説明

発光素子の駆動装置

【課題】 制御手段に1つの制御ポートを設けるだけで、発光素子を少なくも第1〜第3の状態に制御する。
【解決手段】 発光素子の駆動装置は、発振動作周期が第1周期に設定されており、第1状態において、第1周期のパルス信号を出力することにより、発光素子214を第1周期で点滅させる無安定マルチバイブレータ203と、第2状態において、第2周期のパルス信号を供給することにより、発光素子214を第2周期で点滅させ、かつ、第3状態において、常にローレベルの信号を供給することにより、発光素子214を常時点灯させるマイコン201とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PCと、OSを有する周辺機器(PC用のアンプ内蔵スピーカー)と、を備えるシステムにおいて、以下の4つの状態を周辺機器に設けられた1つのLEDを使用して、ユーザに告知することが要求されている。第1状態は周辺機器のOSが起動中の状態であり、第1周期でLEDを点滅させる。第2状態は周辺機器のOSが起動完了したが、周辺機器とルータとの通信が未確立の状態であり、第2周期でLEDを点滅させる。第3状態は周辺機器とルータとの通信が確立した状態であり、LEDを点灯させる。第4状態は周辺機器の電源オフ状態(スタンバイ状態)であり、LEDを消灯する。
【0003】
従来技術において、LEDの4つの状態を制御するためにはマイコンに少なくとも2つの制御ポートを設ける必要がある。1つ目の制御ポートは、LEDの点灯/消灯を制御する(つまり、第3状態と第4状態とを切り替えるための)ポートである。2つ目の制御ポートは、LEDの点滅の周期を制御する(つまり、第1状態と第2状態とを切り替えるための)ポートである。ここで、マイコンに1つの制御ポートを設けるだけで上記の4つの状態を制御する技術が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−85171号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、制御手段に1つの制御ポートを設けるだけで、発光素子を少なくも上記第1〜第3の状態に制御することができる発光素子の駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態による発光素子の駆動装置は、発光素子を第1周期で点滅させる第1状態と、前記発光素子を前記第1周期とは異なる第2周期で点滅させる第2状態と、前記発光素子を点灯させる第3状態とを含み、発振動作周期が前記第1周期に設定されており、前記第1状態において、前記第1周期のパルス信号を出力することにより、前記発光素子を前記第1周期で点滅させる無安定マルチバイブレータと、前記第2状態において、前記第2周期のパルス信号を供給することにより、前記発光素子を前記第2周期で点滅させ、かつ、前記第3状態において、常に一方レベルの信号を供給することにより、前記発光素子を常時点灯させる制御手段とを備える。
【0007】
本実施形態によると、第1状態においては、無安定マルチバイブレータの発振動作の周期である第1周期で発光素子を点滅させることができる。第2状態においては、制御手段から出力されるパルス信号の周期である第2周期で発光素子を点滅させることができる。第3周期においては、制御手段が常に一方のレベルの信号を出力することによって、発光素子を常時点灯させることができる。従って、制御手段に1つの制御ポートを設けるだけで、発光素子を少なくも上記第1〜第3の状態に制御することができる。
【0008】
好ましい実施形態においては、前記無安定マルチバイブレータが、第1NAND回路、第2NAND回路、第1抵抗および第1コンデンサを含み、前記第1NAND回路の第1入力端子が、前記第1抵抗を介して前記第1NAND回路の出力端子と前記第2NAND回路の第1入力端子とに接続され、かつ、前記第1コンデンサを介して前記第2NAND回路の出力端子に接続され、前記第2NAND回路の第2入力端子には、前記第1状態において前記制御手段から常にハイレベルの信号が供給され、かつ、前記第2状態において前記制御手段から前記第2周期のパルス信号が供給され、かつ、前記第3状態において前記制御手段から常にローレベルの信号が供給され、前記第1周期が前記第1抵抗と前記第1コンデンサとによって決定される。
【0009】
この場合、無安定マルチバブレータの第1抵抗と第1コンデンサとの値を適宜設定することによって、第1周期を調整することができる。また、第1状態において、第2NAND回路の第2入力端子に制御手段から常にハイレベルの信号が供給されるので、無安定マルチバブレータの発振動作によって第1周期のパルス信号を出力することができる。また、第2状態において、第2NAND回路の第2入力端子に制御手段から第2周期のパルス信号が供給されるので、第2周期のパルス信号を反転した信号を出力することができる。また、第3状態において、第2NAND回路の第2入力端子に制御手段から常にローレベルの信号が供給されるので、常にハイレベルの信号を出力することができる。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記第2状態において、前記第2NAND回路の前記第1入力端子に常にハイレベルの信号を供給させることにより、前記無安定マルチバイブレータの発振動作の影響を無効化させ、前記第2NAND回路の出力端子から、前記制御手段から供給される前記第2周期のパルス信号を反転させたパルス信号を出力させる無効化手段をさらに備える。
【0011】
この場合、第2状態において、第2NAND回路の第1入力端子に常にハイレベルの信号を供給することによって、無安定マルチバイブレータの発振動作の影響を無効化させることができる。従って、第2NAND回路の出力端子から、制御手段から供給される第2周期のパルス信号を反転させたパルス信号を確実に出力させることができる。
【0012】
好ましい実施形態においては、前記無効化手段が、第2コンデンサを有し、前記第2状態において、前記第2周期のパルス信号がハイレベルのときに電源電圧に基づいて前記第2コンデンサが充電され、前記第2周期のパルス信号がローレベルのときに前記第2コンデンサの充電電圧が放電される時定数回路と、直列接続された第3NAND回路と第4NAND回路とを有し、前記第2状態において、前記第2コンデンサの充電電圧が前記第3NAND回路の入力端子に供給され、前記第4NAND回路の出力端子からの出力信号を前記第1NAND回路の第2入力端子に供給する安定化回路とを有し、前記第2コンデンサの充電電圧が前記第3NAND回路の閾値電圧に達する前に前記第2周期のパルス信号がハイレベルからローレベルに反転するように、前記時定数回路の時定数が設定されており、前記第4NAND回路の出力端子から前記第1NAND回路の第1入力端子に常にローレベルの信号が供給される。
【0013】
この場合、第2コンデンサの充電電圧が第3NAND回路の閾値電圧に達する前に第2周期のパルス信号がハイレベルからローレベルに反転するように、時定数回路の時定数が設定されているので、第4NAND回路の出力端子から第1NAND回路の第1入力端子に常にローレベルの信号が供給され、その結果、第2NAND回路の第1入力端子に常にハイレベルの信号を供給することができる。
【発明の効果】
【0014】
制御手段に1つの制御ポートを設けるだけで、発光素子を少なくも上記第1〜第3の状態に制御することができる発光素子の駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい実施形態による発光素子の駆動装置を有するシステムを示すブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による発光素子の駆動装置を示す概略回路図である。
【図3】本発明の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態による駆動回路を含むシステムを示すブロック図である。このシステムは、PC(パーソナルコンピュータ)100と、PC100の周辺機器200と、ルータ300とを備える。PC100と周辺機器200とは、例えば無線LAN等の通信規格を使用して、ルータ300経由で相互に通信する。ここで、通信するとは、情報、データ、コマンド等を送信または受信することである。周辺機器200は、特に限定されないが、アンプ内蔵スピーカー等のオーディオ機器である。
【0017】
PC100は、CPU101と、HDD(ハードディスクドライブ)102と、メモリ103と、通信部104とを有する。CPU101は、HDD102にインストールされているプログラムをメモリ103に展開して実行することによって、PC100の各処理を実行する。通信部104は、ルータ300を介して周辺機器200と接続し、周辺機器200のマイコン201と通信する。
【0018】
周辺機器200は、マイコン(制御手段)201と、メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)202と、発光素子(LED)と、駆動回路203と、通信部204とを有する。マイコン201と駆動回路203とは、本発明の発光素子の駆動装置を構成する。フラッシュメモリには、OS(オペレーティングシステム)がインストールされている。マイコン201は、OSや他のプログラムを読み出して実行することによって、周辺機器200全体を制御する。通信部204は、ルータ300経由でPC100と接続し、PC100のCPU101と通信する。
【0019】
駆動回路203は、LEDの発光状態を制御することによって4つの状態をユーザに告知する。第1状態は周辺機器200のOSが起動中の状態であり、第1周期でLEDを点滅させる。第2状態は周辺機器200のOSが起動完了しているが、周辺機器200とルータ300との通信が未確立の状態であり、第2周期でLEDを点滅させる。第2周期は、第1周期と異なっており、好ましくは第1周期よりも小さい。第3状態は周辺機器200とルータ300との通信が確立した状態であり、LEDを常時点灯させる。第4状態は周辺機器200の電源オフ状態(詳細にはスタンバイ状態)であり、LEDを消灯する。スタンバイ状態とは、マイコン201(及び必要に応じてその周辺回路)のみに電源電圧を供給する状態である。
【0020】
マイコン201は1つのみの制御ポートPctrを有する。駆動回路203とマイコン201とが協働することによって、マイコン201が1つのみの制御ポートPctrを有するだけで、上記4つ状態を実現することができる。すなわち、第1状態においては、マイコン201は、常に他方レベルの信号(例えばハイレベルの信号)を出力し、駆動回路203が有する無安定マルチバイブレータが発振動作を実行することによって、第1周期のパルス信号を出力し、LEDを第1周期で点滅させる。つまり、無安定マルチバイブレータの発振動作の周期が第1周期に設定されている。第2状態において、マイコン201は、第2周期のパルス信号を供給することにより、LEDを第2周期で点滅させる。第3状態において、マイコン201は、常に一方レベルの信号(例えばローレベルの信号)を供給することにより、LEDを常時点灯させる。
【0021】
また、マイコン201は、上記4つの状態を判別し、4つの状態に応じた各種処理を実行し、4つの状態に応じて制御ポートPctrから出力する信号を変化させる。
【0022】
図2は、駆動回路203を示す概略回路図である。駆動回路203は、LED214の発光動作を制御する。駆動回路203は、無安定マルチバイブレータ211と、時定数回路212と、安定化回路213と、LED214制御用のトランジスタQ1とを概略有する。時定数回路212と安定化回路213とは、無効化手段を構成する。
【0023】
無安定マルチバイブレータ211は、第1状態において、マイコン201から常に他方レベル(ハイレベル)の信号が供給され、発振動作を実行することにより、LED214を第1周期で点滅させる回路である。また、無安定マルチバイブレータ211は、第2状態においては、後述するNAND回路ND2の入力端子in1に常にハイレベルの信号が入力されることによって、NAND回路ND2の入力端子in2にマイコン201から供給されるハイレベルおよびローレベルを交互に繰り返す第2周期のパルス信号を反転したパルス信号を出力し、LED214を第2周期で点滅させる。また、無安定マルチバイブレータ211は、第3状態においては、マイコン201から常に一方レベル(ローレベル)の信号が供給されることにより、常に他方レベル(ハイレベル)の信号を出力し、LED214を常時点灯させる。
【0024】
無安定マルチバイブレータ211は、NAND回路ND1、ND2と、抵抗Rin、R1と、コンデンサC1とを含む。
【0025】
NAND回路ND1の入力端子in1は、抵抗Rin、R1を介してNAND回路ND1の出力端子に接続され、かつ、抵抗Rin、コンデンサC1を介してNAND回路ND2の出力端子に接続されている。NAND回路ND1の入力端子in2は、抵抗Rfと、NAND回路ND4の出力端子とに接続されている。NAND回路ND1の出力端子は、NAND回路ND2の入力端子in1に接続されている。NAND回路ND2の入力端子in2は、ダイオードD1のカソードと、プルアップ抵抗Rpuと、マイコン201の制御ポートPctrとに接続されている。NAND回路ND2の出力端子は、抵抗Rbを介してトランジスタQ1のベースに接続されている。抵抗R1とコンデンサC1とによって、第1周期が決定されている。抵抗Rinは、NAND回路ND1の入力保護用の抵抗であり、本発明にとって必須ではない。
【0026】
無効化手段は、第2状態において、マイコン201からの第2周期のパルス信号に基づいてLED214を点滅させる際に、NAND回路ND2の入力端子in1に常にハイレベルの信号を供給させることにより、無安定マルチバイブレータ211の発振動作を無効化させる。これにより、無安定マルチバイブレータ211の発振動作の影響を受けることなく、NAND回路ND2の出力端子から、第2周期のパルス信号を反転させたパルス信号をトランジスタQ1のベースに出力することができる。
【0027】
時定数回路212は、コンデンサC2、抵抗R2、および、ダイオードD1を含む。時定数回路212は、第2周期のパルス信号および電源電圧VCCが供給され、第2周期のパルス信号がハイレベルのときに電源電圧VCCに基づいてコンデンサC2が充電され、第2周期のパルス信号がローレベルのときにコンデンサC2の充電電圧が放電される。
【0028】
コンデンサC2は、一端が抵抗R2の一端と、抵抗Rfの一端と、ダイオードD1のアノードと、NAND回路ND3の両入力端子とに接続され、その他端が接地電位に接続されている。抵抗R2の他端は、電源電圧VCCのラインと、抵抗Rpuの一端とに接続されている。ダイオードD1のカソードは、抵抗Rpuの他端と、マイコン201の制御ポートPctrとに接続されている。
【0029】
安定化回路213は、直列接続されたNAND回路ND3と、NAND回路ND4とを有する。安定化回路213は、コンデンサC2の充電電圧がNAND回路ND3の両入力端子に供給され、NAND回路ND4の出力端子からの出力信号をNAND回路ND1の入力端子in2に供給する。
【0030】
NAND回路ND3は、両入力端子が、コンデンサC2の一端に接続され、出力端子がNAND回路ND4の両入力端子に接続されている。NAND回路ND4の出力端子は、NAND回路ND1の入力端子in2と抵抗Rfとに接続されている。
【0031】
時定数回路212において、コンデンサC2の充電電圧がNAND回路ND3の閾値電圧に達する前に第2周期のパルス信号がハイレベルからローレベルに反転するように、時定数回路212の時定数が設定されており、その結果、NAND回路ND4の出力端子からNAND回路ND1の入力端子in1に常にローレベルの信号が供給される。その結果、NAND回路ND2の入力端子in1には常にハイレベルの信号が供給されて、無安定マルチバイブレータ211の発振動作の影響を無効化させることができる。
【0032】
なお、抵抗Rfは、NAND回路ND3、ND4の閾値電圧にヒステリシスを持たせるための抵抗であり、NAND回路ND3の入力端子と、NAND回路ND4の出力端子との間に接続されている。
【0033】
トランジスタQ1は、ベースが抵抗Rbを介してNAND回路ND2の出力端子に接続され、コレクタが抵抗Rcを介してLED214のカソードに接続され、エミッタが接地電位に接続されている。LED214は、カソードが抵抗Rcに接続され、アノードが電源電圧VCCのラインに接続されている。
【0034】
次に、本発明の動作を説明する。
【0035】
[第1状態]
第1状態においては、周辺機器200のOSは起動中である。マイコン201の制御ポートPctrからは常に他方レベル(ハイレベル)の信号が供給される。ハイレベルの信号はNAND回路ND2の入力端子in2に供給されるので、NAND回路ND2は、入力端子in1に入力される信号に応じて出力端子から信号を出力する。つまり、無安定マルチバイブレータ211の発振動作の周期に従ったパルス信号が出力される。
【0036】
無安定マルチバイブレータ211は、抵抗R1およびコンデンサC1で決まる第1周期で、NAND回路ND2からハイレベルおよびローレベルを交互に繰り返すパルス信号を出力する。詳細には、NAND回路ND1の出力端子は抵抗R1、Rinを介して入力端子in1に接続されているので、出力端子の電圧と入力端子in1の電圧とは共にVCC/2になろうとする。しかし、若干の電圧のずれによって、例えばNAND回路ND1の出力端子の電圧が入力端子in1の電圧に対して少し高くなると、NAND回路ND2の出力端子の電圧がローレベルになる。コンデンサC1を介してNAND回路ND2の出力端子に接続されているNAND回路ND1の入力端子in1の電圧がローレベルになる。
【0037】
その後、抵抗R1の作用によって、NAND回路ND1の入力端子in1の電圧がローレベルからVCC/2になる。同時に、NAND回路ND1の出力端子の電圧は、ハイレベルからVCC/2になり、NAND回路ND2の出力端子の電圧は、ローレベルからVCC/2に変化する。そのとき、NAND回路ND2の出力端子の電圧が、コンデンサC1を介してNAND回路ND1の入力端子in1の電圧を上昇させる方向に働くので、NAND回路ND1の入力端子in1の電圧はハイレベルになり、NAND回路ND1の出力端子の電圧はローレベルとなる。その結果、NAND回路ND2の出力端子の電圧はハイレベルとなる。
【0038】
その後、抵抗R1の作用によって、NAND回路ND1の入力端子in1の電圧がハイレベルからVCC/2になる。同時に、NAND回路ND1の出力端子の電圧は、ローレベルからVCC/2になり、NAND回路ND2の出力端子の電圧は、ハイレベルからVCC/2に変化する。そのとき、NAND回路ND2の出力端子の電圧が、コンデンサC1を介してNAND回路ND1の入力端子in1の電圧を下降させる方向に働くので、NAND回路ND1の入力端子in1の電圧はローレベルになり、NAND回路ND1の出力端子の電圧はハイレベルとなる。その結果、NAND回路ND2の出力端子の電圧はローレベルとなる。これが、無安定マルチバイブレータ211の発振動作である。
【0039】
NAND回路ND2からの第2周期のパルス信号がハイレベルのとき、トランジスタQ1はオン状態になるので、電源電圧VCCからLED214に電流が流れて、LED214が点灯する。一方、NAND回路ND2からの第2周期のパルス信号がローレベルのとき、トランジスタQ1はオフ状態になるので、電源電圧VCCからLED214に電流が流れず、LED214が消灯する。従って、無安定マルチバイブレータ211の発振動作の第1周期に従って、LED214を点滅させることができる。
【0040】
[第2状態]
マイコン201の制御ポートPctrから駆動回路203に、ハイレベルとローレベルとを第2周期で交互に繰り返すパルス信号を供給される。このパルス信号は、無安定マルチバイブレータ211のNAND回路ND2の入力端子in2に入力され、かつ、時定数回路212のダイオードD1のカソードに供給される。
【0041】
図3は、第2状態の動作を示すタイムチャートであり、Pctrはマイコン201の制御ポートPctrから出力される第2周期のパルス信号を示し、C2はコンデンサC2の充電電圧を示し(VthはNAND回路ND3の閾値電圧を示し)、ND2(out)はNAND回路ND2から出力される信号を示す。
【0042】
時刻t1に第2周期のパルス信号がローレベルからハイレベルに反転すると、電源電圧Vccから抵抗R2を介してコンデンサC2に電流が流れ、コンデンサC2を充電し、コンデンサC2の充電電圧が徐々に増加する(t1〜t2)。しかし、コンデンサC2の充電電圧がNAND回路ND3の閾値電圧に達する前にパルス信号がハイレベルからローレベルに反転するように、抵抗R2とコンデンサC2とで決定される時定数が設定されている。従って、時刻t2において、コンデンサC2の充電電圧がNAND回路ND3の閾値電圧Vthに達する前に、第2周期のパルス信号はハイレベルからローレベルに反転する。すると、コンデンサC2の充電電圧は、ダイオードD1のアノードからカソードに向かって瞬時に放電され、電圧が低下する。時定数回路212は、この動作を繰り返す。
【0043】
安定化回路213は、NAND回路ND3の両入力端子に、図3に示すコンデンサC2の充電電圧が供給される。しかし、コンデンサC2の充電電圧は、常に、NAND回路ND3の閾値電圧Vth未満である。従って、NAND回路ND3は、常に、ハイレベルの信号をNAND回路ND4の両入力端子に供給する。NAND回路ND4は、NAND回路ND3からハイレベルの信号が入力されることにより、常に、ローレベルの信号を無安定マルチバイブレータ211のNAND回路ND1の入力端子in2に出力する。
【0044】
無安定マルチバイブレータ211は、NAND回路ND1の入力端子in2に常時、ローレベルの信号が供給されることにより、NAND回路ND1の出力端子から常にハイレベルの信号を出力する。従って、NAND回路ND2の入力端子in1には、常にハイレベルの信号が入力される。一方、NAND回路ND2の入力端子in2にはマイコン201から第2周期のパルス信号が入力されている。従って、NAND回路ND2の出力端子からは、第2周期のパルス信号を反転させたパルス信号がトランジスタQ1のベースに出力される。
【0045】
NAND回路ND2からのパルス信号がハイレベルのとき、トランジスタQ1はオン状態になるので、電源電圧VCCからLED214に電流が流れて、LED214が点灯する。一方、NAND回路ND2からのパルス信号がローレベルのとき、トランジスタQ1はオフ状態になるので、電源電圧VCCからLED214に電流が流れず、LED214が消灯する。従って、マイコン201からのパルス信号の第2周期によって、LED214を点滅させることができる。
【0046】
ここで、時定数回路212および安定化回路213の機能について詳述する。時定数回路212および安定化回路213が設けられていない場合、無安定マルチバイブレータ211の発振動作によって、NAND回路ND1の入力端子in1にハイレベルの信号が供給される状態と、ローレベルの信号が供給される状態とが生じる。その結果、NAND回路ND2の入力端子in2にマイコン201から第2周期のパルス信号が入力されたとしても、NAND回路ND2の出力端子からトランジスタQ1のベースに出力される信号は正確に第2周期に同期した信号ではなくなってしまう可能性がある。そこで、時定数回路212および安定化回路213を設けることによって、NAND回路ND2の入力端子in1に常にハイレベルの信号を入力することが可能となり、無安定マルチバイブレータ211の発振動作の影響を無効化することできる。その結果、NAND回路ND2の出力端子から第2周期のパルス信号を反転した信号を確実に出力することができる。
【0047】
[第3状態]
マイコン201の制御ポートPctrから駆動回路203に、常にローレベルの信号が供給される。ローレベルの信号は、無安定マルチバイブレータ211のNAND回路ND2の入力端子in2に入力される。その結果、NAND回路ND2から出力される信号は常にハイレベルになる。従って、トランジスタQ1は常にオン状態になり、電源電圧VCCからLED214に電流が流れて、LED214は常時点灯する。
【0048】
[第4状態]
第4状態は周辺機器200が電源オフ(スタンバイ状態)であるので、電源電圧VCCが駆動回路203の各部やLED214に供給されない。従って、LED214には電流が流れることなく、LED214は常時消灯した状態である。
【0049】
以上ように、本実施形態によると、マイコンが1つの制御ポートを有するだけで、上記の4つの状態でLED214の発光動作を制御することができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。トランジスタの極性や信号のレベルは上記に限定されず、適宜変更することができる。例えば、トランジスタQ1にpnpトランジスタを使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、オーディオ機器の表示装置等に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0052】
100 PC
101 CPU
102 HDD
103 メモリ
104 通信部
200 周辺機器
201 マイコン
202 メモリ
203 駆動回路
204 通信部
211 無安定マルチバイブレータ
212 時定数回路
213 安定化回路
214 LED
300 ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を第1周期で点滅させる第1状態と、前記発光素子を前記第1周期とは異なる第2周期で点滅させる第2状態と、前記発光素子を点灯させる第3状態とを含み、
発振動作周期が前記第1周期に設定されており、前記第1状態において、前記第1周期のパルス信号を出力することにより、前記発光素子を前記第1周期で点滅させる無安定マルチバイブレータと、
前記第2状態において、前記第2周期のパルス信号を供給することにより、前記発光素子を前記第2周期で点滅させ、かつ、前記第3状態において、常に一方レベルの信号を供給することにより、前記発光素子を常時点灯させる制御手段とを備える、発光素子の駆動装置。
【請求項2】
前記無安定マルチバイブレータが、
第1NAND回路、第2NAND回路、第1抵抗および第1コンデンサを含み、
前記第1NAND回路の第1入力端子が、前記第1抵抗を介して前記第1NAND回路の出力端子と前記第2NAND回路の第1入力端子とに接続され、かつ、前記第1コンデンサを介して前記第2NAND回路の出力端子に接続され、
前記第2NAND回路の第2入力端子には、前記第1状態において前記制御手段から常にハイレベルの信号が供給され、かつ、前記第2状態において前記制御手段から前記第2周期のパルス信号が供給され、かつ、前記第3状態において前記制御手段から常にローレベルの信号が供給され、
前記第1周期が前記第1抵抗と前記第1コンデンサとによって決定される、請求項1に記載の発光素子の駆動装置。
【請求項3】
前記第2状態において、前記第2NAND回路の前記第1入力端子に常にハイレベルの信号を供給させることにより、前記無安定マルチバイブレータの発振動作の影響を無効化させ、前記第2NAND回路の出力端子から、前記制御手段から供給される前記第2周期のパルス信号を反転させたパルス信号を出力させる無効化手段をさらに備える、請求項2に記載の発光素子の駆動装置。
【請求項4】
前記無効化手段が、
第2コンデンサを有し、前記第2状態において、前記第2周期のパルス信号がハイレベルのときに電源電圧に基づいて前記第2コンデンサが充電され、前記第2周期のパルス信号がローレベルのときに前記第2コンデンサの充電電圧が放電される時定数回路と、
直列接続された第3NAND回路と第4NAND回路とを有し、前記第2状態において、前記第2コンデンサの充電電圧が前記第3NAND回路の入力端子に供給され、前記第4NAND回路の出力端子からの出力信号を前記第1NAND回路の第2入力端子に供給する安定化回路とを有し、
前記第2コンデンサの充電電圧が前記第3NAND回路の閾値電圧に達する前に前記第2周期のパルス信号がハイレベルからローレベルに反転するように、前記時定数回路の時定数が設定されており、前記第4NAND回路の出力端子から前記第1NAND回路の第1入力端子に常にローレベルの信号が供給される、請求項3に記載の発光素子の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−38287(P2013−38287A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174412(P2011−174412)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】