説明

画像読み取り装置

【課題】画像読み取り装置において、所定のパターンを迅速かつ確実に検出する。
【解決手段】画像読み取り装置は、読み取り部と、読み取り部を制御する制御部と、所定のパターンを含むパターン領域とを有する。制御部は、第1の画像データを取得する第1の画像取得部と、第1の画像データにおいて所定のパターンを探索するパターン探索部と、所定のパターンが検出されなかった場合に、低解像度の第2の副走査方向解像度であって画像データが少なくとも特徴部分の画像を検出可能なものとなるように設定された解像度での読み取りにより第2の画像データを取得する第2の画像取得部と、第2の画像データにおいて特徴部分を探索する特徴部分探索部と、検出された特徴部分の位置に基づきパターン領域の概略位置を特定し、第1の画像取得部に再度読み取りを行わせる再処理指示部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関し、特に、画像読み取り装置において読み取り位置を特定する基準位置を規定する所定のパターンを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
読み取り対象物をイメージセンサを用いて光学的に読み取り、読み取り結果に基づいて画像データを生成する画像読み取り装置としてのスキャナが広く普及している。スキャナでは、従来、スキャナにおける読み取り位置を決定するために、位置センサが用いられていた。また、読み取り位置を決定する他の方法として、スキャナに例えば黒領域と白領域とで構成された所定のパターンを設け、読み取り画像データからパターンの画像を検出し、検出されたパターンの画像の位置を基準位置として読み取り位置を決定する方法も知られていた(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−113162
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の技術では、電源投入時にはキャリッジがホームポジション付近に位置するものとされており、また、所定のパターンの位置もホームポジションとの関係により特定されている。しかし、スキャナにおいては、例えば異常終了直後のように、電源投入時にキャリッジがホームポジションとは異なる位置に位置する場合も考えられる。このような場合には、所定のパターンの位置が特定されていないため、所定のパターンを探索して検出する処理を行うこととなる。所定のパターンの検出は、迅速かつ確実に行われることが好ましい。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、画像読み取り装置において、所定のパターンを迅速かつ確実に検出することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]画像読み取り装置であって、
主走査方向に沿ったライン状の読み取り範囲を前記主走査方向に交差する副走査方向に沿って移動させつつ前記読み取り範囲に対向する対象物を読み取り、読み取り結果に基づき画像データを生成する読み取り部と、
前記読み取り部を制御する制御部と、
前記読み取り部による読み取り位置を特定するための基準位置を規定する所定のパターンであって前記所定のパターンの前記副走査方向に沿った概略位置を特定する特徴部分を有する所定のパターンを含むパターン領域と、を備え、
前記制御部は、
前記読み取り部に第1の副走査方向解像度で読み取りを行わせ、第1の画像データを取得する第1の画像取得部と、
前記第1の画像データにおいて前記所定のパターンの画像を探索するパターン探索部と、
前記パターン探索部により前記所定のパターンの画像が検出されなかった場合に、前記第1の副走査方向解像度より低い第2の副走査方向解像度であって前記第2の副走査方向解像度での前記パターン領域の読み取りにより生成される画像データが少なくとも前記特徴部分の画像を検出可能なものとなるように予め設定された解像度で、前記読み取り部に読み取りを行わせ、第2の画像データを取得する第2の画像取得部と、
前記第2の画像データにおいて前記特徴部分の画像を探索する特徴部分探索部と、
前記特徴部分探索部により検出された前記特徴部分の画像の位置に基づき前記パターン領域の前記副走査方向に沿った概略位置を特定し、前記第1の画像取得部に前記パターン領域の概略位置において再度読み取りを行わせる再処理指示部と、を含む、画像読み取り装置。
【0008】
この画像読み取り装置では、第2の画像データが第1の副走査方向解像度より低い第2の副走査方向解像度での読み取りにより取得される。そのため、第2の画像データは第1の画像データと比較して広い読み取り範囲に対応した画像データとなる。また、第2の副走査方向解像度は、第2の副走査方向解像度でのパターン領域の読み取りにより生成される画像データが少なくとも特徴部分の画像を検出可能なものとなるように予め設定されている。そのため、予備読み取りが行われた位置に関わらず、第2の画像データが所定のパターンの画像を含む画像であった場合には特徴部分が検出されることとなる。特徴部分によって所定のパターンの副走査方向に沿った概略位置は特定されるため、特徴部分が検出されれば、所定のパターンの画像の概略位置が特定される。従って、この画像読み取り装置では、所定のパターンを迅速かつ確実に検出することができる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の画像読み取り装置であって、
前記第2の画像取得部は、前記特徴部分探索部により前記特徴部分の画像が検出されるまで読み取り位置を変更しつつ前記読み取り部に繰り返し読み取りを行わせ、前記第2の画像データを繰り返し取得する、画像読み取り装置。
【0010】
この画像読み取り装置では、特徴部分の画像が検出されるまで第2の画像データが繰り返し取得されるため、所定のパターンを確実に検出することができる。
【0011】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の画像読み取り装置であって、
前記所定のパターンは、前記主走査方向に沿って並ぶ複数の領域により構成され、
前記特徴部分は、前記所定のパターンを構成する2つの隣接する前記領域の境界部分である、画像読み取り装置。
【0012】
この画像読み取り装置では、主走査方向に沿って並ぶ複数の領域により構成された所定のパターンを迅速かつ確実に検出することができる。
【0013】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の画像読み取り装置であって、
前記特徴部分探索部は、前記第2の画像データの内の前記特徴部分の位置に対応した一部のデータを対象として前記特徴部分の画像の探索を行う、画像読み取り装置。
【0014】
この画像読み取り装置では、第2の画像データからの特徴部分の画像の検出をより効率よく行うことができ、所定のパターンをより迅速に検出することができる。
【0015】
[適用例5]適用例3に記載の画像読み取り装置であって、
前記第2の副走査方向解像度は、画像データの前記副走査方向に沿って隣接する画素列間の距離が、前記特徴部分の前記副走査方向に沿った長さに対応する距離よりも短くなるような解像度である、画像読み取り装置。
【0016】
この画像読み取り装置では、第2の副走査方向解像度を、第2の副走査方向解像度でのパターン領域の読み取りにより生成される画像データが少なくとも特徴部分の画像を検出可能なものとなるように設定することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、画像処理方法および装置、画像読み取り方法および装置、画像入力方法および装置、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例:
A−1.装置の構成:
A−2.ホームポジション探索処理:
B.変形例:
【0019】
A.実施例:
A−1.装置の構成:
図1は、本発明の実施例におけるスキャナ10の外観を概略的に示す説明図である。スキャナ10は、読み取り対象物を光学的に読み取り、読み取り結果に基づき画像データを生成する画像読み取り装置である。また、スキャナ10は、生成した画像データを対象とした画像処理を行うことが可能であるという点で、画像処理装置としても機能する。
【0020】
本実施例のスキャナ10は、いわゆるフラットベッド型のスキャナである。スキャナ10は、後述する内部機構を収納する筐体としてのケース11と、原稿載置板12と、ケース11にヒンジ14を介して回動可能に取り付けられた原稿押さえ13と、を備える。ケース11は、その上面に原稿載置板12を支持する支持部16を有している。
【0021】
原稿載置板12は、略矩形形状の平板であり、支持部16に取り付けられている。原稿載置板12は、例えば、透明なガラス板やプラスチック板により形成されている。また、原稿押さえ13の原稿載置板12に対向する側の面には、例えば略白色に着色された樹脂製のシートにより形成された押さえ面15が配置されている。スキャナ10において、原稿載置板12上に原稿を載せ、原稿押さえ13によって原稿を上から押しつけることにより、原稿を原稿載置板12に密着させることが可能となっている。
【0022】
図2は、スキャナ10の内部機構を概略的に示す平面図である。図2では、図1に示した原稿押さえ13、原稿載置板12、ケース11の支持部16等の図示を省略している。スキャナ10は、ケース11の内部に、キャリッジ300と、ガイドレール210と、タイミングベルト222と、ステッピングモータ226と、度当たり板40と、フラットケーブル240と、制御部230と、電源ユニット250と、をさらに備える。
【0023】
ガイドレール210は、ケース11の長手方向(図2のX方向)に略平行に配置され、両端においてブラケット212によりケース11に固定されている。キャリッジ300は、ガイドレール210に沿って往復移動可能なようにガイドレール210に支持されている。
【0024】
なお、本明細書では、キャリッジ300がガイドレール210に沿って移動する方向(図2のX方向)を「副走査方向」と呼び、副走査方向に沿った一方の方向(図2のX1方向)を「副走査順方向」と、副走査方向に沿った他方の方向(図2のX2方向)を「副走査逆方向」と呼ぶ。また、副走査方向に直交する方向(図2のY方向)を「主走査方向」と呼び、主走査方向に沿った一方の方向(図2のY1方向)を「主走査順方向」と、主走査方向に沿った他方の方向(図2のY2方向)を「主走査逆方向」と呼ぶ。なお、本実施例における主走査方向は本発明における第1の方向に相当し、副走査方向は本発明における第2の方向に相当する。
【0025】
タイミングベルト222は、一対のプーリ224の間に張り渡され、その一部がキャリッジ300に結合されている。一対のプーリ224の一方は、ギア228を介してステッピングモータ226により回転駆動される。プーリ224が回転駆動されることにより、タイミングベルト222がプーリ224の間を走行し、タイミングベルト222に結合されたキャリッジ300がガイドレール210に沿って副走査方向に移動する。
【0026】
キャリッジ300は、その上面に、発光部310と受光部320とを有している。発光部310および受光部320は、キャリッジ300の主走査方向に沿った長さのほぼ全域にわたって配置されている。発光部310は、例えばLEDといった発光素子を有し、光を照射する。一方、受光部320は、主走査方向に沿って並んだ複数の受光素子322を有している。受光素子322は、例えばCCDやCMOS撮像素子といったイメージセンサと光をイメージセンサ上に集めるロッドレンズ(セルフォックスレンズ)との組み合わせにより構成され、発光部310から照射された光の反射光を受光し、受光した光の強度に応じた大きさの電圧を出力する。受光部320は、また、受光素子322から出力される電圧値(アナログ値)をデジタル値に変換するA/D変換回路を有する。なお、本実施例のスキャナ10に用いられるキャリッジ300は、一般に密着型と呼ばれるものである。
【0027】
キャリッジ300は、発光部310から照射された光の反射光を受光部320における複数の受光素子322によって検出することにより、受光部320に対向する対象物を主走査方向に沿った幅W1の範囲にわたって光学的に読み取ることができる。キャリッジ300がこのような読み取りを副走査方向に移動しつつ行うことにより、受光部320に対向する対象物の読み取り画像データが生成される。なお、受光部320において、幅W1の範囲外に位置する両端の受光素子322は、予備の受光素子322である。また、スキャナ10におけるキャリッジ300やキャリッジ300を往復移動させる機構(ガイドレール210やタイミングベルト222、ステッピングモータ226など)は、本発明における「読み取り部」に相当する。
【0028】
電源ユニット250は、スキャナ10の動作のための電源を供給する。電源ユニット250は、自ら電力を蓄える構成を有するとしてもよいし、コネクタ252を介して外部から電力の供給を受ける構成を有するとしてもよい。
【0029】
制御部230は、コネクタ234およびフラットケーブル240を介してキャリッジ300と電気的に接続されると共に、ステッピングモータ226とも電気的に接続されており、スキャナ10全体の動作を制御する。例えば、制御部230は、ステッピングモータ226のステップ数を検出して、検出したステップ数に基づいて電源ユニット250からステッピングモータ226への供給電力を制御することにより、キャリッジ300の副走査方向に沿った移動を制御する。また、制御部230は、記憶素子(不図示)を有し、キャリッジ300における読み取りにより生成された画像データ等を記憶することができる。また、制御部230は、図示しないコネクタを介してスキャナ10の外部と接続可能となっており、キャリッジ300における読み取りにより生成された画像データを外部の情報処理装置(図示せず)に伝送することができる。
【0030】
制御部230は、さらに、後述するホームポジション探索処理を実行するための機能的な構成を有している。図3は、制御部230におけるホームポジション探索処理を実行するための機能的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部230は、予備読み取り処理部262と、パラメータ設定部264と、第1の画像取得部266と、パターン探索部270と、調整部278と、汎用値設定部282と、第2の画像取得部284と、を含んでいる。また、パターン探索部270は、画素列選択部272と、特徴部分探索部274と、画素グループ設定部276と、を含んでいる。制御部230は、図示しないCPUや記憶領域を有し、CPUによって記憶領域に格納されたコンピュータプログラムが読み出されて実行されることにより、上述した各部の機能を実現する。制御部230に含まれるこれら各部の機能については、後述のホームポジション探索処理の説明において詳述する。
【0031】
また、制御部230は、汎用値設定部282により利用される汎用値テーブルATと、調整部278により利用される調整値テーブルVTと、を有している。汎用値テーブルATと調整値テーブルVTとは、制御部230の有する図示しない記憶領域に格納されている。汎用値テーブルATおよび調整値テーブルVTの内容についても、後述のホームポジション探索処理の説明において詳述する。
【0032】
図4は、スキャナ10の内部機構を概略的に示す断面図である。図4では、図2に示したスキャナ10の内部構成の内、ガイドレール210、タイミングベルト222、ステッピングモータ226、制御部230、フラットケーブル240、電源ユニット250等の図示を省略している。キャリッジ300は、副走査順方向(図4のX1方向)に、図4の右側にキャリッジ300を破線で示した位置(以下「順方向側限界位置」と呼ぶ)まで移動可能であり、副走査逆方向(図4のX2方向)に、図4の左側にキャリッジ300を破線で示した位置(以下「逆方向側限界位置」と呼ぶ)まで移動可能である。すなわち、キャリッジ300は、キャリッジ300に設けられた受光部320が図2および図4に示した長さL1の範囲内に位置する限度において、副走査方向に沿って往復移動可能である。そのため、キャリッジ300は、図2に示すように、主走査方向に沿った幅W1の範囲と副走査方向に沿った長さL1の範囲とで規定される読み取り可能領域400において、対象物を光学的に読み取ることができる。なお、図4に示すように、キャリッジ300は、逆方向側限界位置において、ケース11に固定された主走査方向に沿った板状の度当たり板40と当接した状態となる。
【0033】
また、図4に示すように、キャリッジ300が原稿載置板12上に載置された読み取り対象物としての原稿を読み取ることができる副走査方向の範囲は、長さL2の範囲である。この長さL2の範囲は、長さL1の範囲に包含された範囲である。キャリッジ300は、図2に示すように、主走査方向に沿った幅W1の範囲と副走査方向に沿った長さL2の範囲とで規定される原稿読み取り領域500において、原稿載置板12上に載置された原稿を光学的に読み取ることができる。
【0034】
支持部16の内側表面には、図4に示すように、基準位置特定プレート100と白基準板30とが設置されている。図5は、ケース11の内部から見たスキャナ10の平面の一部を拡大して示す説明図である。図5には、図4において矢印Mで示す方向から見たスキャナ10の平面の一部を示している。また、図6は、基準位置特定プレート100の平面構成および断面構成を詳細に示す説明図である。図6には、図4において矢印Mで示す方向から基準位置特定プレート100を見た平面と、当該平面を示す図におけるs−s断面とを示している。
【0035】
基準位置特定プレート100は、反射率の高い色(例えば白色)の略矩形の平板であり、例えばポリプロピレンやポリスチレンにより形成されている。基準位置特定プレート100は、図5に示すように、読み取り可能領域400内であって、原稿読み取り領域500よりも副走査逆方向(X2方向)側に配置されている。
【0036】
基準位置特定プレート100は、図6に示すように、一対の略円形形状の位置決め穴110と、一対の矩形形状の第1基準マーク穴120と、1つの矩形形状の第2基準マーク穴140と、を有している。位置決め穴110と第1基準マーク穴120と第2基準マーク穴140とは、すべて、基準位置特定プレート100を基準位置特定プレート100の平面と直交する方向に貫通する穴である。一対の位置決め穴110のそれぞれは、基準位置特定プレート100の主走査方向に沿った両端部付近に配置され、第2基準マーク穴140は、基準位置特定プレート100の平面中心付近に配置されている。また、一対の第1基準マーク穴120は、主走査方向に沿って第2基準マーク穴140を両側から挟むような位置に配置されている。
【0037】
位置決め穴110と第1基準マーク穴120と第2基準マーク穴140とは、例えば金型を用いたプレス加工や機械加工により形成されており、互いの位置関係が正確となっている。すなわち、基準位置特定プレート100において、位置決め穴110の位置に対する第1基準マーク穴120および第2基準マーク穴140の位置は、正確に決められている。
【0038】
基準位置特定プレート100は、位置決め穴110の位置で、支持部16の内側表面の所定の位置に皿ネジ18によって取り付けられている(図4参照)。なお、基準位置特定プレート100の支持部16への取り付け方法は、皿ネジ18を用いた方法に限られず、例えば、支持部16の表面に設けられた突起が位置決め穴110に挿入された状態で基準位置特定プレート100を接着により支持部16に取り付けるとしてもよい。
【0039】
矩形形状の第1基準マーク穴120は、図6に示すように、基準位置特定プレート100が支持部16に取り付けられたときに、2つの第1縁122(122aおよび122b)が主走査方向と略平行となり、第1縁122と直交する2つの第2縁124(124aおよび124b)が副走査方向と略平行となるように、配置されている。また、2つの第1基準マーク穴120の副走査方向に沿った位置は略同一位置となっている。すなわち、2つの第1基準マーク穴120のそれぞれの副走査逆方向(X2方向)側の第1縁122aは、共に所定の直線BL(以下「基準ラインBL」と呼ぶ)上に位置する。
【0040】
同様に、矩形形状の第2基準マーク穴140は、図6に示すように、基準位置特定プレート100が支持部16に取り付けられたときに、2つの第1縁142(142aおよび142b)が主走査方向と略平行となり、第1縁142と直交する2つの第2縁144(144aおよび144b)が副走査方向と略平行となるように、配置されている。第2基準マーク穴140の副走査逆方向(X2方向)側の第1縁142aは、基準ラインBLよりも副走査逆方向(X2方向)側に位置しており、副走査順方向(X1方向)側の第1縁142bは、基準ラインBLよりも副走査順方向(X1方向)側に位置している。そのため、主走査逆方向(Y2方向)側の第2縁144bは、基準ラインBLと交差する。第2縁144bと基準ラインBLとの交点を「基準点BP」と呼ぶ。
【0041】
支持部16の内側の表面における基準位置特定プレート100が取り付けられる位置には、図5に示すように、着色領域20が設定されている。支持部16の内側表面は、着色領域20において、反射率の低い色(例えば黒色)で着色されている。着色領域20は、基準位置特定プレート100が取り付けられたときに第1基準マーク穴120および第2基準マーク穴140に対向する領域を含んでいる。そのため、基準位置特定プレート100が支持部16に取り付けられると、第1基準マーク穴120および第2基準マーク穴140を介して着色領域20が表面に露出することとなる。
【0042】
支持部16の内側表面には、基準位置特定プレート100と着色領域20とにより、反射率の高い色(例えば白色)の領域と反射率の低い色(例えば黒色)の領域とが主走査方向に沿って交互に並んだパターン(以下「基準パターン」と呼ぶ)が形成される。基準パターンは、主走査方向に沿って隣接する領域間で色のコントラストが大きいパターンとなる。支持部16の内側表面における基準パターンが形成された領域は、本発明におけるパターン領域に相当する。なお、着色領域20の代わりに、黒色で着色されたシートを用いて基準パターンを形成するとしてもよい。
【0043】
基準パターンにおける基準ラインBLおよび基準点BPは、原稿読み取り領域500の位置を特定するための基準位置として用いられる。より詳細には、図5に示すように、基準ラインBLから副走査順方向(X1方向)に距離L3だけ離れ、基準点BPから主走査順方向(Y1方向)に距離W3だけ離れた点が、原稿読み取り領域500の読み取り領域参照点510として特定される。読み取り領域参照点510は、矩形形状の原稿読み取り領域500の主走査順方向(Y1方向)側および副走査逆方向(X2方向)側の頂点である。読み取り領域参照点510の位置が特定されれば、原稿読み取り領域500の主走査方向および副走査方向に沿った大きさ(W1およびL2、図2参照)に基づき、原稿読み取り領域500の位置が特定される。すなわち、基準パターンは、原稿読み取り領域500の位置を特定するための基準位置(基準ラインBLおよび基準点BPの位置)を規定するパターンであると言える。
【0044】
また、本実施例のスキャナ10では、基準パターンによってキャリッジ300のホームポジションも規定される。ここで、キャリッジ300のホームポジションは、キャリッジ300による原稿の読み取りが行われていないときのキャリッジ300の待機位置である。本実施例では、キャリッジ300のホームポジションは、キャリッジ300の受光部320が白基準板30に対向することとなるような位置に設定されている。図5には、キャリッジ300のホームポジションにおける受光部320の位置を符号HPを付した一点鎖線で示している。キャリッジ300のホームポジションにおける受光部320の位置は、基準パターンにおける基準ラインBLから副走査逆方向(X2方向)に距離L4だけ離れた位置として設定される。
【0045】
白基準板30は、白色の略矩形形状の平板であり、例えばポリプロピレンやポリスチレンにより形成されている。白基準板30は、図4および図5に示すように、基準位置特定プレート100よりも副走査逆方向(X2方向)側の位置に配置されている。白基準板30の位置は、基準位置特定プレート100の基準パターンの位置やキャリッジ300のホームポジションとの関係に基づき設定されている。白基準板30の副走査方向に沿った大きさは、読み取り可能領域400内に含まれるような大きさに設定され、主走査方向に沿った大きさは、読み取り可能領域400の主走査方向に沿った幅W1(図2参照)よりも大きい値に設定されている。白基準板30は、例えば接着によって支持部16の内側表面に固定されている。なお、白基準板30の色である白色は、本発明における基準色に相当し、支持部16の内側表面において白基準板30が設置された領域は、本発明における基準色領域に相当する。
【0046】
図7は、本実施例のスキャナ10によるホームポジション探索処理の流れを示すフローチャートである。図8は、ホームポジション探索処理における基準パターン探索処理の流れを示すフローチャートである。図9は、ホームポジション探索処理における特徴点探索処理の流れを示すフローチャートである。また、図10ないし図13は、ホームポジション探索処理におけるキャリッジ300の動きの一例を示す説明図である。
【0047】
スキャナ10によるホームポジション探索処理は、基準パターンにおける基準位置(基準ラインBLおよび基準点BPの位置)に基づきキャリッジ300のホームポジションを探索し、キャリッジ300をホームポジションに移動させる処理である。ホームポジション探索処理は、例えばスキャナ10の電源ON直後の初期化処理の一部として実行される。なお、本実施例のスキャナ10では、正常に電源OFFの操作が行われた際にはキャリッジ300がホームポジション付近に移動された後に電源が切れるように設定されているため、正常な電源OFF処理の後の電源ON直後のホームポジション探索処理の開始時には、キャリッジ300はホームポジション付近に位置していると想定される。
【0048】
ステップS110(図7)では、制御部230の予備読み取り処理部262(図3)が、キャリッジ300やステッピングモータ226(図2)を制御して予備読み取りPRを行う。予備読み取りPRは、スキャナ10による読み取りの際に用いられる所定の読み取りパラメータの値を設定するために、所定の読み取り範囲を予備的に読み取る処理である。予備読み取りPRは、読み取りパラメータの値が正常に設定されるように、白基準板30(図5)の下で行われるべき処理である。予備読み取りPRでは、キャリッジ300を副走査順方向(X1方向)に移動させつつ、読み取りが行われる。なお、上述した所定の読み取りパラメータは、読み取り時における受光素子322からの出力信号に対し、光量不均一・周辺減光・受光素子322の感度ムラなどの影響を考慮した補正に用いるパラメータであり、発光部310の点灯時間と、アナログフロントエンドのオフセット値と、シェーディングデータとの少なくとも1つを含む。
【0049】
ホームポジション探索処理におけるキャリッジ300の動きを示した図10ないし図13の内、図10は、ホームポジション探索処理の開始時のキャリッジ300の位置(以下「開始時キャリッジ位置SP」と呼ぶ)が正常な位置であるホームポジション付近であった場合のキャリッジ300の動きを示している。なお、図10ないし図13において、LPはキャリッジ300が逆方向側限界位置(図4参照)にあるときの受光部320の位置を示しており、HPはキャリッジ300がホームポジションにあるときの受光部320の位置を示しており、PPは基準パターンの副走査方向に沿った位置を示しており、WPは白基準板30の副走査方向に沿った位置を示している。図10に示すように、開始時キャリッジ位置SPがホームポジション付近であった場合には、予備読み取りPRによって白基準板30が読み取られることとなる。
【0050】
一方、例えば異常終了による電源OFF後のように、開始時キャリッジ位置SPがホームポジションから副走査逆方向(X2方向)側に大きくずれていたり(図11参照)、副走査順方向(X1方向)側に大きくずれていたり(図12および図13参照)する場合がある。開始時キャリッジ位置SPがホームポジションから大きくずれていた場合には、予備読み取りPRによって白基準板30が位置する範囲以外の範囲が読み取られる可能性がある。
【0051】
ステップS120(図7)では、制御部230のパラメータ設定部264(図3)が、予備読み取りPRにおける読み取り結果に基づき、読み取りパラメータの値を設定する。読み取りパラメータの値は、予備読み取りPRにおける読み取り結果と白基準板30の色、すなわち基準色としての白色との関係に基づき設定される。より詳細には、パラメータ設定部264は、上記読み取りパラメータについて、予備読み取りPRにおける各受光素子322からの出力信号が白色を表す信号に補正されるような値を算出する。なお、読み取りパラメータ値がこのように設定されることから、開始時キャリッジ位置SPがホームポジションから大きくずれていた場合(図11ないし図13参照)には、設定される読み取りパラメータの値が適切な値とはならない可能性がある。
【0052】
ステップS130(図7)では、制御部230(図3)が、キャリッジ300を所定移動量分だけ副走査順方向(X1方向)に移動させる。ステップS130におけるキャリッジ300の移動を「移動A」と表すものとする。移動Aにおける副走査順方向に沿った移動量は、開始時キャリッジ位置SPがホームポジション付近であった場合に(図10参照)キャリッジ300が予備読み取りPR完了時の位置から基準パターンの直前の位置まで移動することとなる量に設定されている。
【0053】
ステップS140(図7)では、制御部230の第1の画像取得部266(図3)が、キャリッジ300に、副走査順方向(X1方向)への移動をさせつつ読み取りを行わせ、読み取り画像I1を表す読み取り画像データを生成する。ステップS140における読み取りを「読み取りR1」と表すものとする。読み取りR1により生成される画像データは、本発明における第1の画像データに相当する。
【0054】
読み取りR1における副走査順方向(X1方向)への移動量は、開始時キャリッジ位置SPがホームポジション付近であって予備読み取りPRにより白基準板30が読み取られた場合に、読み取りR1によって基準パターンが読み取られることとなるような移動量に設定されている。そのため、開始時キャリッジ位置SPがホームポジション付近であった場合には(図10参照)、読み取りR1により生成される読み取り画像I1は、基準パターンの画像を含む画像となる。一方、開始時キャリッジ位置SPがホームポジションから大きくずれていた場合(図11ないし図13参照)には、読み取り画像I1が基準パターンの画像を含まない画像となる可能性がある。
【0055】
図14は、読み取りR1により生成される読み取り画像I1の一例を示す説明図である。図14に示した読み取り画像I1の例では、読み取り画像I1に基準パターンの画像が含まれている。すなわち、読み取り画像I1に基準パターンにおける第1基準マーク穴120(図6)の画像120iと第2基準マーク穴140の画像140iとが含まれている。
【0056】
図14に示すように、読み取り画像I1のサイズは、例えばスキャナ10の主走査方向に対応する方向(図14のYi方向)に850画素、副走査方向に対応する方向(図14のXi方向)に122画素というサイズである。本実施例では、主走査方向に対応する方向(Yi方向)に沿って並ぶ850個の画素により構成されるラインを画素ライン(または画素列)と呼ぶ。読み取り画像I1は、122本の画素ラインにより構成された画像といえる。なお、本実施例では、読み取り画像I1の主走査方向に対応する方向(Yi方向)に沿った解像度は1200dpiである。また、読み取り画像I1の副走査方向に対応する方向(Xi方向)に沿った解像度は1200dpiであり、後述の読み取りR2により生成される読み取り画像I2の副走査方向に対応する方向に沿った解像度(300dpi)よりも高解像度となっている。なお、読み取り画像I1の副走査方向に対応する方向(Xi方向)に沿った解像度は、本発明における第1の副走査方向解像度に相当する。
【0057】
なお、読み取り画像I1および後述の読み取り画像I2において、スキャナ10の主走査方向に対応する方向(図14のYi方向)を「主走査対応方向」と呼び、主走査順方向に対応する方向(図14のY1i方向)を「主走査順対応方向」と、主走査逆方向に対応する方向(図14のY2i方向)を「主走査逆対応方向」と呼ぶ。また、スキャナ10の副走査方向に対応する方向(図14のXi方向)を「副走査対応方向」と呼び、副走査順方向に対応する方向(図14のX1i方向)を「副走査順対応方向」と、副走査逆方向に対応する方向(図14のX2i方向)を「副走査逆対応方向」と呼ぶ。
【0058】
ステップS150(図7)では、制御部230のパターン探索部270(図3)が、読み取り画像I1から基準パターンの画像を探索する。より詳細には、パターン探索部270は、読み取り画像I1から基準パターンの基準ラインBL(図6)の画像BLiと基準点BPの画像BPiとを探索する。
【0059】
基準パターンの画像の探索処理の流れを示す図8において、ステップS310では、パターン探索部270の画素列選択部272(図3)が、対象ラインTLを設定する。画素列選択部272は、読み取り画像I1(図14)において最も副走査逆対応方向(X2i方向)に位置する画素ラインを対象ラインTLとして選択する。
【0060】
ステップS330(図8)では、パターン探索部270の特徴部分探索部274(図3)が、対象ラインTLにおいて特徴点CPを探索する。ここで、特徴点CPは、基準パターンの特徴部分を表す画像である特徴画像CIを構成する点である。本実施例では、基準パターンにおける第2基準マーク穴140(図6)の主走査逆方向(Y2方向)側の第2縁144bが特徴部分として用いられる。そのため、特徴画像CIは、図14に示すように、第2基準マーク穴140の主走査逆方向側の第2縁144bを表す画像144biとなる。なお、基準パターンにおける特徴部分は、反射率の高い色の部分(基準位置特定プレート100)と反射率の低い色の部分(第2基準マーク穴140を介して露出された着色領域20)との境界部分となるため、特徴画像CIは輝度値の大きい画像と輝度値の小さい画像との境界の画像となる。
【0061】
特徴点CPの探索処理の流れを示す図9において、ステップS510では、特徴部分探索部274(図3)が、対象ラインTL上の一部の範囲を特徴点CPの探索を行う探索範囲として設定する。本実施例では、ある対象ラインTLを対象とした初めての特徴点CPの探索の際には、図14に示す初期探索範囲SAを探索範囲として設定する。初期探索範囲SAは、読み取り画像I1が基準パターンの画像を含む画像である場合に特徴画像CIが位置すべき位置を含む範囲となるように、基準パターンとキャリッジ300との関係を考慮して予め設定される。一方、後述するように、ある対象ラインTLを対象とした2回目以降の特徴点CPの探索の際には、初期探索範囲SAの内の未探索の範囲が探索範囲として設定される。
【0062】
ステップS520(図9)では、特徴部分探索部274(図3)が、ステップS510で設定された対象ラインTL上の探索範囲において、対象画素TXを設定する。具体的には、特徴部分探索部274は、対象ラインTL上の探索範囲における最も主走査逆対応方向(図14のY2i方向)側の画素を対象画素TXとして設定する。
【0063】
ステップS530(図9)では、特徴部分探索部274が、対象画素TXについて、所定の条件を満たすか否かの判定を行う。ここで所定の条件は、対象画素TXの輝度値が第1の閾値T1以下であり、かつ主走査逆対応方向(Y2i方向)に沿って対象画素TXに隣接する画素の輝度値が第1の閾値T1より大きいことである。上記所定の条件が満たされると判定された場合には(ステップS530:Yes)、対象画素TXが特徴点CPとして検出される(ステップS560)。
【0064】
図15は、所定の条件を用いた特徴点CPの検出方法を示す説明図である。図15に示すように、対象ラインTL上の初期探索範囲SAにおいて、輝度値が大きい値から小さい値に急激に変化する位置が特徴画像CIに対応した点である特徴点CPであると考えられる。従って、第1の閾値T1を反射率の低い色に対応した低い値(例えば輝度値の最大値が255である場合における100)に設定すると、上記所定の条件が満たされた点が特徴点CPであると考えられる。
【0065】
上記所定の条件が満たされないと判定された場合には(ステップS530:No)、特徴部分探索部274は、設定された探索範囲内のすべての画素についてステップS530の判定が完了したかを判定する(ステップS540)。未だステップS530の判定の対象となっていない画素が存在する場合には(ステップS540:No)、特徴部分探索部274は、現時点で対象画素TXとして設定されている画素の主走査順対応方向(Y1i方向)側の隣接画素を、新たな対象画素TXとして変更設定し(ステップS550)、再度ステップS530における判定を行う。このように、主走査順対応方向(Y1i方向)に沿って順に、対象ラインTL上の画素が対象画素TXとして選択され、ステップS530の判定が行われる。
【0066】
ステップS540において、探索範囲内のすべての画素についてステップS530の判定が完了したと判定された場合には(ステップS540:Yes)、特徴部分探索部274は、対象ラインTLにおける特徴点CPの検出は失敗したと判断する(ステップS570)。
【0067】
図8に戻り、ステップS330において特徴点CPが検出されなかった場合には(ステップS340:No)、制御部230のパターン探索部270(図3)が、読み取り画像I1のすべての画素ラインが特徴点CPの探索対象である対象ラインTLとして選択されたか否かを判定する(ステップS430)。未だ対象ラインTLとして選択されていない画素ラインが存在する場合には(ステップS430:No)、画素列選択部272(図3)は、現時点で対象ラインTLとして設定されている画素ラインの副走査順対応方向(X1i方向)側の隣接画素ラインを、新たな対象ラインTLとして変更設定する(ステップS440)。対象ラインTLが変更設定されると、新たな対象ラインTLについて、再度ステップS330における特徴点CPの検出処理が行われる。このように、副走査順対応方向(X1i方向)に沿って順に、読み取り画像I1を構成する画素ラインが対象ラインTLとして選択され、特徴点CPの検出処理が行われる。
【0068】
ステップS430において、読み取り画像I1を構成するすべての画素ラインについてステップS330における特徴点CPの探索が完了したと判定された場合には(ステップS430:Yes)、パターン探索部270(図3)は、読み取り画像I1からの基準パターンの画像の検出は失敗に終わったと判断する(ステップS450)。
【0069】
ステップS330の特徴点CPの探索処理では、読み取り画像I1に基準パターンの画像が含まれている場合には、図14に示す読み取り画像I1の範囲R1において、対象ラインTLから特徴点CPは検出されないものと考えられる。一方、図14に示す範囲R2およびR3においては、対象ラインTLから特徴点CPが検出されるものと考えられる。一方、読み取り画像I1に基準パターンの画像が含まれていない場合には、特徴点CPは検出されないものと考えられる。ただし、いずれの場合であっても、本実施例では図9のステップS530に示した比較的単純な条件を用いた判定により特徴点CPの検出を行っているため、ごみやノイズ等の影響により、特徴画像CIに対応した点ではない点が特徴点CPとして誤検出される可能性はある。
【0070】
ステップS330(図8)において特徴点CPが検出された場合には(ステップS340:Yes)、制御部230の調整部278(図3)が、調整値Vaを設定する(ステップS350)。ここで、調整値Vaは、検出された特徴点CPの位置を主走査対応方向(Yi方向)に沿って調整するための値である。
【0071】
調整値Vaの設定は、調整値テーブルVT(図3)を用いて行われる。図16は、調整値テーブルVTの内容の一例を示す説明図である。図16に示すように、本実施例では、調整値Vaの既設定回数に応じた調整値Vaが、画素を単位として定められている。例えば、既設定回数が0回、すなわち初めての調整値Vaの設定時においては、調整値Vaは0画素に設定され、特徴点CPの位置の主走査対応方向に沿った調整は行われない。また、既設定回数が1回の場合には、調整値Vaは+1画素、すなわち特徴点CPの位置が主走査順対応方向(Y1i方向)に1画素分移動されるような値に設定される。また、既設定回数が2回の場合には、調整値Vaは−1画素、すなわち特徴点CPの位置が主走査逆対応方向(Y2i方向)に1画素分移動されるような値に設定される。なお、調整値テーブルVTには、既設定回数が10回までの調整値Vaが規定されている。
【0072】
ステップS360(図8)では、調整部278(図3)が、調整特徴点CPaを設定する。調整特徴点CPaは、ステップS350で設定された調整値Vaに基づき特徴点CPの位置を主走査対応方向に沿って調整した後の点である。
【0073】
ステップS370(図8)では、画素グループ設定部276(図3)が、調整特徴点CPaに基づき、対象ラインTL上に画素グループPGを設定する。図17は、画素グループPGの設定方法を示す説明図である。図17に示すように、本実施例では、基準パターン(図6)を構成する7つの領域に対応した7つの画素グループPG(PG1〜PG7)が設定される。ここで、基準パターンを構成する7つの領域とは、3つの反射率の低い色の領域(2つの第1基準マーク穴120および1つの第2基準マーク穴140の部分)と、当該3つの領域に隣接した4つの反射率の高い色の領域(基準位置特定プレート100の部分)と、を意味している。
【0074】
本実施例では、各画素グループPGの主走査対応方向(Yi方向)に沿った位置が、調整特徴点CPaの位置を基準として予め設定されている。例えば、画素グループPG2の主走査逆対応方向(Y2i方向)側の端の位置は、調整特徴点CPaの位置に設定され、主走査順対応方向(Y1i方向)側の端の位置は、調整特徴点CPaから23画素分Y1i方向側に離れた位置に設定されている。従って、画素グループPG2は、画素数24個の画素グループとなる。他の画素グループPGの位置も同様に設定されている。各画素グループPGの主走査対応方向(Yi方向)に沿った位置は、読み取り画像I1が基準パターンの画像を含む場合に、7つの画素グループPG(PG1〜PG7)が基準パターンを構成する7つの領域に対応することとなるように、基準パターンとキャリッジ300との関係に基づき予め定められている。なお、図17に示すように、隣接する画素グループPG間(例えばPG1とPG5との間)には、所定画素数分の間隔が設けられている。
【0075】
ステップS380(図8)では、パターン探索部270(図3)が、設定された画素グループPG毎に条件判定を行う。条件判定は、反射率の低い色の領域に対応した画素グループPG(PG1,2,3)については、画素グループPGに含まれる全画素の内、輝度値が上述の第1の閾値T1以下である画素数の割合が所定の割合(例えば8割)以上か否かという条件を用いて行われる。この条件を満たす画素グループPGは、基準パターンの反射率の低い色の領域の画像を表しているものと考えられる。また、反射率の高い色の領域に対応した画素グループPG(PG4,5,6,7)については、画素グループPGに含まれる全画素の内、輝度値が第2の閾値T2以上である画素数の割合が所定の割合(例えば8割)以上か否かという条件を用いて行われる。ここで、第2の閾値T2は、反射率の高い色に対応した値(例えば輝度の最大値が255である場合における180)に設定される。この条件を満たす画素グループPGは、基準パターンの反射率の高い色の領域の画像を表しているものと考えられる。
【0076】
なお、上記条件が、画素グループPGに含まれる全画素の輝度値が第1の閾値T1以下(または第2の閾値T2以上)であるか否かという条件とされていないのは、ごみやノイズ等の影響を考慮して、条件が厳しくなりすぎることによる基準パターンの検出漏れを抑制するためである。また、上述したように、隣接する画素グループPG間に所定画素数分の間隔が設けられているのも同じ理由からである。
【0077】
条件判定は、例えば、まず画素グループPG1について実行され、その後PG2,PG3,PG4,PG5,PG6,PG7の順に実行される。7つの画素グループPGのすべてについて条件が満たされると判定された場合には(ステップS390:No)、パターン探索部270(図3)は、基準パターンの画像の検出に成功したものと判断する(ステップS400)。すなわち、パターン探索部270は、現在設定されている対象ラインTLが基準パターンの基準ラインBL(図6)に対応した画像BLiであると決定し、調整特徴点CPaが基準点BPに対応した画像BPiであると決定する。
【0078】
一方、1つの画素グループPGについての判定において条件が満たされなかった場合には(ステップS390:Yes)、他の画素グループPGについての判定が実行済みであるか否かに関わらず、ステップS380における条件判定は終了される。この場合には、調整部278(図3)が、調整値テーブルVT(図16)に定義されたすべての値がVaとして設定されたか否かを判定する(ステップS410)。未だ調整値Vaとして設定されていない値がある場合には(ステップS410:No)、調整部278は、調整値Vaを変更設定する(ステップS420)。すなわち、既設定回数の1つ大きい欄の値を新たな調整値Vaとして設定する。
【0079】
その後、変更設定後の調整値Vaに基づき、再度、調整特徴点CPaの設定(ステップS360)、画素グループPGの設定(ステップS370)、画素グループPG毎の条件判定(ステップS380)が実行される。これにより、7つの画素グループPGの位置を主走査対応方向に微調整しつつ、画素グループPGを用いた基準パターンの画像の探索が実行される。調整値テーブルVTに規定されたすべての値が調整値Vaとして既に設定されていた場合には(ステップS410:Yes)、処理はステップS330の特徴点CPの探索に戻る。
【0080】
このように、読み取り画像I1における基準パターンの画像の探索処理(図8)では、副走査順対応方向(X1i方向)に沿って順に対象ラインTLが設定され、対象ラインTL上の探索範囲において特徴点CPの探索が行われる。特徴点CPが検出された場合には、対象ラインTLについて画素グループPGの設定および画素グループPG毎の条件判定が行われる。そのため、図17に示すように、対象ラインTLが範囲R1内に設定されているときには、対象ラインTLから特徴点CPが検出されないものと考えられ、画素グループPGの設定や条件判定は実行されない。一方、対象ラインTLが範囲R2内に設定された場合には、対象ラインTLから特徴点CPが検出されるものの、画素グループPG毎の条件判定において条件が満たされないと判定される。対象ラインTLが範囲R3内にはじめて設定されたときに、対象ラインTLから特徴点CPが検出され、さらに、すべての画素グループPG毎の条件判定において条件が満たされると判定されると考えられる。このときの対象ラインTLが、基準ラインBLに対応した画像BLiとされ、調整特徴点CPaが基準点BPに対応した画像BPiとされる。
【0081】
なお、特徴点CPの探索(図8のステップS330)において特徴画像CIに対応した点ではない点が特徴点CPとして誤検出された場合には、その後の条件判定(ステップS380)において基準パターンの画像の検出に失敗することとなる。
【0082】
ホームポジション探索処理(図7)のステップS150で読み取り画像I1から基準パターンの画像が検出された場合には(ステップS160:Yes)、制御部230(図3)は、キャリッジ300をホームポジションに移動させた後(ステップS170)、ホームポジション探索処理を終了する。ステップS170におけるキャリッジ300の移動を「移動B」と表すものとする。
【0083】
図5に示すように、キャリッジ300のホームポジションにおける受光部320の位置(図5のHPの位置)は、基準パターンの基準ラインBLから副走査逆方向(X2方向)側にL4離れた位置であると決められている。また、制御部230は、読み取り画像I1において検出された基準パターンの画像における基準ラインBLに対応した画像BLiの位置を把握している。制御部230は、読み取り画像I1における画像BLiの位置に基づき移動Bにおける移動量を算出し、キャリッジ300を正確にホームポジションに移動させる(図10参照)。
【0084】
一方、ステップS150(図7)における読み取り画像I1からの基準パターンの画像の検出に失敗し(ステップS160:No)、かつ、その失敗が初めての失敗である場合には(ステップS180:Yes)、制御部230(図3)は、キャリッジ300を副走査順方向(X1方向)に所定の移動量だけ移動させる(ステップS190)。ステップS190におけるキャリッジ300の移動を「移動C」と表すものとする。
【0085】
上述したように、開始時キャリッジ位置SPがホームポジションから大きくずれていた場合(図11ないし図13参照)には、読み取り画像I1が基準パターンの画像を含まない画像となる可能性がある。このような場合には、ステップS150における読み取り画像I1からの基準パターンの画像の検出は失敗に終わるため、図11ないし図13に示すように、移動Cが行われる。その後、以下に説明する処理によって基準パターンの位置の探索が行われる。
【0086】
ステップS200(図7)では、制御部230の汎用値設定部282(図3)が、読み取りに用いる所定の読み取りパラメータ(上述)の値を汎用パラメータ値に設定する。汎用パラメータ値は、汎用パラメータ値を用いた基準パターンの読み取りにより生成される画像データが、少なくとも特徴点CPの検出が可能なものとなるように予め設定された値であり、汎用値テーブルAT(図3)に規定されている。
【0087】
ステップS210(図7)では、制御部230の第2の画像取得部284(図3)が、キャリッジ300に、副走査逆方向(X2方向)への移動をさせつつ、設定された汎用パラメータ値を用いた読み取りを行わせ、読み取り画像I2を表す読み取り画像データを生成する。ステップS210における読み取りを「読み取りR2」と表すものとする。読み取りR2により生成される画像データは、本発明における第2の画像データに相当する。
【0088】
図18は、読み取りR2により生成される読み取り画像I2の一例を示す説明図である。図18に示すように、読み取り画像I2のサイズは、例えば主走査対応方向(Yi方向)に850画素、副走査対応方向(Xi方向)に122画素というサイズである。すなわち、読み取り画像I2は、読み取り画像I1(図14)と同様に、122本の画素ラインにより構成された画像である。また、読み取り画像I2の主走査対応方向(Yi方向)に沿った解像度は1200dpiである。しかし、読み取り画像I2の副走査対応方向(Xi方向)に沿った解像度は300dpiであり、読み取り画像I1の副走査対応方向に沿った解像度(1200dpi)よりも低解像度となっている。なお、読み取り画像I2の副走査対応方向(Xi方向)に沿った解像度は、当該解像度での基準パターンの読み取りにより生成される読み取り画像I2が少なくとも特徴点CPを検出可能なものとなるように予め設定された解像度である。具体的には、当該解像度は、副走査対応方向に沿って隣接する画素ライン間の距離が、特徴画像CIの副走査対応方向に沿った大きさよりも短くなるような範囲で設定される。なお、読み取り画像I2の副走査対応方向(Xi方向)に沿った解像度は、本発明における第2の副走査方向解像度に相当する。
【0089】
ステップS220(図7)では、制御部230のパターン探索部270(図3)が、読み取り画像I2を表す画像データにおいて、特徴点CPを探索する。ステップS220における特徴点CPの探索方法は、ステップS150の基準パターン探索処理(図8)における特徴点CPの探索方法と同様である。すなわち、画素列選択部272が読み取り画像I2を構成する画素ラインを順に対象ラインTLとして選択し、特徴部分探索部274が対象ラインTL上の探索範囲(初期探索範囲SAまたは初期探索範囲SAの内の未探索範囲)において特徴点CPを探索する。特徴点CPの探索は、基準パターンの概略位置を特定するために行う。なお、読み取り画像I2における特徴点CPの探索では、対象ラインTLとしての画素ラインの選択は、図18に示すように、最も副走査順対応方向(X1i方向)側の画素ラインから順に行われる。
【0090】
ここで、読み取り画像I2は、汎用パラメータ値を用いた読み取りR2により生成された画像であるため、ステップS110の予備読み取りPRが行われた位置に影響を受けない。また、汎用パラメータ値は、汎用パラメータ値を用いた基準パターンの読み取りにより生成される画像データが、少なくとも特徴点CPの検出が可能なものとなるように設定されている。そのため、予備読み取りPRが白基準板30の下で行われた否かに関わらず、読み取り画像I2が基準パターンの画像を含む画像であった場合には、図18の範囲R5において対象ラインTLから特徴点CPが検出されることとなる。ただし、図18の範囲R4において、あるいは、基準パターンの画像を含まない読み取り画像I2においても、ごみやノイズ等の影響により特徴点CPが誤検出される可能性はある。
【0091】
読み取り画像I2から特徴点CPが検出された場合には(ステップS230:Yes)、制御部230(図3)は、キャリッジ300をホームポジション付近に移動させる(ステップS250)。ステップS250におけるキャリッジ300の移動を「移動E」と表すものとする(図11参照)。ステップS250の時点では、読み取り画像I2から基準パターンの基準ラインBLの画像BLiは検出されていないものの、基準パターンの画像の概略位置を示す特徴点CPは検出されている。制御部230は、読み取り画像I2における特徴点CPの位置に基づき、キャリッジ300をホームポジション付近に移動させるための移動Eにおける移動量を算出する。
【0092】
移動E(図7のステップS250)の後には、再度、ステップS110からステップS150の処理が実行される(図11参照)。このときには、予備読み取りPR(ステップS110)開始時のキャリッジ300の位置がホームポジション付近にあることとなるため、読み取り画像I1からの基準パターンの画像の探索(ステップS150)において基準パターンの画像が検出されることとなる。従って、この場合には、検出された基準パターンの画像の位置に基づき、キャリッジ300のホームポジションへの移動(ステップS170)が行われ、ホームポジション探索処理が完了する。
【0093】
なお、読み取り画像I2から特徴点CPが検出された場合に、キャリッジ300をホームポジション付近へ移動させ、再度、予備読み取りPRを行わせる制御部230は、本発明における再処理指示部または第1の再処理指示部に相当する。
【0094】
一方、ステップS230(図7)において、読み取り画像I2から特徴点CPが検出されなかった場合には(ステップS230:No)、制御部230(図3)がキャリッジ300を副走査順方向(X1方向)に沿って所定の移動量だけ移動させた後(ステップS240)、再度、読み取りR2(ステップS210)が行われる。ステップS240におけるキャリッジ300の移動を「移動D」と表すものとする(図12参照)。移動Dは、再度の読み取りR2(ステップS210)において、キャリッジ300が所定の読み取り速度に達するまでの距離を稼ぐための処理である。従って、移動Dの後の読み取りR2では、移動開始から移動Dにおける移動量分だけ移動するまでは読み取りは行われず、いわゆる空走状態となる。
【0095】
制御部230(図3)は、図12に示すように、読み取り画像I2から特徴点CPが検出されるまで、読み取りR2と移動Dとを繰り返し実行する(図7のステップS210からS240)。読み取り画像I2から特徴点CPが検出されると、上述したように、移動E(ステップS250)の後、ステップS110の処理に戻る。
【0096】
ここで、読み取り画像I2における特徴点CPの探索処理(図7のステップS220)では、ごみやノイズ等の影響により、読み取り画像I2上の特徴画像CIではない箇所で特徴点CPが誤検出される可能性がある。特徴点CPが誤検出された場合にも、正当な検出時と同様に、移動Eの後、ステップS110からS150の処理が実行される(図13参照)。このときの処理は誤検出された特徴点CPの位置に基づくものであるため、ステップS150の基準パターンの探索処理においては読み取り画像I1から基準パターンの画像が検出されない(図7のステップS160:No)。この場合には、初めての検出不成功ではないため(ステップS180:No)、キャリッジ300が所定移動量分だけ副走査逆方向(X2方向)に移動された後(ステップS260)、再度、ステップS200からS220の処理が実行される。ステップS260におけるキャリッジ300の移動を「移動F」と表すものとする。
【0097】
図13に示すように、移動Fは、その後の読み取りR2(ステップS210)において、特徴点CPが誤検出された位置EPが再度読み取られることのないように行われる処理である。従って、移動Fでは、キャリッジ300が、特徴点CPが誤検出された位置EPよりも副走査逆方向(X2方向)側の位置に移動される。なお、移動Fにおける移動量は、その後の読み取りR2における読み取り範囲と、それ以前の読み取りR2における読み取り範囲との間に読み取りが行われない範囲が生じないようにすることも考慮して設定される。
【0098】
以上説明したように、本実施例のスキャナ10によるホームポジション探索処理では、読み取り画像I1を表す画像データからの基準パターンの画像の探索処理(図7のステップS150)において、対象ラインTLの一部である探索範囲で特徴点CPの探索が行われ、特徴点CPが検出された対象ラインTLにおいて画素グループPGの設定および画素グループPG毎の条件判定が行われる。すなわち、特徴点CPが検出されなかった対象ラインTLについては画素グループPGの設定および画素グループPG毎の条件判定は行われない。そのため、本実施例では、読み取り画像I1を表す画像データにおいて基準パターンの画像を検出するために要する時間の短縮を図ることができる。
【0099】
また、本実施例では、画素グループPG毎の条件判定(図8のステップS380)において、ポジション探索ではないので 7つの画素グループPGのすべてについて条件が満たされると判定された場合にのみ基準パターンの画像の検出に成功したものと判断され、1つの画素グループPGについての判定において条件が満たされなかった場合には、他の画素グループPGについての判定が実行済みであるか否かに関わらず、設定された画素グループPGに基づく基準パターンの画像の検出は失敗したものと判断される。従って、本実施例では、読み取り画像I1を表す画像データにおいて基準パターンの画像を検出するために要する時間のさらなる短縮を図ることができる。
【0100】
また、本実施例では、調整部278(図3)により位置調整された特徴点CP(調整特徴点CPa)に基づき画素グループPGが設定される。そして、設定された画素グループPGに基づく基準パターンの画像の検出に失敗した場合には、調整値Vaを変更して調整特徴点CPaが再設定され、再度、画素グループPGの設定および基準パターンの画像の検出が行われる。そのため、本実施例では、読み取り画像I1を表す画像データにおいて基準パターンの画像を検出する際に、検出漏れの発生を抑制することができる。
【0101】
また、本実施例では、隣接する画素グループPG間に所定画素数分の間隔が設けられるように画素グループPGが設定される(図17参照)。そのため、本実施例では、読み取り画像I1を表す画像データにおいて基準パターンの検出漏れを抑制することができる。
【0102】
また、本実施例では、読み取り画像I2の生成を行う読み取りR2が、汎用パラメータ値を用いて行われる。ここで、汎用パラメータ値は、汎用パラメータ値を用いた基準パターンの読み取りにより生成される画像データが、少なくとも特徴点CPの検出が可能なものとなるように設定されている。そのため、予備読み取りPRが白基準板30の下で行われた否かに関わらず、読み取り画像I2が基準パターンの画像を含む画像であった場合には特徴点CPが検出されることとなる。特徴点CPが検出されれば、基準パターンの画像の概略位置が特定される。従って、本実施例では、読み取り画像I1を表す画像データにおいて基準パターンの画像を確実にかつ迅速に検出することができる。
【0103】
また、本実施例では、読み取り画像I2における特徴点CPの探索が、一部の探索範囲(初期探索範囲SAまたは初期探索範囲SA内の未探索範囲)を対象に行われる。そのため、本実施例では、読み取り画像I2における特徴点CPの探索に要する時間の短縮を図ることができる。
【0104】
また、本実施例では、読み取り画像I2が、副走査対応方向に沿った解像度が読み取り画像I1より低い画像として生成される。そのため、読み取り画像I2の生成のための読み取りR2における読み取り範囲は、読み取りR1と比較して広い範囲となる。従って、本実施例では、基準パターンの概略位置の特定に要する時間の短縮を図ることができる。
【0105】
また、本実施例では、読み取り画像I2において特徴点CPが誤検出された後、読み取り画像I1から基準パターンの画像が検出されなかった場合には、特徴点CPが誤検出された位置が再度読み取られることのないようにキャリッジ300の移動(移動F)が行われる。従って、本実施例では、処理の無限ループの発生を抑制することができ、基準パターンの概略位置の特定を確実に行うことができる。
【0106】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0107】
B1.変形例1:
上記実施例におけるスキャナ10の構成は、あくまで一例であり、スキャナ10の構成として他の構成を採用することもできる。例えば、スキャナ10をいわゆる密着型ではなく、ミラーやレンズを用いたいわゆる縮小光学系のスキャナとして構成してもよい。また、スキャナ10は、ステッピングモータ226の代わりにDCモータを備えているとしてもよい。また、スキャナ10を、例えばプリンタ部を有するいわゆる複合機として構成してもよい。この場合には、例えば図2に示す制御部230や電源ユニット250は、スキャナ10とプリンタ部とで共通の構成要素としてもよい。
【0108】
また、上記実施例において、スキャナ10のキャリッジ300の副走査方向に沿った移動を実現するための機構(ガイドレール210、タイミングベルト222、プーリ224、ステッピングモータ226、ギア228)は、あくまで一例であり、他の機構を利用してキャリッジ300の副走査方向に沿った移動を実現してもよい。
【0109】
B2.変形例2:
上記実施例における基準パターンの構成は、あくまで一例であり、主走査方向に沿って並ぶ複数の領域により構成されていれば、他のパターンを基準パターンとして採用することも可能である。また、上記実施例では、基準パターンの特徴部分として第2基準マーク穴140の主走査逆方向側の第2縁144bが用いられているが、基準パターンの他の部分を特徴部分として用いてもよい。
【0110】
B3.変形例3:
上記実施例では、特徴点CPの検出や画素グループPG毎の条件判定を各画素の輝度値を用いて行っているが、これらの検出や判定を各画素に関する他の値を用いて行ってもよい。例えば、読み取り画像I1およびI2がRGB画像データとして生成される場合には、G値そのものを用いて上記検出や判定を行ってもよい。
【0111】
また、上記実施例では、読み取り画像I2を生成するための読み取りR2において、副走査方向の解像度が低く設定されるとしているが、この点は必須ではなく、読み取りR2においても読み取り画像I1を生成するための読み取りR1における解像度と同じ解像度が設定されるとしてもよい。また、読み取りR2は汎用パラメータ値を用いて行われるとしているが、この点も必須ではなく、読み取りR2においても予備読み取りPRの結果に基づき設定された読み取りパラメータ値が用いられるとしてもよい。
【0112】
また、上記実施例では、基準パターンの画像の探索処理(図8)において、検出された特徴点CPの位置が調整され、調整特徴点CPaに基づき画素グループPGが設定されているが、特徴点CPの位置調整が行われないものとしてもよい。
【0113】
B4.変形例4:
上記実施例における読み取り画像I1およびI2のサイズ(主走査対応方向および副走査対応方向に沿った画素数)や解像度の値はあくまで一例であり、サイズや解像度を他の値に設定してもよい。また、第1の閾値T1および第2の閾値T2の値も任意に設定可能である。また、調整値Vaについても任意に設定可能である。
【0114】
B5.変形例5:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施例におけるスキャナ10の外観を概略的に示す説明図である。
【図2】スキャナ10の内部機構を概略的に示す平面図である。
【図3】制御部230におけるホームポジション探索処理を実行するための機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】スキャナ10の内部機構を概略的に示す断面図である。
【図5】ケース11の内部から見たスキャナ10の平面の一部を拡大して示す説明図である。
【図6】基準位置特定プレート100の平面構成および断面構成を詳細に示す説明図である。
【図7】本実施例のスキャナ10によるホームポジション探索処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】ホームポジション探索処理における基準パターン探索処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ホームポジション探索処理における特徴点探索処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ホームポジション探索処理におけるキャリッジ300の動きの一例を示す説明図である。
【図11】ホームポジション探索処理におけるキャリッジ300の動きの一例を示す説明図である。
【図12】ホームポジション探索処理におけるキャリッジ300の動きの一例を示す説明図である。
【図13】ホームポジション探索処理におけるキャリッジ300の動きの一例を示す説明図である。
【図14】読み取りR1により生成される読み取り画像I1の一例を示す説明図である。
【図15】所定の条件を用いた特徴点CPの検出方法を示す説明図である。
【図16】調整値テーブルVTの内容の一例を示す説明図である。
【図17】画素グループPGの設定方法を示す説明図である。
【図18】読み取りR2により生成される読み取り画像I2の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0116】
10…スキャナ
11…ケース
12…原稿載置板
13…原稿押さえ
14…ヒンジ
15…押さえ面
16…支持部
18…皿ネジ
20…着色領域
30…白基準板
40…度当たり板
100…基準位置特定プレート
110…位置決め穴
120…第1基準マーク穴
122…第1縁
124…第2縁
140…第2基準マーク穴
142…第1縁
144…第2縁
210…ガイドレール
212…ブラケット
222…タイミングベルト
224…プーリ
226…ステッピングモータ
228…ギア
230…制御部
234…コネクタ
240…フラットケーブル
250…電源ユニット
252…コネクタ
262…予備読み取り処理部
264…パラメータ設定部
266…第1の画像取得部
270…パターン探索部
272…画素列選択部
274…特徴部分探索部
276…画素グループ設定部
278…調整部
282…汎用値設定部
284…第2の画像取得部
300…キャリッジ
310…発光部
320…受光部
322…受光素子
400…読み取り可能領域
500…原稿読み取り領域
510…読み取り領域参照点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読み取り装置であって、
主走査方向に沿ったライン状の読み取り範囲を前記主走査方向に交差する副走査方向に沿って移動させつつ前記読み取り範囲に対向する対象物を読み取り、読み取り結果に基づき画像データを生成する読み取り部と、
前記読み取り部を制御する制御部と、
前記読み取り部による読み取り位置を特定するための基準位置を規定する所定のパターンであって前記所定のパターンの前記副走査方向に沿った概略位置を特定する特徴部分を有する所定のパターンを含むパターン領域と、を備え、
前記制御部は、
前記読み取り部に第1の副走査方向解像度で読み取りを行わせ、第1の画像データを取得する第1の画像取得部と、
前記第1の画像データにおいて前記所定のパターンの画像を探索するパターン探索部と、
前記パターン探索部により前記所定のパターンの画像が検出されなかった場合に、前記第1の副走査方向解像度より低い第2の副走査方向解像度であって前記第2の副走査方向解像度での前記パターン領域の読み取りにより生成される画像データが少なくとも前記特徴部分の画像を検出可能なものとなるように予め設定された解像度で、前記読み取り部に読み取りを行わせ、第2の画像データを取得する第2の画像取得部と、
前記第2の画像データにおいて前記特徴部分の画像を探索する特徴部分探索部と、
前記特徴部分探索部により検出された前記特徴部分の画像の位置に基づき前記パターン領域の前記副走査方向に沿った概略位置を特定し、前記第1の画像取得部に前記パターン領域の概略位置において再度読み取りを行わせる再処理指示部と、を含む、画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置であって、
前記第2の画像取得部は、前記特徴部分探索部により前記特徴部分の画像が検出されるまで読み取り位置を変更しつつ前記読み取り部に繰り返し読み取りを行わせ、前記第2の画像データを繰り返し取得する、画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像読み取り装置であって、
前記所定のパターンは、前記主走査方向に沿って並ぶ複数の領域により構成され、
前記特徴部分は、前記所定のパターンを構成する2つの隣接する前記領域の境界部分である、画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読み取り装置であって、
前記特徴部分探索部は、前記第2の画像データの内の前記特徴部分の位置に対応した一部のデータを対象として前記特徴部分の画像の探索を行う、画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像読み取り装置であって、
前記第2の副走査方向解像度は、画像データの前記副走査方向に沿って隣接する画素列間の距離が、前記特徴部分の前記副走査方向に沿った長さに対応する距離よりも短くなるような解像度である、画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−17023(P2009−17023A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174235(P2007−174235)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】