説明

磁気近接スイッチシステム

【課題】一つの有線型磁気近接スイッチによって、引き違い戸の警備を行うと共に、引き戸に対して補助ロックを掛けることができる磁気近接スイッチシステムを提供する。
【解決手段】両ロック部材12A、12Bがロック解除位置にある時は、屋外引き戸2も、屋内引き戸3も自由に開閉できる。ロック部材12Bをロック位置にすると、屋外引き戸2又は屋内引き戸3を半開きした状態で補助ロックすることができる。ロック部材12Aをロック位置にすると、両引き戸2,3が閉鎖状態に補助ロックされると同時に、マグネット20とリードスイッチ31が対向するので、警備装置は両引き戸2,3が閉じられていることを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓や戸が開けられたことを検出する磁気近接スイッチシステムに係り、特に、左右の戸の両方を開閉することができる引き違い戸に用いる磁気近接スイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気近接スイッチは、マグネットとリードスイッチで構成され、警備の分野ではドアや窓、引き戸(ここでは便宜的にこれらを総称して引き戸という)が開けられたことを検出するためのセンサとして広く用いられている。また、周知の通り、そして、磁気近接スイッチには、引き戸が開かれてマグネットとリードスイッチが対向位置から外れ、リードスイッチが開いたことを検出すると、無線によって引き戸が開かれたことを警備装置に送信する、いわゆるワイヤレス型のものと、リードスイッチから警備装置まで配線を敷設し、警備装置側でリードスイッチの状態を監視することにより、引き戸が開けられたか否かを検出する、いわゆる有線型のものが知られている。
【0003】
なお、磁気近接スイッチはマグネットスイッチと称されることもあるが、本明細書では磁気近接スイッチと称することにする。
【0004】
そして、引き違い戸に対して磁気近接スイッチシステムを構築する場合には、特許文献1の図9や、特許文献2の図10に見られるように、それぞれの引き戸に対して磁気近接スイッチを配置している。
【0005】
また、近年では防犯機能の向上を目的として、引き違い戸に、両引き戸を本締めするためのクレセント錠等の本締め錠に加えて、引き戸の補助ロック装置を設置することが行われて(例えば、特許文献3、特許文献4参照)おり、特に、特許文献4には、引き戸に補助ロックを掛けている状態で引き戸が引かれた場合には警報器で警報音を鳴動させることが開示されている。
【特許文献1】特開2004−326609号公報
【特許文献2】特開2003−296827号公報
【特許文献3】特開2001−254557号公報
【特許文献4】特開2001−152723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の構成では、有線型の磁気近接スイッチを用いる場合、片開きの引き戸であれば磁気近接スイッチは一つで済むが、引き違い戸の場合は両方の引き戸に対してそれぞれ磁気近接スイッチを取り付けなければならないので、都合2つの磁気近接スイッチが必要となる。クレセント錠等の一つの錠によって施錠、解錠される引き違い戸は、それぞれの引き戸が独立して施錠、解錠できないのであるから、本来は一つの引き違い戸に対して一つの磁気近接スイッチがあればよく、2つの磁気近接スイッチを取り付けることは無駄である。
【0007】
また、従来の構成では、有線型の磁気近接スイッチを用いる場合、各磁気近接スイッチから警備装置まで配線を敷設しなければならないので、工事は煩わしいものとなる。この問題は、引き違い戸の数が多くなる程顕著である。
【0008】
これに対して、ワイヤレス型のものを用いれば、配線も不要であり、しかも、マグネット側だけでなくリードスイッチ側についても、引き戸の開閉に伴って引き違い戸の枠体との位置関係が変化するように取り付けることができるので、一つの引き違い戸に対して一つのワイヤレス型磁気近接スイッチを取り付けるだけでよいのであるが、ワイヤレス型のものはコストが高いという問題がある。
【0009】
このように、それぞれの引き戸に磁気近接スイッチを配置するのに対して、特許文献1の図5,図6に示されるような構成とすれば、一対のマグネットとリードスイッチで何れの引き戸が開けられた場合にもそれを検出することができるが、特許文献1に示されるものはクレセント錠と一体であるので全体の構成が複雑であり、また上述した通りワイヤレス型であるので高価なものとなる。更に、特許文献1に示されるものを既存の引き違い戸に適用する場合には、クレセント錠の取り替えの手間が掛かるという問題もある。
【0010】
また、特許文献3には補助ロック装置について記載があるが、引き戸が開けられたことを検出する手段は記載がない。もっとも、特許文献3に開示されている補助ロック装置は、侵入者がガラスの補助ロック装置に対応する部分だけを割って屋内に手を入れても、容易にロック部材をアンロック姿勢に戻すことができない手段が施されているが、もし侵入者にそのアンロック姿勢に戻す手段が操作されてしまうと、侵入者は易々と屋内に侵入できることになる。
【0011】
更に、特許文献4では、補助ロックを掛けている時に引き戸が開けられると警報器が警報音を鳴動するようになされているが、このものにおいても、侵入者によってガラスの補助ロックに対応する部分だけが割られて、補助ロックが解錠されてしまうことがある。
【0012】
また、特許文献4では警報器はバッテリで動作するので、バッテリの交換時期に気を付ける必要がある。バッテリの寿命が切れると警報音が鳴動しなくなるからである。更に、特許文献4では警報器は屋内引き戸の縦桟の側面に設置されるから、仮に警報音を鳴動させる時に同時に警備装置へ異常発生を示す信号を送ろうとすると、警報器はワイヤレス型とならざるを得ない。有線型であれば屋内引き戸の開け閉めに伴って警報器からの配線を引きずることになるからである。しかし、上述した通り、有線型の警報器は高価なものとなる。
【0013】
そこで、本発明は、一つの有線型磁気近接スイッチによって、引き違い戸の警備を行うと共に、引き戸に対して補助ロックを掛けることができる磁気近接スイッチシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する本発明の磁気近接スイッチシステムは、補助ロック装置と、有線型のリードスイッチが収容されており、サッシ枠体との位置関係が変化しないように取り付けられたリードスイッチ収容体とを備える磁気近接スイッチシステムであって、前記補助ロック装置は、引き違い戸の屋外引き戸の枠内のパネルに取り付け可能な取付基板と、前記取付基板に折り畳まれて、屋内引き戸の走行経路から外れた位置であるロック解除位置と、前記ロック解除位置から略90°持ち上げられ、屋内引き戸の走行経路に突出するロック位置とが切り換え可能に前記取付基板に取り付けられ、且つ所定の位置にマグネットが取り付けられたロック部材を少なくとも一つ備え、前記リードスイッチ収容体は、前記マグネットが取り付けられたロック部材がロック位置となされた時、前記リードスイッチが当該マグネットと対向可能な位置になるように取り付けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の磁気近接スイッチシステムによれば、一つの有線型磁気近接スイッチで引き違い戸の警備を行うことができるので安価である。また、引き違い戸の警備と共に補助ロックを掛けることが可能となるので、防犯機能の向上を図ることができる。更に、リードスイッチから警備装置まで配線を敷設しなければならないが、用いるリードスイッチは一つだけであるので、配線の敷設の工事も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る磁気近接スイッチシステムをサッシよりなる引き違い戸に設置した状態を示す斜視図であり、図中、1は鴨居に設置したサッシの枠体、2は屋外引き戸、3は屋内引き戸、4は屋外引き戸2の枠内に嵌め込まれたガラスやアルミ板からなるパネル、5は鴨居、10は補助ロック装置、20はマグネット、30はリードスイッチ収容体、34はリードスイッチの配線、35はリードスイッチ収容体30の取付部材を示す。
【0017】
図1において、この引き違い戸は、鴨居4に設置されたサッシの枠体1に対して、屋外引き戸2と屋内引き戸3が互いに引き違い状となるように走行自在に嵌め込まれており、両引き戸2,3の枠内にはパネル4が嵌め込まれている。また、図1には図示していないが、この引き違い戸は、両引き戸2,3を本締めするための本締まり錠を備えている。この本締まり錠は、クレセント錠であってもよく、差し込み錠でもよく、その他の錠であってもよい。なお、ここでは、便宜的に、両引き戸2,3が閉められている時、室内から見て向かって左が屋外引き戸2、向かって右が屋内引き戸3としている。
【0018】
図1に示すように、屋外引き戸2のパネル4の屋内側表面の屋内引き戸3側の上隅端部には補助ロック装置10が取り付けられている。図2に補助ロック装置10の斜視図を示す。この補助ロック装置10は、パネル4に対して接着剤により取付可能な取付基板11と、この取付基板11に左右一対のロック部材12A、12Bを備えている。なお、図2ではマグネット20は図示を省略している。また、以下、2つのロック部材12A、12Bを区別せずに総称する場合には、単に、ロック部材12と記すことにする。
【0019】
これらの取付基板11及びロック部材12の材料としては、容易に変形しないような強度が要求されるのは勿論であるが、リードスイッチに対して磁気的に影響を及ぼさないようにすることが望まれるので、ステンレス等の非磁性体の金属を用いればよい。
【0020】
そして、取付基板11の左右両端部には支持ブラケット13,13が形成されており、この支持ブラケット13,13の間にシャフトによって、2つのロック部材12A、12Bが取り付けられている。これら2つのロック部材12A、12Bは、取付基板11に対して、その幅方向に同じレベルで並設されている。また、両ロック部材12A、12Bの幅は、何れも取付基板11の略半分となされている。
【0021】
なお、ここでは取付基板11に対して2つのロック部材12A、12Bを取り付けるものとするが、ロック部材は一つだけでもよいことは当然である。
【0022】
両ロック部材12A、12Bは、何れも、ロック位置とロック解除位置の2つの位置をとることができるように、支持ブラケット13,13の間に上下揺動自在に取り付けられている。これにより、ロック部材12Aとロック部材12Bとは、独立して、ロック位置とロック解除位置の切り換えが可能になされている。
【0023】
ロック解除位置は、図2のロック部材12Aのように取付基板11に折り畳んだ状態となる位置であり、ロック位置は、ロック解除位置から略90°持ち上げた位置であり、図2のロック部材12Bのように取付基板11から下端部を持ち上げた状態となる位置である。このような構造としては、例えば特許文献3に示される構造を採用することができる。勿論、その他の構造であってもよい。
【0024】
ロック解除位置にあるときロック部材は屋内引き戸3の走行経路から外れ、ロック位置にあるときにはロック部材は屋内引き戸3の走行経路に突出する。従って、ロック部材12を取付基板11に折り畳んでロック位置とした状態における補助ロック装置10の最大厚さは、屋外引き戸2の枠内のパネル4の表面から屋内引き戸3の縦枠3Aの間の隙間よりも小さくなるように設定される。
【0025】
図1では両ロック部材12A、12Bは何れもロック解除位置にあるが、この状態からロック部材12Aを持ち上げてロック位置にすると、当該ロック部材12Aは屋内引き戸3の走行経路に突出するので、屋外引き戸2も、屋内引き戸3も開けることができなくなり、閉鎖状態となる。即ち、この場合には本締まり錠に加えて、両引き戸2,3を補助ロックすることができる。従って、この屋内引き戸3側のロック部材12Aは閉鎖ロック用のものということができる。
【0026】
また、図1に示す状態からロック部材12Bのみを持ち上げてロック位置とすると、換気等のために屋外引き戸2及び又は屋内引き戸3を半開きした状態でロックすることができる。この場合には、略ロック部材12Aの幅だけ屋外引き戸2及び又は屋内引き戸3を開くことができるからである。従って、この屋内引き戸3から離れた側のロック部材12Bは半開きロック用のものということができる。
【0027】
マグネット20はロック部材12Aにのみ取り付けることもでき、ロック部材12Bにのみ取り付けることもでき、ロック部材12A、12Bの両方に取り付けることもできるが、現実的には、ロック部材12Aのみ、またはロック部材12A、12Bの両方に取り付けるのがよい。
【0028】
また、マグネット20は、ロック部材12がロック解除位置にある時に屋内側となる面の下部に取り付けられる。図1ではロック部材12Aにのみマグネット20が取り付けられている。マグネット20のロック部材12Aへの取付は接着剤を用いればよい。この点はロック部材12Bに取り付ける場合も同じである。
【0029】
リードスイッチ収容体30の構成例を図3に示す。図3はリードスイッチ収容体30の構造例を示す斜視図であり、リードスイッチ収容体30の内部を透視した斜視図である。図3に示すように、リードスイッチ収容体30は、両端が支持体32に支持されたリードスイッチ31を、プラスチック等の非磁性体の容器33に収容したものである。そして、リードスイッチ31からの配線34は容器33から引き出され、警備装置(図示せず)まで敷設される。このような構成のリードスイッチ収容体は広く一般に使用されているものである。
【0030】
図1では、このリードスイッチ収容体30は、取付部材35によって、当該引き違い戸が設置される鴨居5に取り付けられている。即ち、図1では、リードスイッチ収容体30は鴨居5に固定されている。このリードスイッチ収容体30は、リードスイッチ31が下に向くように、即ち床面に向くように鴨居5に取り付けられる。即ち、リードスイッチ31は、枠体1との位置関係が変化しないように取り付けられる。
【0031】
なお、図1では、リードスイッチ収容体30は取付部材35によって鴨居5に取り付けるようにしているが、これはあくまでも一例に過ぎないものであって、サッシの構造等に応じて鴨居5ではなく、天井に取り付けてもよい。要するに、リードスイッチ収容体30は、枠体1との位置関係が変化しないように取り付ければよいのである。
【0032】
ここで、リードスイッチ収容体30の取付位置は、屋内引き戸3の走行経路から外れた位置であり、且つ、ロック部材12がロック位置にあるとき、リードスイッチ31が当該ロック部材に取り付けられているマグネット20と対向可能となる位置である。従って、図1では、リードスイッチ収容体30は、屋内引き戸3の走行経路から外れ、且つ、ロック部材12Aをロック位置としたとき、リードスイッチ31がマグネット20と対向可能となる位置に取り付けられているのである。
【0033】
さて、次に、この磁気近接スイッチシステムの使用方法について説明する。いま、図1に示すように、マグネット20は補助ロック装置10のロック部材12Aにのみ取り付けられているとする。このロック部材12Aは、2つのロック部材12のうち、屋内引き戸3側のものであることは図に示す通りである。
【0034】
図1に示す状態では、2つのロック部材12A、12Bは何れもロック解除位置にあるので、屋外引き戸2も、屋内引き戸3も自由に開閉することができる。この時にはマグネット20とリードスイッチ31は対向していないので、警備装置は引き戸が開いていることを検出する。
【0035】
また、図1に示す状態から、ロック部材12Bをロック位置にすると、屋外引き戸2又は屋内引き戸3を半開きした状態で補助ロックすることができる。そして半開きした状態で補助ロックされている場合には、ロック部材12Aのマグネット20とリードスイッチ31は対向していないので、警備装置は引き戸が開いていることを検出する。
【0036】
次に、図1の状態からロック部材12Aをロック位置にすると、両引き戸2,3が閉鎖状態に補助ロックされると同時に、マグネット20とリードスイッチ31が対向するので、当該引き違い戸に対する警備を行うことができる。この場合には、警備装置は両引き戸2,3が閉じられていることを検出するので、異常は無いと判断する。
【0037】
その状態において、侵入者によって屋外引き戸2又は屋内引き戸3が強い力で引かれ、ロック部材12Aが大きく変形したり、壊れたりしてマグネット20とリードスイッチ31が対向位置からずれると、警備装置は引き戸が開けられたことを検出するので、異常が発生したと判断する。また、侵入者によって屋外引き戸2のガラス4の補助ロック装置10に対応する部分が割られ、ロック部材12Aがロック解除位置になされると、この場合にもマグネット20とリードスイッチ31が対向位置からずれるので、警備装置は引き戸が開けられたことを検出するので異常が発生したと判断する。そして、このことによって、警備装置は警備会社のセンター装置に異常通報を行ったり、サイレン等の威嚇装置を駆動したりすることになる。
【0038】
次に、図4に示すように、ロック部材12A、12Bの両方にマグネット20,20が取り付けられている場合について説明する。この場合のリードスイッチ収容体30の取付位置は図1に示すと同じ位置であり、屋内引き戸3の走行経路から外れ、且つ、ロック部材12Aをロック位置としたとき、リードスイッチ31がロック部材12Aに取り付けられているマグネット20と対向する位置である。
【0039】
図4に示す状態では、2つのロック部材12A、12Bは何れもロック解除位置にあるので、屋外引き戸2も、屋内引き戸3も自由に開閉することができる。この時にはマグネット20とリードスイッチ31は対向していないので、警備装置は引き戸が開いていることを検出する。
【0040】
また、図4に示す状態から、ロック部材12Bをロック位置にすると、屋外引き戸2又は屋内引き戸3を半開きした状態で補助ロックすることができるが、このとき屋内引き戸3は閉じた状態とし、屋外引き戸2のみを、ロック部材12Bが屋内引き戸3の縦桟3Aに当接するまで半開きとすると、ロック部材12Bのマグネット20とリードスイッチ31が対向するので、警備装置は引き戸が閉じられていることを検出する。即ち、半開きの状態で当該引き違い戸の警備を行うことができる。
【0041】
そして、この状態で屋外引き戸2または屋内引き戸3を強く引いたりすることによってロック部材12Bが大きく変形したり、壊れたりしてマグネット20とリードスイッチ31が対向位置からずれると、警備装置は引き戸が開けられたことを検出する。また、侵入者によって屋外引き戸2のパネル4の補助ロック装置10に対応する部分が割られ、ロック部材12Bがロック解除位置になされると、この場合にもマグネット20とリードスイッチ31が対向位置からずれるので、警備装置は引き戸が開けられたことを検出するので、異常が発生したと判断する。そして、このことによって、警備装置は警備会社のセンター装置に異常通報を行ったり、サイレン等の威嚇装置を駆動したりすることになる。
【0042】
ただし、この場合には、屋外引き戸2を半開き状態で補助ロックしている状態から閉じると、ロック部材12Bのマグネット20とリードスイッチ31は対向位置からずれ、警備装置によって異常が発生したと判断されてしまうので注意を要する。
【0043】
以上、マグネット20がロック部材12Aにのみ取り付けられている場合と、2つのロック部材12A、12Bの両方に取り付けられている場合について説明したが、次に、参考のために、図5に示すようにマグネット20がロック部材12Bにのみ取り付けられている場合について説明する。なお、図5では便宜的に、枠体1、両引き戸2,3等は図示を省略している。
【0044】
この場合のリードスイッチ収容体30の取付位置としては2つの位置が考えられる。一つは図1,図4に示す場合と同じ位置であるが、上述したところから明らかなように、この場合には、ロック部材12Bのみをロック位置にすれば屋外引き戸2を半開きした状態で当該引き違い戸の警備を行うことはできるが、ロック部材12Aをロック位置として閉鎖ロックした状態では、当該引き違い戸の警備を行うことはできない。
【0045】
もう一つ考えられるリードスイッチ収容体30の取付位置は、屋内引き戸3の走行経路から外れ、且つ、両引き戸2,3を閉じた状態でロック部材12Bをロック位置としたとき、リードスイッチ31がロック部材12Bのマグネット20と対向する位置である。
【0046】
この場合、ロック部材12Bのみをロック位置とし、屋外引き戸2は閉じた状態とし、屋内引き戸3のみを、ロック部材12Bに当接するまで半開きとすると、ロック部材12Bのマグネット20とリードスイッチ31は対向しているので、警備装置は引き戸が閉じられていることを検出する。即ち、半開きの状態で当該引き違い戸の警備を行うことができる。
【0047】
また、図5に示す状態から、図6に示すようにロック部材12A、12Bの両方をロック位置とすれば、閉鎖ロックした状態で当該引き違い戸の警備を行うことができる。なお、図6においても便宜的に、枠体1、両引き戸2,3等は図示を省略している。
【0048】
しかし、図1,図4の場合と比較すると、図5に示すようにロック部材12Bのみにマグネット20を取り付けた場合は使い勝手の点で不満があるということができる。
【0049】
以上のように、この磁気近接スイッチシステムによれば、一つの有線型磁気近接スイッチで引き違い戸の警備を行うことができるので安価である。また、引き違い戸の警備と共に補助ロックを掛けることが可能となるので、防犯機能の向上を図ることができる。更に、リードスイッチ31から警備装置まで配線を敷設しなければならないが、用いるリードスイッチは一つだけであるので、配線の敷設の工事も容易である。
【0050】
以上、本発明に係る磁気近接スイッチシステムの一実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であることは当業者に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る磁気近接スイッチシステムをサッシよりなる引き違い戸に設置した状態を示す斜視図である。
【図2】補助ロック装置10の斜視図である。
【図3】リードスイッチ収容体30の構造例を示す斜視図であり、リードスイッチ収容体30の内部を透視した斜視図である。
【図4】ロック部材12A、12Bの両方にマグネット20,20が取り付けられている場合の構成を示すと共に、その使用方法を説明するための図である。
【図5】ロック部材12Bにのみマグネット20が取り付けられている場合の使用方法を説明するための図である。
【図6】図3に示す状態から、両ロック部材12A、12Bをロック位置にした状態を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…サッシの枠体、2…屋外引き戸、3…屋内引き戸、4…パネル、5…鴨居、10…補助ロック装置、11…取付基板、12A,12B…ロック部材、13…支持ブラケット、20…マグネット、30…リードスイッチ収容体、31…リードスイッチ、34…リードスイッチ30の配線、35…リードスイッチ収容体30の取付部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助ロック装置と、
有線型のリードスイッチが収容されており、サッシ枠体との位置関係が変化しないように取り付けられたリードスイッチ収容体と
を備える磁気近接スイッチシステムであって、
前記補助ロック装置は、
引き違い戸の屋外引き戸の枠内のパネルに取り付け可能な取付基板と、
前記取付基板に折り畳まれて、屋内引き戸の走行経路から外れた位置であるロック解除位置と、前記ロック解除位置から略90°持ち上げられ、屋内引き戸の走行経路に突出するロック位置とが切り換え可能に前記取付基板に取り付けられ、且つ所定の位置にマグネットが取り付けられたロック部材を少なくとも一つ
備え、
前記リードスイッチ収容体は、
前記マグネットが取り付けられたロック部材がロック位置となされた時、前記リードスイッチが当該マグネットと対向可能な位置になるように取り付けられる
ことを特徴とする磁気近接スイッチシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−249716(P2006−249716A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65113(P2005−65113)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】