説明

発想支援装置、発想支援サーバ、および発想支援方法

【課題】情報の鮮度の低下を防止し、情報の加工結果をより早く提供する。
【解決手段】発想支援装置10であって、入力フェーズにおいて、各利用者が入力した情報を受け付けて表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、各利用者が入力した加工要求を受け付けて、入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業手段13と、各フェーズの状態を監視し、フェーズ遷移条件を満たす場合にフェーズ変更通知を送出する状態管理手段11と、を備え、前記作業手段13は、フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶手段に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の収集および加工による思考作業を支援する発想支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、 KJ法(非特許文献1)、マインドマップ(非特許文献2)、キーワードを使った連想または類似法など、発想、意思決定、問題解決等の思考作業を実現したシステムやツールが普及しつつある(非特許文献3、4)。これらのシステムやツールの思考作業の流れは、最初に文献やフィールドワークでの情報収集や、自分の頭の中から情報を取り出し情報入力を実施する、という入力フェーズを備え、入力した情報の発散・収束・分析などを実施する加工フェーズを経て結果を得る。
【0003】
例えば、KJ法では、ラベルづくりが情報の入力フェーズであり、グループ編成、表札づくり、A型図解化、B型叙述化が情報の加工フェーズに相当する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】川喜田二郎、「KJ法‐渾沌をして語らしめる」、中央公論社
【非特許文献2】“マインドマップ公式サイト”、[online]、インターネット<http://www.mindmap.or.jp/>
【非特許文献3】“FreeMind”、[online]、インターネット<http://sourceforge.jp/projects/freemind/wiki/FreeMind>
【非特許文献4】“iMandalArt”、[online]、インターネット<http://iphone.mandal-art.com/imandalart-j/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、これらの思考作業の質を高めるためには、鮮度の高い良質な入力情報を得ることが重要である。良質な情報の一つが現場で収集した一次情報であり、これは本人が体験した情報である。例えば、記者が現場に行き取材をして新聞に書けば新聞が一次情報であり、その新聞記事を見て本に書けば二次情報であり、その本を見てブログに載せたら三次情報となり、現場から遠くなるに従って情報の質が低下していく。
【0006】
しかしながら、入力フェーズで鮮度の高い良質な1次情報を収集しても、入力フェーズの期間が長ければ、せっかく集めた新鮮な情報もデータベース等に蓄積している間に鮮度が落ちてしまい、質が低下してしまう場合がある。同様に、加工フェーズの期間も長ければ得られる結果の質も低下する場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、情報の鮮度の低下を防止し、情報の加工結果をより早く提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の発想支援装置の間で情報を送受信し、協調して行われる思考作業を支援する発想支援システムにおける、発想支援装置であって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、前記発想支援装置は、フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶手段と、入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報および他の発想支援装置から受信した情報を受け付けて、表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求および他の発想支援装置から受信した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業手段と、入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶手段のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更通知を前記作業手段に送出する状態管理手段と、利用者が入力した情報および加工要求を他の発想支援装置に送信するとともに、他の発想支援装置から他の利用者が入力した情報および加工要求を受信する通信手段と、を備え、前記作業手段は、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶手段に記憶する。
【0008】
本発明は、思考作業を支援する発想支援装置であって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、前記発想支援装置は、フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶手段と、入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報を受け付けて表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業手段と、入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶手段のフェーズの遷移条件を満たす場合、フェーズ変更通知を前記作業手段に送出する状態管理手段と、を備え、前記作業手段は、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶手段に記憶する。
【0009】
本発明は、複数の発想支援装置の間で協調して行われる思考作業を支援する発想支援サーバであって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、前記発想支援サーバは、フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶手段と、入力フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された情報を受け付けて、当該情報を全ての発想支援装置の表示部に表示させるとともに、加工フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、全ての発想支援装置の表示部に表示させる作業手段と、入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶手段のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更通知を前記作業手段に送出する状態管理手段と、を有し、前記作業手段は、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を全ての発想支援装置に送信する。
【0010】
本発明は、複数の発想支援装置の間で情報を送受信し、協調して行われる思考作業を支援する発想支援方法であって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、前記発想支援装置は、フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶部を有し、入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報および他の発想支援装置から受信した情報を受け付けて、表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求および他の発想支援装置から受信した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業ステップと、入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶部のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更を通知する状態管理ステップと、利用者が入力した情報および加工要求を他の発想支援装置に送信するとともに、他の発想支援装置から他の利用者が入力した情報および加工要求を受信する通信ステップと、を行い、前記作業ステップは、前記フェーズ変更が通知されると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶部に記憶する。
【0011】
本発明は、発想支援装置が行う、思考作業を支援する発想支援方法であって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、前記発想支援装置は、フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶部を有し、入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報を受け付けて表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業ステップと、入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶部のフェーズの遷移条件を満たす場合、フェーズ変更を通知する状態管理ステップと、を行い、前記作業ステップは、前記フェーズ変更が通知されると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶部に記憶する。
【0012】
本発明は、発想支援サーバが行う、複数の発想支援装置の間で協調して行われる思考作業を支援する発想支援方法であって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、前記発想支援サーバは、フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶部を有し、入力フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された情報を受け付けて、当該情報を全ての発想支援装置の表示部に表示させるとともに、加工フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、全ての発想支援装置の表示部に表示させる作業ステップと、入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶部のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更を通知する状態管理ステップと、を行い、前記作業ステップは、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を全ての発想支援装置に送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、情報の鮮度の低下を防止し、情報の加工結果をより早く提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る発想支援システムの全体構成図である。
【図2】情報処理端末の記憶部の構成を示す構成図である。
【図3】第1の実施形態のフェーズ遷移図の一例を示す図である。
【図4】記憶部の条件ファイルの一例を示す図である。
【図5】入力フェーズの動作を示すシーケンスである。
【図6】状態管理部の動作を示すフローチャートである。
【図7】入力フェーズの画面例を示す図である。
【図8】記憶部の情報一覧の一例を示す図である。
【図9】入力フェーズから加工フェーズへの変更を示すシーケンスである。
【図10】警告メッセージの一例を示す図である。
【図11】加工フェーズの動作を示すシーケンスである。
【図12】加工フェーズの画面例を示す図である。
【図13】加工フェーズから入力フェーズへの変更を示すシーケンスである。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る情報処理端末の構成図である。
【図15】第2の実施形態のフェーズ遷移図の一例を示す図である。
【図16】入力フェーズの動作を示すシーケンスである。
【図17】入力フェーズから加工フェーズへの変更を示すシーケンスである。
【図18】加工フェーズの動作を示すシーケンスである。
【図19】加工フェーズから入力フェーズへの変更を示すシーケンスである。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る情報処理端末の構成図である。
【図21】第3の実施形態のフェーズ遷移図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態では、短い間隔の入力フェーズと加工フェーズと繰り返し、加工フェーズが終了するたびに、加工結果を利用者が活用できるようにする。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る発想支援システムの全体構成図である。本実施形態の発想支援システムは、ピアツーピア方式であって、ネットワーク9を介してそれぞれ接続された複数の情報処理端末10(発想支援装置)を有する。なお、図示する例では、4つの情報処理端末10を示しているが、これに限定されるものではない。
【0017】
情報処理端末10は、利用者が使用する端末であって、ネットワーク9を介して、他の利用者が使用する他の情報処理端末と情報を交換し、複数の利用者が協調して思考作業を行うのを支援するものである。情報処理端末10は持ち運びが可能であり、各利用者は、任意の地点において情報処理端末10をネットワークに接続し、他の様々な地点に存在する他の利用者の情報処理端末10と協調して思考作業を行うことができる。
【0018】
図示する情報処理端末Aは、状態管理部11と、表示部12と、作業部13と、記憶部14と、入力部15と、通信部16とを備える。
【0019】
状態管理部11は、作業部13の状態を監視し、記憶部14に予め記憶された条件ファイルの条件を満たした場合、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えさせる。
【0020】
表示部12は、ディスプレイなどの出力装置であって、作業部13の状態を表示する。
【0021】
入力部15は、例えば、キーボードやマウスなどの入力装置であって、利用者の指示・操作を受け付ける。利用者は、入力部15を用いて、入力フェーズで情報を入力し、また、加工フェーズで情報の加工要求を入力する。なお、情報の加工要求は、例えば、情報の移動、削除、変更、保存などである。
【0022】
作業部13は、入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報および他の情報処理端末から受信した情報を受け付けて、表示部12に表示するとともに、記憶部14に記憶する。また、作業部13は、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求および他の情報処理端末から受信した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示するとともに、加工要求を記憶部14に記憶する。なお、情報の加工は、例えば、情報の整理、分類、要約化、統合化、文書作成、判断、検索などである。また、作業部13は、他の複数の情報処理端末との情報共有を行う。
【0023】
通信部16は、利用者が入力した情報および加工要求を他の全ての情報処理端末に送信するとともに、他の情報処理端末から他の利用者が入力した情報および加工要求を受信する。
【0024】
記憶部14は、HDDやメモリなどの記憶装置であって、各種の情報が記憶される。
【0025】
図2は、本実施形態の記憶部14の一例を示すものである。図示する記憶部14には、情報一覧141と、条件ファイル142と、結果ファイル143とが記憶される。情報一覧141には、入力フェーズ中および加工フェーズ中に入力または送信された情報および加工要求の一覧である。条件ファイル142は、予め設定された任意の条件(フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件)が設定されたファイルである。
【0026】
結果ファイル143には、加工フェーズから入力フェーズへ変わる場合、または加工フェーズから思考作業を終了させる場合に、各加工フェーズの結果(画面のチャプチャ、または情報の内容・位置関係の座標)が記憶されるファイルである。すなわち、結果ファイル143には、思考作業を終了した際の最終的なアウトプットだけではなく、各加工フェーズの結果が記憶される。
【0027】
なお、情報処理端末B、C、Dについても、情報処理端末Aと同様の構成である。
【0028】
図3は、本実施形態の思考作業の流れを示すフェーズ遷移図である。図示するフェーズ遷移では、入力フェーズと加工フェーズとを短い間隔で繰り返し、加工フェーズが終了するたびに、当該加工フェーズの結果を結果ファイル143として記憶部14に記憶し、利用者が活用できるようにする。なお、各情報処理端末A、B、C、Dは、同期して、入力フェーズから加工フェーズへ、また加工フェーズから入力フェーズへのフェーズ移行を行うものとする。
【0029】
入力フェーズでは、入力部15は、当該情報処理端末の自利用者が入力した情報を作業部13に送出し、また、通信部16はネットワーク9を介して受信した、他の情報処理端末の他利用者が入力した情報を作業部13に送出する。作業部13は、受け付けた情報を任意の形態で記憶部14の情報一覧141に記憶する。状態管理部11は、作業部13の状態が条件ファイル142に設定された条件を満たした場合に、入力フェーズから加工フェーズへの移行させるフェーズ変更通知を作業部13に送出する。これにより、作業部13はフェーズを切替えるとともに、利用者にフェーズの変更を促し、通知するための警告メッセージを出力する。
【0030】
加工フェーズでは、入力部15は、当該情報処理端末の自利用者が入力した加工要求を作業部13に送出し、また、通信部16はネットワーク9を介して受信した、他の情報処理端末の他利用者が入力した加工要求を作業部13に送出する。作業部13は、入力部15または通信部16から受け付けた加工要求を実施し、記憶部14に記憶している情報を加工する。また、作業部13は、加工要求を任意の形態で記憶部14の情報一覧141に記憶する。状態管理部11は、作業部13の状態が条件ファイル142に設定された条件を満たした場合に、加工フェーズから入力フェーズへの移行、または、思考作業の終了を促すフェーズ変更通知を作業部13に送出する。これにより、作業部13はフェーズを切替える、または思考作業を終了させるとともに、利用者にフェーズの変更または思考作業終了を促し、通知するための警告メッセージを出力する。
【0031】
なお、フェーズの移行時または思考作業の終了時に出力される警告メッセージは、利用者に注意を喚起させるよう、例えば、所定のメッセージが記載されたダイアログボックスを表示部12に出力する、光を表示部12に出力する、図示しないスピーカーから所定の音または所定のメッセージの音声を出力すること、などが考えられる。
【0032】
情報処理端末10は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた情報処理端末10用のプログラムを実行することにより、情報処理端末10の各機能が実現される。また、情報処理端末10用のプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROMなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0033】
次に、記憶部14に予め記憶された条件ファイル142について説明する。
【0034】
図4は、条件ファイルの一例を示すものである。図示する条件ファイルは、入力フェーズから加工フェーズへの切替えの条件として、入力フェーズが開始されてから入力された情報が所定のしきい値(図示する例では、30)を超えた場合、加工フェーズへ遷移する。また、加工フェーズから入力フェーズへの切替えの条件として、加工フェーズが開始されてから入力された加工要求が所定のしきい値(図示する例では、10)を超えた場合、入力フェーズへ遷移(または、思考作業を終了)する。
【0035】
すなわち、入力フェーズにおいて記憶部14の情報一覧141に記憶された情報の数が所定の数を超えた場合、加工フェーズに遷移し、また、加工フェーズにおいて記憶部14の情報一覧141に記憶された加工要求の数が所定の数を超えた場合、入力フェーズに遷移する。なお、入力フェーズの所定の数と、加工フェーズの所定の数とは、同じ値であっても、異なる値であってもよい。
【0036】
また、フェーズ切替え条件として、時間を用い、入力フェーズの作業時間が所定の時間を超えた場合、また、加工フェーズの作業時間が所定の時間を超えた場合に、フェーズを切替えることとしてもよい。なお、入力フェーズの所定の時間と、加工フェーズの所定の時間とは、同じ時間であっても、異なる時間であってもよい。また、各フェーズの作業時間ではなく、ある時点の時刻から所定の時間を超えた場合、フェーズを切替えることとしてもよい。
【0037】
また、フェーズ切替え条件として、入力フェーズにおいて、任意の情報が入力された時刻から時間を計測し、その計測時間が予め設定された所定の時間を超えた場合、また、加工フェーズにおいて、任意の加工要求が入力された時刻から時間を計測し、その計測時間が所定の時間を超えた場合、フェーズを切替えることとしてもよい。
【0038】
また、フェーズ切替え条件として、入力フェーズにおいて、任意の情報が入力された時刻から時間を計測し、その計測時間が予め設定された任意の時間を超え、かつその間に入力された他の情報が予め設定された所定の数を下回った場合、また、加工フェーズにおいて、任意の加工要求が入力された時刻から時間を計測し、その計測時間が予め設定された所定の時間を超え、かつその間に入力された他の加工要求が予め設定された所定の数を下回った場合、フェーズを切替えることとしてもよい。あるいは、ある時点の時刻から予め設定された所定の時間内において、入力された情報の数または加工要求の数が、予め設定された所定の数を下回った場合、フェーズを切替えることとしてもよい。これにより、思考作業が収束しつつある時点で、フェーズを切替えることができる。
【0039】
また、フェーズ切替え条件として、利用者の指示により入力された切替え要求を用いることとしてもよい。例えば、任意の情報処理端末の入力部15が、利用者の指示により切替え要求を受け付けた場合、フェーズを切替えることとしてもよい。この切替え要求は、他の全ての情報処理端末に送信され、他の全ての情報処理端末でも同期してフェーズが切替えられる。
【0040】
また、フェーズ切替え条件として、所定の数を超える切替え要求が、各情報処理端末の入力部15に入力された場合、フェーズを切替えることとしてもよい。具体的には、入力フェーズにおいて受け付けたフェーズ切替え要求の数が所定の切替数を超えた場合に加工フェーズに切替え、加工フェーズにおいて受け付けたフェーズ切替え要求の数が所定の切替数を超えた場合に入力フェーズに切替ることとしてもよい。なお、入力フェーズの所定の切替数と、加工フェーズの所定の切替数とは、同じ数であっても、異なる数であってもよい。各情報処理端末で入力される切替え要求は、他の全ての情報処理端末に送信されるため、全ての情報処理端末で同期してフェーズが切替えられる。
【0041】
また、フェーズ切替え条件として、全ての情報処理端末10の入力部15に切替え要求が入力された場合、フェーズを切替えることとしてもよい。各情報処理端末で入力される切替え要求は、他の全ての情報処理端末に送信されるため、全ての情報処理端末で同期してフェーズが切替えられる。
【0042】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0043】
図5は、入力フェーズのシーケンス例を示すものである。なお、図示するシーケンス図では、情報処理端末Aで情報が入力され、当該情報が情報処理端末Bに同期して送信される動作を示しているが、他の情報処理端末にも当該情報が同期して送信される。
【0044】
初期処理として、情報処理端末Aおよび情報処理端末Bの状態管理部11は、起動時に記憶部14に予め記憶された条件ファイル142を読み込み、状態管理部11のメモリに設定する(T1)。なお、情報処理端末Aおよび情報処理端末Bの記憶部14には、同じ条件ファイル142が記憶されている。ここでは、図4に示す条件ファイル142が読み込まれたものとして、以下に説明する。
【0045】
入力部15は、利用者が入力した情報を受け付けると、当該情報を作業部13へ送出する(T2)。作業部13は、情報を受け取ると、当該情報を表示部12に表示し、記憶部14の情報一覧141に登録するとともに(T3)、状態管理部11へ変更結果(情報の数が1つ増えたこと)を送出する(T4)。
【0046】
状態管理部11は、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較し、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達していない場合(条件を満たしていない場合)、フェーズ変更を行わない(T5)。
【0047】
また、作業部13は、(T2)で受け取った情報を、通信部16に送出する(T6)。通信部16は、受け取った情報を、ネットワークを介して他の全ての情報処理端末に送信する(T7)。
【0048】
情報処理端末Bの通信部16は、受信した情報を作業部13に送出する(T8)。作業部13は、情報を受け取ると、当該情報を表示部12に表示し、記憶部14の情報一覧141に登録するとともに、状態管理部11へ変更結果(情報の数が1つ増えたこと)を送出する(T9)。状態管理部11は、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較し、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達していない場合(条件を満たしていない場合)、フェーズ変更を行わない(T10)。
【0049】
そして、次の情報が入力されると、(T2)から(T10)の処理を繰り返し行う。
【0050】
図5では、(T2)で情報処理端末Aに入力された情報が、(T7)で情報処理端末Bを含む他の全ての情報処理端末に送信されるため、全ての情報処理端末では、同じ情報を共有することができる。
【0051】
図6は、(T5)および(T10)の状態管理部11の処理を示すフローチャートである。
【0052】
まず、状態管理部11は、(T1)の初期処理として、記憶部14の条件ファイル142を読み込む(S11)。そして、状態管理部11は、変更結果を受信すると(S12:YES)、条件ファイルに設定された条件と変更結果とを比較し(S13)、条件を満たしていない場合は(S14:NO)、S12に戻る。一方、条件を満たしている場合は(S14:YES)、フェーズ変更要求を作業部13に送出する(S15)。なお、図5では、条件を満たしていないため(S14:NO)、フェーズ変更要求を送出することなくS12に戻る。
【0053】
図7は、入力フェーズにおける、各情報処理端末の表示部12に表示される画面の一例を示すものである。図示する例では、入力フェーズで入力された3つの情報が表示されている。
【0054】
図8は、図7の画面が表示されている場合の、記憶部14に記憶される情報一覧141の一例を示すものである。図示する情報一覧には、3つの情報のそれぞれの内容および画面上の位置を示す位置情報(座標など)が含まれる。
【0055】
図9は、入力フェーズから加工フェーズへ遷移するシーケンス例を示すものである。
【0056】
(T2)〜(T4)および(T6)〜(T9)は、図5の(T2)〜(T4)および(T6)〜(T9)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0057】
(T5)において、情報処理端末Aの状態管理部11は、図6で説明したように、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較する。ここでは、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達している(条件を満たしている)ものとする。この場合、状態管理部11は、フェーズ変更要求を生成し、作業部13に送出する(T11)。作業部13は、フェーズ変更要求を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ移行し、フェーズ移行をユーザに促す警告メッセージを出力する(T12)。
【0058】
(T10)においても、(T5)と同様に、情報処理端末Bの状態管理部11は、フェーズ変更要求を生成し、作業部13に送出し(T13)、作業部13は、フェーズ変更要求を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ移行し、フェーズ移行をユーザに促す警告メッセージを出力する(T14)。
【0059】
このように、(T2)で情報処理端末Aに入力された情報が、(T7)で情報処理端末Bを含む他の全ての情報処理端末10に送信されるため、全ての情報処理端末では、同じ情報を共有し、また、同じタイミングでフェーズを遷移することができる。
【0060】
図10は、警告メッセージの一例である。図示する例では、ダイアログボックスが表示部12に表示される。
【0061】
図11は、加工フェーズのシーケンス例を示すものである。なお、図示するシーケンス図では、情報処理端末Aで加工要求が入力され、当該加工要求が情報処理端末Bに同期して送信される動作を示しているが、他の情報処理端末にも当該加工要求が同期して送信される。
【0062】
入力部15は、利用者が入力した加工要求を受け付けると、当該情報を作業部13へ送出する(T21)。加工要求は、入力フェーズで入力した情報を加工するための操作情報であって、例えば、情報の移動、削除、変更、保存などである。作業部13は、加工要求を受け付けると、当該加工要求に従って情報を加工し、加工結果を表示部12に表示し、加工要求を記憶部14の情報一覧141に記憶するとともに(T22)、状態管理部11へ変更結果(加工要求の数が1つ増えたこと)を送出する(T23)。情報の加工は、例えば、情報の整理、分類、要約化、統合化、文書作成、判断、検索などが考えられる。
【0063】
状態管理部11は、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較し、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達していない場合(条件を満たしていない場合)、フェーズ変更を行わない(T24)。
【0064】
また、作業部13は、(T21)で受け取った加工要求を、通信部16に送出する(T25)。通信部16は、受け取った情報を、ネットワークを介して他の全ての情報処理端末に送信する(T26)。
【0065】
情報処理端末Bの通信部16は、受信した加工要求を作業部13に送出する(T27)。作業部13は、加工要求を受け取ると、当該加工要求に従って情報を加工し、加工結果を表示部12に表示し、加工要求を記憶部14の情報一覧141に記憶するとともに、状態管理部11へ変更結果(加工要求の数が1つ増えたこと)を送出する(T28)。状態管理部11は、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較し、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達していない場合(条件を満たしていない場合)、フェーズ変更を行わない (T29)。
【0066】
そして、情報処理端末Aに次の加工要求が入力されると、(T21)から(T29)の処理を繰り返し行う。
【0067】
図11では、(T21)で情報処理端末Aに入力された加工要求が、(T26)で情報処理端末Bを含む他の全ての情報処理端末に送信されるため、全ての情報処理端末では、同じ加工状態の情報を共有することができる。
【0068】
図12は、加工フェーズにおける、各情報処理端末の表示部12に表示される画面の一例を示すものである。図示する例では、図7に示す入力フェーズで入力された情報が、二つのグループ121、122にグルーピング(加工)されている。
【0069】
図13は、加工フェーズから入力フェーズへ遷移するシーケンス例を示すものである。
【0070】
(T21)〜(T23)および(T25)〜(T28)は、図11の(T21)〜(T23)および(T25)〜(T28)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0071】
(T24)において、情報処理端末Aの状態管理部11は、図6で説明したように、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較する。ここでは、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達している(条件を満たしている)ものとする。この場合、状態管理部11は、フェーズ変更要求を生成し、作業部13に送出する(T30)。作業部13は、フェーズ変更要求を受け付けると、加工フェーズから入力フェーズへ移行し、フェーズ移行をユーザに促す警告メッセージを出力する(T31)。また、作業部13は、加工フェーズの結果を、記憶部14の結果ファイル143に保存する。
【0072】
(T29)においても、(T24)と同様に、情報処理端末Bの状態管理部11は、フェーズ変更要求を生成し、作業部13に送出し(T32)、作業部13は、フェーズ変更要求を受け付けると、加工フェーズから入力フェーズへ移行し、フェーズ移行をユーザに促す警告メッセージを出力する(T33)。また、作業部13は、加工フェーズの結果を、記憶部14の結果ファイル143に保存する。
【0073】
このように、(T21)で情報処理端末Aに入力された情報が、(T26)で情報処理端末Bを含む他の全ての情報処理端末10に送信されるため、全ての情報処理端末では、同じ情報を共有し、また、同じタイミングでフェーズを遷移することができる。また、加工フェーズの結果として、同じ状態のものが結果ファイル143に記憶される。
【0074】
<第2の実施形態>
図14は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理端末10A(発想支援装置)の構成図である。
【0075】
本実施形態の情報処理端末10Aは、スタンドアロン方式であって、持ち運びが可能であり、利用者が単独で行う思考作業を支援するものである。図示する情報処理端末10Aは、状態管理部11と、表示部12と、作業部13と、記憶部14と、入力部15とを備える。本実施形態の情報処理端末10Aは、第1の実施形態の情報処理端末10と(図1参照)、通信部を有しない点において異なる。状態管理部11と、表示部12と、作業部13と、記憶部14と、入力部15については、第1の実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。
【0076】
図15は、本実施形態の作業の流れを示すフェーズ遷移図である。本実施形態においても、図示するように、入力フェーズと加工フェーズとを短い間隔で繰り返し、加工フェーズが終了するたびに、当該加工フェーズの結果を結果ファイル143として記憶部14に記憶し、利用者が活用できるようにする。
【0077】
次に、本実施形態の情報処理端末10Aの動作について説明する。
【0078】
図16は、入力フェーズのシーケンス例を示すものである。初期処理として、状態管理部11は、起動時に記憶部14に予め記憶された条件ファイル142を読み込み、状態管理部11のメモリに設定する(T1)。ここでは、図4に示す条件ファイル142が読み込まれたものとして、以下に説明する。
【0079】
入力部15は、利用者が入力した情報を受け付けると、当該情報を作業部13へ送出する(T2)。作業部13は、情報を受け取ると、当該情報を表示部12に表示し、記憶部14の情報一覧141に登録するとともに(T3)、状態管理部11へ変更結果(情報の数が1つ増えたこと)を送出する(T4)。
【0080】
状態管理部11は、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較し、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達していない場合(条件を満たしていない場合)、フェーズ変更を行わない(T5)。そして、次の情報が入力されると、(T2)から(T5)の処理を繰り返し行う。
【0081】
図17は、入力フェーズから加工フェーズへ遷移するシーケンス例を示すものである。(T2)〜(T4)は、図16の(T2)〜(T4)と同様であるため、ここでは説明を省略する。(T5)において、状態管理部11は、図6で説明したように、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較する。ここでは、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達している(条件を満たしている)ものとする。この場合、状態管理部11は、フェーズ変更要求を生成し、作業部13に送出する(T6)。作業部13は、フェーズ変更要求を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ移行し、フェーズ移行をユーザに促す警告メッセージを出力する(T7)。
【0082】
図18は、加工フェーズのシーケンス例を示すものである。入力部15は、利用者が入力した加工要求を受け付けると、当該情報を作業部13へ送出する(T21)。加工要求は、入力フェーズで入力した情報を加工するための操作情報であって、例えば、情報の移動、削除、変更、保存などである。作業部13は、加工要求を受け付けると、当該加工要求に従って情報を加工し、加工結果を表示部12に表示し、加工要求を記憶部14の情報一覧141に記憶するとともに(T22)、状態管理部11へ変更結果(加工要求の数が1つ増えたこと)を送出する(T23)。情報の加工は、例えば、情報の整理、分類、要約化、統合化、文書作成、判断、検索などが考えられる。
【0083】
状態管理部11は、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較し、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達していない場合(条件を満たしていない場合)、フェーズ変更を行わない(T24)。そして、次の加工要求が入力されると、(T21)から(T24)の処理を繰り返し行う。
【0084】
図19は、加工フェーズから入力フェーズへ遷移するシーケンス例を示すものである。
【0085】
(T21)〜(T23)は、図18の(T21)〜(T23)と同様であるため、ここでは説明を省略する。(T24)において、状態管理部11は、図6で説明したように、変更結果を受信すると、条件ファイルの条件と比較する。ここでは、比較の結果がフェーズ変更を行う条件に達している(条件を満たしている)ものとする。この場合、状態管理部11は、フェーズ変更要求を生成し、作業部13に送出する(T25)。作業部13は、フェーズ変更要求を受け付けると、加工フェーズから入力フェーズへ移行し、フェーズ移行をユーザに促す警告メッセージを出力する(T26)。また、作業部13は、加工フェーズの結果を、記憶部14の結果ファイル143に保存する。
【0086】
<第3の実施形態>
図20は、本発明の第3の実施形態に係る発想支援システムの全体構成図である。本実施形態の発想支援システムは、サーバ・クライアント方式であって、情報処理センタのサーバ(発想支援サーバ)20と、当該サーバ20とネットワーク9を介して接続された複数の情報処理端末10B(発想支援装置)とを有する。
【0087】
本実施形態では、第1の実施形態の情報処理端末10の状態管理部11、作業部13、記憶部14の機能をサーバ20側に持たせて機能分担し、情報処理端末10Bの処理を軽減したものである。
【0088】
図示するサーバ20は、状態管理部21と、作業部22と、記憶部23と、通信部24とを有する。状態管理部21は、第1の実施形態の状態管理部11と同様に、作業部22の状態(入力フェーズの状態、加工フェーズの状態)を監視し、記憶部23に予め記憶された条件ファイルの条件を満たした場合、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えさせる。
【0089】
作業部22は、第1の実施形態の作業部13と同様に、入力フェーズにおいて、各情報処理端末10Bが送信した情報を受け付けて、受け付けた情報を全ての情報処理端末10Bの表示部12に表示させるとともに、受け付けた情報を記憶部23の情報一覧に記憶する。また、作業部22は、加工フェーズにおいて、各情報処理端末10Bが送信した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って入力フェーズで入力された情報を加工し、加工した結果を全ての情報処理端末10Bの表示部12に表示させるとともに、加工要求を記憶部23の情報一覧に記憶する。
【0090】
記憶部23は、第1の実施形態の記憶部14(図2参照)と同様であって、情報一覧と、条件ファイルと、結果ファイルとが記憶される。
【0091】
通信部24は、各情報処理端末10Bから送信される情報および加工要求を受信するとともに、受信した情報および加工要求に基づいて作業部22が加工した結果を全ての情報処理端末10Bに送信する。
【0092】
本実施形態の情報処理端末10Bは、利用者が使用する端末であって、利用者が入力した情報および加工要求をサーバ20に送信するとともに、サーバ20から受信した情報および加工結果を表示する。情報処理端末10Bは、持ち運びが可能であり、各利用者は、任意の地点において情報処理端末10Bをネットワークを介してサーバ20に接続し、他の様々な地点に存在する他の利用者の情報処理端末10Bと協調して思考作業を行うことができる。
【0093】
図示する情報処理端末10Bは、サーバ20の作業部22による入力フェーズおよび加工フェーズの状態を表示する表示部12と、記憶部14と、利用者の指示・操作を受け付ける入力部15と、サーバ20と通信する通信部16とを備える。利用者は、入力部15を用いて、入力フェーズで情報を入力し、また、加工フェーズで情報の加工要求を入力する。通信部16は、利用者が入力した情報および加工要求をサーバ20に送信する。
【0094】
図21は、本実施形態の作業の流れを示すフェーズ遷移図である。本実施形態においても、図示するように、入力フェーズと加工フェーズとを短い間隔で繰り返し、加工フェーズが終了するたびに、当該加工フェーズの結果を結果ファイルとしてサーバ20の記憶部24に記憶するとともに、結果ファイルを全ての情報処理端末10Bに送信して、各利用者に提供し、各利用者が活用できるようにする。情報処理端末10Bは、受信した結果ファイルを記憶部14に記憶する。
【0095】
入力フェーズでは、各情報処理端末10Bの入力部15は、利用者が入力した情報を、通信部16を介してサーバ20に送信する。サーバ20の作業部22は、各情報処理端末10Bから受信した情報を任意の形態で記憶部23の情報一覧に記憶する。状態管理部21は、作業部22の状態が条件ファイルに設定された条件を満たした場合に、入力フェーズから加工フェーズへの移行させるフェーズ変更通知を作業部22に送出する。これにより、作業部22はフェーズを切替えるとともに、利用者にフェーズの変更を促し、通知するための警告メッセージを全ての情報処理端末10Bに送信する。
【0096】
加工フェーズでは、各情報処理端末10Bの入力部15は、利用者が入力した加工要求を通信部16を介してサーバ20に送信する。サーバ20の作業部22は、各情報処理端末10Bから受信した加工要求を実施し、記憶部23に記憶している情報を加工し、加工結果を全ての情報処理端末10Bに送信する。また、作業部22は、加工要求を任意の形態で記憶部23の情報一覧に記憶する。状態管理部21は、作業部22の状態が条件ファイルに設定された条件を満たした場合に、加工フェーズから入力フェーズへの移行、または、思考作業の終了を促すフェーズ変更通知を作業部22に送出する。これにより、作業部22はフェーズを切替える、または思考作業を終了させるとともに、利用者にフェーズの変更を促し、通知するための警告メッセージを全ての情報処理端末10Bに送信する。
【0097】
以上説明した第1から第3の実施形態では、思考作業を、短い間隔の入力フェーズと加工フェーズを繰り返し、各加工フェーズの結果を記憶部に記憶する、これにより、本実施形態では、加工フェーズが終了する度に、加工フェーズの結果を利用者に提供し、利用者が活用することができる。
【0098】
すなわち、入力フェーズで意見を出し尽くしてから加工フェーズに移り、加工フェーズにおいても全員が納得するまで終了しない従来の思考作業では、情報の鮮度が低下するという問題が発生するが、本実施形態では、思考作業のフェーズを短く区切り、入力フェーズと加工フェーズとを繰り返すことで、情報の鮮度が落ちる前に各加工フェーズの結果を利用者に提供することができる。すなわち、情報の取得から加工結果の提供までの期間を短縮することで、情報の鮮度の低下を防止し、加工結果をより早く活用させることができる。
【0099】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0100】
10、10A、10B:情報処理端末(発想支援装置)
11:状態管理部
12:表示部
13:作業部
14:記憶部
15:入力部
16:通信部
20:情報処理センタ(発想支援サーバ)
21:状態管理部
22:作業部
23:記憶部
24:通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発想支援装置の間で情報を送受信し、協調して行われる思考作業を支援する発想支援システムにおける、発想支援装置であって、
前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、
前記発想支援装置は、
フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶手段と、
入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報および他の発想支援装置から受信した情報を受け付けて、表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求および他の発想支援装置から受信した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業手段と、
入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶手段のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更通知を前記作業手段に送出する状態管理手段と、
利用者が入力した情報および加工要求を他の発想支援装置に送信するとともに、他の発想支援装置から他の利用者が入力した情報および加工要求を受信する通信手段と、を備え、
前記作業手段は、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶手段に記憶すること
を特徴とする発想支援装置。
【請求項2】
思考作業を支援する発想支援装置であって、
前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、
前記発想支援装置は、
フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶手段と、
入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報を受け付けて表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業手段と、
入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶手段のフェーズの遷移条件を満たす場合、フェーズ変更通知を前記作業手段に送出する状態管理手段と、を備え、
前記作業手段は、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶手段に記憶すること
を特徴とする発想支援装置。
【請求項3】
複数の発想支援装置の間で協調して行われる思考作業を支援する発想支援サーバであって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、
前記発想支援サーバは、
フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶手段と、
入力フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された情報を受け付けて、当該情報を全ての発想支援装置の表示部に表示させるとともに、加工フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、全ての発想支援装置の表示部に表示させる作業手段と、
入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶手段のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更通知を前記作業手段に送出する状態管理手段と、を有し、
前記作業手段は、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を全ての発想支援装置に送信すること
を特徴とする発想支援サーバ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の発想支援装置であって、
前記条件記憶手段に記憶されるフェーズ遷移条件は、入力フェーズにおいて受け付けた情報の数が第1の所定数を超えた場合に加工フェーズに切替え、加工フェーズにおいて受け付けた加工要求の数が第2の所定数を超えた場合に入力フェーズに切替ること
を特徴とする発想支援装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の発想支援装置であって、
前記条件記憶手段に記憶されるフェーズ遷移条件は、入力フェーズの作業時間が第1の所定時間を超えた場合に加工フェーズに切替え、加工フェーズの作業時間が第2の所定時間を超えた場合に入力フェーズに切替る、または、入力フェーズにおいて受け付けたフェーズ切替え要求の数が第1の所定切替数を超えた場合に加工フェーズに切替え、加工フェーズにおいて受け付けたフェーズ切替え要求の数が所定の第2の所定切替数を超えた場合に入力フェーズに切替ること
を特徴とする発想支援装置。
【請求項6】
複数の発想支援装置の間で情報を送受信し、協調して行われる思考作業を支援する発想支援方法であって、
前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、
前記発想支援装置は、
フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶部を有し、
入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報および他の発想支援装置から受信した情報を受け付けて、表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求および他の発想支援装置から受信した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業ステップと、
入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶部のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更を通知する状態管理ステップと、
利用者が入力した情報および加工要求を他の発想支援装置に送信するとともに、他の発想支援装置から他の利用者が入力した情報および加工要求を受信する通信ステップと、を行い、
前記作業ステップは、前記フェーズ変更が通知されると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶部に記憶すること
を特徴とする発想支援方法。
【請求項7】
発想支援装置が行う、思考作業を支援する発想支援方法であって、
前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、
前記発想支援装置は、
フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶部を有し、
入力フェーズにおいて、利用者が入力した情報を受け付けて表示部に表示するとともに、加工フェーズにおいて、利用者が入力した加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、表示部に表示する作業ステップと、
入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶部のフェーズの遷移条件を満たす場合、フェーズ変更を通知する状態管理ステップと、を行い、
前記作業ステップは、前記フェーズ変更が通知されると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を結果記憶部に記憶すること
を特徴とする発想支援方法。
【請求項8】
発想支援サーバが行う、複数の発想支援装置の間で協調して行われる思考作業を支援する発想支援方法であって、前記思考作業は、入力フェーズと加工フェーズのセットを、複数有し、
前記発想支援サーバは、
フェーズを切替えるためのフェーズ遷移条件を記憶した条件記憶部を有し、
入力フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された情報を受け付けて、当該情報を全ての発想支援装置の表示部に表示させるとともに、加工フェーズにおいて、各発想支援装置から送信された加工要求を受け付けて、当該加工要求に従って前記入力フェーズで入力された情報を加工し、全ての発想支援装置の表示部に表示させる作業ステップと、
入力フェーズおよび加工フェーズの状態を監視し、前記条件記憶部のフェーズ遷移条件を満たす場合、フェーズ変更を通知する状態管理ステップと、を行い、
前記作業ステップは、前記フェーズ変更通知を受け付けると、入力フェーズから加工フェーズへ、または、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替えるとともに、加工フェーズから入力フェーズへフェーズを切替える場合、加工フェーズの結果を全ての発想支援装置に送信すること
を特徴とする発想支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−80315(P2013−80315A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219019(P2011−219019)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504145283)国立大学法人 和歌山大学 (62)