空間光変調器
空間光変調器システムは、光アドレス型空間光変調器(OASLM)と、該OASLM上に光を送るために配置された電気アドレス型空間光変調器(EASLM)とを含む。第1のコントローラは、陽像及び陰像の両方で前記EASLMをアドレス指定するように構成されている。第2のコントローラは、第1の双極性電圧パルスを前記陽像の受け取りに関連した前記OASLMに印加し、また第2の双極性電圧パルスを前記陰像の受け取りに関連した前記OASLMに印加するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年1月30日出願の米国仮出願番号60/898,167の優先権を主張し、参照により、その明細書はここに組み込まれる。
【0002】
電気アドレス型空間光変調器及び光アドレス型光空間変調器を使用する空間光変調システムである。
【背景技術】
【0003】
空間光変調器(SLM)システムは、三次元(3D)像の生成、広域表示及び光ビームの制御及び操作に用いることができる。前記SLMシステムは、電気アドレス型空間光変調器(EASLM)を含む。前記EASLMは、ディスプレイの全体を構成するセグメントがマトリクス状に配列されている光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に、逐次結像される連続した別の像を生じるように、アドレス指定を受ける。前記OASLM上に全てのコンポーネント像が書き込まれると、完全な画像又はパターンは、例えばレーザ光によって前記OASLMのマトリックス全体を照射することにより、観察者に表示される。このシステムは、Active Tiling(TM)と称されており、米国特許第6,437,919号及び米国特許第6,654,156号で詳細に説明されており、それらの明細書は参照により、ここに組み込まれている。
【0004】
前記SLMシステムは、液晶セルを形成するために2つの電極の支持壁間に配置された液晶材料の層を含む。前記液晶材料は、前記電極への電気波形の適用によって、切り換えられる。液晶材料の特性は、それらが長期の直流電圧の影響下で、悪化することである。前記SLMシステムは、前記液晶材料が実効零直流電圧値に維持されるように、また前記SLMシステムのアドレス指定のための駆動スキームが直流平衡をとるように、設定されている。実効零電圧は、数秒の妥当な時間にわたって維持されるかもしれない。
【0005】
前記EASLMは、スメクチック液晶材料の層を封入する2つの壁で形成された液晶セルを含む。透明電極構造は、一方の壁の行電極帯と、他方の壁の列電極帯として形成される。電極の交差はピクセルを決め、該ピクセルで、適切な行及び列の電極への電圧の印加により、前記液晶材料の光学的状態が切り換えられる。前記電極はディスプレイコントローラによって制御された駆動回路から電気信号を受ける。前記EASLMは、集積回路背面板を使うかもしれない。直流平衡は、陽像を形成すべく前記SLMシステムがアドレス指定を受けた後、逆の、すなわち陰像を形成すべく前記SLMシステムをアドレス指定することにより、達成される。
【0006】
OASLMは、前記EASLMに類似するが、一方の壁の電極と、強誘電性の液晶材料との間に位置する感光性材料の層を含む。前記電極は、電気的接触がセグメント毎で個別に行われるように、各セグメントに分割される。像は、複数のセグメント(場合によっては、セグメントの全て)に適用されるかもしれないが、電圧は、1つのセグメントで前記像のラッチ効果を得るために、その1つのセグメントに印加されるだけである。前記OASLMは、前記電極への電圧の印加及び前記感光性材料の選択された部分への同時的な光の適用によってアドレス指定を受ける。この電圧の印加及び光の適用の組合せは、前記液晶材料の照射を受けた部分を切り換えるが、非照射部分は非切り換え状態に維持される。前記SLMシステムにより生成された表示は、前記OASLMの前記感光層から遠く離れた側から見ることができる。
【0007】
直流平衡を提供するために使用することができる駆動スキームは、またF. Perennes & W. A. Crosslandによる「強誘電性液晶の光学的空間光変調器性能の最適化」、Optical Engineering 36(8)第2294−2301頁、(1997年8月)及びApplied Optics、第31巻、No.32、第6859−6868頁、1992年11月10日発行)に記載されている。空間光変調器の動作理論は、1995年マルセルデッカー社によって出版され、U. Efronによって編集された「空間光変調器テクノロジー、材料、機器及び応用」に記載されている。
【0008】
上記したSLMシステムでは、光のパターンが前記EASLMを透過し又は反射して、次に前記OASLMの各セグメントに送られる。これに代えて、複数の像が前記OASLMの全てのセグメントに適用されるかもしれない。像が前記EASLMに読み込まれ、前記OASLM上に再現され、該OASLM上にラッチされる各時間の後に、等しい時間をかけて反転像が前記EASLMに読み込まれ、該EASLMでの直流平衡を維持するために保持される。この時間は、前記OASLM装置の観点から無駄である。それは、OASLM像の改善に寄与していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,437,919号明細書
【特許文献2】米国特許第6,654,156号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】F. Perennes & W. A. Crossland、「強誘電性液晶の光学的空間光変調器性能の最適化」、Optical Engineering 36(8)第2294−2301頁、(1997年8月)
【非特許文献2】F. Perennes & W. A. Crossland、「強誘電性液晶の光学的空間光変調器性能の最適化」、Applied Optics、第31巻、No.32、第6859−6868頁、1992年11月10日
【非特許文献3】U. Efron、「空間光変調器テクノロジー、材料、機器及び応用」1995年マルセルデッカー社、1995年
【図面の簡単な説明】
【0011】
種々の実施例が、以下の図面を参照して、一例を示すに過ぎないが、説明されるであろう。
【図1】光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に結像する単一の電気アドレス型空間光変調器(EASLM)を有する空間光変調器(SLM)システムを概略的に示し、
【図2】図1の前記SLMシステムの前記OASLMの横断面を概略的に示し、
【図3】双安定の強誘電性液晶装置の層についてのスイッチング特性の様式化された図面であり、
【図4】照明無しで、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図5】照明下で、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定をうけるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図6】単一グラフ上での図4及び5のスイッチング特性を示し、
【図7】照明無しで、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図8】照明下で、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図9】単一グラフ上での図7及び8のスイッチング特性を示し、
【図10】SLMシステムのアドレス指定動作を例示する図式表現であり、
【図11】SLMシステムの3つの新規なアドレス指定方法を示す図式表現(1)であり、
【図12】SLMシステムの3つの新規なアドレス指定方法を示す図式表現(2)であり、
【図13】SLMシステムの3つの新規なアドレス指定方法を示す図式表現(3)であり、
【図14】陰像を後に従える陽像が、前記OASLMによって受け取られる前記OASLMの1セグメントのアドレス指定の図式表現であり、
【図15】前記OASLMの電極へ適用される3つの波形の例(1)を示し、
【図16】前記OASLMの電極へ適用される3つの波形の例(2)を示し、
【図17】前記OASLMの電極へ適用される3つの波形の例(3)を示し、
【図18】SLMシステムアドレス指定方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に結像する単一の電気アドレス型空間光変調器(EASLM)を有する空間光変調器(SLM)システムを概略的に示す。前記SLMシステムは、広い領域の二次元表示又は三次元のホログラフィック像の表示のために、使用することができる。ホログラフィックな表示は、またコンピュータ合成ホログラム(CGH)と称される。
【0013】
図1に示されたSLMシステムは、再コンフィギュレーションが可能なホログラフィック表示を生成するために使うことができる。前記SLMシステムは、光源1を含み、その出力2はレンズ3を通って前記EASLM4上に向けられる。このEASLM4は、スメクチック液晶材料の層が2つのガラス壁間に保持された液晶変調器とすることができる。一方の壁の行電極と、他方の壁の列又は線状の電極とは、電極交点でアドレス指定が可能な素子すなわちピクセルの行列を形成する。電圧がピクセルに印加されると、前記液晶材料は、印加された電界の影響を受けて回転し、伝達する光を変調する。前記EALSMは、速いスイッチング速度を得るために、アクティブ・マトリクス・アドレッシングを使うことができる。前記EASMLは、スメクチック、ネマチック、又はコレステリック材料だけでなく、シリコンアクティブバックプレーン装置又はマイクロミラー装置から成っても良い。
【0014】
EASLM4の前には、光学装置5、前記OASLM6及びさらなるレンズ7がある。OASLM6は、2つのガラス壁間に位置するスメクチック液晶材料層を含む。両方の壁は透明なセグメント電極を担持し、1方の壁は感光性のアモルファスシリコンの層を担持する。OASLM6は、複数の別個のセグメント8から成り、該各セグメントは独立してアドレス指定が可能である。OASLM6が、5×5の行列に配置された25個のセグメントから成るように図示されているが、これと異なる数の独立してアドレス可能な別個のセグメントを有する他のサイズの行列に形成することができる。
【0015】
光学装置5は、連続してセグメント8にEASLM4の出力を一度に1セグメントずつ向けることができる。全てのセグメント8は、例えばラスタ方式で、順次出力を受け取ることができる。EASLM4からの光9が感光性の領域に入射すると、その領域下の液晶層を横切る電圧は変化し、これにより読み出し光源10から照明されると、その反射(又は透過)の特性を変更する。多くの別個のサブ像から形成された大きな表示がOASLM6上に形成される。像は、OASLM6からの光12の反射又は透過のいずれかによって観察することができる。
前記SLMシステムは、EASLM4からの光のパターンがOASLM6を透過して観察者11に伝えられるように、構成することができる。
【0016】
一実施例では、OASLM6は、各セル壁上に一枚の連続する薄板電極がある状態で形成することができる。EASLM4からの光が常時OASLM6の1つのセグメント領域のみに受け取られることを保証するために、シャッターを設けることができる。別の実施例では、OASLM6は、大きな表示を形成すべく、一つになるように置かれた複数の別個に光学的にアドレス可能な空間光変調器で形成される。
【0017】
コンピュータ又はコントローラ13は、EASLM4及びOASLM6に適用される信号を制御する。コントローラ13は、表示される像の電子コピーを含むことができる。ホログラフィック表示に使われるEASLM及びOASLMのさらなる説明は、特許出願EP-1064651、PCT WO-00/2350472、GB98/04996で提供されており、その明細書は、参照によってここに含まれる。
【0018】
OASLM6の特性は、像の生成の制御を容易にする。陽及び陰の両像が逐次適用されるとき、陽及び陰の像の照明される領域及び照明されない領域の両方の切換を達成する電圧の印加は、陽像のみ(又は陰像のみ)を生じるために使うことができる。図2は、図1の前記SLMシステムのOASLM6の横断面を概略的に示し、OASLM6の構造を示す。OASLM6は、第1のガラス層15と、第1の透明電極を形成するインジウム錫酸化物層16と、シリコンフォトセンサ層17と、光遮断層18と、鏡19と、ポリイミド層にブラッシングすることによって形成することができる第1の配向層20とを含む。OASLM6は、さらに、液晶(LC)層21、第2の配向層22、接地される第2のインジウム錫酸化物電極層23及び第2のガラス層24を含む。電圧源25が、OASLM6のスイッチングを制御するために、2つの電極16、23に接続されている。
【0019】
シリコン17と電極層16との間の接合は、ダイオード26として動作する。前記電極間に第1の正電圧が印加されると、このダイオード26は順方向にバイアスされ、電圧のほとんどは、LC層21の全体で降下する。前記電極に第2の負電圧が印加されると、電圧のLC層21での降下を生じさせる書込み光9が適用されない限り、その電圧のほとんどはシリコン層17の全体で降下する。第2の極性のバイアスは、「感光性の方向」と称すことができる。バイアスが感光性の方向にあり、また照明無しであると、LC層21の全体に現れる電圧V1cは、OASLM6の全体に現れる全電圧の容量分割によって与えられる。これは、次のように表される。
Vlc = Csi / (Clc + Csi)
ここで、Csi及びCIcは、それぞれシリコン層17及びLC層21のキャパシタンスである。シリコン層17に電荷が生成されるに従ってLC層21の全体の電圧が上昇する。
【0020】
ショットキーバリアが、シリコンとインジウム酸化錫(ITO)透明電極との接合、例えばダイオード26によって、OASLM6に形成されるかもしれない。これは、フォトダイオードと光導電体との間での何らかの振る舞いを生じる。オーム接触がなされるなら、結果として光導電体の振る舞いを生じる。純粋な光導電体の場合、非照明でアドレス指定を受けた状態で、前記LCの全体での前記電圧の低下を阻止するには充分に低くはない暗電流が生じることがある。他方、フォトダイオードは、p型ドープ、真性及びn型ドープシリコンの堆積を必要とし、複雑な工程になる。逆バイアスの下のフォトダイオード26については、フォトンが前記シリコンに吸収され、正孔及び電子の対が生じると、前記正孔及び電子は、分離し前記接触面に向けてドリフトを生じる。前記遮蔽接触面は、該キャリアが集められると、応答が完結するように、キャリアを止める。光電流は、電子−正孔の一対が各吸収フォトン毎に収集されるので、広いレンジにわたる強度で前記光の強度に応じて線形に変化する。
【0021】
正の印加電圧の適用により、電圧のすべてが前記LCの全体で降下するように、前記フォトダイオードは順方向にバイアスされる。正の電圧が印加されるとき、書き込み光12の存在は、LC層21の状態に大きな影響を与えない。負の印加電圧が適用されると、フォトダイオード26は逆バイアスを受け、前記電流は遮断されるので、LC層21の全体の電圧は変化しない。書き込み光12がフォトダイオード26を照らすと、光電流はLC層21を負電圧に帯電させ、スイッチングを引き起こす。この電圧は、前記駆動電圧が再び正になるまで、LC層21の全体に維持される。
【0022】
セグメント8毎で、ブランキングパルスを電極16、23に適用することができ、これにより液晶材料21のすべて領域は、2つの双安定状態のうちの1つ、例えばオフの状態に、切り換えあるいは維持される。
【0023】
陽のサブ像をEASLM4上に形成し、OASLM6上に投影することができる。OASLM6の入力面上の光パターンと、セグメント電極への電圧の印加の組合せは、液晶分子21の光を受けるところをオン状態に切り換え、残りの該分子をオフ状態に維持する。オン領域とオフ領域とのパターンは、フーリエレンズ7を通してホログラフィック像27として観察者11に表示されあるいは見られるように、回折パターンを形成する。
【0024】
上記の動作は、EASLM4上で生成された陰のサブ像を使って、繰り返すことができる。セグメント上の全ての領域は空白のオフ状態で起動し、該起動状態では光を受けた領域が前記オン状態に切り換えられ、照射を受けない領域が前記オフ状態に維持される。これは、先の陽像がOASLM6上に投影されていると、同じホログラフィック像27を受けているように、観察者11には表示されるか又は見られる回折パターンを形成する。陽及び陰の両像は、ホログラフィック像27として観察のために同じ回折パターンを提供することができる。
【0025】
図3は双安定の強誘電性液晶装置の層についてのスイッチング特性の様式化された図面である。曲線Aは、感光層のない双安定性セルの電極間のFELCD層のスイッチング特性を線図で示す。これは、パルス(絶対値)電圧(|v|)に対する単一パルス長(t)の対数のプロットである。曲線A上の(及び曲線Bによって囲まれた領域における)パルス電圧積(|vt|)については、前記材料はしばしばオン及びオフの状態、あるいは明及び暗の状態又はアップ(UP)及びダウン(DOWN)の状態と呼ばれる2つの許された安定状態の間で切り換わるであろう。前記材料は極性に敏感で、例えば、それは適正な陽極積|vt|によってオフからオンに切り換わるが、同じ積|vt|であるが負符号を受けると同じオフ状態に維持される。図3の単純化した曲線は、完全なスイッチングを示す。実際には、前記曲線は、より複雑である。曲線Aの直下かつ破線の上の積|vt|で、前記材料は部分的に切り換わるであろう。前記破線はスイッチングの開始を示す。
【0026】
曲線の位置及び形態は、前記LC材料及びその層厚さに依存し、また印加電圧パルスの形状によって変わる。正のパルスが後に続く負電圧は、より大きな正のパルスが後に続く小さな正パルスとは異なる曲線を結果として生じる。温度変化は、さらに前記曲線の形態及び位置に差違をもたらす。
【0027】
曲線A及びBは、双極性パルスの適用にあたる。曲線Aは、前記材料が異極性のパルス対、すなわち負電圧パルスが続く正電圧及びその逆、のうちの引きずりパルスに切り換わるときに、あてはまる。曲線Bは、前記材料が双極性パルス対の引きずりパルスではなく、先導パルスで切り換わる、ある材料及び厚さの組合せにあてはまる。曲線A及びBは概要であり、説明の目的だけのためである。それらは、双極性パルス対における先導又は引きずりパルスのいずれかを使って、オン及びオフ2つの状態のいずれかにディスプレイをアドレス指定することが可能であることを示す。例えば図3は、*1、*2、*3によって示された3つのvt積の組み合わせを示し、1対(*1、*2)は同じ電圧であるが、あるパルス幅(*2)の前記先導パルス又は他のパルス幅(*1)の引きずりパルスでスイッチングを許す。他の一対(*1、*3)は同じパルス幅であるが、ある電圧(*3)の前記先導パルス又は他の電圧(*1)の前記引きずりパルスでスイッチングを許す。
【0028】
曲線A及びBは、感光層の存在、ダイオード26の影響及び光の有無によって、さらに修正されるかもしれない。前記光伝導体に隣接する電極16に印加される正電圧は、該電極16に負電圧が印加されているときに得られるものと異なる曲線をもたらす。さらに、直前に言及した正及び負の両電圧曲線に、光の有無は異なる曲線をもたらす。
【0029】
スイッチング特性におけるこれらの差異は、EASLM4からの陽像及びEASLM4からの陰像によって照明されるとき、OASLM6上に同じ表示パターンを切り換えるために使うことができる。
【0030】
スイッチング組み合わせ例は、以下に提供される。
【0031】
ここでバイアスは電極12に印加された正(+ve)又は負(-ve)の電圧であり、照明(I)又は非照明(NI)例えば暗は、OASLM6へのEASLMからの光であり、そして、材料は、双極性の波形の先導パルス(LP)又は引きずりパルス(TP)のどちらかで切り換わる。
【0032】
スイッチング特性は、次のようなOASLMについて図4ないし9で示されており、該OASLMは、厚さ1.5μmのMVS(MV Systems社、ゴールデン、デンバー、コロラド州)シリコンの感光層と共に、ラビング処理を受けたDI-32ポリマ(ベルギーのARCH SEMICONDUCTOR CHEMICALS NVから入手できるDURIMIDE 32)配向板を備えるセル内の強誘電体スメクチック液晶材料であって、50:50キラル(chiral)SCE8の混合物及びそのラセミ化合物に等価のSCE8R(CLARIANT社より入手可能)の1.7μmの厚さの層によって形成されている。
【0033】
図4は、照明なしで、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A1は、前記引きずりパルスのスイッチングを示す。スイッチング曲線B1は、負パルス及びその後の正パルスによって形成される双極パルス対の先導パルスでのスイッチングを示す。
【0034】
図5は、照明を受けた状態で、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けたときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A2は、前記引きずりパルスのスイッチングを示す。スイッチング曲線B2は、負パルス及びその後の正パルスによって形成される双極パルス対の前記先導パルスでのスイッチングを示す。
【0035】
図6は、1つのグラフ上で、図4及び5のスイッチング特性を示す。ハッチング付きのエリアは、前記材料が最初に負の先導パルス及びその後の正の引きずりパルスによって形成された双極性パルスの両部分、すなわち照明された1つの部分、照明されていない1つの部分でのスイッチングを生じるところを示す。
【0036】
図7は、照明なしで、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A1は、前記引きずりパルスのスイッチングを示す。スイッチング曲線B1は、正パルス及びその後の負パルスによって形成される双極パルス対の前記先導パルスでのスイッチングを示す。
【0037】
図8は、照明を受けた状態で、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けたときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A2は、前記引きずりパルスでの切り換えを示す。スイッチング曲線B2は、正パルス及びその後の負パルスによって形成される双極パルス対の前記先導パルスでの切り換えを示す。
【0038】
図9は、1つのグラフ上で、図7及び8のスイッチング特性を示す。ハッチング付きのエリアは、前記材料が最初に正の先導パルス及びその後の負の引きずりパルスによって形成された双極性パルスの両部分、照明された1つの部分、照明されていない1つの部分でのスイッチングを生じるところを示す。
【0039】
図10は、図1のSLMシステムなどのSLMシステムのアドレス指定動作を説明する図的表現である。EASLM、OASLM及び読み出し光に関連した動作は、第1のセグメントS1、第2のセグメント及び第nのセグメントS25に対応して、時間に対してプロットされている。セグメント(n)の数は、OASLM行列の中のセグメントの数に一致しており、一例では、25個のセグメントから成る5×5の行列で示されている。
【0040】
アドレス指定動作の開始では、前記EASLMは、第1のセグメントS1と関連する陽像を読み込むようにアドレス指定を受ける。前記OASLMに電圧が印加されると同時に、該OASLMのセグメントS1に陽の像が投影され、その結果、前記陽のサブ像が前記液晶材中にラッチを掛けられる。次に、S1のための陰像が前記EASLMに読み込まれるが、前記OASLMに電圧は印加されず、該OASLMに読み出されない。
【0041】
これらのステップは、前記OASLMのすべてのセグメントがアドレス指定をうけ、完全な画像が前記OASLMに形成されるまで、繰り返される。読み出し光は、適正な時間又はフレームレートに適用され、その結果、完全な画像が表示されあるいは形成される。前記時間は、完全な画像を人の目が認めることができるか記録することができかの能力に対応するであろう。前記読み出し光は、その時、スイッチを切られ、もし異なる完全な画像が表示されるならば、例えば繰り返す前記画像が連続する動きの効果を生み出すために迅速に連続して表示されるならば、前記工程は繰り返される。
【0042】
前記OASLMで直流平衡を得るために、アドレス指定の開始前にブランキング電圧を印加することができる。このブランキングパルスは、帰線消去と直流平衡との両方を提供するために、準備することができる。さらに、特別な電圧周期を導入することができる。
【0043】
図10から、如何なる情報も前記OASLMに書き込まれていないかなりの時間があることは明白である。像を成形すべく前記OASLMが使うことができるのは、前記EASLMアドレス時間の半分より少ない時間なので、これは効率を減少させる。例えば、アドレスを受けること及び像の保持でEASLMによってとられる全時間は、約300から1000μ秒である。前記OASLMによってアドレスを受けることで使用される時間は約50から5000μ秒であり、前記読み取り光の照射によって使用される時間は約30m秒である。
【0044】
図11から13までは、SLMシステムでのアドレッシングの3つの新規な方法の図的表現である。図1の前記SLMシステムのようなSLMシステムを操作する第1の方法が図11に示されている。EASLM4は、1つのより大きい像の一部の陽サブ像を形成するために、コンピュータ13の制御下で、アドレス指定を受ける。このサブ像は、OASLM6を形成しているセグメント8の1つ(例えば第1のセグメントS1)のシリコン層17上に光学装置5を経て(例えば、OASLM6への書き込み光として)投影される。同時に、第1の双極性アドレスパルス対が、前記OASLM電極16に適用される。その結果、そのセグメント8(例えば第1のセグメントS1)の強誘電体材料21は、EASLM4上の陽像の複写に切り換えられる。
【0045】
この工程は、読み出し光12が適用されるときに表示されるかあるいは観察者11によって見ることができる陽像で、前記OASLM6のすべてのセグメント8(例えば第1のセグメントS1から第nのセグメントS25まで)がアドレス指定を受けるまで、繰り返される。陽像でOASLM6の全体をアドレス指定するためにかかる時間は、アドレス指定を受ける行列FELCDのそれと似て、第1のフィールド時間と呼ぶことができる。この陽像は、強誘電体材料の双安定のスイッチング特性により、存続する。一実施例では、セグメント1が陽像によってアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスがOASLM6に適用される。
【0046】
一実施例では、逆の像すなわち前記陽サブ像についての負サブ像を形成すべく、EASLM4へのアドレス指定と共に、上記のアドレス指定動作は繰り返される。各セグメント8が照明されているとき、第2の双極性アドレスパルス対を電極16に適用することができる。陰像でOASLM6の全体をアドレス指定するためにかかる時間は、第2フィールド時間と呼ぶことができる。この第2のフィールド時間の間に、読み取り光12を適用し続けることができる。
【0047】
一実施例では、OASLM6のすべてのn個のセグメントが陽像でアドレス指定を受けた後、少しの間、前記読み出し光が当てられる。その後、OASLM6のすべてのn個のセグメントは、陰像でアドレス指定を受け、また前記読み出し光が少しの間当てられる。
【0048】
図14は、陰像を後に従える陽像が受け取られるOASLM6の1セグメント8のアドレス指定を示す図式表現である。EASLM4からの陽像に関連して、前記第1のフィールドF1のアドレス指定は、前記OASLMセグメント8上の照明領域(I)がUP状態に切り換えられ、非照明領域(NI)がDOWN状態に切り換えられていることを表わす矩形によって示されている。これは、残りのn−1(例えば24)個のセグメントのために繰り返される。少し後に、逆の切り換えが、陰像に関連して、第2のフィールドF2に適用される。この第2のフィールドF2では、非照明領域は、UP状態に切り換えられて、照明領域はDOWN状態に切り換えられる。
【0049】
陽及び陰の両サブ像が前記OASLM上に投影されるので、前記OASLMに像を読み込むことに約2倍の時間が費やされる。さらに、すべての陽像がOASLM6に読み込まれたとき、読み出し光12は、第2のフィールドF2での前記陰像のアドレス指定時間の全体の間、スイッチオンされ、またその後、しばらくの間続く。これは、より高速なアドレス指定時間を可能とし、連続するフレームのカラー表示を提供するときに有益である。
【0050】
図1のSLMシステムのようなSLMシステムを操作する第2の方法が図12に示されている。EASLM4は、1つのより大きい像の一部の陽サブ像を形成するために、コンピュータ13の制御下で、アドレス指定を受ける。このサブ像は、OASLM6を形成しているセグメント8の1つ(例えばセグメントS1)のシリコン層17上に光学装置5を経て(例えば、OASLM6への書き込み光として)投影される。同時に、第1の双極性アドレスパルス対が、前記OASLM電極16に適用される。その結果、そのセグメント8(例えばセグメントS1)の強誘電体材料21はEASLM4上の陽像の複写に切り換えられる。コンピュータ13は、陰サブ像(-S1)を形成すべくEASLM4を制御するように構成されており、該サブ像は、第2の双極性アドレスパルスペアがOASLM電極16に適用されると同時に、OASLM6のセグメントS1に投影される。その結果、強誘電体材料は、EASLM4からの先の陽サブ像によって形成された前記像を補強する。
【0051】
一実施例では、セグメントが正像によってアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスをOASLM6に適用される。このブランキングパルスは、図示のように単極性とすることができ、あるいは双極性として直流平衡を与えるように準備することができる。さらに、セグメント化されたOASLMに関して、各セグメントがアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスを各セグメントに適用することができる。
【0052】
交互に陽及び陰の像をOASLM6上に投影するこの工程は、各セグメントS1からS25まで毎で、順次繰り返すことができる。読み出し光12は、その時適用され、前記一つの陽画像が観察者11に表示される。
【0053】
図12に示される実施例の変更では、ある時間、図示のような陽及び陰の両像よりも陽又は陰の像のいずれかで前記システムを作動させることができる。読み出し光12は、連続的に、すなわち像が書き込まれているときを除いて全ての時間に適用することができる。他の実施例では、前記システムは、2フィールドモードの両極性パルスの1つの部分のみを使って動作することができる。例えば、前記照明領域は、+ve像で、前記-ve引きずりパルスのためにスイッチオンし、また前記照明領域は、-ve像で、前記+ve引きずりパルスのためにスイッチオンする。前記照明領域は、このアドレスサイクルの間に、前記読み出し光がある否かに拘わらず、スイッチオンされる。
【0054】
図1のSLMシステムのようなSLMシステムを操作する他の方法が図13に示されている。この方法はEASLMを使用し、該方法は陽及び陰の両像を一緒に読み込みかつ記憶する。前記方法は、前記EASLMに-ve像を読み込むためにかかる時間が除去される以外は、図12に示された方法と、同様である。
セグメント8毎で、第1の両極性パルスがOASLM6に印加されている間、陽像が投影され、これに密接して、OASLM6への第2の双極性パルス対と共に陰像の投影が続く。
【0055】
一実施例では、セグメント8が陽像によってアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスをOASLM6に適用することができる。このブランキングパルスは、図示のように単極性とすることができ、あるいは双極性として直流平衡を与えるように準備することができる。さらに、セグメント化されたOASLMに関して、各セグメントがアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスを各セグメントに適用することができる。
【0056】
静的表示のために、異なる像が表示されるまで完全な画像をOASLM6に残すことができる。ビデオタイプの表示のために、新しい、異なる完全な画像を30ミリ秒程度毎のフレームレートで表示することができる。上記の工程は、新しい各完全な画像が、その後動きを表示する部分として表示されるように、繰り返される。これに代えて、前記システムは、図12のような2フィールドモードで動作することができる。
【0057】
図15から17は、OASLMの電極に適用される波形の3つの例である。陽像及び同一であるが陰像の両方が前記OASLMに書き込まれるところに、陽の画像が表示される。図示のタイミングは、図14の絵図に対応するものと理解できるであろう。
【0058】
図15に示される第1の例では、第1のパルス対は、負の35Vパルスが後に続く正の35Vパルスから成り、第1のフィールドF1の間で1250μ秒のパルス幅を有する。図9のさらなる参照により、曲線B2、A1間の斜線が付されたエリアは、
(1)1250μ秒の正の35Vパルスが前記OASLMの照明領域に前記先導パルスでアップ(UP)への切り換えを与え、
(2)陰の35Vパルスが非照明領域に前記引きずりパルスでダウン(DOWN)への切り換えを与える、ことを示すことが理解されよう。
【0059】
第2のフィールドF2では、両極性パルスは、負の19Vパルスが続く正の19Vパルスから成り、1100μ秒の期間を有する。曲線A2、B1間で囲まれた左手側の斜線が付されたエリアから、前記先導パルスが非照明領域をUPに切り換え、前記引きずりパルスは照明領域をDOWNに切り換える。
【0060】
図16に示された第2の例では、前記第1のパルス対は、正の20Vパルスが後に続く負の20Vパルスから成り、第1のフィールドF2の間の1100μ秒の期間を有する。図6のさらなる参照により、曲線A2、B1間の斜線が付された左手側のエリアは、
(1)1100ピコ秒の負の20Vパルスが前記OASLMの非照明領域に前記先導パルスでDOWNへの切り換えを与え、
(2)正の20Vパルスが照明領域に前記引きずりパルスでUPへの切り換えを与える、ことを示すことが理解されよう。
【0061】
第2のフィールドF2では、両極性パルスは、正の35Vパルスが後に続く負の35Vパルスから成り、1100μ秒の期間を有する。曲線A2、B1間の斜線が付された右側のエリアから、前記先導パルスが照明領域をDOWNに切り換え、曲線A1から、前記引きずりパルスが非照明領域をUPに切り換える。
【0062】
図17の第3の例では、前記第1のパルス対は、負の35Vパルスが後に続く正の35Vパルスであり、前記第1のフィールド時間の間の1100μ秒の期間を有する。図9のさらなる参照により、曲線A1、B2間の右手側の斜線が付されたエリアは、
(1)1100ピコ秒の正の35Vパルスが前記OASLMの照明領域に前記先導パルスでUPへの切り換えを与え、
(2)負の35Vパルスが非照明領域に前記引きずりパルスでDOWNへの切り換えを与える、ことを示すことが理解されよう。
【0063】
第2のフィールドF2では、両極性パルスは、後に正の19Vパルスが続く負の35Vパルスから成り、1100μ秒の期間を有する。図6のさらなる参照により、曲線A1、B2間の右手側の斜線を付したエリアは、前記先導パルスが照明領域をDOWNに切り換え、また前記引きずりパルスが非照明領域をUPに切り換えることを示すことが理解できよう。
【0064】
図15ないし17に示された前記した3つの例は、OASLM6が、EASLM4により生成された陽及び陰の像の両像について、正の像を表示するように、両極性パルス対によってアドレス指定を受けることを示す。いかなるブランキングパルスも、これらの3つの例のために使う必要はない。しかしながら、ある例では、ブランキングパルスはアドレス指定サイクルの前に、適用される。前記ブランキングパルスは、前記強誘電体材料を所望の均一な状態に切り換えるために十分な振幅及び時間を有し正及び負の極性が平衡な両極性パルスである。ブランキングパルスの使用は、前記アドレス指定の両極性パルスが不均衡な振幅及び/又は幅を有することを可能にし、それでも、直流平衡を維持する。
【0065】
先に述べたように、いくつかのSLMシステムのために、前記EASLMに像が読み込まれ、前記OASLMに再生され、またラッチを掛けられる時間の後毎に、前記EASLMでの直流平衡を維持すべく、反転像が前記EASLMに読み込まれまた保持されるための等しい時間が続く。例えば直流平衡を与えるために、陽及び陰の像すなわちパターンの両方で前記EASLMをアドレス指定することにより、改善された効率が得られる。陽及び陰の像は、1つ又は複数のOASLM入力面上に、結像することができ、また、例えば振幅及び期間が異なる2つの双極性アドレスパルスであって陽及び陰の入力像に関して前記OASLM出力に同じ像を表示するアドレスパルスで、前記OASLMをアドレス指定することができる。
【0066】
一実施例では、空間光変調器システムは、EASLMを含む。該システムは、光源から光を受け取り、表示が形成されるOASLM上に光を送るための手段を含むように準備することができる。前記システムは、さらに、前記EASLMで直流平衡を得るために、陽及び陰の像で前記EASLMをアドレス指定する手段を含む。
【0067】
一実施例では、コントローラは、前記EASLM上の像を制御するため及び前記OASLMの電圧を制御するために、構成される。前記システムは、前記EASLMからの陽像の受け取りに関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを適用するための手段と、前記EASLMからの陰像の受け取りに関連した前記OASLMに異なる第2の双極性電圧パルスを印加する手段とを含む。前記OASLMは、必要とされている像の出力と、実質的な直流平衡とを有する。
【0068】
一実施例では、前記像は、周辺光を前記OASLMで反射することにより又は該OASLM上に向けられた照明光又は読み出し光を反射することにより、表示されあるいは観察される。前記照明光は広帯域光源又はレーザから送られるかもしれない。後者の場合、ホログラフィックな表示を形成することができる。フーリエ変換レンズを前記OASLMと観察者との間に配置することができる。
【0069】
前記OASLMは、セグメント化された電極を有する単一の大きなセルとすることができ、これにより対向するセグメント電極間で前記液晶材料の如何なる一領域にも電圧を独立的に印加することができる。光配向手段は、前記EASLMからのサブ像を個別に連続して前記OASLMの各セグメントに向けるためのシャッター及びレンズを含むことができる。
【0070】
一実施例では、すべての前記OASLMがアドレス指定を受けるまで、順次各セグメントに陽及び陰の像が交互に書き込まれ、それから読み出し光が当てられる。他の実施例では、全ての陽のサブ像は、完全な画像を形成すべく前記OASLMの全てのセグメントの上に結像され、また全ての陰のサブ像が前記EASLMによって生成されまた前記OASLMに適用される間に、前記読み出し光が連続的に適用される。
【0071】
図18は、SLMシステムをアドレス指定する方法の一例を示す。工程110で、EASLMは、正及び陰の両サブ像の連続を形成すべくアドレス指定を受ける。
【0072】
工程120で、光は前記EASLMからOASLM上に向けられる。
【0073】
工程130で、サブ像は前記OASLMの異なる領域に書き込まれる。
【0074】
工程140で、複数のサブ像は、完全な画像を形成すべく前記OASLMに記憶される。
【0075】
工程150で、第1の双極性電圧パルスが前記EASLMからの陽サブ像の受け取りに関連した前記OASLMに適用される。
【0076】
工程160で、異なる第2の双極性電圧パルスが前記EASLMからの陰のサブ像の受け取りと関連した前記OASLMに適用される。
【0077】
工程170で、前記OASLMが陽及び陰の両サブ像の入力について同じ像を表示するように、前記第1及び第2の双極性パルスの形態が準備され、完全な画像が表示される。
【0078】
上に説明された前記システムは、前記工程のいくつか又は全てを実行する専用のプロセッサシステム、マイクロコントローラ、プログラム可能な論理デバイス、又はマイクロプロセッサを使うことができる。上で説明された工程のいくつかがソフトウェアで実装されるかもしれず、他の工程はハードウェアで実装されるかもしれない。
【0079】
便宜上、前記工程は、種々の相互接続された機能ブロック又は別個のソフトウェアモジュールで記載されている。しかしながら、これは必要でなく、これらの機能ブロック又はモジュールが、不明瞭な境界で、1つの論理デバイス、プログラム又は工程中に等しく集められる場合があるかもしれない。いずれにしても、前記機能ブロック、ソフトウェアモジュール又は柔軟なインタフェースの特性は、単独で、あるいはハードウェア又はソフトウェアのいずれかと、他の動作との組み合わせで実現することができる。
【0080】
それの好適な実施例で原理を説明し図示したが、実施例は、そのような原理から逸脱することなく配置や詳細を変形できることは明らかである。我々は、以下の特許請求の範囲の精神及び範囲内のすべての修正や変更を権利として要求する。
【符号の説明】
【0081】
1 光源
4 光アドレス型空間光変調器(EASLM)
6 電気アドレス型空間光変調器(OASLM)
8 セグメント
10 読み出し光の光源
11 観察者
12 読み出し光
13 コントローラ
17 シリコン層(感光層)
18 遮光層
21 液晶(LC)層
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年1月30日出願の米国仮出願番号60/898,167の優先権を主張し、参照により、その明細書はここに組み込まれる。
【0002】
電気アドレス型空間光変調器及び光アドレス型光空間変調器を使用する空間光変調システムである。
【背景技術】
【0003】
空間光変調器(SLM)システムは、三次元(3D)像の生成、広域表示及び光ビームの制御及び操作に用いることができる。前記SLMシステムは、電気アドレス型空間光変調器(EASLM)を含む。前記EASLMは、ディスプレイの全体を構成するセグメントがマトリクス状に配列されている光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に、逐次結像される連続した別の像を生じるように、アドレス指定を受ける。前記OASLM上に全てのコンポーネント像が書き込まれると、完全な画像又はパターンは、例えばレーザ光によって前記OASLMのマトリックス全体を照射することにより、観察者に表示される。このシステムは、Active Tiling(TM)と称されており、米国特許第6,437,919号及び米国特許第6,654,156号で詳細に説明されており、それらの明細書は参照により、ここに組み込まれている。
【0004】
前記SLMシステムは、液晶セルを形成するために2つの電極の支持壁間に配置された液晶材料の層を含む。前記液晶材料は、前記電極への電気波形の適用によって、切り換えられる。液晶材料の特性は、それらが長期の直流電圧の影響下で、悪化することである。前記SLMシステムは、前記液晶材料が実効零直流電圧値に維持されるように、また前記SLMシステムのアドレス指定のための駆動スキームが直流平衡をとるように、設定されている。実効零電圧は、数秒の妥当な時間にわたって維持されるかもしれない。
【0005】
前記EASLMは、スメクチック液晶材料の層を封入する2つの壁で形成された液晶セルを含む。透明電極構造は、一方の壁の行電極帯と、他方の壁の列電極帯として形成される。電極の交差はピクセルを決め、該ピクセルで、適切な行及び列の電極への電圧の印加により、前記液晶材料の光学的状態が切り換えられる。前記電極はディスプレイコントローラによって制御された駆動回路から電気信号を受ける。前記EASLMは、集積回路背面板を使うかもしれない。直流平衡は、陽像を形成すべく前記SLMシステムがアドレス指定を受けた後、逆の、すなわち陰像を形成すべく前記SLMシステムをアドレス指定することにより、達成される。
【0006】
OASLMは、前記EASLMに類似するが、一方の壁の電極と、強誘電性の液晶材料との間に位置する感光性材料の層を含む。前記電極は、電気的接触がセグメント毎で個別に行われるように、各セグメントに分割される。像は、複数のセグメント(場合によっては、セグメントの全て)に適用されるかもしれないが、電圧は、1つのセグメントで前記像のラッチ効果を得るために、その1つのセグメントに印加されるだけである。前記OASLMは、前記電極への電圧の印加及び前記感光性材料の選択された部分への同時的な光の適用によってアドレス指定を受ける。この電圧の印加及び光の適用の組合せは、前記液晶材料の照射を受けた部分を切り換えるが、非照射部分は非切り換え状態に維持される。前記SLMシステムにより生成された表示は、前記OASLMの前記感光層から遠く離れた側から見ることができる。
【0007】
直流平衡を提供するために使用することができる駆動スキームは、またF. Perennes & W. A. Crosslandによる「強誘電性液晶の光学的空間光変調器性能の最適化」、Optical Engineering 36(8)第2294−2301頁、(1997年8月)及びApplied Optics、第31巻、No.32、第6859−6868頁、1992年11月10日発行)に記載されている。空間光変調器の動作理論は、1995年マルセルデッカー社によって出版され、U. Efronによって編集された「空間光変調器テクノロジー、材料、機器及び応用」に記載されている。
【0008】
上記したSLMシステムでは、光のパターンが前記EASLMを透過し又は反射して、次に前記OASLMの各セグメントに送られる。これに代えて、複数の像が前記OASLMの全てのセグメントに適用されるかもしれない。像が前記EASLMに読み込まれ、前記OASLM上に再現され、該OASLM上にラッチされる各時間の後に、等しい時間をかけて反転像が前記EASLMに読み込まれ、該EASLMでの直流平衡を維持するために保持される。この時間は、前記OASLM装置の観点から無駄である。それは、OASLM像の改善に寄与していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,437,919号明細書
【特許文献2】米国特許第6,654,156号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】F. Perennes & W. A. Crossland、「強誘電性液晶の光学的空間光変調器性能の最適化」、Optical Engineering 36(8)第2294−2301頁、(1997年8月)
【非特許文献2】F. Perennes & W. A. Crossland、「強誘電性液晶の光学的空間光変調器性能の最適化」、Applied Optics、第31巻、No.32、第6859−6868頁、1992年11月10日
【非特許文献3】U. Efron、「空間光変調器テクノロジー、材料、機器及び応用」1995年マルセルデッカー社、1995年
【図面の簡単な説明】
【0011】
種々の実施例が、以下の図面を参照して、一例を示すに過ぎないが、説明されるであろう。
【図1】光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に結像する単一の電気アドレス型空間光変調器(EASLM)を有する空間光変調器(SLM)システムを概略的に示し、
【図2】図1の前記SLMシステムの前記OASLMの横断面を概略的に示し、
【図3】双安定の強誘電性液晶装置の層についてのスイッチング特性の様式化された図面であり、
【図4】照明無しで、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図5】照明下で、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定をうけるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図6】単一グラフ上での図4及び5のスイッチング特性を示し、
【図7】照明無しで、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図8】照明下で、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示し、
【図9】単一グラフ上での図7及び8のスイッチング特性を示し、
【図10】SLMシステムのアドレス指定動作を例示する図式表現であり、
【図11】SLMシステムの3つの新規なアドレス指定方法を示す図式表現(1)であり、
【図12】SLMシステムの3つの新規なアドレス指定方法を示す図式表現(2)であり、
【図13】SLMシステムの3つの新規なアドレス指定方法を示す図式表現(3)であり、
【図14】陰像を後に従える陽像が、前記OASLMによって受け取られる前記OASLMの1セグメントのアドレス指定の図式表現であり、
【図15】前記OASLMの電極へ適用される3つの波形の例(1)を示し、
【図16】前記OASLMの電極へ適用される3つの波形の例(2)を示し、
【図17】前記OASLMの電極へ適用される3つの波形の例(3)を示し、
【図18】SLMシステムアドレス指定方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に結像する単一の電気アドレス型空間光変調器(EASLM)を有する空間光変調器(SLM)システムを概略的に示す。前記SLMシステムは、広い領域の二次元表示又は三次元のホログラフィック像の表示のために、使用することができる。ホログラフィックな表示は、またコンピュータ合成ホログラム(CGH)と称される。
【0013】
図1に示されたSLMシステムは、再コンフィギュレーションが可能なホログラフィック表示を生成するために使うことができる。前記SLMシステムは、光源1を含み、その出力2はレンズ3を通って前記EASLM4上に向けられる。このEASLM4は、スメクチック液晶材料の層が2つのガラス壁間に保持された液晶変調器とすることができる。一方の壁の行電極と、他方の壁の列又は線状の電極とは、電極交点でアドレス指定が可能な素子すなわちピクセルの行列を形成する。電圧がピクセルに印加されると、前記液晶材料は、印加された電界の影響を受けて回転し、伝達する光を変調する。前記EALSMは、速いスイッチング速度を得るために、アクティブ・マトリクス・アドレッシングを使うことができる。前記EASMLは、スメクチック、ネマチック、又はコレステリック材料だけでなく、シリコンアクティブバックプレーン装置又はマイクロミラー装置から成っても良い。
【0014】
EASLM4の前には、光学装置5、前記OASLM6及びさらなるレンズ7がある。OASLM6は、2つのガラス壁間に位置するスメクチック液晶材料層を含む。両方の壁は透明なセグメント電極を担持し、1方の壁は感光性のアモルファスシリコンの層を担持する。OASLM6は、複数の別個のセグメント8から成り、該各セグメントは独立してアドレス指定が可能である。OASLM6が、5×5の行列に配置された25個のセグメントから成るように図示されているが、これと異なる数の独立してアドレス可能な別個のセグメントを有する他のサイズの行列に形成することができる。
【0015】
光学装置5は、連続してセグメント8にEASLM4の出力を一度に1セグメントずつ向けることができる。全てのセグメント8は、例えばラスタ方式で、順次出力を受け取ることができる。EASLM4からの光9が感光性の領域に入射すると、その領域下の液晶層を横切る電圧は変化し、これにより読み出し光源10から照明されると、その反射(又は透過)の特性を変更する。多くの別個のサブ像から形成された大きな表示がOASLM6上に形成される。像は、OASLM6からの光12の反射又は透過のいずれかによって観察することができる。
前記SLMシステムは、EASLM4からの光のパターンがOASLM6を透過して観察者11に伝えられるように、構成することができる。
【0016】
一実施例では、OASLM6は、各セル壁上に一枚の連続する薄板電極がある状態で形成することができる。EASLM4からの光が常時OASLM6の1つのセグメント領域のみに受け取られることを保証するために、シャッターを設けることができる。別の実施例では、OASLM6は、大きな表示を形成すべく、一つになるように置かれた複数の別個に光学的にアドレス可能な空間光変調器で形成される。
【0017】
コンピュータ又はコントローラ13は、EASLM4及びOASLM6に適用される信号を制御する。コントローラ13は、表示される像の電子コピーを含むことができる。ホログラフィック表示に使われるEASLM及びOASLMのさらなる説明は、特許出願EP-1064651、PCT WO-00/2350472、GB98/04996で提供されており、その明細書は、参照によってここに含まれる。
【0018】
OASLM6の特性は、像の生成の制御を容易にする。陽及び陰の両像が逐次適用されるとき、陽及び陰の像の照明される領域及び照明されない領域の両方の切換を達成する電圧の印加は、陽像のみ(又は陰像のみ)を生じるために使うことができる。図2は、図1の前記SLMシステムのOASLM6の横断面を概略的に示し、OASLM6の構造を示す。OASLM6は、第1のガラス層15と、第1の透明電極を形成するインジウム錫酸化物層16と、シリコンフォトセンサ層17と、光遮断層18と、鏡19と、ポリイミド層にブラッシングすることによって形成することができる第1の配向層20とを含む。OASLM6は、さらに、液晶(LC)層21、第2の配向層22、接地される第2のインジウム錫酸化物電極層23及び第2のガラス層24を含む。電圧源25が、OASLM6のスイッチングを制御するために、2つの電極16、23に接続されている。
【0019】
シリコン17と電極層16との間の接合は、ダイオード26として動作する。前記電極間に第1の正電圧が印加されると、このダイオード26は順方向にバイアスされ、電圧のほとんどは、LC層21の全体で降下する。前記電極に第2の負電圧が印加されると、電圧のLC層21での降下を生じさせる書込み光9が適用されない限り、その電圧のほとんどはシリコン層17の全体で降下する。第2の極性のバイアスは、「感光性の方向」と称すことができる。バイアスが感光性の方向にあり、また照明無しであると、LC層21の全体に現れる電圧V1cは、OASLM6の全体に現れる全電圧の容量分割によって与えられる。これは、次のように表される。
Vlc = Csi / (Clc + Csi)
ここで、Csi及びCIcは、それぞれシリコン層17及びLC層21のキャパシタンスである。シリコン層17に電荷が生成されるに従ってLC層21の全体の電圧が上昇する。
【0020】
ショットキーバリアが、シリコンとインジウム酸化錫(ITO)透明電極との接合、例えばダイオード26によって、OASLM6に形成されるかもしれない。これは、フォトダイオードと光導電体との間での何らかの振る舞いを生じる。オーム接触がなされるなら、結果として光導電体の振る舞いを生じる。純粋な光導電体の場合、非照明でアドレス指定を受けた状態で、前記LCの全体での前記電圧の低下を阻止するには充分に低くはない暗電流が生じることがある。他方、フォトダイオードは、p型ドープ、真性及びn型ドープシリコンの堆積を必要とし、複雑な工程になる。逆バイアスの下のフォトダイオード26については、フォトンが前記シリコンに吸収され、正孔及び電子の対が生じると、前記正孔及び電子は、分離し前記接触面に向けてドリフトを生じる。前記遮蔽接触面は、該キャリアが集められると、応答が完結するように、キャリアを止める。光電流は、電子−正孔の一対が各吸収フォトン毎に収集されるので、広いレンジにわたる強度で前記光の強度に応じて線形に変化する。
【0021】
正の印加電圧の適用により、電圧のすべてが前記LCの全体で降下するように、前記フォトダイオードは順方向にバイアスされる。正の電圧が印加されるとき、書き込み光12の存在は、LC層21の状態に大きな影響を与えない。負の印加電圧が適用されると、フォトダイオード26は逆バイアスを受け、前記電流は遮断されるので、LC層21の全体の電圧は変化しない。書き込み光12がフォトダイオード26を照らすと、光電流はLC層21を負電圧に帯電させ、スイッチングを引き起こす。この電圧は、前記駆動電圧が再び正になるまで、LC層21の全体に維持される。
【0022】
セグメント8毎で、ブランキングパルスを電極16、23に適用することができ、これにより液晶材料21のすべて領域は、2つの双安定状態のうちの1つ、例えばオフの状態に、切り換えあるいは維持される。
【0023】
陽のサブ像をEASLM4上に形成し、OASLM6上に投影することができる。OASLM6の入力面上の光パターンと、セグメント電極への電圧の印加の組合せは、液晶分子21の光を受けるところをオン状態に切り換え、残りの該分子をオフ状態に維持する。オン領域とオフ領域とのパターンは、フーリエレンズ7を通してホログラフィック像27として観察者11に表示されあるいは見られるように、回折パターンを形成する。
【0024】
上記の動作は、EASLM4上で生成された陰のサブ像を使って、繰り返すことができる。セグメント上の全ての領域は空白のオフ状態で起動し、該起動状態では光を受けた領域が前記オン状態に切り換えられ、照射を受けない領域が前記オフ状態に維持される。これは、先の陽像がOASLM6上に投影されていると、同じホログラフィック像27を受けているように、観察者11には表示されるか又は見られる回折パターンを形成する。陽及び陰の両像は、ホログラフィック像27として観察のために同じ回折パターンを提供することができる。
【0025】
図3は双安定の強誘電性液晶装置の層についてのスイッチング特性の様式化された図面である。曲線Aは、感光層のない双安定性セルの電極間のFELCD層のスイッチング特性を線図で示す。これは、パルス(絶対値)電圧(|v|)に対する単一パルス長(t)の対数のプロットである。曲線A上の(及び曲線Bによって囲まれた領域における)パルス電圧積(|vt|)については、前記材料はしばしばオン及びオフの状態、あるいは明及び暗の状態又はアップ(UP)及びダウン(DOWN)の状態と呼ばれる2つの許された安定状態の間で切り換わるであろう。前記材料は極性に敏感で、例えば、それは適正な陽極積|vt|によってオフからオンに切り換わるが、同じ積|vt|であるが負符号を受けると同じオフ状態に維持される。図3の単純化した曲線は、完全なスイッチングを示す。実際には、前記曲線は、より複雑である。曲線Aの直下かつ破線の上の積|vt|で、前記材料は部分的に切り換わるであろう。前記破線はスイッチングの開始を示す。
【0026】
曲線の位置及び形態は、前記LC材料及びその層厚さに依存し、また印加電圧パルスの形状によって変わる。正のパルスが後に続く負電圧は、より大きな正のパルスが後に続く小さな正パルスとは異なる曲線を結果として生じる。温度変化は、さらに前記曲線の形態及び位置に差違をもたらす。
【0027】
曲線A及びBは、双極性パルスの適用にあたる。曲線Aは、前記材料が異極性のパルス対、すなわち負電圧パルスが続く正電圧及びその逆、のうちの引きずりパルスに切り換わるときに、あてはまる。曲線Bは、前記材料が双極性パルス対の引きずりパルスではなく、先導パルスで切り換わる、ある材料及び厚さの組合せにあてはまる。曲線A及びBは概要であり、説明の目的だけのためである。それらは、双極性パルス対における先導又は引きずりパルスのいずれかを使って、オン及びオフ2つの状態のいずれかにディスプレイをアドレス指定することが可能であることを示す。例えば図3は、*1、*2、*3によって示された3つのvt積の組み合わせを示し、1対(*1、*2)は同じ電圧であるが、あるパルス幅(*2)の前記先導パルス又は他のパルス幅(*1)の引きずりパルスでスイッチングを許す。他の一対(*1、*3)は同じパルス幅であるが、ある電圧(*3)の前記先導パルス又は他の電圧(*1)の前記引きずりパルスでスイッチングを許す。
【0028】
曲線A及びBは、感光層の存在、ダイオード26の影響及び光の有無によって、さらに修正されるかもしれない。前記光伝導体に隣接する電極16に印加される正電圧は、該電極16に負電圧が印加されているときに得られるものと異なる曲線をもたらす。さらに、直前に言及した正及び負の両電圧曲線に、光の有無は異なる曲線をもたらす。
【0029】
スイッチング特性におけるこれらの差異は、EASLM4からの陽像及びEASLM4からの陰像によって照明されるとき、OASLM6上に同じ表示パターンを切り換えるために使うことができる。
【0030】
スイッチング組み合わせ例は、以下に提供される。
【0031】
ここでバイアスは電極12に印加された正(+ve)又は負(-ve)の電圧であり、照明(I)又は非照明(NI)例えば暗は、OASLM6へのEASLMからの光であり、そして、材料は、双極性の波形の先導パルス(LP)又は引きずりパルス(TP)のどちらかで切り換わる。
【0032】
スイッチング特性は、次のようなOASLMについて図4ないし9で示されており、該OASLMは、厚さ1.5μmのMVS(MV Systems社、ゴールデン、デンバー、コロラド州)シリコンの感光層と共に、ラビング処理を受けたDI-32ポリマ(ベルギーのARCH SEMICONDUCTOR CHEMICALS NVから入手できるDURIMIDE 32)配向板を備えるセル内の強誘電体スメクチック液晶材料であって、50:50キラル(chiral)SCE8の混合物及びそのラセミ化合物に等価のSCE8R(CLARIANT社より入手可能)の1.7μmの厚さの層によって形成されている。
【0033】
図4は、照明なしで、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A1は、前記引きずりパルスのスイッチングを示す。スイッチング曲線B1は、負パルス及びその後の正パルスによって形成される双極パルス対の先導パルスでのスイッチングを示す。
【0034】
図5は、照明を受けた状態で、負パルスの後に正パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けたときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A2は、前記引きずりパルスのスイッチングを示す。スイッチング曲線B2は、負パルス及びその後の正パルスによって形成される双極パルス対の前記先導パルスでのスイッチングを示す。
【0035】
図6は、1つのグラフ上で、図4及び5のスイッチング特性を示す。ハッチング付きのエリアは、前記材料が最初に負の先導パルス及びその後の正の引きずりパルスによって形成された双極性パルスの両部分、すなわち照明された1つの部分、照明されていない1つの部分でのスイッチングを生じるところを示す。
【0036】
図7は、照明なしで、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けるときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A1は、前記引きずりパルスのスイッチングを示す。スイッチング曲線B1は、正パルス及びその後の負パルスによって形成される双極パルス対の前記先導パルスでのスイッチングを示す。
【0037】
図8は、照明を受けた状態で、正パルスの後に負パルスが続く双極波形によってアドレス指定を受けたときのOASLMのスイッチング特性を示す。スイッチング曲線A2は、前記引きずりパルスでの切り換えを示す。スイッチング曲線B2は、正パルス及びその後の負パルスによって形成される双極パルス対の前記先導パルスでの切り換えを示す。
【0038】
図9は、1つのグラフ上で、図7及び8のスイッチング特性を示す。ハッチング付きのエリアは、前記材料が最初に正の先導パルス及びその後の負の引きずりパルスによって形成された双極性パルスの両部分、照明された1つの部分、照明されていない1つの部分でのスイッチングを生じるところを示す。
【0039】
図10は、図1のSLMシステムなどのSLMシステムのアドレス指定動作を説明する図的表現である。EASLM、OASLM及び読み出し光に関連した動作は、第1のセグメントS1、第2のセグメント及び第nのセグメントS25に対応して、時間に対してプロットされている。セグメント(n)の数は、OASLM行列の中のセグメントの数に一致しており、一例では、25個のセグメントから成る5×5の行列で示されている。
【0040】
アドレス指定動作の開始では、前記EASLMは、第1のセグメントS1と関連する陽像を読み込むようにアドレス指定を受ける。前記OASLMに電圧が印加されると同時に、該OASLMのセグメントS1に陽の像が投影され、その結果、前記陽のサブ像が前記液晶材中にラッチを掛けられる。次に、S1のための陰像が前記EASLMに読み込まれるが、前記OASLMに電圧は印加されず、該OASLMに読み出されない。
【0041】
これらのステップは、前記OASLMのすべてのセグメントがアドレス指定をうけ、完全な画像が前記OASLMに形成されるまで、繰り返される。読み出し光は、適正な時間又はフレームレートに適用され、その結果、完全な画像が表示されあるいは形成される。前記時間は、完全な画像を人の目が認めることができるか記録することができかの能力に対応するであろう。前記読み出し光は、その時、スイッチを切られ、もし異なる完全な画像が表示されるならば、例えば繰り返す前記画像が連続する動きの効果を生み出すために迅速に連続して表示されるならば、前記工程は繰り返される。
【0042】
前記OASLMで直流平衡を得るために、アドレス指定の開始前にブランキング電圧を印加することができる。このブランキングパルスは、帰線消去と直流平衡との両方を提供するために、準備することができる。さらに、特別な電圧周期を導入することができる。
【0043】
図10から、如何なる情報も前記OASLMに書き込まれていないかなりの時間があることは明白である。像を成形すべく前記OASLMが使うことができるのは、前記EASLMアドレス時間の半分より少ない時間なので、これは効率を減少させる。例えば、アドレスを受けること及び像の保持でEASLMによってとられる全時間は、約300から1000μ秒である。前記OASLMによってアドレスを受けることで使用される時間は約50から5000μ秒であり、前記読み取り光の照射によって使用される時間は約30m秒である。
【0044】
図11から13までは、SLMシステムでのアドレッシングの3つの新規な方法の図的表現である。図1の前記SLMシステムのようなSLMシステムを操作する第1の方法が図11に示されている。EASLM4は、1つのより大きい像の一部の陽サブ像を形成するために、コンピュータ13の制御下で、アドレス指定を受ける。このサブ像は、OASLM6を形成しているセグメント8の1つ(例えば第1のセグメントS1)のシリコン層17上に光学装置5を経て(例えば、OASLM6への書き込み光として)投影される。同時に、第1の双極性アドレスパルス対が、前記OASLM電極16に適用される。その結果、そのセグメント8(例えば第1のセグメントS1)の強誘電体材料21は、EASLM4上の陽像の複写に切り換えられる。
【0045】
この工程は、読み出し光12が適用されるときに表示されるかあるいは観察者11によって見ることができる陽像で、前記OASLM6のすべてのセグメント8(例えば第1のセグメントS1から第nのセグメントS25まで)がアドレス指定を受けるまで、繰り返される。陽像でOASLM6の全体をアドレス指定するためにかかる時間は、アドレス指定を受ける行列FELCDのそれと似て、第1のフィールド時間と呼ぶことができる。この陽像は、強誘電体材料の双安定のスイッチング特性により、存続する。一実施例では、セグメント1が陽像によってアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスがOASLM6に適用される。
【0046】
一実施例では、逆の像すなわち前記陽サブ像についての負サブ像を形成すべく、EASLM4へのアドレス指定と共に、上記のアドレス指定動作は繰り返される。各セグメント8が照明されているとき、第2の双極性アドレスパルス対を電極16に適用することができる。陰像でOASLM6の全体をアドレス指定するためにかかる時間は、第2フィールド時間と呼ぶことができる。この第2のフィールド時間の間に、読み取り光12を適用し続けることができる。
【0047】
一実施例では、OASLM6のすべてのn個のセグメントが陽像でアドレス指定を受けた後、少しの間、前記読み出し光が当てられる。その後、OASLM6のすべてのn個のセグメントは、陰像でアドレス指定を受け、また前記読み出し光が少しの間当てられる。
【0048】
図14は、陰像を後に従える陽像が受け取られるOASLM6の1セグメント8のアドレス指定を示す図式表現である。EASLM4からの陽像に関連して、前記第1のフィールドF1のアドレス指定は、前記OASLMセグメント8上の照明領域(I)がUP状態に切り換えられ、非照明領域(NI)がDOWN状態に切り換えられていることを表わす矩形によって示されている。これは、残りのn−1(例えば24)個のセグメントのために繰り返される。少し後に、逆の切り換えが、陰像に関連して、第2のフィールドF2に適用される。この第2のフィールドF2では、非照明領域は、UP状態に切り換えられて、照明領域はDOWN状態に切り換えられる。
【0049】
陽及び陰の両サブ像が前記OASLM上に投影されるので、前記OASLMに像を読み込むことに約2倍の時間が費やされる。さらに、すべての陽像がOASLM6に読み込まれたとき、読み出し光12は、第2のフィールドF2での前記陰像のアドレス指定時間の全体の間、スイッチオンされ、またその後、しばらくの間続く。これは、より高速なアドレス指定時間を可能とし、連続するフレームのカラー表示を提供するときに有益である。
【0050】
図1のSLMシステムのようなSLMシステムを操作する第2の方法が図12に示されている。EASLM4は、1つのより大きい像の一部の陽サブ像を形成するために、コンピュータ13の制御下で、アドレス指定を受ける。このサブ像は、OASLM6を形成しているセグメント8の1つ(例えばセグメントS1)のシリコン層17上に光学装置5を経て(例えば、OASLM6への書き込み光として)投影される。同時に、第1の双極性アドレスパルス対が、前記OASLM電極16に適用される。その結果、そのセグメント8(例えばセグメントS1)の強誘電体材料21はEASLM4上の陽像の複写に切り換えられる。コンピュータ13は、陰サブ像(-S1)を形成すべくEASLM4を制御するように構成されており、該サブ像は、第2の双極性アドレスパルスペアがOASLM電極16に適用されると同時に、OASLM6のセグメントS1に投影される。その結果、強誘電体材料は、EASLM4からの先の陽サブ像によって形成された前記像を補強する。
【0051】
一実施例では、セグメントが正像によってアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスをOASLM6に適用される。このブランキングパルスは、図示のように単極性とすることができ、あるいは双極性として直流平衡を与えるように準備することができる。さらに、セグメント化されたOASLMに関して、各セグメントがアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスを各セグメントに適用することができる。
【0052】
交互に陽及び陰の像をOASLM6上に投影するこの工程は、各セグメントS1からS25まで毎で、順次繰り返すことができる。読み出し光12は、その時適用され、前記一つの陽画像が観察者11に表示される。
【0053】
図12に示される実施例の変更では、ある時間、図示のような陽及び陰の両像よりも陽又は陰の像のいずれかで前記システムを作動させることができる。読み出し光12は、連続的に、すなわち像が書き込まれているときを除いて全ての時間に適用することができる。他の実施例では、前記システムは、2フィールドモードの両極性パルスの1つの部分のみを使って動作することができる。例えば、前記照明領域は、+ve像で、前記-ve引きずりパルスのためにスイッチオンし、また前記照明領域は、-ve像で、前記+ve引きずりパルスのためにスイッチオンする。前記照明領域は、このアドレスサイクルの間に、前記読み出し光がある否かに拘わらず、スイッチオンされる。
【0054】
図1のSLMシステムのようなSLMシステムを操作する他の方法が図13に示されている。この方法はEASLMを使用し、該方法は陽及び陰の両像を一緒に読み込みかつ記憶する。前記方法は、前記EASLMに-ve像を読み込むためにかかる時間が除去される以外は、図12に示された方法と、同様である。
セグメント8毎で、第1の両極性パルスがOASLM6に印加されている間、陽像が投影され、これに密接して、OASLM6への第2の双極性パルス対と共に陰像の投影が続く。
【0055】
一実施例では、セグメント8が陽像によってアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスをOASLM6に適用することができる。このブランキングパルスは、図示のように単極性とすることができ、あるいは双極性として直流平衡を与えるように準備することができる。さらに、セグメント化されたOASLMに関して、各セグメントがアドレス指定を受ける前に、ブランキングパルスを各セグメントに適用することができる。
【0056】
静的表示のために、異なる像が表示されるまで完全な画像をOASLM6に残すことができる。ビデオタイプの表示のために、新しい、異なる完全な画像を30ミリ秒程度毎のフレームレートで表示することができる。上記の工程は、新しい各完全な画像が、その後動きを表示する部分として表示されるように、繰り返される。これに代えて、前記システムは、図12のような2フィールドモードで動作することができる。
【0057】
図15から17は、OASLMの電極に適用される波形の3つの例である。陽像及び同一であるが陰像の両方が前記OASLMに書き込まれるところに、陽の画像が表示される。図示のタイミングは、図14の絵図に対応するものと理解できるであろう。
【0058】
図15に示される第1の例では、第1のパルス対は、負の35Vパルスが後に続く正の35Vパルスから成り、第1のフィールドF1の間で1250μ秒のパルス幅を有する。図9のさらなる参照により、曲線B2、A1間の斜線が付されたエリアは、
(1)1250μ秒の正の35Vパルスが前記OASLMの照明領域に前記先導パルスでアップ(UP)への切り換えを与え、
(2)陰の35Vパルスが非照明領域に前記引きずりパルスでダウン(DOWN)への切り換えを与える、ことを示すことが理解されよう。
【0059】
第2のフィールドF2では、両極性パルスは、負の19Vパルスが続く正の19Vパルスから成り、1100μ秒の期間を有する。曲線A2、B1間で囲まれた左手側の斜線が付されたエリアから、前記先導パルスが非照明領域をUPに切り換え、前記引きずりパルスは照明領域をDOWNに切り換える。
【0060】
図16に示された第2の例では、前記第1のパルス対は、正の20Vパルスが後に続く負の20Vパルスから成り、第1のフィールドF2の間の1100μ秒の期間を有する。図6のさらなる参照により、曲線A2、B1間の斜線が付された左手側のエリアは、
(1)1100ピコ秒の負の20Vパルスが前記OASLMの非照明領域に前記先導パルスでDOWNへの切り換えを与え、
(2)正の20Vパルスが照明領域に前記引きずりパルスでUPへの切り換えを与える、ことを示すことが理解されよう。
【0061】
第2のフィールドF2では、両極性パルスは、正の35Vパルスが後に続く負の35Vパルスから成り、1100μ秒の期間を有する。曲線A2、B1間の斜線が付された右側のエリアから、前記先導パルスが照明領域をDOWNに切り換え、曲線A1から、前記引きずりパルスが非照明領域をUPに切り換える。
【0062】
図17の第3の例では、前記第1のパルス対は、負の35Vパルスが後に続く正の35Vパルスであり、前記第1のフィールド時間の間の1100μ秒の期間を有する。図9のさらなる参照により、曲線A1、B2間の右手側の斜線が付されたエリアは、
(1)1100ピコ秒の正の35Vパルスが前記OASLMの照明領域に前記先導パルスでUPへの切り換えを与え、
(2)負の35Vパルスが非照明領域に前記引きずりパルスでDOWNへの切り換えを与える、ことを示すことが理解されよう。
【0063】
第2のフィールドF2では、両極性パルスは、後に正の19Vパルスが続く負の35Vパルスから成り、1100μ秒の期間を有する。図6のさらなる参照により、曲線A1、B2間の右手側の斜線を付したエリアは、前記先導パルスが照明領域をDOWNに切り換え、また前記引きずりパルスが非照明領域をUPに切り換えることを示すことが理解できよう。
【0064】
図15ないし17に示された前記した3つの例は、OASLM6が、EASLM4により生成された陽及び陰の像の両像について、正の像を表示するように、両極性パルス対によってアドレス指定を受けることを示す。いかなるブランキングパルスも、これらの3つの例のために使う必要はない。しかしながら、ある例では、ブランキングパルスはアドレス指定サイクルの前に、適用される。前記ブランキングパルスは、前記強誘電体材料を所望の均一な状態に切り換えるために十分な振幅及び時間を有し正及び負の極性が平衡な両極性パルスである。ブランキングパルスの使用は、前記アドレス指定の両極性パルスが不均衡な振幅及び/又は幅を有することを可能にし、それでも、直流平衡を維持する。
【0065】
先に述べたように、いくつかのSLMシステムのために、前記EASLMに像が読み込まれ、前記OASLMに再生され、またラッチを掛けられる時間の後毎に、前記EASLMでの直流平衡を維持すべく、反転像が前記EASLMに読み込まれまた保持されるための等しい時間が続く。例えば直流平衡を与えるために、陽及び陰の像すなわちパターンの両方で前記EASLMをアドレス指定することにより、改善された効率が得られる。陽及び陰の像は、1つ又は複数のOASLM入力面上に、結像することができ、また、例えば振幅及び期間が異なる2つの双極性アドレスパルスであって陽及び陰の入力像に関して前記OASLM出力に同じ像を表示するアドレスパルスで、前記OASLMをアドレス指定することができる。
【0066】
一実施例では、空間光変調器システムは、EASLMを含む。該システムは、光源から光を受け取り、表示が形成されるOASLM上に光を送るための手段を含むように準備することができる。前記システムは、さらに、前記EASLMで直流平衡を得るために、陽及び陰の像で前記EASLMをアドレス指定する手段を含む。
【0067】
一実施例では、コントローラは、前記EASLM上の像を制御するため及び前記OASLMの電圧を制御するために、構成される。前記システムは、前記EASLMからの陽像の受け取りに関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを適用するための手段と、前記EASLMからの陰像の受け取りに関連した前記OASLMに異なる第2の双極性電圧パルスを印加する手段とを含む。前記OASLMは、必要とされている像の出力と、実質的な直流平衡とを有する。
【0068】
一実施例では、前記像は、周辺光を前記OASLMで反射することにより又は該OASLM上に向けられた照明光又は読み出し光を反射することにより、表示されあるいは観察される。前記照明光は広帯域光源又はレーザから送られるかもしれない。後者の場合、ホログラフィックな表示を形成することができる。フーリエ変換レンズを前記OASLMと観察者との間に配置することができる。
【0069】
前記OASLMは、セグメント化された電極を有する単一の大きなセルとすることができ、これにより対向するセグメント電極間で前記液晶材料の如何なる一領域にも電圧を独立的に印加することができる。光配向手段は、前記EASLMからのサブ像を個別に連続して前記OASLMの各セグメントに向けるためのシャッター及びレンズを含むことができる。
【0070】
一実施例では、すべての前記OASLMがアドレス指定を受けるまで、順次各セグメントに陽及び陰の像が交互に書き込まれ、それから読み出し光が当てられる。他の実施例では、全ての陽のサブ像は、完全な画像を形成すべく前記OASLMの全てのセグメントの上に結像され、また全ての陰のサブ像が前記EASLMによって生成されまた前記OASLMに適用される間に、前記読み出し光が連続的に適用される。
【0071】
図18は、SLMシステムをアドレス指定する方法の一例を示す。工程110で、EASLMは、正及び陰の両サブ像の連続を形成すべくアドレス指定を受ける。
【0072】
工程120で、光は前記EASLMからOASLM上に向けられる。
【0073】
工程130で、サブ像は前記OASLMの異なる領域に書き込まれる。
【0074】
工程140で、複数のサブ像は、完全な画像を形成すべく前記OASLMに記憶される。
【0075】
工程150で、第1の双極性電圧パルスが前記EASLMからの陽サブ像の受け取りに関連した前記OASLMに適用される。
【0076】
工程160で、異なる第2の双極性電圧パルスが前記EASLMからの陰のサブ像の受け取りと関連した前記OASLMに適用される。
【0077】
工程170で、前記OASLMが陽及び陰の両サブ像の入力について同じ像を表示するように、前記第1及び第2の双極性パルスの形態が準備され、完全な画像が表示される。
【0078】
上に説明された前記システムは、前記工程のいくつか又は全てを実行する専用のプロセッサシステム、マイクロコントローラ、プログラム可能な論理デバイス、又はマイクロプロセッサを使うことができる。上で説明された工程のいくつかがソフトウェアで実装されるかもしれず、他の工程はハードウェアで実装されるかもしれない。
【0079】
便宜上、前記工程は、種々の相互接続された機能ブロック又は別個のソフトウェアモジュールで記載されている。しかしながら、これは必要でなく、これらの機能ブロック又はモジュールが、不明瞭な境界で、1つの論理デバイス、プログラム又は工程中に等しく集められる場合があるかもしれない。いずれにしても、前記機能ブロック、ソフトウェアモジュール又は柔軟なインタフェースの特性は、単独で、あるいはハードウェア又はソフトウェアのいずれかと、他の動作との組み合わせで実現することができる。
【0080】
それの好適な実施例で原理を説明し図示したが、実施例は、そのような原理から逸脱することなく配置や詳細を変形できることは明らかである。我々は、以下の特許請求の範囲の精神及び範囲内のすべての修正や変更を権利として要求する。
【符号の説明】
【0081】
1 光源
4 光アドレス型空間光変調器(EASLM)
6 電気アドレス型空間光変調器(OASLM)
8 セグメント
10 読み出し光の光源
11 観察者
12 読み出し光
13 コントローラ
17 シリコン層(感光層)
18 遮光層
21 液晶(LC)層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光アドレス型空間光変調器(OASLM)と、
前記OASLM上に光を伝えるように配置された電気アドレス型空間光変調器(EASLM)と、
陽像及び陰像の両方で、前記EASLMのアドレスを指定するように構成された第1のコントローラと、
前記陽像を受けることに関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加し、また前記陰像を受けることに関連した前記OASLMに第2の双極性電圧パルスを印加するように構成された第2のコントローラとを含む、空間光変調器システム。
【請求項2】
前記OASLMは、単一表示装置を構成すべくマトリクス形態で配列された複数の個別のOASLMセグメントを含む、請求項1に記載の前記システム。
【請求項3】
前記陽及び陰の像は、一度に1セグメントずつ連続して各OASLMセグメントにより受けられる、請求項2に記載の前記システム。
【請求項4】
さらに、前記陰像の受け取りと同時的に各OASLMセグメントに適用される書き込み光を含む、請求項3に記載の前記システム。
【請求項5】
さらに完全な画像を表示するために前記OASLMに向けられる読み出し光を含み、前記完全な画像は前記陽及び陰の両像から成る、請求項1に記載の前記システム。
【請求項6】
前記完全な画像は人が読み取り可能な二次元像である、請求項5に記載の前記システム。
【請求項7】
前記OASLMによって表示される前記完全な画像は、三次元像に関連した回折パターンからなる、請求項5に記載の前記システム。
【請求項8】
前記陽及び陰の像は、同時に、前記EASLMに読み込まれる、請求項1に記載の前記システム。
【請求項9】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは、等しくないパルス幅を有する、請求項1に記載の前記システム。
【請求項10】
陽及び陰の両サブ像を連続して形成すべく電気アドレス型空間光変調器(EASLM)にアドレスを指定すること、
光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に前記陽及び陰のサブ像を書き込むこと、
前記OASLM上に複数の前記陽及び陰のサブ像を記憶すること、
前記陽及び陰のサブ像に関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加すること、
前記陰のサブ像に関連した前記OASLMに異なる第2の双極性電圧パルスを印加することを含み、
前記OASLMは前記陽及び陰のサブ像からの入力からなる陽像を表示すべく構成されている、方法。
【請求項11】
さらに、前記OASLMに前記陽サブ像の全てを書き込むこと、
前記陽サブ像の書き込み完了後に前記OASLMに前記陰のサブ像の全てを書き込むことを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項12】
さらに、前記陰のサブ像の書き込み中に前記OASLMに読み出し光を適用することを含む、請求項11に記載の前記方法。
【請求項13】
前記陽及び陰の両サブ像を前記OASLMの複数のセグメントのそれぞれに書き込むことを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項14】
前記陽及び陰のサブ像は前記OASLMに交互に書き込まれる、請求項13に記載の前記方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは、1つの正の先導パルス及び1つの負の引きずりパルスを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは、1つの負の先導パルス及び1つの正の引きずりパルスを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項17】
前記第1の双極性電圧パルスは1つの正の先導パルスを含み、前記第2の双極性電圧パルスは1つの負の先導パルスを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項18】
陽のサブ像及び陰のサブ像で電気アドレス型空間光変調器(EASLM)にアドレスを指定する手段と、
光アドレス型空間光変調器(OASLM)に前記陽及び陰のサブ像を書き込む手段と、
前記OASLMに複数の前記陽及び陰のサブ像を記憶する手段と、
前記陽のサブ像に関した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加するための手段と、
前記陰のサブ像に関した前記OASLMに第2の双極性電圧パルスを印加する手段と、
前記陽及び陰のサブ像から成る完全な画像を表示するための手段とを含む装置。
【請求項19】
前記陽のサブ像は、前記第1の双極性パルスの印加と同時的に前記OASLMに書き込まれる、請求項18に記載の前記装置。
【請求項20】
前記陰のサブ像は、前記第2の双極性電圧パルスの印加と同時的に前記OASLMに書き込まれる、請求項19に記載の前記装置。
【請求項21】
読み出し光が前記第2の双極性パルスの印加と同時的に前記OASLMに適用される、請求項20に記載の前記装置。
【請求項22】
前記読み出し光は前記陽像及び陰像の両方を照射する、請求項20に記載の前記装置。
【請求項23】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは等しくない振幅を有する、請求項18に記載の前記装置。
【請求項24】
コンピュータが読み込み可能な媒体であって、記憶された命令を有し該命令が少なくとも1台の装置で実行されるとき、前記命令は、
陽及び陰の両サブ像を連続して形成すべく電気アドレス型空間光変調器(EASLM)にアドレス指定すること、
前記陽及び陰のサブ像を光アドレス型空間光変調器(OASLM)に書き込むこと、
前記複数の陽及び陰のサブ像を前記OASLMに記憶すること、
前記陽のサブ像に関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加すること、及び
前記陰のサブ像に関連した前記OASLMに異なる第2の双極性電圧パルスを印加することを可能とする、コンピュータが読み込み可能な媒体。
【請求項25】
前記OASLMは、前記陽及び陰のサブ像の入力から成る完全な画像を表示すべく構成されている、請求項24に記載の前記媒体。
【請求項26】
前記OASLMは、単一表示装置を構成すべくマトリクス形態で配列された複数の個別のOASLMセグメントを含む、請求項24に記載の前記媒体。
【請求項27】
前記陽及び陰の像は、一度に1セグメントずつ、交互に各OASLMセグメントにより受けられる、請求項26に記載の前記媒体。
【請求項28】
前記命令は、さらに、前記陰像の受け取りと同時的に各OASLMセグメントに書き込み光を適用することを可能とする、請求項27に記載の前記媒体。
【請求項29】
前記命令は、さらに、完全な画像を表示すべく読み出し光を前記OASLMに向けることを可能とし、前記完全な画像は前記陽及び陰の両像からなる、請求項24に記載の前記媒体。
【請求項1】
光アドレス型空間光変調器(OASLM)と、
前記OASLM上に光を伝えるように配置された電気アドレス型空間光変調器(EASLM)と、
陽像及び陰像の両方で、前記EASLMのアドレスを指定するように構成された第1のコントローラと、
前記陽像を受けることに関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加し、また前記陰像を受けることに関連した前記OASLMに第2の双極性電圧パルスを印加するように構成された第2のコントローラとを含む、空間光変調器システム。
【請求項2】
前記OASLMは、単一表示装置を構成すべくマトリクス形態で配列された複数の個別のOASLMセグメントを含む、請求項1に記載の前記システム。
【請求項3】
前記陽及び陰の像は、一度に1セグメントずつ連続して各OASLMセグメントにより受けられる、請求項2に記載の前記システム。
【請求項4】
さらに、前記陰像の受け取りと同時的に各OASLMセグメントに適用される書き込み光を含む、請求項3に記載の前記システム。
【請求項5】
さらに完全な画像を表示するために前記OASLMに向けられる読み出し光を含み、前記完全な画像は前記陽及び陰の両像から成る、請求項1に記載の前記システム。
【請求項6】
前記完全な画像は人が読み取り可能な二次元像である、請求項5に記載の前記システム。
【請求項7】
前記OASLMによって表示される前記完全な画像は、三次元像に関連した回折パターンからなる、請求項5に記載の前記システム。
【請求項8】
前記陽及び陰の像は、同時に、前記EASLMに読み込まれる、請求項1に記載の前記システム。
【請求項9】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは、等しくないパルス幅を有する、請求項1に記載の前記システム。
【請求項10】
陽及び陰の両サブ像を連続して形成すべく電気アドレス型空間光変調器(EASLM)にアドレスを指定すること、
光アドレス型空間光変調器(OASLM)上に前記陽及び陰のサブ像を書き込むこと、
前記OASLM上に複数の前記陽及び陰のサブ像を記憶すること、
前記陽及び陰のサブ像に関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加すること、
前記陰のサブ像に関連した前記OASLMに異なる第2の双極性電圧パルスを印加することを含み、
前記OASLMは前記陽及び陰のサブ像からの入力からなる陽像を表示すべく構成されている、方法。
【請求項11】
さらに、前記OASLMに前記陽サブ像の全てを書き込むこと、
前記陽サブ像の書き込み完了後に前記OASLMに前記陰のサブ像の全てを書き込むことを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項12】
さらに、前記陰のサブ像の書き込み中に前記OASLMに読み出し光を適用することを含む、請求項11に記載の前記方法。
【請求項13】
前記陽及び陰の両サブ像を前記OASLMの複数のセグメントのそれぞれに書き込むことを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項14】
前記陽及び陰のサブ像は前記OASLMに交互に書き込まれる、請求項13に記載の前記方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは、1つの正の先導パルス及び1つの負の引きずりパルスを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項16】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは、1つの負の先導パルス及び1つの正の引きずりパルスを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項17】
前記第1の双極性電圧パルスは1つの正の先導パルスを含み、前記第2の双極性電圧パルスは1つの負の先導パルスを含む、請求項10に記載の前記方法。
【請求項18】
陽のサブ像及び陰のサブ像で電気アドレス型空間光変調器(EASLM)にアドレスを指定する手段と、
光アドレス型空間光変調器(OASLM)に前記陽及び陰のサブ像を書き込む手段と、
前記OASLMに複数の前記陽及び陰のサブ像を記憶する手段と、
前記陽のサブ像に関した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加するための手段と、
前記陰のサブ像に関した前記OASLMに第2の双極性電圧パルスを印加する手段と、
前記陽及び陰のサブ像から成る完全な画像を表示するための手段とを含む装置。
【請求項19】
前記陽のサブ像は、前記第1の双極性パルスの印加と同時的に前記OASLMに書き込まれる、請求項18に記載の前記装置。
【請求項20】
前記陰のサブ像は、前記第2の双極性電圧パルスの印加と同時的に前記OASLMに書き込まれる、請求項19に記載の前記装置。
【請求項21】
読み出し光が前記第2の双極性パルスの印加と同時的に前記OASLMに適用される、請求項20に記載の前記装置。
【請求項22】
前記読み出し光は前記陽像及び陰像の両方を照射する、請求項20に記載の前記装置。
【請求項23】
前記第1及び第2の双極性電圧パルスは等しくない振幅を有する、請求項18に記載の前記装置。
【請求項24】
コンピュータが読み込み可能な媒体であって、記憶された命令を有し該命令が少なくとも1台の装置で実行されるとき、前記命令は、
陽及び陰の両サブ像を連続して形成すべく電気アドレス型空間光変調器(EASLM)にアドレス指定すること、
前記陽及び陰のサブ像を光アドレス型空間光変調器(OASLM)に書き込むこと、
前記複数の陽及び陰のサブ像を前記OASLMに記憶すること、
前記陽のサブ像に関連した前記OASLMに第1の双極性電圧パルスを印加すること、及び
前記陰のサブ像に関連した前記OASLMに異なる第2の双極性電圧パルスを印加することを可能とする、コンピュータが読み込み可能な媒体。
【請求項25】
前記OASLMは、前記陽及び陰のサブ像の入力から成る完全な画像を表示すべく構成されている、請求項24に記載の前記媒体。
【請求項26】
前記OASLMは、単一表示装置を構成すべくマトリクス形態で配列された複数の個別のOASLMセグメントを含む、請求項24に記載の前記媒体。
【請求項27】
前記陽及び陰の像は、一度に1セグメントずつ、交互に各OASLMセグメントにより受けられる、請求項26に記載の前記媒体。
【請求項28】
前記命令は、さらに、前記陰像の受け取りと同時的に各OASLMセグメントに書き込み光を適用することを可能とする、請求項27に記載の前記媒体。
【請求項29】
前記命令は、さらに、完全な画像を表示すべく読み出し光を前記OASLMに向けることを可能とし、前記完全な画像は前記陽及び陰の両像からなる、請求項24に記載の前記媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2010−517104(P2010−517104A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547472(P2009−547472)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/052366
【国際公開番号】WO2008/094950
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509142564)エフ ポスザット エイチユー、 エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/052366
【国際公開番号】WO2008/094950
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509142564)エフ ポスザット エイチユー、 エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]