説明

目覚し時計

【課題】 若者にのみ聞こえる報知音をスピーカから発生するものであって、報知音の発生に伴う不要な可聴音を確実に低減してなる目覚し時計を提供すること。
【解決手段】 予め指定された予定時刻にスピーカから報知音を発生する目覚し時計において、前記報知音としては、16−18[kHz]の高周波音を断続的に発生し、前記高周波音の切れ目では、前記高周波音の周波数を20[kHz]以上に上げて超音波とし、さらに前記超音波の周波数を下げて前記高周波音とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め指定された予定時刻にスピーカから報知音を発生する目覚し時計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、目覚し時計は起床のために利用されているが、その報知音によると、近くで睡眠中の人までも目覚めてしまうという不都合がある。
また近年では、高周波音が年齢によって聞こえ難くなることを利用した装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された発明もその1つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、若者が起床するために利用する目覚し時計として、高周波音を発生する目覚し時計が考えられる。例えば、学生が親よりも早く起床したいときに便利である。
【0005】
しかし、そのような目覚し時計を実用化するためには、スピーカの音響歪を考慮する必要がある。つまり、スピーカは、電気信号の波を忠実に音の波へ変換することを理想とするが、実際には常に何らかの無駄な振動をしており、これが不要な可聴音の発生源となる。
【0006】
報知音の発生に伴う不要な可聴音が若者以外の年齢層にもはっきりと聞こえてしまうのであれば、若者のみが起床するための目覚し時計としては、利用価値がない。若者以外の年齢層にとっては、スピーカが発生する不要な可聴音、つまり雑音のみを聞くこととなり、不快であると思われる。
【0007】
本願発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、若者にのみ聞こえる報知音をスピーカから発生するものであって、報知音の発生に伴う不要な可聴音を確実に低減してなる目覚し時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1請求項に記載した発明は、予め指定された予定時刻にスピーカから報知音を発生する目覚し時計において、前記報知音としては、16−18[kHz]の高周波音を断続的に発生し、前記高周波音の切れ目では、前記高周波音の周波数を20[kHz]以上に上げて超音波とし、さらに前記超音波の周波数を下げて前記高周波音とする構成の目覚し時計である。このような構成によると、報知音の発生に伴う不要な可聴音が確実に低減される。以下に、その考え方について説明する。
【0009】
音響歪は、スピーカの性能に大きく依存する。但し、高性能で高価なスピーカを目覚し時計に用いるのは不釣合いである。本願発明者は、既存の目覚し時計に用いられている比較的安価なスピーカを用いて、高周波音を発生する試行実験を行った。
【0010】
本願発明者の試行実験によると、不要な可聴音は、無音の状態から高周波音を発生する際に顕著であることが判明した。例えば、所定の間隔で『ピッ・ピッ・ピッ』というアラーム音を断続的に発生した場合、『ブッ・ブッ・ブッ』という雑音が伴う。発生している音が聞こえるのであれば、雑音はその音にかき消されて気になることはない。しかし、高周波音が聞こえない若者以外の年齢層には、雑音のみが聞こえることとなる。
【0011】
そこで本願発明者は、このような雑音を低減する方法として、報知音の発生時にはスピーカの振動を継続させるという方法を考えた。高周波音の切れ目、つまり『ピッ』と『ピッ』の間では、高周波音『ピッ』の周波数を20[kHz]以上に上げて超音波とし、さらに超音波の周波数を下げて前記高周波音『ピッ』とする。このような構成によると、若者以外の年齢層に雑音が聞こえてしまうという問題は明らかに改善した。
【0012】
本願発明は、スピーカの性能に頼ることなく不要な可聴音の低減を実現したものであり、高周波音を発生する目覚し時計を実用化するにあたり、非常に有利なものとなっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、若者にのみ聞こえる報知音をスピーカから発生するものであって、報知音の発生に伴う不要な可聴音を確実に低減してなる目覚し時計を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係り、目覚し時計を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示す目覚し時計1は、予め指定された予定時刻にスピーカ50から報知音を発生するものである。この目覚し時計1は、所要のプログラムを格納したマイコンからなる制御部20によって制御されている。時刻は、アナログ式又はデジタル式の時刻表示手段30によって表示される。予定時刻は、使用者が目安機構又はボタンからなる予定時刻設定手段40を操作することによって入力される。制御部20は、予定時刻が到来すると周波数発信回路21からスピーカ50のアナログアンプ52に信号を出力する。スピーカ50は、アナログアンプ52に入力された信号に基づいて振動板51が振動することにより、報知音を発生する。報知音は、使用者が報知音停止手段60を操作することによって停止される。
【0016】
本例の目覚し時計1は、報知音の周波数を2−6[kHz]とする通常モードと、16−18[kHz]とする高周波音モードが設定されている。各モードは、使用者がスイッチ式のモード切換え手段70を操作することによって択一的に選択される。
【0017】
通常モードの場合、報知音としては、既存の目覚し時計と同様に、アラーム音やメロディーを発生する。
【0018】
高周波モードの場合、報知音としては、16−18[kHz]の高周波音を断続的に発生する。ここで、高周波音の切れ目では、高周波音の周波数を20[kHz]以上に上げて超音波とし、さらに超音波の周波数を下げて高周波音としている。
【0019】
特に限定はしないが、本例では、1秒おきに6.25[msec]の高周波音を一定の間隔で発生し、報知音の発生開始から時間が経過するにつれてその発生回数が多くなる構成となっている。この高周波音は、若者には『ピッ』と聞こえるが、若者以外の年齢層には聞こえないものである。発生開始から3秒間は、1秒に1回のペース、発生開始から3秒後の3秒間は、1秒に2回のペース、発生開始から6秒後の3秒間は、1秒に4回のペース、発生開始から9秒後以降は、1秒に8回のペースとなっている。
【0020】
高周波音の切れ目においてスピーカ50の振動板51が振動を停止する構成であると、報知音が発生する毎に『ブッ』という不要な可聴音が発生してしまう。この点、本例によると、周波数を上下して超音波域に対してフェードイン・フェードアウトするので、振動板51が振動を継続する。その結果、不要な可聴音の発生が抑えられる。
【0021】
以上説明したように、本例の目覚し時計は、若者が使用する目覚し時計として極めて合理的に構成されたものである。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、若者が使用する目覚し時計として好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 目覚し時計
20 制御部
21 周波数発生回路
30 時刻表示手段
40 予定時刻設定手段
50 スピーカ
51 振動板
52 アナログアンプ
60 報知音停止手段
70 モード切換え手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め指定された予定時刻にスピーカから報知音を発生する目覚し時計において、
前記報知音としては、16−18[kHz]の高周波音を断続的に発生し、
前記高周波音の切れ目では、前記高周波音の周波数を20[kHz]以上に上げて超音波とし、さらに前記超音波の周波数を下げて前記高周波音とすることを特徴とする目覚し時計。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−12980(P2011−12980A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154834(P2009−154834)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】