説明

直流電源装置

【課題】交流発電機を電源としてバッテリと負荷に電力を供給する直流電源装置において、バッテリが外されたときに負荷に過電圧が印加されるのを防止する。
【解決手段】直流出力端子2c,2d間の電圧を調整値以下に保つように制御整流回路2のサイリスタTh1,Th2へのトリガ信号の供給を制御する直流電源装置において、直流出力端子2d,2d間の電圧が調整値よりも高い値に設定された過電圧設定値を超えたときに制御整流回路2のサイリスタへのトリガ信号の供給を阻止する制御を行う過電圧発生時トリガ制御回路6Dと、負の直流出力端子2dの電位を正の直流出力端子2cの電位よりも高くする極性の電圧が負荷4側から直流出力端子2c,2d間に印加されたときに負の直流出力端子側から正の直流出力端子側にパイパス電流を流して負荷4側から制御整流回路2に電流が流入するのを阻止するパイパス用スイッチ6Eとを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関等により駆動される交流発電機を電源としてバッテリ等の蓄電素子と負荷とに電力を供給する直流電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関等により駆動される交流発電機を電源としてバッテリと負荷とに電力を供給する直流電源装置として、ダイオードとサイリスタとの混合ブリッジ回路からなる制御整流回路を用いて発電機の交流出力を整流するようにしたものが多く用いられている。
【0003】
この種の電源装置では、特許文献1に示されているように、制御整流回路の直流出力端子間の電圧が設定された調整値以下のときに直流出力端子側から制御整流回路のサイリスタにトリガ信号を供給し、直流出力端子間の電圧が調整値を超えたときにサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するようにサイリスタへのトリガ信号の供給を制御するサイリスタ制御回路を設けて、バッテリに印加される電圧を調整値付近の値に保つ制御を行っている。
【0004】
この種の電源装置では、発電機の運転中にバッテリが外されると、負荷にコンデンサが含まれている場合に、以下に示すような問題が生じる。即ち、発電機が運転されている状態でバッテリが外されると、負荷に含まれているコンデンサが発電機の整流出力により充電され、コンデンサに充電電流が流れている間制御整流回路のサイリスタが導通状態に保持されるため、負荷のコンデンサは発電機の出力電圧のピークまで充電される。負荷のコンデンサが発電機の出力電圧のピークまで充電されると、充電電流が零になるため、制御整流回路のサイリスタが遮断状態になる。サイリスタが遮断状態にある間は、負荷のコンデンサに電圧が印加されないため、コンデンサに蓄積された電荷が徐々に放電していき、その両端の電圧が低下していく。負荷のコンデンサの両端の電圧が調整値以下になると制御整流回路のサイリスタにトリガ信号が供給されるため、負荷のコンデンサは発電機の出力により再び充電され、その両端の電圧が発電機の出力電圧のピークに向けて上昇していく。バッテリが外されると、発電機が運転されている間上記の動作が繰り返されるため、制御整流回路の直流出力端子間には、発電機の出力電圧のピークに達する高い電圧が繰り返し現れる。この電圧は負荷及びサイリスタ制御回路に印加されるため、負荷及びサイリスタ制御回路に過電圧が印加され、これらを構成する部品が破損するおそれがある。
【0005】
そこで、特許文献1に示された直流電源装置では、直流出力端子間の電圧が調整値よりも高く設定された設定電圧を超えたときに一定の保護時間の間サイリスタへのトリガ信号の供給を阻止する保護回路を設けている。このような保護回路を設けておくと、保護時間を十分に長く設定しておくことにより、負荷のコンデンサの両端の電圧が、サイリスタ制御回路を動作させるために必要な最低電圧よりも低くなるまでの間サイリスタにトリガ信号が与えられるのを阻止することができるため、サイリスタの再トリガを阻止して、直流出力端子間に過電圧が発生するのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−149713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
負荷にコンデンサが含まれている場合に、バッテリが外された際に負荷内のコンデンサが充電されることにより生じる問題は、特許文献1の発明により解決することができる。しかしながら、特許文献1に記載された保護回路によった場合、負荷がインダクタンスを含む場合に以下に示すような問題が生じることが明らかになった。
【0008】
即ち、制御整流回路の直流出力端子間に接続されている負荷にインダクタンス成分が含まれていると、バッテリが外されたときに、それまでバッテリから負荷に流れていた電流を流し続けようとする極性の電圧が負荷のインダクタンスに誘起し、この誘起電圧が、バッテリが外された際にオン状態にある制御整流回路のサイリスタに順方向に印加されるため、負荷から当該サイリスタと当該サイリスタに直列に接続されているダイオードとに電流が流れる。このときサイリスタを流れる電流は印加電圧に対して遅れ位相を有するため、サイリスタを流れている電流が保持電流以下になるのが遅れ、このサイリスタのターンオフが遅れる。そのため、このサイリスタがオフ状態になる前に発電機から当該サイリスタに順方向電圧を印加する極性の半波の出力が制御整流回路に入力されることがある。このような状態が生じると、保護回路の働きにより制御整流回路のサイリスタへのトリガ信号の供給が停止していても、当該サイリスタがオン状態を継続する。このような動作が繰り返されると、発電機の運転が継続している間、バッテリが切離された際に負荷のインダクタンスに誘起した電圧によりオン状態を保持した制御整流回路のサイリスタがオフ状態になることができなくなり、このサイリスタと、このサイリスタに直列に接続されているダイオードとが整流機能を維持することになる。そのため、特許文献1に示された従来の直流電源装置によった場合には、図3に示したように、制御整流回路からバッテリに調整された電圧Voが印加されてバッテリの充電が行われている状態で、時刻t1でバッテリが外れると、制御整流回路の直流出力端子間に発電機の半波の出力電圧Vpが繰り返し現れる現象が生じることがある。このような状態を放置すると、定格電圧Voで動作する負荷に過大な電圧Vpが繰り返し印加されるため、負荷が破損するおそれがある。
【0009】
上記の説明では、制御整流回路の直流出力端子間にバッテリと負荷とが並列に接続される場合を例にとったが、バッテリに限らず、制御整流回路の直流出力端子間にバッテリやキャパシタ等の蓄電素子と負荷とが並列に接続されて発電機が運転されている状態で蓄電素子が外された場合に、上記と同様の問題が生じる。
【0010】
本発明の目的は、磁石式交流発電機の出力を整流する制御整流回路を備えて、該制御整流回路の直流出力端子間に蓄電素子と負荷とが並列に接続される直流電源装置において、負荷にコンデンサが含まれている場合及び負荷にインダクタンスが含まれている場合のいずれの場合にも、バッテリ外れ時に直流出力端子間に過電圧が継続的に現れるのを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ダイオードとサイリスタとの混合ブリッジ回路からなっていて交流発電機の出力が印加される入力端子と直流電圧を出力する正負の直流出力端子とを有して正の直流出力端子と負の直流出力端子との間に蓄電素子と負荷とが並列に接続される制御整流回路と、直流出力端子間の電圧が設定された調整値以下のときに直流出力端子側から制御整流回路のサイリスタにトリガ信号を供給し、直流出力端子間の電圧が調整値を超えたときにサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するようにサイリスタへのトリガ信号の供給を制御するサイリスタ制御回路とを備えた直流電源装置を対象とする。
【0012】
本発明においては、直流出力端子間の電圧が調整値よりも高く設定された過電圧設定値を超えたときに過電圧検出動作を行って一定の保護時間の間過電圧検出信号を発生した状態を保持する過電圧検出回路と、過電圧検出回路が過電圧検出信号を発生していないときにはサイリスタへのトリガ信号の供給を許容し、過電圧検出回路が過電圧検出信号を発生しているときにサイリスタへのトリガ信号の供給を阻止する過電圧発生時トリガ制御回路と、過電圧検出回路が過電圧検出信号を発生している状態で負の直流出力端子の電位を正の直流出力端子の電位よりも高くする極性の電圧が直流出力端子間に印加されたときに負の直流出力端子側から正の直流出力端子側にパイパス電流を流すバイパス電流通電回路とを設けた。
【0013】
上記のように構成すると、コンデンサを含む負荷が接続されて発電機が運転されている状態で蓄電素子が外されたときに、負荷に設けられているコンデンサが充電されてその両端の電圧が上昇していく過程で過電圧設定値を超えた時点で過電圧検出回路が過電圧検出動作を行って一定の保護時間の間過電圧検出信号を発生した状態を保持し、この過電圧検出信号が発生している間過電圧発生時トリガ制御回路がサイリスタへのトリガ信号の供給を停止させる。従って、過電圧検出回路が過電圧検出信号を発生した状態を保持する保護時間を十分に長く設定しておくことにより、負荷に設けられているコンデンサが放電して、直流出力端子間の電圧がサイリスタにトリガ信号を与えるために必要な値よりも低くなるまでの間、サイリスタの再トリガを阻止することができ、負荷に設けられているコンデンサが再充電されて負荷の両端の電圧が上昇するのを防ぐことができる。
【0014】
また、上記のように構成すると、直流出力端子間に誘導負荷が接続されている状態で発電機の運転中に蓄電素子が外されて、直流出力端子間の電圧が過電圧設定値を超えたときにも、過電圧検出回路から一定の保護時間の間過電圧検出信号を発生させて、過電圧発生時トリガ制御回路によりサイリスタへのトリガ信号の供給を停止させることができる。またこのとき、負の直流出力端子側から正の直流出力端子側にバイパス電流を流すバイパス電流通電回路を構成して負荷のインダクタンスに誘起する電圧を短絡するようにしたので、発電機が運転されている状態で蓄電素子が外されたときに、負荷のインダクタンスに誘起する電圧により、蓄電素子が外された際にオン状態にあった制御整流回路のサイリスタに電流が流れて、当該サイリスタのターンオフが遅れるのを防ぐことができる。従って、誘導負荷が接続されている状態で発電機の運転中に蓄電素子が外されたときに、制御整流回路のサイリスタへのトリガ信号の供給が停止した後も、蓄電素子が外された際にオン状態にあった制御整流回路のサイリスタがそのオン状態を維持して、直流出力端子間に発電機の出力電圧の半波が繰り返し現れる現象が生じるのを防ぐことができ、負荷に過電圧が繰り返し印加される状態が生じるのを防ぐことができる。
【0015】
本発明の好ましい態様で用いるサイリスタ制御回路は、蓄電素子側から駆動信号が与えられることによりオン状態になって正の直流出力端子側からサイリスタにトリガ信号を供給するように設けられたトリガ信号供給用スイッチと、直流出力端子間の電圧が調整値以下のときにはトリガ信号供給用スイッチがオン状態になるのを許容し直流出力端子間の電圧が調整値以上になったときにトリガ信号供給用スイッチをオフ状態にするようにトリガ信号供給用スイッチを制御するトリガ信号供給用スイッチ制御回路とを備えている。
【0016】
この場合、前記過電圧検出回路は、電流制限素子と定電圧ダイオードとの直列回路と直流出力端子間の電圧が電流制限素子と定電圧ダイオードとの直列回路を通して印加される過電圧検出用コンデンサとを有して、直流出力端子間の電圧が過電圧設定値を超えたときに定電圧ダイオードがオン状態になることにより過電圧検出用コンデンサを充電して該コンデンサの両端に過電圧検出信号として用いられる電圧を発生するように構成することができる。
【0017】
また過電圧発生時トリガ制御回路は、オフ状態にあるときにトリガ信号供給用スイッチがオン状態になるのを許容し、オン状態になったときにトリガ信号供給用スイッチをオフ状態にするように設けられたオンオフ制御用スイッチと、過電圧検出用コンデンサを一定の時定数で放電させて該過電圧検出用コンデンサの放電電流によりオンオフ制御用スイッチに一定の保護時間の間駆動信号を与えて該オンオフ制御用スイッチをオン状態にするオンオフ制御用スイッチ制御回路とを備えた構成とすることができる。
【0018】
更にバイパス電流通電回路は、直流出力端子間に接続されて負の直流出力端子の電位が正の直流出力端子の電位よりも高くなる極性の電圧が直流出力端子間に印加された状態でトリガ信号が与えられたときにオン状態になるバイパス用スイッチと、過電圧検出用コンデンサの両端の電圧でパイパス用スイッチにトリガ信号を供給するパイパス用スイッチトリガ回路とを備えた構成とすることができる。
【0019】
上記蓄電素子はバッテリであってもよく、キャパシタであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、本発明によれば、発電機の運転中に直流出力端子間に接続された蓄電素子が外されて、直流出力端子間に調整値を超える過電圧が現れたときに、制御整流回路のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止するとともに、蓄電素子が外された際に負荷に含まれるインダクタンスに電圧が誘起したときに負荷に対して並列にバイパス通電回路を構成して、負荷のインダクタンスに誘起した電圧を短絡するようにしたので、負荷のインダクタンスに誘起した電圧で、蓄電素子が外された際にオン状態にあった制御整流回路のサイリスタに電流が流れ込んで、当該サイリスタのターンオフが遅れるのを防ぐことができる。従って、誘導負荷が接続されている状態で発電機の運転中に蓄電素子が外されたときに、オン状態にあった制御整流回路のサイリスタがそのオン状態を維持して、直流出力端子間に発電機の出力電圧の半波が繰り返し現れる現象が生じるのを防ぐことができ、負荷に過電圧が繰り返し印加されて負荷が破損するおそれをなくすことができる。
【0021】
また直流出力端子間にコンデンサを含む負荷と蓄電素子とを並列に接続している状態で、発電機の運転中に蓄電素子が外されたときには、特許文献1に示された従来の直流電源装置と同様に、一定の保護時間の間制御整流回路のサイリスタへのトリガ信号の供給を停止することができるため、負荷の両端に発電機の出力電圧のピーク値に相当する電圧値を有する過電圧が繰り返し印加される現象が生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】本発明の他の実施形態の構成を示した回路図である。
【図3】従来の直流電源装置において、直流出力端子間にインダクタンスを含む負荷が接続されている状態で発電機の運転中にバッテリが外されたときに直流出力端子間に現れる電圧の波形を示した波形図である。
【図4】本発明に係わる直流電源装置において、直流出力端子間にインダクタンスを含む負荷が接続されている状態で発電機の運転中にバッテリが外されたときに直流出力端子間に現れる電圧の波形を示した波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を示したもので、同図において、1は内燃機関により駆動される磁石式交流発電機、2はサイリスタTh1,Th2とダイオードD1,D2との混合ブリッジ回路からなっていて、入力端子2a、2b間に発電機1の交流出力が入力され、正負の直流出力端子2c,2d間にバッテリ3と負荷4とが並列に接続された制御整流回路である。
【0024】
また5は制御整流回路の直流出力端子2c,2d間の電圧が設定された調整値以下のときに直流出力端子2c,2d側から制御整流回路2のサイリスタTh1,Th2にトリガ信号を供給し、直流出力端子2c,2d間の電圧が調整値を超えたときに制御整流回路2のサイリスタTh1,Th2へのトリガ信号の供給を停止するようにサイリスタTh1,Th2を制御して直流出力端子2c,2d間の電圧を調整電圧付近に制御するサイリスタ制御回路である。また6は発電機1の運転中にバッテリ3が切離されたときに直流出力端子2c,2d間に過電圧が繰り返し現れるのを防ぐ保護回路であり、制御整流回路2と、サイリスタ制御回路5と、保護回路6とにより、本発明に係わる直流電源装置7が構成されている。図示の例では、バッテリ3の正極端子がスイッチ8を通して制御整流回路2の正の直流出力端子2cに接続され、バッテリ3の負極端子が負の直流出力端子2dに直接接続されている。負荷4は、正負の直流出力端子2c,2d間に直接接続されている。
【0025】
制御整流回路2は、アノードが共通に接続されたサイリスタTh1及びTh2によりブリッジの下辺を構成し、アノードがサイリスタTh1及びTh2のカソードにそれぞれ接続され、カソードが共通接続されたダイオードD1及びD2によりブリッジの上辺を構成した、サイリスタとダイオードとの混合ブリッジ回路からなっている。この制御整流回路においては、サイリスタTh1及びTh2のカソードとダイオードD1及びD2のアノードとの接続点からそれぞれ入力端子2a及び2bが引き出され、ダイオードD1及びD2のカソードの共通接続点及びサイリスタTh1及びTh2のアノードの共通接続点からそれぞれ正の直流出力端子2c及び負の直流出力端子2dが引き出されている。
【0026】
サイリスタ制御回路5は、制御整流回路2の正の直流出力端子2cに接続された制御入力端子5aを有し、制御入力端子5aにPNPトランジスタTR1及びTR2のエミッタが共通接続されている。トランジスタTR1のベースはトランジスタTR2のコレクタに接続され、コレクタは、サイリスタTh1及びTh2のゲートにそれぞれカソードが接続されたダイオードD3及びD4のアノードに抵抗R1を通して接続されている。トランジスタTR1のベースはまたカソードが負の直流出力端子2dに接続されたダイオードD5のアノードに抵抗R2を通して接続され、トランジスタTR2のベースは、アノードが抵抗R3を通してダイオードD5のアノードに接続された定電圧ダイオードZD1のカソードに接続されている。トランジスタTR1及びTR2と、ダイオードD3ないしD5と、定電圧ダイオードZD1と、抵抗R1ないしR3とにより、サイリスタ制御回路5が構成されている。
【0027】
本実施形態では、トランジスタTR1と抵抗R1及びR2とにより、バッテリ3側から駆動信号が与えられることによりオン状態になって正の直流出力端子2c側からサイリスタTh1及びTh2にトリガ信号を供給するトリガ信号供給用スイッチ5Aが構成されている。また、トランジスタTR2と、定電圧ダイオードZD1と、抵抗R3とにより、直流出力端子2c,2d間の電圧が設定された調整値以下のときにトリガ信号供給用スイッチ(トランジスタTR1)がオン状態になるのを許容し、直流出力端子間の電圧が調整値以上になったときにトリガ信号供給用スイッチをオフ状態にするようにトリガ信号供給用スイッチを制御するトリガ信号供給用スイッチ制御回路5Bが構成され、トリガ信号供給用スイッチ5Aと、トリガ信号供給用スイッチ制御回路5Bとにより、サイリスタ制御回路5が構成されている。
【0028】
保護回路6は、PNPトランジスタTR3と、NPNトランジスタTR4及びTR5と、抵抗R4ないしR8と、定電圧ダイオードZD2と、ダイオードD6と、過電圧検出用コンデンサC1と、サイリスタTh3とにより構成されている。トランジスタTR3のエミッタは、トランジスタTR1のエミッタに接続され、コレクタはトランジスタTR1のベースに接続されている。トランジスタTR3のベースは抵抗4を通してトランジスタTR4のコレクタに接続され、トランジスタTR4のエミッタはダイオードD5のアノードに接続されている。
【0029】
トランジスタTR4のベースは抵抗R5を通して過電圧検出用コンデンサC1の一端に接続され、コンデンサC1の他端は、ダイオードD5のアノードに接続されている。コンデンサC1の一端にはまた定電圧ダイオードZD2のアノードが接続され、定電圧ダイオードZD2のカソードは抵抗R6を通して正の直流出力端子2cに接続されている。
【0030】
サイリスタTh3は、そのカソード及びアノードをそれぞれ直流出力端子2c及び2dに接続することにより負荷4に対して並列に接続され、サイリスタTh3のカソードに抵抗R7を通してトランジスタTR5のコレクタが接続されている。トランジスタTR5のエミッタはダイオードD5のアノードに接続され、ベースは抵抗R8と、アノードを抵抗R8側に向けたダイオードD6とを通してサイリスタTh3のゲートに接続されている。また抵抗R8とダイオードD6のアノードとの接続点が、コンデンサC1の一端と定電圧ダイオードZD2のアノードとの接続点に接続されている。
【0031】
本実施形態では、電流制限素子としての抵抗R6と定電圧ダイオードZD2との直列回路と、直流出力端子2c,2d間の電圧が抵抗R6と定電圧ダイオードZD2との直列回路を通して印加される過電圧検出用コンデンサC1とにより、直流出力端子2c,2d間の電圧が前記調整値よりも高く設定された過電圧設定値を超えたときに定電圧ダイオードZD2がオン状態になることにより過電圧検出用コンデンサC1を充電する過電圧検出動作を行って、該コンデンサC1の両端に過電圧検出信号として用いられる電圧を発生する過電圧検出回路6Aが構成されている。
【0032】
また、トランジスタTR3により、オフ状態にあるときにトリガ信号供給用スイッチ5Aがオン状態になるのを許容し、オン状態になったときにトリガ信号供給用スイッチ5Aをオフ状態にするように設けられたオンオフ制御用スイッチ6Bが構成されている。更に、トランジスタTR4と、抵抗R4及びR5とにより、過電圧検出用コンデンサC1の電荷を一定の時定数で放電させて、該コンデンサC1の放電電流によりオンオフ制御用スイッチ6Bに一定の保護時間の間駆動信号を与えて該オンオフ制御用スイッチ6Bをオン状態にするオンオフ制御用スイッチ制御回路6Cが構成され、オンオフ制御用スイッチ6Bと、オンオフ制御用スイッチ制御回路6Cとにより、過電圧発生時トリガ制御回路6Dが構成されている。
【0033】
またサイリスタTh3により、直流出力端子2c,2d間に接続されて負の直流出力端子2dの電位が正の直流出力端子2cの電位よりも高くなる極性の電圧が直流出力端子2c,2d間に印加された状態でトリガ信号が与えられたときにオン状態になるバイパス用スイッチ6Eが構成され、トランジスタTR5と、ダイオードD6と、抵抗R7及びR8とにより、過電圧検出用コンデンサC1を一定の時定数で放電させて、該コンデンサの放電電流によりパイパス用スイッチ6Eにトリガ信号を供給するパイパス用スイッチトリガ回路6Fが構成され、バイパス用スイッチ6Eと、パイパス用スイッチトリガ回路6Fとにより、過電圧検出回路6Aが過電圧検出信号を発生している状態(コンデンサC1の両端の電圧が一定レベル以上になっている状態)で負の直流出力端子2dの電位を正の直流出力端子2cの電位よりも高くする極性の誘起電圧が負荷4から直流出力端子2c,2d間に印加されたときに負の直流出力端子2d側から正の直流出力端子2c側にパイパス電流を流して負荷4に誘起した電圧を短絡するバイパス電流通電回路6Gが構成されている。
【0034】
本実施形態においては、直流出力端子2c,2d間の電圧が調整値以上になったときに定電圧ダイオードZD1がオン状態になるように、定電圧ダイオードZD1のツェナー電圧と、抵抗R3の抵抗値とが選定されている。バッテリ3の定格電圧が12Vである場合、上記調整値は例えば14Vに設定される。また直流出力端子2c,2d間の電圧が上記調整値よりも高く設定された過電圧設定値以上になったときに定電圧ダイオードZD2がオン状態になるように、定電圧ダイオードZD2のツェナー電圧と抵抗r6の抵抗値とが選定されている。過電圧設定値は負荷4の耐電圧値以下に設定する。
【0035】
上記過電圧検出回路6Aと、オンオフ制御用スイッチ6B及びオンオフ制御用スイッチ制御回路6Cからなる過電圧発生時トリガ制御回路6Dと、バイパス用スイッチ6E及びパイパス用スイッチトリガ回路6Fからなるバイパス電流通電回路6Gとにより、保護回路6が構成されている。
【0036】
図1に示した実施形態において、スイッチ8が閉じられてバッテリ3が直流出力端子2c,2d間に接続されると、バッテリ3からトランジスタTR1のエミッタベース間と抵抗R2とダイオードD5とを通してトランジスタTR1にベース電流が流れるため、トランジスタTR1がオン状態になり、バッテリ3からトランジスタTR1のエミッタコレクタ間と抵抗R1とダイオードD3及びD4とを通してサイリスタTh1及びTh2にトリガ信号が与えられる。この状態で発電機1が運転されると、サイリスタTh1及びTh2の内、発電機1の出力端子から順方向電圧が印加されている方のサイリスタがオン状態になり、発電機1の整流出力が負荷4及びバッテリ3に印加される。これによりバッテリ3が充電されるとともに負荷が駆動される。
【0037】
バッテリ3の充電が進み、バッテリ3の端子電圧(直流出力端子2c,2d間の電圧)が設定された調整値を超えると、定電圧ダイオードZD1がオン状態になるため、トランジスタTR2がオン状態になり、トリガ信号供給用スイッチを構成するトランジスタTR1がオフ状態になる。これによりサイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給が停止され、サイリスタTh1及びTh2は、それぞれを流れている電流が保持電流未満になったときにオフ状態になる。これにより直流出力端子2c,2d間の電圧が調整値未満になると、定電圧ダイオードZD1がオフ状態になってトランジスタTR2がオフ状態になるため、トランジスタTR1がオン状態になり、サイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給が再開される。これにより、発電機1の出力が制御整流回路2により整流されてバッテリ3及び負荷4に供給され、バッテリ3の端子電圧が上昇していく。これらの動作が繰り返されることにより、直流出力端子間の電圧Voが図4の左端に示すように調整値付近の値に保たれる。
【0038】
ここで負荷4がコンデンサを有しているものとし、発電機1の運転中にスイッチ8が開かれてバッテリ3が切り離されたとする。このとき制御整流回路2の出力により負荷4内のコンデンサが充電されるため、負荷4の両端の電圧が上昇していく。負荷4の両端の電圧が上昇していく過程で当該電圧が前記調整値よりも高く設定された過電圧設定値を超えると、定電圧ダイオードZD2がオン状態になって過電圧検出用コンデンサC1が充電される(過電圧検出動作が行われる)。このコンデンサC1の電荷が抵抗R5とトランジスタTR4のベースエミッタ間を通して放電することにより流れるトランジスタTR4のベース電流が、トランジスタTR4をオン状態にするために必要な大きさを有している一定の保護時間の間トランジスタTR4がオン状態を保持する。トランジスタTR4がオン状態にある間、トランジスタTR3にベース電流が流れるため、トランジスタTR3がオン状態を保持し、トランジスタTR1をオフ状態に保持する。これにより、サイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給が停止される。
【0039】
負荷4の両端に印加される電圧がピークに達すると、負荷4内のコンデンサの充電が終了するため、それまでサイリスタTh1またはTh2を流れていた電流が零になり、サイリスタTh1及びTh2がオフ状態になる。これにより、制御整流回路2が出力を停止するため、負荷4内のコンデンサは所定の時定数で放電していき、直流出力端子2c,2d間の電圧が低下していく。本実施形態では、負荷4内のコンデンサの放電が進み、負荷4の両端の電圧が、サイリスタTh1及びTh2にトリガ信号を供給するために必要な電圧値(トランジスタTR1をオン状態にするために必要なベース電流を該トランジスタに流すために必要な電圧値)よりも低い値になるまでの間トランジスタTR3をオン状態に保持するように過電圧検出用コンデンサC1の放電時定数を設定しておく。このように過電圧検出用コンデンサC1の放電時定数を設定しておくと、バッテリ3が外されている状態では、サイリスタTh1及びTh2にトリガ信号が供給されず、制御整流回路2は整流動作を行わないため、負荷4に印加される電圧はやがて零になる。
【0040】
特許文献1に示された従来の直流電源装置は、図1に示した実施形態において、バイパス用スイッチ6E及びパイパス用スイッチトリガ回路6Fからなるバイパス電流通電回路6Gを省略したものに相当する。
【0041】
図1において、バイパス電流通電回路6Gが設けられていないとした場合には、前述のように、インダクタンスを含む負荷4が接続された状態で発電機1の運転中にバッテリ3が外されたときに、負荷の両端に発電機1の半波の出力電圧が繰り返し印加される現象が生じる。
【0042】
ここで、負荷4がインダクタンスを含む誘導負荷であるとし、バイパス電流通電回路6Gが設けられていない状態で、発電機1の運転中にスイッチ8が開かれて、バッテリ3が直流出力端子2c,2dから外されたとする。このとき負荷4内のインダクタンスには、それまでバッテリ3から負荷4に流れていた電流を流し続けようとする極性の電圧(負の直流出力端子2d側がプラスで、正の直流出力端子2c側がマイナスの極性の電圧)が誘起する。この誘起電圧が過電圧設定値を超えると、前記の動作によりサイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給が停止するが、負荷4の誘起電圧が制御整流回路2に印加されると、バッテリ3が外された際にオン状態にあったサイリスタTh1またはTh2と該サイリスタに直列に接続されているダイオードD1またはD2とを通して電流が流れ、当該サイリスタのターンオフが遅れて、当該サイリスタがオフ状態になることができなくなることがある。
【0043】
例えば、バッテリ3が外されたときに発電機1が図示の実線矢印方向の正の半波の出力を発生しており、制御整流回路のサイリスタTh2がオン状態にあったとする。このとき負荷4内のインダクタンスに誘起した電圧(負の直流出力端子2d側がプラスの電圧)が制御整流回路2に印加されると、負荷4−サイリスタTh2−ダイオードD2-負荷4の回路を通して電流が流れる。この電流は電圧に対して遅れ位相であるため、発電機1が図示の破線矢印方向の負の半波の出力を発生して、サイリスタTh2のアノードカソード間に逆方向電圧が印加される状態になっても流れ続ける。そのため、サイリスタTh2を流れる電流が保持電流未満に減衰するのが遅れ、サイリスタTh2がターンオフすることができなくなる。この状態で発電機1が再び正の半波の電圧を発生すると、発電機1−ダイオードD1−出力端子2c−負荷4-出力端子2d-サイリスタTh1-発電機1の経路で電流が流れる。これらの動作が繰り返されるため、バイパス電流通電回路6Gが設けられていない従来の直流電源装置によった場合には、図3に示すように、時刻t1でバッテリが外された後、直流出力端子間には、発電機1の一方の半波の出力電圧Vpが繰り返し現れる。
【0044】
これに対し、上記実施形態のように、バイパス電流通電回路6Gが設けられていると、バッテリ3が外され、負荷4のインダクタンスに電圧が誘起し、直流出力端子間の電圧が過電圧設定値を超えて過電圧検出用コンデンサC1が充電されたときに、コンデンサC1−ダイオードD6−サイリスタTh3のゲート、カソード−抵抗R7−トランジスタTR5のコレクタ、エミッタ−コンデンサC1の経路でコンデンサC1の放電電流が流れ、サイリスタTh3がオン状態になる。従って、バッテリ3が外されたときに負荷4内のインダクタンスに誘起した電圧で流れる電流はすべてサイリスタTh3により構成されるバイパス通電回路を通して流れ、負荷4に有した電圧はサイリスタTh3を通して短絡された状態になる。そのため、バッテリ3が外されたときに、負荷4からオン状態にあるサイリスタTh1またはTh2に電流が流れ込むことはなく、当該サイリスタTh1またはTh2のターンオフが遅れることがない。従って、バッテリ3が外されたときにオン状態にあった制御整流回路のサイリスタTh1またはTh2がオン状態を継続するのを防ぐことができ、直流出力端子2c,2d間に発電機の半波の出力電圧が繰り返し現れる現象が生じるのを防ぐことができる。
【0045】
従って、本発明によった場合には、図4に示すように、インダクタンスを含む負荷4が接続されている状態で、バッテリ3が外されたときに、直流出力端子2c,2d間に発電機1の半波の出力電圧Vpが一度現れるが、制御整流回路のサイリスタTh1及びTh2は、それぞれへのトリガ信号の供給が停止した後速やかにターンオフするため、サイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給が停止している限り、直流出力端子2c,2d間に電圧が現れることはない。
【0046】
過電圧検出用コンデンサC1の電荷の放電が進み、トランジスタTR4をオン状態にすることができなくなると、トランジスタTR4がオフ状態になるため、トランジスタTR3がオフ状態になり、トランジスタTR1がオン状態になるのを許容するが、バッテリ3が外され、サイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給が停止していて、サイリスタTh1及びTh2がオフ状態にあるときには、トランジスタTR1にベース電流が流れないため、トランジスタTR1がオン状態になってサイリスタTh1及びTh2にトリガ信号が与えられることはない。従って、直流出力端子2c,2d間にバッテリ3が接続されない限り、サイリスタTh1及びTh2にトリガ信号が与えられることはないため、発電機1の整流出力が負荷4に与えられることはない。
【0047】
図2は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態では、図1に示した実施形態の回路からトランジスタTR3を省略し、トランジスタTR4のコレクタを抵抗R4を通してトランジスタTR2のベースに接続している。図2の実施形態では、定電圧ダイオードZD1及び抵抗R3と共にトリガ信号供給用スイッチ制御回路5Bを構成するトランジスタTR2が、過電圧発生時トリガ制御回路のオンオフ制御用スイッチ6Bを兼ねており、過電圧検出用コンデンサC1が充電されて、トランジスタTR4がオン状態になったときにトランジスタTR2をオン状態にすることにより、トリガ信号供給用スイッチを構成するトランジスタTR1をオフ状態にして、サイリスタTh1及びTh2へのトリガ信号の供給を停止する。その他の動作は図1に示した実施形態と同様である。
【0048】
上記のように、本発明によれば、発電機1の運転中に直流出力端子2c,2d間に接続されたバッテリ3が外されて、直流出力端子間に調整値を超える過電圧が現れたときに、制御整流回路2のサイリスタTh1,Th2へのトリガ信号の供給を停止するとともに、バッテリ3が外された際に負荷4に含まれるインダクタンスに電圧が誘起したときに負荷に対して並列にバイパス通電回路6Eを構成して、負荷4を短絡するようにしたので、負荷のインダクタンスに誘起した電圧で制御整流回路2のサイリスタTh1,Th2に電流が流れ込むのを防ぐことができ、制御整流回路のサイリスタのターンオフが遅れるのを防ぐことができる。従って、インダクタンスを含み負荷4が接続されている状態で発電機1の運転中にバッテリ3が外されたときに、制御整流回路2のサイリスタTh1またはTh2がオン状態を維持して、直流出力端子間に発電機の出力電圧の半波が繰り返し現れる現象が生じるのを防ぐことができ、負荷に過電圧が繰り返し印加されて負荷が破損するおそれをなくすことができる。
【0049】
上記の各実施形態では、直流出力端子2c,2d間にバッテリ3と負荷4とを並列に接続したが、本発明は、交流発電機の出力を整流する制御整流器の直流出力端子2c,2d間に電気エネルギを蓄積する機能を有する素子である蓄電素子と負荷とを並列接続する場合に適用することができ、バッテリ3に代えてキャパシタを接続する場合にも本発明を適用することができる。
【0050】
上記の実施形態では、制御整流回路2において、ブリッジの下辺にサイリスタTh1及びTh2を設け、ブリッジの上辺にダイオードD1及びD2を設けたが、ブリッジの上辺にサイリスタTh1及びTh2を設け、ブリッジの下辺にダイオードD1及びD2を設けてもよい。
【0051】
また上記の実施形態では、発電機1が単相交流発電機であるが、3相交流発電機が用いられる場合にも本発明を適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオードとサイリスタとの混合ブリッジ回路からなっていて交流発電機の出力が印加される入力端子と直流電圧を出力する正負の直流出力端子とを有して前記正の直流出力端子と負の直流出力端子との間に蓄電素子と負荷とが並列に接続される制御整流回路と、前記直流出力端子間の電圧が設定された調整値以下のときに前記直流出力端子側から前記制御整流回路のサイリスタにトリガ信号を供給し、前記直流出力端子間の電圧が前記調整値を超えたときに前記サイリスタへのトリガ信号の供給を停止するように前記サイリスタへのトリガ信号の供給を制御するサイリスタ制御回路とを備えた直流電源装置において、
前記直流出力端子間の電圧が前記調整値よりも高く設定された過電圧設定値を超えたときに過電圧検出動作を行って一定の保護時間の間過電圧検出信号を発生した状態を保持する過電圧検出回路と、
前記過電圧検出回路が過電圧検出信号を発生していないときには前記サイリスタへのトリガ信号の供給を許容し、前記過電圧検出回路が過電圧検出信号を発生しているときに前記サイリスタへのトリガ信号の供給を阻止する過電圧発生時トリガ制御回路と、
前記過電圧検出回路が過電圧検出信号を発生している状態で前記負の直流出力端子の電位を正の直流出力端子の電位よりも高くする極性の電圧が前記直流出力端子間に印加されたときに前記負の直流出力端子側から正の直流出力端子側にパイパス電流を流すバイパス電流通電回路と、
を具備してなる直流電源装置。
【請求項2】
前記サイリスタ制御回路は、前記蓄電素子側から駆動信号が与えられることによりオン状態になって前記正の直流出力端子側から前記サイリスタにトリガ信号を供給するように設けられたトリガ信号供給用スイッチと、前記直流出力端子間の電圧が前記調整値以下のときには前記トリガ信号供給用スイッチがオン状態になるのを許容し前記直流出力端子間の電圧が前記調整値以上になったときに前記トリガ信号供給用スイッチをオフ状態にするように前記トリガ信号供給用スイッチを制御するトリガ信号供給用スイッチ制御回路とを備え、
前記過電圧検出回路は、電流制限素子と定電圧ダイオードとの直列回路と前記直流出力端子間の電圧が前記電流制限素子と定電圧ダイオードとの直列回路を通して印加される過電圧検出用コンデンサとを有して、前記直流出力端子間の電圧が前記過電圧設定値を超えたときに前記定電圧ダイオードがオン状態になることにより前記過電圧検出用コンデンサを充電して該コンデンサの両端に前記過電圧検出信号として用いられる電圧を発生するように構成され、
前記過電圧発生時トリガ制御回路は、オフ状態にあるときに前記トリガ信号供給用スイッチがオン状態になるのを許容し、オン状態になったときに前記トリガ信号供給用スイッチをオフ状態にするように設けられたオンオフ制御用スイッチと、前記過電圧検出用コンデンサを一定の時定数で放電させて該過電圧検出用コンデンサの放電電流により前記オンオフ制御用スイッチに一定の保護時間の間駆動信号を与えて該オンオフ制御用スイッチをオン状態にするオンオフ制御用スイッチ制御回路とを備え、
前記バイパス電流通電回路は、前記直流出力端子間に接続されて前記負の直流出力端子の電位が正の直流出力端子の電位よりも高くなる極性の電圧が前記直流出力端子間に印加された状態でトリガ信号が与えられたときにオン状態になるバイパス用スイッチと、前記過電圧検出用コンデンサの両端の電圧で前記パイパス用スイッチにトリガ信号を供給するパイパス用スイッチトリガ回路とを備えていること、
を特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。
【請求項3】
前記蓄電素子はバッテリである請求項1または2に記載の直流電源装置。
【請求項4】
前記蓄電素子は、キャパシタである請求項1または2に記載の直流電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−50218(P2011−50218A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198612(P2009−198612)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000001340)国産電機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】