説明

短い配向且つクロス掛け繊維で補強されたタイヤトレッド

本発明は、道路と接触関係をなすよう設計されている走行トレッド(10)を備えたタイヤトレッド(1)であって、走行トレッドは、全体として周方向の向きの少なくとも2本のクラウン(21)を画定する隆起要素(31,32)によって形成されたパターンを有し、トレッドは、複数個のゴム層(C1,C2)の積み重ね体から成る複合材料を含み、各層は、互いに平行であり且つ単一方向に配向された複数本の短い補強繊維を含み、短い補強繊維(f)は、1つのゴム層(C1)とこれに隣接したゴム層(C2)との間でクロス掛け関係にあることを特徴とするトレッドに関する。本発明は又、係るトレッドを備えたタイヤに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の要旨は、重量物運搬車両に装着されるよう設計されたタイヤ用のトレッドの改良にあり、本発明は、特に、これらトレッドのパターンに関する。
【0002】
本発明は、特にラジアルカーカスを備えていて、重量物運搬車両の操舵アクスル向きのタイヤに用いられるようになっているが、これらには限定されない。しかしながら、本発明は、重量物運搬車両の非操舵アクスル及びオフロード車、例えば農業(森林)機械又は建設機械にも利用できる。
【0003】
かかるタイヤは、通常、カーカス補強材を有し、このカーカス補強材の半径方向外側にはクラウンベルトが載っており、このクラウンベルトそれ自体、トレッドで覆われている。このトレッドは、本質的に全体として周方向の向きの溝により画定された全体として周方向の向きのリブ若しくは周方向溝及び横方向溝により画定されたブロック又はブロックとリブの組み合わせによって形成されたパターンを備えている。トレッドは、軸方向が縁部リブによって画定されている。
【背景技術】
【0004】
周方向の向きのリブ及び溝を備えた局所セクタ(短い距離及び中程度の距離にわたって局所道路上を走行する)向きのタイヤの場合、走行条件及び使用条件に応じた縁部又は縁部リブの引き裂きに対する過敏性に注目することが可能である。かかる条件は、特に大きな応力を受けた際、例えば物品配送中に縁石に乗り上げ又はこれを下る際或いは縁石若しくは障害物又は道路上又は路面上に存在する異物に当たって衝撃を受けた際に生じる。引き裂きに対するこの過敏性は、1つには、縁部リブを形成するガムの性状に依存し、この過敏性は、用いられているガムが天然ゴムとトレッドの摩耗の減少に有益な1種類又は2種類以上の合成ゴムの混合物である場合に顕著である場合が多い。
【0005】
上述したような裂けが生じるのを阻止すると共にかかる応力によって引き起こされる剪断を制限するため、種々の解決手段が提案されたが、かかる解決手段は、通常、縁部リブの幅を増大させることにより縁部リブのアスペクト比、即ち、このリブの高さ/幅比を減少させることを目的としている。かかる幾何学的変更は、トレッドのパターン全体を再構成しなければならないという欠点を持っている。
【0006】
例えば縁石に乗り上げ若しくはこれを下る際又は縁石若しくは道路上又は踏み面上に存在する他の物体に当たった際の衝撃を受けた際の大きな応力に起因して生じる場合のある縁部リブのガムの裂け又は全体として周方向の向きの溝の凹部の底部のところの損傷を防止し又は少なくとも遅らせたり大幅に制限したりすることができるようにすることによりトレッドの幾何学的形状を変えないで提起された技術的課題を解決することを提案する。
【0007】
トレッドのパターンを変えないで技術的課題を解決するため、本発明は、タイヤケーシングの半径方向に対して実質的に±45°に配向された短い繊維でガムを補強し、かくしてガムを層状複合材料に変換することによりタイヤトレッドを形成するエラストマー材料の剪断弾性率を少なくとも3倍にすることを提案する。
【0008】
種々の種類の短い繊維をタイヤトレッド向きのゴムコンパウンド中に追加することは、周知である。米国特許第1746948号明細書は、ゴムコアに巻き付けられた長いテキスタイル繊維を含むエラストマープライを有するクロス掛けカーカスを備えたタイヤトレッドを記載しており、これら長い繊維は、道路に対するグリップ箇所を形成し、かくして濡れた又は滑りやすい路面上におけるタイヤの滑りを阻止し又は妨げるためにトレッドの表面に対して傾けられると共に踏み面と面一をなしている。
【0009】
米国特許第3057389号明細書は、全体として長さ方向の向きの溝及び周方向の連続した隆起要素を有するクロス掛けカーカスを備えた乗用車用タイヤトレッド又は航空機用タイヤトレッドを記載しており、トレッド全体を形成するガムは、拘束状態においてタイヤを破壊する傾向のある遠心力に対するタイヤの耐性を高めるために互いに平行な短いテキスタイル繊維で補強されたゴムプライのスタックから成っている。互いに平行に配向された短い繊維は、踏み面に対して接線方向の平面に平行な平面内に且つ方向OX(OXは、周方向である)に配置される場合があり又は踏み面に対して接線方向の平面に平行な平面内に且つ方向OY(OYは、回転軸線の方向である)にクロス掛けされる場合があり、或いは、互いに平行に配向されると共に踏み面に対して接線方向の平面に平行な平面内に且つ方向OXに配置された短い繊維は、踏み面に対して接線方向の平面に平行な平面内で且つ方向OYに配置されると共に周方向に配向された短い繊維を含むプライの上又は下に配置された短いクロス掛け繊維の2枚のプライ相互間に含まれる場合がある。
【0010】
国際公開第2008/027045(A1)号パンフレットは、全体として長さ方向の向きの溝及び周方向の連続した隆起要素を有する乗用車用タイヤ及び重量物運搬車両用タイヤのためのトレッドを記載し、この国際公開は、連続した周方向リブを形成するガムについて、互いに平行であり且つ方向OXに周方向に配向されるか平面YOZ(即ち、回転軸線の方向に平行な方向及び方向OZにおける隆起要素の厚さに従って配向された回転軸線に垂直な方向を含むトレッドの踏み面に垂直な平面)内で配向されるかのいずれかであり、或いは、方向OYに横方向に配向され若しくは平面XOZ内で実質的に+45°又は−45°に配向され若しくは平面XOY内で45°をなして配向された短いガラス超極細繊維で補強されているゴムのプライ又は薄い層の使用により、特性の良好な妥協点、即ち、不都合なく剛性を増大させるという妥協点又はヒステリシス特性及び伸縮性を向上させると共に耐摩耗性を向上させるという妥協点を見いだすことが可能であるということを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第1746948号明細書
【特許文献2】米国特許第3057389号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/027045(A1)号パンフレット
【発明の概要】
【0012】
本発明の要旨は、道路と接触関係をなすよう設計されている踏み面を備えたタイヤトレッドであって、トレッドは、全体として周方向の向きの少なくとも2本の溝を画定する隆起要素によって形成されたパターンを有し、トレッドは、少なくとも部分的に、複数個の薄いゴム層から成る複合材料で形成され、薄いゴム層の各々は、ゴム層中で互いに平行であり且つゴム層の平面内において一方向に同一角度をなして配向された短い補強繊維を含む形式のトレッドにある。このトレッドは、短い補強繊維が1つのゴム層と次のゴム層との間でクロス掛け関係にあるよう薄いゴム層が互いに積み重ねられていることを特徴としている。
【0013】
かくして、短い補強繊維は、ゴム層の平面内において半径方向に対し絶対値で10°から80°の範囲の角度をなして周方向において1つの層からその隣りの層まで交互に対称に配向される。本発明の有利な実施形態によれば、短い繊維は、ゴム層の平面内で半径方向に対して絶対値で30°から60°の範囲にある角度をなして配向される。一変形実施形態では、短い補強繊維の向きは、クロス掛け平面内において様々であって良く、又、対称でなくても良い。同様に、クロス掛け角度の変化が周方向(周方向に対して接線方向)に設けられても良い。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、短い補強繊維は、トレッドの幅全体にわたって実質的に+45°及び−45°の角度をなして周方向に1つの層からその隣りの層まで交互に配向されている。角度の値について「実質的に」という用語は、この角度の値から絶対値でせいぜい3°異なる場合のある角度を意味するものと理解されるべきである。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、短い繊維によって補強された薄い層は各々、半径方向(踏み面に垂直な方向)に対してせいぜい45°に等しい角度だけ傾けられている。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、トレッドをその幅の一部について、好ましくはタイヤの軸方向縁の近くに位置する側方部分について部分的にしか補強しないということが可能である。
【0017】
本発明に従って使用できる短い補強繊維に関し、当業者に知られていると共に市販されている天然若しくは合成有機繊維又は無機繊維、例えば、綿、レーヨン、セルロース、芳香族ポリアミドで作られた繊維、例えばアラミドで作られた繊維、例えばデュポン・ド・ヌムール(Dupont de Nemours )社によって販売されているケブラー(Kevlar(登録商標))で作られた繊維、脂肪族ポリアミド、例えばナイロン46及び66、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリビニルアルコールで作られた繊維、炭素繊維及びガラス繊維が適している。本発明の好ましい実施形態によれば、短い補強繊維は、アラミドで作られる。短い金属細線も又適している場合がある。
【0018】
補強繊維は、10mm以下の長さ、有利には5μmから10mmの範囲、好ましくは3mmから8mmの範囲にある長さ、0.2μmから0.1μmの範囲にある平均直径を有するのが良く、これらの断面は、円形であっても良くそうでなくても良く、これら補強繊維は、中空であっても良くそうでなくても良い。配向状態の繊維の各層を形成するガム中の繊維含有量は、ゴムの重量を基準として0.1%から45%の範囲にあるのが良く、好ましくは、ゴムの重量を基準として0.5%から10%の範囲にある。
【0019】
本明細書の説明において、百分率(%)は全て、重量によって表された百分率である。さらに、「aとbとの間」(又は「a〜b」)という表現によって示される値域は、aよりも大きい値からbよりも小さい値までの範囲を表わし(即ち、端点a,bは排除される)、これに対し、「aからbまで」という表現によって示される間の値は、aからbまでの値の範囲であり、端点a,bを含む。
【0020】
本発明のトレッドを有するタイヤは、好ましくは、半径方向カーカス補強材を有し、これらタイヤは、特に、地域物品配送マーケットと関連した使用向きの重量物運搬車両の操舵アクスルに装着されるようになっている。これらタイヤは又、重量物運搬車両(トラクタやトレーラユニット)の非操舵アクスル又はオフロード車、例えば農業(森林)機械若しくは乗り越えられるべき多くの障害物若しくは異物が存在していてタイヤに大きな剪断力を及ぼす陸上で作動する場合が極めて多いオフロード車、例えば農業(森林)機械又は建設機械又は他の輸送若しくは取り扱い車両用に使用できる場合がある。
【0021】
選択された角度をなして一方向に配向された短い補強繊維を含むエラストマー層を調製するため、それ自体知られている任意の方法、特に、例えば国際公開第2008/027045号パンフレットに記載されている方法を用いることが可能である。かかるエラストマー層は、新品タイヤの製造向きのトレッドの製造又は使用済みタイヤの更生(リトレッド)に使用できる。
【0022】
本発明のもう1つの要旨は、上述の特徴を備えたタイヤトレッドを有するタイヤケーシングにある。
【0023】
本発明のトレッドを有するタイヤケーシングの有利な一実施形態では、シリンダ型ツールを用いたライナにより、短い補強繊維を含む未硬化エラストマースラブを製作し、次にこれらスラブを切断し、そして短い補強繊維が押し出し方向に配向されたエラストマーストリップを製作するためにマイクロノズルによってこれらスラブを押し出す。次に、並置され、そして交互に+(プラス)又は−(マイナス)45°に交互に配置された数個の、好ましくは4つの層を回転製造ドラム上に重ね合わせることによりトレッドを得、次に、このスタックを周方向に切断し、トレッドの隆起要素について選択された全体として周方向の向きの補強リブの個数(n)に対応した数の半完成品部分片を製作し、これら部分片をそれ自体タイヤ製造ドラム上に位置されている未硬化タイヤ上に並置して配置する。
【0024】
例えば縁石に乗り上がり又はこれを下っているときに受ける大きな応力に起因し又は縁石若しくは異物に当たって受けるタイヤ、特に半径方向カーカスを備えた重量物運搬車両用タイヤの衝撃に起因した裂けに対する耐性を性能的に向上させようとする場合、当業者であれば、上述した変形例を互いに容易に組み合わせることができる。
【0025】
本発明の他の特徴及び他の利点は、非限定的な例として本発明の幾つかの実施形態を示している添付の図面を参照して以下に行われる説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】各々が所与の角度又はこれと逆の角度をなして差し向けられた繊維を有する2つの薄い層を示す図である(このスタックは、次のように、即ち、層+及び層−として示されている)。
【図2】トレッドの全体が複数個の薄い層+及び薄い層−によって形成された本発明のタイヤトレッドのパターンの部分図である。
【図3】縁部分のみが薄い層で補強されている本発明のトレッドの平面図である。
【図4】ブロックが薄い層で形成されている本発明のトレッドの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図の理解を容易にするために、同一の構造的又は機能的要素を示すために同一の符号が用いられている。さらに、+の符号が正の角度に配向された短い繊維によって補強されている層に付けられ、−の符号が負の角度に配向された短い繊維により補強されている層に付けられている。
【0028】
図1には、ゴム状材料の2つの連続した層C1,C2が示されており、これらゴム状材料層は、各層中において層(+)と呼ばれる正の角度Aをなし又は層(−)と呼ばれる負の角度Bをなして配向された短い繊維fで補強されている。各層C1,C2中における短い繊維の配向により、当然のことながら、層の繊維fの全て又は事実上全ては、平均して、同一の平均角度A又はBで配向されており、この角度は、層の主方向に対して示されている(この方向は、トレッド内の定位置にいったん位置すると、半径方向に一致する)ことは理解されなければならない。かかる層を製作するために選択された製造方法によれば、或る特定の本数の短い補強繊維は、層中のこれら繊維の平均の向きとは異なる向きを有することが可能である。繊維の配向角度は、トレッド上において、半径方向、即ちトレッドを備えたタイヤの回転軸線に垂直な方向に一致した方向に対して取られている。
【0029】
図2は、本発明のタイヤの変形実施形態を示している。重量物運搬車両用のこのタイヤは、踏み面(トレッド表面)10を備えたトレッド1を有し、踏み面10は、トレッドに設けられた種々の隆起要素の半径方向外側に位置した表面によって形成されている。図示の場合、トレッドは、2本の周方向溝21を備え、これら溝21は、中間部リブ32及び2つの縁部リブ31を画定し、これらリブは、周方向に連続している。トレッドは、互いに重ね合わされた非常に多くの数の層C1,C2を構成する複合材料で形成され、各層は、角度Aに配向された短い補強繊維を有する層(層+)か角度Bに配向された短い繊維を有する層(層−)かのいずれかである。これら層は、各層の短い補強繊維がクロス掛けされると共に層のスタックが周方向(この図では矢印Tで示されている)に作られるよう互いに重ね合わされている。
【0030】
各層は、3mmに等しい長さ及び12μmに等しい直径を有する複数本の短いPET繊維が埋め込まれているゴム状材料から成る。各層の繊維密度は、重量で2%である。アラミド繊維についても試験した。図示の場合、短い繊維は全て、同一種類のものであると共に各層C1,C2中で絶対値で言って同一の向きのものである。このタイヤの溝は、新品状態では、短い補強繊維の平均長さよりも大きな深さを有している(一般に、重量物運搬車両用のタイヤ溝の深さは、少なくとも10mmに等しい)。
【0031】
図3は、本発明の変形例を示しており、この変形例によれば、タイヤは、中間部リブ32及び縁部リブ31を画定した3本の周方向溝を有している。縁部リブは、トレッドの縁部上に軸方向に位置し、これら縁部リブは、本発明によって特定された複合材料で形成されている。さらに、層(+)及び層(−)は、周方向(図2において矢印Tで示されている)に対して接線方向と角度Cをなすよう配置されている。図示の例では、この角度Cは、符号を別にすれば、両方の縁部上で同一であり、30°に等しい。この場合、トレッドは、短い繊維により補強された材料の層の配置状態によって一種の異方性を得る。図示の例では、縁部の列相互間の2つの中間部の列は、短い繊維によって補強されていない一様な材料で形成されている。この変形例により、重量物運搬車両用のタイヤが受ける場合のある攻撃に対して特にトレッドの縁部を補強することができる。
【0032】
当然のことながら、当業者であれば、例えば車両に取り付けられているタイヤの位置を考慮に入れて縁部の各々に関する角度を採用することができる(かくして、車両に対するタイヤの外縁部を考慮に入れることが可能であり、内縁部は、車両へのタイヤの取り付け時点で車両に向いたタイヤの縁部に一致する)。
【0033】
図4は、本発明のタイヤの別の変形例を示しており、そのトレッドは、周方向溝21及び横方向溝22によって画定された複数個のブロック4を有している。各ブロック4は、短い補強繊維で補強された層C1,C2の横方向における積み重ねにより得られる複合材料で形成され、これら層は、正の角度(+)に配向された短い繊維を有する層と負の角度(−)に配向された短い繊維を有する層を交互に配置するよう互いに積み重ねられている。
【0034】
図示していない変形例では、或る特定のブロックは、図3に示された方向と同一方向における積み重ねによって形成されても良く、他のブロックは、図4に示された方向における積み重ねに従って形成されている。
【0035】
本明細書において説明した実施例は、半径方向に互いに重ねて配置され、即ち、タイヤの回転軸線に垂直な方向に対して傾けられていない薄い層を示している。当然のことながら、本発明は、これら薄い層が例えば方向性効果を生じさせるために半径方向とゼロとは異なる僅かな傾斜角度を有する場合のある変形例を含む。
【0036】
本発明は、図示すると共に説明した実施例には限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、これら実施形態の種々の改造例を想到できる。本発明は、均等範囲として、バン型又はトレッドの縁部を攻撃する場合のある大きな応力に耐えなければならない乗用車型のタイヤの分野にも利用できる。選択された短い補強繊維の長さがトレッドの厚さに比例している場合、利用は均等範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路と接触関係をなすよう設計されている踏み面(10)を備えたタイヤトレッド(1)であって、前記トレッドは、全体として周方向の向きの少なくとも2本の溝(21)を画定する隆起要素によって形成されたパターンを有し、前記トレッドは、少なくとも部分的に、複数個の薄いゴム層から成る複合材料で形成され、前記薄いゴム層の各々は、互いに平行であり且つ前記トレッド中で一方向に、前記薄いゴム層中に含まれると共に前記踏み面に垂直な方向とゼロ度とは異なる角度(A,B)をなして配向された短い補強繊維(f)を含む、トレッドにおいて、前記短い補強繊維(f)は、1つのゴム層と次のゴム層との間でクロス掛け関係にある、トレッド。
【請求項2】
前記トレッドは、中央部分及び各側に位置した縁部分を有し、前記縁部分の前記隆起要素だけが複数個の薄いガム層で形成され、各ガム層は、互いに平行であり且つ前記トレッド中で一方向に、前記薄いゴム層中に含まれると共に前記踏み面に垂直な方向とゼロ度とは異なる角度をなして配向された短い補強繊維を含み、前記短い補強繊維は、1つのゴム層と次のゴム層との間でクロス掛け関係にある、請求項1記載のトレッド。
【請求項3】
前記トレッドの前記中央部分の前記隆起要素は、複数個の薄いクロス掛け層中の前記短い補強繊維により補強されたガムから成り、前記中央部分中の前記短い補強繊維の角度は、前記縁部分中の前記短い補強繊維の角度とは異なっている、請求項2記載のトレッド。
【請求項4】
前記短い補強繊維は、半径方向に対して対称である角度をなして一方の層と他方の層との間でクロス掛け関係にある、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項5】
前記短い補強繊維は、+45°及び−45°に等しく又はこれに近い角度をなして一方の層と他方の層との間でクロス掛け関係にある、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項6】
前記短い補強繊維は、半径方向に関して非対称に一方の層と他方の層との間でクロス掛け関係にある、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項7】
前記短い補強繊維は、植物繊維、綿、レーヨン、セルロース、芳香族ポリアミドで作られた繊維、例えばアラミドで作られた繊維、脂肪族ポリアミド、例えばナイロン46及び66、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリビニルアルコールで作られた繊維、炭素繊維及びガラス繊維の中から選択される、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項8】
前記短い補強繊維は、せいぜい10mmに等しい長さを有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項9】
前記短い補強繊維は、少なくとも3mmに等しく且つせいぜい8mmに等しい長さを有する、請求項1〜8のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項10】
前記短い補強繊維は、0.2ミクロンから0.1mmの範囲の平均断面直径を有する、請求項8又は9記載のトレッド。
【請求項11】
各層中の短い補強繊維の含有量は、該層のゴムの重量を基準として少なくとも0.1%に等しく且つせいぜい45%に等しい、請求項1〜10のうちいずれか一に記載のトレッド。
【請求項12】
半径方向カーカス補強材を備えた重量物運搬車両用タイヤであって、前記タイヤは、請求項1〜11のうちいずれか一に記載のトレッドを有する、タイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512826(P2013−512826A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542476(P2012−542476)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068881
【国際公開番号】WO2011/069924
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】