説明

種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機

【課題】各種の播種作業を能率化することができる種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機を提供する。
【解決手段】本発明による種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機は、種テープ敷設機を連結手段(10,14,15)によりトラクタのヒッチ17に結合して牽引し、種テープ11を敷設し、Uターン再敷設前に、ヒッチ17を上昇させ種テープ敷設機を釣り上げ、伝達手段(21,24)で、釣り上げ時の連結手段(10,14,15)の移動を種テープ敷設機に設けられた種テープ切断装置(23,25,26)に伝達することにより、敷設済の種テープ11の端を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる種テープを敷設する種テープ敷設機は広く用いられるに至っている(特許文献1〜4)。
圃場でトラクタ等で種テープ敷設機を牽引して種テープを敷設する場合は、圃場の一辺側より往復走行して敷設するのが一般的である。特許文献2記載の種子紐切断装置のような装置を具えていない種テープ敷設機では、畝端でUターンをする度に種テープを切断する必要があるために、作業者(トラクタ運転者)が1名の場合は、Uターンをする度に作業者がトラクタから降りて種紐を切断する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3719771号公報
【特許文献2】特許第3719772号公報
【特許文献3】特許第3805210号公報
【特許文献4】特許第4036680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、Uターンをする度に作業者がトラクタから降りて種紐を切断するのはまことに不都合であり、また、Uターンする度に種テープを切断するため、補助者を待機させることも同様に不都合である。特許文献2記載の装置は、レバーで種子紐を釣り上げて円盤カッタでこれを切断するというやや複雑な種子紐切断装置を用いている。
本発明の目的は、特許文献2記載の装置をさらに改良し、Uターンをする際に種テープ敷設機を引き上げて、その間に種テープを切断する切断刃をカッターアームに付加することにより種テープの自動切断を可能にした、種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の目的を達成するために、本発明による請求項1記載の種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機は、
種テープ敷設機を連結手段によりトラクタのヒッチに結合して牽引し、種テープを敷設し、Uターン再敷設前に、前記ヒッチを上昇させ前記種テープ敷設機を釣り上げ、
伝達手段で、釣り上げ時の前記連結手段の移動を前記種テープ敷設機に設けられた種テープ切断装置に伝達することにより、敷設済の種テープ端を切断することを特徴とするものである。
本発明による請求項2記載の種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機は、請求項1記載の種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機において、
前記種テープ敷設機の主フレームには種テープ敷設用の播種パイプと、
覆土板を具え、
前記連結手段は前記主フレームに枢動可能に設けられたパンタフレームと、
前記パンタフレームを前記ヒッチにリンク結合するパンタアームと、連結金具を具え、
前記種テープ切断装置は、一端でテープ切断刃を支持し前記主フレームに枢動可能に支持されているカッターアームを具え、
前記伝達手段は、前記種テープ敷設機釣り上げ時の、前記連結手段のパンタフレームの前記主フレームに対する角度変移を、前記パンタフレームの基部に設けられている歯車から前記カッターアームの基部に設けられている歯車に伝達し、前記カッターアームを駆動して種テープを切断させるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明による種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機によれば、Uターン時にトラクタのヒッチを引き上げることで、種テープを切断することが出来るため、その構造は前述の特許文献2記載の装置より一層簡単になる。よって、作業者はトラクタから降りること無く連続して種テープの敷設作業を行うことが可能となり、作業者の負担を軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】種テープ敷設機(種テープ切断装置設置前)の側面図である。
【図2】図1に示した種テープ敷設機の矢視Aの平面図である。
【図3】図1に示した種テープ敷設機の種テープ敷設動作を示す側面図である。
【図4】図1に示した種テープ敷設機における種テープ切断状態を示す側面図である。
【図5】図1に示した種テープ敷設機に種テープ切断装置を取り付けた本発明による種テープ敷設機の実施例を示す側面図である。
【図6】前記実施例の矢視Bの平面図(A)および、矢視Cの側面図(B)である。
【図7】前記実施例の種テープ敷設状態を示す側面図である。
【図8】前記実施例のUターン前の種テープ切断状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面等を参照して本発明による種テープ切断装置を具える種テープ敷設機の実施形態をさらに詳しく説明する。
先ず本発明による種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機では、種テープ敷設機(図5参照)を後述する連結手段によりトラクタ(図示せず)のヒッチ17(図7,8)に結合して牽引し、種テープ11を敷設する。
畝端で再敷設するためにUターンする前に、ヒッチ17を上昇させ、種テープ敷設機を釣り上げる。
後述する伝達手段で、種テープ敷設機釣り上げ時の連結手段の移動を、種テープ敷設機に設けられた種テープ切断装置に伝達することにより、敷設済の種テープ端を切断するように構成されている。
【0009】
種テープ敷設機の主フレーム2は、種テープ敷設用の播種パイプ8と、覆土板7を具えている。
連結手段は主フレーム2に枢動可能に設けられたパンタフレーム10と、パンタフレーム10をヒッチ17にリンク結合するパンタアーム14と、連結金具15を具えている。
種テープ切断装置は、一端でテープを切断する谷刃26と保持金具25を支持し、主フレーム2に枢動可能に支持されているカッターアーム23を具えている。
伝達手段は、種テープ敷設機釣り上げ時の、連結手段のパンタフレーム10の主フレーム2に対する角度変移を、パンタフレーム10の基部に設けられている歯車21からカッターアーム23の基部に設けられて歯車21に噛み合わされている歯車24に伝達し、これにより、カッターアーム23を駆動して種テープ11を切断させる。
【0010】
まず種テープ敷設機(種テープ切断装置設置前)の基本構成と種テープ敷設の基本動作を説明する。図1は種テープ敷設機(種テープ自動切断装置設置前)の側面図、図2は、図1の種テープ敷設機の矢視Aの平面図である。種テープ敷設機の主フレーム2の一端(走行方向前端)に軸3を設ける。この軸3に、前車輪4が取り付けられている。また、主フレーム2の他端(走行方向後端)には軸5を設け、この軸5に対して回転する後車輪6が取り付けられている。
【0011】
さらに、主フレーム2には、軸3と軸5の間に、覆土板7が取り付けられ、更に、覆土板7の前部に播種パイプ8が取り付けられている。この播種パイプ8は、覆土板7に対して上下方向に位置調整が可能に設けられている。なお、81は播種パイプの上端孔、82は播種パイプの下端孔を示す。下端孔の位置で播種深度が決まる。
【0012】
さらに、主フレーム2には、軸3と軸5の間に、軸9が設けられている。この軸9に対してパンタフレーム10が回転可能に取り付けられている。パンタフレーム10の上端には、種テープ11を巻き付けたリール12を保持するリールホルダー13が取り付けられている。
【0013】
また、パンタフレーム10には、パンタアーム14が取り付けられ、パンタアーム14の他端には連結金具15が取り付けられている。パンタアームばね141は、圃場表面のうねりに対して、前車輪4及び後車輪6が常に追従するように、種テープ敷設機を下方向に押し付け、播種深度を安定させる作用をする。
さらに、パンタフレーム10には、同フレーム10が軸9に対して回転する時の回転角を規制するストッパ16(図1,2参照)が取り付けられている。
【0014】
次に図1,2に示した種テープ敷設機の種テープ敷設動作および種テープ切断状態を図3及び図4を参照して説明する。
(種テープの敷設)種テープ11を敷設するために、図3に示すようにトラクタ(図示せず)のヒッチ17に種テープ敷設機の連結手段の連結金具15を固定ピン18で固定する。また、覆土板7と播種パイプ8の下端孔82の距離(播種深度)を調整する。さらに、種テープ11を播種パイプ8の上端孔81より挿入し、下端孔82より排出する。
トラクタで種テープ敷設機を牽引すると、予め調整した播種深度で種テープ11が圃場に敷設される。前述したように、圃場で種テープ11を敷設する場合は、圃場を往復走行するのが一般的であり、殆どの種テープ敷設機における基本的に共通する作用である。
【0015】
このような種テープ敷設機において次の畝に敷設をするときに畝端でUターンをする度に種テープ11を切断する必要がある。このために、作業者が1名の場合は、Uターンをする度に作業者がトラクタから降りる必要があった。図4に示すように、Uターン前にトラクタのヒッチ17を引き上げると種テープ11の一部が地上に露出する。この状態で切断してからUターンをして次の敷設作業にはいる。
【0016】
本発明による種テープ敷設機は、前述した種テープ敷設機に種テープ切断装置を取り付けたものである。図5に種テープ切断装置を取り付けた本発明による種テープ敷設機の実施例の側面図を示す。図6の(A)は図5の実施例の矢視Bの平面図、(B)は矢視Cの側面図である。
種テープ敷設に係わる機構、敷設の形態は前述したところと異ならず、前述した敷設機の構造と同一の符号を用いている。前述したようにパンタフレーム10には、パンタアーム14が取り付けられ、パンタアーム14の他端には連結金具15が取り付けられている。更に、パンタフレーム10が軸9に対して回転する時の回転角を規制するストッパ16が取り付けられている。
【0017】
本発明の実施例では、軸9に対してパンタフレーム10と一体となって回転する歯車21が取り付けられている。これに対して、主フレーム2には軸22が設けられ、この軸22に対して回転するカッターアーム23が取り付けられている。また軸22に対してカッターアーム23と一体となって回転する歯車24が取り付けられている。この歯車24は前述した歯車21に噛み合わされている。
またカッターアーム23の他端(揺動端)には、V字形状の谷刃26と谷刃26を保持する保持金具25が取り付けられている。軸9と軸22の位置は、歯車21と歯車24が噛み合うように設けられているから、パンタフレーム10が軸9に対して回転すると、歯車21の回転運動が歯車24に伝達されて、カッターアーム23が軸22に対して回転運動する。
【0018】
本発明による種テープ切断装置を具える種テープ敷設機の種テープの敷設の状態を図7に示すが、これは通常の種テープ敷設機のそれと異ならない。
種テープ11を敷設するために、トラクタのヒッチ17に種テープ敷設機の連結金具15を固定ピン18で固定する。また、覆土板7と播種パイプ8の下端孔82の距離(播種深度)を調整する。更に、種テープ11を播種パイプ8の上端孔81より挿入し、下端孔82より排出する。
トラクタで種テープ敷設機を牽引すると、予め調整した播種深度で種テープ11が圃場に敷設される。
【0019】
(Uターン直前の種テープ切断)図8に示すようにUターンする前にトラクタのヒッチ17を引き上げると、種テープ敷設機が釣り上げられ、主フレーム2は軸9に対して回転運動を行い、ストッパ16に当たり停止する。
この時、歯車21に噛み合っている歯車24は軸22に対して回転運動を行い、カッターアーム23は、矢印方向に回転運動する。
そして、カッターアーム23の他端に取り付けられたV字形状の谷刃26が種テープ11を切断する。
カッターアーム23の回転角度は、歯車21と歯車24の歯数によって決定され、例えば、歯車21と歯車24の歯数比が3:1の場合は、主フレーム2とパンタフレーム10の回転角の3倍の角度でカッターアーム23が回転し、種テープ11を切断する。
【0020】
切断後にヒッチ17を下げるとカッターアーム23が復元し、図5の姿勢に戻る。
作業者はこの状態で種テープ敷設機をUターンさせ、復路の畝に種テープを敷設する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明による種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機は、以上のように構成されているので、各種播種作業の能率を向上させることができ、農業機械の製造分野で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
2 主フレーム
3 軸
4 前車輪
5 軸
6 後車輪
7 覆土板
8 播種パイプ
81 上端孔
82 下端孔
9 軸
10 パンタフレーム
11 種テープ
12 リール
13 リールホルダー
14 パンタアーム
141 パンタアームばね
15 連結金具
16 ストッパ
17 ヒッチ
18 固定ピン
21 歯車
22 軸
23 カッターアーム
24 歯車
25 保持金具
26 谷刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種テープ敷設機を連結手段によりトラクタのヒッチに結合して牽引し、種テープを敷設し、Uターン再敷設前に、前記ヒッチを上昇させ前記種テープ敷設機を釣り上げ、
伝達手段で、釣り上げ時の前記連結手段の移動を前記種テープ敷設機に設けられた種テープ切断装置に伝達することにより、敷設済の種テープ端を切断することを特徴とする種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機。
【請求項2】
請求項1記載の種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機において、
前記種テープ敷設機の主フレームには種テープ敷設用の播種パイプと、
覆土板を具え、
前記連結手段は前記主フレームに枢動可能に設けられたパンタフレームと、
前記パンタフレームを前記ヒッチにリンク結合するパンタアームと、連結金具を具え、
前記種テープ切断装置は、一端でテープ切断刃を支持し前記主フレームに枢動可能に支持されているカッターアームを具え、
前記伝達手段は、前記種テープ敷設機釣り上げ時の、前記連結手段のパンタフレームの前記主フレームに対する角度変移を、前記パンタフレームの基部に設けられている歯車から前記カッターアームの基部に設けられている歯車に伝達し、前記カッターアームを駆動して種テープを切断させるように構成されていることを特徴とする種テープ自動切断機能を具える種テープ敷設機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−227072(P2010−227072A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81093(P2009−81093)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000229977)日本プラントシーダー株式会社 (10)
【Fターム(参考)】