説明

畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法

【課題】
家畜が排泄する糞尿を、微生物によって分解発酵させた発酵床で家畜を飼育し、糞尿から発生する臭気問題等を解決し、低コストで、肉質良好な家畜を生産し、もって、健全な畜産業を発展させる、浄化槽の不要な畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法を提供すること。
【解決手段】
敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に敷料を敷設するための発酵床を形成すると共に、該発酵床の両側には、家畜1頭分が入れる空間を有する仕切室を複数配設したことを特徴とする畜舎を提供することにより、上記課題を達成することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚、牛等畜舎内で飼育される、家畜の畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法に関する。
詳しくは、畜舎内の家畜が敷料に排泄する糞尿を、微生物によって分解発酵させた発酵床で家畜を飼育し、排泄物等から発生する臭気問題等を解決すると共に、低コストで、健康な家畜育成と肉質良好な家畜の生産が可能な、畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の畜舎における、家畜の飼育場所は勾配をつけた床面上に設けられ、排泄された糞尿はその水勾配による自然流出を利用し、大量の洗浄放水と共に畜舎外の汚水槽へ排出され、排出された糞尿混在の汚泥状の廃水は、汚水槽での浄化処理後、公共の下水道施設や、河川、海洋等に流して処理されている。
【0003】
しかしながら、上記の床面は水勾配形成のために傾斜した不安定面となると共に糞尿や清掃時の洗浄水で常に過湿状態となり、家畜の健康を損ない衛生を害する飼育環境として問題であり、また畜舎内の糞尿や汚水槽に貯留した廃水は、嫌気発酵等により周辺に悪臭を放散するという問題もある。さらに廃水を公共施設等に流すときは、排水環境基準を満たす浄化処理を行う必要があるため、大型の浄化プラント、大量の薬剤又は大量の水を必要とするので多大な処理コストがかかり、畜産業の健全な発展を阻害している。
【0004】
また、豚、牛等の畜産業にあって、家畜が排泄する糞尿処理は、最重要な課題であり、従来からその排泄物等を発酵処理して堆肥や肥料の製造技術及び臭気問題の解決方法等について、多数の提案がなされている。
【0005】
堆肥や肥料の製造技術に関しては、例えば、特開2004−244305「堆肥製造または糞尿の処理方法、装置及び堆肥」は、豚糞尿や人糞尿等をウォラストナイトと硫酸との反応によって固形化または粒状化することを特徴とし、また特開2003−226590「畜糞堆肥製造方法」は、畜糞原料を水分調整した後発酵させる第1次発酵工程と該第1次発酵工程で発酵させて得た畜糞原料の一部に、破砕及び乾燥処理した野菜くずを混合して発酵させる野菜くず発酵工程と、上記第1次発酵工程を経た残りの畜糞原料をさらに発酵させる第2次発酵工程と、該第2次発酵工程を経た畜糞原料に、上記野菜くず発酵工程を経た野菜くず原料を混合して発酵させる第3次発酵工程とを有することを特徴としている。
【0006】
さらに、臭気問題の解決方法としては、例えば特開2001−259008があり、これは家畜糞尿の堆肥化時などに発生するアンモニア臭気を脱臭塔に供給し、脱臭塔内で活性汚泥液と接触させ、もって、該汚泥の作用によってアンモニア態窒素分を亜硝酸及び硝酸態窒素に変換すると共に脱臭処理後の活性汚泥液を回分式活性汚泥廃水処理施設に返送して脱窒処理を行うことを特徴としている。
【特許文献1】特開2004−244305号公報
【特許文献2】特開2003−226590号公報
【特許文献3】特開2001−259008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術にはいくつかの課題があり、特許文献1は、糞尿の移送、混合、搬出等に多大の労力と特別の機械設備、電力設備、化学薬品等を要すると共に、メンテナンスが必要であり、ランニングコストが高額となる。
【0008】
また特許文献2は、糞尿の移送、搬出等の他、糞尿の水分調整、野菜くずの破砕及び乾燥処理さらに1次〜3次までの発酵工程を経るので、製品化まで長期間を要する他、特許文献1と同様に機械設備、電力設備等に高額の投資をしなければならないうえに、かつ常時のメンテナンスも必要となるためにコスト高となり、畜産経営上、採算が合わなくなることが考えられる。
【0009】
臭気問題の解決策としての特許文献3は、脱臭塔、汚泥廃水処理施設及び搬送装置等には広大な敷地と共に、上記の従来例と同様に機械設備、電力設備、化学薬品等を要するのでコストアップとなり、臭気問題解決法の最善策とはならない。
【0010】
本発明は、上記の従来技術における諸課題を解決するもので、畜舎内の家畜が敷料に排泄する糞尿を、微生物によって分解発酵させた発酵床で家畜を飼育することにより、排泄物等から発生する臭気問題等を解決すると共に、低コストで、健康な家畜育成と肉質が良好な家畜生産を可能とし、もって、健全な畜産業を発展させる、畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
課題を解決するための手段は、特許請求の範囲の各請求項であり、具体的には以下に示す発明であり、詳説する。
ここに、本願(特に、特許請求の範囲、明細書等)において使用する用語の解釈上の疑義を解消すべく、以下説明する。
<用語の説明>
○畜舎とは、家畜舎ともいい、家畜を飼う建物をいう。家畜が豚の場合は豚舎、家畜が牛の場合は牛舎などという。
○敷地とは、畜舎を建てるための土地をいう。
○凹状溝とは、畜舎の敷地内の中央部に造成した発酵床を形成するための凹状の溝をいう。一般には、直線状であって、コンクリートを打設して形成する。
○敷料とは、畜舎内で家畜を飼うときに、家畜の足元に敷く籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠(及び家畜の排泄物)等をいう。
○発酵とは、酵母や細菌などの微生物がエネルギーを得るために有機化合物を分解して、アルコール類・有機酸類・二酸化炭素などを生成していく過程をいう。狭義には、微生物が酸素の存在しない状態で、糖類を分解してエネルギーを得る過程をいう。酒・味噌・醤油・チーズなどの製造などに古来利用されてきた。
○発酵床とは、糞尿をその場で畜舎内に敷設した敷料と混合し発酵させることにより、家畜飼育と糞尿処理を同時に畜舎内で済ませる飼養方式に用いられる敷料と発酵微生物からなる家畜飼育用の床をいう。
○成家畜とは、成育した家畜をいう。特に本願発明では、分娩する成家畜を対象としている。分娩する成家畜が、無事分娩を済ますための技術は、家畜業にとって必須であり非常に重要である。成家畜に対する反対の概念は、子家畜である。
仕切室とは、本願発明においては、家畜が、他の家畜と仕切られて独立・隔離するための室をいう。
○通路とは、餌箱に家畜飼料を与えるため、その他の作業のために人が通るための通路をいう。
○前記仕切室の通路側とは、凹状溝と面した側の反対側を意味する。前記仕切室の通路側には餌場が置かれ、その反対側に家畜が糞尿をするように設計されており、糞尿は凹状溝に自然落下するようにするのが望ましい。
○餌箱とは、家畜の餌を入れる容器をいう。上位概念では、餌場ともいう。餌場とは、家畜の餌を入れる場所をいう。
○プール状発酵床とは、敷料を略平坦状に敷設した各種形状のプール状の発酵床をいう。
特に、プール状発酵床は、子家畜を放し飼いするのに用いられ、子家畜は何らのストレスもなく、毎日排泄される糞尿も生菌剤で処理され、かつ発酵熱で飼育環境は良好となり、病害に冒されることなく、その成育も順調となる。
○囲い枠とは、該プール状発酵床を囲繞するように立設された枠を
○生菌剤とは、文字通り生きている細菌のことをいう。通常、ある種の効果がある生菌について生菌剤と呼んでいる。家畜では、生菌剤の効果として、新生仔の下痢の予防、発育促進あるいは腸内菌叢のバランスの改善が報告されており、わが国を始め諸外国の畜産現場で家畜に給与されている。添加されている生菌剤の種類は多数あり、単味あるいは混合製剤として市販されている。
○納豆菌とは、納豆製造に用いる、好熱性・好気性の桿(かん) 状細菌をいう。枯草菌の一種である。
○浄化槽とは、家畜の糞尿等を生物処理によって浄化する装置をいう。
○家畜排せつ物法(家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律)とは、家畜排せつ物の適正な管理と、資源として有効利用を図る目的で、平成11年に制定された法律である。家畜排せつ物法では、畜産業者は、国が定めた「管理基準」に従って、家畜排せつ物を適切に管理しなければならない。
「管理基準」のうち、すでに、処理施設の点検や維持管理等の方法については平成11年11月から、発生量や処理方法等の記録については平成14年11月から施行されている。
さらに、平成16年11月からは、処理施設の構造設備に関する基準が適用される。
この基準では、家畜糞等の固形物の処理施設は、床を不浸透性材料で築造し、適当な覆い及び側壁を設けること、また、液状の家畜排せつ物の処理施設も、不浸透性材料で築造した貯留槽とすること、とされている。
従って、この法律が平成16年11月から施行されることになると、家畜業者は、糞処理のために堆肥処理施設を、尿処理のために浄化槽を設置しなければならなくなった。
発明者が知る現状の「畜舎内の排泄物処理方法」としては、例えば、敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に落下した該糞尿をスクレーパーで該凹状溝の一方に集めて、該糞尿を分離して、固形分は堆肥槽に送って堆肥とし、液体分は浄化槽に送って浄化処理をする畜舎内の排泄物処理方法が有った。
しかし、浄化槽を設置すれば、建設費が馬鹿にならず、小規模な家畜業者は家畜業を継続していくことができなくなるという問題点がクローズアップしている。
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請求項1の発明は、敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に敷料を敷設するための発酵床を形成すると共に、該発酵床の両側には、成家畜1頭分が入れる空間を有する仕切室を複数配設したことを特徴としている。
凹状溝は、一般には直線状であり、コンクリートを打設して形成する。
本発明の特徴的構成要件は、「該凹状溝に敷料を敷設するための発酵床を形成する」ことである。該凹状溝を発酵床とすることにより、該凹状溝に落下した該糞尿を該凹状溝の一方に集めるためのスクレーパーが要らなくなり、該糞尿を分離して、固形分を堆肥とするための堆肥、液体分を浄化処理するための浄化槽が要らなくなり、大幅なコストダウンを達成できた。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の畜舎にあって、前記仕切室の通路側に餌箱を配設したことを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1〜2に記載の畜舎にあって、敷地内を平坦化した地面上に、敷料を敷設するコンクリート製平底のプール状発酵床を形成したことを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3に記載の畜舎にあって、前記プール状発酵床の形状が、平面視、長方形、正方形、円形、三角形、多角形又は楕円形のいずれかの形状とし、該プール状発酵床を囲繞するように囲い枠を立設したことを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1〜4に記載の畜舎にあって、前記囲い枠の外側又は内側に、複数の餌箱を配設したことを特徴としている。
【0016】
請求項6の発明は、畜舎内の排泄物処理方法であって、籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物からなる敷料を作成する、敷料作成工程と、前記発酵床内に敷料を投入、発酵させる発酵工程と、発酵した前記発酵床上で、直接的又は間接的に家畜を飼育する飼育工程と、前記敷地内で飼育する家畜に、前記生菌剤入りの配合飼料を給餌する、飼料給餌工程と、前記発酵床及び畜舎内の温度、湿度及び換気等を管理する、発酵床管理工程と、前記発酵床で発酵熟成した敷料を堆肥として貯蔵する敷料貯蔵工程と、を有することを特徴としている。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6に記載の畜舎内の排泄物処理方法において、前記敷料作成工程における大鋸屑、籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物の混合比が、籾殻約25〜35%、大鋸屑約45〜55%、生菌剤入り米糠約3〜8%、家畜の排泄物約10〜20%であることを特徴としている。
上記数値範囲は、例えば、豚の場合では、子豚、成豚及び豚房の形状、表面積、容量によって配合割合は、調整、変更される。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6〜7に記載の畜舎内の排泄物処理方法において、前記配合飼料に添加する生菌剤は、少なくとも飼料全体の0.1〜0.3%であることを特徴としている。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6〜8に記載の畜舎内の排泄物処理方法において、前記生菌剤の原料が、納豆菌であることを特徴としている。
請求項10の発明は、前記家畜が、分娩前の家畜、あるいは搾乳・授乳中の家畜であることを特徴とする請求項1〜4に記載の畜舎、又は請求項6〜9に記載の畜舎内の排泄物処理方法である。
請求項11の発明は、浄化槽を構成要素としないこと特徴とする請求項6〜9に記載の畜舎内の排泄物処理方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る、畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法は、以下の効果を奏する。即ち請求項1及び請求項2の発明によれば、発酵床の両側に配設した複数の仕切室に入る成家畜が排泄する糞尿は、発酵床の敷料に落下し、糞は敷料内で発酵している生菌剤で処理され、尿は発酵熱で蒸散するので悪臭を放つことがなく、また餌箱は仕切室の通路側に配設されているので、仕切室内は清潔であり、分娩前の成家畜の食欲は旺盛で、健康な子家畜を出産できる。
【0021】
請求項3ないし請求項5の発明によれば、敷料を略平坦状に敷設した各種形状のプール状発酵床で、子家畜を放し飼いするので、子家畜は何らのストレスもなく、毎日排泄される糞尿も生菌剤で処理され、かつ発酵熱で飼育環境は良好となり、病害に冒されることなく、その成育も順調となる。
【0022】
請求項6の発明によれば、ショベルカー、ローダー車等の重機を使用するのは、主に発酵床造成時と、リサイクル時約3年毎に行う発酵床内の敷料交換時くらいで、第1工程の敷料作成工程から第4工程の飼料給餌工程までには、常時稼働する機械設備はないのでランニングコストは極めて少額であり、また発酵床で使用する敷料の籾殻、大鋸屑、米糠及び家畜の排泄物等は、産業廃棄物の有効な再利用であり、生菌剤を除けば、その費用は安価である。さらに敷料の上に落下させた家畜の糞尿を介して発酵させ、敷料温度を必要に応じ約60℃〜70℃に保温できるので、ガス又は電気ヒーター等は不要であるのみならず、敷料内の病原菌、外部寄生虫等を死滅させるので、親家畜から子家畜全ての家畜が病害から免れ、健康な家畜として順調に飼育される。
【0023】
請求項7の発明によれば、発酵床に投入される大鋸屑、籾殻、生菌剤及び家畜の排泄物の混合比を、籾殻約25〜35%、大鋸屑約45〜55%、生菌剤入り米糠約3〜8%、家畜の排泄物約10〜20%とするので、敷料は容易に発酵し、生菌剤の納豆菌が家畜の糞を栄養源として消化し、尿は発酵熱により蒸散するので、悪臭の発生がない。
【0024】
請求項8及び請求項9の発明によれば、配合飼料に添加する生菌剤は、飼料全体の0.1〜0.3%であり、またその生菌剤は枯れ草菌の一種である納豆菌を選択し、これを飼料に混和して給餌するので、家畜のストレスによる腸内細菌の悪玉菌の発生を抑止し、下痢、軟便を防ぎ、また納豆菌内の酵素と生菌の相乗効果により排泄される糞尿の臭気は分解され、ほぼ無臭状態となり、結果的に家畜の健康と環境浄化、公害防止につながる。さらに生菌の生産代謝物である、抗菌性物質の有効性及び生菌の旺盛な繁殖力により、有害微生物の増殖防止効果も発揮される。
請求項10の発明によれば、以下の効果を奏することができる。
発明者は、「畜舎内の排泄物処理方法」として、例えば、敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に落下した該糞尿をスクレーパーで該凹状溝の一方に集めて、該糞尿を分離して、固形分は堆肥槽に送って堆肥とし、液体分は浄化槽に送って浄化処理をする畜舎内の排泄物処理方法を考え付いたが、しかし、下記の点で心配があった。すなわち、分娩前の家畜、あるいは搾乳・授乳中の家畜は、非常に清潔にすることには家畜業者は神経質になるが、一般には畜舎内で糞尿を処理するという発想をすることは難しい事情が有った。かかる場合にあって、発明者は敢えて、糞尿を畜舎に排出して堆肥槽や浄化槽で糞尿を処理する代わりに、畜舎内の中央部に凹状溝を造成し、凹状溝に発酵床を形成することによって、殆ど糞尿を排出しないクローズドシステムの畜舎内の排泄物処理方法を完成させた。これは、常識を打ち破る着想が必要だったので、本発明の構成とすることにより、当業者予測不可能な顕著な効果を奏した。
請求項11の発明によれば、発酵床を用いたクローズドシステムとすることにより、浄化槽を必要としないことを大きな特徴としている。
中小規模の畜産農家の場合、浄化槽設置費用が2千万〜3千万円程必要となるので、これが大きな負担となり、畜産業の発展のネックとなり得るのであるが、本願により、浄化槽を不要としたためにイニシャルコスト低減という顕著な効果を達成することが出来た。
堆肥も従来技術の1/10程度とほぼクローズドシステムを実現することにより、堆肥処理の問題をもなくして環境問題に大きく貢献した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付の図面に基づいて、その好適な実施形態を養豚業について説明する。図1は、本発明に係る畜舎である分娩舎の一部切欠平面図、図2は図1の2−2線一部切欠断面図、図3は他の畜舎である子豚舎の一部切欠平面図、図4は図3の4−4線一部切欠断面図、図5は畜舎内の排泄物処理方法のフロー図、図6(a)、(b)及び(c)は、敷料の作成説明図である。
【0026】
本発明に係る分娩舎1は、図1及び図2に示すように、屋根2、柱等は簡易なものでもよく、舎内には複数の換気扇3等の換気装置が複数配設され、また上下開閉カーテン4が設けられている。5はショベルカー等により掘削された深さ約1m、巾約3mの凹状の直線溝で、敷地内の中央部を分断するように形成され、該溝5及びローダー車等で平坦化した地面GLに厚さ約10cm〜12cmのコンクリートを打って発酵床Hを造成し、該
発酵床Hの両側には、分娩豚P1頭が収容される仕切室Rが複数配設され、通路6側には餌箱7が設置されている。Sは発酵床Hの高さよりやや上方にかつ、地面GLと略水平に敷設される敷料で、分娩豚Pの排泄物が発酵床Hの敷料Sに落下するように、臀部を発酵床Hに、頭部を餌箱7に向けて収容される。なお8、9は分娩舎1正面に設けられた開閉戸で、分娩豚P、敷料S等の出入時に開閉される。
【0027】
図3及び図4に示すのは子豚舎10で、舎屋は分娩舎1と同様に屋根20、柱30等は簡易なものでもよく、舎内には複数の換気扇30等の換気装置が複数配設され、また換気用の上下開閉カーテン40が設けられている。ローダー車等で平坦化した地面GL上に深さ約40cm、巾約9m、長さ40mの長方形プール状コンクリート製発酵床H10が底面を水平状に形成され、該発酵床H10の周縁に沿って囲い枠Fが立設されている。60は通路で囲い枠Fに沿って餌箱70が複数配設されている。なお80、90は子豚舎10正面に設けられた開閉戸で、子豚P10、敷料S等の出入時に開閉される。
【0028】
図5は、本発明における処理方法の流れを示し、第1段階は、敷料作成工程で、図6(a)に示すように、敷料Sの原料は、籾殻14、豚糞尿15、生菌剤としてのラクトー納豆菌(商品名:ラクトー酵素社製)を混和させた米糠(以下、ラクトー菌16という)、大鋸屑17で、例えば60平方メートル、高さ40cmの敷料Sを作成するには、籾殻14約12〜15立方メートル、大鋸屑17約7〜9立方メートル、ラクトー菌16約104Kg(米糠100Kgにラクトー納豆菌(商品名)4Kgを混和)、糞尿15混じりの籾殻14、大鋸屑17の合計約7〜9立方メートルを図6(a)に示すように順次、段階的に広げ、その間敷料全体の含水率が45〜55%前後になるように散水した後、図6(b)に示すように、側面視、小高い山のように約1m20cm〜1m30cmの高さになるように、発酵床Hの中心部に集めて積み上げる。図6(c)は、その平面図である。
【0029】
第2段階は、発酵工程で、発酵床Hの中心部に集めて積み上げられた敷料Sは、直後から発酵を始め、約1週間後にその温度が50℃〜70℃になっていることを確認してから発酵床H全体に少し盛り上がるように敷料Sを広げ、その上面に大鋸屑17を撒布する。
【0030】
第3段階は、飼育工程で、体重が30Kg以上となった子豚は、図3及び図4に示すプール3状発酵床H10のある子豚舎10に放豚して飼育し、分娩が近い成豚は、図1及び図2に示す溝2を形成した発酵床Hの両側に1頭毎の仕切室Rがある分娩舎1に入豚させ、豚の習性を利用して、臀部を発酵床Hに向け、頭部を餌箱7に向けるようにする。
【0031】
子豚舎の子豚が排泄する糞尿は、発酵床H10の敷料S10に直接落下し、糞はラクトー菌16によって消費され、尿は発酵熱によって蒸散し、豚舎内は清潔さが保持される。また分娩舎1の成豚が排泄する糞尿は、発酵床Hの敷料Sに間接的に落下し、糞はラクトー菌16によって消費され、尿は発酵熱によって蒸散し、分娩舎内は清潔さが保持される。
【0032】
第4段階は、飼料給餌工程で、配合飼料には枯れ草菌の一種であるラクトー菌16を添加して給餌するので、豚の腸内に善玉菌が増えるので、下痢を起こしたり、軟便にならないで、健康状態が継続され成育が早くなる。納豆菌の一部は、胞子のまま糞と一緒に排出されて敷料と混合されることで発芽し悪臭のない好気発酵を促す。
【0033】
第5段階は、発酵床管理工程で、豚特に子豚P10は、温度に敏感であるために、発酵床H10の敷料S10の温度を温度計等で絶えず観察し、糞尿は4日〜5日に一度は発酵床Hの中央部にまわし、水分が偏らないように小さく20cm程度の深さで切り返し作業を行い、1ケ月程度に1回全面を30cm程度の深さで天地返えする。また夏期に外気温が高すぎるときは上下開閉カーテン40を解放し換気扇30等により通気性を良くし、豚舎内の温度、湿度等を調整する。
【0034】
第6段階は、再発酵・再利用工程で、豚を出荷した後の敷料は、再度発酵させて再利用する。第1段階の敷料作成工程から、第6段階の工程の再発酵・再利用工程までを繰り返す(図5を参照のこと)。
第1段階の敷料作成工程から、第6段階の工程の再発酵・再利用工程までの一回当りの工程は、約3ヶ月程度掛かり、1年当たり当該工程を3回程度繰り返す。そして、3年間経過後に、第7段階の敷料貯蔵工程に移り、敷料を貯蔵して有機肥料に変える。
第7段階は、敷料貯蔵工程で、発酵床H内で発酵熟成した敷料Sは良好な有機堆肥となるので、発酵床Hから搬出して貯蔵所等に保管し、野菜農家等に販売することができる。
敷料貯蔵工程に移ってからは、2、3ヶ月敷料を貯蔵した後、堆肥として出荷する。
現在、堆肥は、バイオマスの有効利用が頻りに唱えられて、大抵は市場では余剰生産気味である。
従って、出来るだけ、堆肥は家畜の排泄物処理工程においても、系外に出さないようにクローズドシステムとして排泄物処理するのが望ましい。
これに沿って、本願の家畜の排泄物処理工程では、従来の排泄物処理工程よりも堆肥の量が1/10以下に減少している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る、畜舎の分娩舎の一部切欠平面図である。
【図2】同、図1の2−2線一部切欠断面図である。
【図3】同、子豚舎の一部切欠平面図である。
【図4】同、図3の4−4線一部切欠断面図である。
【図5】同、畜舎内の排泄物処理方法のフロー図である。
【図6】(a)、(b)及び(c)は、敷料の作成説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 分娩舎
2 屋根
H 発酵床
S 敷料
5 溝
6 通路
7 餌箱
P 分娩豚
14 籾殻
15 糞尿
16 ラクトー菌
17 大鋸屑
GL 地面


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豚、牛等畜舎内で飼育される、家畜の畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法に関する。
詳しくは、畜舎内の家畜が敷料に排泄する糞尿を、微生物によって分解発酵させた発酵床で家畜を飼育し、排泄物等から発生する臭気問題等を解決すると共に、低コストで、健康な家畜育成と肉質良好な家畜の生産が可能な、畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の畜舎における、家畜の飼育場所は勾配をつけた床面上に設けられ、排泄された糞尿はその水勾配による自然流出を利用し、大量の洗浄放水と共に畜舎外の汚水槽へ排出され、排出された糞尿混在の汚泥状の廃水は、汚水槽での浄化処理後、公共の下水道施設や、河川、海洋等に流して処理されている。
【0003】
しかしながら、上記の床面は水勾配形成のために傾斜した不安定面となると共に糞尿や清掃時の洗浄水で常に過湿状態となり、家畜の健康を損ない衛生を害する飼育環境として問題であり、また畜舎内の糞尿や汚水槽に貯留した廃水は、嫌気発酵等により周辺に悪臭を放散するという問題もある。さらに廃水を公共施設等に流すときは、排水環境基準を満たす浄化処理を行う必要があるため、大型の浄化プラント、大量の薬剤又は大量の水を必要とするので多大な処理コストがかかり、畜産業の健全な発展を阻害している。
【0004】
また、豚、牛等の畜産業にあって、家畜が排泄する糞尿処理は、最重要な課題であり、従来からその排泄物等を発酵処理して堆肥や肥料の製造技術及び臭気問題の解決方法等について、多数の提案がなされている。
【0005】
堆肥や肥料の製造技術に関しては、例えば、特開2004−244305「堆肥製造または糞尿の処理方法、装置及び堆肥」は、豚糞尿や人糞尿等をウォラストナイトと硫酸との反応によって固形化または粒状化することを特徴とし、また特開2003−226590「畜糞堆肥製造方法」は、畜糞原料を水分調整した後発酵させる第1次発酵工程と該第1次発酵工程で発酵させて得た畜糞原料の一部に、破砕及び乾燥処理した野菜くずを混合して発酵させる野菜くず発酵工程と、上記第1次発酵工程を経た残りの畜糞原料をさらに発酵させる第2次発酵工程と、該第2次発酵工程を経た畜糞原料に、上記野菜くず発酵工程を経た野菜くず原料を混合して発酵させる第3次発酵工程とを有することを特徴としている。
【0006】
さらに、臭気問題の解決方法としては、例えば特開2001−259008があり、これは家畜糞尿の堆肥化時などに発生するアンモニア臭気を脱臭塔に供給し、脱臭塔内で活性汚泥液と接触させ、もって、該汚泥の作用によってアンモニア態窒素分を亜硝酸及び硝酸態窒素に変換すると共に脱臭処理後の活性汚泥液を回分式活性汚泥廃水処理施設に返送して脱窒処理を行うことを特徴としている。
【特許文献1】特開2004−244305号公報
【特許文献2】特開2003−226590号公報
【特許文献3】特開2001−259008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術にはいくつかの課題があり、特許文献1は、糞尿の移送、混合、搬出等に多大の労力と特別の機械設備、電力設備、化学薬品等を要すると共に、メンテナンスが必要であり、ランニングコストが高額となる。
【0008】
また特許文献2は、糞尿の移送、搬出等の他、糞尿の水分調整、野菜くずの破砕及び乾燥処理さらに1次〜3次までの発酵工程を経るので、製品化まで長期間を要する他、特許文献1と同様に機械設備、電力設備等に高額の投資をしなければならないうえに、かつ常時のメンテナンスも必要となるためにコスト高となり、畜産経営上、採算が合わなくなることが考えられる。
【0009】
臭気問題の解決策としての特許文献3は、脱臭塔、汚泥廃水処理施設及び搬送装置等には広大な敷地と共に、上記の従来例と同様に機械設備、電力設備、化学薬品等を要するのでコストアップとなり、臭気問題解決法の最善策とはならない。
【0010】
本発明は、上記の従来技術における諸課題を解決するもので、畜舎内の家畜が敷料に排泄する糞尿を、微生物によって分解発酵させた発酵床で家畜を飼育することにより、排泄物等から発生する臭気問題等を解決すると共に、低コストで、健康な家畜育成と肉質が良好な家畜生産を可能とし、もって、健全な畜産業を発展させる、畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
課題を解決するための手段は、特許請求の範囲の各請求項であり、具体的には以下に示す発明であり、詳説する。
ここに、本願(特に、特許請求の範囲、明細書等)において使用する用語の解釈上の疑義を解消すべく、以下説明する。
<用語の説明>
○畜舎とは、家畜舎ともいい、家畜を飼う建物をいう。家畜が豚の場合は豚舎、家畜が牛の場合は牛舎などという。
○敷地とは、畜舎を建てるための土地をいう。
○凹状溝とは、畜舎の敷地内の中央部に造成した発酵床を形成するための凹状の溝をいう。一般には、直線状であって、コンクリートを打設して形成する。
○敷料とは、畜舎内で家畜を飼うときに、家畜の足元に敷く籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠(及び家畜の排泄物)等をいう。
○発酵とは、酵母や細菌などの微生物がエネルギーを得るために有機化合物を分解して、アルコール類・有機酸類・二酸化炭素などを生成していく過程をいう。狭義には、微生物が酸素の存在しない状態で、糖類を分解してエネルギーを得る過程をいう。酒・味噌・醤油・チーズなどの製造などに古来利用されてきた。
○発酵床とは、糞尿をその場で畜舎内に敷設した敷料と混合し発酵させることにより、家畜飼育と糞尿処理を同時に畜舎内で済ませる飼養方式に用いられる敷料と発酵微生物からなる家畜飼育用の床をいう。
○成家畜とは、成育した家畜をいう。特に本願発明では、分娩する成家畜を対象としている。分娩する成家畜が、無事分娩を済ますための技術は、家畜業にとって必須であり非常に重要である。成家畜に対する反対の概念は、子家畜である。
仕切室とは、本願発明においては、家畜が、他の家畜と仕切られて独立・隔離するための室をいう。
○通路とは、餌箱に家畜飼料を与えるため、その他の作業のために人が通るための通路をいう。
○前記仕切室の通路側とは、凹状溝と面した側の反対側を意味する。前記仕切室の通路側には餌場が置かれ、その反対側に家畜が糞尿をするように設計されており、糞尿は凹状溝に自然落下するようにするのが望ましい。
○餌箱とは、家畜の餌を入れる容器をいう。上位概念では、餌場ともいう。餌場とは、家畜の餌を入れる場所をいう。
○プール状発酵床とは、敷料を略平坦状に敷設した各種形状のプール状の発酵床をいう。
特に、プール状発酵床は、子家畜を放し飼いするのに用いられ、子家畜は何らのストレスもなく、毎日排泄される糞尿も生菌剤で処理され、かつ発酵熱で飼育環境は良好となり、病害に冒されることなく、その成育も順調となる。
○囲い枠とは、該プール状発酵床を囲繞するように立設された枠をいう。
○生菌剤とは、文字通り生きている細菌のことをいう。通常、ある種の効果がある生菌について生菌剤と呼んでいる。家畜では、生菌剤の効果として、新生仔の下痢の予防、発育促進あるいは腸内菌叢のバランスの改善が報告されており、わが国を始め諸外国の畜産現場で家畜に給与されている。添加されている生菌剤の種類は多数あり、単味あるいは混合製剤として市販されている。
○納豆菌とは、納豆製造に用いる、好熱性・好気性の桿(かん)状細菌をいう。枯草菌の一種である。
○浄化槽とは、家畜の糞尿等を生物処理によって浄化する装置をいう。
○家畜排せつ物法(家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律)とは、家畜排せつ物の適正な管理と、資源として有効利用を図る目的で、平成11年に制定された法律である。家畜排せつ物法では、畜産業者は、国が定めた「管理基準」に従って、家畜排せつ物を適切に管理しなければならない。
「管理基準」のうち、すでに、処理施設の点検や維持管理等の方法については平成11年11月から、発生量や処理方法等の記録については平成14年11月から施行されている。
さらに、平成16年11月からは、処理施設の構造設備に関する基準が適用される。
この基準では、家畜糞等の固形物の処理施設は、床を不浸透性材料で築造し、適当な覆い及び側壁を設けること、また、液状の家畜排せつ物の処理施設も、不浸透性材料で築造した貯留槽とすること、とされている。
従って、この法律が平成16年11月から施行されることになると、家畜業者は、糞処理のために堆肥処理施設を、尿処理のために浄化槽を設置しなければならなくなった。
発明者が知る現状の「畜舎内の排泄物処理方法」としては、例えば、敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に落下した該糞尿をスクレーパーで該凹状溝の一方に集めて、該糞尿を分離して、固形分は堆肥槽に送って堆肥とし、液体分は浄化槽に送って浄化処理をする畜舎内の排泄物処理方法が有った。
しかし、浄化槽を設置すれば、建設費が馬鹿にならず、小規模な家畜業者は家畜業を継続していくことができなくなるという問題点がクローズアップしている。
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第1の発明は、敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物からなる敷料を敷設するための発酵床を形成すると共に、該発酵床の両側には、成家畜1頭分が入れる空間を有する仕切室を複数配設したことを特徴としている。
凹状溝は、一般には直線状であり、コンクリートを打設して形成する。
本発明の特徴的構成要件は、「該凹状溝に籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物からなる敷料を敷設するための発酵床を形成する」ことである。
該凹状溝を発酵床とすることにより、該凹状溝に落下した該糞尿を該凹状溝の一方に集めるためのスクレーパーが要らなくなり、該糞尿を分離して、固形分を堆肥とするための堆肥、液体分を浄化処理するための浄化槽が要らなくなり、大幅なコストダウンを達成できた。
【0012】
第2の発明は、第1の発明に記載の畜舎にあって、該凹状溝と面した側の反対側の通路側に餌箱を配設したことを特徴としている。
【0013】
第3の発明は、第1〜2の発明に記載の畜舎にあって、敷地内を平坦化した地面上に、敷料を敷設するコンクリート製平底のプール状発酵床を形成したことを特徴としている。
【0014】
第4の発明は、第1〜3の発明に記載の畜舎にあって、前記プール状発酵床の形状が、平面視、長方形、正方形、円形、三角形、多角形又は楕円形のいずれかの形状とし、該プール状発酵床を囲繞するように囲い枠を立設したことを特徴としている。
【0015】
第5の発明は、第1〜4の発明に記載の畜舎にあって、前記囲い枠の外側又は内側に、複数の餌箱を配設したことを特徴としている。
【0016】
第6の発明は、第1〜4の発明に記載の畜舎内の排泄物処理方法であって、籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物からなる敷料を作成する、敷料作成工程と、前記発酵床内に敷料を投入、発酵させる発酵工程と、発酵した前記発酵床上で、直接的又は間接的に家畜を飼育する飼育工程と、前記敷地内で飼育する家畜に、前記生菌剤入りの配合飼料を給餌する、飼料給餌工程と、前記発酵床及び畜舎内の温度、湿度及び換気等を管理する、発酵床管理工程と、前記発酵床で発酵熟成した敷料を堆肥として貯蔵する敷料貯蔵工程と、を有することを特徴としている。
【0017】
第7の発明は、第6の発明に記載の畜舎内の排泄物処理方法において、前記敷料作成工程における大鋸屑、籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物の混合比が、籾殻約25〜35%、大鋸屑約45〜55%、生菌剤入り米糠約3〜8%、家畜の排泄物約10〜20%であることを特徴としている。
上記数値範囲は、例えば、豚の場合では、子豚、成豚及び豚房の形状、表面積、容量によって配合割合は、調整、変更される。
【0018】
第8の発明は、第6〜7の発明に記載の畜舎内の排泄物処理方法において、前記配合飼料に添加する生菌剤は、少なくとも飼料全体の0.1〜0.3%であることを特徴としている。
【0019】
第9の発明は、第6〜8の発明に記載の畜舎内の排泄物処理方法において、前記生菌剤の原料が、納豆菌であることを特徴としている。
第10の発明は、前記家畜が、分娩前の家畜、あるいは搾乳・授乳中の家畜であることを特徴とする第1〜4の発明に記載の畜舎、又は第6〜9の発明に記載の畜舎内の排泄物処理方法である。
第11の発明は、浄化槽を構成要素としないこと特徴とする第6〜9の発明に記載の畜舎内の排泄物処理方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る、畜舎及び畜舎内の排泄物処理方法は、以下の効果を奏する。即ち第1及び第2の発明によれば、発酵床の両側に配設した複数の仕切室に入る成家畜が排泄する糞尿は、発酵床の敷料に落下し、糞は敷料内で発酵している生菌剤で処理され、尿は発酵熱で蒸散するので悪臭を放つことがなく、また餌箱は仕切室の通路側に配設されているので、仕切室内は清潔であり、分娩前の成家畜の食欲は旺盛で、健康な子家畜を出産できる。
【0021】
第3ないし第5の発明によれば、敷料を略平坦状に敷設した各種形状のプール状発酵床で、子家畜を放し飼いするので、子家畜は何らのストレスもなく、毎日排泄される糞尿も生菌剤で処理され、かつ発酵熱で飼育環境は良好となり、病害に冒されることなく、その成育も順調となる。
【0022】
第6の発明によれば、ショベルカー、ローダー車等の重機を使用するのは、主に発酵床造成時と、リサイクル時約3年毎に行う発酵床内の敷料交換時くらいで、第1工程の敷料作成工程から第4工程の飼料給餌工程までには、常時稼働する機械設備はないのでランニングコストは極めて少額であり、また発酵床で使用する敷料の籾殻、大鋸屑、米糠及び家畜の排泄物等は、産業廃棄物の有効な再利用であり、生菌剤を除けば、その費用は安価である。さらに敷料の上に落下させた家畜の糞尿を介して発酵させ、敷料温度を必要に応じ約60℃〜70℃に保温できるので、ガス又は電気ヒーター等は不要であるのみならず、敷料内の病原菌、外部寄生虫等を死滅させるので、親家畜から子家畜全ての家畜が病害から免れ、健康な家畜として順調に飼育される。
【0023】
第7の発明によれば、発酵床に投入される大鋸屑、籾殻、生菌剤及び家畜の排泄物の混合比を、籾殻約25〜35%、大鋸屑約45〜55%、生菌剤入り米糠約3〜8%、家畜の排泄物約10〜20%とするので、敷料は容易に発酵し、生菌剤の納豆菌が家畜の糞を栄養源として消化し、尿は発酵熱により蒸散するので、悪臭の発生がない。
【0024】
第8及び第9の発明によれば、配合飼料に添加する生菌剤は、飼料全体の0.1〜0.3%であり、またその生菌剤は枯れ草菌の一種である納豆菌を選択し、これを飼料に混和して給餌するので、家畜のストレスによる腸内細菌の悪玉菌の発生を抑止し、下痢、軟便を防ぎ、また納豆菌内の酵素と生菌の相乗効果により排泄される糞尿の臭気は分解され、ほぼ無臭状態となり、結果的に家畜の健康と環境浄化、公害防止につながる。さらに生菌の生産代謝物である、抗菌性物質の有効性及び生菌の旺盛な繁殖力により、有害微生物の増殖防止効果も発揮される。
第10の発明によれば、以下の効果を奏することができる。
発明者は、「畜舎内の排泄物処理方法」として、例えば、敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に落下した該糞尿をスクレーパーで該凹状溝の一方に集めて、該糞尿を分離して、固形分は堆肥槽に送って堆肥とし、液体分は浄化槽に送って浄化処理をする畜舎内の排泄物処理方法を考え付いたが、しかし、下記の点で心配があった。すなわち、分娩前の家畜、あるいは搾乳・授乳中の家畜は、非常に清潔にすることには家畜業者は神経質になるが、一般には畜舎内で糞尿を処理するという発想をすることは難しい事情が有った。かかる場合にあって、発明者は敢えて、糞尿を畜舎に排出して堆肥槽や浄化槽で糞尿を処理する代わりに、畜舎内の中央部に凹状溝を造成し、凹状溝に発酵床を形成することによって、殆ど糞尿を排出しないクローズドシステムの畜舎内の排泄物処理方法を完成させた。これは、常識を打ち破る着想が必要だったので、本発明の構成とすることにより、当業者予測不可能な顕著な効果を奏した。
第11の発明によれば、発酵床を用いたクローズドシステムとすることにより、浄化槽を必要としないことを大きな特徴としている。
中小規模の畜産農家の場合、浄化槽設置費用が2千万〜3千万円程必要となるので、これが大きな負担となり、畜産業の発展のネックとなり得るのであるが、本願により、浄化槽を不要としたためにイニシャルコスト低減という顕著な効果を達成することが出来た。
堆肥も従来技術の1/10程度とほぼクローズドシステムを実現することにより、堆肥処理の問題をもなくして環境問題に大きく貢献した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付の図面に基づいて、その好適な実施形態を養豚業について説明する。図1は、本発明に係る畜舎である分娩舎の一部切欠平面図、図2は図1の2−2線一部切欠断面図、図3は他の畜舎である子豚舎の一部切欠平面図、図4は図3の4−4線一部切欠断面図、図5は畜舎内の排泄物処理方法のフロー図、図6(a)、(b)及び(c)は、敷料の作成説明図である。
【0026】
本発明に係る分娩舎1は、図1及び図2に示すように、屋根2、柱等は簡易なものでもよく、舎内には複数の換気扇3等の換気装置が複数配設され、また上下開閉カーテン4が設けられている。5はショベルカー等により掘削された深さ約1m、巾約3mの凹状の直線溝で、敷地内の中央部を分断するように形成され、該溝5及びローダー車等で平坦化した地面GLに厚さ約10cm〜12cmのコンクリートを打って発酵床Hを造成し、該
発酵床Hの両側には、分娩豚P1頭が収容される仕切室Rが複数配設され、通路6側には餌箱7が設置されている。Sは発酵床Hの高さよりやや上方にかつ、地面GLと略水平に敷設される敷料で、分娩豚Pの排泄物が発酵床Hの敷料Sに落下するように、臀部を発酵床Hに、頭部を餌箱7に向けて収容される。なお8、9は分娩舎1正面に設けられた開閉戸で、分娩豚P、敷料S等の出入時に開閉される。
【0027】
図3及び図4に示すのは子豚舎10で、舎屋は分娩舎1と同様に屋根20、柱30等は簡易なものでもよく、舎内には複数の換気扇30等の換気装置が複数配設され、また換気用の上下開閉カーテン40が設けられている。ローダー車等で平坦化した地面GL上に深さ約40cm、巾約9m、長さ40mの長方形プール状コンクリート製発酵床H10が底面を水平状に形成され、該発酵床H10の周縁に沿って囲い枠Fが立設されている。60は通路で囲い枠Fに沿って餌箱70が複数配設されている。なお80、90は子豚舎10正面に設けられた開閉戸で、子豚P10、敷料S等の出入時に開閉される。
【0028】
図5は、本発明における処理方法の流れを示し、第1段階は、敷料作成工程で、図6(a)に示すように、敷料Sの原料は、籾殻14、豚糞尿15、生菌剤としてのラクトー納豆菌(商品名:ラクトー酵素社製)を混和させた米糠(以下、ラクトー菌16という)、大鋸屑17で、例えば60平方メートル、高さ40cmの敷料Sを作成するには、籾殻14約12〜15立方メートル、大鋸屑17約7〜9立方メートル、ラクトー菌16約104Kg(米糠100Kgにラクトー納豆菌(商品名)4Kgを混和)、糞尿15混じりの籾殻14、大鋸屑17の合計約7〜9立方メートルを図6(a)に示すように順次、段階的に広げ、その間敷料全体の含水率が45〜55%前後になるように散水した後、図6(b)に示すように、側面視、小高い山のように約1m20cm〜1m30cmの高さになるように、発酵床Hの中心部に集めて積み上げる。図6(c)は、その平面図である。
【0029】
第2段階は、発酵工程で、発酵床Hの中心部に集めて積み上げられた敷料Sは、直後から発酵を始め、約1週間後にその温度が50℃〜70℃になっていることを確認してから発酵床H全体に少し盛り上がるように敷料Sを広げ、その上面に大鋸屑17を撒布する。
【0030】
第3段階は、飼育工程で、体重が30Kg以上となった子豚は、図3及び図4に示すプール3状発酵床H10のある子豚舎10に放豚して飼育し、分娩が近い成豚は、図1及び図2に示す溝2を形成した発酵床Hの両側に1頭毎の仕切室Rがある分娩舎1に入豚させ、豚の習性を利用して、臀部を発酵床Hに向け、頭部を餌箱7に向けるようにする。
【0031】
子豚舎の子豚が排泄する糞尿は、発酵床H10の敷料S10に直接落下し、糞はラクトー菌16によって消費され、尿は発酵熱によって蒸散し、豚舎内は清潔さが保持される。また分娩舎1の成豚が排泄する糞尿は、発酵床Hの敷料Sに間接的に落下し、糞はラクトー菌16によって消費され、尿は発酵熱によって蒸散し、分娩舎内は清潔さが保持される。
【0032】
第4段階は、飼料給餌工程で、配合飼料には枯れ草菌の一種であるラクトー菌16を添加して給餌するので、豚の腸内に善玉菌が増えるので、下痢を起こしたり、軟便にならないで、健康状態が継続され成育が早くなる。納豆菌の一部は、胞子のまま糞と一緒に排出されて敷料と混合されることで発芽し悪臭のない好気発酵を促す。
【0033】
第5段階は、発酵床管理工程で、豚特に子豚P10は、温度に敏感であるために、発酵床H10の敷料S10の温度を温度計等で絶えず観察し、糞尿は4日〜5日に一度は発酵床Hの中央部にまわし、水分が偏らないように小さく20cm程度の深さで切り返し作業を行い、1ケ月程度に1回全面を30cm程度の深さで天地返えする。また夏期に外気温が高すぎるときは上下開閉カーテン40を解放し換気扇30等により通気性を良くし、豚舎内の温度、湿度等を調整する。
【0034】
第6段階は、再発酵・再利用工程で、豚を出荷した後の敷料は、再度発酵させて再利用する。第1段階の敷料作成工程から、第6段階の工程の再発酵・再利用工程までを繰り返す(図5を参照のこと)。
第1段階の敷料作成工程から、第6段階の工程の再発酵・再利用工程までの一回当りの工程は、約3ヶ月程度掛かり、1年当たり当該工程を3回程度繰り返す。そして、3年間経過後に、第7段階の敷料貯蔵工程に移り、敷料を貯蔵して有機肥料に変える。
第7段階は、敷料貯蔵工程で、発酵床H内で発酵熟成した敷料Sは良好な有機堆肥となるので、発酵床Hから搬出して貯蔵所等に保管し、野菜農家等に販売することができる。
敷料貯蔵工程に移ってからは、2、3ヶ月敷料を貯蔵した後、堆肥として出荷する。
現在、堆肥は、バイオマスの有効利用が頻りに唱えられて、大抵は市場では余剰生産気味である。
従って、出来るだけ、堆肥は家畜の排泄物処理工程においても、系外に出さないようにクローズドシステムとして排泄物処理するのが望ましい。
これに沿って、本願の家畜の排泄物処理工程では、従来の排泄物処理工程よりも堆肥の量が1/10以下に減少している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る、畜舎の分娩舎の一部切欠平面図である。
【図2】同、図1の2−2線一部切欠断面図である。
【図3】同、子豚舎の一部切欠平面図である。
【図4】同、図3の4−4線一部切欠断面図である。
【図5】同、畜舎内の排泄物処理方法のフロー図である。
【図6】(a)、(b)及び(c)は、敷料の作成説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 分娩舎
2 屋根
H 発酵床
S 敷料
5 溝
6 通路
7 餌箱
P 分娩豚
14 籾殻
15 糞尿
16 ラクトー菌
17 大鋸屑
GL 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に敷料を敷設するための発酵床を形成すると共に、該発酵床の両側には、家畜1頭分が入れる空間を有する仕切室を複数配設したことを特徴とする畜舎。
【請求項2】
前記仕切室の通路側に餌箱を配設したことを特徴とする請求項1に記載の畜舎。
【請求項3】
敷地内を平坦化した地面上に、敷料を敷設するコンクリート製平底のプール状発酵床を形成したことを特徴とする請求項1〜2に記載の畜舎。
【請求項4】
前記プール状発酵床の平面形状が、長方形、正方形、円形、三角形、多角形又は楕円形のいずれかの形状とし、該プール状発酵床を囲繞するように囲い枠を立設したことを特徴とする請求項1〜3に記載の畜舎。
【請求項5】
前記囲い枠の外側に、複数の餌箱を配設したことを特徴とする請求項1〜4に記載の畜舎。
【請求項6】
畜舎内の排泄物処理方法であって、
籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物からなる敷料を作成する敷料作成工程と、
前記発酵床内に敷料を投入、発酵させる発酵工程と、
発酵した前記発酵床上で、直接的又は間接的に家畜を飼育する飼育工程と、
前記敷地内で飼育する家畜に前記生菌剤入りの配合飼料を給餌する飼料給餌工程と、
前記発酵床及び畜舎内の温度、湿度及び換気等を管理する発酵床管理工程と、
再発酵・再利用工程と、
前記発酵床で発酵熟成した敷料を堆肥として貯蔵する敷料貯蔵工程と、
を有することを特徴とする、畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項7】
前記敷料作成工程における籾殻、大鋸屑、生菌剤入りの配合飼料及び家畜の排泄物の混合比が、籾殻約25〜35%、大鋸屑約45〜55%、生菌剤入りの配合飼料約3〜8%、家畜の排泄物約10〜20%であることを特徴とする請求項6に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項8】
前記配合飼料に添加する生菌剤は、少なくとも飼料全体の0.1〜0.3%であることを特徴とする請求項6〜7に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項9】
前記生菌剤の原料が、納豆菌であることを特徴とする請求項6〜8に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項10】
前記家畜が、分娩前の家畜、あるいは搾乳・授乳中の家畜であることを特徴とする請求項1〜4に記載の畜舎、又は請求項6〜9に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項11】
浄化槽を構成要素としないこと特徴とする請求項6〜9に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷地内の中央部に凹状溝を造成し、該凹状溝に籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物からなる敷料を敷設するための発酵床を形成すると共に、該発酵床の両側には、家畜1頭分が入れる空間を有する仕切室を複数配設した畜舎内の排泄物処理方法であって、
籾殻、大鋸屑、生菌剤入り米糠及び家畜の排泄物からなる敷料を作成する敷料作成工程と、
前記発酵床内に敷料を投入、発酵させる発酵工程と、
発酵した前記発酵床上で、直接的又は間接的に家畜を飼育する飼育工程と、
前記敷地内で飼育する家畜に前記生菌剤入りの配合飼料を給餌する飼料給餌工程と、
前記発酵床及び畜舎内の温度、湿度及び換気等を管理する発酵床管理工程と、
再発酵・再利用工程と、
前記発酵床で発酵熟成した敷料を堆肥として貯蔵する敷料貯蔵工程と、
を有することを特徴とする、畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項2】
前記敷料作成工程における籾殻、大鋸屑、生菌剤入りの配合飼料及び家畜の排泄物の混合比が、籾殻約25〜35%、大鋸屑約45〜55%、生菌剤入りの配合飼料約3〜8%、家畜の排泄物約10〜20%であることを特徴とする請求項6に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項3】
前記配合飼料に添加する生菌剤は、少なくとも飼料全体の0.1〜0.3%であることを特徴とする請求項6〜7のいずれか1項に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項4】
前記生菌剤の原料が、納豆菌であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項5】
前記家畜が、分娩前の家畜、あるいは搾乳・授乳中の家畜であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の畜舎内の排泄物処理方法。
【請求項6】
浄化槽を構成要素としないこと特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の畜舎内の排泄物処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−141316(P2006−141316A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337733(P2004−337733)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【特許番号】特許第3771570号(P3771570)
【特許公報発行日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(504432286)
【Fターム(参考)】