説明

直動アクチュエータ

【課題】軸線方向に駆動される可動体自身に軸線周りの回転を回避しなければならない光学素子などを搭載した場合でも、かかる光学素子などを回転させずに軸線方向に駆動可能な直動アクチュエータを提供すること。
【解決手段】 直動アクチュエータ1は、ステータ10を備えた固定側部材50と、固定側部材50に対して軸線周りに回転可能に支持された円筒状のロータ20と、ロータ20の内側で固定側部材5に対して軸受6により軸線方向に移動可能に支持された可動体30と、ロータ20の回転を可動体30の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構とを有している。可動体30は、ロータ20の内側に位置する軸部2と、光学素子などを搭載可能なテーブル部35とを備え、軸部32のDカット部分34と第1のホルダ50のD字形状の開口部51との干渉により軸線周りの回転が阻止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を往復駆動させる直動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
出力軸を軸線方向に往復駆動する直動アクチュエータとしては、ロータを回転させて出力軸を回転させて出力軸を軸線方向に駆動するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平3−235642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示の装置は、出力軸によって、例えば、光学素子を搭載したテーブルなどを駆動する場合には、テーブルも出力軸に連動して回転するため、光学素子として回転しても動作に支障のないものしか搭載できないという制約がある。従って、テーブル上に撮像素子などを搭載した場合には、テーブルと出力軸との間に、出力軸の回転をテーブルに伝達されないようにする機構を別途、追加しければならないという問題点がある。
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、軸線方向に駆動される可動体自身に軸線周りの回転を回避しなければならない光学素子などを搭載した場合でも、かかる光学素子などを回転させずに軸線方向に駆動可能な直動アクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、可動体と、該可動体を軸線方向に移動可能に支持する固定側部材と、該固定側部材に対して前記可動体を軸線方向に駆動するための駆動機構とを有する直動アチュエータにおいて、前記可動体は、前記固定側部材に支持された軸部と、該軸部から半径方向外側に拡径したテーブル部とを備え、前記可動体と前記固定側部材との間には、前記可動体の軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構が構成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明では、可動体自身にテーブル部が形成されているため、このテーブル部自身に光学素子などを搭載し、軸線方向に駆動することができる。ここで、可動体は、出力軸とテーブル部とが一体となって構成されているが、可動体にはその軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構が構成されているため、可動体が軸線方向に駆動された際、テーブル部は回転しない。それ故、テーブル部には、撮像素子などといった回転が許容されないものを搭載することができる。
【0007】
本発明において、前記固定側部材から起立する支軸を有し、前記可動体の軸部には、反出力側で開口して前記支軸が嵌った軸穴が形成され、前記可動体は、前記支軸により軸線方向に移動可能に支持されていることが好ましい。このように構成すると、可動体を安定した姿勢で支持する場合でも、軸線方向で離間する2箇所に軸受を配置する必要がないので、2つの軸受間の同軸度のズレを吸収するために可動体と軸受との間にクリアランスを設ける必要がなく、このクリアランスに起因する可動体のがたつきや振れを防止することができる。従って、本発明を適用した直動アクチュエータは、可動体のがたつきや振れが問題となる用途にも適用することができる。また、本発明では、可動体の外周面を支持する構成の軸受ではなく、固定側部材から起立する支軸と、可動体の軸穴とにより軸受を構成したため、可動体の外周面にねじ溝、カム溝、突起などを形成した場合でも、これらの形成位置を避けた位置で可動体を支持する必要がない。それ故、可動体を軸線方向で長い距離にわたって支持して可動体の可動距離を延した場合でも直動アクチュエータの軸線方向の寸法を圧縮できる。
【0008】
本発明において、前記回転阻止機構は、例えば、前記可動体の一方側および他方側への回転を当該可動体と前記固定側部材との間の干渉により阻止する干渉部を備えている構成を採用することができる。
【0009】
本発明において、前記回転阻止機構は、前記可動体の一方側の回転を当該可動体と前記固定側部材との干渉により阻止する干渉部と、前記可動体と前記固定側部材との間で前記可動体の他方側への回転に抗力を発生させる付勢部とを備えている構成を採用してもよい。
【0010】
本発明において、前記回転阻止機構は、前記可動体と前記固定側部材との間で前記可動体の一方側および他方側への回転に抗力を発生させる付勢部を備えている構成を採用してもよい。
【0011】
この場合、前記付勢部は、前記可動体を軸線方向に直交する方向の付勢力を当該可動体に印加していることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記回転阻止機構とは別に、前記可動体と前記固定側部材との間で前記可動体に対して軸線方向と直交する方向の側圧を印加する付勢部を有している構成を採用してもよい。
【0013】
本発明において、前記付勢部は、前記テーブル部と前記固定側部材との間に構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記付勢部は、前記可動体と前記固定側部材との間に配置されたばねを用いることができる。
【0015】
本発明において、前記付勢部は、前記可動体または前記固定側部材の一部を加工して形成したばねを用いてもよい。
【0016】
本発明において、前記駆動機構としては、前記固定側部材側のステータと、前記固定側部材に対して軸線周りに回転可能に支持された円筒状のロータと、該ロータの回転を前記可動体の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構とを有している構成を採用することができる。この場合、ステータおよびロータからなる電磁機構としては各種モータ構造を採用することができるが、可動体の位置制御を高い精度で行うという観点からすれば、ステッピングモータ構造を採用することが好ましい。このようなステッピングモータ構造を採用した場合、前記ステータは、円環状の駆動コイルと、該駆動コイルを軸線方向の両側から挟む円環状のステータコアを備え、前記ステータコアは、前記ロータが配置されたロータ配置穴の内周面に沿って周方向に並ぶ複数の極歯を備え、前記ロータは、外周面でS極とN極とが周方向で交互に並ぶロータマグネットを備えている構成を採用することになる。
【0017】
本発明において、前記回転直進変換機構は、前記ロータの軸線方向の移動を阻止するロータ支持機構と、前記ロータの回転を前記可動体に伝達して当該可動体を直動させる伝達機構と備え、前記可動体は、前記回転阻止機構によって前記ロータとの供回りが阻止されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、可動体自身にテーブル部が形成されているため、このテーブル部自身に光学素子などを搭載し、軸線方向に駆動することができる。ここで、可動体は、出力軸とテーブル部とが一体となって構成されているが、可動体にはその軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構が構成されているため、可動体が軸線方向に駆動された際、テーブル部は回転しない。それ故、テーブル部には、撮像素子などといった回転が許容されないものを搭載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して、本発明を適用した直動アクチュエータを説明する。
【0020】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る直動アクチュエータの概略縦断面図である。図1において、本形態の直動アクチュエータ1は、円筒状のステータ10を備えた固定側部材5と、ステータ10の内側中央に同軸状に配置された円筒状のロータ20と、このロータ20の内側に同軸状に配置された出力軸としての可動体30とを有している。本形態において、固定側部材5は、ステータ10と、ステータ10の出力側に配置された樹脂製の第1のホルダ50と、ステータ10の反出力側に配置された樹脂製の第2のホルダ60とを備えている。
【0021】
ここで、可動体30は、ロータ20の内側に位置する軸部32と、この軸部32の出力側端部で拡径する略円盤状のテーブル部35とを備えている。
【0022】
このように構成した直動アクチュエータにおいて、本形態では、以下の構造を採用して可動体30を軸線方向に往復駆動するようになっている。
【0023】
まず、第1のホルダ50は、ステータ10の出力側端面に固定された円環状の平板部分52と、この平板部分52の内周縁から断面円形の外周形状をもって反出力側に向かって延びた円筒状の筒部55とを備えている。平板部分52の中央位置には可動体30を貫通させる開口部51が形成されており、筒部55は、開口部51の周囲からロータ20の内穴に入り込んでロータ20を回転可能に支持している。開口部51は、略円形の開口形状を有しているが、一部が弦に相当する直線部分を備えたD字形状の開口形状を有している。
【0024】
第2のホルダ60は、ステータ10の反出力側端面に固定された環状の平板部分62と、この平板部分62の内周縁から反出力側に向かって突出する有底の円筒部65とを備えている。円筒部65には、その周壁を貫通する空気穴650が形成されている。
【0025】
本形態において、円筒部65の底部66の中央には固定穴67が形成されており、この固定穴67には、ロータ20の内側で出力側に向かって起立する支軸40の基端部が固定されている。一方、可動体30には、その反出力端面で開口する軸穴31が形成されており、この軸穴31に支軸40が嵌っている。このようにして、本形態では、軸穴31と支軸40とにより形成された軸受6によって、可動体30は、軸線方向に移動可能に固定側部材5に支持されている。ここで、軸穴31は、可動体30の出力側では閉塞しており、可動体30には、軸穴31の出力側部分に連通する空気穴301が形成されている。
【0026】
このような構成の可動体30を軸線方向に往復駆動するための駆動源として、本形態では、ステータ10およびロータ20により構成されたステッピングモータ構造が用いられている。すなわち、ステータ10は、A相およびB相に対応する第1および第2のステータ組11、12を備えており、各ステータ組11、12は各々、軸線方向の外側に位置する円環状の外ステータコア15、16と、軸線方向の内側に位置する円環状の内ステータコア17、18と、外ステータコア15、16と内ステータコア17、18との間に配置された環状の駆動コイル13、14とを備えている。外ステータコア15、16、および円環状の内ステータコア17、18は、各々の内周縁で軸線方向に屈曲する極歯を備えており、ステータ10のロータ配置穴では、その周方向に沿って外ステータコア15、16の極歯と、内ステータコア17、18の極歯とが交互に並んでいる。なお、本形態では、外ステータコア15、16の外周壁部分によってハウジングの側面部が構成され、ホルダ50、60によってハウジングの端面が構成されている。
【0027】
ここで、駆動コイル13、14は、ボビンレスの空芯コイルであり、駆動コイル13、14と内ステータコア17、18の間にはスペーサとして可撓性基板81、82が挿入されている。この可撓性基板81、82において、駆動コイル13、14と内ステータコア17、18との間に位置する部分は円環状であり、駆動コイル13、14と内ステータコア17、18からの引き出し部分には、駆動コイル13、14からの引き出し部分が接続されるランド部が形成されている。これに対して、駆動コイル13、14と外ステータコア15、16との間には絶縁シートが挿入されている。可撓性基板81、82の円環状の部分は連結部を繋がっていてもよく、この場合、連結部分で折り返すことにより各円環状の部分を駆動コイル13、14と内ステータコア17、18との間に配置すればよい。
【0028】
ロータ20は、周方向にS極とN極が交互に着磁された円筒形の永久磁石からなるロータマグネット21と、このロータマグネット21と一体のスリーブ状樹脂部22とからなる。スリーブ状樹脂部22は、その反出力側端部に内側に突出する環状突起220を備えており、この環状突起220の内周面には雌ねじ23が形成されている。本形態では、ロータマグネット21とスリーブ状樹脂部22とは接着により固定された構成を採用しているが、一体成形でされている構成であってもよい。
【0029】
また、本形態の直動アクチュエータ1は、前記のステッピングモータを駆動源とする駆動機構を有しており、この駆動機構は、ロータ20の回転を可動体30の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構を有している。ここで、回転直進変換機構は、ロータ20の軸線方向の移動を阻止するロータ支持機構と、可動体30の軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構と、ロータ20の回転力を可動体30に伝達して可動体30を直動させる伝達機構とを備えている。
【0030】
まず、伝達機構として、ロータ20のスリーブ状樹脂部22の環状突起220の内周面に形成した雌ねじ23と、可動体30の外周面において軸線方向の所定の範囲にわたって形成された雄ねじ33とからなるねじ機構7が採用されている。
【0031】
また、ロータ支持機構では、ロータ20の出力側端面が第1のホルダ50の平板部分52に当接することにより、ロータ20の出力側への移動が規制されている。また、支軸40の周りには、円筒部65の底部66および可動体30の反出力端部に当接するコイルばね70が装着されており、このコイルばね70は、雌ねじ23と雄ねじ33とのバックラッシュを解消するとともに、可動体30を介してロータ20を出力側に付勢し、ロータ20の反出力側への移動を規制している。
【0032】
本形態において、回転阻止機構としては、第1のホルダ50と可動体30との干渉が利用されている。すなわち、本形態では、前記したように、開口部51(干渉部)は、D字形状の開口形状を有している一方、可動体30は、開口部51内に位置する部分を含む軸線方向の所定の範囲にわたって、外周面の断面形状がD字形状にカットされたDカット部34(干渉部)を備えており、Dカット部34と開口部51の内周縁との干渉により、可動体30の軸線周りの回転が阻止されている。
【0033】
(動作)
このように構成した直動アクチュエータ1において、図1に示す状態でステータ10の駆動コイル13、14に所定の信号を印加すると、ロータ20が軸線周りに回転し、その回転力は、雄ねじ33および雌ねじ23からなるねじ機構7(伝達機構)を介して、可動体30に伝達される。ここで、ロータ20は軸線方向の移動が阻止され、かつ、可動体30は軸線周りの回転が阻止されているため、ロータ20の回転は、可動体30を軸線方向に沿って直動させる力に変換され、可動体30は、支軸40および軸穴31からなる軸受6に支持されたまま、矢印L2で示すように、反出力側に向けて直線的に移動する。また、反出力側に移動した状態でステータ10の駆動コイル13、14に所定の信号を印加すると、上記動作とは逆に、可動体30は、矢印L1に示すように、出力側に向けて直線的に移動する。このような動作を行う際、コイルばね70は、可動体30の変位に応じて伸縮する。また、可動体30の移動に伴い、Dカット部34の位置も変化するが、Dカット部34は、可動体30の可動距離に相当する長さ範囲にわたって形成されているので、可動体30はいずれの位置にあっても軸線周りの回転は阻止される。また、可動体30の軸穴31の出力側部分、および第2のホルダ60の円筒部65の内部は、略密閉空間になっているが、可動体30および円筒部65には空気穴301、650が形成されているので、可動体30の移動に伴って軸穴31および円筒部65の内容積が変化しても可動体30の移動を妨げることがない。
【0034】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の直動アクチュエータ1では、可動体30自身にテーブル部35が形成されているため、このテーブル部35に光学素子などを搭載し、軸線方向に駆動することができる。ここで、可動体30は、軸部32とテーブル部35とが一体となって構成されているが、可動体30にはその軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構が構成されているため、可動体30が軸線方向に駆動された際、テーブル部35は回転しない。それ故、テーブル部35には、撮像素子などといった回転が許容されないものを搭載することができ、この撮像素子に対する直線駆動により撮像装置でのフォーカス動作やズーム動作などを行うことができる。
【0035】
また、本形態では、固定側部材5から支軸40を起立させる一方、可動体30の側に、支軸40が嵌る軸穴31を形成することにより、可動体30を軸線方向に移動可能に支持する軸受6を構成している。このため、軸線方向で離間する2箇所に軸受を配置する必要がないので、2つの軸受間の同軸度のズレを吸収するために可動体30と軸受との間にクリアランスを設ける必要がなく、このクリアランスに起因する可動体30のがたつきや振れを防止することができる。従って、本形態の直動アクチュエータ1は、光学装置など、可動体30のがたつきや振れが問題となる用途にも適用することができる。
【0036】
さらに、本形態では、可動体30の外周面を支持する構成の軸受ではなく、固定側部材5から起立する支軸40と、可動体30の軸穴31とにより軸受6を構成したため、可動体30の外周面に雄ねじ33を形成した場合でも、これらの形成位置を避けた位置で可動体30を支持する必要がない。従って、本形態のように、可動体30を軸線方向で長い距離にわたって支持する構成を採用した場合でも、直動アクチュエータ1の軸線方向の寸法を圧縮できる。
【0037】
なお、第1のホルダ50、第2のホルダ60、支軸40および可動体30は各々、金属あるいは樹脂成形品で構成できるが、本形態では、支軸40はSUS製であり、可動体30は樹脂製である。支軸40および可動体30の双方を樹脂成形品で構成した場合、軸穴31の内周面と支軸40の外周面とのクリアランスを極めて小さくできるので、可動体30のがたつきや振れを抑制できるという利点がある。
【0038】
(実施の形態1の変形例)
上記実施の形態1においては、軸受6を構成するにあたって、支軸40を第2のホルダ60の固定穴67で固定した構成を採用したが、実施の形態1および以下に説明する実施の形態において、図2に示すように、固定側部材5において反出力側の端面を構成する第2のホルダ60と支軸40とを樹脂成形により一体に形成してもよい。このように構成すると、使用部品点数の削減を図ることができる。
【0039】
また、実施の形態1において、可動体30の軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構を構成するにあたって、第1のホルダ50と可動体30との干渉を利用したが、例えば、支軸40と軸穴31との干渉を利用してもよい。また、可動体30から反出力側に突起を形成し、この突起を第2のホルダ60の底部66に形成した穴を貫通させて可動体30と第2のホルダ60との干渉を利用してもよい。
【0040】
また、上記形態の回転直進変換機構では、ロータ20の回転力を可動体30に伝達して可動体30を直動させる伝達機構として、ロータ20の雌ねじ23と、可動体30の雄ねじ33とからなるねじ機構7を採用したが、実施の形態1および以下に説明する実施の形態において、伝達機構としては、ねじ機構7に代えて、カム溝と突起とが係合するカム機構や、ねじ溝と突起とが噛み合う送りねじ機構を採用することもできる。
【0041】
さらに、実施の形態1では、可動体30に対して軸線方向に直交する方向の側圧を印加する付勢部(ばね)を配置することが好ましい。このように構成すると、可動体30のががたつきや振れを防止できるので、テーブル部35上に搭載した光学素子のがたつきや振れを防止することができる。
【0042】
さらにまた、実施の形態1および以下に説明する実施の形態において、可動体30において、テーブル部35は軸部32の先端部に形成されている構成であってもよい。
【0043】
[実施の形態2]
(全体構成)
図3(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。図3(a)において、上半部は可動体が出力側に前進した状態を示し、下半部は可動体が反出力側に後退した状態を示してある。図4(a)、(b)は、本形態の直動アクチュエータから可動体を取り外した状態の固定側部材を出力側からみた平面図、および底面図である。なお、本形態の直動アクチュエータの基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの詳細な説明を省略する。
【0044】
図3(a)、(b)において、本形態の直動アクチュエータ1は、円筒状のステータ10を備えた固定側部材5と、ステータ10の内側中央に同軸状に配置された円筒状のロータ20と、このロータ20の内側に少なくとも一部が同軸状に配置された可動体30とを有している。固定側部材5は、ステータ10と、ステータ10の出力側に配置された樹脂製の第1のホルダ50と、ステータ10の反出力側に配置された樹脂製の第2のホルダ60とを備えている。
【0045】
本形態において、可動体30は、実施の形態1と同様、出力軸としての軸部32と、この軸部32の出力側端部において半径方向に拡径する円盤状のテーブル部35とを備えており、軸部32はロータ20の内側に同軸状に配置されている。ここで、軸部32は、実施の形態1と違って、丸棒状であり、Dカット部を備えていない。
【0046】
本形態でも、軸部32には、反出力側端面で開口する軸穴31が形成されている。ここで、軸穴31は、可動体30の出力側では閉塞しており、可動体30には、軸穴31の出力側部分に連通する空気穴301が形成されている。
【0047】
テーブル部35は、撮像素子その他の光学素子などを搭載可能に構成されており、その外周縁には、中心を挟んだ両側位置に略矩形の第1の切り欠き36および第2の切り欠き37が形成されている。また、テーブル部35において、切り欠き36、37を結ぶ直線と直交する延長線上には、半径方向の略中央位置にばね押さえ38が形成されており、後述する線ばね75の一方の端部を固定している。
【0048】
このように構成した直動アクチュエータにおいて、本形態では、以下の構造を採用して可動体30を軸線方向に往復駆動するようになっている。
【0049】
まず、図3(a)、(b)および図4(a)に示すように、第1のホルダ50は、ステータ10の出力側端面に固定される平板部分52と、この平板部分52の出力側端面で突出する2本の円柱状のストッパ56、57とを備えており、ストッパ56、57は各々、フランジ部35の切り欠き36、37内に位置している。
【0050】
平板部分52は、中央に可動体30の軸部32を貫通させる開口部51が形成された円環状部分53と、この円環状部分53から互いに半径方向の反対側に向けて延びた第1および第2の突板部58、59とを備えており、ストッパ56、57は、突板部58、59の外周端付近に形成されている。ここで、開口部51は、実施の形態1と違って、D字形の開口形状ではなく、円形の開口形状を備えている。
【0051】
図3(a)、(b)および図4(b)に示すように第2のホルダ60は、ステータ10の出力側端面に固定される平板部分52を備えており、この平板部分52は、円環状部分63と、この円環状部分63から互いに半径方向の反対側に向けて延びた第1および第2の突板部68、69とを備えている。円環状部分63には、その内周縁から反出力側に向かって突出する有底の円筒部65が形成されており、円筒部65には、その周壁を貫通する空気穴650が形成されている。
【0052】
図3(a)、(b)および図4(a)、(b)において、円筒部65の底部66の中央には固定穴67が形成されており、この固定穴67には、ロータ20の内側で出力側に向かって起立する支軸40の基端部が固定されている。一方、可動体30には、その反出力端面で開口する軸穴31が形成されており、この軸穴31に支軸40が嵌っている。このようにして、本形態では、軸穴31と支軸40とにより形成された軸受6によって、可動体30は、軸線方向に移動可能に固定側部材5に支持されている。
【0053】
第2のホルダ60において、円環状部分63の内周縁には、断面円形の外周形状をもって出力側に向かって延びた円筒状の筒部64が形成されており、この筒部64を軸受としてロータ20が回転可能に支持されている。
【0054】
このような構成の可動体30を軸線方向に往復駆動するための駆動源として、ステッピングモータ構造が用いられている。かかるステッピングモータ構造において、ステータは、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
ロータ20は、周方向にS極とN極が交互に着磁された円筒形の永久磁石からなるロータマグネット21と、このロータマグネット21の内側においてロータマグネット21と一体のスリーブ状樹脂部22とからなる。スリーブ状樹脂部22は、その出力側端部に内側に突出する環状突起220を備えており、この環状突起220の内周面には雌ねじ23が形成されている。本形態では、ロータマグネット21とスリーブ状樹脂部22とは接着により固定された構成を採用しているが、一体成形したものであってもよい。
【0056】
また、本形態の直動アクチュエータ1には、前記のステッピングモータを駆動源とする駆動機構を有しており、この駆動機構は、ロータ20の回転を可動体30の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構を有している。ここで、回転直進変換機構は、ロータ20の軸線方向の移動を阻止するロータ支持機構と、可動体30の軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構と、ロータ20の回転力を可動体30に伝達して可動体30を直動させる伝達機構とを備えている。
【0057】
まず、伝達機構として、ロータ20に対しては、前記したように、スリーブ状樹脂部22の環状突起220の内周面に形成した雌ねじ23と、可動体30の外周面において軸線方向の所定の範囲にわたって形成された雄ねじ33とからなるねじ機構7が採用されている。
【0058】
また、ロータ支持機構では、ロータ20の出力側端面が第1のホルダ50の円環状部分53に当接することにより、ロータ20の出力側への移動が規制されている。また、支軸40の周りには、円筒部65の底部66および可動体30の反出力端部に当接するコイルばね70が装着されており、このコイルばね70は、雌ねじ23と雄ねじ33とのバックラッシュを解消するとともに、可動体30を介してロータ20を出力側に付勢し、ロータ20の反出力側への移動を規制している。
【0059】
本形態において、回転阻止機構としては、可動体30の反時計周りCCWの回転を可動体30と固定側部材5との干渉により阻止する干渉部と、可動体30と固定側部材5との間で可動体30の時計周りCWへの回転に抗力を発生させる付勢部が利用されている。すなわち、本形態では、図3(b)から分かるように、第1のホルダ50に形成されたストッパ56(干渉部)は、可動体30のテーブル部35に形成された切り欠き36の内側でその時計周りCWの側に位置する側壁361(干渉部)に当接して、可動体30の反時計周りCCWの回転を阻止している。また、テーブル部35のばね押さえ38に固定された線ばね75(付勢部)の先端部は、第1のホルダ50に形成されたストッパ57に当接しており、可動体30が時計周りCWに回転しようとしたときに抗力を発生させ、可動体30の時計周りCWの回転を阻止している。
【0060】
しかも、線ばね75は、ストッパ57を付勢することによる反力で可動体30に対して軸線方向に直交する方向成分の付勢力を発生させており、可動体30には、軸線方向に直交する方向成分をもつ側圧が印加されている。このため、可動体30は、その軸線方向に直交するがたつきや振れが防止されている。
【0061】
(動作)
このように構成した直動アクチュエータ1においても、ステータ10の駆動コイル13、14に所定の信号を印加すると、ロータ20が軸線周りに回転し、その回転力は、雄ねじ33および雌ねじ23からなるねじ機構7(伝達機構)を介して、可動体30に伝達される。ここで、ロータ20は軸線方向の移動が阻止され、かつ、可動体30は軸線周りの回転が阻止されているため、ロータ20の回転は、可動体30を軸線方向に沿って直動させる力に変換され、可動体30は、支軸40および軸穴31からなる軸受6に支持されたまま、矢印L2で示すように、反出力側に向けて直線的に移動する。また、反出力側に移動した状態でステータ10の駆動コイル13、14に所定の信号を印加すると、上記動作とは逆に、可動体30は、矢印L1に示すように、出力側に向けて直線的に移動する。このような動作を行う際、コイルばね70は、可動体30の変位に応じて伸縮する。また、テーブル部35の移動に伴い、線ばね75および切り欠き36、37の位置も変化するが、ストパ56、57は、可動体30の可動距離に相当する高さ寸法をもって起立しているので、可動体30はいずれの位置にあっても軸線周りの回転は阻止される。また、可動体30の軸穴31の出力側部分、および第2のホルダ60の円筒部65の内部は、略密閉空間になっているが、可動体30および円筒部65には空気穴301、650が形成されているので、可動体30の移動に伴って軸穴31および円筒部65の内容積が変化しても可動体30の移動を妨げることがない。
【0062】
(製造方法)
図4〜図13を参照して、本形態の直動アクチュエータ1の製造方法を説明しながら、直動アクチュエータに用いた各部材の構成を詳述する。図5は、本形態の直動アクチュエータの製造工程の一部を示す工程図である。図6(a)、(b)は、本形態の直動アクチュエータに用いた2枚の第1のプレートを出力側からみた平面図、および断面図である。図7は、本形態の直動アクチュエータに用いた第1のホルダを出力側からみた平面図、底面図、および断面図である。図8(a)、(b)、(c)は、本形態の直動アクチュエータに用いた外ステータコアを極歯の屈曲方向と反対側からみたときの平面図、底面図、および断面図である。図9(a)、(b)は、本形態の直動アクチュエータに用いた内ステータコアを極歯の屈曲側からみたときの平面図および断面図である。図10(a)、(b)、(c)は、本形態の直動アクチュエータに用いた第2のホルダを反出力側からみた平面図、底面図、および断面図である。図11(a)、(b)は、本形態の直動アクチュエータに用いた第2のプレートを反出力側からみた平面図および断面図である。
【0063】
本形態の直動アクチュエータ1を製造するには、図4および図5に示すように、図7に示す第1のホルダ50を間に挟んで、図6に示す半月状の2枚の金属製の第1のプレート90、91と図8に示す外ステータコア15とをスポット溶接することにより、出力側アセンブリ2を構成する。また、図10に示す第2のホルダ60に支軸40を取り付けた後、この第2のホルダ60を間に挟んで、図11に示すリング状の第2のプレート95と図8に示す外ステータコア16とをスポット溶接することにより、反出力側アセンブリ3を構成する。
【0064】
一方、図9に示す2枚の内ステータコア17、18については、極歯178、188を互いに反対側に向けてスポット溶接により貼り合わせておく。このため、内ステータコア17、18において極歯178、188が屈曲している側とは反対側の端面には、スポット溶接用突起171、181が2個ずつ形成されている。
【0065】
そして、反出力側から出力側に向かって、反出力側アセンブリ3、駆動コイル14、内ステータコア18、内ステータコア17、駆動コイル13、出力側アセンブリ2がこの順に重なった状態とした後、反出力側アセンブリ3の外ステータコア16、内ステータコア18、内ステータコア17、出力側アセンブリ2の外ステータコア15の外周部分を溶接し、固定側部材5を組み立てる。その際、内側にロータ20を配置する。
【0066】
しかる後に、出力側からロータ20の内側に対して可動体30を回転させながら軸部32をロータ20の内側に挿入する。その際、テーブル部35のばね押さえ38に固定された線ばね75の先端部を第1のホルダ50に形成されたストッパ57に当接させる。
【0067】
このような製造方法を採用するにあたって、本形態では、図6〜図8に示すように、2枚の第1のプレート90、91には各々、ピン挿入穴901、911が2つずつ形成されている一方、外ステータコア15の円環部151には、ピン挿入穴901、911と重なる位置に計4つのピン挿入穴154が形成されている。また、外ステータコア15には計4つのスポット溶接用突起155が形成されており、2枚の第1のプレート90、91において、スポット溶接用突起155と重なる位置がスポット溶接箇所902、912となる。
【0068】
また、外ステータコア15の内周縁には極歯158が形成されている箇所の間に半径方向に凹む位置決め用切り欠き153が例えば、10個、等角度間隔に形成されている一方、第1のホルダ50の円環状部分53の外周縁には半径方向外側に向けて突出する位置決め突部531が、例えば10個、等角度間隔に形成されている。ここで、位置決め突部531は、外ステータコア15と同等厚の薄板状であって、円環状部分53から外側に張り出している。このため、第1のホルダ50の位置決め突部531が外ステータコア15の位置決め用切り欠き153に嵌るように第1のホルダ50と外ステータコア15とを重ねた状態で、位置決め突部531に重なるように第1のプレート90、91を第1のホルダ50に重ね、第1のプレート90、91のピン挿入穴901、911から外ステータコア15のピン挿入穴154に位置決めピン(図示せず)を差し込めば、外ステータコア15、第1のホルダ50、および第1のプレート90、91の位置合わせを行うことができる。このような位置合わせをした後、第1のプレート90、91に外ステータコア15のスポット溶接用突起155を押し付けた状態で通電し、第1のプレート90、91と外ステータコア15とをスポット溶接すれば出力側アセンブリ2を組み立てることができる。
【0069】
また、本形態では、図8〜図11に示すように、第2のプレート95にはピン挿入穴951が計4つ形成されている一方、外ステータコア16の円環部161には、ピン挿入穴951と重なる位置に計4つのピン挿入穴164が形成されている。また、外ステータコア16には計4つのスポット溶接用突起165が形成されており、第2のプレート95において、スポット溶接用突起165と重なる位置がスポット溶接箇所952となる。
【0070】
また、出力側と同様、外ステータコア16の内周縁には極歯168が形成されている箇所の間に、半径方向に凹む位置決め用切り欠き163が例えば、10個、等角度間隔に形成されている一方、第2のホルダ60の円環状部分63には半径方向外側に向けて突出する位置決め突部631が、例えば10個、等角度間隔に形成されている。ここで、位置決め突部631は、ステータコア16と同等厚の薄板状であって、円環状部分63から外側に張り出している。このため、第2のホルダ60の位置決め突部631が外ステータコア16の位置決め用切り欠き163に嵌るように第2のホルダ60と外ステータコア16とを重ねた状態で、位置決め突部631に重なるように第2のプレート95を第2のホルダ60に重ね、第2のプレート95のピン挿入穴951から外ステータコア16のピン挿入穴164に位置決めピン(図示せず)を差し込めば、外ステータコア16、第2のホルダ60、および第2のプレート95の位置合わせを行うことができる。このような位置合わせをした後、第2のプレート95に外ステータコア16のスポット溶接用突起165を押し付けた状態で通電し、第2のプレート95と外ステータコア16とをスポット溶接すれば反出力側アセンブリ3を組み立てることができる。
【0071】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の直動アクチュエータ1でも、実施の形態と同様、可動体30自身にテーブル部35が形成されているため、このテーブル部35自身に光学素子などを搭載し、軸線方向に駆動することができる。ここで、可動体30は、軸部32とテーブル部35とが一体となって構成されているが、可動体30にはその軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構が構成されているため、可動体30が軸線方向に駆動された際、テーブル部35は回転しない。それ故、テーブル部35には、撮像素子などといった回転が許容されないものを搭載することができ、この撮像素子に対する直線駆動により撮像装置でのフォーカス動作やズーム動作などを行うことができるなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0072】
また、本形態では、可動体30の軸線周りの回転を素子する回転阻止機構に用いた線ばね75により、可動体30には、軸線方向に直交する方向成分をもつ側圧が印加されている。このため、側圧印加のために部材を追加することなく、可動体30のがたつきや振れを確実に防止することができる。
【0073】
さらに、ばね75は、可動体30のうち、テーブル部35を直接、付勢して、可動体の軸線周りの回転を阻止するとともに、側圧を印加している。このため、ばね75は、軸部32を付勢する場合と比較して、比較的小さな力で回転を確実に阻止でき、かつ、適正な側圧を印加することができる。
【0074】
さらにまた、本形態の製造方法によれば、外ステータコア15、16に形成した位置決め用切り欠き153、163に第1および第2のホルダ50、60に形成した位置決め用突部531、631を嵌めることにより、第1および第2のホルダ50、60と外ステータコア15、16との位置決めを行う。このため、軸受用の支軸40およびロータ20に対する軸受として機能する筒部64を備えた第2のホルダ60をステータ10に対して高い精度で位置決めすることができる。また、可動体30に対するストッパ57、58を備えた第1のホルダ50をステータ10に対して高い精度で位置決めすることができる。
【0075】
また、外ステータコア15、16に形成したピン挿入穴154、164と第1および第2のプレート90、91、95に形成したピン挿入穴901、911、951に位置決めピンを挿入するだけでプレート90、91、95と外ステータコア15、16との位置決めも容易に行うことができる。
【0076】
[実施の形態3]
図12(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態3に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。図12(a)において、上半部は可動体が出力側に前進した状態を示し、下半部は可動体が反出力側に後退した状態を示してある。なお、本形態の直動アクチュエータの基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの詳細な説明を省略する。
【0077】
図12(a)、(b)において、本形態の直動アクチュエータ1は、円筒状のステータ10を備えた固定側部材5と、ステータ10の内側中央に同軸状に配置された円筒状のロータ20と、このロータ20の内側に同軸状に配置された可動体30とを有している。本形態において、固定側部材5は、ステータ10と、ステータ10の出力側に配置された第1のホルダ50と、ステータ10の反出力側に配置された第2のホルダ60とを備えている。
【0078】
本形態において、可動体30は、出力軸としての軸部32と、この軸部32の出力側端部において半径方向に拡径する円盤状のテーブル部35とを備えており、軸部32には、反出力側端面で開口する軸穴31が形成されている。軸部32は、実施の形態2と同様、丸棒状であり、テーブル部35の外周縁には、その中心を挟んだ両側位置に略矩形の第1の切り欠き36および第2の切り欠き37が形成されている。また、テーブル部35には、その一部を細い薄板状に加工した線ばね75が形成されており、この線ばね75は、切り欠き37内で半径方向外側に延びている。
【0079】
このように構成した直動アクチュエータ1において、第1のホルダ50は、実施の形態2と同様、出力側に突出する2本の円柱状のストッパ56、57とを備えており、ストッパ56、57は各々、テーブル部35の切り欠き36、37内に位置している。また、第1のホルダ50の開口部51は、実施の形態2と同様、円形の開口形状を備えている。
【0080】
第2のホルダ60において、有底の円筒部65の底部66からは支軸40が起立しており、支軸40は、軸穴31に嵌って可動体30を軸線方向に移動可能に支持する軸受6を構成している。また、第2のホルダ60は、平板部分62の内周縁から断面円形の外周形状をもって出力側に向かって延びた円筒状の筒部64を備えており、この筒部64にロータ20が回転可能に支持されている。
【0081】
本形態の直動アクチュエータ1においても、ロータ20の回転を可動体30の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構では、伝達機構として、実施の形態2と同様、スリーブ状樹脂部22の環状突起220の内周面に形成した雌ねじ23と、可動体30の外周面において軸線方向の所定の範囲にわたって形成された雄ねじ33とからなるねじ機構7が採用されている。また、ロータ支持機構では、ロータ20の出力側端面が第1のホルダ50の円環状部分53に当接することにより、ロータ20の出力側への移動が規制されている。また、第1のホルダ50の平板部分52とテーブル部35との間には、軸部32の周りにコイルばね71が装着されており、コイルばね71は、雌ねじ23と雄ねじ33とのバックラッシュを解消するとともに、可動体30を介してロータ20を出力側に付勢し、ロータ20の反出力側への移動を規制している。
【0082】
本形態において、可動体30に対する回転阻止機構としては、可動体30の反時計周りCCWの回転を可動体30と固定側部材5との干渉により阻止する干渉部と、可動体30と固定側部材5との間で可動体30の時計周りCWへの回転に抗力を発生させる付勢部が利用されている。すなわち、本形態では、第1のホルダ50に形成されたストッパ56(干渉部)は、可動体30のテーブル部35に形成された切り欠き36の内側でその時計周りCWの側に位置する側壁361(干渉部)に当接して、可動体30の反時計周りCCWの回転を阻止している。また、テーブル部35と一体に形成された線ばね75(付勢部)の先端部は、第1のホルダ50に形成されたストッパ57に当接しており、可動体30が時計周りCWに回転しようとしたときに抗力を発生させ、可動体30の時計周りCWの回転を阻止している。しかも、線ばね75は、ストッパ57を付勢することによる反力で可動体30に対して軸線方向に直交する方向成分の付勢力を発生させており、可動体30には、軸線方向に直交する方向成分をもつ側圧が印加されている。
【0083】
このように構成した直動アクチュエータ1でも、第1のホルダ50および第2のホルダ60は、実施の形態2と同一な構成を備えているため、図4〜図11を参照して説明した構成、および方法と同一な構成および方法で本形態の直動アクチュエータ1を製造することができる。
【0084】
なお、本形態では、ばね(線ばね75)を可動体30の一部を加工することにより形成したが、固定側部材5の一部を加工してばねを形成してもよい。
【0085】
[実施の形態4]
図13(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態4に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、この直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図、および側面図である。図14(a)、(b)は、本形態の直動アクチュエータから可動体を取り外した状態の固定側部材を出力側からみた平面図、および底面図である。図13(a)において、上半部は可動体が出力側に前進した状態を示し、下半部は可動体が反出力側に後退した状態を示してある。なお、本形態の直動アクチュエータの基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの詳細な説明を省略する。
【0086】
図13(a)、(b)、(c)および図14(a)、(b)において、本形態の直動アクチュエータ1は、円筒状のステータ10を備えた固定側部材5と、ステータ10の内側中央に同軸状に配置された円筒状のロータ20と、このロータ20の内側に同軸状に配置されたとしての可動体30とを有している。本形態において、固定側部材5は、ステータ10と、ステータ10の出力側に配置された第1のホルダ50と、ステータ10の反出力側に配置された第2のホルダ60とを備えている。可動体30は、出力軸としての軸部32と、この軸部32の出力側端部において半径方向に拡径する円盤状のテーブル部35とを備えており、軸部32には、反出力側端面で開口する軸穴31が形成されている。
【0087】
本形態において、軸部32は、実施の形態2と同様、丸棒状である。本形態では、テーブル部35の外周縁に切り欠き36が1つ形成されている。また、テーブル部35には、ばね押さえ38に線ばね75の一方の端部が保持され、この線ばね75は、半径方向外側に延びて先端が切り欠き36内に位置している。
【0088】
このように構成した直動アクチュエータ1において、第1のホルダ50は、ステータ10の出力側端面に固定される円環状部分53と、この円環状部から3方に延びた突板部591、592、593とを備えている。突板部591には、出力側に突出する円柱状のストッパ56を備えており、ストッパ56は、テーブル部35の切り欠き36内に位置している。また、第1のホルダ50の開口部51は、実施の形態2と同様、円形の開口形状を備えている。
【0089】
第2のホルダ60は、円環状部分63と、円環状部分63から3方に延びた突板部691、692、693とを備えており、円環状部分63からは反出力側に向かって有底の円筒部65が突出している。円筒部65の底部66の中央からは支軸40が起立しており、支軸40は、軸穴31に嵌って可動体30を軸線方向に移動可能に支持する軸受6を構成している。また、第2のホルダ60は、平板部分62の内周縁から断面円形の外周形状をもって出力側に向かって延びた円筒状の筒部64を備えており、この筒部64にロータ20が回転可能に支持されている。
【0090】
本形態の直動アクチュエータ1においても、ロータ20の回転を可動体30の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構では、可動体30に対する回転阻止機構として、可動体30の反時計周りCCWの回転を可動体30と固定側部材5との干渉により阻止する干渉部と、可動体30と固定側部材5との間で可動体30の時計周りCWへの回転に抗力を発生させる付勢部が利用されている点では、実施の形態2と同様である。すなわち、線ばね75の構成は相違するが、本形態でも、実施の形態2と同様、第1のホルダ50に形成されたストッパ56は、可動体30のテーブル部35に形成された切り欠き36の内側でその時計周りCWの側に位置する側壁361に当接して、可動体30の反時計周りCCWの回転を阻止している。また、テーブル部35と一体に形成された線ばね75の先端部は、第1のホルダ50に形成されたストッパ56に当接しており、可動体30が時計周りCWに回転しようとしたときに抗力を発生させ、可動体30の時計周りCWの回転を阻止している。しかも、線ばね75は、ストッパ57を付勢することによる反力で可動体30に対して軸線方向に直交する方向成分の付勢力を発生させており、可動体30には、軸線方向に直交する方向成分をもつ側圧が印加されている。
【0091】
なお、図14(a)、(b)に示すように、第1のホルダ50および第2のホルダ60は、実施の形態2と平面形状などが相違しており、第1のホルダ50を固定するのに1枚の円環状のプレート93が使用され、第2のホルダ60を固定するのに3方に切り欠き部分が延びた円環状のプレート95が使用されているが、それらの基本的な構成は、実施の形態2と同様である。このため、そのスポット溶接箇所932、952を示すように、図5〜図10を参照して説明した構成、および方法と同一な構成および方法で本形態の直動アクチュエータ1を製造することができる。
【0092】
[実施の形態5]
図15(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態5に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。図15(a)において、上半部は可動体が出力側に前進した状態を示し、下半部は可動体が反出力側に後退した状態を示してある。なお、本形態の直動アクチュエータの基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの詳細な説明を省略する。
【0093】
図15(a)、(b)において、本形態の直動アクチュエータ1は、円筒状のステータ10を備えた固定側部材5と、ステータ10の内側中央に同軸状に配置された円筒状のロータ20と、このロータ20の内側に同軸状に配置された可動体30とを有している。固定側部材5は、ステータ10と、ステータ10の出力側に配置された第1のホルダ50と、ステータ10の反出力側に配置された第2のホルダ60とを備えている。可動体30は、出力軸としての軸部32と、この軸部32の出力側端部において半径方向に拡径する円盤状のテーブル部35とを備えており、軸部32には、反出力側端面で開口する軸穴31が形成されている。
【0094】
本形態において、軸部32は、実施の形態2と同様、丸棒状であり、テーブル部35の外周縁には、2つの切り欠き36、37が形成されている。また、テーブル部35において、切り欠き37にはばね押さえ38が形成され、このばね押さえ38により、線ばね75の一方の端部が保持されている。ここで、線ばね75は、可動体30の軸部32の根元部分を周回した後、半径方向外側に延びて先端が切り欠き36内に位置している。
【0095】
このように構成した直動アクチュエータ1において、第1のホルダ50は、出力側に突出する円柱状のストッパ56を備えており、ストッパ56は、テーブル部35の切り欠き36内に位置している。また、第1のホルダ50の開口部51は、実施の形態2と同様、円形の開口形状を備えている。
【0096】
第2のホルダ60では、有底の円筒部65の底部66から支軸40が起立しており、支軸40は、軸穴31に嵌って可動体30を軸線方向に移動可能に支持する軸受6を構成している。
【0097】
また、本形態の直動アクチュエータ1においても、実施の形態2と同様、ロータ20の回転を可動体30の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構では、可動体30に対する回転阻止機構として、可動体30の反時計周りCCWの回転を可動体30と固定側部材5との干渉により阻止する干渉部と、可動体30と固定側部材5との間で可動体30の時計周りCWへの回転に抗力を発生させる付勢部が利用されている。すなわち、線ばね75の構成は相違するが、本形態でも、実施の形態2と同様、第1のホルダ50に形成されたストッパ56は、可動体30のテーブル部35に形成された切り欠き36の内側でその時計周りCWの側に位置する側壁361に当接して、可動体30の反時計周りCCWの回転を阻止している。また、テーブル部35と一体に形成された線ばね75の先端部は、第1のホルダ50に形成されたストッパ56に当接しており、可動体30が時計周りCWに回転しようとしたときに抗力を発生させ、可動体30の時計周りCWの回転を阻止している。しかも、線ばね75は、ストッパ57を付勢することによる反力で可動体30に対して軸線方向に直交する方向成分の付勢力を発生させており、可動体30には、軸線方向に直交する方向成分をもつ側圧が印加されている。
【0098】
このように構成した直動アクチュエータ1でも、第1のホルダ50および第2のホルダ60は、実施の形態2と同一な構成を備えているため、図4〜図11を参照して説明した構成、および方法と同一な構成および方法で本形態の直動アクチュエータ1を製造することができる。
【0099】
[実施の形態6]
図16(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。なお、本形態の直動アクチュエータの基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにして、それらの詳細な説明を省略する。
【0100】
図16(a)、(b)において、本形態の直動アクチュエータ1は、円筒状のステータ10を備えた固定側部材5と、ステータ10の内側中央に同軸状に配置された円筒状のロータ20と、このロータ20の内側に同軸状に配置された可動体30とを有している。固定側部材5は、ステータ10と、ステータ10の出力側に配置された円盤状の第1のホルダ50と、ステータ10の反出力側に配置された第2のホルダ60とを備えている。可動体30は、出力シャフトとしての軸部32と、この軸部32の出力側端部において半径方向に拡径する円盤状のテーブル部35とを備えており、軸部32には、反出力側端面で開口する軸穴31が形成されている。本形態において、軸部32は、実施の形態2と同様、丸棒状である。また、第1のホルダ50の開口部51は、実施の形態2と同様、円形の開口形状を備えている。第2のホルダ60では、有底の円筒部65の底部66から支軸40が起立しており、支軸40は、軸穴31に嵌って可動体30を軸線方向に移動可能に支持する軸受6を構成している。
【0101】
本形態の直動アクチュエータ1において、可動体30の軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構では、可動体30の時計周りCWの回転、および可動体30の反時計周りCCWの回転に抗力を発生させる付勢部が利用されている。すなわち、第1のホルダ50とテーブル部35との間には、板ばね状の渦巻きばね76が配置されており、この渦巻きばね76の外周側端部761は、第1のホルダ50の外周端部に固定されている一方、渦巻きばね76の円環状の内周側端部762は、テーブル部35の反出力側端面において軸部32の連結部分に固定されている。このため、渦巻きばね76は、可動体30が時計周りCWに回転しようとしたときに抗力を発生させ、可動体30の時計周りCWの回転を阻止し、可動体30が反時計周りCCWに回転しようとしたときに抗力を発生させ、可動体30の反時計周りCCWの回転を阻止している。
【0102】
このように構成した直動アクチュエータ1でも、第2のホルダ6は、実施の形態2と同一な構成を備えているため、図4〜図11を参照して説明した構成、および方法と同一な構成および方法で本形態の直動アクチュエータ1を製造することができる。
【0103】
なお、本形態では、渦巻きばね76によって可動体30の回転を阻止したが、ここに用いるばねの形状については渦巻き状に限らず、各種形状のものを用いることができる。この場合、ばねにより、可動体30を軸線方向に直交する方向の側圧を印加する形状のものが好ましい。また、ばねについては、1本に限らず、可動体30が時計周りCWに回転しようとしたときに抗力を発生させる第1のばねと、可動体30が反時計周りCCWに回転しようとしたときに抗力を発生させる第2のばねとを用いてもよい。さらには、可動体30あるいは固定側部材5の一部を加工して形成したばねを、可動体30の回転を阻止する付勢部として利用してもよい。
【0104】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態2〜5においては、軸受6を構成するにあたって、支軸40を第2のホルダ60の固定穴67で固定した構成を採用したが、固定側部材5において反出力側の端面を構成する第2のホルダ60と支軸40とを樹脂成形により一体に形成してもよい。
【0105】
上記形態において、ロータ20は、円筒状のロータマグネット21の内周側のみにスリーブ状樹脂部22を有する構成であったが、円筒状のロータマグネット21とスリーブ状樹脂部22とを一体成形する場合には、スリーブ状樹脂部22は、円筒状のロータマグネット21の出力側端面および反出力側端面のうちの少なくとも一方の端面に被さるように形成することが好ましい。さらには、図17(a)、(b)に示すように、ロータマグネット21の出力側端面および反出力側端面の少なくとも一方側の端面には、軸線方向に突出する凸部211を形成しておき、スリーブ状樹脂部22においてこの端面に被さる樹脂部分が凸部211あるいは凹部212に食い込ませることが好ましい。このように構成すると、凸部211あるいは凹部212は、スリーブ状樹脂部22とロータマグネット21との固着強度を高める補強部として機能する。すなわち、本形態において、ロータ20では、外周面を構成するロータマグネット21が回転力を発生させ、ロータ20の内周面を構成するスリーブ状樹脂部22が可動体30を直動させる力を発生させるので、ロータマグネット21とスリーブ状樹脂部22との間には大きな力が加わるが、ロータマグネット21に凸部211あるいは凹部212からなる補強部を形成しておくと、ロータマグネット21とスリーブ状樹脂部22との間に位置ずれや剥離などの不具合が発生しない。
【0106】
さらに上記形態では、駆動源としてステッピングモータ構造を用いたが、ステッピングモータ構造に限らず、各種モータを利用してもよい。この場合、ステータ10は、ロータ20に対して半径方向外側する対向する構成、あるいは軸線方向で対向する構成のいずれであってもよい。
【0107】
また、可動体30に対する駆動機構として、ロータ20の回転を可動体30の軸線方向への直進に変換する構成を採用したが、電磁石などを備えた電磁機構を利用して可動体30を軸線方向に直動させる直動アクチュエータに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施の形態1に係る直動アクチュエータの概略縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の変形例に係る直動アクチュエータの概略縦断面図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。
【図4】(a)、(b)は、図3に示す直動アクチュエータから可動体を取り外した状態の固定側部材を出力側からみた平面図、および底面図である。
【図5】図3に示す直動アクチュエータの製造工程の一部の工程を示す工程図である。
【図6】図3に示す直動アクチュエータに用いた2枚の第1のプレートを出力側からみた平面図、および断面図である。
【図7】図3に示す直動アクチュエータに用いた第1のホルダを出力側からみた平面図、底面図、および断面図である。
【図8】(a)、(b)、(c)は、図3に示す直動アクチュエータに用いた外ステータコアを極歯の屈曲方向と反対側からみたときの平面図、底面図、および断面図である。
【図9】(a)、(b)は、図3に示す直動アクチュエータに用いた内ステータコアを極歯の屈曲側からみたときの平面図および断面図である。
【図10】(a)、(b)、(c)は、図3に示す直動アクチュエータに用いた第2のホルダを反出力側からみた平面図、底面図、および断面図である。
【図11】(a)、(b)は、図3に示す直動アクチュエータに用いた第2のプレートを反出力側からみた平面図および断面図である。
【図12】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態3に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。
【図13】(a)、(b)、(c)は各々、本発明の実施の形態4に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、この直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図、および側面図である。
【図14】(a)、(b)は、図13に示す直動アクチュエータから可動体を取り外した状態の固定側部材を出力側からみた平面図、および底面図である。
【図15】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態5に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。
【図16】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態6に係る直動アクチュエータの概略縦断面図、およびこの直動アクチュエータから出力側からみたときの平面図である。
【図17】(a)、(b)は各々、本発明を適用した直動アクチュエータに用いられるロータの改良を示す説明図である。
【符号の説明】
【0109】
1 直動アクチュエータ
5 固定側部材
6 軸受
7 ねじ機構
10 ステータ
20 ロータ
21 ロータマグネット
22 スリーブ状樹脂部
23 雌ねじ
30 可動体
31 軸穴
33 雄ねじ
34 Dカット部
35 テーブル部
36、37 切り欠き
40 支軸
50 第1のホルダ
55、64 筒部
56、57 ストッパ
60 第2のホルダ
75 線ばね(付勢部)
76 螺旋ばね(付勢部)
77 コイルばね
153、163 位置決め用切り欠き
531、631 位置決め用突部
154、164、901、911、951 ピン挿入穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、該可動体を軸線方向に移動可能に支持する固定側部材と、該固定側部材に対して前記可動体を軸線方向に駆動するための駆動機構とを有する直動アチュエータにおいて、
前記可動体は、前記固定側部材に支持された軸部と、該軸部から半径方向外側に拡径したテーブル部とを備え、
前記可動体と前記固定側部材との間には、前記可動体の軸線周りの回転を阻止する回転阻止機構が構成されていることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1において、前記固定側部材から起立する支軸を有し、
前記可動体の軸部には、反出力側で開口して前記支軸が嵌った軸穴が形成され、
前記可動体は、前記支軸により軸線方向に移動可能に支持されていることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2において、前記回転阻止機構は、前記可動体の一方側および他方側への回転を当該可動体と前記固定側部材との間の干渉により阻止する干渉部を備えていることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1または2において、前記回転阻止機構は、前記可動体の一方側の回転を当該可動体と前記固定側部材との干渉により阻止する干渉部と、前記可動体と前記固定側部材との間で前記可動体の他方側への回転に抗力を発生させる付勢部とを備えていることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項5】
請求項1または2において、前記回転阻止機構は、前記可動体と前記固定側部材との間で前記可動体の一方側および他方側への回転に抗力を発生させる付勢部を備えていることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項6】
請求項4または5において、前記付勢部は、前記可動体を軸線方向に直交する方向の付勢力を当該可動体に印加していることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記可動体と前記固定側部材との間で前記可動体に対して軸線方向と直交する方向の側圧を印加する付勢部を有していることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項8】
請求項4ないし7のいずれかにおいて、前記付勢部は、前記テーブル部と前記固定側部材との間に構成されていることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項9】
請求項4ないし7のいずれかにおいて、前記付勢部は、前記可動体と前記固定側部材との間に配置されたばねであることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項10】
請求項4ないし7のいずれかにおいて、前記付勢部は、前記可動体または前記固定側部材の一部を加工して形成したばねであることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかにおいて、前記駆動機構は、前記固定側部材側のステータと、前記固定側部材に対して軸線周りに回転可能に支持された円筒状のロータと、該ロータの回転を前記可動体の軸線方向への直進に変換する回転直進変換機構とを有していることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項12】
請求項11において、前記ステータは、円環状の駆動コイルと、該駆動コイルを軸線方向の両側から挟む円環状のステータコアを備え、
前記ステータコアは、前記ロータが配置されたロータ配置穴の内周面に沿って周方向に並ぶ複数の極歯を備え、
前記ロータは、外周面でS極とN極とが周方向で交互に並ぶロータマグネットを備えていることを特徴とする直動アクチュエータ。
【請求項13】
請求項11または12において、前記回転直進変換機構は、前記ロータの軸線方向の移動を阻止するロータ支持機構と、前記ロータの回転を前記可動体に伝達して当該可動体を直動させる伝達機構と備え、
前記可動体は、前記回転阻止機構によって前記ロータとの供回りが阻止されていることを特徴とすることを特徴とする直動アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−159184(P2007−159184A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347130(P2005−347130)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】