説明

発電機能を有する履物の中敷

【課題】人が歩行するときの運動エネルギーの一部を電力に変換して蓄電する履物の中敷に関する技術を提供する。
【解決手段】中敷32の平面形状である。37は作動液収容部であって柔軟性を有する略袋状をなしており、作動液収容部37はその内側に後述する作動液41または気体、例えば窒素を充填し密封している。そして作動液収容部37は当該中敷32の上方部36のほぼ全域を被覆している。該作動液収容部37は中敷36の前方部33に配設した前方作動液収容部37aと、中敷36の後方部34に配設した後方作動液収容部37bとで形成されており、前方作動液収容部37a及び後方作動液収容部37bはそれぞれ略袋状をなしている。そして略袋状の前方作動液収容部37a及び後方作動液収容部37bは中敷32の土踏まず近傍すなわち中間部35に位置する作動液流過部37cによって連通し、略袋状の前方作動液収容部37a、後方作動液収容部37b及び作動液流過部37cは一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が歩行するときの運動エネルギーの一部を電力に変換して蓄電する履物の中敷に関する。
【背景技術】
【0002】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
この種、従来の技術に於ける一例としては、図6に示す特開2000−236904号公開特許公報に開示された技術がある。これについて説明すれば、(a)は(b)に示す発電機能付き靴の縦断面図であって、(b)の矢視E−E線方向の断面図、(b)は図6(a)の矢視D−D線方向の断面図である。
【0004】
図6において、靴1の靴底2には、空気ポンプ3、タービン4、発電機5、整流・電圧調整器6及びバッテリ7が内装されている。空気ポンプ3は、靴底2の後部上面に形成された第1凹部8に収納するので、その内部をポンプ室11とするゴム等の弾性袋10を備えている。この弾性袋10の上部はポンプダイヤフラム10aであって使用者の足28の踵に対向すべく位置に配置され、このポンプダイヤフラム10aを上方へ付勢するコイル状の戻しばね12がポンプ室11に縮設される。
【0005】
ポンプ室11の一方側に連通する吸入ポート13は、靴1の後面に開口するように設けられ、その開口部には防水・防塵用フィルタ15が取付けられる。また吸入ポート13には、ポンプ室11側への一方向のみ空気の流れを許容する吸入弁14が介裝される。
【0006】
また、ポンプ室11の他方側に連通する吐出ポート16は、タービン4の入口ポート18に連通するように設けられ、この吐出ポート16には、タービン4側への一方向のみ空気の流れを許容する吐出弁17が介裝される。
【0007】
靴底2の中央部上面に形成された第2凹部9にはケーシング20が嵌め込まれ、このケーシング20内にタービン4を備えている。即ちタービン4は、ケーシング20に形成された円筒状のタービン室21と、このタービン室21の上下両壁に出力軸(図示せず)を回動自在に支持させるタービン羽根車22とからなるもので、タービン室21の一方側に連なる入口ポート18はケーシング20の側壁に穿設され、タービン室21の他方側に連なる出口ポート(図示せず)は発電室27に開口するように設けられる。
【0008】
発電室27は、ケーシング20の上面を開放可能に閉じる蓋板24に穿設された出口孔(図示せず)を介して靴底2上面に開放され、その出口孔には、防水・防塵用フィルタ(図示せず)が取付けられる。したがって、タービン4の出口ポートは、発電室27を介して蓋板24の出口孔に連通することになる。
【0009】
ケーシング20には、また、タービン室21に隣接して発電室27が設けられており、この発電室27に発電機5と、前記出力軸の回転をこの発電機5のロータに伝達する伝動ギヤ装置29と、発電機5の出力交流を整流し且つ電圧調整する整流・電圧調整器6とが設置される。
【0010】
ケーシング20には、さらに、タービン室21及び発電室27に隣接してバッテリ室30が設けられている。このバッテリ室30の両端壁には、前記整流・電圧調整器6の出力端子に連なる一対の充電端子31a、31bが付設されており、これら充電端子31a、31bと接続されるようにバッテリ7がバッテリ室30に着脱可能に装着される。バッテリ室30の上面も前記蓋板24によって開放可能に閉じられる。
【0011】
従来の技術の第2の例としては、図7に示す実開平6−21363号公開実用新案公報に開示された技術がある。これについて説明すれば、靴底19の周縁の箇所に出力コンセント23を設けて、靴底19内部に備えた空気流通空間25に、出力コンセント23と連結した電気回路を内装し、靴底19のかかと底面の位置に押圧発電手段26を装着して、歩行時における踏み圧により押圧発電手段26が電気エネルギーを生じ、且つ生じた電気エネルギーを、出力コンセント23に押し込んだプラグを通して携帯用電気具に供給できる。
【特許文献1】特開2000−236904号公開特許公報
【特許文献2】実開平6−21363号公開実用新案公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の技術は、叙上の構成であるので次の課題が存在した。
すなわち、図6に示す従来技術の第1の例に於いては、ポンプ室11の一方側に連通する吸入ポート13は、靴1の後面に開口するように設けられ、その開口部には防水・防塵用フィルタ15が取付けられる。そこで人の歩行動作に従って、外気が該吸入ポート13から防水・防塵用フィルタ15を通過して間欠的にポンプ室11に流入するが、防水・防塵用フィルタ15によって塵埃や水を確実に捕捉・除去しようとすると、防水・防塵用フィルタ15に於ける空気の通過抵抗が増大してポンプ室11へ外気の流入がさまたげられるので、空気ポンプ3の円滑な動作を行うことができないという問題点があった。
また、空気ポンプ3の円滑な動作を行わせるために防水・防塵用フィルタ15に於ける空気の通過抵抗を低減させると、塵埃や水を確実に捕捉・除去できずに靴底2の内部に塵埃や水が侵入するという問題点があった。
また、図7に示す従来技術の第2の例に於いては、靴底32の周縁の箇所に出力コンセント33を設けているので、出力コンセント33が泥水等の水に浸かり動作不良を発生するという問題点があった。
さらに、従来技術の第1の例及び第2の例に於いて、靴の本体が発電機能を有しているので、歩行時に常に発電機能を得るためには、所持する全ての靴に発電機能を付加する必要があるという問題点があった。
本発明が解決しようとする課題は、上記背景技術に存在する問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る発電機能を有する履物の中敷は叙上の問題点を解決すべく発明したものであって、次の構成、手段から成立する。
【0014】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、前方部と後方部と中間部で構成する履物の中敷に於いて、前方部、後方部及び中間部の上面に一体的に形成した袋状作動液収容部と、該袋状作動液収容部内に作動液を充填しかつ前記中間部に羽根車と該羽根車に接続した発電機とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、履物に敷設する中敷に於いて、ピエゾフィルムによる発電シートと、作動液収容部に収容した作動液の流過エネルギーによって回転する羽根車に接続した発電機と、該発電シート及び該発電機からの電力を充電する充電電池と、該充電電池に充電した電力を取出すための外部接続部と、発電電力を制御しかつ前記外部接続部から発電電力を送出する制御回路を備えた履物の中敷と、前記外部接続部に接続する接続装置と、該接続装置に接続した接続ケーブルと、前記接続装置から流入する前記発電電力を充電する充電電池と、該充電電池の充電動作を制御する制御回路部を備えた電力取出し装置とを備えたことを特徴する。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項2記載の発電機能を有する履物の中敷に於いて、前記電力取出し装置の充電電池は汎用充電電池であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る発電機能を有する履物の中敷は、叙上の構成を有するので次の効果がある。
【0018】
すなわち、請求項1ないし3記載の発明によれば、履物の中敷に発電機能を持たせたので、所有する複数の靴に対しても全ての靴に発電機能をもたせる必要がなく、使用する靴にのみ当該発電機能を有する履物の中敷を敷設して発電することができるので、経済的であると共に、発電の効率を高めることができるという効果がある。また、中敷に発電機能を付加したで、靴の外部と連通する孔が不必要であり水や泥などで発電機能が損なわれることなく、耐久性に優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態を示す図面であって、(a)は当該発電機能を有する履物に於ける中敷の平面図、(b)は(a)に於いて矢視A−A線方向から見た断面図である。
【図2】本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態を示す図面であって、電力取出し装置を示す平面図である。
【図3】本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態を示す図面であって、(a)は本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷の後方部の要部拡大図、(b)は中敷の外部接続部に接続装置を接続した要部拡大縦断面図、(c)は(b)の矢印C方向から見た外部接続部に接続装置を接続した要部拡大縦断面図である。
【図4】人が歩行するときの本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷の動作を示す図であって、(a)は人の足が中敷の前方部と後方部の両方に均等に荷重を印加したときの要部垂直断面図、(b)は人の足が中敷の後方部に荷重を印加したときの要部垂直断面図、(c)は人の足が中敷の前方部に荷重を印加したときの要部垂直断面図である。
【図5】本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態を示す図面であって、当該発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷を靴に装着し、電力取出し装置を前記中敷に接続した縦断面図である。
【図6】従来の技術に於ける第1の例を示す図面であって、(a)は(b)に示す発電機能付き靴の縦断面図であって、(b)の矢視E−E線方向の断面図、(b)は図6(a)の矢視D−D線方向の断面図である。
【図7】従来の技術に於ける第2の例を示す図面であって、ダイナモシューズの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態を示す図面であって、(a)は当該発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷の平面図、(b)は(a)に於いて矢視A−A線方向から見た断面図である。
【0021】
32は発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷であって中敷32の平面形状は概ね従来の履物の中敷と同様である。37は作動液収容部であって柔軟性を有する略袋状をなしており、作動液収容部37はその内側に後述する作動液41または気体、例えば窒素を充填し密封している。そして作動液収容部37は当該中敷32の上方部36のほぼ全域を被覆している。該作動液収容部37は中敷36の前方部33に配設した前方作動液収容部37aと、中敷36の後方部34に配設した後方作動液収容部37bとで形成されており、前方作動液収容部37a及び後方作動液収容部37bはそれぞれ略袋状をなしている。そして略袋状の前方作動液収容部37a及び後方作動液収容部37bは中敷32の土踏まず近傍すなわち中間部35に位置する作動液流過部37cによって連通し、略袋状の前方作動液収容部37a、後方作動液収容部37b及び作動液流過部37cは一体化されている。
【0022】
ここで該作動液収容部37は例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)材料やポリエステル材料、ナイロン材料等で形成され、また、柔軟性や弾力性に富み、軽量かつ無公害の素材でありポリエチレンの如き塩素を包含せず焼却してもダイオキシンが発生せず環境上好ましい材料で略袋状に形成する。
【0023】
また後述する発電ユニット38を作動液流過部37cの近傍に固定するために作動液流過部37cを図1(a)、(b)に示すような形状に形成し、作動液流過部37cの上面に発電ユニット38を固定するとともに、後述する羽根車39の一部が作動液流過部37cの内面すなわち前方作動液収容部37a及び後方作動液収容部37bの連通部であって作動液41の流れによって羽根車39が回転するように配置されている。そして、発電ユニット38の出力端子(図示せず)は後述する制御回路部42の入力端子群(図示せず)に接続している。
【0024】
37d及び37eはそれぞれ前方発電シート及び後方発電シートである。前方発電シート37d及び後方発電シート37eはそれぞれ前方作動液収容部37a及び後方作動液収容部37bの上面の略全面に於いて硬化後も柔軟性を有する接着剤で貼着されている。前方発電シート37d及び後方発電シート37eは図示しないが薄膜の3層構造を有しており、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等からなる発電機能を有するピエゾフィルムと、該ピエゾフィルムの両面すなわち上・下面に密着させた電極としての導電被膜で形成する。ピエゾフィルムの厚さは例えば0.03(mm)から0.1(mm)程度であり、前方発電シート37c及び後方発電シート37dのように耐久性を要する場合は0.1(mm)程度の厚さが好適である。
【0025】
また、前方発電シート37d及び後方発電シート37eはそれぞれ1対の出力端子(図示せず)を有している。これらの前方発電シート37d及び後方発電シート37eのそれぞれ1対の出力端子はリード線またはフレキシブルプリント配線(FPC)で作成し、後述する制御回路部42の入力端子群(図示せず)に接続している。
【0026】
38は発電ユニットであって、羽根車39と発電機40とで構成する。羽根車39は図1(a)、(b)に示すように、円筒状のコア部39aの円筒面に複数個の長方形状のブレード39bを放射状に突設してなる。具体的には羽根車39はナイロン樹脂やポリアセタール樹脂等のエンジニアリングプラスティックによる一体成形品、アルミニウムの押出し品または引抜き品、アルミニウムやマグネシウムなどのダイキャスト成形品によって作成する。また、羽根車39の回転軸方向の長さLは図1(a)に示すとおり、前記作動液流過部37cのLで示す幅寸法と同等か若干長め、即ちL≧Lの関係を満足するようにに設定する。
【0027】
発電機40は、一般的な超小型モータと同様な形状を有しており、外筐40aと回転軸(図示せず)からなる。そして発電機40の回転軸は、前記羽根車のコア部39aの中心に於いて羽根車39を固定している。また、発電機40の外筐40aは前記作動液流過部37cに形成した空間に嵌合・固定されている。
発電機40は1対の出力端子(図示せず)を有しており、該出力端子はリード線またはフレキシブルプリント配線(FPC)で作成し、後述する制御回路部42の入力端子群(図示せず)に接続している。
【0028】
41は作動液であって、前述のとおり作動液収容部37の内側に密閉・保持されている。作動液41は、具体的にはシリコーン油及び絶縁油等であり、電気絶縁性を有し流動性に富みかつ温度変化によって粘度変化のない不活性の液体が好ましい。
【0029】
42は制御回路部であって、制御回路部42は発電シート電力制御部42aと、発電機電力制御部42bと、充電電力制御部42cと、外部電力取出し制御部42dとで構成する。発電シート電力制御部42aは、前方発電シート37a及び後方発電シート37bから得られる微小かつ間欠的で常に極性の変化する電力を後述する充電電池44に充電可能な電力に変換する。発電機電力制御部42bは発電機40から得られる微小かつ間欠的で常に極性の変化する電力を後述する充電電池44に充電可能な電力に変換する。充電電力制御部42cは充電電池44に於いて充電時の電流・電圧の制御及び放電時の電流・電圧の制御を行う。外部電力取出し制御部42dは、中敷32が後述する電力取出し装置46に接続したときの制御を行う。該制御回路部42はフレキシブルプリント配線板(FPC)で構成して柔軟性を有する。
【0030】
43は制御用電池であって、制御用電池43はシート形状を有する充電電池で構成し、上記の前方発電シート37a、後方発電シート37b及び発電機40が発電する電力の一部を充電すると共に、制御回路部42に電力を供給する。
尚、制御用電池43はシート形状を有する物に限定せず、一般的なガム形状の充電電池でもよい。
【0031】
44はシート形状で柔軟性を有する充電電池であって、前記の前方発電シート37a、後方発電シート37b及び発電機40が発電する電力の大半を充電すると共に貯留した電力を後述する外部接続部45を経由して、後述する電力取出し装置46の充電電池に供給する。
【0032】
45は外部接続部であって、図1(a)、(b)に示すように、外部接続部45は中敷32の後方部34の後端部に位置しており、複数の上面が平坦な接点部45a、45aと少なくとも2個以上の直方体の形状を有する強磁性体部45b、45bとで構成する。前記複数の接点部45a、45aは制御回路部42と接続している。
【0033】
作動液収容部37と、制御回路部42と、制御用電池43と、充電電池44と外部接続部45の接点部45a、45a及び強磁性体部45b、45bは、柔軟性を有する樹脂モールド材47、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)材料やポリエステル材料、ナイロン材料等によって、図1(a)、(b)に示すように一体化され靴の中敷の形状を形成する。そして、接点部45a、45a及び強磁性体部45b、45bは図1(b)に示すようにB面において面一に一体的にモールド成形する。
【0034】
48は板状の形状を有する接点部カバーであって、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)材料やポリエステル材料、ナイロン材料等によって形成する。接点部カバー48はその一端が図1(b)に示すように、モールド材47に接着若しくは超音波融着等で固定されている。使用者が中敷32を靴の内部に収容して歩行に供するとき、接点部カバー48は接点部45a、45a及び強磁性体部45b、45bを被覆・保護している。そして歩行した後に、中敷32の充電が完了して中敷32から電力を取出すとき、該接点部カバー48の後端部を指で引き起こして持ち上げて、接点部45a、45a及び強磁性体部45b、45bを露出して後述する接続装置46bを接続する。
【0035】
次に電力取出し装置について、図2に基づき詳細に説明する。図2は本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態を示す図面であって、電力取出し装置の平面図である。
46は電力取出し装置であって、電力取出し装置46は制御回路部46aと、接続装置46bと、接続ケーブル46cとで構成する。
制御回路部46aは電力取出し装置46の全体の制御を行うもので、電力変換部46a1(図示せず)と、汎用充電電池46a2と、充電制御部46a3(図示せず)と、電源46a4(図示せず)とで構成する。
【0036】
電力変換部46a1は中敷32から送られてきた電力を後述の汎用充電電池46a2、46a2用の電力に変換する。汎用充電電池46a2、46a2は電力取出し装置46に配設した電池ボックス(図示せず)に取付・取外しが可能な単数個または複数個の充電電池であって、例えば、単三充電池である。汎用充電電池46a2、46a2は充電が完了した後に電力取出し装置46から取出して、携帯音楽プレーヤやデジタルカメラ等の電源として利用することができる。充電制御部46a3は前記汎用充電電池46a2、46a2を充電するとき、充電電流、充電電圧、温度等を管理して充電動作を制御する。電源46a4は電力変換部46a1及び充電制御部46a3を駆動するための電源である。
【0037】
次に接続装置46bについて図3(a)ないし(c)に基づき詳細に説明する。
図3は本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける実施の形態を示す図面であって、(a)は本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷32の後方部34の要部拡大図、(b)は中敷32の外部接続部45に接続装置46bを接続した要部拡大縦断面図(c)は(b)の矢印C方向から見た図であって、外部接続部45に接続装置46bを接続した要部拡大縦断面図である。
【0038】
接続装置46bはケース46b1と、磁石46b2と、コンタクトピン46b3と圧縮コイルばね46b4と、接点46b5と、接続ケーブル46cで構成される。ケース46b1は電気絶縁性を有する材料により直方体に形成する。ケース46b1の内部の左右両側に、図3(c)に示すように直方体の形状を有する2個の磁石46b2、46b2が配設されている。該磁石46b2、46b2の下端面はケース46b1の下端面と面一である。該磁石46b2、46b2は図3(c)に示すB面上に於いてモールド材47にモールドされた上述した強磁性体部45b、45bの上面に対向し、かつ該磁石46b2、46b2を内包したケース46b1は前記強磁性体部45b、45bの上面に磁力によって吸着している。該磁石46b2、46b2はネオジウム磁石、サマリウムコバルト磁石等の強力な磁石が望ましい。
【0039】
ケース46b1の内側はコンタクトピン収容部46b6、46b6を擁し、かつ該コンタクトピン収容部46b6、46b6は図3(c)に示すように複数の壁46b7、46b7で仕切られている。各々のコンタクトピン収容部46b6、46b6に於いてコンタクトピン46b3、46b3と、圧縮コイルばね46b、446b4と、接点46b5、46b5が図3(b)、(c)に示すように配設されている。
【0040】
コンタクトピン46b3、46b3及び接点46b5、46b5は例えば銅合金等の良導体で一体化されている。そして図3(b)、(c)に示すようにコンタクトピン46b3、46b3の上端に於いてケーブル46cの各素線に接続している。コンタクトピン46b3、46b3及び接点46b5、46b5は圧縮コイルばね46b4、46b4によって下方に付勢・押圧されており、接点46b5、46b5の下面が中敷32の接点部45a、45aに密着する。このとき、強磁性体部45b、45bに吸着した磁石46b2、46b2の吸着力が圧縮コイルばね46b4、46b4の押圧力に勝るので、接続装置46bが中敷32から離脱することはない。また、磁力によって接続装置46bと中敷32を接続しているので、手によって接続装置46bを中敷32から容易に分離、離脱させることができる
【0041】
中敷32から接続装置46bを分離したとき、圧縮コイルばね46b4、46b4によって下方に付勢・押圧されているコンタクトピン46b3、46b3及び接点46b5、46b5は、ケース46b1に配設した図示しない係止部によって係止される。このとき接点46b5、46b5は接点46b5、46b5の下端面がケース46b1の下端面から例えば1(mm)突出した位置で係止され、コンタクトピン46b3、46b3及び接点46b5、46b5がケース46b1から脱落することはない。
46cは接続ケーブルであって、一端が図3(b)、(c)に示すようにケース46b1にモールドされ固定されて、コンタクトピン46b3、46b3に接続しており、他端が制御回路部46aに接続している。
【0042】
次に図4及び図5に基づき本発明に係る発電機能を有する履物の中敷の実施の形態についてその動作等を説明する。
図4は、人が歩行するときの本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷の動作を示す図であって、(a)は人の足が中敷の前方部と後方部の両方に均等に荷重を印加したときの要部垂直断面図、(b)は人の足が中敷の後方部に荷重を印加したときの要部垂直断面図、(c)は人の足が中敷の前方部に荷重を印加したときの要部垂直断面図である。
図5は、本発明に係る発電機能を有する履物の中敷に於ける中敷を靴に装着し、該中敷に電力取出し装置を接続した図であって、中敷を装着した靴は垂直断面図である。
【0043】
先ず、図5に示すように本発明に係る発電機能を有する履物の中敷の中敷32を靴の内側の底面に敷設して該靴を履く。このとき図5に示す接続装置46bは取り付けない。
図4(a)に於いて人は立位を保持していて静止している。このとき足裏に印加される荷重は、人の足に於ける中足骨(図示せず)と基接骨(図示せず)とで構成される関節部に相当する位置に於ける足裏部すなわちの前方足裏部49及び、人の足に於ける踵の足裏部即ち後方足裏部50にそれぞれ均等にW/2(kg)の荷重が均等に印加されている。このとき中敷32の上方部36は変形していないので、作動液41の移動・流過はなく羽根車39が回転することはない。従って発電機40が発電機電力を発生しない。また、前方発電シート37d及び後方発電シート37eに於いても変形が生じていないので、発電シート電力が発電機電力を発生しない。
【0044】
次に、図4(b)に示すように人が足を前方に踏み出して踵から地面に着地すると、後方足裏部50に荷重W(kg)が印加される。そして後方作動液収容部37bは後方足裏部50によって押圧され圧縮変形する。そこで後方作動液収容部37bに貯留した作動液41は図4(b)に示すように、作動液流過部37cが矢印 に示す方向に勢いよく流過して前方作動液収容部37aに移動する。すると図4(b)に示すように、羽根車39が流過する作動液41によってR1方向に回転して発電機40が発電機電力を発電する。また、同時に圧縮変形した後方作動液収容部37bに貼着した後方発電シート37eはポリフッ化ビニリデン(PVDF)等からなる発電機能を有するピエゾフィルムがピエゾ効果理論により発電シート電力を発電する。さらに、前方作動液収容部37aに移動した作動液41によって、前方作動液収容部37aが膨張変形するので、前方作動液収容部37aに貼着した前方発電シート37dがポリフッ化ビニリデン(PVDF)等からなる発電機能を有するピエゾフィルムがピエゾ効果理論により発電シート電力を発電する。
【0045】
上記した発電機40から得た発電機電力及び前方発電シート37dと後方発電シート37eから得た発電シート電力はそれぞれ制御回路部42を経て、充電電池44に充電する。
【0046】
次に、図4(c)に示すように人が足を後方に蹴り出すと、前方足裏部49に荷重W(kg)が印加される。そして前方作動液収容部37aは前方足裏部49によって押圧され圧縮変形する。そこで前方作動液収容部37aに貯留した作動液41は図4(c)に示すように、矢印 に示す方向に作動液流過部37cを勢いよく流過して後方作動液収容部37bに移動する。すると図4(c)に示すように、羽根車39が流過する作動液41によってR2方向に回転して発電機40が発電機電力を発電する。また、同時に圧縮変形した前方作動液収容部37aに貼着した前方発電シート37dはポリフッ化ビニリデン(PVDF)等からなる発電機能を有するピエゾフィルムがピエゾ効果理論により発電シート電力を発電する。さらに、後方作動液収容部37bに移動した作動液41によって、後方作動液収容部37bが膨張変形するので、後方作動液収容部37bに貼着した後方発電シート37eがポリフッ化ビニリデン(PVDF)等からなる発電機能を有するピエゾフィルムがピエゾ効果理論により発電シート電力を発電する。
【0047】
上記した発電機40から得た発電機電力及び前方発電シート37dと後方発電シート37eから得た発電シート電力はそれぞれ制御回路部42を経て、充電電池44に充電する。上述したとおり、本発明に係る発電機能を有する履物の中敷の中敷32は、歩行に伴って作動液41が作動液収容部37を移動・流過することにより得た発電機電力及び発電シート電力を連続的に充電することができる。
【0048】
次に、歩行後に本発明に係る発電機能を有する履物の中敷の中敷が充電した後の取り扱いについて、図5に基づき詳細に説明する。
中敷32の後方部34の後端に位置する接点部カバー48を図5に示すように開けて接続装置46bを外部接続部45に接続する。このとき図3(b)、(c)に示すように接続装置46bの2個の磁石46b2、46b2がその磁力によって外部接続部45の2個の強磁性体部45b、45bにおのおの吸着する。これにより接続装置46b及び外部接続部45の相互位置が確定する。接続装置46bが外部接続部45に固定されると、接続装置46bに設置されて接続装置46bの下端面から例えば1(mm)突出した位置で係止されているコンタクトピン46b3、46b3及び接点46b5、46b5は外部接続部45に配設されている接点部45a、45aに押圧し、中敷32と電力取出し装置46は電気的に接続する。
【0049】
中敷32が電力取出し装置46に電気的に接続すると、中敷32の充電電池44に貯留された電力が、制御回路部46aの電力変換部46a1及び充電制御部46a3の動作により汎用充電電池46a2、46a2用の電力に変換され、汎用充電電池46a2、46a2に充電される。充電が完了した汎用充電電池46a2、46a2は電力取出し装置46から取出して、携帯音楽プレーヤやデジタルカメラ等の電源として利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は外出時に於いて装用した靴に敷設した中敷で充電した電力を、外出先で電力取出し装置に取り付けた汎用充電電池に充電することで、携帯音楽プレーヤやデジタルカメラ等の電源として利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
32 中敷
33 前方部
34 後方部
35 中間部
36 上方部
37 作動液収容部
37a 前方作動液収容部
37b 後方作動液収容部
37c 作動液流過部
37d 前方発電シート
37e 後方発電シート
38 発電ユニット
39 羽根車
39a コア部
39b ブレード
40 発電機
40a 外筐
41 作動液
42 制御回路部
42a 発電シート電力制御部
42b 発電機電力制御部
42c 充電電力制御部
42d 外部電力取出し制御部
43 制御用電池
44 充電電池
45 外部接続部
45a 接点部
45b 強磁性体部
46 電力取出し装置
46a 制御回路部
46a1 電力変換部
46a2 汎用充電電池
46a3 充電制御部
46a4 電源
46b 接続装置
46b1 ケース
46b2 磁石
46b3 コンタクトピン
46c4 圧縮コイルばね
46b5 接点
46b6 コンタクトピン収容部
46b7 壁
46c 接続ケーブル
47 樹脂モールド材
48 接点部カバー
49 前方足裏部
50 後方足裏部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方部と後方部と中間部で構成する履物の中敷に於いて、前方部、後方部及び中間部の上面に一体的に形成した袋状作動液収容部と、該袋状作動液収容部内に作動液を充填しかつ前記中間部に羽根車と該羽根車に接続した発電機とを備えたことを特徴とする発電機能を有する履物の中敷。
【請求項2】
履物に敷設する中敷に於いて、ピエゾフィルムによる発電シートと、作動液収容部に収容した作動液の流過エネルギーによって回転する羽根車に接続した発電機と、該発電シート及び該発電機からの電力を充電する充電電池と、該充電電池に充電した電力を取出すための外部接続部と、発電電力を制御しかつ前記外部接続部から発電電力を送出する制御回路を備えた履物の中敷と、前記外部接続部に接続する接続装置と、該接続装置に接続した接続ケーブルと、前記接続装置から流入する前記発電電力を充電する充電電池と、該充電電池の充電動作を制御する制御回路部を備えた電力取出し装置とを備えたことを特徴する発電機能を有する履物の中敷。
【請求項3】
前記電力取出し装置の充電電池は汎用充電電池であることを特徴とする請求項2記載の発電機能を有する履物の中敷。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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