説明

番組配信システムおよび番組配信プログラム

【課題】 シームレスで連続した番組の視聴を確保するとともに番組配信の内容の動的で柔軟な編集・変更を可能とした番組配信システムを提供する。
【解決手段】 配信リスト管理部50は番組配信リスト51を管理・記憶する。ローカルシステム200によりエンコードされたエンコード済みファイルがネットワークを介してセンタシステム100側に送信され、ファイル記憶部11に記憶される。配信制御部30はファイル記憶部11内のエンコード済みの各番組コンテンツを番組配信リスト51に従ってファイルの該当部分のデータを逐次継続的に読み出して行く。デコード部21で一時的にデコードし、統一規約エンコード部22で統一の映像レート・音声レートにて再エンコードし、ストリーミングサーバに渡す。ストリーミングサーバ30からクライアントシステム300に対してストリーミング配信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は番組コンテンツデータをストリーミング配信する番組配信システムおよび番組配信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
番組コンテンツデータのネットワークを介した配信技術としてファイル転送型とストリーミング配信型が知られている。
従来のファイル転送型の配信技術は、配信する番組コンテンツデータをファイル転送により番組配信システムからクライアントシステムに一括ダウンロードさせる技術であり、クライアントシステムは番組コンテンツデータのダウンロードが完全に終ってから再生を始める必要があった。このファイル転送型の番組配信技術は、転送する番組コンテンツデータが大容量のファイルデータである場合にはダウンロードに必要な時間が長くなり実用に耐えない場合もある。
【0003】
そこで、ストリーミング配信型の番組コンテンツデータの配信技術が注目されている。ストリーミング配信型の番組コンテンツデータの配信技術ではストリーミング配信用の通信プロトコルに則った通信環境をストリーミングサーバとクライアントシステムの間のインターネット上に実現する。ストリーミングサーバ側は番組コンテンツデータをストリーミングデータとして逐次継続的に送信し、クライアントシステム側はストリーミングデータを逐次継続的に受信する。クライアントシステムではバッファにおける所定数のフレームデータのバッファリング処理の後、再生ソフトウェアによる番組コンテンツデータの再生が可能となり、以後、ストリーミングサーバからの番組コンテンツデータの受信とその再生が継続される。このように、全体としては長時間大容量の番組コンテンツデータであっても、ストリーミング配信開始時の短いバッファリングの待ち時間のみで再生を即座に開始することができる。
【0004】
図15は従来のストリーミング配信型の番組コンテンツデータの配信の流れを模式的に示した図である。
送信制御部1010は後述する再生リスト1040を参照して現在の時刻に応じた番組コンテンツの該当部分のデータを特定し、ストリーミングサーバ1030に対して配信すべきデータを記憶部1020から取り出して受け渡し、ストリーミング配信を制御する部分である。
記憶部1020に記憶されている番組コンテンツデータはストリーミング配信に適した形式に圧縮されたエンコード済みのファイルデータとなっている。番組コンテンツとしては撮影したビデオ映像、編集したビデオ映像、CGアニメーションなど多様のものがある。
ストリーミングサーバ1030は送信制御部1010から配信するデータを受けてストリーミングデータとして配信する。ネットワークとのインターフェイスも備えている。
再生リスト1040は番組コンテンツの再生順序を記述したものであり、再生する時間情報を持つことも可能である。つまり、配信する番組コンテンツとその配信予定時間が記述されており、いわゆるテレビ欄などの番組配信表と位置付けることもできる。
【0005】
番組コンテンツデータの配信の流れは以下のようになる。
送信制御部1010は再生リスト1040を参照しつつ、現在時刻に配信すべきファイルの該当部分のデータを特定する。例えば番組コンテンツデータAの終盤部分であったとすると記憶部1020からエンコード済ファイルA1021Aの該当部分のデータを取得する。送信制御部1010は取得した該当部分のデータをストリーミングサーバ1030に渡し、ストリーミングサーバ1030からクライアントシステムに対してストリーミングデータが配信される。
時刻が進むたび、送信制御部1010は再生リスト1040を参照し、現在時刻に配信されるべき番組コンテンツの該当部分のデータを特定し、記憶部1020から当該データを取得してストリーミングサーバ1030に渡す。
このように、再生リスト1040の記述に従って次々と、エンコード済ファイルA、エンコード済ファイルB、エンコード済ファイルCとストリーミング配信されて行き、クライアントシステムでは再生リスト1040があたかもTV番組の番組配信リストのように位置付けられる。
【0006】
【特許文献1】特開2001−54090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来のストリーミング配信型の番組配信システムによれば、従来のファイル転送型の番組配信システムのような長時間の待ち時間がなく、実用に耐えるシステムとして普及しつつある。代表的なアプリケーションはインターネットテレビジョン放送である。
しかし、従来のストリーミング配信技術では、テレビジョン放送のようにあらかじめ決められた番組配信リストに従って時刻通りに番組コンテンツをストリーミング配信する場合、番組コンテンツ配信の連続性が完全には保てず、クライアントシステムのモニタでの表示において、番組コンテンツの配信開始時のみならず、番組コンテンツと番組コンテンツの谷間においても毎回、「黒み」や「切れ目」のバッファリングが生じてしまう現象が知られている。
まず、ストリーミング配信の開始時にバッファリングが発生する理由について説明し、次に従来のストリーミング配信技術において番組コンテンツと番組コンテンツの谷間において「黒み」や「切れ目」が生じる理由について説明する。
【0008】
図16は従来のストリーミング配信の開始時においてバッファリング発生する理由を模式的に示す図である。
番組配信システム1000は、記憶部1020、番組コンテンツのエンコード済ファイル1021、ストリーミングサーバ1030を備えている。クライアントシステム1100は受信部1110およびバッファ1120を備えている。番組配信システム1000とクライアントシステム1100はネットワーク1200を介してつながっている。
【0009】
まず、クライアントシステム1100から番組配信システム1000に番組配信の要求が出され(図16の[1]ストリーミング要求)、番組配信システム1000が要求にかかる番組コンテンツデータ1021を記憶部1020から読み出してストリーミングデータとして送信を開始する(図16の[2]ストリーミング開始)。クライアントシステム1100は要求した番組コンテンツデータ1021を受信し始めた直後にバッファ1120を用いて所定数のフレームデータのバッファリング処理を行なう(図16の[3]バッファリング)。バッファリングを行なう理由は幾つかあるが、ここではバッファリングの理由としてデータ転送状態の変動緩衝と新たなファイル再生に向けた再生ソフトの調整時間確保を挙げておく。
【0010】
まず、データ転送状態は常に均一というわけではなく回線状態によって若干の変動がある。ストリーミングデータは逐次連続的に送られてくるデータを逐次連続的に再生表示するものであり、一瞬、データ転送が遅れたり途切れたりするとクライアント1110のモニタ表示が不安定になるという不具合が発生する。そのため、あらかじめ所定数のフレームデータをバッファに蓄積してから再生表示するという緩衝を持たせる工夫を行なう。このデータ転送状態の変動緩衝のバッファリングを行なうために即座に表示ができず「黒み」や「切れ目」が生じる。
【0011】
次に、再生されるデータ形式は常に一定というわけではなく受信データに合わせて再生ソフトのパラメタなどを調整する必要がある。受信ファイルのヘッダを読み込めば新たなファイル再生に向けた処理を開始し、ヘッダのファイル情報を利用して再生ソフトのパラメタを調整する。特に、ストリーミングデータの場合、再生ソフトにおける映像レート(映像ビットレート)と音声レート(音声サンプリングレート)のパラメタ調整は重要である。この再生ソフトの調整時間中に受信したデータを一時的にバッファリングするため「黒み」や「切れ目」が生じる。
バッファ1120に所定データ量のバッファリングができれば、所定の再生ソフトウェアにより再生を始める(図16の[4]モニタ表示開始)。
【0012】
ここで、従来のストリーミング配信技術では、番組コンテンツと番組コンテンツの谷間においてもバッファリングに伴う「黒み」や「切れ目」が生じる現象が毎回生じるという問題が知られている。
上記のような番組コンテンツと番組コンテンツの谷間においてバッファリング処理に伴う「黒み」や「切れ目」が発生することは好ましくなく、通常の地上波や衛星波のテレビジョン放送ではこのような「黒み」や「切れ目」が発生しないことからインターネット放送の弱点の一つとされている。また、この番組と番組の谷間は、広告コンテンツを流すいわゆる広告枠であることが通例であり、数秒間の「黒み」や「切れ目」であってもその影響は大きいと言わざるを得ない。
【0013】
なお、上記問題は、近年のネットワーク環境の発達と、情報発信主体の多様化に伴い、番組コンテンツを一箇所で集中的に製作する環境ではなく、ネットワークを介して、ローカルシステムで作成した多様な番組コンテンツデータをセンタシステム側で収集するとともに収集した番組コンテンツデータの配信順序などをセンタシステム側で動的かつ柔軟に編集・変更するという環境では番組コンテンツ間の映像レートや音声レートが異なることが多く、避けがたい問題となる。
【0014】
上記問題点に鑑み、本発明は、配信したストリーミングデータのクライアントシステムでの表示において、シームレスで連続した番組コンテンツの視聴を確保する番組配信システムを提供することを目的とする。
特に、番組コンテンツを一箇所で集中的に製作する環境ではなく、ネットワークを介して、ローカルシステムで作成した多様な番組コンテンツデータを収集するとともに収集した番組コンテンツデータの配信順序などを動的かつ柔軟に編集・変更する環境での適用が可能である番組配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の第1の番組配信システムは、すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートを含む統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード部を備え、前記統一規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムと、番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、個々の前記ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、管理・記憶する記憶部と、前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、前記配信制御部から渡されたデータをデコード処理するデコード部と、前記デコード部によりデコードされたデータを統一された音声レートと映像レートを含む統一規約に従って再びエンコード処理する再エンコード部と、前記再エンコード部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えたセンタシステムとを備えたものである。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第2の番組配信システムは、すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートとファイル構造とを含む統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード部を備え、前記統一規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムと、番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、個々の前記ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、そのファイル構造を解析してヘッダおよびフッタを除外し、前記番組配信リストに従い、個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶するファイル編集部と、前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、前記配信制御部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えたセンタシステムとを備えたものである。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第3の番組配信システムは、個々のローカルシステム固有に与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートを含む個別規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード部を備え、前記個別規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムと、番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、個々の前記ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、管理・記憶する記憶部と、前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、前記配信制御部から渡されたデータをデコード処理するデコード部と、前記デコード部によりデコードされたデータを統一された音声レートと映像レートを含む統一規約に従って再びエンコード処理する再エンコード部と、前記再エンコード部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えたセンタシステムとを備えたものである。
上記構成により、番組と番組の間においてクライアントシステムの表示において黒みや切れ目などを生じさせることなくシームレスで連続した番組コンテンツの視聴を確保することができ、さらに、番組配信の内容・順序を動的に編集・変更することができ、柔軟な番組配信が可能となる。クライアントシステムにおいて番組コンテンツの谷間において黒味が発生することはない。
【0018】
なお、上記構成において、前記配信リスト管理部が前記番組配信リストを動的に編集・変更した場合、動的に対応できることが好ましい。つまり、上記の本発明の第1の番組配信システムの構成および第3の番組配信システムの構成において、前記配信リスト管理部が前記番組配信リストを動的に編集・変更した場合、前記配信制御部が前記編集・変更にかかる番組配信リストに従って番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出すことが好ましい。また、上記の本発明の第2の番組配信システムの構成において、前記配信リスト管理部が前記番組配信リストを動的に編集・変更した場合、前記ファイル編集部が前記編集・変更にかかる番組配信リストに従って個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶し、前記配信制御部が前記編集・変更にかかる番組配信リストに従って番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出すことが好ましい。
上記構成により、動的な番組配信リストの変更を行なっても柔軟に対応でき、さらに、クライアントシステムにおいて変更にかかる番組コンテンツの谷間においても黒みが発生することはない。
【0019】
次に、ネットワーク上に存在する複数の番組配信システム同士の間で番組コンテンツデータを貸し借りする構成も可能である。例えば、前記記憶部にない番組コンテンツデータについて、前記番組コンテンツデータを保有するネットワーク上の他の番組配信システムに対してレンタル要求を動的に送信し、当該番組配信システムからファイル転送によりエンコード済みの前記番組コンテンツデータを借り受ける番組コンテンツレンタル制御部を備え、前記番組コンテンツレンタル制御部がネットワーク上の他の番組配信システムから前記番組コンテンツデータを借り受け、前記記憶部に格納する構成も可能である。
上記の番組コンテンツレンタル制御部により、各番組配信システムを運用する主体は、配信する番組コンテンツをすべて自主的に製作する必要がなくなり、一部の番組コンテンツについては他の主体との間で貸し借りするという柔軟な管理が可能となる。
【0020】
なお、上記構成の番組配信システムにおいて、前記番組コンテンツレンタル制御部による番組配信システム間の番組コンテンツデータのレンタル条件を管理し、両者間の課金を制御する課金サーバを備え、前記課金サーバが、前記番組コンテンツデータを借り受けた番組配信システムに対して番組コンテンツデータのレンタル条件に応じた課金を行う構成も可能である。
【0021】
次に、上記構成の番組配信システムにおいて、前記配信リスト管理部の番組配信リストが広告コンテンツデータの配信予定も含み、前記動的連続エンコード制御部が現在時刻に合わせて配信すべき広告コンテンツデータを前記所定エンコードレートに動的に変換しつつ連続供給してゆくことが好ましい。
上記構成により、上記構成の番組配信システムにおいて、広告コンテンツデータの配信も柔軟に差し替えや入れ替えができ、広告コンテンツと番組コンテンツの谷間において黒味を生じることはなく、スムーズな広告コンテンツの表示が可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の番組配信システムによれば、シームレスで連続した番組コンテンツの視聴を確保するとともに番組配信の内容・順序の動的で柔軟な編集・変更が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の番組配信システムの実施形態を説明する。ただし、本発明の技術的範囲は以下の実施形態に示した具体的な用途や形状・寸法などには限定されない。
【0024】
本発明の番組配信システムは、配信したストリーミングデータのクライアントシステムでの表示において、番組コンテンツと番組コンテンツの谷間において黒みや切れ目が生じることなく、シームレスで連続した番組コンテンツの視聴を確保するとともに番組配信の内容・順序の動的で柔軟な編集・変更を可能としたものである。
本発明の番組配信システムの説明にあたり、まず、最初に、[1]一般にストリーミング配信での番組コンテンツの谷間においてクライアントシステムの再生表示に黒みや切れ目が生じる理由を解析しておく。次に[2]本発明の番組配信システムのクライアントシステムの再生表示においてシームレスなストリーミング配信を実現する原理を説明する。次に[3]ローカルシステムとセンタシステムを用いたネットワーク分散環境における本発明の番組配信システムの概念を説明し、次に[4]本発明の番組配信システムの構成例について説明する。
【0025】
[1]番組コンテンツの谷間の再生において黒みや切れ目が生じる理由の解析
以下、一般にストリーミング配信において番組コンテンツと番組コンテンツの谷間においてクライアントシステムでの再生表示に黒みや切れ目が生じる理由を解析する。
一般のストリーミング配信における黒みや切れ目の発生は、「回線状態の変動緩衝のためのバッファリング」と「再生ソフトのパラメタ調整などのためのバッファリング」が原因として挙げられるが、番組コンテンツの谷間では前者の「回線状態の変動緩衝のバッファリング」は原因とはならないと考えられる。既に先行の番組コンテンツデータの再生処理が継続しており、後続の番組コンテンツのデータが受信された瞬間にはバッファ中に先行の番組コンテンツデータのフレームデータが蓄積されているからである。この先行の番組コンテンツデータの最終部分のフレームデータの再生処理が逐次継続的に進むにつれ、後続の番組コンテンツデータの冒頭部分のフレームデータのバッファリングが逐次継続的に実行されて行くので、原理的には再生表示が中断してしまうような現象は発生しないと考えられる。
そこで、番組コンテンツと番組コンテンツの谷間において黒みや切れ目を生じさせる原因は、後者の新たなファイル再生に向けた「再生ソフトのパラメタ調整などのためのバッファリング」にあると考えられる。ここで、新たなファイル再生に向けた再生ソフトの調整が必要になる場合としては、(a)新たなヘッダ受信があった場合と、(b)先行する番組コンテンツと後続の番組コンテンツの映像レートと音声レートが異なる場合が考えられる。
【0026】
図1を参照しつつ、一般のストリーミング配信の番組コンテンツの谷間におけるクライアントシステムでの再生に黒みや切れ目が生じる現象を説明する。
【0027】
(a)新たなヘッダ受信に伴うバッファリング処理
例えば、先行の番組コンテンツAが既に再生表示されているとする(図1(a))。ここで、先行の番組コンテンツAの配信が終了し、後続の番組コンテンツBのストリーミングデータが受信されたとする(図1(b))。
後続の番組コンテンツBのストリーミングデータの先頭にはヘッダが付されているので、再生ソフトウェアは当該ヘッダを受信することにより新たな番組コンテンツBのストリーミング再生処理が始まることを認識し、新たなファイル再生に向けて処理を開始する。現在普及している再生ソフトウェアは新たなファイルのヘッダを読み込めば、新たなストリーミング再生処理に向けた再生ソフトウェアのパラメタ調整の時間確保のため、現在バッファに存在する先行の番組コンテンツデータを破棄し、新たに後続の番組コンテンツデータのバッファリング処理を開始する仕組みとなっている(図1(b))。このバッファリング処理の間「黒み」や「切れ目」が発生する。
【0028】
(b)番組コンテンツ間で映像レートと音声レートが異なる場合のバッファリング処理
一般的にはストリーミング配信されるデータの映像レートと音声レートは多様である。ニュース取材の過程で製作したビデオ映像、ミュージックビデオクリップ、アニメーション映像、コンピュータグラフィック映像など製作の過程や目的に応じて映像の画質と音声の音質にはバリエーションがある。クライアントシステムの再生ソフトは音声レートおよび映像レートに合わせてデコード・再生処理する必要があり、音声レートおよび映像レートの異なるエンコード済ファイルが受信されるとクライアントシステムの再生ソフトは新たなレートに対応するためパラメタを調整する必要が生じる。
【0029】
図1において、例えば先行の番組コンテンツAの映像レートと音声レートがR1(例えば、映像レート180bps、音声レート76bps)で既に再生表示されているとする(図1(a))。ここで、先行の番組コンテンツAの配信が終了し、後続の番組コンテンツBのストリーミングデータが受信されたとする(図1(b))。この後続の番組コンテンツBの映像レートと音声レートがR2(例えば、映像レート220bps、音声レート36bps)であるとする。音声レートと映像レートが異なる場合は再生ソフトウェアのパラメタ調整などが必要となるので、再生ソフトウェアは映像レートと音声レートの違いを認識すれば新たな番組コンテンツデータの再生準備のため、現在バッファ中の先行の番組コンテンツデータを破棄し、新たな後続の番組コンテンツデータのバッファリング処理を開始する仕組みとなっている(図1(b))。このバッファリング処理の間「黒み」や「切れ目」が発生する。
【0030】
[2]本発明の番組配信システムのクライアントシステムの再生表示においてシームレスなストリーミング配信を実現する原理
次に、本発明の番組配信システムのクライアントシステムの再生表示においてシームレスなストリーミング配信を実現する原理を説明する。
本発明の番組配信システムでは、上記の(a)新たなヘッダ受信に伴うバッファリング処理と(b)番組コンテンツ間で映像レートと音声レートが異なる場合のバッファリング処理の発生の双方を除去すべく、ストリーミング配信されるファイルからヘッダを除去するとともに、番組コンテンツファイル間で映像レートと音声レートを統一するようにする。
【0031】
図2は、本発明の番組配信システムにおけるストリーミング配信での番組コンテンツの谷間での再生表示状態を説明する図である。
本発明の番組配信システムでは後述する構成により、配信される番組コンテンツデータが加工・編集され、図2に示すようにストリーミング配信される番組コンテンツデータからヘッダが除去されるとともに番組コンテンツデータ間で映像レートと音声レートが統一されている。
【0032】
番組コンテンツの谷間での再生処理は以下のようになる。
例えば、先行の番組コンテンツAが既に再生表示されているとする(図2(a))。ここで、先行の番組コンテンツAの配信が終了し、後続の番組コンテンツBのストリーミングデータが受信されたとする(図2(b))。
ヘッダ・フッタに関しては、後続の番組コンテンツBのストリーミングデータはシームレスに番組コンテンツAのストリーミングデータに後続しておりヘッダ・フッタが存在しない。従って、再生ソフトウェアは新たな番組コンテンツBのストリーミングを受信し始めても新たな番組コンテンツの再生とは認識せず、新たなストリーミング再生処理に向けた再生ソフトウェアの調整は行なわない(図2(b))。そのため、バッファ中にあるデータは破棄されることなく、番組コンテンツAの最終部分(A(Z2)〜A(Z30))の表示が逐次連続的に続けられバッファリングによる「黒み」や「切れ目」は発生しない。
【0033】
次に、映像レート・音声レートに関しては、先行の番組コンテンツAの映像レートと音声レートはR0(例えば、映像レート200bps、音声レート56bps)であり、後続の番組コンテンツBの映像レートと音声レートもR0(例えば、映像レート200bps、音声レート56bps)に統一されているため、新たな番組コンテンツBのストリーミングを受信し始めても新たな番組コンテンツの再生とは認識せず、再生ソフトウェアはそのまま番組コンテンツAの再生表示から番組コンテンツBの再生表示に移行することができ、「黒み」や「切れ目」が発生することはない。このように、本発明の番組配信システムでは配信されるストリーミングデータの番組コンテンツの谷間においてヘッダやフッタを除去するとともに番組コンテンツ間の映像レート・音声レートを統一しておくことにより新たなバッファリングの発生を抑え、クライアントシステムでの再生表示がシームレスに行なわれるようにする。
【0034】
[3]ローカルシステムとセンタシステムを用いたネットワーク分散環境における本発明の番組配信システムの概念
従来の番組コンテンツ配信システムは運用面から見ると、番組コンテンツをすべてセンタ集中にて一箇所で製作し、ストリーミング配信するいわゆるセンタ集中方式が多かった。本発明の番組コンテンツ配信システムは、番組コンテンツの一部またはすべてをローカル分散にて多数のローカルシステムで製作し、製作した番組コンテンツデータをネットワーク経由でセンタシステムに集め、センタシステム側で番組配信表に従って編集し、ストリーミング配信するいわゆる分散方式に対しても適用できるものとなっている。本発明の番組配信システムではセンタシステムにおいて編集されストリーミング配信される番組コンテンツデータは上記[2]の図2に示したデータ形式となっており、番組コンテンツデータの配信を受けたクライアントシステムにおいて再生ソフトウェアにより再生すると番組コンテンツの谷間において「黒み」や「切れ目」が発生することはない。
【0035】
本発明の番組配信システムをネットワーク分散環境において構築する場合、多様なバリエーションが可能である。以下代表的な3つのバリエーションを示す。
本発明の第1の番組配信システムの概念を図3に示す。
本発明の第1の番組配信システムは2つの工夫が加えられている。
第1の工夫はすべてのローカルシステムにおいてエンコードに対する統一規約を持たせ、すべてのローカルシステムにおいてエンコード済みのファイルの映像レート・音声レートが統一されたレートを持つように加工する工夫である。
図3に示すように、各ローカルシステム200a、200bのエンコード処理は統一規約エンコード部210a、210bにより行なわれる。これらはすべてのローカルシステムに共通して与えられた映像レートと音声レートなどを含むエンコードに関する統一規約を持っており、ローカルシステム200a、200bで製作されたすべてのエンコード済みファイルは統一された同じ映像レート・音声レートを持っている。
図3の例では、原ファイルAはローカルシステム200aの統一規約エンコード部210aでエンコードされた結果、レートR0(映像レート200bps、音声レート56bps)のエンコード済みファイルAに加工される。一方、原ファイルBもローカルシステム200bの統一規約エンコード部210bでエンコードされた結果、レートR0(映像レート200bps、音声レート56bps)のエンコード済みファイルBに加工される。このように、ネットワーク分散環境においてすべてのローカルシステムで製作・加工されたエンコード済みファイルは統一された映像レート・音声レートを持つものとなる。このように映像レート・音声レートを統一しておくことにより後述するセンタシステムでの一時デコード処理におけるパラメタ調整が不要となるメリットが得られる。なお、エンコードされて圧縮されているのでファイル容量は小さくなりローカルシステムからセンタシステムへのネットワーク転送には適した形となっている。
【0036】
第2の工夫は、センタシステム100側において、番組配信表に沿った番組コンテンツデータのストリーミング配信に合わせ、各ローカルシステムから集めたエンコード済みファイルを動的に一時デコードし、動的に統一された映像レート・音声レートにて再エンコードし、番組コンテンツ間で統一された映像レート・音声レートを持つストリーミングデータを生成する工夫である。
センタシステム100はネットワークを介してローカルシステムから集めたエンコード済みファイルをファイル形式のまま記憶しておく。番組配信表に沿った番組コンテンツデータのストリーミング配信に合わせ、該当するエンコード済みファイルを特定し、デコード部21により動的に逐次継続的にデコードして行く。デコードされて得たフレームデータを統一規約再エンコード部22によって統一されたエンコード規約に従って逐次継続的に動的に再エンコードして行く。一時デコードによりフレームデータに戻されたデータを統一されたレートR0によりシームレスに再エンコードして行くという第2の工夫により、再エンコード済みのデータはすべての番組コンテンツデータにわたり同じ映像レート・音声レートを持ち、また、ストリーミングデータとして配信されるため番組コンテンツ単位でファイル単位にまとまるものではなく、ヘッダやフッタが付されたりすることはない。そのためストリーミング配信される番組コンテンツデータは上記[2]の図2に示したデータ形式となっており、クライアントシステムにおける再生において番組コンテンツの谷間にバッファリングによる「黒み」や「切れ目」が発生することはない。
【0037】
次に、本発明の第2の番組配信システムの概念を図4に示す。
本発明の第2の番組配信システムでも2つの工夫が加えられている。
第1の工夫は、すべてのローカルシステムにおいて映像レート、音声レート、ファイル構造などを含むエンコードに対する統一規約を持たせ、すべてのローカルシステムにおいてエンコード済みのファイルが統一された映像レート・音声レートを持ち、統一されたファイル構造を持つように加工する工夫である。
図4に示すように、各ローカルシステム201a、201bのエンコード処理は統一規約エンコード部211a、211bにより行なわれるところ、これらはすべてのローカルシステムにまたがる、映像レート、音声レート、さらに、ファイル構造などを含むエンコードに関する統一規約を持っており、ローカルシステム201a、201bで製作されたすべてのエンコード済みファイルは統一された同じ映像レート・音声レートおよびファイル構造を持っている。
このように映像レート・音声レートを統一しておくことにより後述するセンタシステムでのファイル編集において映像レート・音声レートの調整が不要となる。また、ファイル構造を統一しておくことにより後述するセンタシステムでのファイル編集においてヘッダの除去が容易となる。なお、エンコードされて圧縮されているのでファイル容量は小さくなりローカルシステムからセンタシステムへのネットワーク転送には適した形となっている。
【0038】
第2の工夫は、センタシステム101側において、ネットワークを介して集めた各エンコード済みファイル個々のファイル構造を解析し、ヘッダやフッタなどの識別子を除去し、映像データ、音声データという本体データ部分のみを抽出し、番組配信表に沿った番組コンテンツデータの並びに並び替え、一つながりのエンコード済みファイルを得る工夫である。
センタシステム101はネットワークを介してローカルシステムから集めたエンコード済みファイルを受け取るが、これらは統一規約に従ってエンコードされているのですべてのファイルは統一されたファイル構造を持っており、ファイル編集部23はファイル構造が既知であるため容易にエンコード済みファイルからヘッダやフッタなどを除去し、いわゆるデータ本体部分のみを取り出すことができる。その後ファイル編集部23は番組配信表に沿い、番組コンテンツに該当するエンコード済みファイルを特定して時系列に並べて行き、一つながりのファイルとして管理する。このように配信順序の入れ替えなど自在に加工・編集できる構成となっている。
ストリーミング配信では、現在時刻と配信番組表に応じて、一つながりのファイルからストリーミングデータを生成して配信して行けば良い。ストリーミング配信される番組コンテンツデータは上記[2]の図2に示したデータ形式となっており、番組コンテンツデータの配信を受けたクライアントシステムにおいて再生ソフトウェアにより再生すると番組コンテンツと番組コンテンツの谷間においてバッファリングによる「黒み」や「切れ目」が発生することはない。
【0039】
次に、本発明の第3の番組配信システムの概念を図5に示す。
本発明の第3の番組配信システムでは1つの工夫が加えられている。
本発明の第3の番組配信システムでは、ローカルシステム202にエンコードに対する統一規約は設けていない。各ローカルシステム202は個々の個別規約に基づいて自由にエンコードを行ない、エンコード済みファイルを生成する。なお、エンコードされて圧縮されているのでファイル容量は小さくなりローカルシステムからセンタシステムへのネットワーク転送には適した形となっている。
第3の番組配信システムの工夫は、センタシステム102側において、番組配信表に沿った番組コンテンツデータのストリーミング配信に合わせ、各ローカルシステムから集めたエンコード済みファイルを動的に一時デコードし、さらに動的に統一された映像レート・音声レートにて再エンコードし、ストリーミングデータを生成する工夫である。なお、一時デコードにかかるエンコード済みファイルは映像レート・音声レートは不統一であるため、多様な映像レートや音声レートに即応できる処理能力の高いデコード機能が必要となる。
【0040】
本発明の第3の番組配信システムのデータの流れは概ね以下のようになる。
図5の例では、原ファイルAはローカルシステム202aの個別規約エンコード部212aでエンコードされた結果、レートRa(映像レート180bps、音声レート76bps)のエンコード済みファイルAに加工される。一方、原ファイルBもローカルシステム202bの統一規約エンコード部212bでエンコードされた結果、レートRb(映像レート220bps、音声レート36bps)のエンコード済みファイルBに加工される。生成されたそれぞれのエンコード済みファイルはネットワークを介してセンタシステム102側に渡される。
センタシステム102はネットワークを介してローカルシステムから集めたエンコード済みファイルをファイル形式のままファイル記憶部11に記憶しておく。現在時刻に応じて番組配信表に沿った番組コンテンツデータのストリーミング配信に合わせ、該当する番組コンテンツファイルを特定し、デコード部24により動的に逐次継続的にデコードして行く。
なお、デコードに係るエンコード済みファイルは多様な映像レート・音声レートを持っており(エンコード済みファイルAではレートRa、エンコード済みファイルBではレートRb)、デコード部24は多様な映像レートや音声レートに即応できる処理能力の高いデコード機能を持つものとなっている。
【0041】
デコードされて得たフレームデータを統一規約再エンコード部22によって統一されたエンコード規約に従って逐次継続的に動的に再エンコードして行く。一時デコードによりフレームデータに戻されたデータを統一されたレートR0によりシームレスに再エンコードして行くという工夫により、再エンコード済みのデータはすべての番組コンテンツデータにわたり同じ映像レート・音声レートを持ち、また、動的に再エンコードされた個々のフレームデータはそのままストリーミングデータとして配信されるため、番組コンテンツ単位でファイル単位にまとまるものではないためヘッダ・フッタが付されたりすることはない。そのためストリーミング配信される番組コンテンツデータは上記[2]の図2に示したデータ形式となっており、番組コンテンツデータの配信を受けたクライアントシステムにおいて再生すると番組コンテンツと番組コンテンツの谷間においてバッファリングによる「黒み」や「切れ目」が発生することはない。
【0042】
[4]本発明の番組配信システムの構成例
次に、本発明の番組配信システムの構成例を実施形態として示す。
(実施形態1)
実施形態1にかかる本発明の番組配信システムの例を示す。
実施形態1にかかる番組配信システムは、上記の本発明の第1の番組配信システムの概念を適用したシステム構成例となっている。
図6は本発明の実施形態1にかかる番組配信システムの構成を模式的に示した図である。図3に示した本発明の第1の番組配信システムの概念を満たす構成となっている。本発明の実施形態1にかかる番組配信システムは、センタシステム100と、少なくとも一つ以上のローカルシステム200と、少なくとも一つ以上のクライアントシステム300を備えた構成となっている。
【0043】
ローカルシステム200は、すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理の統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理する統一規約エンコード部210を備えている。統一規約にはエンコード処理時の音声レートと映像レートが含まれている。統一規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする。なお、エンコードされて圧縮されているのでファイル容量は小さくなりネットワーク転送には適した形となっている。
【0044】
センタシステム100は以下の構成要素を備えている。
配信リスト管理部50は、番組配信リスト51を編集・管理・記憶する部分であり、番組配信リスト51は各番組コンテンツの配信時刻を記述したものである。いわゆるテレビ番組欄と位置付けられる。番組配信リスト51を動的に書き換えられるものであることが好ましい。
ファイル記憶部10は個々のローカルシステム200からアップロードされた個々の番組コンテンツデータのエンコード済ファイルを受け取り、管理・記憶する部分であり、例えば大容量のハードディスク装置などである。各エンコード済ファイルは撮影したビデオ映像、編集したビデオ映像、CGアニメーションなど多様のものがある。
配信制御部30は、番組配信リスト51を参照し、番組配信リスト51と現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを特定し、ファイル記憶部10から読み出す部分である。現在時刻の進みに合わせて配信制御部30により逐次連続的に該当データが読み出されて行く。
デコード部21は配信制御部30から逐次連続的に渡されるデータを一時的にデコード処理する部分である。データはビデオ形式のフレームデータにデコードされる。
統一規約再エンコード部22はデコード部21によりデコードされたビデオ形式のフレームデータを統一規約により再エンコードする部分である。なお、統一規約として再エンコードにかかる映像レート・音声レートが含まれており、例えばレートR0(映像レート200bps、音声レート56bps)として規定されている。
ストリーミングサーバ40はストリーミングデータを送信する部分でありネットワークインターフェイスを備えている。
【0045】
図7は実施形態1にかかる番組配信システムのセンタシステムでの処理を中心とした処理の流れを示すフローチャートである。
前提として、ローカルシステムにおけるエンコード処理ステップとセンタシステムへの配信処理ステップおよび、センタシステムにおける配信管理部への番組配信リストの編集・記憶の配信管理処理ステップは完了しているものとする。
まず、ローカルシステム200からエンコード済みファイルのアップロードを受け、ファイル記憶部10に記憶する(ステップS1)。番組コンテンツデータは圧縮されたエンコード済みのファイルデータであり、すべてレートR0(例えば映像レート200bps、音声レート56bps)にてエンコードされた形式となっている。
配信制御部30は、番組配信リスト51を参照し、現在時刻に応じてストリーミング配信すべき番組コンテンツのエンコード済みファイルのうち該当するデータ部分をファイル記憶部11から取得して行く。(ステップS2)。
デコード部21はファイル記憶部11から取得したデータに対して一時デコード処理を行なう(ステップS3)。エンコード済ファイルをデコードする結果、ビデオ形式のフレームデータとなる。
統一規約再エンコード部22は統一された映像レートと音声レートにて再エンコード処理を行なう(ステップS4)。
ストリーミングサーバ40は統一規約再エンコード部22から再エンコード処理したデータを受け取り、クライアントシステム300に対して番組コンテンツデータを配信する(ステップS5)。現在時刻に合わせて配信すべきデータがストリーミングサーバ40からクライアントシステム300に対してシームレスなストリーミングデータとして配信され続ける。
時刻が進むたび上記処理を繰り返す(ステップS2へ戻る)。
以上がストリーミングデータ配信の流れの概要である。
【0046】
なお、クライアントシステム300の再生表示において番組コンテンツ間の谷間で「黒み」、「切れ目」を生じることはない。
図8は本発明の第1の番組配信システムにおいてストリーミング配信とクライアントコンピュータでの再生処理を模式的に示す図である。
番組コンテンツAの最終部分のストリーミング配信の処理(図8(a))に引き続き、番組コンテンツBの冒頭部分のストリーミング配信処理が行なわれる(図8(b))。ここで、番組コンテンツAの終端部分と番組コンテンツBの冒頭部分の谷間においてヘッダやフッタは存在せずかつ同じ統一規約のレートR0であるのでストリーミングサーバ30からシームレスに連続するデータとして配信される。クライアントシステム300においては、番組コンテンツAの終端部分と番組コンテンツBの冒頭部分はまったくシームレスで連続したデータとして供給されるので、再生ソフトによる再生処理もシームレスに行なわれ、モニタ上には連続な映像として表示される。つまり、番組コンテンツAと番組コンテンツBの谷間において「黒み」や「切れ目」が生じることはなく、所定の時刻に所定の内容の番組コンテンツが表示され、あたかもTV番組を視聴する如くの表示環境が得られる(図8(b)モニタ表示)。
【0047】
(実施形態2)
実施形態2にかかる本発明の番組配信システムの例を示す。
実施形態2にかかる番組配信システムは、上記の本発明の第2の番組配信システムの概念を適用したシステム構成例となっている。
図9は本発明の実施形態2にかかる番組配信システムの構成を模式的に示した図である。図4に示した本発明の第2の番組配信システムの概念を満たす構成となっている。本発明の実施形態2にかかる番組配信システムも、センタシステム101と、少なくとも一つ以上のローカルシステム201と、少なくとも一つ以上のクライアントシステム300を備えた構成となっている。
ローカルシステム201は、すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理にかかる統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理する統一規約エンコード部211を備えている。統一規約として音声レートと映像レートとファイル構造が含まれている。エンコード処理後のエンコード済ファイルはネットワークを介してセンタシステムにアップロードされる。なお、エンコードされて圧縮されているのでファイル容量は小さくなりネットワーク転送には適した形となっている。
【0048】
センタシステム101は以下の構成要素を備えている。
配信リスト管理部50、番組配信リスト51は図6に示した実施形態1のものと同様で良く、番組配信リスト51を動的に書き換えられるものであることが好ましい。
ファイル編集部23は図4に示したようにエンコード済みファイルの番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、編集ファイル記憶部11に記憶する部分である。図4に示すように、ファイル編集部23はローカルシステム201からアップロードされる個々のエンコード済みファイルを受け取り、そのファイル構造を解析してヘッダおよびフッタを除外する。統一規約エンコード部211の統一規約としてファイル構造も含まれているため、ローカルシステム201においてエンコードされアップロードされるエンコード済みファイルは統一されたファイル構造を持つため、ファイル編集部23が当該ファイル構造の情報を基に個々のエンコード済みファイルを解析して容易にヘッダおよびフッタを除外することができる。
配信制御部30は、番組配信リスト51を参照し、番組配信リスト51と現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを特定し、編集ファイル記憶部11から読み出す部分である。現在時刻の進みに合わせて配信制御部30により逐次連続的に該当データが読み出されて行く。
ストリーミングサーバ40はストリーミングデータを送信する部分でありネットワークインターフェイスを備えている。
【0049】
図10は実施形態2にかかる番組配信システムのセンタシステムを中心とした処理の流れを示すフローチャートである。
前提として、ローカルシステム201におけるエンコード処理ステップとセンタシステム101への配信処理ステップおよび、センタシステム101における配信管理部30への番組配信リストの編集・記憶の配信管理処理ステップは完了しているものとする。
ローカルシステム201からエンコード済みファイルのアップロードを受け、エンコード済みファイル構造を解析し、ヘッダ、フッタを除き、番組コンテンツの本体データ部分を番組配信リストに従い時系列に並べて一つながりのファイルとする(ステップS1)。
番組コンテンツデータはストリーミング配信に適した形式に圧縮されたエンコード済みのファイルデータであり、ヘッダやフッタはなくレートR0(例えば映像レート200bps、音声レート56bps)に統一された形式となる。
配信制御部30は、番組配信リスト51を参照し、現在時刻に応じてストリーミング配信すべき番組コンテンツのエンコード済みファイルのうち該当するデータ部分をファイル記憶部11から取得して行く。(ステップS2)。
ストリーミングサーバ40は編集ファイル記憶部11から配信データを受け取り、クライアントシステム300に対して番組コンテンツデータを配信する(ステップS3)。現在時刻に合わせて配信すべきデータがストリーミングサーバ40からクライアントシステム300に対してシームレスなストリーミングデータとして配信され続ける。
時刻が進むたび上記処理を繰り返す(ステップS2へ戻る)。
以上がストリーミングデータ配信の流れの概要である。
【0050】
実施形態2の番組配信システムの構成例においても、ストリーミング配信とクライアントシステム300での再生処理は図8と同様であり、クライアントシステム300の再生表示において番組コンテンツ間の谷間で「黒み」、「切れ目」を生じることはない。
【0051】
(実施形態3)
実施形態3にかかる番組配信システムは、上記の本発明の第3の番組配信システムの概念を適用したシステム構成例となっている。
図11は本発明の実施形態3にかかる番組配信システムの構成を模式的に示した図である。図5に示した本発明の第3の番組配信システムの概念を満たす構成となっている。本発明の実施形態3にかかる番組配信システムも、センタシステム102と、少なくとも一つ以上のローカルシステム202と、少なくとも一つ以上のクライアントシステム300を備えた構成となっている。
ローカルシステム202は、ローカルシステム202が個別に持つ個別規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理する個別規約エンコード部212を備えている。個別規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする。番組コンテンツファイルの映像レート・音声レートは必ずしも統一されているわけではなく、多様なレートがあり得る。なお、エンコードされて圧縮されているのでファイル容量は小さくなりネットワーク転送には適した形となっている。
【0052】
センタシステム102は以下の構成要素を備えている。
配信リスト管理部50、番組配信リスト51は図6に示した実施形態1のものと同様で良く、番組配信リスト51を動的に書き換えられるものであることが好ましい。
ファイル記憶部11、配信制御部30も実施形態1のものと同様で良い。
デコード部24は配信制御部30から逐次連続的に渡されるデータを一時的にデコード処理する部分である。実施形態3では番組コンテンツファイルの映像レート・音声レートは多様であるため、デコード部24は多様なレートのファイルを高速にデコードする高機能なデコード機能を備えている。デコードの結果、ビデオ形式のフレームデータとなる。
統一規約再エンコード部22は実施形態1と同様、デコード部21によりデコードされたビデオ形式のフレームデータを統一規約により再エンコードする部分である。なお、統一規約として再エンコードにかかる映像レート、音声レートが含まれており、例えばレートR0(映像レート200bps、音声レート56bps)として規定されている。
ストリーミングサーバ40はストリーミングデータを送信する部分でありネットワークインターフェイスを備えている。
【0053】
図12は実施形態3にかかる番組配信システムのストリーミングデータの配信の流れを示すフローチャートである。
前提として、ローカルシステム202におけるエンコード処理ステップとセンタシステム102への配信処理ステップおよび、センタシステム102における配信管理部30への番組配信リストの編集・記憶の配信管理処理ステップは完了しているものとする。
ローカルシステム202からエンコード済みファイルのアップロードを受け、ファイル記憶部10に記憶する(ステップS1)。番組コンテンツデータは圧縮されたエンコード済みのファイルデータであるが、映像レート・音声レートは必ずしも統一されていない。
配信制御部30は、番組配信リスト51を参照し、現在時刻に応じてストリーミング配信すべき番組コンテンツのエンコード済みファイルのうち該当するデータ部分をファイル記憶部11から取得して行く。(ステップS2)。
デコード部21はファイル記憶部11から取得したデータに対してデコード処理を行なう(ステップS3)。エンコード済ファイルをデコードする結果、映像レート・音声レートの違いは解消され、ビデオ形式のフレームデータとなる。
統一規約再エンコード部22は統一された映像レートと音声レートにて再エンコード処理を行なう(ステップS4)。
ストリーミングサーバ40は統一規約再エンコード部22から再エンコード処理したデータを受け取り、クライアントシステム300に対して番組コンテンツデータを配信する(ステップS5)。現在時刻に合わせて配信すべきデータがストリーミングサーバ40からクライアントシステム300に対してシームレスなストリーミングデータとして配信され続ける。
時刻が進むたび上記処理を繰り返す(ステップS2へ戻る)。
以上がストリーミングデータ配信の流れの概要である。
【0054】
実施形態3の番組配信システムの構成例においても、ストリーミング配信とクライアントシステム300での再生処理は図8と同様であり、再生表示において番組コンテンツ間の谷間で「黒み」、「切れ目」を生じることはない。
【0055】
(実施形態4)
次に、実施形態4にかかる本発明の番組配信システムの例を示す。実施形態4の番組配信システムは、ネットワーク上の複数の番組配信システム同士の間で番組コンテンツを貸し借りする番組コンテンツレンタル制御部を備えたものである。
近年の画像処理技術、通信技術の発展に伴って小さな主体であってもインターネット放送局を運用できる環境が整いつつある。技術的な問題は緩和されつつあるが、放送する番組コンテンツの製作・調達の問題は大きい。小さな運用主体であれば通常の放送時間帯をカバーする量の番組コンテンツを自主制作するのは困難である。そこで、他の番組配信システムとの間でネットワークを介して番組コンテンツの貸し借りを行なうことができる構成とすればメリットが大きい。
【0056】
番組コンテンツレンタル制御部を備えた構成は、上記の本発明の第1の番組配信システム、本発明の第2の番組配信システム、本発明の第3の番組配信システムのいずれも適用することができるが、ここでは代表的に本発明の第1の番組配信システムに対して適用した例を示す。
図13は実施形態4にかかる番組配信システム103の構成を示す図である。図13の番組配信システム103の構成例では実施形態1の図6に示した本発明の第1の番組配信システムの構成例に番組コンテンツレンタル制御部60を加えた例となっている。
番組コンテンツレンタル制御部60は、ファイル記憶部11にない番組コンテンツデータについて、番組コンテンツデータを保有するネットワーク上の他の番組配信システムに対してレンタル要求を動的に送信し、当該番組配信システムからファイル転送によりエンコード済みの番組コンテンツデータの貸し借りを制御する部分である。
他の構成要素は実施形態1のものと同様で良い。
【0057】
番組コンテンツレンタル処理の流れは以下のようになる。
[1]番組コンテンツレンタルの要否の通知
例えば、番組配信リスト51には12:00から番組コンテンツDを配信するように記述されているとする。
番組コンテンツレンタル制御部60は、近時の番組配信についての準備処理を制御する。具体的には所定の時間余裕、例えば、6時間などの時間余裕を設定し、6時間後に配信すべき番組コンテンツがファイル記憶部11内に存在しているか否かをチェックする。ここでは例えば番組配信リスト51において現時刻から時間余裕の6時間後には番組コンテンツDの配信が予定されていることを検知し、記憶部20内に番組コンテンツDに対応するエンコード済ファイルDが存在しているか否かがチェックされる。
6時間後に配信すべき番組コンテンツDに対応するエンコード済みファイルがファイル記憶部11内に存在しておれば問題なく、実施形態1に記述した処理手順に従い、現在時刻に合わせて配信すべきデータがストリーミングサーバ30を介してクライアントシステムに対してストリーミング配信される。
しかし、番組コンテンツDに対応するエンコード済ファイルDがファイル記憶部11内に存在していない場合、番組コンテンツレンタル制御部60は番組コンテンツDのレンタルが必要であることを検知する。
【0058】
[2]番組コンテンツの問い合わせ、レンタルの申し込み
番組コンテンツレンタル制御部60はネットワーク上の他の番組配信システムに対して番組コンテンツD(エンコード済ファイルD)を保持しているか問い合わせる。ネットワーク上の番組配信システムのうち番組コンテンツDを保持している番組配信システムは、番組コンテンツDを保持している旨の回答を返す。番組コンテンツレンタル制御部60は番組コンテンツDのレンタル申し込みを発信し、番組コンテンツDのエンコード済ファイルDのファイル転送を要求する。
【0059】
[3]番組コンテンツのエンコード済ファイルの受信
番組コンテンツレンタル制御部60はネットワークを介して番組コンテンツDのエンコード済ファイルDのファイル転送を受ける。
【0060】
[4]番組コンテンツのエンコード済ファイルの記憶部への格納
番組コンテンツレンタル制御部60は、依頼を出した番組コンテンツDのエンコード済ファイルDのファイル転送を受け、ファイル記憶部11に格納する。
このように番組コンテンツデータの貸し借りを通じ、現在時刻から所定の余裕時間、例えば6時間以内の番組配信リスト51中に記述されているすべての番組コンテンツのエンコード済ファイルの入手が完了する。
現在時刻から6時間経過後、番組コンテンツDのストリーミング配信の時間となれば、実施形態1に記述した処理手順に従い、現在時刻に合わせて配信すべきデータがストリーミングサーバ30を介してクライアントシステムに対してストリーミング配信される。
【0061】
次に、一般には番組コンテンツの貸し借りは貸し借りを行なった番組配信システム間で利害調整を行なう必要がある。そこで、課金サーバ70を設け、両者間の課金を制御する構成も可能である。
図14は実施形態4にかかる番組配信システムの構成において課金サーバ70を設けた例を示す図である。
番組配信システム103aは課金サーバ70を備えている。
課金サーバ70は番組コンテンツレンタル制御部60による番組配信システム間の番組コンテンツのレンタル条件を管理し、両者間の課金を制御する部分である。番組コンテンツのレンタル条件は特に限定されないが、例えば、番組コンテンツごとにレンタル条件が定められている。例えば「2時間の番組コンテンツDについて配信一回あたり30万円」などである。この構成例では課金サーバ70はレンタル条件記憶部72を備え、番組コンテンツごとのレンタル条件を管理・記憶している。
課金サーバ70は番組コンテンツを借り受けた番組配信システムに対して、番組コンテンツのレンタル条件に応じた課金を行い、番組コンテンツを貸し与えた番組配信システムに代わって料金を徴収する。この構成例では課金サーバ70は勘定ファイル記憶部を備え、番組配信システム間の料金の貸借記録を管理・記憶している。例えば、所定の期間ごとに番組配信システム間の貸借を決済する。金銭的な決済はいわゆる電子商取引のプロトコルに従い、ネットワーク上で電子決済しても良く、また、借方に対して料金の支払い請求書を送り、貸方に対して金融機関において料金の振込みを促す取り扱いとしても良い。
【0062】
なお、上記の構成例は、図6に示した本発明の第1の番組配信システムの構成例に対して番組コンテンツレンタル制御部60を備えた構成例となっているが、図9に示した本発明の第2の番組配信システムの構成例、図11に示した本発明の第3の番組配信システムの構成例に対して番組コンテンツレンタル制御部60を備えた構成例も可能である。
図9に示した本発明の第2の番組配信システムの構成例に適用する場合、番組コンテンツ制御部60はファイル記憶部11に代え、ファイル編集部23に対して、レンタルした番組コンテンツファイルの格納を行ない、ファイル編集部23は実施形態2に示した手順に従い、ファイル構造の解析、ヘッダ・フッタの除去、番組配信リストに従った番組コンテンツの並び替えなどの処理を実行する。
図11に示した本発明の第3の番組配信システムの構成例に適用する場合、番組コンテンツ制御部60に関しては上記の第1の番組配信システムの構成例への適用と同様で良い。
【0063】
以上、本発明の番組配信システムにおける好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は番組配信システムに適用することができる。特に、インターネットを利用したインターネット放送などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ヘッダが存在する場合、レートが異なる場合の番組コンテンツの谷間での黒みの発生の理由を説明する図
【図2】本発明の番組配信システムにおけるストリーミング配信での番組コンテンツの谷間での再生表示状態を説明する図
【図3】本発明の第1の番組配信システムの概念を説明する図
【図4】本発明の第2の番組配信システムの概念を説明する図
【図5】本発明の第3の番組配信システムの概念を説明する図
【図6】本発明の実施形態1にかかる番組配信システムの構成を模式的に示した図
【図7】実施形態1にかかる番組配信システムのセンタシステムを中心とした処理の流れを示すフローチャート
【図8】本発明の第1の番組配信システムにおいてストリーミング配信とクライアントコンピュータでの再生処理を模式的に示す図
【図9】本発明の実施形態2にかかる番組配信システムの構成を模式的に示した図
【図10】実施形態2にかかる番組配信システムのセンタシステムを中心とした処理の流れを示すフローチャート
【図11】本発明の実施形態3にかかる番組配信システムの構成を模式的に示した図
【図12】実施形態3にかかる番組配信システムのセンタシステムを中心とした処理の流れを示すフローチャート
【図13】実施形態4にかかる番組配信システム103の構成を示す図
【図14】実施形態4にかかる番組配信システムの構成において課金サーバ70を設けた例を示す図
【図15】従来のストリーミング配信型の番組コンテンツデータの配信の流れを模式的に示した図
【図16】従来のストリーミング配信技術においてバッファリング発生する理由を模式的に示す図
【符号の説明】
【0066】
10 ファイル記憶部
11 編集ファイル記憶部
21,24 デコード部
22,25 統一規約再エンコード部
23 ファイル編集部
30 配信制御部
40 ストリーミングサーバ
50 配信リスト管理部
51 番組配信リスト
60 番組コンテンツレンタル制御部
70 課金サーバ
80 広告販売制御部
100,101,102 センタシステム
200,201,202 ローカルシステム
210,211 統一規約エンコード部
212 個別規約エンコード部
300 クライアントシステム
310 再生ソフトウェア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートを含む統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード部を備え、前記統一規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムと、
番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、
個々の前記ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、管理・記憶する記憶部と、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、
前記配信制御部から渡されたデータをデコード処理するデコード部と、
前記デコード部によりデコードされたデータを統一された音声レートと映像レートを含む統一規約に従って再びエンコード処理する再エンコード部と、
前記再エンコード部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えたセンタシステムとを備えた番組配信システム。
【請求項2】
前記配信リスト管理部が前記番組配信リストを動的に編集・変更した場合、前記配信制御部が前記編集・変更にかかる番組配信リストに従って番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す請求項1に記載の番組配信システム。
【請求項3】
すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートとファイル構造とを含む統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード部を備え、前記統一規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムと、
番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、
個々の前記ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、そのファイル構造を解析してヘッダおよびフッタを除外し、前記番組配信リストに従い、個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶するファイル編集部と、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、
前記配信制御部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えたセンタシステムとを備えた番組配信システム。
【請求項4】
前記配信リスト管理部が前記番組配信リストを動的に編集・変更した場合、前記ファイル編集部が前記編集・変更にかかる番組配信リストに従って個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶し、前記配信制御部が前記編集・変更にかかる番組配信リストに従って番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す請求項3に記載の番組配信システム。
【請求項5】
個々のローカルシステムに固有に与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートを含む個別規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード部を備え、前記個別規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムと、
番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、
個々の前記ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、管理・記憶する記憶部と、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、
前記配信制御部から渡されたデータをデコード処理するデコード部と、
前記デコード部によりデコードされたデータを統一された音声レートと映像レートを含む統一規約に従って再びエンコード処理する再エンコード部と、
前記再エンコード部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えたセンタシステムとを備えた番組配信システム。
【請求項6】
前記配信リスト管理部が前記番組配信リストを動的に編集・変更した場合、前記配信制御部が前記編集・変更にかかる番組配信リストに従って番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す請求項5に記載の番組配信システム。
【請求項7】
前記記憶部にない番組コンテンツデータについて、前記番組コンテンツデータを保有するネットワーク上の他の番組配信システムに対してレンタル要求を動的に送信し、当該番組配信システムからファイル転送によりエンコード済みの前記番組コンテンツデータを借り受ける番組コンテンツレンタル制御部を備え、前記番組コンテンツレンタル制御部がネットワーク上の他の番組配信システムから前記番組コンテンツデータを借り受け、前記記憶部に格納する請求項1から6のいずれかに記載の番組配信システム。
【請求項8】
前記番組コンテンツレンタル制御部による番組配信システム間の番組コンテンツデータのレンタル条件を管理し、両者間の課金を制御する課金サーバを備え、前記課金サーバが、前記番組コンテンツデータを借り受けた番組配信システムに対して番組コンテンツデータのレンタル条件に応じた課金を行う請求項7に記載の番組配信システム。
【請求項9】
前記配信リスト管理部の番組配信リストが広告コンテンツデータの配信予定も含み、前記動的連続エンコード制御部が現在時刻に合わせて配信すべき広告コンテンツデータを前記所定エンコードレートに動的に変換しつつ連続供給してゆく請求項1から8のいずれかに記載の番組配信システム。
【請求項10】
番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、
個々のローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、管理・記憶する記憶部と、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、
前記配信制御部から渡されたデータをデコード処理するデコード部と、
前記デコード部によりデコードされたデータを統一された音声レートと映像レートを含む統一規約に従って再びエンコード処理する再エンコード部と、
前記再エンコード部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えた番組配信センタシステム。
【請求項11】
番組配信リストを編集・記憶する配信リスト管理部と、
個々のローカルシステムにおいてすべてのローカルシステムに共通して与えられているエンコード処理の音声レートと映像レートとファイル構造とを含む統一規約に従ってエンコードされ、当該ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、そのファイル構造を解析してヘッダおよびフッタを除外し、前記番組配信リストに従い、個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶するファイル編集部と、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御部と、
前記配信制御部から供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバとを備えた番組配信センタシステム。
【請求項12】
前記記憶部にない番組コンテンツデータについて、前記番組コンテンツデータを保有するネットワーク上の他の番組配信システムに対してレンタル要求を動的に送信し、当該番組配信システムからファイル転送によりエンコード済みの前記番組コンテンツデータを借り受ける番組コンテンツレンタル制御部を備え、前記番組コンテンツレンタル制御部がネットワーク上の他の番組配信システムから前記番組コンテンツデータを借り受け、前記記憶部に格納する請求項10または11に記載の番組配信センタシステム。
【請求項13】
前記番組コンテンツレンタル制御部による番組配信システム間の番組コンテンツデータのレンタル条件を管理し、両者間の課金を制御する課金サーバを備え、前記課金サーバが、前記番組コンテンツデータを借り受けた番組配信システムに対して番組コンテンツデータのレンタル条件に応じた課金を行う請求項12に記載の番組配信センタシステム。
【請求項14】
前記配信リスト管理部の番組配信リストが広告コンテンツデータの配信予定も含み、前記動的連続エンコード制御部が現在時刻に合わせて配信すべき広告コンテンツデータを前記所定エンコードレートに動的に変換しつつ連続供給してゆく請求項10から13のいずれかに記載の番組配信センタシステム。
【請求項15】
すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートを含む統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード処理ステップを備え、前記統一規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムプログラムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムプログラムと、
番組配信リストを編集・記憶する配信管理処理ステップと、
個々の前記ローカルシステムプログラムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、記憶部に管理・記憶する記憶処理ステップと、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御処理ステップと、
前記配信制御処理ステップから渡されたデータをデコード処理するデコード処理ステップと、
前記デコード処理ステップによりデコードされたデータを統一された音声レートと映像レートを含む統一規約に従って再びエンコード処理する再エンコード処理ステップと、
前記再エンコード処理ステップから供給されるデータをストリーミング配信するストリーミングサーバ処理ステップとを備えたセンタシステムプログラムとを備えた番組配信プログラム。
【請求項16】
すべてのローカルシステムに共通して与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートとファイル構造とを含む統一規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード処理ステップを備え、前記統一規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムプログラムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムプログラムと、
番組配信リストを編集・記憶する配信管理処理ステップと、
個々の前記ローカルシステムプログラムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、そのファイル構造を解析してヘッダおよびフッタを除外し、前記番組配信リストに従い、個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶するファイル編集処理ステップと、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御処理ステップと、
前記配信制御処理ステップから供給されるデータをストリーミング配信するストリーミング処理ステップとを備えたセンタプログラムとを備えた番組配信プログラム。
【請求項17】
個々のローカルシステムに固有に与えられたエンコード処理の音声レートと映像レートを含む個別規約に従って個々の番組コンテンツデータの原ファイルをエンコード処理するエンコード処理ステップを備え、前記個別規約に従ったエンコード処理後のエンコード済ファイルをネットワークを介してセンタシステムプログラムにアップロードする少なくとも一つのローカルシステムプログラムと、
番組配信リストを編集・記憶する配信管理処理ステップと、
個々の前記ローカルシステムプログラムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、記憶部に管理・記憶する記憶処理ステップと、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御処理ステップと、
前記配信制御処理ステップから渡されたデータをデコード処理するデコード処理ステップと、
前記デコード処理ステップによりデコードされたデータを統一された音声レートと映像レートを含む統一規約に従って再びエンコード処理する再エンコード処理ステップと、
前記再エンコード処理ステップから供給されるデータをストリーミング配信するストリーミング処理ステップとを備えたセンタシステムプログラムとを備えた番組配信プログラム。
【請求項18】
番組配信リストを編集・記憶する配信管理処理ステップと、
個々のローカルシステムプログラムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、そのファイル構造を解析してヘッダおよびフッタを除外し、前記番組配信リストに従い、個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶するファイル編集処理ステップと、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御処理ステップと、
前記配信制御処理ステップから供給されるデータをストリーミング配信するストリーミング処理ステップとを備えた番組配信センタプログラム。
【請求項19】
番組配信リストを編集・記憶する配信管理処理ステップと、
個々のローカルシステムにおいてすべてのローカルシステムに共通して与えられているエンコード処理の音声レートと映像レートとファイル構造とを含む統一規約に従ってエンコードされ、当該ローカルシステムからアップロードされた個々のエンコード済ファイルを受け取り、そのファイル構造を解析してヘッダおよびフッタを除外し、前記番組配信リストに従い、個々の番組コンテンツデータ本体部分のみを動的に並べてシームレスなファイルとして編集し、記憶部に記憶するファイル編集処理ステップと、
前記番組配信リストと現在時刻に合わせて配信すべき番組コンテンツデータの該当部分のデータを前記記憶部から読み出す配信制御処理ステップと、
前記配信制御処理ステップから供給されるデータをストリーミング配信するストリーミング処理ステップとを備えた番組配信センタプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−110243(P2007−110243A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296739(P2005−296739)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(301066349)株式会社シービット (2)
【Fターム(参考)】