロール状の被記録材が画像記録装置に装着されたときに、ロール状の被記録材の幅方向の両端で共にガイド面が第二の位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロール状の被記録材の幅方向に沿って挿通させる軸を有していない、一対のロール保持部材のみでロール状の被記録材を保持することによって、ロール状の被記録材を画像記録装置に装着するときの取り扱い性を向上することができる。また、基準側のロール保持部材と非基準側のロール保持部材の構成を共通化することで、ロール状の被記録材に対するロール保持部材の取り付け間違いを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の画像記録装置の全体を示す断面図である。
【図2】実施形態の画像記録装置を示す斜視図である。
【図3】実施形態の画像記録装置において、図2に示すロールシートを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】ロールシートにロール保持部材を差し込む状態を示す斜視図である。
【図5】ロール保持部材をレバー側から示す斜視図である。
【図6】ロール保持部材を差込部材側から示す斜視図である。
【図7】ロール保持部材を示す断面図である。
【図8】紙管にロール保持部材を差し込んだ状態を示す断面図である。
【図9】紙管にロール保持部材が固定された状態を示す断面図である。
【図10】ロール保持部材に基準支持軸が差し込まれた状態を示す断面図である。
【図11】図10に示したロールシートの軸回りに45度回転させた断面を示す断面図である。
【図12】ロール保持部材に非基準支持軸が差し込まれた状態を示す断面図である。
【図13】紙管に対してロール保持部材が固定された状態を解除した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態の画像記録装置100はインクジェット方式のプリンタである。画像記録装置100は、ロール状の被記録材としてのロールシート101に画像を記録する装置である。図1に示すように、画像記録装置100は、その内部に、記録ヘッド1、搬送手段としての搬送機構2、プラテン3、給紙機構4、ロール保持部材5などを備えている。
【0015】
ロールシート101は、同一形状に形成された一対のロール保持部材5によって、ロールシート101の長手方向に直交する幅方向(軸方向)の両端の各々が保持されており、給紙機構4によって回転自在に軸支される。ロールシート101は、搬送機構2によって記録ヘッド1へ向けて給送され、記録ヘッド1とロールシート101とのギャップを確保するプラテン3の上部で、記録ヘッド1によって画像が記録される。記録ヘッド1によって記録されたロールシート101は、画像記録装置100から排出されて搬送される。
【0016】
記録ヘッド1は、画像情報に基づいてロールシート101に画像を記録するものであり、インクジェット方式の場合は、画像情報に基づいて記録ヘッド1の複数の吐出口からロールシート101へインクを吐出して記録が行われる。また、ロールシート101の材質としては、紙、写真調印画紙、皮革などの、画像を記録できるものであれば、種々のものを使用することができる。
【0017】
次に、図3に示す給紙機構4の構成について説明する。
【0018】
給紙機構4は、搬送機構2の上流側に配されており、一対のロール保持部材5を回転自在に軸支する一対の固定支持部6及び可動支持部7と、可動支持部7を移動可能に支持するレール8と、を備えている。固定支持部6は、基準側の側面に対応して配されており、非基準側に向かって突出する基準支持軸9を有している。可動支持部7は、非基準側の側面側に可動自在に配されており、基準側に向かって突出する非基準支持軸10を有している。基準支持軸9と非基準支持軸10は、異なる軸形状に形成されており、基準支持軸9が、非基準支持軸10よりも径が細くされている。なお、基準支持軸9の軸長を非基準支持軸10の軸長よりも短くすることによっても、同様に対応できる。
【0019】
ロール保持部材5に対して、ロールシート101の幅方向の両側から基準支持軸9、非基準支持軸10が差し込まれることによって、ロール保持部材5を回転自在に軸支する。可動支持部7は、可動支持部7の下側に配されたレール8によってスライドが案内される。なお、可動支持部7は、レール8に沿ってスライド可能に設けられているので、可動支持部7の位置をレール8に沿って調整することで、ロールシート101の幅方向のサイズが異なる場合でも支持することができる。
【0020】
次に、図4〜図7を参照して、ロール保持部材5の構成について説明する。
【0021】
図4〜図6に示すように、ロール保持部材5は、ロールシート101の紙管102の両端の各々に取り付けられる。ロール保持部材5は、紙管102内に差し込まれる差込部材11(段差部11a)と、差込部材11が差し込まれたロールシート101の幅方向の位置をガイドするガイド面12aを有するガイド部材12と、を備えている。
【0022】
ガイド部材12は、ガイド面12aが、ロールシート101の幅方向の端面に当接する第一の位置と、端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられている。ガイド部材12は、ロールシート101の幅方向の両端がロール保持部材5に保持されたときに、ガイド面12aが第一の位置に移動する。
【0023】
また、ロール保持部材5の差込部材11は、紙管102の内周面に当接する位置と、内周面から退避する位置とに切り替え可能な複数の当接部材13を有している。当接部材13を移動させることで、紙管102に対してロール保持部材5が固定された状態と、紙管102に対するロール保持部材5の固定を解除した状態とに切り替えをすることができる。このような固定状態と、固定の解除状態との切り替えは、ガイド部材12に回転可能に設けられたレバー14を操作することによって可能に構成されている。
【0024】
図7に示すように、ロール保持部材5の内部には、ロール保持部材5とロールシート101の固定状態と、固定状態を解除した状態とに切り替えるための押込部材15と、押込部材15によって作動される突起部16aを有するくさび部材16と、を備えている。押込部材15は、ロール保持部材5を支持する基準支持軸9及び非基準支持軸10が挿入される中空部15aを有しており、レバー14の操作に連動してガイド部材12に対する位置を変化させることが可能に設けられている。押込部材15と、くさび部材16との間には圧縮バネ17が配されており、くさび部材16は、押込部材15の移動に連動して、変位することが可能にされている。
【0025】
また、差込部材11は、図6及び図7に示すように、外径が大きくされた段差部11aを有しており、ガイド部材12と差込部材11の間には、複数の引張バネ18が配されている。ガイド部材12に回転可能に設けられた複数の回転カム19が回転することによって、ガイド部材12のガイド面12aから段差部11aを突出させる位置に、ガイド部材12を移動させることができる。
【0026】
また、差込部材11は、ガイド面12aから段差部11aを突出させる位置に、ガイド部材12を維持するための複数の爪部11bが設けられている。差込部材11の爪部11bが、ガイド部材12に設けられた複数の爪穴部12bに係合することで、ガイド面12aから段差部11aを突出させる位置にガイド部材12が保たれる。また、押込部材15には、爪部11bが爪穴部12bに係合した係合状態を解除するための複数のスライド部15bが設けられている。
【0027】
次に、図2、図8〜図12を参照して、画像記録装置100にロールシート101を装着する一連の動作を説明する。
【0028】
図8に示すように、ロール保持部材5は、差込部材11が、ロールシート101の紙管102に差し込まれる。このとき、レバー14をガイド部材12から離間させる方向へ移動させておく。押込部材15は、ガイド部材12の外側へ引っ張られて移動すると共に、くさび部材16は、ガイド部材12の外側へ引っ張られて移動し、突起部16aが当接部材13から外れる。当接部材13は、差込部材11の外径よりも内側へ退避するので、差込部材11を紙管102内に差し込むことが可能となる。差込部材11が差し込まれたロールシート101は、ガイド面12aに接触して位置決めされる。これによって、ロールシート101のシートの安定した位置決めを行うと共に、ロールシート101の巻き状態が、幅方向に竹の子状に伸びて解けることが防止されている。
【0029】
次に、図8に示す状態から、レバー14を、ガイド部材12に接近させる方向へ移動させる。これによって、図9に示すように、押込部材15は、ガイド部材12の内側に押し込まれて移動すると共に、くさび部材16は、圧縮バネ17の付勢力によってガイド部材12の内側へ移動し、突起部16aが当接部材13を径方向の外側へ押し出す。当接部材13は、差込部材11の外径から突出し、紙管102の内周面に当接するので、ロール保持部材5と紙管102を固定することができる。以上の取り付け操作をロールシート101の両端に対してそれぞれ行う。
【0030】
次に、図2に示すように、ロール保持部材5に両端が保持されたロールシート101を給紙機構4に装着する。まず、レール8に沿ってスライド可能な可動支持部7を非基準側へ移動させることで、固定支持部6と可動支持部7との間に、ロール保持部材5に保持されたロールシート101が入る空間が確保される。これによって、ロールシート101は、固定支持部6と可動支持部7との間の空間のレール8の上に配置することができる。さらに、可動支持部7をレール8に沿って、非基準側から基準側へ移動させることで、可動支持部7をロールシート101と共に固定支持部6(基準側)へ押し付ける。
【0031】
このとき、図10及び図11に示すように、非基準支持軸10は、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5の中空部15aに差し込まれる。また、図12に示すように、基準支持軸9は、基準側に取り付けられたロール保持部材5の中空部15aに差し込まれることによって、一方のロール保持部材5が取り付けられたロールシート101を回転自在に支持する。
【0032】
図10に示すように、非基準支持軸10が、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5の中空部15aに差し込まれたとき、非基準支持軸10は、回転カム19に接触して、回転カム19を回転させる。回転カム19が回転されることで、ガイド面12aから段差部11aを突出させる位置に、ガイド部材12は移動する。これによって、ガイド面12aは、ロールシート101の端面から離間103することができる。このため、ロールシート101の幅寸法が、温度や湿度などの影響によって増大した場合であっても、幅方向に伸びたロールシート101の逃げ場がないことに起因するロールシート101の幅方向の端部の損傷を防止することができる。
【0033】
このとき、図11に示すように、爪部11bは、爪穴部12bに係合し、ガイド面12aとロールシート101の端面との離間103を維持している。
【0034】
また、図12に示すように、基準支持軸9が、ロールシート101の基準側に取り付けられた他方のロール保持部材5の中空部15aに差し込まれたとき、基準支持軸9は回転カム19に接触しない。このため、ガイド面12aは、ロールシート101の端面に当接されたままの状態で第一の位置に保たれる。これによって、他方のロール保持部材5によって、ロールシート101の基準側の端面の位置を安定して保持することができる。
【0035】
以上の操作によって、画像記録装置100にロールシート101を装着することができる。本実施形態は、ロール保持部材5に保持されたロールシート101が画像記録装置100に装着されたときに、一方のロール保持部材5のガイド面12aが第二の位置に移動し、他方のロール保持部材5のガイド面12aが第一の位置に保たれるように構成された。なお、必要に応じて、ロール保持部材5に保持されたロールシート101が画像記録装置100に装着されたときに、ロールシート101の幅方向の両端で共にガイド面12aが第二の位置にそれぞれ移動するように構成されてもよい。この場合、ロールシートの両端部の損傷を防ぐことができる。
【0036】
また、本実施形態では、ロール保持部材5が、一対の基準支持軸9と非基準支持軸10の径の違いに応じて、ガイド面12aが、第一の位置と前記第二の位置のいずれかに移動するように構成された。なお、必要に応じて、ロール保持部材5が、一対の基準支持軸9と非基準支持軸10の長さの違いに応じて、ガイド面12aが、第一の位置と第二の位置のいずれかに移動するように構成されてもよい。
【0037】
次に、画像記録装置100からロールシート101を取り外すときの一連の動作を説明する。
【0038】
図2に示すように、一対のロール保持部材5が取り付けられたロールシート101が給紙機構4に装着された状態から、可動支持部7をレール8に沿って、非基準側へ移動させる。このとき、基準支持軸9と非基準支持軸10は、ロール保持部材5の中空部15aから抜き取られて、ロール保持部材5が取り付けられたロールシート101が、給紙機構4から取り出せる位置まで、十分に移動させる必要がある。なお、可動支持部7の移動に連動して、基準支持軸9と非基準支持軸10が中空部15aから抜けるように構成されてもよく、操作性を向上することができる。
【0039】
次に、図2及び図13に示すように、ロール保持部材5が取り付けられたロールシート101を、給紙機構4から取り外す。このとき、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5は、非基準支持軸10が中空部15aから抜けたときであっても、爪部11bが爪穴部12bに係合されている。このため、回転カム19に関係なく、ガイド面12aとロールシート101の端面との離間103が維持される(図10、図11)。これによって、ロール保持部材5が取り付けられたロールシート101を、給紙機構4から取り外した状態であっても、ガイド面12aとロールシート101の端面とが離間103された状態が維持される。このため、巻き状態が解けて幅方向に伸びたロールシート101の幅方向の端部が損傷することを防止することができる。
【0040】
次に、レバー14をガイド部材12から離間させる方向へ移動させる。これによって、図13に示すように、押込部材15は、ガイド部材12の外側へ引っ張られて移動すると共に、くさび部材16をガイド部材12の外側へ引っ張られて移動し、突起部16aが当接部材13から外れる。当接部材13は、差込部材11の外径よりも内側へ退避するので、紙管102に対してロール保持部材5が固定された状態を解除することができる。これによって、ロールシート101からロール保持部材5を取り外すことができる。
【0041】
また、レバー14の動作に連動して、押込部材15に設けられたスライド部15bは、ガイド部材12の外側に引っ張られて移動する。このとき、ロールシート101の非基準側に取り付けられた一方のロール保持部材5は、スライド部15bが爪部11bに接触し、爪部11bと爪穴部12bとの係合が外れるので、引張バネ18の付勢力によって、段差部11aがガイド面12aの内側に入り込む。これによって、ロールシート101の端面にガイド面12aが突き当てられた第一の位置にガイド部材12が移動し、ロール保持部材5によってロールシート101が保持される。
【0042】
以上の取り外し操作によって、画像記録装置100からロールシート101を取り外すことができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、パイプ軸を有していない、一組のロール保持部材5を用いることによって、ロールシート101を画像記録装置100に装着するための取り付け作業を容易に行うことができる。また、同一形状である一対のロール保持部材5を用いることによって、ロールシート101の幅方向の両側に対する取り付け時の取り扱いに差が無くなるので、ロール保持部材5の取り付け間違いを防ぐことができる。
【0044】
また、ロール保持部材5は、非基準側のガイド面12aと、ロールシート101の端面とを離間させることで、幅方向に伸びたロールシート101の損傷を防止することができる。さらに、ロール保持部材5に保持されたロールシート101を画像記録装置100から取り出したときも、ロールシート101の非基準側の端面がガイド面12aから離間された状態に保たれるので、幅方向に伸びたロールシート101の端部の損傷を防止できる。
【符号の説明】
【0045】
1 記録ヘッド
2 搬送機構
4 給紙機構
5 ロール保持部材
6 固定支持部
7 可動支持部
9 基準支持軸
10 非基準支持軸
12 ガイド部材
12a ガイド面
14 レバー
100 画像記録装置
101 ロールシート
102 紙管
103 離間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、前記一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された前記被記録材に記録を行う画像記録装置であって、
前記ロール保持部材は、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、前記ガイド面が、前記端面に当接する第一の位置と、前記端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端が前記ロール保持部材に保持されたときに、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端で共に前記ガイド面が前記第一の位置に移動し、
前記ロール保持部材に保持された前記ロール状の被記録材が前記画像記録装置に装着されたときに、一方の前記ロール保持部材の前記ガイド面が前記第二の位置に移動し、他方の前記ロール保持部材の前記ガイド面が前記第一の位置に保たれることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、前記一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された前記被記録材に記録を行う画像記録装置であって、
前記ロール保持部材は、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、前記ガイド面が、前記端面に当接する第一の位置と、前記端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端が前記ロール保持部材に保持されたときに、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端で共に前記ガイド面が前記第一の位置に移動し、
前記ロール保持部材に保持された前記ロール状の被記録材が前記画像記録装置に装着されたときに、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端で共に前記ガイド面が前記第二の位置に移動することを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
前記ロール保持部材に保持された前記ロール状の被記録材が、前記画像記録装置から取り外されたときに、前記第二の位置にある前記ガイド面が、前記第二の位置に保たれる、請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記一対の支持軸は、前記ロール状の被記録材を保持する前記一対のロール保持部材に対して、前記幅方向の両側からそれぞれ差し込まれ、
前記ロール保持部材は、前記一対の支持軸の径の違いに応じて、前記ガイド面が、前記第一の位置と前記第二の位置のいずれかに移動するように構成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記一対の支持軸は、前記ロール状の被記録材を保持する前記一対のロール保持部材に対して、前記幅方向の両側からそれぞれ差し込まれ、
前記ロール保持部材は、前記一対の支持軸の長さの違いに応じて、前記ガイド面が、前記第一の位置と前記第二の位置のいずれかに移動するように構成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記ロール保持部材を前記ロール状の被記録材から取り外したときに、前記第二の位置にある前記ガイド面が、前記第一の位置に移動するように構成されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記ロール保持部材は、前記ロール状の被記録材に対する前記ロール保持部材の固定と、該固定の解除とを行うためのレバーを備え、
前記固定を解除する前記レバーの動作に連動して、前記第二の位置にある前記ガイド面が、前記第一の位置に移動する、請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項1】
ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、前記一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された前記被記録材に記録を行う画像記録装置であって、
前記ロール保持部材は、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、前記ガイド面が、前記端面に当接する第一の位置と、前記端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端が前記ロール保持部材に保持されたときに、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端で共に前記ガイド面が前記第一の位置に移動し、
前記ロール保持部材に保持された前記ロール状の被記録材が前記画像記録装置に装着されたときに、一方の前記ロール保持部材の前記ガイド面が前記第二の位置に移動し、他方の前記ロール保持部材の前記ガイド面が前記第一の位置に保たれることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
ロール状の被記録材の長手方向に直交する幅方向の両端の各々を保持する一対のロール保持部材と、前記一対のロール保持部材を回転自在に支持する一対の支持軸と、を備え、搬送手段によって搬送された前記被記録材に記録を行う画像記録装置であって、
前記ロール保持部材は、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の端面をガイドするガイド面を有し、前記ガイド面が、前記端面に当接する第一の位置と、前記端面から離間する第二の位置とに移動可能に設けられ、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端が前記ロール保持部材に保持されたときに、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端で共に前記ガイド面が前記第一の位置に移動し、
前記ロール保持部材に保持された前記ロール状の被記録材が前記画像記録装置に装着されたときに、前記ロール状の被記録材の前記幅方向の両端で共に前記ガイド面が前記第二の位置に移動することを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
前記ロール保持部材に保持された前記ロール状の被記録材が、前記画像記録装置から取り外されたときに、前記第二の位置にある前記ガイド面が、前記第二の位置に保たれる、請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記一対の支持軸は、前記ロール状の被記録材を保持する前記一対のロール保持部材に対して、前記幅方向の両側からそれぞれ差し込まれ、
前記ロール保持部材は、前記一対の支持軸の径の違いに応じて、前記ガイド面が、前記第一の位置と前記第二の位置のいずれかに移動するように構成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記一対の支持軸は、前記ロール状の被記録材を保持する前記一対のロール保持部材に対して、前記幅方向の両側からそれぞれ差し込まれ、
前記ロール保持部材は、前記一対の支持軸の長さの違いに応じて、前記ガイド面が、前記第一の位置と前記第二の位置のいずれかに移動するように構成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記ロール保持部材を前記ロール状の被記録材から取り外したときに、前記第二の位置にある前記ガイド面が、前記第一の位置に移動するように構成されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記ロール保持部材は、前記ロール状の被記録材に対する前記ロール保持部材の固定と、該固定の解除とを行うためのレバーを備え、
前記固定を解除する前記レバーの動作に連動して、前記第二の位置にある前記ガイド面が、前記第一の位置に移動する、請求項6に記載の画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−112447(P2013−112447A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258863(P2011−258863)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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