説明

発券ユニット

【課題】ロール紙の汚れや損傷を防ぐとともに、ロール紙巻体の脱着を行う作業者の受傷を防ぐことが可能な発券ユニットを提供する。
【解決手段】ロール紙5の巻体51を収納する巻体収納ユニット3と、ロール紙5に所定の情報を書き込み外部に排出する本体部2とからなり、巻体収納ユニット3の下部が回動軸4によって軸支され、回動軸4を中心に巻体収納ユニット3が背面側に一定角度回動して巻体51の脱着位置まで進出することで巻体51の脱着ができるように構成した発券ユニット1であって、回動軸4の背面側近傍のロール紙5を隠蔽するカバー6を備え、カバー6の基点部6aを巻体収納ユニット3または本体部2のうちいずれか一方に枢設し、他方の背面にカバー6の内面が摺動する摺動部7を設け、基点部6aを中心にカバー6を回動軸4側に回動させる方向に弾接する弾性付勢手段65を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車券の販売等に利用される自動券売機に用いられる発券ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、駅の自動券売機等に用いられる発券ユニットとして、前面の操作者により入力された情報に基づき、所定の情報を記録した券を発するものが多数使用されている。これらのものの多くは、内部にロール紙を保持しておき、これを引き出して一定の長さに切断し、文字や磁気等による情報の書き込みを行い、操作者側に排出されるようになっている。そして、もっぱら本発券ユニットのロール紙の補充やメンテナンスは、背面側から行われるようになっている。
【0003】
こうした発券ユニットのひとつとして、特許文献1に示すような方法で、ロール紙を保持したものが知られている。これは、ロール紙の巻体を回転自在に支持した支持手段を備えたロール紙収納ユニットの下部が、背面よりに設けられた軸体によって軸支され、ロール紙交換の際には当該ユニットごと上記軸体を中心に背面側に一定角度回動するようにして飛び出し、側面から上記支持手段に対するロール紙の脱着を行うことができるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−356252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発券ユニットの多くは、操作者による操作中に不意に紙切れを生じさせることがないように、ロール紙を当該ロール紙の支持手段の外方を巻き回すようにして引き出しパスを稼ぐように構成されているため、こうした構成も含め上述の特許文献1にかかる発券ユニットを具体化しようとすると、図7に示すような構成とすることが考えられる。
【0006】
すなわち、当該発券ユニット1は、ロール紙5の巻体51を回転自在に支持する支持手段31を具備した巻体収納ユニット3を備え、当該巻体収納ユニット3は背面側に回動するように飛び出すことが可能とされるとともに、当該巻体収納ユニット3の内部にはロール紙巻体51の外方に複数のガイドローラ32a、32b、32c、32dを設けて、このガイドローラ32a、32b、32c、32d間でロール紙5を引き回すようにしてパスを稼いだ後に、本体部2にロール紙5を引き込ませるように構成することが考えられる。
【0007】
このような発券ユニット1の本体部2では、図示しないローラやベルト等からなるロール紙5の搬送手段22によってロール紙5の搬送速度を制御しつつ、情報の書き込みや切断等の処理を行うことになる。他方、巻体収納ユニット3の内部におけるロール紙巻体51の支持手段31やガイドローラ32a、32b、32c、32dは、回転速度を制御せず、もっぱら本体部2に引き込まれるロール紙5によってもたらされる張力によって従動するように構成することが一般的である。
【0008】
そのため、ロール紙巻体51を交換した後には、手作業で巻体収納ユニット3からロール紙5を引き出し、本体部2の搬送手段22に引き込ませる作業が必要となる。こうした作業を背面側から行うことを可能とするために、巻体収納ユニット3の背面側下部には開口部35を設け、作業者はこの開口部35と本体部2との間で形成される空隙部8の内部にてロール紙5を確認し、これを把持した上で下側に設けられている本体部2のロール紙引き込み口21に挿入させる作業を行うことになる。
【0009】
しかしながら、近年では発券の高速化に伴ってロール紙5の搬送速度が上昇するとともに、急停止させるような制御が行われるようになってきた。そのため、ロール紙の搬送が急停止されても、ロール紙巻体51やガイドローラ32a、32b、32c、32dが慣性により回転してしまうことで、図8のように、ロール紙引き込み口21の上方でロール紙5にたるみが生じ、背面側に飛び出してしまう現象が生じるようになった。また、ロール紙5に対する印字や切断処理の都合上、一時的に通常の走行方向から逆方向にロール紙5を戻り動作させることもあり、こうした場合においても同様にロール紙5のたるみが生じることがある。
【0010】
このように、発券ユニット1の背面側に飛び出すようにしてロール紙5のたるみが生じた場合、背面側を通過する作業者や他の機器に触れることでロール紙5に汚れが付着したり、損傷を生じるとの問題が生じる可能性がある。表面に文字情報を記入し、裏面に磁気情報を書き込み発券する発券ユニット1においては、表面の印字部を上にして排出することが一般的であるため、前記空洞部8においてより繊細な取り扱いが必要であるはずの裏面の磁性体塗布面が外方に露出することとなり、上記の問題はより深刻な問題となって顕在化する。
【0011】
また、前記空隙部35は巻体収納ユニット3が背面側の脱着位置まで回動して飛び出した際には狭まることになるため、ここに作業者が誤って体の一部を入れてしまうと作業に支障を来す可能性がある。
【0012】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には巻体収納ユニット3が本体部2に対して背面まで回動して飛び出すことで、巻体の脱着を可能に構成した発券ユニット1において、ロール紙5の汚れや損傷を防止するとともに、作業者の受傷を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0014】
すなわち、本発明の発券ユニットは、ロール紙の巻体を回転自在に支持しつつ内部に収納する巻体収納ユニットと、当該巻体収納ユニットから前記ロール紙を引き込み、当該ロール紙に所定の情報を書き込んだ上で外部に排出する本体部とからなり、前記巻体収納ユニットの下部が、前記ロール紙のパスラインと直交方向に設けられた回動軸によって軸支され、当該回動軸を中心に前記巻体収納ユニットが背面側に一定角度回動して巻体の脱着位置まで進出することで、当該巻体収納ユニットの側面から前記巻体の脱着ができるように構成したものであって、前記巻体収納ユニットから引き出され、前記本体部に引き込まれるまでの間に露出する、前記回動軸の背面側近傍の前記ロール紙を背面側より隠蔽するカバーを備え、当該カバーの基点部を前記巻体収納ユニットまたは前記本体部のうちいずれか一方に枢設し、他方の背面に当該カバーの内面が摺動する摺動部を設け、前記基点部を中心に前記カバーを前記回動軸側に回動させる方向に弾接する弾性付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
このように構成すると、カバーによって開口部が隠蔽されているため、ロール紙巻体の慣性や戻り動作によりロール紙にたるみが生じても、背面側への露出を防ぐことが可能となる。さらに、巻体脱着の際においても巻体収納ユニットの回動に追従して自動的にカバーが移動するため、常時開口部を隠蔽することが可能となり、作業者が体の部位を挟まれることを防ぐことができる。
【0016】
また、当該カバーの先端がロール紙の巻体の領域に入り込み、ロール紙を汚すことがないようにするためには、前記カバーの基点部が前記本体部に枢着され、かつ、前記カバーが外側に設けた第1の板状体と、当該第1の板状体の内側に設けた第2の板状体とを備えており、前記第1の板状体により、回動軸周辺を背面側から覆うとともに、前記第2の板状体を、前記ロール紙のパスラインと近接させて設け、前記巻体収納ユニットが前記巻体の脱着位置に進出した際には前記摺動部と前記第2の板状体とが接触することで、前記カバーの位置を決定付けるように構成することが好適である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、背面側でのロール紙のたるみに起因した汚れや損傷を防ぎ、かつ、ロール紙巻体の脱着に要する巻体収納ユニットの回動に伴った作業者の受傷を防ぐことが可能な発券ユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る発券ユニットの側面図。
【図2】巻体収納ユニットが脱着位置にあるときの同発券ユニットの側面図。
【図3】同発券ユニットが備えるカバーの側面図および正面図。
【図4】本発明の別の実施形態に係る発券ユニットの側面図。
【図5】巻体収納ユニットが脱着位置にあるときの同発券ユニットの側面図。
【図6】同発券ユニットが備えるカバーの側面図および正面図。
【図7】本発明との比較例である発券ユニットの側面図。
【図8】ロール紙にたるみが生じた場合の同発券ユニットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
この実施形態の発券ユニット1は、前述した図7に示す本発明との比較例と同様、図1に示すように、ロール紙5の巻体51を内部に収納する巻体収納ユニット3と本体部2とからなり、ロール紙5は巻体収納ユニット3から引き出され、本体部2の内部を通過して所定の処理を施された後に、操作側に発券されるように構成している。
【0021】
なお、以後の説明は、発券される側すなわち図1における左方向を発券ユニット1の操作側として、その逆方向すなわち図1における右方向を発券ユニット1の背面側として行う。また、同図における上または下方向を発券ユニット1の上または下方向として、同図の紙面に対して垂直方向を発券ユニット1に対する幅方向として説明を行う。
【0022】
図1に示すように、巻体収納ユニット3は、ロール紙巻体51を支持する巻体支持手段31と、これを囲むように配されたガイドローラ32a、32b、32c、32dとを具備しており、これらは全て軸方向が紙面垂直方向である発券ユニット1の幅方向となり、回転自在となるよう設けている。そして、ロール紙巻体51から引き出したロール紙5は、ガイドローラ32a、32b、32c、32dによってロール紙巻体51の外方を引き回すようにしてパスを稼いだ後、本体部2の背面上部にあるロール紙引き込み口21から当該本体部2に引き込まれるように構成してある。
【0023】
本体部2は、ロール紙5を搬送するための図示しないローラやベルト等からなる搬送手段22と、当該搬送手段22によって走行中のロール紙5に対して切断を行う切断手段23、印字を行う印字手段24、磁気情報の書き込みを行う磁気情報書き込み手段25、および、これらの手段によってロール紙5より作成された券9を操作者に対して排出する排出手段26を具備している。搬送手段22を構成するローラやベルト等は、搬送するロール紙5の速度を決定するために必要な範囲で駆動制御されており、少なくとも引き込み口21の直後の引き込みローラ22a、22bのいずれかは、ロール紙5をニップしつつ搬送手段22の内部に引き込むため駆動するように構成している。
【0024】
巻体収納ユニット3は回動軸4によって軸支され、当該回動軸4を中心に本体部2に対して回動可能となるように構成している。そして、回動軸4は巻体収納ユニット3の背面側下部に位置し、ロール紙5のパスラインに対し軸心が直交方向となるように、本体部2に対して固定されるように設けているため、図2に示すように、これを中心として巻体収納ユニット3は全体が背面側に飛び出すようにして進出可能となっている。この実施形態では、図示しないストッパにより回動範囲が約90°に設定されている。
【0025】
また、図1に示すように、回動軸4の背面側では、巻体収納ユニット3の一部に当該巻体収納ユニット3からロール紙5を引き出すための開口部35が設けられ、当該開口部35と本体部2との間で形成される空隙部8内のロール紙5は、そのまま下方に設けられている本体部2のロール紙引き込み口21に侵入させるようにしてある。
【0026】
以上までに説明した構成は、図7および図8に示す従来の発券ユニット1とほぼ同じであるが、本実施形態にかかる発券ユニット1においては、図1および図2に示すように、前記回動軸4の背面側に、回動軸4を隠蔽するようにカバー6が設置されていることが大きく異なる。
【0027】
カバー6は、回動軸4を背面側から隠蔽すると同時に、巻体収納ユニット3の開口部35と本体部2との間でできる空隙部8を隠蔽することになる。また、これによって空隙部8内のロール紙5も併せて隠蔽し、背面側に飛び出さないようになっている。
【0028】
カバー6は下端の基点部6aで、本体部2の背面に張り出すようにして設けられた支持ブロック67に対し、バネ蝶番65によって上方が回動可能となるように枢設されるとともに、上端が巻体収納ユニット3の背面側に設けた摺動ピン7に弾接するように付勢されている。つまり、当該バネ蝶番65は、枢軸であるとともに弾性付勢手段としての機能を有している。こうすることで、摺動ピン7はこれに弾接されるカバー6の内面と協同して、カバー6の回動方向の位置決めを行うようになっている。
なお、摺動ピン7は、回転可能なローラ状に構成することも可能であり、こうすればカバー内面との摺動抵抗を減少させることができ好適である。
【0029】
カバー6は、図3(a)、図3(b)に示すように、外側に面する第1の板状体61と、内側の第2の板状体62とからなり、それぞれ金属材料から切り出した長方形の板材を折り曲げ加工し、溶接することで構成してある。
【0030】
第1の板状体61は、カバー6として取り付けた際に、主として背面側から見たときの当該カバー6の形状を形成するものであり、前述したように回動軸4の背面を隠蔽可能とするため、外側に対しわずかに凸となる滑らかな形状となるように折り曲げて形成してある。第2の板状体62は、上方が第1の板状体61における高さ方向のおよそ中間地点で、下方を第1の板状体61の下端のすぐ上で溶接されることで止着されており、この間で内側方向に凸となるように折り曲げられている。そして、第1の板状体61と相俟って形成されるカバー6全体の厚みが、下側に行くに従って徐々に増していくように構成している。
【0031】
このように構成することで、図1および図3に示すように、第2の板状体62は空隙部8内を通過するロール紙5のパスラインに近接して位置することになり、ロール紙5にたるみが発生しても、ロール紙5の背面側への飛び出しを抑えるとともに、第1の板状体61と本体部2の間にできる隙間にロール紙5が入り込むことを防止できるようになっている。
【0032】
また、前述したとおり、カバー6はその内面が摺動ピン7と協同することで、回動方向の位置決めが行われるようになっている。具体的には、図1および図3に示すように、巻体収納ユニット3が通常位置にあるときには、カバー6の先端付近である第1の板状体61の内面部分が摺動ピン7に当接することで、カバー6はほぼ直立した状態となる。この状態より、図2および図3に示すような、巻体収納ユニット3が背面側の巻体脱着位置まで進出した状態となると、摺動ピン7はカバー6に対するバネ蝶番65による付勢方向に逆らってカバー6を背面側に回動させていくことになる。この際、巻体収納ユニット3が回動する中心とカバー6が回動する中心とがずれているため、カバー6が摺動ピン7と当接する部分は下端近傍の第2の板状体62の内面にまで下がってくる。つまりは、巻体収納ユニット3が通常位置から脱着位置まで回動する過程において、カバー6の回動角度を決定付けるのは、初期段階より中間段階までは摺動ピン7と第1の板状体の内面61の内面であり、中間段階より最終段階までは摺動ピン7と第2の板状体の内面62であるように構成している。
【0033】
前述したように、第2の板状体62は、下側に行くに従って内側に凸となる形状としている。そのために、この形状と摺動ピン7の位置関係と相俟って、巻体収納ユニット3が脱着位置に進出するまでの間、カバー6の先端がロール紙巻体51と当接することがないようになっている。
【0034】
上記のように構成していることにより、当該発券ユニット1においてロール紙5切れが生じた際には、以下のようにしてロール紙5の補充を行うことになる。
【0035】
まず、作業者は背面側に立ち、巻体収納ユニット3に手を掛け、図1に示す通常位置から図2に示す脱着位置まで回動させるようにして進出させる。この時、巻体収納ユニット3の回動に合わせて摺動ピン7に押されることで、カバー6も背面側に倒れ込むようにして回動していく。この間、前記空洞部8はカバー6によって常に隠蔽されたままであるため、体の部位を過って進入させて挟まれ、受傷する心配がない。次に、作業者は巻体収納ユニット3の側面から、巻体支持手段31よりロール紙5が無くなり空となったボビン51aを紙面垂直方向に沿って取り外し、新しいロール紙巻体51を取り付ける。カバー6の先端位置は、第2の板状体62と摺動ピン7とによって規制されており、ロール紙巻体51と十分に離れた位置となるようになっている。
【0036】
そして作業者は、ロール紙巻体51よりロール紙5の先端を引き出し、巻体収納ユニット3内のローラ32a、32b、32c、32dに掛けた上で、空隙部8までたらしておく。その後、巻体収納ユニット3を図1に示す通常位置に戻す。そして、カバー6を弾性付勢手段65に逆らって背面側に回動させて空隙部8が見える状態とし、その中のロール紙5先端を本体部2のロール紙引き込み口21に差込んで搬送手段22に引き込ませ、通常の使用状態に復帰させる。
【0037】
通常の使用状態として当該発券ユニット1を運転している間には、比較例として上述したように、搬送手段22の急停止の際や、戻り動作により、空隙部8にロール紙5のたるみが発生する場合がある。しかしながら、カバー6により背面側より隠蔽されているため、ロール紙5の背面側への飛び出しは生じないようになっている。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る発券ユニット1は、ロール紙5の巻体51を回転自在に支持しつつ内部に収納する巻体収納ユニット3と、当該巻体収納ユニット3から前記ロール紙5を引き込み、当該ロール紙5に所定の情報を書き込んだ上で外部に排出する本体部2とからなり、前記巻体収納ユニット3の下部が、前記ロール紙5のパスラインと直交方向に設けられた回動軸4によって軸支され、当該回動軸4を中心に前記巻体収納ユニット3が背面側に一定角度回動して巻体の脱着位置まで進出することで、当該巻体収納ユニット3の側面から前記巻体51の脱着ができるように構成したものであって、前記巻体収納ユニット3から引き出され、前記本体部2に引き込まれるまでの間に露出する、前記回動軸4の背面側近傍の前記ロール紙5を背面側より隠蔽するカバー6を備え、当該カバー6の基点部6aを前記巻体収納ユニット3または前記本体部2のうちいずれか一方に枢設し、他方の背面に当該カバー6の内面が摺動する摺動部7を設け、前記基点部6aを中心に前記カバー6を前記回動軸4側に回動させる方向に弾接する弾性付勢手段65を設けたものである。
【0039】
このように構成しているため、搬送手段22の急停止の際や戻り動作の際に、ロール紙5にたるみが生じても、空隙部8がカバー6によって隠蔽されているためロール紙5が背面側に飛び出すことがなく、人や他の機器との接触による汚れや損傷が生じない。また、特別な操作を行わなくても、巻体収納ユニット3の脱着位置への回動に対して自動的に追従してカバー6が常に空隙部8を隠蔽するため、作業者が誤って体の一部を挟み込み受傷することがない。
【0040】
また、前記カバー6の基点部6aが前記本体部2に枢着され、かつ、前記カバー6が外側に設けた第1の板状体61と、当該第1の板状体61の内側に設けた第2の板状体62とを備えており、前記第1の板状体61により、回動軸4周辺を背面側から覆うとともに、前記第2の板状体62を、前記ロール紙5のパスラインと近接させて設け、前記巻体収納ユニット3が前記巻体51の脱着位置に進出した際には前記摺動部7と前記第2の板状体62とが接触することで、前記カバー6の位置を決定付けるように構成しているため、ロール紙巻体51の脱着の際にカバー6の先端がロール紙巻体51に接触して汚れや傷を付けることもない。
【0041】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0042】
上記の実施形態においては、カバー6の基点部6aを本体部2側に枢設していたが、これを巻体収納ユニット3の側に設け、摺動ピン7を本体部側に設けることにより、同様の効果を得ることも可能である。
【0043】
また、図1〜図3を用いて説明した上記の実施態様を基本に、図4〜図6のように変形させることも可能である。具体的には、図6のように、第1の板状体61と第2の板状体62に加えて、これらの更に内面側に第3の板状体63を設け、第1の板状体61や第2の板状体62との間で、上端付近から下端付近に掛けてほぼ一定の幅となる空間64が生じるように形成しても良い。上記の実施形態と同様に、当該カバー6を設けた発券ユニット1は、図5に示すように、巻体収納ユニット3の回動に追従して回動し、常に空隙部8を隠蔽することが可能で、摺動ピン7と相俟ってカバー先端6の位置もロール紙巻体51に接触しないように規制することが可能である。なお、本変形例では、前述の実施形態の場合とは異なり、摺動ピン7に弾接され摺動するのは常に第3の板状体63であり、第3の板状体63の形状によって巻体収納ユニット3が通常位置から脱着位置に回動するまでのカバー6の先端位置が決定される。
【0044】
しかも、図4に示すように、第3の板状体63を追加することでカバー6の内部に形成された空間64にロール紙5を通過させるように、パスラインを変更させることができ、ロール紙5の背面側への飛び出しを抑制することができる。さらに、ロール紙5の交換後に、カバー6を回動させて空隙部8が見えるようにしなくても、ロール紙5の先端をカバー6内の空間64に差し込めば、そのままロール紙引き込み口21まで誘導され、搬送手段22内に引き込ませることができる。
【0045】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 発券ユニット
2 本体部
3 巻体収納ユニット
4 回動軸
5 ロール紙
6 カバー
7 摺動ピン
8 空隙部
22 搬送手段
31 巻体支持手段
51 ロール紙巻体
61 第1の板状体
62 第2の板状体
65 バネ蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙の巻体を回転自在に支持しつつ内部に収納する巻体収納ユニットと、当該巻体収納ユニットから前記ロール紙を引き込み、当該ロール紙に所定の情報を書き込んだ上で外部に排出する本体部とからなり、前記巻体収納ユニットの下部が、前記ロール紙のパスラインと直交方向に設けられた回動軸によって軸支され、当該回動軸を中心に前記巻体収納ユニットが背面側に一定角度回動して巻体の脱着位置まで進出することで、当該巻体収納ユニットの側面から前記巻体の脱着ができるように構成した発券ユニットであって、前記巻体収納ユニットから引き出され、前記本体部に引き込まれるまでの間に露出する、前記回動軸の背面側近傍の前記ロール紙を背面側より隠蔽するカバーを備え、当該カバーの基点部を前記巻体収納ユニットまたは前記本体部のうちいずれか一方に枢設し、他方の背面に当該カバーの内面が摺動する摺動部を設け、前記基点部を中心に前記カバーを前記回動軸側に回動させる方向に弾接する弾性付勢手段を設けたことを特徴とする発券ユニット
【請求項2】
前記カバーの基点部が前記本体部に枢着され、かつ、前記カバーが外側に設けた第1の板状体と、当該第1の板状体の内側に設けた第2の板状体とを備えており、前記第1の板状体により、回動軸周辺を背面側から覆うとともに、前記第2の板状体を、前記ロール紙のパスラインと近接させて設け、前記巻体収納ユニットが前記巻体の脱着位置に進出した際には前記摺動部と前記第2の板状体とが接触することで、前記カバーの位置を決定付けるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の発券ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−214260(P2012−214260A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79283(P2011−79283)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】