説明

空調システム及び空調方法

【課題】 大容積の空調対象空間に対して、消費エネルギーを抑えるとともに均一な空調を行うことができる空調システムを提供する。
【解決手段】 大容積の空調対象空間である栽培ハウスHに対して空調を行う空調システム70は、空気を吸湿性液体Lに接触させて空気の調湿を行って調湿空気を生成し、この調湿空気を栽培ハウスHに供給する。このとき、栽培ハウスH内の空気との間に水蒸気分圧差を有する調湿空気を生成する。この水蒸気分圧差を是正する作用によって、栽培ハウスH内で熱エネルギーが均一に拡散する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム及び空調方法に関し、特に大型の栽培ハウス等の大容積の空間に対して空調を行う空調システム及び空調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビニールハウスやプラスチックハウス等の栽培ハウスで野菜や果物を栽培するハウス栽培が知られている。ハウス栽培では、ハウス内で空調(空気調和)を行うことで植物の生育を促すことが行われる。このような栽培ハウスは、大型のものになると、例えば、長手方向の長さが100m程度、面積が2000m程度にもなり、従って、空調の対象となる空間(以下、「空調対象空間」という)の容積も例えば15000m程度と大きくなる。また、大容積の空調対象空間の他の例としては、例えば高層ビルの階段室がある。階段室は、1階から屋上階まで連続した空間になっており、例えば、数千〜一万m程度の容積を有している。
【0003】
このような大容積の空調対象空間に対して空調を行う場合には、いかにしてこの空調対象空間に対して均一に空調を行うかが問題となる。例えば居室のような数十〜数百m程度の比較的小さな空間の空調を行う場合には、通常は、空調装置から空調対象空間に供給する1時間当たりの空調空気の量は、空調対象空間の容積の6〜8倍になるように設計される。このような設計によれば、空調対象空間は1時間に6〜8回空気が入れ替わることになるので、この空調空気の供給量(給気量)を6〜8回/hと標記する。このように、空調対象空間の容積に対して十分な量の空調空気を供給できれば、空調空気を空調対象空間の全体に行き渡らせることができ、空調対象空間に対して均一な空調を行うことができる。
【0004】
しかしながら、大型の栽培ハウスや高層ビルの階段室のような大容積の空調対象空間に、一般の居室空調の場合と同様に6〜8回/h程度の量の空調空気を供給しようとすると、空調装置が大型化してしまい、エネルギー消費量も膨大になる。
【0005】
また、従来、空調として暖房を行う場合には、暖房装置で空調対象空間に温風を供給したり、空調対象空間の一部の空気を加熱したりする。このような暖房によって、空調対象空間内の一部の空気の温度が高くなり、周りの空気との温度差により、対流が生じて熱が拡散する。また、輻射の作用によっても熱が伝播することになる。しかしながら、このような対流や輻射に頼るだけでは、大容積の空調対象空間内の空気を均一に加温するには時間がかかり、加える熱エネルギーに対して空調対象空間の容積が大きすぎる場合には、空調対象空間内に実質的に熱エネルギーが伝播されない部分ができてしまう。
【0006】
このため、従来は、栽培ハウス等の大容積の空調対象空間に対して空調を行う際に、通常の空調装置を用いるとともに、大容積の空調対象空間に対する均一な空調を実現するために、例えば、空調装置からダクトを引いて空調対象空間内の各箇所に給気口を設けたり、熱輻射パネルによって熱を拡散させたり、空調装置から供給された空調空気を攪拌用送風装置で攪拌させたり、複数の空調装置を空調対象空間内に分散配置するといった措置を講じている。
【0007】
また、特許文献1にはダクトを用いないで栽培室内の空調を行う栽培ハウスが開示されている。この栽培ハウスでは、ハウス内の空間を区分膜によって、目的の農作物を栽培するための栽培室と、熱源機器を備えた設備室と、空調空気を栽培室へ搬送する搬送室の3室に分け、設備室で生成された空調空気を給気ファンによって搬送室を通じて栽培室に搬送し、栽培室の還気を強制排気ファンによって設備室に取り込むようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−178930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術では、大容積の空調対象空間に対して消費エネルギーを抑えるとともに均一に空調を行うために、いずれもダクト、熱輻射パネル、送風装置(ファン)、区分膜といった設備が必要であり、あるいは空調対象空間の容積に応じて複数の空調装置が必要となる。
【0010】
そこで、本発明は、大容積の空調対象空間に対して、消費エネルギーを抑えるとともに均一な空調を行うことができる空調システム及び空調方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、大容積の空調対象空間に対して空調を行う空調システムであって、この空調システムは、空気を吸湿性物質に接触させて、前記空調対象空間内の空気との間に水蒸気分圧差を有する調湿空気を生成する調湿手段と、前記調湿手段で生成された調湿空気を前記空調対象空間に供給する給気手段と、前記空調対象空間内の空気に対して温調を行う温調手段とを備え、前記空調対象空間における前記水蒸気分圧差を是正する作用によって、空調対象空間内の熱エネルギーを拡散させる。
【0012】
このように、本発明の空調システムは、空調対象空間内の空気の水蒸気分圧に対して分圧差を有する調湿空気を空調対象空間に供給する。この分圧差は空調対象空間で瞬時に是正されるので、これによって、空調対象空間内で熱エネルギーが瞬時に分散する。よって、大容積の空調対象空間に対して空調を行う場合に、従来の通常の居室空調のように空調対象空間に対して大きな供給量の空調空気を供給しなくても、空調対象空間に対して、すばやく均一に空調を行うことができる。
【0013】
本発明の空調システムにおいて、前記温調手段は、温風器であり、前記調湿手段は、前記空調対象空間の空気の水蒸気分圧よりも高い水蒸気分圧を有する調湿空気を生成する。この構成により、暖房をする際には、正の熱エネルギーを有する調湿空気が空調対象空間に供給され、温風器から与えられる正の熱エネルギーとともに、正の熱エネルギーが瞬時に拡散されることで、空調対象空間内の空気の熱エネルギーが均一に増加して、均一に温度が上昇する。
【0014】
本発明の空調システムにおいて、前記温調手段は、冷風器であり、前記調湿手段は、前記空調対象空間の空気の水蒸気分圧よりも低い水蒸気分圧を有する調湿空気を生成する。この構成により、冷房をする際には、負の熱エネルギーを有する調湿空気が空調対象空間に供給され、冷風器から与えられる負の熱エネルギーとともに、負の熱エネルギーが瞬時に拡散されることで、空調対象空間内の空気の熱エネルギーが均一に減少して、均一に温度が低下する。
【0015】
本発明の空調システムにおいて、前記水蒸気分圧差は、100Pa以上であってよく、前記給気手段にて供給される1時間当たりの給気量は、前記空調対象空間の容積の10分の1以下であってよい。また、本発明の空調システムにおいて、前記水蒸気分圧差は、1KPa以上であってよい。
【0016】
本発明の空調システムは、例えば、栽培ハウスやビルの階段室を空調対象空間とする空調システムとして好適に用いられる。
【0017】
本発明の空調方法は、大容積の空調対象空間に対して空調を行う空調方法であって、この空調方法は、空気を吸湿性物質に接触させて、前記空調対象空間内の空気との間に水蒸気分圧差を有する調湿空気を生成し、生成された調湿空気を前記空調対象空間に供給し、前記空調対象空間内の空気に対して温調を行い、前記空調対象空間における前記水蒸気分圧差を是正する作用によって、空調対象空間内の熱エネルギーを拡散させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、大容積の空調対象空間に対して、温調を行うとともに、この空調対象空間内の空気との間に水蒸気分圧差を有する調湿空気を供給することで、分圧差是正の作用によって空調対象空間で熱エネルギーをすばやく均一に拡散できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態の空調システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の調湿装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の空調システム及び調湿装置について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、空調システム70の全体構成を示す図である。本実施の形態では、空調システム70を大容積の空調対象空間である栽培ハウスに適用する場合を例として説明する。空調システム70が適用される栽培ハウスHは、例えば、ビニールハウス、プラスチックハウスであり、植物Pを生育するための環境を提供している。栽培ハウスHは、横100m、縦20m、高さ10mであって、長手方向の壁の上端から斜めに屋根が延びた形状を有しており、空調対象空間となる内部空間は約15000mの容積を有している。なお、本発明の空調システムは、ビルの階段室を含む他の大容積の空調対象空間に対しても適用可能である。
【0022】
空調システム70は、栽培ハウスH内の空気に対して空調を行うための調湿装置1を有している。調湿装置1は、外部から取り込んだ空気の湿度を調整して、栽培ハウスH内に供給する。調湿装置1には、コジェネ発電機73にて発生した排熱が供給される。空調システム70は、コジェネ発電機73の排熱を利用することにより、エネルギー利用効率の向上を図っている。栽培ハウスH内には、栽培用の照明71及び温湿度センサ72が設けられている。栽培用の照明71には、コジェネ発電機73によって発電された電力が供給される。
【0023】
空調システム70は、調湿装置1及び温湿度センサ72に接続された制御装置74を有している。制御装置74は、温湿度センサ72から栽培ハウスH内の温度及び湿度の情報を受ける。制御装置74は、温湿度センサ72から受けた温度及び湿度の情報に基づいて、調湿装置1に制御信号を送ることで、調湿装置1を制御する。調湿装置1は制御信号に基づいて、処理機10、再生機40及びヒートポンプ30等を駆動して、加湿又は除湿の調湿動作を行う。
【0024】
栽培ハウスH内の空気は、図示しない排気口から排出される。排気口は、調湿装置1により調湿が行われるときにのみ開放され、調湿装置1が作動していないときには閉じられる。排気口は比較的小さく、調湿装置1による調湿空気の供給圧力により、栽培ハウスH内から栽培ハウスHの外への空気の流れが形成される。これにより、排気口からの微細生物等の侵入を防止できるとともに、外気が栽培ハウスH内に入り込んで空調負荷が大きくなることを防止できる。なお、比較的大きい虫の侵入を防止するために、排気口に防虫フィルタを設けることが好ましい。
【0025】
空調システム70は、栽培ハウスH内に、内気燃焼温風器75と、冷房用送風機76とを有している。内気燃焼温風器75は、栽培ハウスH内の酸素を燃焼して温風を生成する暖房装置である。内気燃焼温風器75は、炭酸ガス施用器としての機能をも有している。栽培ハウスH内の二酸化炭素濃度が低下した場合には、内気燃焼温風器75によって二酸化炭素を施用できる。
【0026】
冷房用送風機76は、地下水又は用水によって空気を水冷して冷風を生成する冷房装置である。本実施の形態では、調湿装置1にて湿度(潜熱)を調整された調湿空気を栽培ハウスH内に供給しているので、冷房によって室温(顕熱)をそれほど低下させなくても、栽培ハウスH内の熱エネルギーを低下させることができる。従って、地下水又は用水を利用した緩やかな冷房によって、植物Pの生育に適切な環境を作り出すことができる。
【0027】
[調湿装置]
まず、調湿装置1の概略構成について説明する。図2は、空調システム70で用いられる調湿装置1の構成を示す図である。調湿装置1は、栽培ハウスHの外部から取り込んだ空気を処理して栽培ハウスH内に供給する処理機10を有している。処理機10は、取り込んだ空気を吸湿性物質としての吸湿性液体Lと気液接触させることにより、湿度を調整する。
【0028】
本実施の形態では、吸湿性液体Lとして、塩化リチウム(LiCl)を用いている。塩化リチウムは、高い粉塵除去作用、殺菌力を有するので、外部から取り込まれた空気は、塩化リチウムと気液接触することにより、水分の授受を行うだけでなく、清浄化もされる。なお、吸湿性液体Lとしては、塩化リチウムに限らず、食塩水などの潮解性を有する塩の溶液や、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの吸湿性の高い多価アルコール、その他の吸湿性、殺菌力、粉塵除去力を有する安価な液体を用いてもよい。また、吸湿性物質として、吸湿性液体ではなく、シリカゲル等の吸着剤を用いてもよい。
【0029】
調湿装置1は、処理機10での処理に用いた吸湿性液体Lの再生を行う再生機40を有する。ここで、吸湿性液体Lの再生とは、調湿を行うことによって濃度の変化した吸湿性液体Lを調湿処理前の状態に戻すことをいう。例えば、除湿処理は、溶液濃度の高い吸湿性液体Lを冷却し、冷却した吸湿性液体Lに空気を通すことにより、吸湿性液体Lによって空気中の水分を吸収する。この処理によって吸湿性液体Lの溶液濃度は低くなるが、溶液濃度が低い吸湿性液体Lでは十分な除湿を行えない。溶液濃度の低くなった吸湿性液体Lから水分を脱離させる再生処理によって、溶液濃度の高い吸湿性液体Lに戻す。加湿処理の場合は、逆に、吸湿性液体Lの溶液濃度が高くなるので、吸湿性液体Lに水分を吸収させる再生処理によって溶液濃度の低い吸湿性液体Lに戻す。
【0030】
図2では、一台の処理機10に対して一台の再生機40が接続された例を示しているが、例えば、複数の栽培ハウスHのそれぞれに処理機10が設けられている場合には、複数台の処理機10に対して一台の再生機40を接続する構成としてもよい。
【0031】
処理機10と再生機40は、第1の吸湿液管路61および第2の吸湿液管路62によって接続されている。第1の吸湿液管路61は、処理機10から再生機40へ吸湿性液体Lを送るための管路であり、第2の吸湿液管路62は、再生機40から処理機10へ吸湿性液体Lを送るための管路である。第1の吸湿液管路61、第2の吸湿液管路62を用いて、処理機10と再生機40との間で吸湿性液体Lを循環させることにより、処理機10にて用いた吸湿性液体Lを再生機40にて再生し、処理機10に戻す。
【0032】
[処理機]
次に、処理機10の構成について説明する。処理機10は、空気と吸湿性液体Lとの気液接触を行うための充填材14と、充填材14に対して吸湿性液体Lを滴下する吸湿液供給部15とを収容した筐体11を備えている。吸湿液供給部15から滴下された吸湿性液体Lは充填材14を通ってゆっくりと流れ落ちる。従って、吸湿性液体Lは、充填材14に一時的に滞留する。筐体11の下部には、充填材14を通過した吸湿性液体Lを溜める液槽16を有する。
【0033】
筐体11には、空気を取り込むための取込口12と空気を排出するための排気口13とが形成されている。取込口12には、筐体11内への砂や埃の侵入を防止する砂塵フィルタ18と、砂塵フィルタを通過した虫の侵入を防止する防虫フィルタ19が取り付けられている。排気口13には、外部から取り込んだ空気を栽培ハウスHに送り込むためのファン17が設けられている。このファン17が回転することにより、栽培ハウスHの外部から筐体11内に空気が取り込まれ、図2に矢印で示す経路を通って栽培ハウスH内に送り込まれる。また、排気口13にも防虫フィルタ20が取り付けられている。
【0034】
図2に示すように、充填材14は、空気が通る通路上に設けられているので、取込口12から取り込まれた空気は充填材14を通過する。前述したように、充填材14には、吸湿性液体Lが滞留しているので、吸湿性液体Lと充填材14を通過する空気との間で水分の授受が行われ、除湿又は加湿が行われる。また、塩化リチウムの粉塵除去作用および殺菌作用により、充填材14を通過する空気は清浄化される。充填材14は、図2に示すように、空気の通路を塞ぐようにして設けられ、筐体11の内面と充填材14との隙間がない。従って、栽培ハウスH内に導入される空気は、確実に充填材14を通過する。
【0035】
処理機10は、液槽16内の吸湿性液体Lを吸湿液供給部15に供給するための管21を有している。管21にはポンプ22が取り付けられており、液槽16内の吸湿性液体Lを吸い上げる。
【0036】
この管21には、ヒートポンプ30の第1の熱交換器31が設けられており、第1の熱交換器31によって吸湿性液体Lを加熱又は冷却する。第1の熱交換器31は、処理機10の吸湿液供給部15から供給される吸湿性液体Lの温度を制御する。吸湿性液体Lを加熱するか冷却するかは、処理機10によって空気を加湿するか除湿するかによる。すなわち、処理機10が加湿処理を行う場合には、吸湿性液体Lに含まれた水分を空気中に放出させるために吸湿性液体Lを加熱する。逆に、処理機10が除湿処理を行う場合には、空気中の水分を吸湿性液体Lに吸収させやすくするために吸湿性液体Lを冷却する。
【0037】
液槽16内の吸湿性液体Lを再生機40に送るための第1の吸湿液管路61は、液槽16から吸湿性液体Lを吸い上げるための管21に三方バルブ23を介して接続されている。三方バルブ23は、処理機10の吸湿液供給部15に送る吸湿性液体Lの量と第1の吸湿液管路61を通じて再生機40に送る吸湿性液体Lの量を制御する。本実施の形態では、三方バルブ23は、(吸湿液供給部15へ送る吸湿性液体Lの量):(再生機40に送る吸湿性液体Lの量)が、8:2から9:1の割合になるように制御する。
【0038】
第1の吸湿液管路61には、第2の熱交換器32が設けられており、再生機40に供給される吸湿性液体Lを冷却又は加熱する。第2の熱交換器32は、再生機40に供給される吸湿性液体Lの温度を制御する。第1の熱交換器31と第2の熱交換器32とはヒートポンプ30を構成しており、第1の熱交換器31と第2の熱交換器32との間で熱が移動する。
【0039】
ここでヒートポンプ30の構成について説明する。ヒートポンプ30は、第1の熱交換器31と、第2の熱交換器32と、圧縮機33と、膨張弁34と、これらをつなぐ冷媒管35とを備えている。ヒートポンプ30は、冷媒の流れを逆転させることにより、第1の熱交換器31を蒸発器あるいは凝縮器として機能させることができる。第2の熱交換器32は、第1の熱交換器31とは逆の処理を行う。
【0040】
[再生機]
次に、再生機40について説明する。再生機40は、処理機10から送られてきた吸湿性液体Lと空気とを気液接触させて、吸湿性液体Lを再生する。再生機40は、空気と吸湿性液体Lとの気液接触を行うための充填材44と、充填材44に対して吸湿性液体Lを滴下する吸湿液供給部45とを収容する筐体41を有している。また、筐体41の下部には、充填材44を通過した吸湿性液体Lを溜める液槽46を有する。
【0041】
吸湿液供給部45は、第1の吸湿液管路61を通じて送られてくる吸湿性液体Lを充填材44に供給する吸湿液供給部45aと、液槽46から吸い上げた吸湿性液体Lを充填材44に供給する吸湿液供給部45bとを有する。第1の吸湿液管路61に設けられたヒートポンプ30の第2の熱交換器32が吸湿性液体Lを加熱又は冷却するかは、再生機40によって吸湿性液体Lを濃縮するか希釈するかによる。すなわち、再生機40が吸湿性液体Lの濃縮を行う場合には、吸湿性液体Lに含まれた水分を空気中に放出させるために吸湿性液体Lを加熱する。逆に、再生機40が吸湿性液体Lを希釈する場合には、空気中の水分を吸湿性液体Lに吸収させやすくするために吸湿性液体Lを冷却する。
【0042】
筐体41には、空気を取り込むための取込口42と空気を排出するための排気口43とが形成されている。取込口42には、筐体41内への砂や埃の侵入を防止する砂塵フィルタ56と、砂塵フィルタ56を通過した虫の侵入を防止する防虫フィルタ57が取り付けられている。
【0043】
排気口43には、筐体41内から空気を排出するためのファン47が設けられている。このファン47が回転することにより、筐体41内の空気が外部に排出され、筐体41内が筐体41の外部に対して負圧となるので、取込口42を通じて空気が筐体41内に流れ込む。また、排気口43にも防虫フィルタ58が取り付けられている。これにより、ファン47が停止している際にも、排気口43から筐体41内への虫の侵入を防止できる。
【0044】
図2において、矢印は、空気の流れを示す。図2に示すように、取込口42から取り込まれた空気は充填材44を通過する。充填材44には、吸湿性液体Lが滞留しているので、吸湿性液体Lと空気との間で水分の授受が行われる。これにより、吸湿性液体Lが再生される。
【0045】
再生機40は、液槽46内の吸湿性液体Lを第1の吸湿液管路61に供給する管49を有している。液槽46内の吸湿性液体Lは、ポンプ50によって第1の吸湿液管路61に吸い上げられる。吸湿性液体Lは、第2の熱交換器32を通じて再生機40に再び供給される。
【0046】
再生機40は、液槽46の吸湿性液体Lを吸湿液供給部45bに供給するための供給管51を有している。供給管51には、ポンプ52が取り付けられており、液槽46内の吸湿性液体Lを吸い上げる。また、この管51には、加熱源53が設けられている。この加熱源はコジェネ発電機73の排熱を利用して、管51を流れる吸湿性液体Lを加熱する。
【0047】
加熱源53は、第2の熱交換器32による温度制御に加えて温度を上昇させたい場合には、液槽46から吸い上げた吸湿性液体Lを加熱する。加熱された吸湿性液体Lは、吸湿液供給部45bから充填材44に滴下され、充填材44において気液接触される。充填材44を通過した吸湿性液体Lは、液槽46に入る。このように吸湿性液体Lを循環させることにより、再生機40は吸湿性液体Lの再生処理を行う。
【0048】
再生機40は、液槽46に給水を行う給水管54を有する。給水管54上には、バルブ55が設けられており、バルブ55によって給水の制御を行う。
【0049】
液槽46の吸湿性液体Lは、第2の吸湿液管路62を通じて処理機10に戻る。再生機40から処理機10に戻る吸湿性液体Lの量は、バルブ63によって調整される。本実施の形態では、バルブ63は、液槽46内の吸湿性液体Lの液面の高さが一定になるように、処理機10へ戻す吸湿性液体Lの量を制御する。
【0050】
調湿装置1は、第1の吸湿液管路61と第2の吸湿液管路62との間で熱交換を行う熱交換器64を有している。この熱交換器64は、第1の吸湿液管路61を流れる吸湿性液体Lと第2の吸湿液管路62を流れる吸湿性液体Lの温度差を低減し、ヒートポンプ30の汲み上げ温度差の低減に寄与する。
【0051】
[空調システムの動作]
次に、本実施の形態の空調システム70の動作について説明する。空調システム70は、温湿度センサ72によって栽培ハウスH内の空気の温度及び湿度を測定し、栽培ハウスH内の空気の温度及び湿度が所定の値又は所定の範囲内の値を保持するように空調を行う。例えば、栽培ハウスH内の空気の温度が所定の閾値を下回った場合に、栽培ハウスH内の空気の温度が目標温度になるまで、栽培ハウスH内の空気の温度を上昇させる空調を行う。また、栽培ハウスH内の空気の温度が所定の閾値を上回った場合には、栽培ハウスH内の空気の温度が目標温度になるまで、栽培ハウスH内の空気の温度を低下させる空調を行う。これらの動作は、制御装置74が温湿度センサ72から得た温度及び湿度の情報に基づいて調湿装置1を制御することで実行される。
【0052】
最初に、栽培ハウスH内の空気の温度を低下させる場合の空調動作について説明する。この場合、冷房用送風機76を作動させて、栽培ハウスH内に冷風を供給するとともに、調湿装置1は、外気を除湿して、栽培ハウスH内の空気よりも水蒸気分圧の低い調湿空気を生成して、栽培ハウスH内に供給する。このとき、冷房用送風機76における冷風の供給量は、栽培ハウスHの容積に対して、0.1回/h程度であってよい。
【0053】
調湿装置1は、ヒートポンプ30の第1の熱交換器31を蒸発器、第2の熱交換器32を凝縮器として機能させる。処理機10の液槽16には、溶液濃度の高い吸湿性液体Lを入れておく。
【0054】
処理機10は、液槽16から溶液濃度の高い吸湿性液体Lを吸い上げ、蒸発器として機能する第1の熱交換器31にて吸湿性液体Lを冷却した上で吸湿液供給部15に供給する。空気処理部11では、吸湿性液体Lを充填材14に滴下する。滴下された吸湿性液体Lは、充填材14をゆっくりと通過して液槽16に戻る。
【0055】
処理機10は、上記の動作と同時に、排気口13に設けられたファン17を回転させることにより、筐体11内に空気を取り込み、充填材14にて空気と吸湿性液体Lとの気液接触を行った後に、処理後の空気を、排気口13を通じて栽培ハウスH内に供給する。充填材14には溶液濃度が高くかつ低温の吸湿性液体Lが存在するので、空気中の水分が吸湿性液体Lによって吸収され、除湿された調湿空気が栽培ハウスH内に供給される。なお、吸湿性液体Lと空気との間で熱交換も同時に行われるので、調湿空気は冷却される。
【0056】
ここで、処理機10は、栽培ハウスH内の空気より湿度の低い(水蒸気分圧の低い)調湿空気を生成する。この調湿空気の1時間あたりの栽培ハウスHへの供給量は、栽培ハウスHの容積の10分の1とし、即ち、処理機10は、0.1回/hの調湿空気を供給する。
【0057】
処理機10が除湿動作を継続して行うと、吸湿性液体Lは希釈されて、空気中の水分を吸収しにくくなり除湿効率が低下するので、吸湿性液体Lを再生機40によって再生する。調湿装置1は、処理機10の液槽16から吸い出した吸湿性液体Lのうちの一部を第1の吸湿液管路61に供給し、再生機40に送る。再生機40に送る吸湿性液体Lの量は、三方バルブ23によって調節する。
【0058】
第1の吸湿液管路61の途中には、凝縮器として機能する第2の熱交換器32が配設されており、再生機40に送られる吸湿性液体Lは第2の熱交換器32によって加熱される。再生機40は、第1の吸湿液管路61から供給される溶液濃度の低くなった吸湿性液体Lの再生処理を行う。具体的には、吸湿液供給部45aは、第2の熱交換器32によって加熱された吸湿性液体Lを充填材44に滴下する。滴下された吸湿性液体Lは、充填材44を通って液槽46に入る。
【0059】
再生機40は、上記の動作と同時に、排出口43に設けられたファン47により、筐体41内から空気を排出する。これにより、取込口42を通じて筐体41内に空気が流れ込む。流れ込んだ空気は、充填材44にて吸湿性液体Lと気液接触した後、排出口43から排出される。空気が吸湿性液体Lと接触することにより、高温の吸湿性液体Lから水分が脱離して空気中に逃げ、吸湿性液体Lの濃度が高くなる。充填材44を通過した吸湿性液体Lは、液槽46に入る。
【0060】
液槽46内の吸湿性液体Lの一部は、ポンプ52によって吸い上げられ、供給管51を通じて吸湿液供給部45bに供給される。この際、加熱源53は、吸湿性液体Lを加熱する。これにより、吸湿性液体Lの水分がいっそう放出されやすい状態となり、再生機40は効率の良い濃縮処理を行える。
【0061】
また、液槽46内の吸湿性液体Lの一部は、第1の吸湿液管路61に供給される。第1の吸湿液管路61に供給された吸湿性液体Lは、第2の熱交換器32によって加熱されて吸湿液供給部45aに再び供給される。このように充填材44と液槽46との間で吸湿性液体Lが循環することにより、徐々に吸湿性液体Lの濃度が高くなっていく。
【0062】
再生処理が行われた液槽46内の吸湿性液体Lは、第2の吸湿液管路62を通って処理機10に戻る。吸湿性液体Lは、処理機10に戻る途中で、熱交換器64によって、再生機40に向かう吸湿性液体Lと熱交換が行われ、温度が低下する。
【0063】
上述のように、処理機10は、栽培ハウスH内の空気の水蒸気分圧よりも低い水蒸気分圧を有する調湿空気を生成して、栽培ハウスHに供給する。例えば、栽培ハウスH内の空気の水蒸気分圧が241Paである場合に、制御装置74が調湿装置1を制御することで、処理機10は、水蒸気分圧が138Paである調湿空気を生成して、栽培ハウスH内に供給する。このときの処理機10から栽培ハウスHへの調湿空気の供給量は、1500m/hとする。栽培ハウスHの容積が15000mであるので、この給気量は、0.1回/hとなる。
【0064】
栽培ハウスHへ調湿空気を供給すると、栽培ハウスH内の空気の水蒸気分圧241Paと調湿空気の水蒸気分圧138Paとの分圧差−103Paを是正する作用によって、冷房用送風機76から供給される冷風の負の熱エネルギーとともに、栽培ハウスH内で負の熱エネルギーが瞬時に拡散し、栽培ハウスH内の空気の温度はすばやく均一に低下する。以上、空調システム70によって栽培ハウスH内の温度を低下させる動作について説明した。
【0065】
次に、栽培ハウスH内の空気の温度を上昇させる場合の空調動作について説明する。この場合、内気燃焼温風器75を作動させて、栽培ハウスH内に温風を供給するとともに、調湿装置1は、外気を加湿して、栽培ハウスH内の空気よりも水蒸気分圧が高い調湿空気を生成して、栽培ハウスH内に供給する。このとき、内気燃焼温風器75における温風の供給量は、栽培ハウスHの容積に対して、0.1回/h程度であってよい。
【0066】
調湿装置1にて空気を加湿する場合には、ヒートポンプ30は、第1の熱交換器31を凝縮器、第2の熱交換器32を蒸発器として機能させる。処理機10の液槽16には、溶液濃度の低い(水分を多く含んだ)吸湿性液体Lを入れておく。加湿処理の場合は、基本的には、調湿装置1は、除湿処理と反対の動作を行う。
【0067】
処理機10は、溶液濃度の低い吸湿性液体Lを加熱して充填材14に滴下する一方で、取り込んだ空気を充填材14に通すことにより、吸湿性液体Lから水分を放出させて空気を加湿する。なお、吸湿性液体Lと空気との間で熱交換も同時に行われ、空気は加熱される。
【0068】
ここで、処理機10は、栽培ハウスH内の空気より湿度の高い(水蒸気分圧の高い)調湿空気を生成する。この調湿空気の1時間あたりの栽培ハウスHへの供給量は、栽培ハウスHの容積の10分の1とし、即ち、処理機10は、0.1回/hの調湿空気を供給する。
【0069】
処理機10が加湿動作を継続して行うと、吸湿性液体Lは濃縮されて、空気中に放出される水分が少なくなるので、吸湿性液体Lを再生機40によって再生する。調湿装置1は、処理機10の液槽16から吸い出した吸湿性液体Lのうちの一部を第1の吸湿液管路61に供給し、再生機40に送る。
【0070】
再生機40に送られる吸湿性液体Lは、第1の吸湿液管路61にある第2の熱交換器32によって冷却される。冷却された吸湿性液体Lは、再生機40の吸湿液供給部45aに供給される。吸湿液供給部45aが冷却された濃度の高い吸湿性液体Lを充填材44に滴下する一方で、外部から取り込んだ空気を充填材44に通すことにより、吸湿性液体Lに水分を吸収させる再生処理を行う。充填材44を通過した吸湿性液体Lは液槽46に入る。
【0071】
液槽46内の吸湿性液体Lの一部は、ポンプ52によって吸い上げられ、供給管51を通じて吸湿液供給部45bに供給される。また、液槽46内の吸湿性液体Lの一部は、第1の吸湿液管路61に供給される。第1の吸湿液管路61に供給された吸湿性液体Lは、第2の熱交換器32によって冷却されて吸湿液供給部45aに再び供給される。このように、充填材44と液槽46との間で吸湿性液体Lが循環することにより、徐々に吸湿性液体Lの濃度が低くなっていく。
【0072】
吸湿性液体Lの希釈再生を行う際には、外気から吸湿性液体Lへ水分を取り込むことに代えて、吸湿性液体Lに直接に給水することにより、吸湿性液体Lを希釈してもよい。再生機40は、給水管54のバルブ55を開け、液槽46に給水を行う。再生処理が行われた液槽46内の吸湿性液体Lは、第2の吸湿液管路62を通って処理機10に戻る。
【0073】
上述のように、処理機10は、栽培ハウスH内の空気の水蒸気分圧よりも高い水蒸気分圧を有する調湿空気を生成して、栽培ハウスHに供給する。栽培ハウスH内の空気と調湿空気との水蒸気分圧差は、望ましくは100Pa以上とし、より望ましくは1KPa以上とする。例えば、栽培ハウスH内の空気の水蒸気分圧が138Paである場合に、制御装置74が調湿装置1を制御することで、処理機10は、水蒸気分圧が241Paである調湿空気を生成して、栽培ハウスH内に供給する。このときの処理機10から栽培ハウスHへの調湿空気の給気量は、1500m/hとする。栽培ハウスHの容積が15000mであるので、この供給量は、0.1回/hとなる。
【0074】
栽培ハウスHへ調湿空気を供給すると、栽培ハウスH内の空気の水蒸気分圧241Paと調湿空気の水蒸気分圧138Paとの分圧差103Paを是正する作用によって、内気燃焼温風器75から供給される温風の正の熱エネルギーとともに、栽培ハウスH内で正の熱エネルギーが瞬時に拡散し、栽培ハウスH内の空気の温度はすばやく均一に上昇する。以上、空調システム70によって栽培ハウスH内の温度を上昇させる動作について説明した。
【0075】
上記したとおり、栽培ハウスH内の空気の温度を下げたい場合には、処理機10にて空気を除湿して水蒸気分圧の低い調湿空気を生成するが、このとき、空気は冷却された吸湿性液体Lと気液接触されることで、吸湿性液体Lとの間で熱交換が行われる。この熱交換によって、空気の熱エネルギーが吸湿性液体Lに奪われて、調湿空気の熱エネルギーは低くなる。よって、このような熱エネルギーの低い調湿空気と栽培ハウスH内の空気との間で熱エネルギーの交換が行われることで、栽培ハウスH内の空気の温度を低下させることができる。
【0076】
一方、栽培ハウスH内の空気の温度を上げたい場合には、処理機10にて空気を加湿して水蒸気分圧の高い調湿空気を生成するが、このとき、空気は加熱された吸湿性液体Lと気液接触されることで、吸湿性液体Lとの間で熱交換が行われる。この熱交換によって、吸湿性液体Lから空気に熱エネルギーが与えられて、調湿空気の熱エネルギーは高くなる。よって、このような熱エネルギーの高い調湿空気と栽培ハウスH内の空気との間で熱エネルギーの交換が行われることで、栽培ハウスH内の空気の温度を上昇させることができる。
【0077】
本実施の形態の空調システム70では、調湿装置1が、栽培ハウスH内の空気の水蒸気分圧に対して大きな分圧差を有する調湿空気を供給するので、この分圧差を是正する作用によって、栽培ハウスH内にて熱エネルギーが瞬時に拡散することになる。よって、0.1回/hという少ない供給量の温風又は冷風で、すばやく均一に栽培ハウスH内の空気の温度を上昇又は低下させることができる。
【0078】
なお、本実施の形態の空調システム70では、分圧差が大きいほど、ハウスH内での分圧差是正による熱エネルギー分散の効果は大きくなる。また、給気量が大きいほど、ハウスH内での分圧差是正による熱エネルギー分散の効果は大きくなる。よって、給気量を大きくしなくても、分圧差を大きく取ることで、十分に分圧差是正による熱エネルギー分散の効果を期待できる。もちろん、大きな分圧差を確保した上で十分な給気量を与えればなおよい。
【0079】
なお、上記した実施の形態では、空調システム70が制御装置74を備え、制御装置74が温湿度センサ72からの温度及び湿度の情報に基づいて調湿装置1を制御したが、本発明はこれに限られない。管理員が温湿度センサ72を確認して調湿装置1を操作することで、上記の空調を実現してもよい。
【0080】
また、上記した実施の形態では、ヒートポンプ30を用いて、吸湿性液体Lの温度を制御する例について説明したが、必ずしもヒートポンプ30を用いる必要はない。例えば、コジェネ発電機73から十分な温度の排熱が得られる場合には、これを利用して吸湿性液体Lを加熱することとしてもよいし、地下水や用水を利用して吸湿性液体Lを冷却してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、空調対象空間の容積に対して空調対象空間を均一に空調できるという優れた効果を有し、大型の栽培ハウス等の大容積の空間に対して空調を行う空調システムに適用できる。
【符号の説明】
【0082】
1 調湿装置
10 処理機
11 筐体
12 取込口
13 排出口
14 充填材
15 吸湿液供給部
16 液槽
17 ファン
18 砂塵フィルタ
19 防虫フィルタ
20 防虫フィルタ
21 管
22 ポンプ
23 三方バルブ
30 ヒートポンプ
31 第1の熱交換器
32 第2の熱交換器
33 圧縮機
34 膨張弁
40 再生機
41 筐体
42 取込口
43 排出口
44 充填材
45 吸湿液供給部
46 液槽
47 ファン
49 管
50 ポンプ
51 供給管
52 ポンプ
53 加熱源
54 給水管
55 バルブ
56 砂塵フィルタ
57 防虫フィルタ
58 防虫フィルタ
61 第1の吸湿液管路
62 第2の吸湿液管路
63 バルブ
64 熱交換器
70 空調システム
71 照明
72 温湿度センサ
73 コジェネ発電機
74 制御装置
75 内気燃焼温風器
76 冷房用送風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大容積の空調対象空間に対して空調を行う空調システムであって、
空気を吸湿性物質に接触させて、前記空調対象空間内の空気との間に水蒸気分圧差を有する調湿空気を生成する調湿手段と、
前記調湿手段で生成された調湿空気を前記空調対象空間に供給する給気手段と、
前記空調対象空間内の空気に対して温調を行う温調手段とを備え、
前記空調対象空間における前記水蒸気分圧差を是正する作用によって、空調対象空間内の熱エネルギーを拡散させることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記温調手段は、温風器であり、
前記調湿手段は、前記空調対象空間の空気の水蒸気分圧よりも高い水蒸気分圧を有する調湿空気を生成する請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記温調手段は、冷風器であり、
前記調湿手段は、前記空調対象空間の空気の水蒸気分圧よりも低い水蒸気分圧を有する調湿空気を生成する請求項1に記載の空調システム。
【請求項4】
前記水蒸気分圧差は、100Pa以上であり、前記給気手段にて供給される1時間当たりの給気量は、前記空調対象空間の容積の10分の1以下である請求項2に記載の空調システム。
【請求項5】
前記水蒸気分圧差は、1KPa以上である請求項4に記載の空調システム。
【請求項6】
前記空調対象空間は、栽培ハウス又はビルの階段室である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の空調システム。
【請求項7】
大容積の空調対象空間に対して空調を行う空調方法であって、
空気を吸湿性物質に接触させて、前記空調対象空間内の空気との間に水蒸気分圧差を有する調湿空気を生成し、
生成された調湿空気を前記空調対象空間に供給し、
前記空調対象空間内の空気に対して温調を行い、
前記空調対象空間における前記水蒸気分圧差を是正する作用によって、空調対象空間内の熱エネルギーを拡散させることを特徴とする空調方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−179699(P2011−179699A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41746(P2010−41746)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(508153925)ダイナエアー株式会社 (9)
【Fターム(参考)】