説明

空気調和機

【課題】熱交換器の取付を簡単にすると共にコンパクト化を行う。
【解決手段】本体ベース2と前面パネル3から成る筐体内に熱交換器4と送風ファン5を備え、前記前面パネル3の前面又は上面に吸込口7・9・10を前面下部又は底面に吹出口8を設け、前記送風ファン5の作動により吸込口から吸い込んだ空気を熱交換器、送風ファン、吹出口の順に送風し、吹出口から吹き出す送風経路を備えた空気調和機に於いて、前記熱交換器は前側熱交換器12と後側熱交換器13を逆V字形に配置すると共に、熱交換器の一端に備えたエンドプレートは取付板15にネジ止めされたのち前記本体ベース2に固定され、熱交換器の他端に備えたエンドプレート12a・13aは取付板17に摺動自在に係合したのち本体ベース2に固定するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は室内ユニットと室外ユニットを冷媒配管で接続して使用する、家庭用の空気調和機の室内ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機では、左右のエンドプレートの間に多数のアルミニウム薄板に銅パイプを貫通した後、銅パイプの拡管と銅パイプ端部の溶接を行い形成するフィンチューブ式の熱交換器を使用し、この熱交換器の取付は熱交換器左右端に備えた板金製のエンドプレートをネジ止めにて左右の取付板に固定し、この取付板を本体ベースにネジ止め固定していた。
また熱交換器製造時に発生する左右寸法のバラツキを吸収するためにエンドプレートまたは取付板に設けられた取付穴を長穴にする事で前記のバラツキに関係なくしっかりと本体ベースに取り付けられていた。
また近年この種の空気調和機には省エネルギーのための規制が適用されることで、性能向上の必要上、熱交換器が大型化し、この大型化を吸収するために各部品のコンパクト化が必要なものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平10−26400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この従来の空気調和機では、長穴にネジ止めをする固定方式は、長穴の長さ分左右に無駄なスペースが発生するものであり、よりコンパクト化が必要なものであった。
また熱交換器の大型化により製造原価が上昇するので、コストダウンが必要なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、 本体ベースと前面パネルから成る筐体内に熱交換器と送風ファンを備え、前記前面パネルの前面又は上面に吸込口を前面下部又は底面に吹出口を設け、前記送風ファンの作動により吸込口から吸い込んだ空気を熱交換器、送風ファン、吹出口の順に送風し、吹出口から吹き出す送風経路を備えた空気調和機に於いて、前記熱交換器は前側熱交換器と後側熱交換器を逆V字形に配置すると共に、熱交換器の一端に備えたエンドプレートは取付板にネジ止めされたのち前記本体ベースに固定され、熱交換器の他端に備えたエンドプレートは取付板に摺動自在に係合したのち本体ベースに固定するものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、熱交換器の左側の固定方法は、左エンドプレートに左取付板を係合させるだけなので極めて組立を簡単にする事ができる。
また左取付板を左エンドプレートに組付けるネジとネジ止め作業に必要な手間が削減できるものである。
【実施例1】
【0006】
次に、この発明に係る空気調和機を図面に示された一実施例で説明する。1はセパレート式空気調和機の室内ユニットで、本体ベース2と前方の前面パネル3によって筐体を形成し、この筐体内には熱交換器4と送風ファン5等を備えている。
前記前面パネル3の更に前面は着脱自在のオープンパネル6によって覆われている。
【0007】
また前面パネル3は上面に上吸込口7を、底面に吹出口8を備え、前記オープンパネル6の前面上部に前吸込口9を前面のやや下方に補助吸込口10を設けている。
前記吸込口7・9・10の内側には網目状のフィルタ11を備え、吸込空気に含まれる埃を取り除くものである。
【0008】
前記熱交換器4は前吸込口9と補助吸込口10に対向する前側熱交換器12と、上吸込口7から本体ベース2に向かって傾斜して配置された後側熱交換器13と、前記前側熱交換器12とフィルタ11の間のほぼ中央に配置された補助熱交換器14とから成るものである。
【0009】
前記前側熱交換器12は左エンドプレート12aと右エンドプレート12bの間に多数のアルミニウム薄板12cに銅パイプ12dを貫通した後、この銅パイプの拡管と銅パイプ端部の溶接を行い形成するフィンチューブ式の熱交換器を使用するものであり、冷房運転時には蒸発器として低温になり、暖房運転時には凝縮器として高温となるものである。
【0010】
前記後側熱交換器13も左エンドプレート13aと右エンドプレート13bの間に多数のアルミニウム薄板13cに銅パイプ13dを貫通した後、この銅パイプの拡管と銅パイプ端部の溶接を行い形成するフィンチューブ式の熱交換器を使用するものである。
また前側熱交換器12と後側熱交換器13の接する左右の上部は、右エンドプレート12b・13bより突出する上舌部12e・13eどうしと、左エンドプレートより突出する上舌部12e・13eどうしを約55度の角度で逆V字形にネジ止め固定されるものである。
【0011】
また前記前側熱交換器12の後側下方で右エンドプレート12bに設けた下舌部12fと後側熱交換器13の前側下方に設けた下舌部13fに設けた取付穴14に右側方向より樹脂製の右取付板15をネジ止めし、前側熱交換器12の左エンドプレート12a・13aの内側はL字形に折り曲げられると共に、折り曲げ高さが異なる凹部となる係合部16を形成し、この係合部16に対向する左取付板17には左右方向に摺動自在に係合する溝部18を設けている。
【0012】
前記右取付板15は右エンドプレート12b・13bを固定後に、送風モータ(図示せず)を本体ベース2にネジ止め固定するものであり、左取付板17は左エンドプレート12a・13aを左右方向に摺動自在に係合すると共に、軸受け19を本体ベース2にネジ止め固定するものである。
【0013】
このように横方向の寸法のバラツキの大きな熱交換器4の右側面は強固に固定し、左側面は摺動自在に係合するので、従来に比べて極めてコンパクトに組み付けができるものであり、組立時のネジも少なくコストを下げることができるものである。
前記送風ファン5はクロスフローファンで、それぞれの熱交換器12・13の内側に設けられている。
【0014】
前記本体ベース2の後側熱交換器13下方には結露水を集めて排水する背面ドレンパン20と、この背面ドレンパン20と送風ファン5の送風をスムーズに吹出口8へ導くケーシング21等を一体に設けている。
【0015】
22は前記前側熱交換器12の下方に備えた前部ドレンパンで、底面は前記ケーシング21に対向して送風ファン5のエアーガイダー23を一体に設け、ケーシング21との間に送風経路24を形成している。
25は上下風向板で上下の送風方向を調節し、運転停止時には自動的にルーバモータ(図示せず)にて吹出口8を閉じるものである。26は左右風向板で左右の送風方向を調整するものである。
【0016】
熱交換器の組み付け作業の手順について説明すれば、まず前側熱交換器12と後側熱交換器13を結合するが、手順としては右エンドプレートの上舌部12e・13eどうしと、左エンドプレートより突出する上舌部12e・13eどうしを約55度の角度で逆V字形にネジ止め固定する。
次に前側熱交換器12の右エンドプレート12bに設けた下舌部12fと後側熱交換器13の下舌部13fに設けた取付穴14に右側方向より右取付板15をネジ止めし、前側熱交換器12の左エンドプレート12a・13aの内側の凹部となる係合部16を左取付板17の溝部18に左右方向に摺動自在に係合する。
【0017】
次に右取付板15を送風モータと一緒に本体ベース2にネジ止め固定し、左取付板17も軸受け19と一緒に本体ベース2にネジ止めするものであり、左取付板17は左エンドプレート12a・13aを左右方向に摺動自在に係合できるものである。
【0018】
このように横方向の寸法のバラツキの大きな熱交換器4の右側面は強固に固定し、左側面は摺動自在に係合するので、従来に比べて極めて簡単にかつコンパクトに組み付けができるものであり、組立時のネジも少なくコストを下げることができるものである。
また左取付板17を左エンドプレート12a・13aに組付けるネジとネジ止め作業に必要な手間が削減できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明一実施例の側面の断面図。
【図2】同要部の展開斜視図。
【図3】同熱交換器を組み付けた状態の左側部分斜視図。
【図4】同要部の部分展開斜視図。
【図5】同要部の右側面図。
【図6】同要部の拡大断面図。
【符号の説明】
【0020】
12 前側熱交換器
13 後側熱交換器
12a・13a 左エンドプレート
12b・13b 右エンドプレート
15 右取付板
16 係合部
17 左取付板
18 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ベースと前面パネルから成る筐体内に熱交換器と送風ファンを備え、前記前面パネルの前面又は上面に吸込口を前面下部又は底面に吹出口を設け、前記送風ファンの作動により吸込口から吸い込んだ空気を熱交換器、送風ファン、吹出口の順に送風し、吹出口から吹き出す送風経路を備えた空気調和機に於いて、前記熱交換器は前側熱交換器と後側熱交換器を逆V字形に配置すると共に、熱交換器の一端に備えたエンドプレートは取付板にネジ止めされたのち前記本体ベースに固定され、熱交換器の他端に備えたエンドプレートは取付板に摺動自在に係合したのち本体ベースに固定する事を特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−71112(P2006−71112A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251171(P2004−251171)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】