説明

積層型光電変換装置の製造方法

【課題】中間反射層の膜質、膜厚が均一である積層型光電変換装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶層を含むn型のシリコン系複合層である第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンである第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置の製造方法であって、前記第一の光電変換ユニット形成後にn型層側から光を入射しラマン散乱スペクトルを測定した場合、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下となるように光電変換ユニットを形成することを特徴とする積層型光電変換装置の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型光電変換装置の製造方法に関し、高性能の積層型光電変換装置を提供するものであり、特に大面積での装置においても性能のバラつきを抑制できる積層型光電変換装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換装置の低コスト化、高効率化を両立するために資源面での問題もほとんど無い薄膜光電変換装置が注目され、開発が精力的に行われている。薄膜光電変換装置は、太陽電池、光センサ、ディスプレイなど、さまざまな用途への応用が期待されている。
【0003】
薄膜光電変換装置は、一般に、表面が透明基板上に順に積層された第一電極、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、及び第二電極とを含んでいる。そして1つの薄膜光電変換ユニットはp型層とn型層でサンドイッチされたi型層からなる。
【0004】
薄膜光電変換ユニットの厚さの大部分は、実質的に真性の半導体層であるi型層によって占められ、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。従って、光電変換層であるi型層の膜厚は光吸収のためには厚いほうが好ましいが、必要以上に厚くすると、その堆積にコストと時間がかかることになる。
【0005】
他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役目を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜光電変換装置の重要な特性の1つである開放端電圧の値が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与せず損失となる。したがって、p型とn型の導電型層の膜厚は、十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くすることが好ましい。
【0006】
ここで、光電変換ユニットまたは薄膜太陽電池は、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、その主要部を占めるi型の光電変換層が非晶質のものは非晶質光電変換ユニットまたは非晶質薄膜太陽電池と称され、i型層が結晶質のものは結晶質光電変換ユニットまたは結晶質薄膜太陽電池と称される。
【0007】
一般に光電変換層に用いられている半導体は、波長が長くなるに従い光吸収係数が小さくなる。特に、光電変換材料が薄膜である場合は、吸収係数の小さな波長領域において十分な光吸収が生じないために、光電変換量が光電変換層の膜厚によって制限されることになる。そこで、光電変換装置内に入射した光が外部に逃げにくい光散乱構造を形成することによって、実質的な光路長を長くし、十分な吸収を得られ、大きな光電流を発生させ得る工夫がなされている。例えば、光が基板側から入射する場合、光入射側電極として表面形状が凹凸であるテクスチャ透明導電膜が用いられている。
【0008】
また、薄膜光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2つ以上の光電変換ユニットを積層した積層型光電変換装置にする方法が知られている。この方法においては、光電変換装置の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方光電変換ユニット(本願では、相対的に光入射側に配置された光電変換ユニットを前方光電変換ユニット、相対的に光入射側から遠い側に配置された光電変換ユニットを後方光電変換ユニットと呼ぶ。)を配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する(例えばSi−Ge合金の)光電変換層を含む後方光電変換ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって装置全体としての変換効率の向上が図られている。積層型薄膜光電変換装置の中でも、非晶質光電変換ユニットと結晶質光電変換ユニットを積層したものはハイブリッド型光電変換装置と称される。ハイブリッド型光電変換装置においては、非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長は長波長側において800nm程度であるが、結晶質シリコンはそれより長い約1100nm程度までの光を光電変換することが可能であるため、入射光のより広い範囲を有効に光電変換することが可能になる。
【0009】
ところで、積層型光電変換装置では、各光電変換ユニットが直列に接続されているため、光電変換装置としての短絡電流密度(Jsc)は各光電変換ユニットで発生する電流値のうち最も小さな値で律速される。従って、各光電変換ユニットの電流値は均等であるほど好ましく、さらに電流の絶対値が大きいほど変換効率の向上が期待できる。積層型の薄膜光電変換装置では、積層された複数の薄膜光電変換ユニットの間に光透過性及び光反射性の双方を有し、且つ導電性の中間反射層を介在させることがある。この場合、中間反射層に到達した光の一部が反射し、中間反射層よりも光入射側に位置する光電変換ユニット内での光吸収量が増加し、その光電変換ユニットで発生する電流値を増大させることができる。すなわち、見かけ上中間反射層よりも光入射側に位置する光電変換ユニットの実効的な膜厚が増加したことになる。例えば、非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットからなるハイブリッド型光電変換装置に中間反射層を挿入した場合、非晶質シリコン層の膜厚を増やすことなく非晶質シリコン光電変換ユニットによって発生する電流を増加させることができる。もしくは、同一の電流値を得るために必要な非晶質シリコン層の膜厚を薄くできることから、非晶質シリコン層の膜厚増加に応じて顕著となる光劣化による非晶質シリコン光電変換ユニットの特性低下を抑制することが可能となる。
【0010】
(先行例1)
中間反射層は、たとえばZnOのような透明導電性金属酸化物層で構成されることが多いが、特許文献1に記載されているような、シリコンと酸素の非晶質合金中にシリコン結晶相を含む導電型の酸化シリコン層(本願ではシリコン複合相と呼ぶ)を採用しても、同様の効果が得られることが開示されている。このシリコン複合相は、前記透明導電性金属酸化物層と同様に光透過性と導電性を有しながら、非晶質シリコン系光電変換ユニットや結晶質シリコン系光電変換ユニットなどと同様にプラズマCVD法などで形成可能であり、しかもこれらの光電変換ユニットの導電型層の一部の役割も兼ねることができるため、簡便でコスト的にも有利な製造方法で形成できる。
【0011】
(先行例2)
また特許文献2では、光入射側に近い側から第一の光電変換ユニットおよび第二の光電変換ユニットにより順次構成された部分を少なくとも一つ以上含み、かつ第一の光電変換ユニットのi型層の光入射側から遠い側にn型層を備えた積層型光電変換装置において、そのn型層の少なくとも一部がn型のシリコン複合層であって、シリコン複合層は、シリコンと酸素の非晶質合金母相中に分散されたシリコン結晶相を含むことが開示されている。シリコン複合層が第一の光電変換ユニットのn型層の一部を兼用することによって、反射効果によって第一の光電変換ユニットの発電電流を増大すると同時に、光吸収損失を低減して第二の光電変換ユニットの発電電流をも増大させることが可能になる。
【0012】
上記のシリコン複合層は、反射効果を十分得るために、600nmの波長の光に対する屈折率が1.7以上2.1以下であり、1.8以上2.1以下であることがさらに好ましい。また、シリコン複合層は、低い屈折率を実現するために、膜中酸素濃度が40原子%以上60原子%以下であり、40原子%以上55原子%以下であることがさらに好ましいことに加えて、最適な暗導電率を実現するために、ラマン散乱で測定した非晶質シリコン成分のTOモードピークに対する結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク強度比が0.5以上1.0以下であることが好ましいと開示されている。
【0013】
しかしながら、特許文献2では、ガラス基板上にシリコン系複合層を成膜した単層に対してラマン散乱スペクトルを測定した場合の非晶質シリコン成分及び結晶シリコン成分のTOモードピーク値が単に開示されているだけである。つまり、上記pin接合からなる第一の光電変換ユニットのn型層の一部がn型のシリコン系複合層を形成している場合に、当該シリコン系複合層を含んだ第一光電変換ユニット膜に対し、n型層側から光を入射したラマン散乱光によって非晶質シリコン成分のTOモードおよび結晶シリコン成分のTOモードのピーク位置を測定することは開示されてなく、このため、当該TOモードのピークデータを適用して積層型光電変換装置を製造する思想については開示されていない。
【0014】
一方、積層型の光電変換装置を作製する際には、各層が均一な膜質、膜厚で積層されているのが好ましい。特に、中間反射層においては、膜質、膜厚が不均一であると中間反射層での光の反射量がバラつき、光電変換ユニット内で発生する電流値がバラつくといった問題や、中間反射層の結晶性がバラつくことで抵抗にバラつきが生じる問題が発生してしまう。このような複数の問題が発生すると、光電変換装置の特性を低下させてしまう要因となりうる。また、中間反射層の膜質、膜厚の不均一性は大面積になるほど影響が大きくなり、大面積の積層型光電変換装置の特性を著しく低下させてしまう要因となりうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2003−258279号公報
【特許文献2】特開2008−300872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
積層型光電変換装置において、中間反射層の膜質、膜厚が不均一であると積層型光電変換装置の特性を著しく低下させてしまう。特に大面積の場合、中間反射層の膜質、膜厚の不均一性は顕著に現れる。本発明は、中間反射層の膜質、膜厚が均一である積層型光電変換装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によると、(1)透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶相を含むn型のシリコン系複合層である第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンである第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置において、n型層の一部がシリコン系複合層である第一光電変換ユニットのn型層側から光を入射したラマン散乱光により測定した結晶シリコン成分のTOモードピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下の範囲である積層型光電変換装置、並びに、(2)透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンである第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶層を含むn型のシリコン系複合層である第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置において、第二光電変換ユニットのn型層側から入射したラマン散乱光により測定した結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下の範囲である積層型光電変換装置では、各々高い光電変換特性を得られることを見出した。
【0018】
前記(1)においては、第一の光電変換ユニット形成後に、n型層側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結晶シリコンのTOモードピークのピーク位置によって、中間反射層となりうるシリコン系複合層の膜質の情報を得ることができる。これにより、積層型光電変換装置の製造中であっても容易に高品質な中間反射層であるか否かを判断することができる。
【0019】
また、前記(2)においては、第二の光電変換ユニット形成後に、n型層側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結晶シリコンのTOモードピークのピーク位置によって、中間反射層となりうるシリコン系複合層の膜質の情報を得ることができる。これにより、積層型光電変換装置の製造中であっても容易に高品質な中間反射層であるか否かを判断することができる。
【0020】
すなわち本発明は、透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶層を含むn型のシリコン系複合層である第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンである第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置の製造方法であって、前記第一の光電変換ユニット形成後にn型層側から光を入射しラマン散乱スペクトルを測定した場合、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下となるように光電変換ユニットを形成することを特徴とする積層型光電変換装置の製造方法に関する。
【0021】
また本発明は、透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンである第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶層を含むn型のシリコン系複合層である第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置の製造方法であって、前記第二の光電変換ユニット形成後にn型層側から光を入射しラマン散乱スペクトルを測定した場合、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下となるように光電変換ユニットを形成することを特徴とする積層型光電変換装置の製造方法に関する。
【0022】
好ましい実施態様は、製膜面の複数箇所についてラマンス散乱ペクトルを測定することを特徴とする前記の積層型光電変換装置の製造方法に関する。
【0023】
好ましい実施態様は、光電変換ユニットが980cm×950cm以上の面積サイズであることを特徴とする前記の積層型光電変換装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶相を含むn型のシリコン系複合層である第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンである第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置において、前記第一の光電変換ユニットのn型層側から光を入射させたラマン散乱光の測定を実施し、その結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下の範囲、より好ましくは518cm-1以上519cm-1以下の範囲であれば、前記シリコン系複合相の前後の界面で光が一部反射され、その前方の光電変換ユニットの発電電流を増大させることができる。このため、当該測定結果を利用して、積層型光電変換装置の特性を向上させることができる。
【0025】
また、透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンである第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンで、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶相を含むn型のシリコン系複合層である第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置において、前記第二の光電変換ユニットのn型層側から光を入射させたラマン散乱光の測定を実施し、その結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下の範囲、より好ましくは518cm-1以上519cm-1以下の範囲であれば、前記シリコン系複合相の前後の界面で光が一部反射され、その前方の光電変換ユニットの発電電流を増大させることができる。このため、当該結果を利用して、積層型光電変換装置の特性を向上させることができる。
【0026】
また、上述している方法では、前記n型層の一部がシリコン系複合層である第一の光電変換ユニット、または前記n型層の一部がシリコン系複合層である第二の光電変換ユニットを製膜後に、n型層側から光を入射させたラマン散乱光を測定することを特徴とするため、各光電変換ユニットの製膜段階において早期に特性のバラつきを把握することができ、結果として生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係る積層型光電変換装置の構造断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る積層型光電変換装置の構造断面図である。
【図3】本発明の実施例3、4に係る集積型薄膜光電変換装置の構造断面図である。
【図4】本発明の実施例3、4に係る薄膜光電変換装置のラマン散乱の測定位置である。
【図5】本発明の実施例4に係る積層型光電変換装置を複数直列接続した集積型薄膜光電変換モジュールの例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお本願の各図において、厚さや長さなどの寸法関係については図面の明瞭化と簡略化のため適宜変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。また、各図において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表している。
【0029】
図1に、本発明の実施形態の一例に係る積層型光電変換装置の断面図を示す。透明基板1上に透明電極層2、第一(前方)光電変換ユニット3、第二(後方)光電変換ユニット4、及び裏面電極層5の順に配置されている。
【0030】
透明電極2の後方に、複数の光電変換ユニットから成る光電変換半導体層が配置される。図1のように2つの光電変換ユニットが積層された構造の場合、光入射側に配置された第一(前方)光電変換ユニット3には相対的にバンドギャップが広い材料、例えば非晶質シリコン系材料による光電変換ユニットなどが用いられる。その後方に配置された第二(後方)光電変換ユニット4には、それよりも相対的にバンドギャップの狭い材料、例えば結晶質を含むシリコン系材料による光電変換ユニットや、非晶質シリコンゲルマニウム光電変換ユニットなどが用いられる。本発明においては、第一の光電変換ユニットにおけるi型層は実質的に非晶質シリコンが用いられ、第二の光電変換ユニットにおけるi型層は実質的に結晶質シリコンが用いられる。
【0031】
各々の光電変換ユニットは、一導電型層、実質的に真性な光電変換層であるi型層、および逆導電型層から成るpin接合によって構成されるのが好ましい。このうちi型層に非晶質シリコンを用いたものを非晶質シリコン光電変換ユニット、結晶質を含むシリコンを用いたものを結晶質シリコン光電変換ユニットと呼ぶ。なお、非晶質あるいは結晶質のシリコン系材料としては、半導体を構成する主要元素としてシリコンのみを用いる場合だけでなく、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウムなどの元素をも含む合金材料であってもよい。
【0032】
上記の光入射側に配置される一導電型層はp型層となり、逆導電型層はn型層となるのが好ましい。例えば図1の構造で、各光電変換ユニットにおいて光入射側に配置される一導電型層31、41がp型層となり、後方側の逆導電型層33、43がn型層となるのがよい。
【0033】
導電型層の主要構成材料としては、必ずしもi型層と同質のものである必要はなく、例えば非晶質シリコン光電変換ユニットのp型(またはn型)層に非晶質シリコンカーバイドを用い得るし、n型(またはp型)層に結晶質を含むシリコン層(微結晶シリコンとも呼ばれる)も用い得る。
【0034】
二種類の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、この拡散電位の大きさによって薄膜光電変換装置の特性の一つである開放端電圧(Voc)が左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換には寄与しない不活性な層であり、ここで吸収される光はほとんど発電に寄与しない。従って、導電型層は十分な拡散電位を生じさせる範囲内で可能な限り薄くあるいは透明なものとすることが好ましい。
【0035】
本発明においては、pin接合からなりn型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶相を含むn型のシリコン系複合層である各光電変換ユニットにおいて、前記シリコン系複合層を積層型光電変換装置における中間反射層として用いる。上記n型のシリコン系複合層を中間反射層として機能させるためには、第一(前方)光電変換ユニット3内のn型層33の一部にシリコン系複合層を配置させるか、第二(後方)光電変換ユニット4のn型層43の一部にシリコン系複合層を配置させる必要がある。
【0036】
本発明者らは、pin接合からなる第一及び/又は第二の光電変換ユニット内のn型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶層を含むシリコン系複合相である場合、各光電変換ユニットのn型層側から光を入射させたラマン散乱光で測定した結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が好ましくは516cm-1〜519cm-1、より好ましくは518cm-1〜519cm-1である時、前記シリコン系複合相は反射層として大きな光閉じ込め効果が期待できることを見出した。
【0037】
上記シリコン系複合相は、例えば、反応ガスとしてSiH4、CO2、H2、PH3を用い、H2/SiH4比が大きい、いわゆる微結晶作製条件で、かつCO2/SiH4比が2.5〜5程度の範囲で、かつPH3/SiH4比が25〜35程度の範囲の条件を用いてプラズマCVD法により作製できる。このとき、プラズマの条件としては、例えば、容量結合型の平行平板電極を用いて、電源周波数10〜100MHz、パワー密度50〜500mW/cm2、圧力50〜1000Pa、基板温度150〜200℃の範囲で適宜調整すればよい。
【0038】
また、上記シリコン系複合相は下地層の結晶状態に大きく左右される結果が実験により得られている。下地層が上記第一の光電変換ユニットのようにi型層に非晶質シリコンが用いられた場合や、上記第二の光電変換ユニットのようにi型層に結晶シリコンが用いられた場合においても、PH3/SiH4比やCO2/SiH4比を変えることにより、各ユニットのn型層側から光を入射させたラマン散乱光で測定した結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置を516cm-1〜519cm-1の範囲に調節できる結果が実験により得られている。
【0039】
本発明におけるラマン散乱光の測定方法及び測定箇所について以下に説明する。例えば、レーザー光源は、He−Neレーザーを使用し、露光時間90s、積算回数2回の測定方法を用いればよい。本発明において、ラマン散乱光における結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置は、この測定方法により得られた数値である。
【0040】
また、ラマン散乱光の測定位置は、基板面積(例えば、12.5cm×12.5cm〜1200cm×998cmなど)によらず、複数箇所で測定することが好ましく、具体的には図4に示すようなポジション、例えば中央を含み上下×左右9箇所(図中のa〜i)で測定することがより好ましい。例えば、光電変換ユニットが980cm×950cm以上の面積サイズとなる場合など、特に基板面積が大きい物を測定する場合、基板面内での各層(二種類の導電型層、i型層、中間層など)の膜厚、膜質分布が大きくなる傾向がある。この場合は、少なくとも図4で示した9箇所の位置で測定し、且つ、それらの位置での結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下の範囲に入っていることが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下においては、上述の実施の形態に対応する積層構造を含む積層型光電変換装置の製造方法の実施例として、非晶質シリコン光電変換ユニットと結晶質シリコン光電変換ユニットとが積層された2スタック型スーパーストレート構造の積層型光電変換装置を挙げ、従来技術による比較例と比較しつつ詳細に説明する。各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明はその趣旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
実施例1として、図1に示すような小面積(1cm×1cm)積層型光電変換装置を作製した。透明基板1、透明電極層2上に、第一光電変換ユニット3のn型層33の一部が前記n型シリコン系複合層1(33a)およびn型微結晶シリコン層33bで構成されて形成されており、第二光電変換ユニット4、及び裏面電極5の順で形成されている。
【0043】
n型シリコン系複合層1は以下の条件で形成した。反応ガスとしてSiH4、CO2、H2、PH3を用い、ガス流量はSiH4/CO2/PH3/H2=5/20/64/980sccmであった。電源周波数は13.56MHz、パワー密度200mW/cm2、圧力400Pa、基板温度200℃で製膜した。この時のシリコン系複合層1を透明基板上に製膜した時の膜面側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置は519cm-1を示した。
【0044】
また、n型のシリコン系複合層1を図1に示すように第一光電変換ユニット33aに入れて、第一光電変換ユニット3を形成後にn型層側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した。その結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置は517cm-1を示した。
【0045】
(実施例2)
実施例2として、図2に示すような小面積(1cm×1cm)積層型光電変換装置を作製した。第二光電変換ユニット4のn型層43の一部が前記n型のシリコン系複合層1(43a)、n型微結晶シリコン層を43bで構成されるように形成し、第二光電変換ユニット4、及び裏面電極5の順で形成した。
【0046】
n型のシリコン系複合層1を図2に示すように第二光電変換ユニット入れて、第二光電変換ユニットを形成後にn型層側から光を入射してラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置は518cm-1を示した。
【0047】
(実施例3)
実施例3として、図3に示すような小面積(1cm×1cm)積層型光電変換装置を作製した。第一光電変換ユニット3のn型層33の一部が前記n型シリコン系複合層1(33a)で構成され、第二光電変換ユニット4のn型層43の一部が前記n型シリコン系複合層1(43a)で構成されている点が実施例1又は2とは異なる。
【0048】
図3に示すように、n型のシリコン系複合層1を含む第一光電変換ユニットを形成後にn型層側から光を入射してラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が518cm-1示した。さらに、n型のシリコン系複合層1を含む第二光電変換ユニットを形成後にn型層側から光を入射してラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が519cm-1を示した。
【0049】
(比較例1)
比較例1として、実施例1と同様の構造を有する小面積(1cm×1cm)積層型光電変換装置を作製した。実施例1と異なるのは第一光電変換ユニット3のn型シリコン系複合層1をn型シリコン系複合層2に変えた点である。
【0050】
n型シリコン系複合層2は以下の条件で形成した。ガス流量はSiH4/CO2/PH3/H2=5/20/0.1/1000sccmであった。電源周波数は13.56MHz、パワー密度100mW/cm2、圧力100Pa、基板温度200℃で製膜した。この時のn型シリコン複合層2を透明基板上に製膜した時の膜面側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置は517cm-1を示した。
【0051】
また、n型シリコン系複合層2を図1に示すように第一光電変換ユニット3の33aの位置に入れて第一光電変換ユニットを形成後にn型層側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置は513cm-1を示した。
【0052】
(比較例2)
比較例2として、実施例2と同様の構造を有する小面積(1cm×1cm)積層型光電変換装置を作製した。実施例2と異なるのは第二光電変換ユニット43aのn型シリコン系複合層1を前記のn型シリコン系複合層2に変えた点である。
【0053】
n型シリコン系複合層2を図2に示すように第二光電変換ユニット43aに入れて第二光電変換ユニットを形成後にn型層側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶成分のTOモードピークのピーク位置は514cm-1を示した。
【0054】
(比較例3)
比較例3として、実施例3と同様の構造を有する小面積(1cm×1cm)積層型光電変換装置を作製した。実施例3と異なるのは第一光電変換ユニット33aと第二光電変換ユニット43aのn型シリコン系複合層1をn型シリコン系複合層2に変えた点である。
【0055】
図3に示すように第一光電変換ユニットを形成後にn型層側から光を入射してラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が515cm-1を示し、且つ第二光電変換ユニットを形成後にn型層側から光を入射してラマン散乱スペクトルを測定した結果、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が511cm-1を示した。
【0056】
実施例1および比較例1において作製された積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、実施例1のEffが12.5%であったのに対し、比較例1のEffが10.5%であった。
【0057】
また、実施例2および比較例2において作製された積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、実施例2のEffが11.3%であったのに対し、比較例2のEffが9.8%であった。
【0058】
実施例3および比較例3において作成された積層型光電変換装置(受光面積1cm2)にAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、実施例3のEffが13.8%であったのに対し、比較例3のEffが10.2%であった。
【0059】
表1で実施例1〜3、比較例1〜3の上記第一、第二光電変換ユニットのn型層側から入射したラマン散乱光で測定した結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置と、出力特性を纏めた。
【0060】
【表1】

【0061】
表1に示すように、第一光電変換ユニット及び/又は第二光電変換ユニットのn型層の一部をn型のシリコン系複合層1で形成した積層型光電変換装置において、最も高い出力特性を示した。これは、中間反射層となるn型のシリコン系複合層1を第一光電変換ユニットの33a及び/又は第二光電変換ユニットの43aの部分に入れることで透明基板側から浸入してくる光を効率よく光電変換層である32及び/又は42に反射できているからである。
【0062】
(実施例4)
実施例4として、実施例1と同様の構造を有する大面積(1200cm×998cm)の集積型薄膜光電変換モジュールを作製した。この時の第一光電変換ユニットのn型層の一部である、シリコン系複合層1の製膜条件は実施例1と同様の条件を使用した。
【0063】
図5は、積層型光電変換装置を複数直列接続した集積型薄膜光電変換モジュールの例を概略的に示す断面図である。図5に示す集積型薄膜光電変換モジュール101は、透明基板102上に、透明電極層103、非晶質シリコン光電変換ユニットである第一光電変換ユニット104a、結晶質シリコン光電変換ユニットである第二光電変換ユニット104b、シリコン系複合層105、及び裏面電極層106を順次積層した構造を有している。
【0064】
図5に示すように、集積型薄膜光電変換モジュール101には、上記薄膜を分割する第1、第2の分離溝121、122と接続溝123とが設けられている。これら第1、第2の分離溝121、122及び接続溝123は、互いに平行であって、紙面に対して垂直な方向に延在している。なお、隣り合う光電変換セル110間の境界は、第1及び第2の分離溝121、122によって規定されている。
【0065】
第1の分離溝121は、透明電極層103をそれぞれの光電変換セル110に対応して分割しており、透明電極層103と非晶質シリコン光電変換ユニット104aとの界面に開口を有し且つ透明基板102の表面を底面としている。この第1の分離溝121は、非晶質シリコン光電変換ユニット104aを構成する非晶質によって埋め込まれており、隣り合う透明電極膜103同士を電気的に絶縁している。
【0066】
第2の分離溝122は、第1の分離溝121から離れた位置に設けられている。第2の分離溝122は、第一の光電変換ユニット104a、第二の光電変換ユニット104b、及び裏面電極層106をそれぞれの光電変換セル110に対応して分割しており、裏面電極層106の上面に開口を有し且つ透明電極層103と第一の光電変換ユニットの界面を底面としている。この第2の分離溝122は、隣り合う光電変換セル110間で裏面電極層106同士を電気的に絶縁している。
【0067】
接続溝123は、第1の分離溝121と第2の分離溝122との間に設けられている。接続溝123は、第一の光電変換ユニット104a、第二の光電変換ユニット104bを分割しており、第二の光電変換ユニット104bと裏面電極層106との界面に開口を有し且つ透明電極層103と第一の光電変換ユニット104aの界面を底面としている。この接続溝123は、裏面電極層106を構成する金属材料で埋め込まれており、隣り合う光電変換セル110の一方の裏面電極層106と他方の透明電極層103とを電気的に接続している。すなわち、接続溝123及びそれを埋め込む金属材料は、ガラス基板102上に並置された光電変換セル110同士を直列接続する役割を担っている。
【0068】
(実施例5)
実施例5として、実施例2と同様な構造を有する大面積(1200cm×998cm)の集積型薄膜光電変換モジュールを作製した。この時に第二の光電変換ユニットのn型層の一部のシリコン系複合層1の製膜条件は実施例2と同様の条件を使用している。
【0069】
(比較例4)
比較例4として、実施例1と同様な構造を有する大面積(1200cm×998cm)の集積型薄膜光電変換モジュールを作製した。この時の第一の光電変換ユニットのn型層の一部である、シリコン系複合層2の製膜条件は比較例1と同様の条件を使用している。実施例4と異なる点は、第一光電変換ユニット3のn型層の一部であるシリコン系複合層1がシリコン系複合層2に入れ替わっているだけである。
【0070】
(比較例5)
比較例5として、実施例2と同様な構造を有する大面積(1200cm×998cm)の集積型薄膜光電変換モジュールを作製した。この時の第二の光電変換ユニットのn型層の一部である、シリコン系複合層2の製膜条件は比較例1と同様の条件を使用している。実施例5と異なる点は、第二光電変換ユニット4のn型層の一部であるシリコン系複合層1がシリコン系複合層2に入れ替わっているだけである。
【0071】
図4に、大面積(1200cm×998cm)の集積型薄膜光電変換モジュールにした時の、膜面から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した場所(a〜i)を示す。
【0072】
表2に図4で示した場所での、実施例4および比較例4の第一光電変換ユニット形成後のn型層側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置を纏めた。
【0073】
【表2】

【0074】
表2に示すように実施例4では、各点で結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下であることが確認できる。しかしながら、比較例4では、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が全て516cm-1未満になっていることが確認できる。
【0075】
また、この集積型薄膜光電モジュールにAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、実施例4がEff 13.5%を示した。しかしながら、比較例4ではEff 11.5%であった。測定場所により、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置がバラつくのは、大面積で積層型光電変換装置を形成した際、場所により条件がバラついているからである。
【0076】
表2に図4で示した場所での、実施例5および比較例5の第二光電変換ユニット形成後のn型層側から光を入射させてラマン散乱スペクトルを測定した結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置を纏めた。
【0077】
表2に示すように実施例5では、各点で結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下であることが確認できる。しかしながら、比較例5では、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が全て516cm-1未満になっていることが確認できる。
【0078】
また、この集積型薄膜光電モジュールにAM1.5の光を100mW/cm2の光量で照射して25℃で出力特性を測定したところ、実施例5がEff 12.4%を示した。しかしながら、比較例5ではEff 10.5%であった。
【0079】
大面積の集積型薄膜光電変換モジュールにおいて、第一及び第二の光電変換ユニットのn型層の一部をシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶相を含むn型のシリコン系複合層にする際、各測定場所での第一及び第二光電変換ユニットを含む上記シリコン系複合層の結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下でなければ、シリコン系複合層は中間反射層として十分な効力を発揮しないことがわかる。
【符号の説明】
【0080】
1.透明基板
2.透明電極層
3.第一光電変換ユニット
31.第一光電変換ユニット内のp型層である、非晶質シリコンカーバイド層
32.第一光電変換ユニット内の光電変換層である、i型非晶質シリコン光電変換層
33.第一光電変換ユニット内の逆導電型層である、n型微結晶シリコン層
33a.第一光電ユニット内のn型のシリコン系複合層(シリコン系複合層1、2)
33b.第一光電ユニット内のn型の微結晶シリコン層
4.第二光電変換ユニットである結晶質シリコン光電変換ユニット
41.第二光電変換ユニット内の一導電型層である、p型微結晶シリコン層
42.第二光電変換ユニット内の一導電型層である、ノンドープのi型結晶質シリコン光電変換層
43.第二光電変換ユニット内の逆導電型層である、n型微結晶シリコン層
43a.第二光電ユニット内のn型のシリコン系複合層(シリコン系複合層1、2)
44b.第二光電ユニット内のn型の微結晶シリコン
5.裏面電極層
101.集積型薄膜光電変換モジュール
102.透明基板
103.透明電極層
104a.第一光電変換ユニット
104b.第二光電変換ユニット
105.裏面電極層
121.第一の分離溝
122.第二の分離溝
123.接続溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶層を含むn型のシリコン系複合層である第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンである第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置の製造方法であって、
前記第一の光電変換ユニット形成後にn型層側から光を入射しラマン散乱スペクトルを測定した場合、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下となるように光電変換ユニットを形成することを特徴とする積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
透明基板の一方の主面上に順次積層された透明電極層、pin接合からなりi型層が実質的に非晶質シリコンである第一の光電変換ユニット、pin接合からなりi型層が実質的に結晶質シリコンであり、n型層の一部がシリコンと酸素との非晶質合金中にシリコン結晶層を含むn型のシリコン系複合層である第二の光電変換ユニット、及び裏面電極層からなる積層型光電変換装置の製造方法であって、
前記第二の光電変換ユニット形成後にn型層側から光を入射しラマン散乱スペクトルを測定した場合、結晶シリコン成分のTOモードピークのピーク位置が516cm-1以上519cm-1以下となるように光電変換ユニットを形成することを特徴とする積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
製膜面の複数箇所についてラマンス散乱ペクトルを測定することを特徴とする請求項1または2に記載の積層型光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
光電変換ユニットが980cm×950cm以上の面積サイズであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層型光電変換装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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