説明

皮膚洗浄用パフ

【課題】肌面の洗浄効果を向上させた皮膚洗浄パフを提案する。
【解決手段】平板状発泡体でなる発泡体層部の少なくとも片面に短繊維を静電植毛して肌面洗浄層部を形成するようにしたことにより、肌面洗浄層部の短繊維による肌面及び毛穴に対する洗浄効果を一段と向上させると共に、肌面を傷つけることなくマッサージ効果を実現できる皮膚洗浄用パフを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚洗浄用パフに関し、特に人の皮膚に対する洗浄効果を高めようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗顔や化粧落としの際に、人の肌面を洗浄する手段として、石けんなどの洗剤を泡立てる発泡体でなるいわゆるフェイシャルスポンジや、その周囲を布材料によって覆うようにした洗浄用パフが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−182633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の洗浄用パフによって人の肌面を洗浄しようとする場合、垢などの表面の汚れのみならず、毛穴の深部又は近傍に埋もれた皮脂や老廃物を、肌面を傷付けることなく効果的に洗浄できるようにすることが望ましい。
【0004】
特に、仰向けに寝た状態で施術を行う業務用のエステティックサロンでは、フェイシャルスポンジや蒸しタオルを用いて、汚れや化粧剤を落とすために用いたクレンジング剤、洗浄剤や、パックに用いたパック剤などの処理剤を除去しているが、これらの処理剤を除去し残すと肌への刺激物となり得るので、効果的に除去する必要があると共に、毛穴の奥まで汚れをきれいに落とす効果に加えて、肌面を傷つけることなく肌面にやさしいマッサージ効果を得ることができるような洗浄手段を提供することが望ましい。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、肌面を傷付けることなく高い洗浄効果で人の皮膚を洗浄できるようにした皮膚洗浄用パフを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、平板状発泡体でなる発泡体層部と、太さ0.5〜2.0〔デニール〕及び繊維長0.2〜2.0〔mm〕の短繊維を、発泡体層部の少なくとも片面に静電植毛してなる肌面洗浄層部とを設けるようにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、平板状発泡体でなる発泡体層部の少なくとも片面に短繊維を静電植毛して肌面洗浄層部を形成するようにしたことにより、肌面洗浄層部の短繊維による肌面及び毛穴に対する洗浄効果を一段と向上させると共に、肌面を傷つけることなくマッサージ効果を実現できる皮膚洗浄用パフを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)全体構成
図1(A)〜(C)において、1は全体として皮膚洗浄用パフを示し、長方形平板状の発泡体層部2上に肌面洗浄層部3が形成されている。
【0010】
発泡体層部2は可撓性発泡材料である軟質ウレタンフォームによって構成され、洗浄液を発泡体層部2に浸潤させた状態で使用者が皮膚洗浄用パフ1を揉むことにより、当該洗浄液を泡立てて肌面洗浄層部3を通して表面外部に泡を供給する。
【0011】
肌面洗浄層部3は、太さが0.5〜2.0〔デニール〕の多数のナイロン繊維であって、繊維長が0.2〜2.0〔mm〕の短繊維(パイル)を発泡体層部2の表面に静電植毛した構成を有する。
【0012】
この発泡体層部2に対する肌面洗浄層部3の短繊維(パイル)の植毛は、静電植毛加工(フロッキー加工とも呼ぶ)の手法によって、発泡体層部2の表面に塗布された接着剤に対して、飛翔状態にある短繊維(パイル)を2〜10万〔V〕の直流電圧で帯電させることにより、発泡体層部2の上面に塗布された接着剤層上に垂直に投錨させ、これにより発泡体層部2上に多数の短繊維を植毛してなる肌面洗浄層部3を形成する。
【0013】
この実施の形態の場合発泡体層部2は4〜7〔mm〕の厚さを有するのに対して、肌面洗浄層部3は1〔mm〕の厚さを有する。
【0014】
かくして、肌面洗浄層部3には、図2(A)及び(B)に拡大画像として示すように、静電植毛加工によって接着剤層上に投錨したナイロン短繊維(パイル)3Aを起毛した構造が形成されている。
【0015】
これに対して発泡体層部2には、図3(A)及び(B)に示すように、ウレタンフォーム内に形成される発泡孔2Aを配列した発泡構造が形成されている。
【0016】
接着剤としては、酢酸ビニル系、エポキシ系、ウレタン系、又はアクリル系のものが用いられている。
【0017】
実際上、各皮膚洗浄用パフ1は帯状素材から型によって打ち抜くことにより多量生産され、かくして図1(C)に示すように、発泡体層部2の外周縁において、肌面洗浄層部3が発泡体層部2の端縁を内側に囲い込むように丸みをもつように丸み加工される。
【0018】
かくして皮膚洗浄用パフ1の周端部が全体として厚み方向に丸み4をもつことにより、皮膚洗浄用パフ1が人の肌面に接触したとき、皮膚洗浄用パフ1が皮膚に柔らかく当たるようになされている。
【0019】
これに加えて、皮膚洗浄用パフ1の四隅5A〜5Dが平面内において丸みをもつように成形され、これにより皮膚に対する当たりを柔らかくするようになされている。
【0020】
(2)処理剤の拭取り
以上の構成において、例えば業務用のエステティックサロンにおいて、洗顔時又は化粧落し時に、皮膚洗浄用パフ1は肌面に残っているクレンジング剤、洗浄剤や、パック剤などの処理剤を拭き取る目的で使用される。
【0021】
このとき、皮膚洗浄用パフ1は、やや熱めのお湯を入れたボールの容器に浸たされ、発泡体層部2及び肌面洗浄層部3にお湯を十分含ませてから容器から取り出されてお湯が絞られる。
【0022】
かくして、発泡体層部2及び肌面洗浄層部3の水分が調整された後、図5に示すように、肌面洗浄層部3が手のひらと並ぶような向きにした状態で、皮膚洗浄用パフ1を指の間に挟んで持つ。
【0023】
図2の場合、使用者は、左手の中指及び薬指を発泡体層部2に触れるように小指及び人指し指によって皮膚洗浄用パフ1を挟み持っている。
【0024】
かくして、使用者は、肌面洗浄層部3のうち中指及び薬指に対向する部分を被施術者の皮膚に軽く触れさせながら移動させることにより皮膚表面を拭き取る。
【0025】
例えば顔6を拭き取る場合は、図6において矢印a1及びa2で示すように、下まぶたを内側から外側に向かって1〜2回拭き取る。
【0026】
また矢印b1及びb2に示すように、まぶたを内側から外側に向かって、1〜2回拭き取る。
【0027】
さらに矢印c1及びc2によって示すように、眉上を内側から外側に向かって、1〜2回拭き取る。
【0028】
かかる拭取り動作をした結果、洗顔時又は化粧落し時に肌に残っているクレンジング剤や、洗浄剤や、パック剤などを効果的に肌面洗浄層部3の表面に付着させることにより効果的に除去できる。これと共に、肌面洗浄層部3が発泡体層部2の表面に植毛された短繊維(パイル)によって形成されていることにより、起毛した短繊維が毛穴の周囲及び内部に入ることにより、垢などの表面の汚れや、毛穴の近傍又は深部に埋れた皮脂や老廃物(ニキビの原因になったりする)などの汚れを毛穴の奥まできれいに落とす効果に優れていると共に、起毛した短繊維群が柔かく肌面に接触することにより肌面を傷付けることなく肌当りが良い適度なマッサージ効果も付与できるような美肌効果を得ることができる。
【0029】
(3)石けんの併用
図5及び図6について上述した皮膚洗浄用パフ1の拭取り処理について、皮膚洗浄用パフ1に石けんを付けることにより石けんと併用すれば、さらに拭取り効果を高めることができる。
【0030】
この場合、皮膚洗浄用パフ1に石けんを付けた後揉むことによって、主として発泡体層部2の発泡孔構造に基づいて泡が形成され、これが肌面洗浄層部3を通して、図7(A)及び(B)に示すように、きめ細かい滑らかな泡として肌面洗浄層部3上に生ずる。
【0031】
実験によれば、図7(A)においてトレーに取り分けた泡8の粒は、図7(B)に示すように微細でかつ大きさが揃っていた。
【0032】
そこで、皮膚洗浄用パフ1を用いて図5及び図6について上述したと同様に、皮膚表面を拭き取る動作をすれば、肌面洗浄層部3の表面の微細な泡が肌面洗浄層部3を構成する)短繊維(パイル)3A(図2)によって毛穴の周囲や奥に溜まった皮脂や老廃物が肌表面にかき出される。
【0033】
かくして肌表面にかき出された皮脂、老廃物や、垢などの表面の汚れは、肌面洗浄層部3の短繊維(パイル)3Aが多数起毛されていることにより、肌面を傷付けることなく効果的に除去できると共に、適度なマッサージ効果を付与することにより血行を促進し、結局美肌効果を高めることになる。
【0034】
実験によれば、市販の洗顔パウダー0.5〔g〕を皮膚洗浄用パフ1及び従来のフェイシャルスポンジ(比較例)によってそれぞれ付けて泡立たせたところ、皮膚洗浄用パフ1によれば、図7(A)及び(B)について上述したように、微細な泡8が均一な状態で泡立ちしたのに対して、市販のフェイシャルスポンジ(図4)の泡9(図8(A))は、図8(B)に示すように、大、中、小寸法の泡9が交じり合った不均一な泡立ちしか得ることができなかった。
【0035】
かくして皮膚洗浄用パフ1によれば、微細かつ均一な泡8によって洗浄効果が一段と高められることが分かった。
【0036】
(4)効果の確認
(4−1)比較例との比較結果
実験によれば、皮膚洗浄用パフ1の特性は、図9において市販のフェイシャルスポンジを比較例として示すように、各種機能について良好な結果が得られることが確認できた。
【0037】
ここで発泡体について、皮膚洗浄用パフ1が軟質ウレタンであるのに対して、比較例は、ポリビニールアルコール材が用いられており、皮膚洗浄用パフ1が短繊維(パイル)としてナイロンでなる肌面洗浄層部3を有するのに対して、比較例は図4(A)及び(B)に示すように、このような短繊維(パイル)層は設けられておらず、その目的は化粧剤の除去及び洗顔である。これに対して、皮膚洗浄用パフ1は、化粧剤の除去及び洗顔にとどまらずマッサージにも使用できる。
【0038】
皮膚洗浄用パフ1は、全体として、弾力性のあるパフを形成しているのに対して、比較例の市販のフェイシャルスポンジは、乾燥時においては麩状であるのに対して、水分を浸潤させると柔軟性のあるスポンジになった。
【0039】
また密度において、皮膚洗浄用パフ1は微細な気泡があり低密度であるのに対して、比較例は大きな気泡があり、低密度であった。
【0040】
さらに洗剤を併用した場合の皮膚洗浄用パフ1の泡立ちは良好であるのに対して、比較例の場合はやや良好程度であった。
【0041】
さらに洗剤を併用した場合の皮膚洗浄用パフ1の泡きめは、極めて良好であるのに対して、比較例の場合は良好程度であった。
【0042】
さらに皮膚洗浄用パフ1の乾燥時の肌当たりは良好であったのに対して、比較例の場合は痛さがあった。
【0043】
さらに水を含浸したときの皮膚洗浄用パフ1の肌当たりは良好であったのに対して、比較例の場合は多少の痛さがあった。
【0044】
さらに皮膚洗浄用パフ1の泡の除去性は良好であったのに対して、比較例の場合はやや良好程度であった。
【0045】
さらに皮膚洗浄用パフ1の汚れの除去性は良好であったのに対して、比較例の場合はやや悪いとの結果を得た。
【0046】
このように皮膚洗浄用パフ1の作用効果は、市販のフェイシャルスポンジでなる比較例と比較して一段と改善されていることが分かった。
【0047】
(4−2)体感モニタ結果
被験者10人に対して、石けんを用いて洗顔した際の体感をモニタし、モニタ結果を5段階のポイント1〜5(1は「悪い」、2は「やや悪い」、3は「普通」、4は「やや良い」、5は「良い」)で評価し、その平均点を図10に示すように体感モニタ結果として求めた。
【0048】
この体感モニタ結果によると、泡立ち、洗顔時の肌触り、洗顔後の泡除去時の肌触り、洗顔後の肌状態及び翌日の肌状態の体感について、皮膚洗浄用パフ1は、比較例であるフェイシャルスポンジに対して、一段と改善効果があることが分かった。
【0049】
(4−3)体感官能結果
被験者10人について、石けんで洗顔した際の被験者の印象を評価ポイント1〜5(1は「悪い」、2は「やや悪い」、3は「普通」、4は「やや良い」、5は「良い」)で評価し、図11に示すように、被験者10人の平均値をとって、4以上を「◎」、3〜4未満を「○」、2〜3未満を「△」、2未満を「×」として体感官能結果を表した。
【0050】
この官能試験の結果、「肌の上での滑り」は比較例が2〜3未満であるのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0051】
また肌への密着感は、比較例が3〜4未満であるのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0052】
さらに心地よさは、比較例が2〜3未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0053】
さらに肌の拭取り性は、比較例が3〜4未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0054】
さらに洗顔後のしっとり感は、比較例が2〜3未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0055】
さらにゆったり感は、比較例が2〜3未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0056】
さらにリラックス感は、比較例が2〜3未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0057】
さらにしっとり感は、比較例が2〜3未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は3〜4未満で優れていた。
【0058】
さらになめらかさは、比較例が2〜3未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は4以上で優れていた。
【0059】
さらに肌のきめは、比較例が2〜3未満であったのに対して、皮膚洗浄用パフ1は3〜4未満で優れていた。
【0060】
このように官能試験結果は、10項目の数多くの体感について、皮膚洗浄用パフ1の官能結果が比較例より格段的に改善されており、このことは皮膚洗浄用パフ1は、一般需要者が洗顔用パフとして用いて好適であるばかりでなく、特に業務用のエステティックサロンなどにおいて使用する皮膚洗浄用パフとして好適であることを表している。
【0061】
(4−4)柔らかい面における汚れ除去試験
図12は柔らかい面に付着した汚れを拭き取る際の汚れ除去試験を示すもので、図12(A)に示すように、柔らかい肌面を寒天培地11Aによって模擬的に作り、寒天培地11Aの表面に白色絵具11Bを塗布した後5分間放置し、図12(B)に示すように、皮膚洗浄用パフ1と、比較例としての市販のフェイシャルスポンジ12とに水を含ませて寒天培地11Aの表面を壊さない程度の柔らかいタッチで白色絵具11Bを1回だけ拭取り操作をした。
【0062】
図12(B)の場合、右手に皮膚洗浄用パフ1を把持すると共に、左手にフェイシャルスポンジ12を把持して、中心部分の白色絵具11Bを残しながら左右に皮膚洗浄用パフ1及びフェイシャルスポンジ12を同時に右方及び左方に移動させることにより同時に拭取り操作をした。
【0063】
この結果、図12(C)に示すように、皮膚洗浄用パフ1によって拭き取った拭取り部分13Aにおいては、絵具の残存量が少なくかつ均一に除去されていると共に、寒天培地11Aに残った傷が極めて少なかったのに対して、フェイシャルスポンジ12によって拭き取った拭取り部分13Bにおいては、絵具の残存量が多く、かつ寒天培地11Aの表面にすじ目を付けたような傷が残った。
【0064】
この試験によって、皮膚洗浄用パフ1は、比較例である市販のフェイシャルスポンジ12と比較して、汚れの除去能力が高くかつ肌面を傷つけるおそれが少ない(従って肌面に優しい)拭取り効果を得ることができることが確認できた。
【0065】
(4−5)細かい凹部の汚れ除去試験
図13は拭取り面に毛穴のような細かい凹部をもつ拭取り面について、当該細かい凹部の汚れ除去試験結果を示すもので、図13(A)に示すように、卵14の表面に黒色絵具を塗布して5分間放置した後、図13(B)に示すように、皮膚洗浄用パフ1及び比較例のフェイシャルスポンジ12によって卵14の黒色絵具15を縦方向に同時に拭き取る操作をした。
【0066】
当該拭取り操作の結果、皮膚洗浄用パフ1の拭取り部16Aは、図13(C)において拭取り拡大画像17Aによって示すように、拭取り部16Aに残る黒色絵具が極めて少なく、かつ卵14の表面にある細かい凹部に残る黒色絵具も極めて少なかった。
【0067】
これに対して、比較例のフェイシャルスポンジ12による拭取り部16Bにおいては、図13(D)において拭取り拡大画像17Bによって示すように、卵14の表面に残った黒色絵具15が多く、しかも卵表面の細かい凹部に入った黒色絵具15が取りきれずに残っていることが分かる。
【0068】
この実験結果によれば、細かい凹部を有する拭取り面に対して皮膚洗浄用パフ1は拭取り面の表面に付着した汚れを均一に除去できると共に、拭取り面の細かい凹部に入った汚れを除去する能力について、比較例の市販のフェイシャルスポンジと比較して格段的に改善されていることが分かり、その結果人の肌面の毛穴に入っている汚れを効果的に除去できることが分かる。
【0069】
(4−6)なめらかさ試験
肌面に似た模擬拭取り面として、図14(A)に示すように、ゴム風船20を用意し、その表面に石けんの泡21を塗り付けた後、図14(B)に示すように、皮膚洗浄用パフ1及び比較例として市販のフェイシャルスポンジ12によって泡21を同時に拭き取る。
【0070】
この結果図14(C)に示すように、皮膚洗浄用パフ1によって泡21を拭き取った拭取り部21Aには、一様に泡が残らずきれいに拭き取られているのに対して、フェイシャルスポンジ12による拭取り部21Bにはまだらに泡21が残った。
【0071】
このことは、皮膚洗浄用パフ1はゴム風船20の表面に一様に密接してなめらかに泡を拭き取ったのに対して、フェイシャルスポンジ12はゴム風船20の表面に一様に密接することができないために、なめらかさを失った状態で拭取り動作をしたものと考えられる。
【0072】
かくして皮膚洗浄用パフ1は肌面になめらかに密接しながら洗浄動作をすることが確かめられた。
【0073】
(4−7)効果のまとめ
図9における比較例との比較検討や、図10及び図11における被験者の体感モニタ及び官能結果から確認できたように、皮膚洗浄用パフ1は発泡体層部2の表面に短繊維でなる肌面洗浄層部3を設けたことにより、肌面を傷付けることなくなめらかな拭取り動作をすることができ、かつその拭取り動作の間に毛穴の奥まで汚れをきれいに落す効果と、肌に対する適度なマッサージ効果とを得ることができ、その結果きめの整った美しい素肌に導く効果を得ることができる。
【0074】
このような皮膚洗浄用パフ1の拭取り動作は、図12、図13及び図14の拭取り試験によって物理的な作用効果があることが確かめられた。
【0075】
(5)第2の実施の形態
図15(A)、(B)及び(C)は、第2の実施の形態を示し、図1との対応部分に同一符号を付して示すように、発泡体層部2の表面側及び裏面側の両面に肌面洗浄層部3X及び3Yが設けられている。
【0076】
肌面洗浄層部3X及び3Yは、図1の肌面洗浄層部3と同様に発泡体層部2の表面及び裏面にナイロンでなる短繊維(パイル)を静電植毛加工することにより形成される。
【0077】
以上の構成において、皮膚洗浄用パフ1は、図5及び図6について上述したと同様にして、使用者が手に把持して表面側の肌面洗浄層部3X又は裏面側の肌面洗浄層部3Yを用いて肌面に付着している洗顔料など拭き取る操作がなされ、その際に図7及び図8について上述したと同様に石けんを併用することにより表面側の肌面洗浄層部3X及び裏面側の肌面洗浄層部3Yに生じた泡を用いて肌面や毛穴にある汚れを拭き取る。
【0078】
かくして図15の構成によれば、発泡体層部2を共通に用いながら、表面側の肌面洗浄層部3X又は裏面側の肌面洗浄層部3Yによって肌面の洗浄をなし得る。
【0079】
かくするにつき、図1の皮膚洗浄用パフ1と上述したと同様に肌面洗浄層部3X及び3Yが多数の短繊維(パイル)を静電植毛した構成を有することにより、肌面を傷つけることなく滑らかな拭取り操作をすることができ、かつ毛穴の奥まで汚れをきれいに落とす効果に優れ、かつ適度なマッサージ効果を付与することができることにより、きめの整った美しい美肌に導くことができる。
【0080】
(6)他の実施の形態
(6−1)上述の実施の形態においては、発泡体層部2として、ウレタンフォームを用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)などのラテックススポンジを用いる等、一般に化粧用パフに使用されるものを用いても、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0081】
(6−2)上述の実施の形態においては、皮膚洗浄用パフ1の全体形状を、ほぼ長方形状にした場合について述べたが、当該形状はこれに代え、円形、楕円形、小判型など種々の形状を用い得る。
【0082】
(6−3)上述の実施の形態においては、肌面洗浄層部3、3X及び3Yの短繊維(パイル)としてナイロンを用いたが、これに代え、レーヨンなどの化学繊維を用いるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は家庭用及び業務用の皮膚洗浄用パフに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】(A)、(B)及び(C)は、本発明の一実施の形態による皮膚洗浄用パフを示す平面図、側面図及びA1−A1断面図である。
【図2】(A)及び(B)は、肌面洗浄層部の短繊維(パイル)の起毛構造を示す120倍及び200倍拡大写真図である。
【図3】(A)及び(B)は、発泡体層部の表面構造を示す120倍及び200倍拡大写真図である。
【図4】(A)及び(B)は、比較例として採用した市販のフェイシャルスポンジの表面を示す120倍及び200倍拡大写真図である。
【図5】皮膚洗浄用パフの使用状態を示す斜視図である。
【図6】皮膚洗浄用パフによる拭取り動作の説明に供する略線図である。
【図7】(A)及び(B)は、皮膚洗浄用パフの泡を示す斜視図及び30倍拡大写真図である。
【図8】(A)及び(B)は、比較例の泡を示す斜視図及び30倍拡大写真図である。
【図9】皮膚洗浄用パフの特性を比較例と比較して示す図表である。
【図10】皮膚洗浄用パフの体感モニタ結果を比較例と比較して示す図表である。
【図11】皮膚洗浄用パフの体感官能結果を比較例と比較して示す図表である。
【図12】(A)、(B)及び(C)は、寒天培地面拭取り試験結果を示す寒天培地、絵具の除去操作及び除去結果を示す斜視図である。
【図13】(A)、(B)、(C)及び(D)は、卵面拭取り試験における卵表面の斜視図、その拭取り部を示す斜視図、皮膚洗浄用パフの拭取り拡大写真図及びフェイシャルスポンジの拭取り拡大写真図である。
【図14】(A)、(B)及び(C)は、風船における泡の拭取り試験におけるゴム風船について、ゴム風船表面の斜視図、拭取り操作を示す斜視図及び拭取り結果を示す斜視図である。
【図15】(A)、(B)及び(C)は、第2の実施の形態による皮膚洗浄用パフを示す平面図、側面図及びA2−A2断面図である。
【符号の説明】
【0085】
1……皮膚洗浄用パフ、2……発泡体層部、2A……発泡孔、3、3X、3Y……肌面洗浄層部、3A……短繊維(パイル)、4、5A〜5D……丸み部、5……比較例のフェイシャルスポンジ、11A……寒天培地、11B……白色絵具、12……フェイシャルスポンジ(比較例)、13A、13B……拭取り部分、14……卵、15……黒色絵具、16A、16B……拭取り部、17A、17B……拭取り拡大画像、20……ゴム風船、21……泡、21A、21B……拭取り部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状発泡体でなる発泡体層部と、
太さ0.5〜2.0〔デニール〕及び繊維長0.2〜2.0〔mm〕の短繊維を、上記発泡体層部の少なくとも片面に静電植毛してなる肌面洗浄層部と
を具えることを特徴とする皮膚洗浄用パフ。
【請求項2】
平板状発泡体でなる発泡体層部の少なくとも片面に、太さ0.5〜2.0〔デニール〕及び繊維長0.2〜2.0〔mm〕の短繊維を静電植毛することにより肌面洗浄層部を形成する
ことを特徴とする皮膚洗浄用パフの製造方法。

【図1】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−260136(P2007−260136A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88983(P2006−88983)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000105707)TBCグループ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】