説明

空気調和装置

【課題】ヒートポンプ等の熱交換器を用いなくても、浄化後空気の冷却を可能にする。
【解決手段】本発明の空気調和装置は、空気浄化部1と洗浄水冷却部2と洗浄水貯留タンク3とを備える。空気浄化部1は、筐体4と、筐体4の外側の空気を筐体内に取り込む空気導入口10と、空気導入口10から取り込んだ空気に洗浄水を散布して該空気を洗浄する第1の散水手段72と、散水手段72の上方に配置され散水手段72で洗浄された空気を吐出する空気吐出口11とを有する。洗浄水冷却部2は、筐体5と、筐体5の内部で洗浄水を散布する第2の散水手段12とを有する。洗浄水貯留タンク3は、筐体4の散水手段72の下方に配置されて洗浄水を貯留する第1の水槽41と、筐体5の散水手段12の下方に配置され、底部が第1の水槽41の底部と連通し、洗浄水を貯留する第2の水槽51とを有する。さらに、第1及び第2の水槽41,51の両方に行き渡る洗浄水を散水手段72,12のそれぞれへ送る洗浄水供給ラインが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に関し、特に、洗浄水を用いて空気を浄化する空気浄化手段を備えた空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内空気の調和を図り、目的に応じた適切な空間を提供するために、屋内外の空気の温度調節や湿度調節を行うエアコンディショナ(空気温度湿度調整設備)が用いられている。
【0003】
それに加えて、従来のエアコンディショナが備えていた空気の温度調節や湿度調節の機能に、空気内の粒子性物質やガス状化学物質などを除去するフィルタなどの空気浄化の機能を加えた装置も使用されている。しかし、フィルタの目詰まり等が発生して、浄化能力が損なわれる。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に開示されているような、洗浄水と空気とを接触させることで空気を浄化する空気洗浄手段を備えた空気洗浄器が提案されている。この空気洗浄器では、浄化された空気の温度・湿度調節のための熱交換器等を使用している。一方、特許文献2に開示されているように、洗浄水の温度調節を行うことで、洗浄水と接触する空気の温度を調節し、加えてデシカント材を用いた湿度調節手段によって、洗浄水によって浄化された高湿度の空気の湿度調節を行う空気調和装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−285714号公報
【特許文献2】特開2009−103373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された空気洗浄器では、浄化された空気の温度・湿度調節のための加熱装置及び冷却装置が設けられており、浄化空気の加熱・冷却にエネルギが必要である。また、特許文献2に開示された空気調和装置は空気の温度調節を洗浄水の温度調節で行うため、やはりエネルギ効率の観点から好ましくない。特に浄化空気の冷却はヒートポンプ等の熱交換器が必要になる。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、外部エネルギを必要としない冷却を可能にする空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空気調和装置は、空気浄化部と洗浄水冷却部と洗浄水貯留部とを備える。
【0009】
空気浄化部は、第1の筐体と、該第1の筐体の外側の空気を該筐体の内部に取り込む空気導入口と、該空気導入口から取り込んだ空気に洗浄水を散布して該空気を洗浄する第1の散水手段と、該第1の散水手段で洗浄された該空気を吐出する空気吐出口とを有する。洗浄水冷却部は、第2の筐体と、該第2の筐体の内部で洗浄水を散布する第2の散水手段とを有する。洗浄水貯留部は、記第2の散水手段で散布した洗浄水を貯留する水槽を含む。このような態様において、第1の散水手段は前記水槽に貯留した洗浄水を散布するように備えられている。
【0010】
このように本発明の一態様は、特許文献2に開示されている空気調和装置に、第2の筐体と、第2の筐体内部で洗浄水を散布する第2の散水手段と、第2の散水手段で散布した洗浄水を貯留する水槽とをさらに備え、該水槽に貯留した洗浄水を、該空気調和装置に取り込んだ外気に散布する洗浄水として使うものである。このような本発明の態様によれば、第2の散水手段で散水した洗浄水の一部は蒸発し、その際に洗浄水から蒸発潜熱を奪うため、洗浄水の水温が低下する。一方、第2の筐体内では散水と外部空気との接触が少ないため、水槽に貯留される水の温度は上昇せずに、その低下した温度となる。本発明はこのように温度が低下した洗浄水を、装置の外部から取り込んだ空気と接触させられるので、その水で浄化された空気の温度が下がる。すなわち本発明は、熱交換器によらず、浄化空気の冷却が可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヒートポンプ等の熱交換器を用いなくても、浄化後空気の冷却が可能でとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による第1の実施形態の空気調和装置の構成を示す模式図。
【図2】本発明による第2の実施形態の空気調和装置の構成を示す模式図。
【図3】図2に示した空気調和装置の変形例を示す模式図。
【図4】本発明による第3の実施形態の空気調和装置の構成を示す模式図。
【図5】図4に示した装置の変形例を示す図。
【図6】第2の実施形態による空気調和装置を建物に適用した一例を示す模式図。
【図7】第2の実施形態による空気調和装置を建物に適用した他の例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は本発明による第1の実施形態の空気調和装置の構成を示す模式図である。
【0015】
本実施形態の空気調和装置は、図1で示すように、洗浄水を用いて空気を浄化する空気浄化部1と、該洗浄水を冷却する洗浄水冷却部2と、該洗浄水を貯留する洗浄水貯留タンク3とを備える。
【0016】
その構成を詳述すると、空気浄化部1を構成する筐体4の横に、洗浄水冷却部2を構成する筐体5が隣接するように配置されている。筐体4および筐体5の底部はそれぞれ水槽41、51を形成しており、これらの水槽の底面付近どうしが開口6によって互いに連通している。このような二つの水槽41,51で洗浄水貯留タンク3が構成される。
【0017】
空気浄化部1側の筐体4の内部において、水槽41の上方に、空気を浄化する気液接触手段7と、デシカントローター8(除湿手段)と、主送風機9とが、この順で設置されている。
【0018】
筐体4の気液接触手段7より下方で、水槽41より上方の側面には、浄化前空気を取り込む空気導入口10が設けられており、筐体4のデシカントローター8より上方には浄化後空気を吐出する空気吐出口11が設けられている。空気導入口10から筐体4外の空気が、主送風機(F)9の吸い込み力によって筐体4内部に取り込まれ、筐体4内部を空気吐出口11に向かって流れる。
【0019】
主送風機9は、空気吐出口11の手前に設置され、気液接触手段7によって浄化された空気を空気吐出口11から筐体4の外へ吐出させる。
【0020】
気液接触手段7は、空気導入口10から筐体4内部に取り込まれた空気を洗浄水と接触させることで浄化する。このため、気液接触手段7は、気液接触部71と、気液接触部71の上方に設けられた洗浄水を散布する第1の散水手段72とを有している。気液接触部71には、支持体(不図示)が備えられ、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、サドル、スルザーパッキン等の充填材が充填されている。なお、気液接触部31は、充填材がハニカム状や繊維を編んだようなもので、気液接触部31と一体型となっていてもよい。この気液接触部71では、散水手段72から散布された洗浄水が充填材の表面に付着し、充填材の表面で、筐体4内部に取り込まれた空気との気液接触が行われる。
【0021】
気液接触手段7の上方に位置するデシカントローター8は乾燥剤を備え、気液接触手段7を経て大量の水分を含んだ空気の湿分を調整する。
【0022】
第1の散水手段72から散水された洗浄水は、気液接触部71を通過して、気液接触部71の下側に位置する水槽41に収容される。この水槽41は、開口6により、筐体4に隣接する筐体5底部の水槽51と連通している。これにより、気液接触手段7からの洗浄水は水槽41の中だけでなく水槽51の中にも行き渡るようになっている。このとき、両水槽41,51の中に貯留される洗浄水は水位が同じになるが、その水位は開口6よりも上に位置され、筐体4,5間で空気の通わない状態にされている。
【0023】
一方、洗浄水冷却部2側の筐体5の内部においても、水槽51の上方に、洗浄水を散布する第2の散水手段12を備えている。水槽51は配管を介して循環ポンプ(P)13に接続されている。循環ポンプ13の吐出側は2経路に分岐し、分岐した一方の経路は配管を介して第1の散水手段72に接続され、もう一方の経路は配管を介して第2の散水手段12に接続されている。これらの散水手段72,12は例えば、多数の孔の開けられた配管であり、これらの孔から洗浄水が散布される。散水手段72,12に設けられた孔の数や形状、位置は特に限定されないが、洗浄水をほぼ均一に散布できるように設けられることが好ましい。しかし充填材の構造や、空気の流れに拠っては、気液接触部71に対する散水量に偏りを持たせても構わない。また、洗浄水が散布される孔には、洗浄水をより微細な液滴として噴霧されるような形状を有したノズルを設けるのが好ましい。これにより後述するとおり洗浄水の蒸発潜熱が奪われやすくなる。
【0024】
さらに、洗浄水冷却部2側の筐体5の上部には排気口14が設けられ、排気口14付近の筐体5内部に真空ポンプ等の吸引ポンプ15が配置されている。筐体5の内部は吸引ポンプ15での吸引により負圧にされる。
【0025】
次に、本実施形態の作用・効果について述べる。
【0026】
上述した構成による空気調和装置によれば、1)浄化空気の冷却効果、2)洗浄水中の揮発性物質の除去、が可能である。
【0027】
A.浄化空気の冷却効果について
<第1の散水手段72からの散水による洗浄水と空気との接触による冷却>
1)まず、循環ポンプ13で洗浄水が循環し、空気浄化部1側の筐体4内において第1の散水手段72から洗浄水が散水される。散水した洗浄水の一部は蒸発し、その際に洗浄水から蒸発潜熱を奪うため、洗浄水の水温が低下する。
2)一方、主送風機9の作動により、空気導入口10から筐体4内に空気が導入される。この導入した空気と第1の散水手段72で散水した洗浄水とが接触することより、導入した空気中の浮遊物や化学物質は洗浄水に取り込まれるとともに、上記1)のように水温が低下した洗浄水が空気の熱を吸収するため、空気の温度は低下する。
【0028】
<第2の散水手段12による洗浄水の水温低下>
3)しかし、上記2)のように空気の熱を吸収した洗浄水の温度は上昇するため、第1の散水手段72からの洗浄水散布による洗浄水の温度低下には限界がある。
4)そこで本発明では、上記1)〜2)で説明した動作の一方で、洗浄水冷却部2側の筐体5内において、循環ポンプ13の作動に伴い第2の散水手段12から洗浄水が散布される。このときに発生した水蒸気は吸引ポンプ15で吸引され排気口14から筐体5の外へ除去される。即ち、散水した洗浄水の一部は蒸発し、その際に洗浄水から蒸発潜熱を奪うため、洗浄水の水温が低下する。
5)洗浄水冷却部2では散水した洗浄水が外部空気と積極的に接触しないため、第2の散水手段12からの洗浄水は、上記の3)のような、外部空気との接触における熱交換による水温上昇がない。従って、洗浄水の温度を低温状態にすることができる。
6)これにより、洗浄水冷却部2側の筐体5底部の水槽51の洗浄水の温度、ひいては洗浄水貯留タンク3内の洗浄水の温度は低温状態を保つことができる。結果、第1の散水手段72で散水した洗浄水と接触した空気の温度を下げることができる。
【0029】
なお、第2の散水手段12における散水流量やノズルの形状を変えて該ノズルでの洗浄水の蒸発量を増減させる(例えばノズル噴霧による細かい液滴の水蒸気の量を増減する)ことによって、洗浄水貯留タンク3内の洗浄水の温度低下量を制御することができる。これにより、浄化空気の温度を制御することができる。
【0030】
また、本発明は浄化空気を外部エネルギを用いずに冷却することを目的の一つとしたものであり、浄化空気を加熱するには別途加熱手段が必要となるが、一般的なヒーターで浄化空気を加熱すればよい。
【0031】
B.洗浄水中の揮発性物質の除去について
1)本発明による処理対象物質(SO2、NO2、アンモニア等の大気汚染物質やホルムアルデヒド、VOC等のシックハウス症候群対象物質、臭気成分等)は揮発性物質がほとんどである。そのような揮発性物質は空気浄化部1における気液接触で洗浄水に溶解する。
2)しかし、上記1)の空気浄化を長時間行うと、洗浄水中に溶解した揮発性物質の量が多くなると、空気中の揮発性物質を取り込まなくなり、また、散布時に洗浄水中に溶解していた揮発性物質が再揮散してしまい、再度空気とともに吐出されてしまう。
3)そこで洗浄水冷却部2では、洗浄水が第2の散水手段12により噴霧され、更に、筐体5内部は吸引ポンプ15での吸引により負圧にされる。そのため、筐体5内において洗浄水中の化学物質が揮発し、洗浄水中から除去することができる。そして、洗浄水から除去された化学物質を含む空気は排気口14から排出される。これにより、洗浄水への揮発性物質の蓄積を低減でき、洗浄水の交換頻度を抑えることができる。さらに、第1の散水手段72から散水した洗浄水から揮発性物質が再揮散することも防げる。
【0032】
(第2の実施形態)
図2は本発明による第2の実施形態の空気調和装置の構成を示す模式図である。この図において第1の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を用いており、同じ構成要素の説明はここでは省略して第1の実施形態と同じとする。以下、第1の実施形態に対して変更した点を述べる。
【0033】
本実施形態もまた、空気吐出口11から吐出する浄化空気の温度を下げるために第2の散水手段12を用いて洗浄水の温度低下を図ることと、処理前の空気との接触で洗浄水に取り込まれたアンモニア等の揮発ガス成分を洗浄水から除去することは第1の実施形態と同じである。このような作用効果を本実施形態は第1の実施形態の一部の構成を変えて達成させるものである。
【0034】
第1の実施形態と異なる構成としては、図2に示すように、洗浄水冷却部2側の筐体5の側面に第2の空気導入口16が形成されている。また、第1の実施形態においては排気口14付近の筐体5内部に真空ポンプ等の吸引ポンプ15を配置したが、本実施形態では、これに代えて、ファン19が配置されている。ファン19は、第2の空気導入口16から筐体5内へ外部空気を取り込み、第2の散水手段12での散水により発生した水蒸気を排気口14から筐体5の外へ押し出す。
【0035】
本実施形態は第1の実施形態と同様、洗浄水冷却部2における第2の散水手段12の下側に充填材が無い。そのため、気液接触効率が低く、筐体5内において第2の散水手段12で散水した洗浄水と第2の空気導入口16から取り込まれた外部空気とが接触しても、熱交換が行われにくい。結果、空気浄化部1のみで洗浄水を循環させる場合に比して洗浄水の温度を低下させることができる。
【0036】
より好ましくは、図2に示すように、洗浄水冷却部2の空気導入口16を、第2の散水手段12の下側ではなく、第2の散水手段12よりも上に設けるのがよい。これにより、第2の散水手段12からの洗浄水と第2の空気導入口16からの導入空気との接触を非常に少なくし、散水により蒸発した水蒸気だけを筐体5の外へ押し出すことができる。
【0037】
図3に本実施形態による空気調和装置の変形例を示す。この図に示す例では、空気浄化部1側の筐体4における空気吐出口11に管部材17が固定されている。そして、管部材17の側面に形成された開口17aと、洗浄水冷却部2側の筐体5における第2の空気導入口16とが、配管18によって接続されている。このような構成では、空気浄化部1で浄化した空気の一部が配管18を通って洗浄水冷却部2の筐体5内に導入されることになる。浄化空気は洗浄水の温度低下に起因して冷却された空気であるので、そのような導入によって、第2の散水手段12を用いた洗浄水の低温化を効率よく行うことができる。この例では、洗浄水冷却部2の筐体5内に図2に示したようなファン19が必ずしも配置しなくてもよい。
【0038】
図3に示した構成例では、洗浄水冷却部2の空気導入口16から筐体5内に導入する空気が、洗浄水との接触により浄化された空気(SO2、NO2、アンモニア等の揮発性物質が含まれていない空気又はガス)となっている。また図2に示した構成においても、空気導入口16から筐体5内に導入する空気を、SO2、NO2、アンモニア等の揮発性物質が含まれていない空気又はガスとすることが好ましい。第1の実施形態で述べたように処理前の空気にはSO2、NO2、アンモニア等の揮発性物質が含まれていることがあり、そのような揮発性物質は空気浄化部1における気液接触で洗浄水に溶解する。洗浄水に揮発性物質が蓄積されると、第1の散水手段72から散水した洗浄水から揮発性物質が再揮散するおそれがある。そこで、図2および図3の例において、アンモニア等の揮発性物質が含まれていない空気又はガスを洗浄水冷却部2側の筐体5内に導入して洗浄水と常時接触させる構成にすることで、第1の水槽41と連通した第2の水槽51内の洗浄水中の揮発性物質はその空気に取り込まれて洗浄水から除去される。その結果、洗浄水への揮発性物質の蓄積を低減でき、洗浄水の交換頻度を抑えることができる。
【0039】
なお、第2の散水手段12における散水流量やノズルの形状を変えて該ノズルでの洗浄水の蒸発量を増減させる(例えばノズル噴霧による細かい液滴の水蒸気の量を増減する)ことによって、洗浄水貯留タンク3内の洗浄水の温度低下量を制御することができる。これにより、浄化空気の温度を制御することができる。
【0040】
また、本発明は浄化空気を外部エネルギを用いずに冷却することを目的としたものであり、浄化空気を加熱するには別途加熱手段が必要となるが、一般的なヒーターで浄化空気を加熱すればよい。
【0041】
(第3の実施形態)
図4は本発明による第3の実施形態の空気調和装置の構成を示す模式図である。この図において第1の実施形態と同じ構成要素には同一の符号を用いており、同じ構成要素の説明はここでは省略して第1の実施形態と同じとする。以下、第1の実施形態に対して変更した点を述べる。
【0042】
本実施形態もまた、空気吐出口11から吐出する浄化空気の温度を下げるために第2の散水手段12を用いて洗浄水の温度低下を図ることと、処理前の空気との接触で洗浄水に取り込まれたアンモニア等の揮発ガス成分を洗浄水から除去することは第1の実施形態と同じである。このような作用効果を本実施形態は第1の実施形態の一部の構成を変えて達成させるものである。
【0043】
第1の実施形態と異なる構成としては、図4に示すように、第1の水槽41と第2の水槽51が連通していない点である。そして、第1の水槽41に貯留した洗浄水をポンプP1で第2の散水手段12に送る第1の洗浄水供給ライン42と、第2の水槽51に貯留した洗浄水をポンプP2で第1の散水手段72に送る第2の洗浄水供給ライン43とを有している。
【0044】
第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様、洗浄水の冷却による浄化空気の冷却効果並びに洗浄水への揮発性物質の蓄積を低減という課題は解決される。
【0045】
すなわち、第3の実施形態では第2の実施形態と同様に洗浄水冷却部2の水槽51内の洗浄水を低温化でき、これを空気浄化部1の散水手段72より散水するため、第1の散水手段72からの洗浄水と接触した空気の温度を下げることができる。しかも、第1の水槽41と第2の水槽51が連通しないため、第1の実施形態よりも効率よく浄化空気を冷却できる。
【0046】
また、第2の実施形態のように洗浄水冷却部2の筐体5の側面に空気導入口16を設け、排気口14付近にファン19を設置することができ、浄化空気の一部を空気導入口16から筐体5内へ導入することもできる。
【0047】
また、図4では、空気浄化部1と洗浄水冷却部2が一体(空気浄化部側の筐体4と洗浄水冷却部側の筐体5の側壁の一部が共通している形態)となっているが、それぞれが独立していて、第1の洗浄水供給ライン42と第2の洗浄水供給ライン43で接続されていてもよい。また、1つの洗浄水冷却部1に複数の空気浄化部2を接続することも可能である(図5参照)。
【0048】
(第4の実施形態)
図6は第2の実施形態による空気調和装置を建物の外に用いた例であって、外気を洗浄して屋内に導入する場合を示している。
【0049】
上述した第2の実施形態による空気調和装置を屋外に設置する場合、図6に示すように、空気吐出口11が、住宅の側壁20を貫通する配管21を介して住宅内部と連通される。これにより、空気導入口10で住宅の外気が取り込まれ、空気調和装置内で浄化された空気は配管21によって住宅の内部へ供給される。本発明は、第2の散水手段12を備えた洗浄水冷却部2によって洗浄水が低温化されて、空気吐出口11から吐出する浄化空気の温度を下げられる発明であるので、屋内の一般のエアコンにかかる負荷を低減することができる。さらに、第2の空気導入口16で住宅の内気を取り込めるように、第2の空気導入口16は配管22によって住宅の内部と連通している。屋内に供給された冷却された浄化空気が洗浄水冷却部2に導入されるため、第2の実施形態で説明したように洗浄水の低温化効率が良く、かつ、洗浄水中の揮発性物質の除去が可能である。
【0050】
このような適用例では、空気浄化の際の主な洗浄対象物質はSO2、NO2、アンモニア等の外気中に含まれる化学物質である。
【0051】
なお、第2の実施形態の空気調和装置を住宅等の建物の外に設置した例を示したが、第1の実施形態のように洗浄水冷却部2の筐体5に空気導入口が無く、筐体5内の真空ポンプが配置された空気調和装置を屋外に設置して、外気を洗浄および冷却して屋内に導入することもできる。
【0052】
(第5の実施形態)
図7は第2の実施形態による空気調和装置を建造物に用いた例であって、内気を洗浄して屋内に導入する場合を示している。
【0053】
上述した第2の実施形態による空気調和装置を屋内に設置する場合、図7に示すように、空気導入口10で住宅の内気が取り込まれ、空気調和装置内で浄化された空気は空気吐出口11から屋内へ供給される。本発明は、第2の散水手段12を備えた洗浄水冷却部2によって洗浄水が低温化されて、空気吐出口11から吐出する浄化空気の温度を下げられる発明であるので、屋内の一般のエアコンにかかる負荷を低減することができる。
【0054】
さらに、第2の空気導入口16で住宅の外気が取り込まれる。これにより、第2の実施形態で説明したように洗浄水の低温化効率が良く、かつ、洗浄水中の揮発性物質の除去が可能である。また、洗浄水冷却部2の排気口14は配管23によって住宅の外部に連通している。そのため、洗浄水冷却部2において洗浄水から除去された揮発性物質は配管23を通って住宅の外へ排出される。
【0055】
このような適用例では、空気浄化の際の主な洗浄対象物質はホルムアルデヒド、VOC、臭気成分等(シックハウス症候群対象物質)、人/ペット臭等の室内に含まれる化学物質である。
【0056】
なお、第2の実施形態の空気調和装置を住宅等の建物の内部に設置した例を示したが、第1の実施形態のように洗浄水冷却部2の筐体5に空気導入口が無く、筐体5内の真空ポンプが配置された空気調和装置を屋内に設置して、屋内の空気を洗浄および冷却して再び屋内に導入することもできる。
【0057】
さらに、本発明の空気調和装置は、上述したように吐出する空気の冷却および清浄が行えるだけでなく、空気を清浄化する洗浄水に家庭の水道水を使用でき、また洗浄水を循環できるものなので、家庭での運転コストが非常に廉価である。
【符号の説明】
【0058】
1・・・空気浄化部、 2・・・洗浄水冷却部、 3・・・洗浄水貯留タンク
4、5・・・筐体、 6・・・開口、 7・・・気液接触手段、 71・・・気液接触部
72・・・第1の散水手段、 8・・・デシカントローラ、 9・・・主送風機
10・・・空気導入口、 11・・・空気吐出口、 12・・・第2の散水手段
13・・・循環ポンプ、 14・・・排気口、 15・・・吸引ポンプ
16・・・空気導入口、 17・・・管部材、 17a・・・開口
18、21、22、23・・・配管、 19・・・ファン、 20・・・住宅の側壁
31・・・気液接触部、 41、51・・・水槽、 42、43・・・洗浄水供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、該第1の筐体の外側の空気を該筐体の内部に取り込む空気導入口と、該空気導入口から取り込んだ空気に洗浄水を散布して該空気を洗浄する第1の散水手段と、該第1の散水手段で洗浄された該空気を吐出する空気吐出口とを有する空気浄化部と、
第2の筐体と、該第2の筐体の内部で洗浄水を散布する第2の散水手段とを有する洗浄水冷却部と、
前記第2の筐体内に配置されて前記第2の散水手段で散布した洗浄水を貯留する水槽を含む洗浄水貯留部と、
を有し、
前記第1の散水手段は前記水槽に貯留した洗浄水を散布することを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記洗浄水貯留部は、
前記第1の筐体内の前記第1の散水手段の下方に配置され、前記第1の散水手段で散布した洗浄水を貯留する第1の水槽と、
前記第2の筐体内の前記第2の散水手段の下方に配置され、前記第2の散水手段で散布した洗浄水を貯留する第2の水槽と、
前記第1の水槽に貯留した洗浄水を前記第2の散水手段へ送る第1の洗浄水供給ラインと、
前記第2の水槽に貯留した洗浄水を前記第1の散水手段へ送る第2の洗浄水供給ラインと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記洗浄水貯留部は、
前記第1の筐体内の前記第1の散水手段の下方に配置され、前記第1の散水手段で散布した洗浄水を貯留する第1の水槽と、
前記第2の筐体内の前記第2の散水手段の下方に配置され、前記第2の散水手段で散布した洗浄水を貯留する第2の水槽であって、底部が前記第1の水槽の底部と連通している前記第2の水槽と、
前記第1及び第2の水槽の両方に行き渡る洗浄水を前記第1の散水手段および前記第2の散水手段のそれぞれへ送る洗浄水供給ライン、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記第2の筐体の上部に形成された開口と、前記第2の筐体の内部の空気を吸引して前記開口より前記第2の筐体の外へ排出する空気吸引手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2乃至3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記第2の筐体の上部に形成された開口と、前記第2の筐体内に空気を導入するための空気導入部と、前記空気導入部から前記第2の筐体の内部に導入した空気を前記開口より前記第2の筐体の外へ排出するための送風手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項2乃至3のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記空気吐出口から吐出された前記洗浄された空気の一部を前記空気導入部より導入する空気導入ラインをさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記空気導入部は前記第2の散水手段よりも上に位置することを特徴とする請求項5または6に記載の空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−55523(P2012−55523A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202256(P2010−202256)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】