説明

発券装置

【課題】ロール紙の湾曲量に依存する寸法のばらつきがない乗車券作成を可能にする。
【解決手段】湾曲しているロール紙をロータリカッターの直後に配置した湾曲方向矯正ガイドによって逆方向に湾曲させて一定の湾曲量に矯正することにより、ロール紙の先端位置がロール紙の残量などによる湾曲量のばらつきに依存することが無くなり、湾曲方向矯正ガイド直後に配置されたロール紙先端検出センサによって毎回同じ位置で検出することが可能となり、正しく割り出された位置でロータリカッターにより切断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙等を切断して作成する乗車券等の券の券長のばらつきを小さくすることを簡便な方策で実現する発券装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗車券発行機を含む発券装置において、ロール紙等のロール状発券素材を切断して作成する券(乗車券等)は、ロール状発券素材を搬送手段により一定距離搬送し、切断して作成している。ロール状発券素材の切断位置の割り出しはセンサ等でロール状発券素材の先端位置を検出し、その先端位置からの長さを基準とする方式などをとっている。
【0003】
しかし、ロール状発券素材は巻かれているために湾曲したくせが付いている。また、ロール状たる発券素材の残量によりロールの外径が変化するため湾曲量はその径により異なる。そのため、ロール状発券素材の先端位置をセンサで検出するにあたり、湾曲したロール状発券素材を、当該湾曲を矯正等することなくセンサ検出すると、検出する位置がロール状発券素材の湾曲量により異なる場合があり、センサで検出された先端位置から切断位置までの距離が一定化せず、切断後の券長がばらつくという欠点があった。
【0004】
券(乗車券等)を規格内寸法で作成するためには、上記欠点は大きな障害である。この欠点を補うために、発券装置における、搬送精度や組立精度などの個々部分を厳しく規定、調整する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−21430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、ロール状発券素材の湾曲量により発券素材先端位置から発券素材切断位置までの距離が一定化せず、券長の寸法にばらつきが発生する点である。ロール状発券素材の湾曲量に依存する寸法ばらつきが少なく、規格内寸法に納まる券(乗車券等)の作製を簡易に行えるようにすることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、発券素材を切断して券紙を作製する機能を装備する発券装置であって、
ロール状に巻かれた発券素材を搬送する搬送手段と、
発券素材を切断するカッタ手段と、
カッタ手段による発券素材切断処理後位置に配置された、ロール状発券素材の湾曲ロール方向と逆方向に発券素材を湾曲させる湾曲方向矯正ガイドと、
ロール状に巻かれた発券素材の先端位置を検出する先端検出センサと
を具備することを特徴とする発券装置。
【0008】
本発明は、ロール状発券素材の湾曲している方向を逆向きにする搬送経路を設け、ロール状発券素材の湾曲方向が逆向きに矯正した後に、発券素材の先端をセンサで検出することにより、切断位置を割り出し、湾曲量に依存するばらつきの少ない位置で切断された券(乗車券等)の作製を簡易・簡便に行うことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロール状発券素材の切断部は、発券素材においてロール状に湾曲している方向が逆向きに矯正されることで一定の湾曲量を作り出すことが可能となり、発券素材の湾曲が緩和されるため、簡易な原理・システムにより、目標とする位置もしくはその至近で発券素材先端をセンサで検出することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ロール紙切断部のセンサで切断位置検出の実施方法を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施態様を以下の実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
ロール紙の湾曲量の大小に依らず、寸法誤差の少ない乗車券を作成するという目的を、単純な機構と制御で実現した。
【0013】
湾曲しているロール紙4をロータリカッター3の直後に配置した湾曲方向矯正ガイド1によって逆方向に湾曲させて一定の湾曲量に矯正することにより、ロール紙の先端位置がロール紙の残量などによる湾曲量のばらつきに依存することを抑制する。このことにより、ロール紙4に搬送によるすべり現象が起こることを考慮しても、ロール紙先端検出センサによって毎回ほぼ目的とする定位置でロール紙先端を検出することが可能となり、このことからほぼ正しく割り出された位置でロータリカッターによりロール紙を切断することができる。
【0014】
図1は、本発明の1実施例の説明図であって、1は湾曲方向矯正ガイドである。また、2はロール紙先端検出センサ、3はロータリカッター、4はロール紙である。
【0015】
ロール紙4はロータリカッター3を通過した後、湾曲方向矯正ガイド1によって湾曲方向と逆方向に矯正される。湾曲方向矯正ガイド1は、それ自体が湾曲を有することを特徴とする。
【0016】
上記におけるロール紙4の搬送過程では、ロール紙4に搬送上のすべりが生じる可能性がある。このため、ロール紙先端検出センサ2により、ロール紙先端検出を行わなければ、規格値より短い短券が発生してしまうおそれがある。そこで、ロール紙先端検出センサ2を用いることにより、規格に必要な最低限の券紙長を確保することが必要となる。
【0017】
ロール紙先端検出センサ2とロータリカッター3を用いることにより、短券の発生を抑制する。その後の行程で、ロータリカッター3で切断された券に字句等印刷と、磁気情報の書き込みが行われることにより、規格内寸法等目的とする券長を有する乗車券等の発券がなされる。
【0018】
上記段落[0015]において、ロール紙4を湾曲方向矯正ガイド1により、強制的かつ簡易な方法で、逆方向に湾曲させることにより、ロール紙4の残量による湾曲量のばらつきに依らない一定の湾曲量を実現することが可能となり、より正確な位置で、ロール紙先端検出センサ2によるロール紙先端検出を行うことができる。
【0019】
そして、このように湾曲方向矯正ガイド1を用いるという簡易な方法を用いて、ロール紙先端検出センサ2によるロール紙先端検出を行うことにより、ロータリカッター3によって切断される位置をより正確に割り出すことが可能となり、券の短長双方の要件において、券紙長のばらつきが小さい乗車券作成を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
ロール紙等を使用して券紙等を作製する装置全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 湾曲方向矯正ガイド
2 ロール紙先端検出センサ
3 ロータリカッター
4 ロール紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発券素材を切断して券紙を作製する機能を装備する発券装置であって、
ロール状に巻かれた発券素材を搬送する搬送手段と、
発券素材を切断するカッタ手段と、
カッタ手段による発券素材切断処理後位置に配置された、ロール状発券素材の湾曲ロール方向と逆方向に発券素材を湾曲させる湾曲方向矯正ガイドと、
ロール状に巻かれた発券素材の先端位置を検出する先端検出センサと
を具備することを特徴とする発券装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−8203(P2013−8203A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140484(P2011−140484)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】