説明

眼鏡、及び眼鏡の上下位置調整器具

【課題】毛様体の運動を促すことのできる眼鏡を小型化し、またその構成を簡略化する。
【解決手段】眼鏡1は、眼鏡様の形状であり、いずれも通常の眼鏡と同様のフレーム110、レンズ120、ブリッジ130、図示せぬテンプルを備える。レンズ120はその上半分の上範囲と下半分の下範囲でレンズのパワーが異なる。眼鏡1のブリッジ130には、係止リング140と制御部150が設けられ、係止リング140には、その下端にノーズパッド170を取付の棒状の軸棒160の上端が挿入されている。係止リング140は、制御部150の制御下で振動子により振動し、それに伴い軸棒160は、係止リング140に対して相対的に上下する。それにより、ユーザはレンズ120の上範囲と下範囲を通して外界を見る状態を交互に繰り返すことになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡、より詳細には、眼の毛様体の自律的な運動を促すことができる眼鏡を提供する。
【背景技術】
【0002】
眼精疲労を防止する、視力の悪化を防止する、或いは視力の向上を図るには、遠くを見ることが良いということは常識である。遠くを見ることがこれらの利点を招くのは、日常生活の中では、テレビやパーソナルコンピュータのディスプレイを凝視したり、新聞、書籍を読んだり、兎に角近くを見ることが多いため、遠くを見るという行為を意識的に行なえば、毛様体が運動を行う機会が増えることによる。
つまり、眼の健康の維持、向上のためには、毛様体の運動をなるべく増やすのが好ましい。
【0003】
毛様体の運動を向上させるための器具は現在までに多数提案されているが、本願出願人は、公開特許公報平成7年第88143号に記載の近視・老視予防具の出願を行っている。この出願が開示する近視・老視予防具は、それを通してユーザが外界を見るものであり、ユーザの視度を時間の経過にしたがって自動的に調整するようにされた視度調整手段を有するものである。この近視・老視予防具が持つ視度調整手段は、レンズとして機能する時間とレンズとして機能しない時間とを自動的に交互に繰返し、それによりユーザの眼の毛様体に運動を強制する。
【0004】
この近視・老視予防具は、日常使いが可能なので、日常生活の中で毛様体の運動を促すことができるという利点を持っている。ただし、この近視・老視予防具にも改良すべき点がないわけではない。
上述の近視・老視予防具が持つ視度調整手段は、レンズとして機能する時間とレンズとして機能しない時間とを自動的に交互に繰返すものとなっている。そして、当該出願は、そのための機構を幾つか示している。
例えば、平行に配された伸縮可能な膜素材の周囲を適当なフレームで固めた透明体を用いる機構が当該出願に開示される。この機構では、透明体の間の空間に必要に応じて透明な液体(又はゲル)を充填したり排出したりすることで、両膜材を外側に膨らませたり、或いは平行にさせたりし、それにより、透明体全体をレンズとして機能させる状態と、透明体全体をレンズとして機能させない状態とを切り替えるようにしている。或いは、当該出願には、レンズを使用者の眼の前に位置させたりそこから横方向にスライドさせて視野外に移動させたりすることにより、レンズが機能する状態とレンズが機能しない状態を切り替えるようにする機構が開示されている。
これら機構はいずれも理論上は実施可能なものであるが、前者には、液体を用いるため重量化する等の不具合があり、後者には、レンズを移動させるためのスペースが必要となるため大型化する、また、主にデザインの面でユーザに受入れられ難いといった不具合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題点を解消するものであり、日常使いを行なえ、毛様体の運動を促すことのできる眼鏡を、小型化、軽量化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、かかる課題を解決するための発明として、以下のものを提案する。
本発明の一つは、互いの相対的な位置が固定された左右両眼用のレンズを含む本体部を備えた眼鏡である。そして、この眼鏡の前記レンズは、その上部の所定の範囲である上範囲のパワーと、その下部の所定の範囲である下範囲のパワーが異なるものとされているとともに、前記本体部の位置を時間の経過に応じて上下させることにより、当該眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、前記レンズの前記上範囲と前記下範囲が交互に位置するようにするための位置調整手段、を備えている。
この眼鏡が備えるレンズは、異なるパワーの上範囲と下範囲を備えている。これは、例えば、公知の遠近両用レンズと同様の構成である。そして、この眼鏡では、レンズが上下方向に移動する。したがって、この眼鏡を用いたユーザは、例えてみれば、パワーの異なる2つのレンズを持つ眼鏡を交互に掛ける(或いは、1つの眼鏡を掛けたり外したりする。)のと同じ状態となる。したがって、この眼鏡を用いれば、毛様体の運動が促進される。しかも、この眼鏡では、パワーの異なる2つのレンズを持つ眼鏡を交互に掛ける(或いは、1つの眼鏡を掛けたり外したりする。)のと同じ状態を生じさせるために、レンズを上下方向に移動させるという簡単な仕組を採用した。このような仕組であれば、液体を利用する場合のように重量化することもないし、眼鏡レンズを左右方向に移動させる場合のように眼鏡が大型化することもないし、眼鏡の大型化に伴って生じるデザイン状の不都合も生じない。レンズを上下方向に移動させるという仕組みを採用することは、また、その移動に必要なのが直線運動であることに由来する機構の単純化という作用効果をも生じる。
【0007】
上述のように、本願発明のレンズは、上範囲と下範囲のパワーが異なるものとされていればよい。レンズは、その上範囲と下範囲が同じ面積であってもそうでなくても構わず、その境界線が直線であっても曲線であっても良い。レンズの上範囲と下範囲の境界は、境界線のような幅の狭い線状の部分できっちりと区切られている必要がなく、また、レンズが上範囲と下範囲のいずれでもない部分を備えていてもよい。例えば、レンズの上範囲と下範囲の間には、少なくとも1つの、上範囲、下範囲とはパワーが異なる中間範囲が設けられていてもよい。つまり、本願発明のレンズは、上範囲と下範囲という2つの範囲を持てば、その上下方向に幾つに分割されていてもよい。
レンズは、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数の双方がその全体において一様であっても構わないし、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数の少なくとも一方が一様でなくても構わない。
レンズは、上範囲のパワーと下範囲のパワーが、いずれも正、いずれも負、正負を跨ぐ、一方が正又は負で他方が0、のどの組合わせとなっていても構わない。前記レンズが、前記上範囲のパワーと、前記下範囲のパワーがともに一様であり、且つともに0ではないようなものとなっている場合には、視力矯正のために元々眼鏡を掛けざるをえないユーザにおいては、本願発明の眼鏡一つで視力矯正と、毛様体の運動の促進とを賄えることになる。
レンズの上範囲のパワーと下範囲のパワーは、レンズの度数により以下のように特定することができる。レンズの上範囲のパワーと下範囲のパワーは、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数がともに一様である場合には、その一方が、そのユーザにとって相応しい度数(例えば、視力の矯正が不要なユーザであれば略0.0D、近視持ちのユーザであれば(負の所定の数値)D、遠視持ちのユーザであれば(正の所定の数値)D)に、他方をユーザに相応しいその度数から0.3D〜4.0Dだけ正負いずれかの方向にずらした度数とすることができる。レンズの上範囲の度数と下範囲の度数の一方をそのユーザにとって相応しい度数としておけば、ユーザがその眼鏡を普段使いできるようになる。また、レンズの上範囲の度数と下範囲の度数の他方を、そのユーザにとって相応しい度数から0.3D〜4.0Dだけ正負いずれかの方向にずらした度数とすることにより、ユーザに毛様体の運動を適切に行わせることができるようになる。レンズの上範囲の度数と下範囲の度数の他方を、そのユーザにとって相応しい度数から0.3D〜4.0Dだけ正負いずれかの方向にずらした度数とするのが良いのは、この差が小さいと毛様体の運動が余り行われなくなり、この差が大きすぎるとユーザの眼に疲労が生じたり、レンズの度数の変化に眼が追いつかず、場合によっては物を見ること自体が難しくなるようなことが生じるからである。人の眼には、遠点と近点の間で焦点を調節する能力が備わっているが、その大きさは、個人差があるものの一般に、10歳で14D、25歳で10D、50歳で2.5D程度であると言われている。レンズの上範囲の度数と下範囲の度数のうち、そのユーザにとって相応しい度数とそうでない上述の他方の度数の差は、そのユーザの眼がレンズの度の変化に追従できる程度の範囲とするのが好ましいので、そのユーザの眼が有する焦点を調整する能力の1/6〜1/3程度とするのが良い。レンズの上範囲の度数と下範囲の度数の他方は、そのユーザにとって相応しい度数から正負いずれかの方向に0.3D〜1.0D程度ずらすのが汎用的であり、0.4D〜0.6D程度ずらしたものとするのが最も汎用的であると考えられる。
なお、レンズの上範囲の度数と下範囲の度数のいずれをそのユーザにとって相応しい度数とするかは適当に選択すれば良いが、本願の眼鏡を通常の眼鏡に近い状態とする時間を長くした方がユーザの負担が小さく出来ることを考慮すれば、レンズの上範囲の度数をそのユーザにとって相応しい度数とするのが好ましいであろう。
【0008】
前記レンズは、上述のように、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数の少なくとも一方が一様でなくてもよい。
例えば、前記レンズは、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数がともに、その上方から下方に向けて漸増又は漸減するようなものとすることができる。特にレンズの上範囲の下端とレンズの下範囲の上端の度数が略一致するようなものとされた場合には、レンズは、その上方から下方に向けて度数が漸増又は漸減するものとなり、その全体として累進焦点レンズとなる。
このようなレンズであれば、レンズを上下させた場合、ユーザの視線が固定されていることを前提とした場合の度数の変化が滑らかなものとなるので、ユーザに違和感を与えることなく、毛様体の運動を促せることになる。なお、本願の眼鏡の作用効果として、『この眼鏡を用いたユーザは、例えてみれば、パワーの異なる2つのレンズを持つ眼鏡を交互に掛ける(或いは、1つの眼鏡を掛けたり外したりする。)のと同じ状態となる。』と記載したが、全体として累進焦点レンズとなるレンズを備える眼鏡の場合には、ユーザはパワーの異なる無数のレンズを絶えず掛け変えるが如き状態となる。
全体として累進焦点レンズとなるレンズを備える眼鏡の場合、前記レンズの上範囲又は下範囲のいずれかの部分の度数を、そのユーザにとって相応しい度数とすることができる。こうすることにより、ユーザがその眼鏡を普段使いできるようになる。
レンズのどの部分を、そのユーザにとって相応しい度数とするかの選択は適宜行なえばよいが、例えば、前記レンズのうち、正面を見たユーザの視線と交わる部分の度数を、そのユーザにとって相応しい度数とすることができる。そうすれば、その眼鏡をユーザが普段使いし易くなると考えられる。例えば、眼鏡のレンズを上下させる機構を作動させないようにした場合には、その眼鏡は、普通の眼鏡とかなり近い使い方が可能となる。
【0009】
レンズの上範囲と下範囲の度数がいずれも一様である場合、その少なくとも一方が一様である場合のすべての場合で共通するが、本願の眼鏡のレンズは、前記レンズのうち、最も度数が大きい部分の度数と、最も度数が小さい部分の度数の差が、0.3D〜4.0Dの範囲となっているようにすることができる。この差が小さいと毛様体の運動が余り行われなくなり、この差が大きすぎるとユーザの眼に疲労が生じたり、レンズの度数の変化に眼が追いつかず、場合によっては物を見ること自体が難しくなるようなことが生じるからである。レンズのうち、最も度数が大きい部分の度数と、最も度数が小さい部分の度数の差は、ユーザの眼がレンズの度の変化に追従できる程度の範囲とするのが好ましいので、そのユーザの眼が有する焦点を調整する能力の1/6〜1/3程度とするのが良い。この差は、0.3D〜1.0Dとすれば汎用的であり、0.4D〜0.6D程度とするのが最も汎用的であると考えられる。
【0010】
本発明の眼鏡は、前記眼鏡を身に着けているユーザの鼻梁に当接するノーズパッドを備えていてもよい。その場合、前記位置調整手段は、前記本体部と、前記ノーズパッドとを接続するようにされ、且つ前記本体部と、前記ノーズパッドとの距離を変化させられるように構成されていてもよい。この場合、ノーズパッドと本体部との距離を変化させることにより、眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、レンズの上範囲と下範囲が交互に位置するようにすることが実現されるが、それに必要なのは直線の動作を実現するリニアアクチュエータのみで足りるため製造が比較的容易である。
より具体的には、前記ノーズパッドが、前記ノーズパッドから上方に延びる棒状体である棒体を備えているとともに、前記本体部が前記棒体の上部を支持するノーズパッド支持部を備えているものとすることができ、その場合、前記棒体と前記ノーズパッド支持部によりリニアアクチュエータが構成され、前記ノーズパッド支持部に対する前記棒体のその長さ方向での移動、及び位置決めを行なうことによって、前記本体部と前記ノーズパッドとの距離の変化が実現されるようにすることができる。
本発明の眼鏡は、2つのテンプルを備えている場合がある。この場合、前記位置調整手段は、前記眼鏡を身に着けているユーザの耳に係止されるものであり、且つ当該耳側のテンプルの角度を当該テンプルを含む鉛直平面内で変化させる手段を備えたものとして構成されていてもよい。この場合、テンプルの角度を変化させることにより、眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、レンズの上範囲と下範囲が交互に位置するようにすることが実現されるが、テンプルの回転運動を実現するための機構も製造は比較的容易である。
【0011】
本願発明者は、既存の眼鏡を以上のような眼鏡にするための眼鏡の上下位置調整器具を提案する。
本願発明者が提案する眼鏡の上下位置調整器具は、その上部の所定の範囲である上範囲のパワーと、その下部の所定の範囲である下範囲のパワーが異なる、互いの相対的な位置が固定された左右両眼用のレンズを含む本体部を備えた眼鏡と組合わせて用いられる。眼鏡の上下位置調整器具は、前記本体部の位置を時間の経過に応じて上下させることにより、当該眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、前記レンズの前記上範囲と前記下範囲が交互に位置するようにするためのものであり、前記ユーザの鼻梁に当接するノーズパッドと、前記ノーズパッドに取り付けられているとともに、前記眼鏡の前記本体部をその支持部位で支持するノーズパッド支持体と、を備えており、前記ノーズパッド支持体は、時間の経過に応じて上下するようになっており、それにより、前記本体部と、前記ノーズパッドとの距離を変化させて、前記眼鏡の前記本体部の位置が上下するようにされている。
或いは、本願発明者が提案する眼鏡の上下位置調整器具は、その上部の所定の範囲である上範囲のパワーと、その下部の所定の範囲である下範囲のパワーが異なる、互いの相対的な位置が固定された左右両眼用のレンズを含む本体部と、2つのテンプルとを備えた眼鏡と組合わせて用いられる。この場合の、眼鏡の上下位置調整器具は、前記本体部の位置を時間の経過に応じて上下させることにより、当該眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、前記レンズの前記上範囲と前記下範囲が交互に位置するようにするための眼鏡の上下位置調整器具であり、前記ユーザの耳に係止できる形状とされた本体と、前記本体がユーザの耳に係止された状態でユーザが身に着けた前記眼鏡の前記本体が係止された側のテンプルを支持するテンプル支持体と、前記テンプル支持体を上下させることで、当該テンプル支持体で支持されたテンプルの角度を当該テンプルを含む鉛直平面内で変化させる手段と、を備えており、前記テンプル支持体は、時間の経過に応じて上下するようになっており、それにより、前記眼鏡の前記本体部の位置が上下するようにされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい第1及び第2実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。両実施形態の説明では共通する対象には共通する符号を用い、重複する説明は場合により省略するものとする。
【0013】
≪第1実施形態≫
図1に、第1実施形態による眼鏡1を背面方向(眼鏡1の使用時にユーザの顔に対向する方向)から見た斜視図を示す。
この実施形態の眼鏡1は、必ずしもこの限りではないが、フレーム110を有する。フレーム110は、右眼用のフレーム110Rと左眼用のフレーム110Lの2つである。フレーム110の内側にはレンズ120が嵌っている。
レンズ120は、右眼用のレンズ120Rと左眼用のレンズ120Lの2つである。レンズ120はともに、その上部の所定の範囲である上範囲と、その下部の所定の範囲である下範囲とに分割されている。この実施形態では、レンズ120に示した破線より上の部分が上範囲、下の部分が下範囲である。レンズ120の上範囲と下範囲では、パワーが異なるものとされている。
この実施形態のレンズ120の上範囲と下範囲は、上範囲のパワーと下範囲のパワーが、いずれも正、いずれも負、正負を跨ぐ、一方が正又は負で他方が0、のどの組合わせとなっていても構わない。
レンズは、上範囲の度数と、下範囲の度数の双方がその全体において一様であっても構わないし、上範囲の度数と、下範囲の度数の少なくとも一方が一様でなくても構わない。
この実施形態のレンズ120では、上範囲の度数と下範囲の度数はともに一様である。この実施形態のレンズ120の上範囲の度数と下範囲の度数の差は、0.3D〜4.0Dとなっている。この差は、汎用的には、0.3D〜1.0Dであり、最も汎用的だと考えられるのは、0.4D〜0.6Dである。この差は、眼鏡1を掛けることが予想されたユーザの眼が有する焦点を調整する能力(眼鏡1を掛けることが予想されたユーザの眼が有する焦点を調整する能力と予想される一般的な数値、でもよい。)の1/6〜1/3程度を基準として決定された。
この実施形態では、レンズ120の上範囲の度数と下範囲の度数の差は0.5Dとされている。また、この実施形態のレンズ120は、上範囲と下範囲の一方の度数が、眼鏡1を使用することが予定されたユーザにとって相応しい度数とされている。なお、この度数は、右眼用のレンズ120Rと左眼用のレンズ120Lで異なっていてもよい。
より詳細には、この実施形態では、右眼用のレンズ120Rと左眼用のレンズ120Lの上範囲の度数をそれぞれ、そのユーザにとって相応しい度数とし、右眼用のレンズ120Rと左眼用のレンズ120Lの下範囲の度数を上範囲の度数から0.5Dだけ小さいものとしている。そのユーザにとって相応しい度数と対にする度数をそのユーザにとって相応しい度数よりも小さくするのは、そうすることによりユーザに遠方視を強制させられることになるからである。
例えば、眼鏡1を使用することが予定されたユーザが眼の視力の矯正を要しないのであれば、レンズ120の上範囲の度数を0.0D、下範囲の度数を−0.5Dとすることができる。眼鏡1を使用することが予定されたユーザが軽い近視の矯正を要するのであれば、レンズ120の上範囲の度数を−2.0D、下範囲の度数を−2.5Dとすることができる。眼鏡1を使用することが予定されたユーザが軽い遠視の矯正を要するのであれば、レンズ120の上範囲の度数を2.0D、下範囲の度数を1.5Dとすることができる。
【0014】
この実施形態におけるレンズ120は上述の通りのものであるが、以下のようなものに置き換えることができる。
この場合のレンズ120は、上範囲の度数と、下範囲の度数の双方が一様でない。レンズ120は、上範囲の度数と、下範囲の度数がともに、その上方から下方に向けて漸増又は漸減するようなものとされている。より詳細には、このレンズ120は、上範囲の度数、下範囲の度数がともに、上方から下方に向けて漸減するようになっている。更に、このレンズでは、レンズ120の上範囲の下端とレンズ120の下範囲の上端の度数が略一致するようなものとされているので、全体として、その上方から下方に向けて度数が漸減する累進焦点レンズとなっている。
このレンズ120は、その一部の度数が、そのユーザにとって相応しい度数となっている。この実施形態のレンズ120では、必ずしもこの限りではないが、レンズ120の上下方向の中央部分の度数が、眼鏡1を使用することが予定されたユーザにとって相応しい度数となっている。この実施形態のレンズ120の度数は、その上端の部分で一番大きく、その下端の部分で一番小さい。この実施形態のレンズ120の上端の部分での度数と下端の部分での度数の差は、汎用的には、0.3D〜1.0Dであり、最も汎用的だと考えられるのは、0.4D〜0.6Dである。この差は、上述の場合と同様、眼鏡1を掛けることが予想されたユーザの眼が有する焦点を調整する能力の1/6〜1/3程度を基準として決定された。
このレンズ120は、例えば、眼鏡1を使用することが予定されたユーザが眼の視力の矯正を要しないのであれば、レンズ120の上端の部分の度数を0.25D、下端の部分の度数を−0.25Dとし、以下も同様であるが、度数が上端から下端に向けて滑らかに漸減するようなものとすることができる。眼鏡1を使用することが予定されたユーザが軽い近視の矯正を要するのであれば、レンズ120の上端の部分の度数を−2.0D、下端の部分の度数を−2.5Dとすることができる。眼鏡1を使用することが予定されたユーザが軽い遠視の矯正を要するのであれば、レンズ120の上端の部分の度数を2.0D、下端の部分の度数を1.5Dとすることができる。
【0015】
フレーム110Rとフレーム110Lは、ブリッジ130で互いに接続されている。なお、この実施形態の眼鏡1は、フレーム110Rとフレーム110Lの外側の側部に、通常の眼鏡1が備えるのと同様の2本のテンプルを備えているが、その図示は省略する。
【0016】
ブリッジ130には、この実施形態ではリング状に形成された係止リング140が取付けられている。この係止リング140は、その内面で、後述する軸棒を係止できるようにされている。係止リング140は、また、それに接続された図示を省略の振動子が生じる超音波によって、軸棒を上下方向に移動させることが可能になっている。係止リング140のこのような構造により、軸棒は、その長さ方向における適宜の位置で位置決めされた上で係止リング140に係止されるようになっている。
ブリッジ130には、また、制御部150が取付けられている。制御部150は、係止リング140に対する軸棒の上下位置の位置決めについての制御を行なうものである。必ずしもこの限りではないが、この実施形態における制御部150は、いずれも図示を省略のCPU、ROM、RAM、インタフェイスを収納している。これらは汎用なもので良いので、詳細な説明は割愛するが、CPUがROMに記録されたプログラムを実行して生じた信号をインタフェイスを介して上述した振動子に送ることにより、振動子は必要に応じた周波数で振動し、それにより軸棒が上方向又は下方向に移動し、或いは適宜な場所に位置決めされた状態で係止リング140に係止されることになる。なお、RAMは、CPUがプログラムを実行するときの作業領域として利用される。
【0017】
軸棒160は、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、樹脂製で断面円形の棒状体である。軸棒160の直径は、係止リング140の内径よりも若干細い程度とされている。
軸棒160の下端にはノーズパッド170が設けられている。ノーズパッド170は、公知のものでよい。ノーズパッド170は、細い棒状の支持棒171を介して、軸棒160の下端に接続されている。
【0018】
次に、第1実施形態の眼鏡1の使用方法について説明する。
この眼鏡1を使用するユーザは、例えば日常生活の中でこの眼鏡1を掛ける。
すると、制御部150のCPUが、上述のプログラムを実行する。それにより、振動子は必要に応じた周波数で振動し、それにより軸棒160が上方向又は下方向に移動する。つまり、この実施形態では、係止リング140、制御部150、軸棒160によって超音波型リニアアクチュエータを構成することにより、軸棒160の上下動を実現している。
軸棒160は、その上方が係止リング140に係止される上位置と、上位置よりも下方が係止リング140に係止される下位置の2つの位置を往復する。軸棒160のこの往復は、継続的にゆっくり(例えば、下位置から上位置、上位置から下位置への移動を数分(1〜5分程度)かけるようにして)行なわれてもよいが、上位置と下位置にそれぞれ暫く(例えば、数分)止まり、上位置から下位置への移動を1秒等の短時間で行う断続的なものであっても構わない。いずれにしても、軸棒160の往復の運動は、CPUが実行するプログラムにより決定されることになる。なお、眼鏡1のレンズ120として、上述したような累進焦点レンズを採用するのであれば、軸棒160の往復は、継続的にゆっくり行なうのがよい。
軸棒160が上位置にあるとき、ノーズパッド170から係止リング140又は眼鏡1のブリッジ130までの距離は最長となる。したがって、ユーザが掛けている眼鏡1は、やや上方に競り上がった状態となり、ユーザが正面を見た場合における視線上にレンズ120の下範囲が位置することになる。他方、軸棒160が下位置にあるとき、ノーズパッド170から係止リング140又は眼鏡1のブリッジ130までの距離は最短となる。したがって、ユーザが掛けている眼鏡1は、やや下方にずり下がった状態となり、ユーザが正面を見た場合における視線上にレンズ120の上範囲が位置することになる。
このようなレンズ120の上下運動により、ユーザは、レンズ120の上範囲を通して外界を見る状態と、レンズ120の下範囲を通して外界を見る状態を交互に繰り返させられることになる。
【0019】
<変形例1>
以上の実施形態では、眼鏡1のレンズ120の上下動を実現するにあたって、係止リング140、制御部150、軸棒160によって形成の超音波型リニアアクチュエータを用いた。
もっとも、リニアアクチュエータとしては、他にも様々な構成が知られている。例えば、リニアアクチュエータとしては、圧電リニアアクチュエータ、回転運動を直線運動に変えるウォームギアを用いたリニアアクチュエータ、これも回転運動を直線運動に変えるカムを用いたリニアアクチュエータ等が公知である。これらを用いて眼鏡1のレンズ120の上限動を実現できることは当業者にとって容易に理解できるであろう。なお、超音波型リニアアクチュエータを、上述の公知のリニアアクチュエータに置換した場合には、係止リング140と軸棒160の構成を適宜変更する必要がある。例えば、レンズ120に対して平行な面内で回転するカムを用いる場合であれば、カムをその回転軸が眼鏡1のレンズ120に対する相対的な位置が不変なようにして取付ける(例えば、ブリッジ130、フレーム110等に取付ける)とともに、そのカムの回転運動によって生じる左右方向と上下方向の運動のうち左右方向の運動を殺すためのガイドを設け、そのガイドによって案内され上下動を行なう移動体にノーズパッド170を取付ければよい。或いは、ウォームギアを用いたリニアアクチュエータを採用するのであれば、係止リング140を、眼鏡1のレンズ120に対する相対的な位置を固定された(例えば、ブリッジ130、フレーム110等に取付けられた)ウォームホイールに、軸棒160をウォームホイールにそれぞれ置換するとともに、軸棒160の回転によらずノーズパッド170の向きを一定に保つための機構を設ければよい。
【0020】
<変形例2>
変形例2では、レンズの上下動を行なわない一般的な眼鏡を、レンズの120上下動を行なう第1実施形態の眼鏡1として機能させるためのアタッチメント1Aについて説明する。
このアタッチメント1Aは、大雑把にいえば、第1実施形態の眼鏡1から、通常の眼鏡が備える部材、つまり、フレーム110、レンズ120、ブリッジ130及び図示を省略のテンプルを除いたものとされている。そして、このアタッチメント1Aは、図2に示したような、フレーム110、レンズ120、ブリッジ130及び図示を省略のテンプルを有する既存眼鏡103(例えば、汎用されている普通の眼鏡)と組合わせて用いられるものであり、そのような既存眼鏡103を第1実施形態の眼鏡1として機能させる。それが可能なように、既存眼鏡103が備えるレンズ120は、第1実施形態における眼鏡1が備えていたレンズ120と同様のものとされている。
【0021】
変形例2におけるアタッチメント1Aは、係止リング140と、制御部150と、軸棒160と、ノーズパッド170と、支持棒171とを備えている。これらはいずれも、第1実施形態における眼鏡1が備えていたものと変わりない。係止リング140と制御部150は、互いに固定されている。
このアタッチメント1Aは、接続部180を備えている。接続部180は、アタッチメント1Aの係止リング140及び制御部150を、既存眼鏡103に対して固定的に接続するためのものである。この実施形態では、接続部180は、その下端で既存眼鏡103のブリッジ130を挟持するクリップである。
【0022】
このアタッチメント1Aの使用方法を説明する。
アタッチメント1Aは使用時においてそのクリップ180を用いて既存眼鏡103に接続される。かかる接続は、具体的には、2つのクリップ180の下端でブリッジ130の両端を上側から挟持することにより行う。この状態で、アタッチメント1Aの係止リング140及び制御部150は、既存眼鏡103に対する相対的な位置を固定されることになる。
ユーザは、アタッチメント1Aが取付けられた既存眼鏡103を掛ける。すると、第1実施形態の場合と同様に、制御部150のCPUが、ROMに記録されていたプログラムを実行し、それにより軸棒160が上方向又は下方向に移動する。それに伴って生じるレンズ120の上下運動により、ユーザは、レンズ120の上範囲を通して外界を見る状態と、レンズ120の下範囲を通して外界を見る状態を交互に繰り返させられることになる。
【0023】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、レンズの上下動を行なわない一般的な既存眼鏡を、レンズの上下動を行なう眼鏡にするためのアタッチメントである。
この実施形態のアタッチメント2Aは、右耳用と左耳用の2つを対にして用いるが、両者は必ずしもこの限りではないが同じ構成であるため、この実施形態では右耳用のアタッチメント2Aの構成を説明することとする。
アタッチメント2Aは、図3、図4に示したようなものとされている。図3は、右耳用のアタッチメント2Aの斜視図、図4は同透視側面図である。
【0024】
アタッチメント2Aは、係止ケース210を備えている。係止ケース210は、ユーザの耳に係止できる形状とされている。係止ケース210の形状としては近年普及している耳掛けタイプのイヤフォンの形状が参考になろう。
この実施形態の係止ケース210は、樹脂製であり、断面矩形で中空のU字型形状とされている。係止ケース210の図3の奥行き方向の厚さは、係止ケース210を耳に掛けることができるようにするため、7、8mm程度とされている。
係止ケース210の使用時における前側(図3における右側)には、前スリット211が設けられている。前スリット211には、そこから既存眼鏡のテンプルTを挿入することができるような幅が与えられている。係止ケース210の使用時における後側には、後スリット211が設けられている。後スリット212には、前スリット211から挿入した既存眼鏡のテンプルTをそこから露出させることができるような幅が与えられている。前スリット212と後スリット212には、前スリット211から挿入し後スリット212から露出させることで係止ケース210を貫通した状態となっている既存眼鏡のテンプルTが後述するような回転運動を行えるよう、上下方向に一定の長さが与えられている。
【0025】
係止ケース210の内部には、制御部220が設けられている。制御部220は、後述するカムの回転、及び位置決めについての制御を行なうものである。必ずしもこの限りではないが、この実施形態における制御部220は、第1実施形態の場合と同様CPU、ROM、RAM、インタフェイスを収納している。
係止ケース210の内部には、断面楕円形状のカム230が配されている。カム230は、軸231を中心として回転運動を行えるようになっている。カム230は、図示を省略のモータによって回転を行なうようにされている。上述した制御部220は、モータを制御することによってカム230の回転、及び位置決めを行うようになっている。もっとも、カム230を回転させるための動力は、モータに制限されるわけではない。カム230は、図4の実線で示された位置から、図4の二点鎖線で示された位置の間で回転するようになっている。図4の実線で示された位置にカム230があるときには、係止ケース210を貫通した状態となっている既存眼鏡のテンプルTは略水平の角度になるようにされており、図4の二点鎖線で示された位置にカム230があるときには、既存眼鏡のテンプルTはやや前上がりの角度になるようにされている。
【0026】
次に、このアタッチメント2Aの使用方法について説明する。
アタッチメント2Aを使用するには、既存眼鏡の右側のテンプルTを右耳用のアタッチメント2Aの係止ケース210の前スリット211から挿入するとともに、後スリット212から露出させることで、係止ケース210を貫通した状態とする。左耳用のアタッチメント2Aも同様とする。なお、このアタッチメント2Aと組合わせて使用する既存眼鏡は、基本的には汎用の眼鏡で構わないが、そのレンズは、第1実施形態の場合と同様に、上範囲と下範囲でパワーが異なるものとされている。
そして、その状態でユーザは、アタッチメント2Aごと既存眼鏡をかける。U字型の形状をしたアタッチメント2Aの凹部が耳の付根の部分の上側の面に当接することになる。
この状態で、ユーザは、既存眼鏡のレンズを通して外界を見る。すると、第1実施形態の場合と同様に、制御部220のCPUが、ROMに記録されていたプログラムを実行し、それによりモータが駆動する。この実施形態では、左右のモータは同期して駆動するようになっている。モータが駆動するのにしたがって、カム230が回転し、カム230に下側から支持される既存眼鏡のテンプルTは、図4の実線で示された位置から、図4の二点鎖線で示された位置の間を往復する。この実施形態では、テンプルTは、図4の実線で示された位置と二点鎖線で示された位置にそれぞれ3分間止まり、その一方の位置から他方の位置にそれより短い時間、例えば3秒程度で移動する。もっとも、テンプルTの移動の仕方はこの限りではなく、例えば、単振動のような間断のない移動をテンプルTが行なうようになっていてもよい。
図4の実線で示された略水平の角度にテンプルTが位置しているときは、ユーザが正面を見た場合の視界上にレンズの上範囲が位置し、図4の二点鎖線で示されたやや前上がりの角度にテンプルTが位置しているときは、ユーザが正面を見た場合の視界上にレンズの下範囲が位置することになる。それにより、ユーザは、レンズの上範囲を通して外界を見る状態と、レンズの下範囲を通して外界を見る状態を交互に繰り返させられることになる。
【0027】
<変形例3>
第2実施形態のアタッチメント2Aは、既存眼鏡と別体であり、使用時には既存眼鏡と組合わせて用いられるものとされていた。
もっとも既存眼鏡とアタッチメント2Aは必ずしも別体とする必要はなく、一体とされていてもよい。そのようなアタッチメント2A付きの眼鏡は、第1実施形態の眼鏡1と同様に、それ単体で、ユーザに、レンズの上範囲を通して外界を見る状態と、レンズの下範囲を通して外界を見る状態を強制的に繰り返させられるものとなる。
【0028】
<変形例4>
第2実施形態のアタッチメント2Aでは、楕円形のカム230の回転によってテンプルTの角度を変化させていた。
しかしながら、テンプルTの角度を変化させるための機構はこれに限らない。例えば、三叉状の棒状体の上側の又の部分にテンプルTを載せるとともに、その棒状体を上下させればテンプルTの角度を変えることができる。テンプルTの角度を変化させるための機構は、適当に選択すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態による眼鏡の斜視図。
【図2】変形例2によるアタッチメントの斜視図。
【図3】本発明の第2実施形態によるアタッチメントの斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態によるアタッチメントの透視側面図。
【符号の説明】
【0030】
1 眼鏡
1A アタッチメント
2A アタッチメント
110 フレーム
120 レンズ
130 ブリッジ
140 係止リング
150 制御部
160 軸棒
170 ノーズパッド
210 係止ケース
211 前スリット
212 後スリット
220 制御部
230 カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの相対的な位置が固定された左右両眼用のレンズを含む本体部を備えた眼鏡であって、
前記レンズは、その上部の所定の範囲である上範囲のパワーと、その下部の所定の範囲である下範囲のパワーが異なるものとされているとともに、
前記本体部の位置を時間の経過に応じて上下させることにより、当該眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、前記レンズの前記上範囲と前記下範囲が交互に位置するようにするための位置調整手段、を備えている、
眼鏡。
【請求項2】
前記レンズは、前記上範囲のパワーと、前記下範囲のパワーがともに一様であり、且つともに0ではない、
請求項1記載の眼鏡。
【請求項3】
前記レンズは、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数がともに一様であり、且つその一方が、そのユーザにとって相応しい度数であり、その他方が、そのユーザにとって相応しい度数から0.3D〜4.0Dだけ正負いずれかの方向にずらしたものとされている、
請求項1記載の眼鏡。
【請求項4】
前記レンズは、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数の少なくとも一方が一様でない、
請求項1記載の眼鏡。
【請求項5】
前記レンズは、前記上範囲の度数と、前記下範囲の度数がともに、
その上方から下方に向けて漸増又は漸減することにより、その全体として累進焦点レンズとなるようにされている、
請求項4記載の眼鏡。
【請求項6】
前記レンズの上範囲又は下範囲のいずれかの部分の度数が、そのユーザにとって相応しい度数とされている、
請求項5記載の眼鏡。
【請求項7】
前記レンズのうち、正面を見たユーザの視線と交わる部分の度数が、そのユーザにとって相応しい度数とされている、
請求項6記載の眼鏡。
【請求項8】
前記レンズのうち、最も度数が大きい部分の度数と、最も度数が小さい部分の度数の差が、0.3D〜4.0Dの範囲とされている、
請求項1、2、4〜7のいずれかに記載の眼鏡。
【請求項9】
前記眼鏡を身に着けているユーザの鼻梁に当接するノーズパッドを備えており、
前記位置調整手段は、前記本体部と、前記ノーズパッドとを接続するようにされ、且つ前記本体部と、前記ノーズパッドとの距離を変化させられるように構成されている、
請求項1〜4、8のいずれかに記載の眼鏡。
【請求項10】
前記ノーズパッドが、前記ノーズパッドから上方に延びる棒状体である棒体を備えているとともに、前記本体部が前記棒体の上部を支持するノーズパッド支持部を備えており、
前記棒体と前記ノーズパッド支持部によりリニアアクチュエータが構成され、前記ノーズパッド支持部に対する前記棒体のその長さ方向での移動、及び位置決めを行なうことによって、前記本体部と前記ノーズパッドとの距離の変化が実現されるようになっている、
請求項9記載の眼鏡。
【請求項11】
2つのテンプルを備えているとともに、
前記位置調整手段は、前記眼鏡を身に着けているユーザの耳に係止されるものであり、且つ当該耳側のテンプルの角度を当該テンプルを含む鉛直平面内で変化させる手段を備えたものとして構成されている、
請求項1〜4、8のいずれかに記載の眼鏡。
【請求項12】
その上部の所定の範囲である上範囲のパワーと、その下部の所定の範囲である下範囲のパワーが異なる、互いの相対的な位置が固定された左右両眼用のレンズを含む本体部を備えた眼鏡と組合わせて用いるものであり、前記本体部の位置を時間の経過に応じて上下させることにより、当該眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、前記レンズの前記上範囲と前記下範囲が交互に位置するようにするための眼鏡の上下位置調整器具であり、
前記ユーザの鼻梁に当接するノーズパッドと、
前記ノーズパッドに取り付けられているとともに、前記眼鏡の前記本体部をその支持部位で支持するノーズパッド支持体と、
を備えており、
前記ノーズパッド支持体は、時間の経過に応じて上下するようになっており、それにより、前記本体部と、前記ノーズパッドとの距離を変化させて、前記眼鏡の前記本体部の位置が上下するようにされている、
眼鏡の上下位置調整器具。
【請求項13】
その上部の所定の範囲である上範囲のパワーと、その下部の所定の範囲である下範囲のパワーが異なる、互いの相対的な位置が固定された左右両眼用のレンズを含む本体部と、2つのテンプルとを備えた眼鏡と組合わせて用いるものであり、前記本体部の位置を時間の経過に応じて上下させることにより、当該眼鏡を身に着けたユーザが正面を見た場合における視線上に、前記レンズの前記上範囲と前記下範囲が交互に位置するようにするための眼鏡の上下位置調整器具であり、
前記ユーザの耳に係止できる形状とされた本体と、
前記本体がユーザの耳に係止された状態でユーザが身に着けた前記眼鏡の前記本体が係止された側のテンプルを支持するテンプル支持体と、
前記テンプル支持体を上下させることで、当該テンプル支持体で支持されたテンプルの角度を当該テンプルを含む鉛直平面内で変化させる手段と、
を備えており、
前記テンプル支持体は、時間の経過に応じて上下するようになっており、それにより、前記眼鏡の前記本体部の位置が上下するようにされている、
眼鏡の上下位置調整器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−139892(P2010−139892A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317726(P2008−317726)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(300053553)スカラ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】