説明

画像読取装置

【課題】フラットベッドスキャナを備えた画像読取装置において、原稿の画像の読み取り中に原稿カバーが開いた場合、読み取りを続行するか中断するかを適切に選択することが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を画像読取部4が読み取り中に原稿カバー開閉センサ27が原稿カバー102の開状態を検知したとき、画像読取部4が読み取りを停止するとともに、続行キー10b及び中止キー10cが読み取りを続行する第1モードと読み取りを中止する第2モードとのモードの選択を受付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、詳しくはフラットベッドスキャナを備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ機、コピー機、ファクシミリ機及びこれらの機器の機能を複合的に備える複合機等の画像読取装置には、フラットベッドスキャナを備えたものがある。フラットベッドスキャナは、透明なプラテンに載置された原稿が上方を原稿カバーにて覆われ押えられた状態にて、原稿の載置面の画像をプラテンの下方から読み取る。原稿の画像の読み取り中に操作者の誤操作等により原稿カバーが開くと、原稿が当初の載置位置からずれたことによって途中にずれが生じた状態の画像が読み取られる、また原稿以外の部分に外部から光が入り込むことによって当該部分を黒色とした画像が読み取られるなどの異常な画像読み取りが行われることが生じ得るという問題があった。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に開示されている原稿読取装置は、原稿の画像の読み取り中に原稿カバーが開くと、読み取りエラーを表示、あるいは印字し、また同時に読み取り動作を停止させている。これにより、原稿の画像の読み取り中に原稿カバーが開いたことを、操作者がその場で確認することができ、後から見直し作業をする必要を省いている。
【0004】
また、特許文献2に開示されている画像読取装置は、原稿の画像の読み取り中に原稿カバーが開いた場合に読み取りを中断するか否かを予め選択して設定するために読取中断設定キーを設けている。これにより、操作者の使用状態に応じた適切な処理を可能としている。さらに、読み取りを中断することを予め選択した場合、原稿カバーが再度閉じられると、自動的に原稿の読み取りを再開する。これにより、スタートボタンを再度押下することなく、自動的に読み取りが再開するので、操作者の利便性が良い。
【特許文献1】特開平10−178508号公報
【特許文献2】特開2003−162183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている原稿読取装置によれば、原稿の画像の読み取り中に原稿カバーが開いた場合、必ず読み取りが停止され、再度原稿全体の画像を読み取る必要があるので、原稿の画像の読み取りに時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に開示されている画像読取装置によれば、操作者の使用状態に応じた選択を読取中断設定キーから設定することができるが、原稿カバーが開いた場合に読み取りを続行可能であるか否かは原稿が当初の載置位置からずれたか否かにより定まり、操作者の使用状態に応じて予め設定することでは不十分であるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、フラットベッドスキャナを備えた画像読取装置において、原稿の画像の読み取り中に原稿カバーが開いた場合、読み取りを続行するか中断するかを適切に選択することが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像読取装置は、原稿を載置するプラテンと、前記プラテンに載置された原稿の画像を読み取る読取手段と、前記プラテンを開閉自在に覆う原稿カバーと、前記原稿カバーの開閉状態を検知する検知手段と、前記読取手段が読み取りを続行する第1モードと、前記読取手段が読み取りを中止する第2モードとの選択指示を受付けるモード選択受付手段と、を備え、前記プラテンに載置された原稿の画像を前記読取手段が読み取り中に前記検知手段が前記原稿カバーの開状態を検知したとき、前記読取手段が読み取りを停止するとともに、前記モード選択受付手段がモードの選択を受付けることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記モード選択受付手段は、キー操作によりモードの選択を受付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の画像読取装置によれば、プラテンに載置された原稿の画像を読取手段が読み取り中に検知手段が原稿カバーの開状態を検知したとき、モード選択受付手段がモードの選択を受付ける。そのため、プラテンに載置された原稿の画像を読み取り中に原稿カバーが開状態となったとき、読み取りを続行する第1モードか、読み取りを中止する第2モードかの選択指示をモード選択受付手段が操作者から受付けることができる。よって、操作者自らがその場で行った選択指示にて、読み取りを続行又は中止するので、異常な画像の読み取りを確実に防ぐことが可能となる。例えば、プラテンに載置された原稿が当初の載置位置からずれていないことを操作者が目視にて確認した場合には、操作者が第1モードを選択することにより、読み取りをそのまま続行することができ、操作性を向上することができる。一方、プラテンに載置された原稿が当初の載置位置からずれたことを操作者が目視にて確認した場合には、操作者が第2モードを選択することにより、異常な読み取りを中止することができ、操作性を向上することができる。さらに、プラテンに載置された原稿の画像を読取手段が読み取り中に検知手段が原稿カバーの開状態を検知したとき、読取手段が読み取りを停止する。そのため、モード選択受付手段が第1モードの選択指示を受付けた場合、既に読み取った部分の原稿の画像を再度読み取る必要がないので、原稿の画像の読み取りにかかる時間を短縮することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の画像読取装置によれば、モード選択受付手段は、キー操作によりモードの選択を受付ける。そのため、操作者はキー操作によりモードの選択を容易に行うことが可能となるとともに、モード選択受付手段の構成を簡易かつ安価とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る画像読取装置を装備するMFP(Multiple Functional Peripheral:多機能周辺機器)100について、図面に基づき説明する。MFP100は、図1にそのブロック図を示すように、MPU(Microprocessing Unit:制御部)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、画像読取部4、CODEC(Coder and Decoder:コーデック)5、画像メモリ6、プリンタ7、表示部8、報知部9、操作部10、モデム11及びNCU(Network Control Unit)12を備えたものであって、各部1乃至12は、バス13によって通信可能に接続されている。
【0013】
このように構成されたMFP100は、画像読取部4が原稿の画像を読み取るスキャナ機能、画像読取部4が読み取った原稿の画像をプリンタ7が記録用紙に記録する複写機能、画像読取部4が読み取った原稿の画像データをPSTN(Public Switched Telephone Network)14を介して通信可能に接続された外部の装置(不図示)に送信するファクシミリ送信機能、PSTN14を介して通信可能に接続された外部の装置(不図示)からデータを受信するファクシミリ受信機能、受信したデータに基づく画像を記録用紙に記録して出力するプリント機能を備えている。
【0014】
MPU1は、MFP100の各部の動作を制御する。ROM2は、MPU1によりこのMFP100の各部の動作が制御されるための各種プログラムを格納している。RAM3は、MFP100の処理動作に用いる処理設定情報や動作情報等の各種データを読み出し及び書き込み可能な状態で格納している。
【0015】
MFP100は、図2及び図3に示すように、FBS(Flat Bed Scanner)として機能する原稿載置台101と、原稿載置台101の天面に配設されたプラテンガラス(プラテン)101aを開閉自在に覆う原稿カバー(原稿押え板)102とを備えている。原稿カバー102は、図2の右奥側を軸として、手前側を原稿載置台101に対して開閉自在に枢支されている。原稿カバー102にはADF(Automatic Document Feeder:自動原稿給送装置)103が装備されている。ADF103は、原稿トレイ103aにセットされた原稿を1枚ずつ搬送路に沿って読取位置Pまで搬送した後に原稿トレイ103aの下方に位置する排紙トレイ103bへと排出する。
【0016】
原稿載置台101には、原稿の画像を読み取って画像データを取得するCCD(Charge Coupled Device)読取ユニット20が内蔵されている。CCD読取ユニット20は、原稿へ光を照射する光源21、原稿からの反射光を所定の方向へ導くための複数の反射ミラー22、原稿からの反射光を収束する集光レンズ23、収束光を電気信号に変換して出力するCCDラインセンサ(読取手段)24等を具備して構成される縮小光学系の読取ユニットであり、プラテンガラス101aに対して副走査方向に水平に往復移動する走査キャリッジ25に光源21と反射ミラー22が配設されている。走査キャリッジ25は、光源21と一部の反射ミラー22が配設されるフルレートキャリッジ25aと、一部の反射ミラー22が配設されるハーフレートキャリッジ25bとからなっている。フルレートキャリッジ25aが移動するとき、その半分の速度で同方向に追従するようにハーフレートキャリッジ25bが移動するように構成されており、読取位置とCCDラインセンサ24との光路長が一定に保たれる。フルレートキャリッジ25a及びハーフレートキャリッジ25bは、ステッピングモータ(以下、単に「モータ」という。)26(図1参照。)のほか図示しないクラッチやギア等の駆動機構により駆動される。
【0017】
原稿カバー開閉センサ(検知手段)27(図1参照。)は、原稿カバー102の原稿載置台101に対する開閉状態を検知し、開閉状態にそれぞれ応じた検知信号を出力する。具体的には、原稿カバー開閉センサ27は、原稿載置台101に立設されたフィーラ(不図示)を原稿カバー102が閉じられた状態で検知する透過型センサであり、原稿カバー102の内部に設けられている。原稿カバー開閉センサ27は、原稿カバー102が原稿載置台101に対して開いている場合には開信号を、原稿カバー102が原稿載置台101に対して閉じている場合には閉信号をそれぞれ出力する。
【0018】
スキャナ機構制御回路28は、図1に示すように、操作部9から入力された操作信号に基づくMPU1からの指令により、光源21の点灯制御を行うとともに、モータ26を駆動させる等により走査キャリッジ25の移動制御を行う。また、スキャナ機構制御回路28には、原稿カバー開閉センサ27からの検知信号が入力され、該検知信号に基づいて光源21や走査キャリッジ25を制御する機能も有する。スキャナ画像処理回路29は、CCDラインセンサ24が原稿の画像を読み取って得た画像信号を取り込み、スキャナ画像処理を行う。具体的には、シェーディング補正、γ補正、拡大/縮小処理(画素データの補間処理又は間引処理)等の画像処理を必要に応じて行う。
【0019】
画像読取部(読取手段)4は、光源21、走査キャリッジ25、モータ26、原稿カバー開閉センサ27、スキャナ機構制御回路28、及びスキャナ画像処理回路29を含み構成されている。このように構成された画像読取部4は、FBSとして原稿の画像を読み取るときには、走査キャリッジ25(フルレートキャリッジ25a及びハーフレートキャリッジ25b)がプラテンガラス101aに対して水平に一定速度で順方向(図3における右向き方向)に移動しながら、CCDラインセンサ24がプラテンガラス101aに載置された原稿の画像を所定時間間隔ごとに走査し、該原稿の走査線画像を順次読み取る。モータ26の駆動を開始してから走査キャリッジ25の移動速度が所定の一定速度に達するまでに、走査キャリッジ25はある程度の距離を移動する。そこで、所定の一定速度で移動する走査キャリッジ25からCCDラインセンサ24が画像の読み取りを行うために、走査キャリッジ25のフルレートキャリッジ25aがプラテンガラス101bの下方に位置するホームポジション(図3における走査キャリッジ25の位置)からCCDラインセンサ24が画像の読み取りを開始するまでのステップ数、及びプラテンガラス101aの下方にて走査キャリッジ25が途中で停止した後に再度読み取りを開始する場合に、走査キャリッジ25を逆方向(図3における左向き方向)に少し戻すためのステップ数と戻された走査キャリッジ25が再度順方向に移動した後にCCDラインセンサ24が画像の読み取りを開始するまでのステップ数が、RAM3に格納されている。
【0020】
また、ADF103によって搬送される原稿の画像を読み取るときには、走査キャリッジ25がホームポジションにて静止し、原稿を一定速度にて読取位置Pを通過させながら、CCDラインセンサ24が原稿の画像を所定時間間隔ごとに走査し、該原稿の走査線画像を順次読み取る。
【0021】
コーデック5は、画像データを符号化(エンコード)・復号(デコード)する。ここでは、画像処理部4で画像処理が行われた原稿の画像データを符号化し、符号化されている画像データを復号する。
【0022】
画像メモリ6は、コーデック5において符号化された画像データ、画像処理部4から直接出力された画像データ、ファクシミリ受信した画像データなどの画像データ等を格納する。プリンタ7は、画像メモリ6から読み出された画像データの画像を記録用紙に記録する。このプリンタ7における記録方式としては、例えば、電子写真方式やインクジェット記録方式等の各種の記録方式を用いることができる。
【0023】
表示部8は、各種の表示画面やMFP100の動作状態などを文字や図形などで表示するものであり、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)などを備えている。なお、LCDは、タッチパネル式のものであり、操作部10に代えてこのLCDの画面をユーザが指等により触れることにより各種の操作を行うこともできる。報知部9は、音声データによる音声メッセージやブザー音を鳴動して報知動作を行うものであり、スピーカなどを備えている。
【0024】
操作部10は、原稿の読み取り、複写、送信等の開始を指示するためのスタートキー10a、原稿の読み取り続行を行う第1のモードを指示するための続行キー(モード選択受付手段)10b、原稿の読み取り中止を行う第2のモードを指示するための中止キー(モード選択受付手段)10cの他に、図示しないが、複写枚数や送信先番号等を入力するためのテンキー、各種設定を入力するためのカーソルキーやボタンキーなど、表示部8と連動した各種操作キーを備えている。
【0025】
モデム11は、ITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の勧告V.34規格又はこれと同様のものに従った送受信データの変調及び復調を行う。NCU12は、電話回線を制御して電話をかけたり切ったりする回線網制御装置であり、PSTN14に接続されている。
【0026】
以下、FBSとして、プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を読み取る場合、MFP100において行われる処理動作について、図4及び図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下のフローチャートに基づいて説明するMFP100の処理動作は、ROM2に格納されているプログラムに基づいてMPU1が発行する命令に従って行われる。
【0027】
まず、プラテンガラス101aに原稿が載置され、操作部10のスタートキー10aが押下された(ONされた)場合(S1:YES)、原稿の読み取り開始命令があったと判断し、スキャナ機構制御回路28は、光源21を点灯させてウォーミングアップを開始する(S2)。光源21の光量が所定値に達しウォーミングアップが終了する(S3:YES)と、原稿の読み取りを開始する(S4)。具体的には、スキャナ機構制御回路28がモータ26を駆動させ、走査キャリッジ25を順方向に移動させながら、RAM3に格納された所定のステップ数から該走査キャリッジ25に配設されているCCDラインセンサ24により、プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を主走査ラインごとに読み取る。そして、原稿の画像読み取り中に、原稿カバー開閉センサ27が出力する検知信号により原稿カバー102の開閉状態を監視する(S5)。
【0028】
原稿カバー開閉センサ27からスキャナ機構制御回路28に開信号が入力されない場合(S5:NO)、原稿の画像読み取りを終了したか否かを判断する(S6)。この判断は、例えば、光電センサからなる原稿サイズ検知センサ(不図示)が検出した原稿のサイズに基づき、RAM3の格納されたテーブルを参照して定められるステップ数に達したか否かに基づき判断する。原稿の画像読み取りを終了したと判断した場合(S6:YES)、スキャナ機構制御回路28は、光源21を消灯するとともに、モータ26を駆動させ、走査キャリッジ25を逆方向に移動させてホームポジションに戻し(S7)、待機状態となり終了する。
【0029】
一方、原稿カバー開閉センサ27から開信号が入力された場合(S5:YES)、スキャナ機構制御回路28は、モータ26の駆動を停止させて走査キャリッジ25の移動を停止させるとともに、CCDラインセンサ24による原稿の画像読み取りを停止する(S8)。そして、キー操作によるモード選択の入力を受付ける(S9)。具体的には、続行キー10bか中止キー10cが押下される操作を受付ける。なお、このとき、表示部8に「原稿カバーが開きました。読み取りを続行する場合は続行キーを、読み取りを中止する場合は中止キーを押して下さい。」などと、キー操作を促す旨のメッセージを表示してもよい。また、報知部9が、スピーカ等から同様の旨の音声メッセージを報知しても、単に警告音を発生してもよい。
【0030】
中止キー10cが押下されるキー操作を受付けた場合(S10:中止キー)、スキャナ機構制御回路28は、光源21を消灯するとともに、モータ26を逆方向に駆動させ、走査キャリッジ25を逆方向に移動させてホームポジションに戻し(S11)、待機状態となり終了する。
【0031】
一方、続行キー10bが押下されるキー操作を受付けた場合(S10:続行キー)、原稿カバー開閉センサ27からスキャナ機構制御回路28に閉信号が入力されているか否かを判断する(S12)。原稿カバー102が閉じていなければ外部から光が入り込み、原稿の画像を良好に読み取ることができないからである。原稿カバー開閉センサ27から閉信号が入力されていない場合(S12:NO)、表示部8に「原稿カバーを閉じて下さい。」などと、原稿カバー102を閉じるよう促す旨のメッセージを表示する(S13)。また、報知部9が、スピーカ等から同様の旨の音声メッセージを報知しても、単に警告音を発生してもよい。原稿カバー開閉センサ27から閉信号が入力されている場合(S12:YES)、スキャナ機構制御回路28は、モータ26を逆方向に回転させ、走査キャリッジ25を所定距離だけ戻す(S14)。S8においてモータ26を停止させ走査キャリッジ25の移動を停止させたとき、モータ26は急激に停止しないので、完全に停止する前に低速となった走査キャリッジ25からCCDラインセンサ24によって原稿の画像を読み取っている。しかし、CCDラインセンサ24が画像を読み取るタイミングが一定間隔に設定されているので、実際に原稿の画像を読み取ったライン間隔が狭くなっている。そこで、モータ26を逆方向に所定スッテプ数回転させ、走査キャリッジ25を所定距離だけ逆方向に戻し、停止するまでに所定の速度より遅い速度で移動しながらCCDラインセンサ24が読み取った画像データを廃棄する。そして、画像データを廃棄した部分の原稿からCCDラインセンサ24が読み取りを開始し、画像の読み取りを再開する(S15)。
【0032】
なお、続行キー10bが押下され(S10:続行キー)原稿カバー開閉センサ27から閉信号が入力されている場合(S12:YES)、走査キャリッジ25を所定距離だけ戻し(S14)、画像の読み取りを再開する(S15)する場合について説明した。しかしながら、この場合、走査キャリッジ25をホームポジションまで戻し、原稿の画像を最初から読み取りを直すものであってもよい。通常、原稿の画像を最初から読み取りを直す場合、操作者がリセットキーを押下してからスタートキー10aを押下するが、リセットキーを押下すると読み取り時等の設定条件がリセットされるため、再度これらの設定条件を操作入力する必要がある。操作者が続行キー10bを押下することのみにより、読み取り停止までと同じ設定条件にて読み取りが自動的に行われるので操作性に優れている。
【0033】
以上説明したように、このMFP100によれば、プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を画像読取部4、より詳細にはCCDラインセンサ24が読み取り中に原稿カバー開閉センサ27が原稿カバー102の開状態を検知したとき、続行キー10b又は中止キー10cにてモードの選択を受付ける。そのため、プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を読み取り中に原稿カバー102が開状態となったとき、読み取りを続行する第1モードか、読み取りを中止する第2モードかの選択指示を操作者から受付けることができる。よって、操作者自らがその場で行った選択指示にて、読み取りを続行又は中止するので、異常な画像の読み取りを確実に防ぐことが可能となる。例えば、プラテンガラス101aに載置された原稿が当初の載置位置からずれていないことを操作者が目視にて確認した場合には、操作者が続行キー10bを押下することにより、読み取りをそのまま続行することができ、操作性を向上することができる。一方、プラテンガラス101aに載置された原稿が当初の載置位置からずれたことを操作者が目視にて確認した場合には、操作者が中止キー10cを押下することにより、異常な読み取りを中止することができ、操作性を向上することができる。さらに、プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を画像読取部4が読み取り中に原稿カバー開閉センサ27が原稿カバーの開状態を検知したとき、画像読取部4が読み取りを停止する。そのため、続行キー10bにて第1モードの選択指示を受付けた場合、既に正常に読み取った部分の原稿の画像を再度読み取る必要がないので、原稿の画像の読み取りにかかる時間を短縮することが可能となる。また、スタートボタン10aを押下する必要なく、画像の読み取りを続行するので、操作性の向上を図ることができる。
【0034】
また、本実施の形態で示したMFP100の構成は、本発明に係る画像読取装置の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、MFP100として、FBSの他にADF103にても原稿の画像を読み取ることができる場合の例を示したが、FBSのみにて原稿の画像を読み取るものであってもよい。また、原稿の画像をカラーで読み取るものであってもよい。
【0035】
また、モードの選択指示が続行キー10b及び中止キー10cを押下することによるキー操作により行われる場合の例を示したが、タッチパネル式のLCDの画面を操作者が指等により触れることにより行うものであっても、操作者の発する音声を認識して行うものであってもよい。
【0036】
さらに、本実施の形態では、画像読取装置をMFP100として実施した態様を説明したが、画像読取装置はMFP100に限定されず、スキャナ機、複写機、ファクシミリ機、及びこれらの複合機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係るMFP100の構成例を示すブロック図である。
【図2】MFP100の外観を示す斜視図である。
【図3】MFP100の上部を示す概略断面図である。
【図4】プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を読み取る場合に、MFP100において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【図5】プラテンガラス101aに載置された原稿の画像を読み取る場合に、MFP100において行われる処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 MPU
4 画像読取部(読取手段)
10 操作部
10a スタートキー
10b 続行キー(モード選択受付手段)
10c 中止キー(モード選択受付手段)
21 光源
24 CCDラインセンサ
25 走査キャリッジ
26 モータ
27 原稿カバー開閉センサ(検知手段)
100 MFP(画像読取装置)
101a プラテンガラス(プラテン)
102 原稿カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置するプラテンと、
前記プラテンに載置された原稿の画像を読み取る読取手段と、
前記プラテンを開閉自在に覆う原稿カバーと、
前記原稿カバーの開閉状態を検知する検知手段と、
前記読取手段が読み取りを続行する第1モードと、前記読取手段が読み取りを中止する第2モードとの選択指示を受付けるモード選択受付手段と、を備え、
前記プラテンに載置された原稿の画像を前記読取手段が読み取り中に前記検知手段が前記原稿カバーの開状態を検知したとき、前記読取手段が読み取りを停止するとともに、前記モード選択受付手段がモードの選択を受付けることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記モード選択受付手段は、キー操作によりモードの選択を受付けることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−52042(P2008−52042A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228052(P2006−228052)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】