説明

直下型バックライト

【課題】 薄型の光学部材を用いた場合であっても、撓みを抑制することができる直下型バックライトを提供する。
【解決手段】 本発明の直下型バックライトは、開口部1a11を有するフロントフレーム1aと、フロントフレーム1aと接続可能な有低開口のバックフレーム1bと、バックフレーム内部に配置された蛍光ランプ3と、バックフレーム1bの開口部分に配置された拡散板5とを具備し、発光面が地面に対して略垂直に配置される。拡散板5は、厚さが0.8mm以下であって、その上側に屈曲部52が形成されており、屈曲部52をフロントフレーム1aの側部1a2、バックフレーム1bの外側部1b4に保持させることにより、固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型の光学部材、例えば厚みが0.5mm程度の拡散板を用いた直下型バックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレー等の液晶表示装置は、液晶パネル自体は発光しないためその背後に、いわゆるバックライトが配置される。バックライトには導光板方式、中空方式等、様々な方式が存在しているが、特に大型用途の場合には直下型方式が適している。直下型方式のバックライトは、有底開口のバックフレーム内部に複数の蛍光ランプを配置するとともに、その開口部分に拡散板や光学系シートなどの光学部材を配置するのが一般的な構造である。
【0003】
この直下型バックライトにおいては、光学部材が自重等で撓むという問題が発生しやすい。そのため、特開2005−135670号公報(以下、特許文献1)のように光学部材をピンと張ることで撓まないようにした発明や、特開2005−347005号公報(以下、特許文献2)、特開2005−158707号公報(以下、特許文献3)、特開2006−331649号公報(以下、特許文献4)のように、フレームに突起、光学部材に穴を設けることにより、光学部材を一点ないし数点でフレームに保持するようにした発明が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−135670号公報
【特許文献2】特開2005−347005号公報
【特許文献3】特開2005−158707号公報
【特許文献4】特開2006−331649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で現在、従来よりも厚みが薄い拡散板を用いた直下型バックライト、又は拡散板を使用しないでシートのみで構成する、いわゆる拡散板レスの直下型バックライトの開発が進んでいる。この直下型バックライトで使用される光学部材の厚みは従来が2.0mmであるのに対し、その半分以下である。そのため、バックライトの薄型化、軽量化、内寸拡張などが可能であるとして期待されている。
【0006】
しかし、この薄型の光学部材を使用した直下型バックライトでは、従来の保持方法は有効ではないことがわかった。つまり、薄型の光学部材は強度が低いため、局所的に力が加わった状態であると当該部分を起点として破断するなどの問題が発生する懸念がある。
【0007】
本発明の目的は、薄型の光学部材を用いた場合であっても、撓みを抑制することができる直下型バックライトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の直下型バックライトは、開口部を有するフロントフレームと、前記フロントフレームと接続可能な有低開口のバックフレームと、前記バックフレーム内部に配置された光源と、前記バックフレームの開口部分に配置された光学部材とを具備し、発光面が地面に対して略垂直に配置される直下型バックライトにおいて、前記光学部材はその厚さが0.8mm以下であって、その上側に屈曲部が形成されており、前記屈曲部を前記フレームに保持させることにより、固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薄型の光学部材を用いた場合であっても、撓みを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の実施の形態の直下型バックライトについて図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の直下型バックライトについて説明するための図、図2は、図1の直下型バックライトのA−A’線断面について説明するための図である。なお、図1に示したようにバックライトの左右方向をX、上下方向をY、厚み方向をZとする。
【0011】
本実施の形態の直下型バックライトの筐体は、金属またはプラスチック(例えば、ポリカーボネート)からなるフロントフレーム1aと金属(例えば、鉄やアルミニウム)からなるバックフレーム1bとで構成されている。フロントフレーム1aは、枠部1a1と側部1a2とからなり、枠部1a1にはバックライトの発光面となる開口部1a11が形成されている。バックフレーム1bは、底部1b1、内側部1b2、枠部1b3、外側部1b4とからなる有底開口形状である。その底部1b1および内側部1b2の内側には反射シート2が形成されている。なお、反射シート2の代わりに高反射性を有する材料を塗布したりしてもよい。
【0012】
バックフレーム1bの内部には、光源として外面電極タイプの蛍光ランプ3が複数本、それぞれの管軸が地面とほぼ平行の関係になるように配置されている。ここで、蛍光ランプ3としては、外面電極蛍光ランプ(EEFL)の他に、冷陰極蛍光ランプ(CCFL)、熱陰極蛍光ランプ(HCFL)などの線状光源が代表的であるが、これに限らず平面型蛍光ランプ(FFL)などの面状光源であってもよい。
【0013】
バックフレーム1bの底部1b1(反射シート2上)には、支持部材4が複数配置されている。その配置としては、後述する拡散板5が撓まない程度、例えば支持部材4の先端部から半径100mmの円内に他の支持部材4を配置するのが望ましい。支持部材4としては、透過性に優れた透明プラスチック樹脂や反射性に優れた白色プラスチック樹脂などで形成することができ、その際、支持部材4の先端側は先細り形状にするのが望ましい。また、支持部材4を蛍光ランプ3のホルダとして兼用させてもよい。
【0014】
バックフレーム1bの開口部分には、光学部材として拡散板5が配置されている。拡散板5は、発光面部51と屈曲部52とで構成されている。この屈曲部52は後述するように保持される部分となるため、保持可能な程度の長さが必要であるが、バックフレーム1bの厚さよりも短いことが望まれる。なお、屈曲部52は、例えば拡散板5の屈曲させる部分を加熱したのち、所定の型でプレスすることにより形成することができる。
【0015】
また、拡散板5の上にはさらに拡散シート6が配置されており、この拡散シート6も拡散板5と同様に発光面部61と屈曲部62とで構成されている。なお、この拡散シートの他に、プリズムシート、偏光シートなどを目的に合わせて一枚、又は複数枚を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
ここで、本発明で使用している光学部材は、その厚みが0.8mm以下のものである。光学部材の厚みが0.8mmよりも大きいと折り曲げ加工が困難、又は折り曲げることができたとしても折り曲げ部分付近で応力が残り、保持が困難になるためである。すなわち、厚みが0.8mm以下の光学部材は撓みやすくなるが、本発明はその薄さを利用して光学部材の撓みも解消した発明である。なお、「光学部材の厚み」とは、バックフレーム1bの開口部分に最初に配置された光学部材の厚みのことを意味する。
【0017】
これらで構成された直下型バックライトは、その発光面が地面に対して略垂直に配置される状態で使用される。「発光面が地面に対して略垂直に配置」とは、地面に対して発光面が90°±10°の状態にある場合を意味する。
【0018】
ここで、光学部材の保持状態について詳しく説明する。図3は、光学部材の保持状態について説明するための拡大図であり、(a)は図2の一点鎖線で示したバックライト上側の拡大図、(b)は二点鎖線で示したバックライト下側の拡大図である。
【0019】
(a)からわかるように、拡散板5及び拡散シート6は、その屈曲部52、62がフロントフレーム1aの側部1a2、及びバックフレーム1bの外側部1b4に保持させることにより、固定されている。また、拡散板5及び拡散シート6の発光面部51、61の上部は、枠部1a1と枠部1b3とにより挟持されている。ここで、「保持」とは、光学部材がX方向及びY方向にずれないようにフレームに狭持、差込等の方法により、固定された状態を意味する。また、「狭持」とは、光学部材がZ方向に抜けないように前後から挟んだ状態を意味するが、前後に多少の隙間がある状態であってもよい。
【0020】
一方、(b)からわかるように、拡散板5及び拡散シート6の発光面部51、61の下部は、枠部1a1と枠部1b3に挟持されている程度で、特別な保持は行っていない。そして、発光面部51、61の下端部と側部1a2との間には、間隔Sが1.0mm以上の隙間が設けられている。また、図示してはいないが、バックライトの横側も下側の構造と同様の状態にある。
【0021】
下記に本発明の直下型バックライトの実施例の一仕様を示す。
【0022】
(実施例)
バックライト;サイズ=32インチ(約760mm×約440mm)、バックライト厚み(外寸)=約24.0mm、反射シート2と拡散板5との距離(内寸)=20.0mm、フロントフレーム1a及びバックフレーム1bの厚み=1.0mm、
反射シート2;厚み=1.0mm、
蛍光ランプ3;外面電極蛍光ランプ、外径R=3.0mm、拡散板5までの距離L1=4.0mm、反射シート2までの距離L2=3.0mm、使用本数=16本、ランプピッチP=25mm、
支持部材4;50mm程度の間隔で12個配置、
拡散板5;厚み=0.5mm、屈曲部52の長さ=5.0mm、
拡散シート6;厚み=0.2mm、屈曲部62の長さ=5.0mm、使用枚数2枚、
隙間7;間隔S=5.0mm。
【0023】
この実施例の直下型バックライトにおいて、非点灯時及び点灯時に拡散板5が撓むことなく、また拡散板5が破断する等の不具合が発生しないことが確認された。これは、拡散板5に屈曲部52を形成し、保持させたことによって得られた結果である。すなわち、拡散板5に屈曲部52を形成することにより、発光面部51のX方向の強度が格段に向上し、この屈曲部52をフロントフレーム1a、バックフレーム1b上側の側部1a2と外側部1b4に保持させると、縦置きで直下型バックライトを使用したときに暖簾状の保持となるため、Z方向に撓みにくくなったと考えられる。また、発光面部51の四方端がフロントフレーム1a、バックフレーム1bの枠部1a1、1b3により狭持されていること、支持部材4により支持されていることも、Z方向の撓みを抑制できた結果に繋がったと考えられる。なお、シート等を複数重ねても強度が合成的に強くなるわけではないため、拡散板5に拡散シート6を重ねたことは撓みに対してあまり影響していないと考えられる。
【0024】
図4は、隙間Sの有無による発光面の発光状態について説明するための図であり、(a)は実施例、(b)は隙間7を形成しない比較例を示している。
【0025】
結果からわかるように、(a)では発光面が全体的に明るくなっているが、(b)では発光面の下部において暗部が発生している。調査の結果、この暗部の発生には、光学部材の撓みが原因であった。すなわち、光学部材は点灯熱によって伸びるが、本実施の形態のように薄型の光学部材の場合にはその伸びが従来よりも大きくなる。そのため、隙間7を設けていない場合には、光学部材の伸びを吸収できず、その吸収できなかった伸び分は光学部材に撓みを発生させる。(b)の場合では、発光面下側において開口部1a11方向に撓みが発生したため、当該部分だけ暗部になり、ムラが生じる結果となった。なお、底部1b1方向に撓みが発生することもあり、この場合には当該部分だけ明部となり、同様にムラが生じる。したがって、本発明においては、拡散板5の端部と側部1a2との間には隙間7、具体的には1.0mm以上(ただし、狭額縁の観点から10mm以下が好適)の間隔Sを設けるのが望ましい。
【0026】
したがって、第1の実施の形態では、厚さが0.8mm以下であって、上側に屈曲部52が形成された拡散板5の屈曲部52をフロントフレーム1a、バックフレーム1bの側部1a2、外側部1b4に保持させることにより、拡散板5の撓みを防止することができる。
【0027】
また、拡散板5の下側及び横側を保持せず、かつ拡散板5の端部とフロントフレーム1aの側部1a2との間に1.0mm以上の隙間を設けることにより、点灯中の拡散板5の熱膨張による伸びを吸収でき、撓みを防止することができる。
【0028】
また、バックフレーム1bの底部1b1に形成された反射シート2と拡散板5との間に、支持部材4を配置することにより、拡散板5の撓みを防止することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態の直下型バックライトについて説明するための図である。以下、実施の形態の各部について、第1の実施の形態の直下型バックライトの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0030】
この実施の形態では、バックフレーム1bの枠部1b3に穴部1b31を設け、その穴部1b31に拡散板5と拡散シート6の屈曲部52、62を差込保持している。この実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に拡散板5の撓みを防止することができる。なお、発光面部51と屈曲部52の角度αは90°に限らず、図6のように90°よりも大きいものであってもよい。また、図7のように2度折り返した屈曲部52を形成してもよい。
【0031】
したがって、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に拡散板5の撓みを防止することができる。
【0032】
(第3の実施の形態)
図8は、本発明の第3の実施の形態の直下型バックライトについて説明するための図である。
【0033】
この実施の形態では、フロントフレーム1aの枠部1a1に穴部1a12を設け、その穴部1a12に拡散板5と拡散シート6の屈曲部52、62を差込保持している。この実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に拡散板5の撓みを防止することができる。
【0034】
したがって、第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に拡散板5の撓みを防止することができる。
【0035】
なお、本発明の実施の形態は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0036】
光学部材の屈曲部としては、光学部材の幅と同じ長さである必要はない。すなわち、図9のように、複数の屈曲部52であってもよい。この際、図9の場合には、発光面部51の上側に反りが発生する場合があるため、図10のように、屈曲部52と発光面部51の上側の間にその反りを抑制するための平面部53を形成するのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態の直下型バックライトについて説明するための図。
【図2】図1の直下型バックライトのA−A’線断面について説明するための図。
【図3】光学部材の保持状態について説明するための拡大図。
【図4】隙間Sの有無による発光面の発光状態について説明するための図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の直下型バックライトについて説明するための図。
【図6】第2の実施の形態の変形例1について説明するための図。
【図7】第2の実施の形態の変形例2について説明するための図。
【図8】本発明の第3の実施の形態の直下型バックライトについて説明するための図。
【図9】光学部材の変形例1について説明するための図。
【図10】光学部材の変形例2について説明するための図。
【符号の説明】
【0038】
1a フロントフレーム
1a1 枠部
1a2 側部
1b バックフレーム
1b1 底部
1b2 内側部
1b3 枠部
1b4 外枠部
2 反射シート
3 蛍光ランプ
4 支持部材
5 拡散板
51 発光面部
52 屈曲部
6 拡散シート
61 発光面部
62 屈曲部
7 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するフロントフレームと、前記フロントフレームと接続可能な有低開口のバックフレームと、前記バックフレーム内部に配置された光源と、前記バックフレームの開口部分に配置された光学部材とを具備し、発光面が地面に対して略垂直に配置される直下型バックライトにおいて、
前記光学部材はその厚さが0.8mm以下であって、その上側に屈曲部が形成されており、前記屈曲部を前記フレームに保持させることにより、固定されていることを特徴とする直下型バックライト。
【請求項2】
前記光学部材の下側及び横側は保持されておらず、かつ前記光学部材の端部と前記フレームとの間には1.0mm以上の隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の直下型バックライト。
【請求項3】
前記バックフレームと前記光学部材との間には、支持部材が配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の直下型バックライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−300136(P2008−300136A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143601(P2007−143601)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】