説明

突起を有する金属部品、金属部材に突起を形成する方法及び突起形成装置

【課題】金属部材に一体に形成され機械的特性の優れた中空突起を有する金属部品及び金属部材に突起を形成する方法並びに突起形成装置を提供する。
【解決手段】金属部材111とその表面にそれと同一材料で一体に形成され突起112を有し、突起112は少なくとも一方が開口し高さ方向に伸びる中空部を有すると共に突起の外形状はねじ溝112aを有することで中空部の内形状が異なっており、突起112及びその近傍の金属部材の表面領域が他の領域より微細化された組織である点を特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は突起を有する高機械強度の金属部品、金属部材表面にそれと同一材料の突起を摩擦攪拌プロセス技術により形成する方法及び突起形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部材の表面に中実の突起を形成することは、位置決め手段、支持手段、固定・固着手段、冷却手段として広く使用されており、携帯電話やモバイルパソコンなどの携帯型情報端末、家電製品、自動車部品、鉄道用車両等において不可欠の技術になっている。金属部材の表面に中実の突起を形成する方法としては、突起を予め準備しておいて金属部材に溶接、ろう付け、固相接合する方法、摩擦接合する方法、金型を用いてプレス加工する方法が知られ使用されている。溶接、ろう付けする方法は製造工数が増えコスト高になること及び軽量化という観点で使用される傾向にあるマグネシウム、マグネシウム合金及びアルミニウム、アルミニウム合金には適用できないという問題があり、摩擦接合する方法は寸法精度が悪いという問題があり、プレス加工する方法は金属部材が小型化、薄板化かつ複雑化すると適用できないという問題がある。
【0003】
金属部材の表面に中実の突起を形成する技術として、凹部を形成した第2物体(金型)上にアルミニウムの第1物体を置き、第1物体に摩擦熱発生攪拌手段を当接して両者間で相対移動を生じさせて摩擦熱を発生し、これによって第1物体を非溶融状態で塑性流動を生じさせ、第1物体に第2物体の凹部に相当する凸部を転写する摩擦攪拌成型方法(特許文献1)及び一対の上下金型の間に素材板を狭圧して加熱することにより、素材板の一部を金型の凹部内へ塑性流動させて凸部を形成するマグネシウム合金部品の製造方法(特許文献2)が提案されている。前者の摩擦攪拌成型方法は熱源を必要とせず摩擦熱を利用して生じる塑性流動を用いて攪拌手段とは反対側に配置した金型に形成した凹部を充填するものであり、上記した問題点を解消できる。しかしながら、この方法で形成した突起は機械的特性(強度と延性)が低く実用上の問題が残っている。その理由は、本発明者らの確認したところによれば、組織が微細化する領域は第1物体の摩擦熱発生攪拌手段によって摩擦攪拌されている領域であり、それから離れた領域に第2物体に形成した凹部が位置しており、突起部分の組織の微細化が図られていないことにある。更に、薄板(〜2mm厚)に直径3mm以上、高さ5mm以上の突起をこの方法により形成することは難しい。後者の製造方法は溶接、ろう付けが出来ないマグネシウム合金部材に凸部を形成することを可能にするもので上記した問題点を解消できる。しかしながら、この方法は上金型と下金型に夫々ヒ−ターを内蔵し、ヒーターによる加熱によって塑性流動を生じさせるものであり、熱エネルギーを必要とすることの他に突起の機械的特性が低いという問題を有している。その理由は、攪拌を用いないで生じる塑性流動では生じる歪みエネルギーが小さく組織の微細化が充分に図れないことにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−256453号
【特許文献2】特開2004−337935号
【0005】
本発明者らは上記の課題を解決する中実の突起を形成する方法を特願2008−183276号で先に提案した。この方法は、金属部材表面に先端部に開孔を有する加工手段の先端部を押圧して金属部材と加工手段を相対的に反対方向に回転させることにより、発生する摩擦熱を利用して加工手段に当接する金属部材の部分の温度を上昇して低応力下で塑性流動が発現し、加工手段の開孔に金属部材を案内して突起を形成することを特徴としている。このため、この方法で形成される突起は円柱状で滑らかな外面を有するものとなり、例えば外形面に螺着用のねじ溝を形成する場合には突起を形成した後にねじ溝を形成する工程を追加する必要があり、数秒の突起形成時間に数分単位のねじ溝形成工程を追加することで製造時間が著しく長くなる問題がある。また、突起を円筒状にして内面にねじを形成する場合には、穴開け工程及びねじ溝形成工程を必要とし、更に製造工程が増え製造時間が長くなる。更に、突起の外周面または円筒状の内周面に回り止め用のストッパー部を形成する場合にも同様の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は金属部材にそれと同一材料からなり、螺着、回り止め機能を有し、機械的強度の大きい突起を有する金属部品を提供することにある。
本発明の他の目的は金属部材にそれと同一材料からなり、少なくとも一方が開口し高さ方向に伸びる中空部を有し、外形状と中空部の内面形状が異なる突起を略同時に形成する方法を提供することにある。
本発明の別の目的は金属部材にそれと同一材料からなり、少なくとも一方が開口し高さ方向に伸びる中空部を有し、外形状と中空部の内面形状が異なる突起を略同時に形成する突起形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明突起を有する金属部品の特徴とするところは、金属部材と金属部材の表面にそれと同一材料で一体に形成され突起を有し、突起は少なくとも一方が開口し高さ方向に伸びる中空部を有すると共に突起の外形状と中空部の内形状が異なっており、突起及びその近傍の金属部材の表面領域が他の領域より微細化された組織である点にある。突起の外形状と中空部の内形状が異なるとは、例えば、(1)突起の外形面または中空部の内面のいずれか一方にねじ溝が形成されているもの、(2)突起の外形面または中空部の内面のいずれか一方の突起の高さ方向と直角をなす断面が真円で、他方が真円以外の形状を有するもの、(3)突起の外形面または中空部の内面の突起の高さ方向と直角をなす断面が略同一で、いずれか一方に突部、溝部、切欠部等が形成されているものをいう。この突起を有する金属部品は、携帯型情報端末、家電製品、自動車部品、鉄道用車両等に使用される突起部分を有する部品として使用するに適している。
【0008】
本発明金属部材に突起を形成する第1の方法の特徴とするところは、内周面にねじ溝を有する貫通孔を形成した加工治具を準備する工程、金属部材上に加工治具を載置する工程、加工治具の貫通孔にそれより小径の回転ツールを案内して金属部材に当接し、回転ツールを金属部材に加圧した状態で回転する工程、回転ツールと金属部材の摩擦熱によって生じる金属部材の塑性流動により、加工治具の貫通孔と回転ツールの間に金属部材を充填する工程を備える点にある。金属部材に回転ツールを押し当てて回転ツールを回転させると摩擦熱が発生し、この摩擦熱によって回転ツールに当接している金属部材の部分の温度が上昇することにより低応力下で塑性流動が発現し、金属部材の塑性流動が発現していない周囲の領域がストッパーとなり貫通孔と回転ツールとの間に形成されたねじ溝を含む隙間内へ金属部材が流れ込み、回転ツールの回転を停止すると金属部材の温度が下がり塑性流動した部分が硬化し、金属部材上に外周面にねじ溝を有する突起が形成される。塑性流動した部分が硬化すると、回転ツールを貫通孔から引き抜き、加工治具または金属部材の少なくとも一方を加工治具のねじ溝と突起のねじ溝の螺合を解除する方向に回転して、加工治具から突起を開放する。塑性流動は金属部材が固体の状態で発現するため金属部材の組織は粗大化せず、他方、回転ツールの摩擦攪拌によって突起及びその近傍の金属部材の表面領域が他の領域に比較して微細化されているため、加工中の高温状態(金属部材の融点を絶対温度で表した数値の1/2以上の温度をいう)では超塑性的流動が生じて、変形応力は小さく、塑性流動性は非常に大きい。一方、加工終了後室温に戻った時の突起の機械的強度を大きくすることができる。
【0009】
本発明金属部材に突起を形成する第2の方法の特徴とするところは、外周にねじ溝を有する円柱部を突設した加工治具を準備する工程、加工治具の円柱部が突設された側に円柱部が貫通する孔部を有する金属部材を載置する工程、加工治具の円柱部より大径の孔部を有する回転ツールを金属部材上に当接するように載置し、回転ツールを金属部材に加圧した状態で回転する工程、回転ツールと金属部材の摩擦熱によって生じる金属部材の塑性流動により、加工治具の円柱部と回転ツールの孔部との間に金属部材を充填する工程を備える点にある。金属部材に回転ツールを押し当てて回転ツールを回転させると摩擦熱が発生し、この摩擦熱によって回転ツールに当接している金属部材の部分の温度が上昇することにより低応力下で塑性流動が発現し、金属部材の塑性流動が発現していない周囲の領域がストッパーとなり加工治具の円柱部と回転ツールの孔部との間に形成されたねじ溝を含む隙間内へ金属部材が流れ込む。回転ツールの回転を停止すると金属部材の温度が下がり塑性流動した部分が硬化し、金属部材上に内周面にねじ溝を有する中空突起が形成される。塑性流動した部分が硬化すると、回転ツールを中空突起から引き離し、加工治具または金属部材の少なくとも一方を加工治具のねじ溝と中空突起のねじ溝の螺合を解除する方向に回転して、加工治具から突起を開放する。この場合においても第1の方法と同じ理由により中空突起の機械強度を大きくすることが出来る。
【0010】
本発明金属部材に突起を形成する第3の方法の特徴とするところは、所定形状の貫通孔を形成した加工治具を準備する工程、金属部材上に加工治具を載置する工程、加工治具の貫通孔に回転によって形成される形状が貫通孔と異なる形状を有する回転ツールを案内して金属部材に当接し、回転ツールを金属部材に加圧した状態で回転する工程、回転ツールと金属部材の摩擦熱によって生じる金属部材の塑性流動により、加工治具の貫通孔と回転ツールの間に金属部材を充填する工程を備える点にある。金属部材に回転ツールを押し当てて回転ツールを回転させると摩擦熱が発生し、この摩擦熱によって回転ツールに当接している金属部材の部分の温度が上昇することにより低応力下で塑性流動が発現し、金属部材の塑性流動が発現していない周囲の領域がストッパーとなり貫通孔と回転ツールとの間に形成される隙間内へ金属部材が流れ込み、回転ツールの回転を停止すると金属部材の温度が下がり塑性流動した部分が硬化し、金属部材上に外形状と内形状が異なる一端が開口した中空部有する突起が形成される。この場合においても第1の方法と同じ理由により中空突起の機械強度を大きくすることが出来る。
【0011】
本発明金属部材に突起を形成する方法を適用する金属部材としては、これらに限定されるものではないがマグネシウム合金及びアルミニウム合金が好ましい。マグネシウム合金としては、アルミニウムAl、亜鉛Zn、ジルコニウムZr、マンガンMn、リチウムLi、鉄Fe、珪素Si、銅Cu、ニッケルNi、カルシウムCa,希土類元素を少なくとも1種類含むマグネシウム合金が挙げられる。また、アルミニウム合金としては、銅Cu、マンガンMn、珪素Si、マグネシウムMg、亜鉛Zn、ニッケルNi、クロムCr、チタンTiを少なくとも1種類含むアルミニウム合金が挙げられる。
【0012】
本発明突起形成装置の特徴とするところは、加工される金属部材を保持する保持手段と、金属部材に当接して回転することにより摩擦熱を発生する回転ツール手段と、回転ツール手段との間に金属部材を塑性流動させて充填する円筒状の間隙を形成する加工治具と、回転ツール手段を回転駆動する手段と、保持手段及び回転ツール手段の少なくとも一方を両手段を結ぶ線上に沿って移動させる手段と、回転ツール手段を金属部材表面に押圧する手段とを具備する点にある。この突起形成装置によれば、回転ツール手段と金属部材の摩擦熱によって発現する塑性流動と、加工治具と回転ツール手段で形成される間隙形状によって、少なくとも一方が開口する中空部を有し、外形状と中空部内面形状が異なる突起を有する金属部品を例えば数秒という極く短時間で提供することが出来る。この突起形成装置は金属部材に突起を形成する単機能装置であっても、また順送プレス装置の複数の工程の中の一工程を担う装置部分であってもよい。
【0013】
本発明突起形成装置に使用する加工治具としては、耐熱性、耐摩耗性、濡れ性が低い(被加工材と接着しない)ことが要求され、具体的材料としてはステンレス(例えばSUS鋼)、工具鋼(例えばSK鋼)、超合金(Ni系、Fe系、Co系)、セラミックス(CBN(立方晶ボロンナイトライド)、ZrO、SiC、Si、SiALON、Al及びこれらの複合材料)、金属とセラミックスの複合材(例えばサーメット)が使用できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明突起を有する金属部品は、金属部材の表面にそれと同一材料からなる少なくとも一方が開口する中空部を有し、外形状と中空部の内面形状が異なる突起を有しているため螺着及び回り止め機能を有しており広い用途に利用でき、かつ突起及びその近傍の金属部材の表面領域が他の領域より微細化された組織になっているため、機械的特性の優れた突起を実現できる。
また、本発明金属部材に突起を形成する方法によれば、回転ツールと金属部材の摩擦熱及び摩擦攪拌によって発現する超塑性により金属部材の塑性流動を利用して回転ツールと加工治具の間に形成される間隙を充填する方法を利用するため、金属部材と同一材料でかつ表面領域が微細組織の突起を数秒という短時間で形成出来、機械的特性の優れた突起を実現することが出来る。
更に、本発明突起形成装置は、外部から熱エネルギーを付与することなく金属部材の表面に金属部材と同一材料で、少なくとも一方が開口する中空部を有し、かつ外形状と中空部内面形状が異なる突起を塑性流動により形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明突起を有する金属部品の第1の実施例を示す概略断面図である。
【図2】本発明突起を有する金属部品の第2の実施例を示す概略断面図である。
【図3】本発明突起を有する金属部品の第3の実施例を示す概略断面図及び概略平面図である。
【図4】本発明金属部材に突起を形成する方法の第1の実施例を説明する概略断面図である。
【図5】本発明金属部材に突起を形成する方法の作用を説明する概略拡大図である。
【図6】本発明方法によって金属部材に形成した突起の機械的特性が高い点を説明する概略断面度である。
【図7】本発明方法によって金属部材に形成した突起の付け根部分の組織状態を示す顕微鏡写真である。
【図8】本発明金属部材に突起を形成する方法の第2の実施例を説明する概略断面図である。
【図9】本発明金属部材に突起を形成する方法の第3の実施例を説明する概略断面図である。
【図10】本発明突起を有する金属部品の異なる実施例を示す概略平面図である。
【図11】本発明金属部材に突起を形成する方法を実行するために使用する突起形成装置の一例を示す概略正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明突起を有する金属部品は、アルミニウム合金及びマグネシウム合金を金属部材として、その表面にそれと同一材料で一体に形成され突起を有し、突起は少なくとも一方が開口し高さ方向に伸びる中空部を有すると共に突起の外形状と中空部の内形状が異なっており、突起及びその近傍の金属部材の表面領域が他の領域より微細化された組織になっている。金属部材の表面に中空突起を形成する方法としては、突起の形状を決める加工治具と回転ツールを金属部材の一方側に配置し、回転ツールの摩擦攪拌による塑性流動を利用するのが最も簡便な方法である。マグネシウム及びマグネシウム系合金は軽量金属材で携帯型情報端末、家電製品、自動車部品、鉄道用車両等の金属部品として広く使用される傾向にある。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明突起を有する金属部品の第1の実施例を示す概略断面図で、金属部品11は板状の金属部材111と金属部材111表面に一体に形成された突起112からなっている。突起112は外周面にねじ溝112aが形成された有底で円筒状の中空部を有し、底部111aは摩擦攪拌プロセス技術を利用して突起を形成する関係で金属部材111より薄くなっている。この突起112は外周面にねじ溝112aが形成されているため、内周面の形状と外周面の形状が異なる形状になっている。この突起112を有する金属部品11は他の部材と結合する場合に螺着を利用するため、点検・修理の際に結合を外し、再度結合すことできる利点がある。また、突起112の底部111aを含む内周面及びその近傍が他の領域に比較して微細化された組織になっているため、機械的特性の優れた突起を実現できる。底部111aは金属部材111の突起112を形成した側とは反対側表面の美観を良くすること及び高強度を保持するために寄与するが、金属部材111に貫通孔を設ける必要がある場合には美観及び強度が多少犠牲になるが底部111aが存在しない構造にすることが出来る。
【実施例2】
【0018】
図2は本発明突起を有する金属部品の第2の実施例を示す概略断面図で、金属部品11は板状の金属部材111と金属部材111表面に一体に形成された突起113からなっている。突起113は内周面にねじ溝113aが形成された底無しで円筒状の中空部を有し、金属部材111の突起113に隣接する部分111bが摩擦攪拌プロセス技術を利用して突起を形成する関係で他の部分より薄くなっている。この突起113も内周面にねじ溝113aが形成されているため、内周面の形状と外周面の形状が異なる形状で、他の部材との結合に螺着を利用しており、図1の突起と同様の利点を有している。また、突起113の外周面及びそれに連なる部分111bの表面及びその近傍が他の領域に比較して微細化された組織になっているため、機械的特性の優れた突起を実現できる。
【実施例3】
【0019】
図3は本発明突起を有する金属部品の第3の実施例を示す概略断面図で、金属部品11は板状の金属部材111と金属部材111に一体に形成された突起114からなっている。突起114は有底で円筒状の中空部と角柱状の外周面を有し、この結果図3(b)に示すように突起の高さ方向と直角をなす断面が真円をなす内周面114aと略正方形をなす外周面114bを有している。突起114の内周面114aで形成される円筒状の空間は摩擦攪拌プロセス技術を利用して突起114を形成する関係で金属部材側111側が有底で底部111cは金属部材111より薄くなっている。この突起114は内周面114aの形状と外周面114bの形状が異なっているため、突起114を利用した結合部の突起に高さ方向と直角をなす面における回転を防止する利点を有している。また、突起114の底部111cを含む内周面及びその近傍が他の領域に比較して微細化された組織になっているため、機械的特性の優れた突起を実現できる。底部111cは金属部材111の突起114を形成した側とは反対側表面の美観を良くすること及び高強度を保持するために寄与するが、金属部材111に貫通孔を設ける必要がある場合には美観及び強度が多少犠牲になるが底部111cが存在しない構造にすることが出来る。
【実施例4】
【0020】
図4は金属部材に突起を形成する方法の第1の実施例を説明する概略断面図である。111は板状の金属部材、12は内周面にねじ溝121aを形成した貫通孔121を有する加工治具、13は加工治具12の貫通孔121より小径を有する先端部13aが例えば略平坦な回転ツールで、図1に示す突起112を有する金属部品11を製造する場合にはこれらを準備する必要がある。金属部材111に突起を形成する場合には、金属部材111を加工台(図示しない)上の所定位置に載置して機械的、静電的または真空吸着により固定し、金属部材111の突起を形成する予定個所に加工治具12の貫通孔121を位置合わせして金属部材111上に加工治具12を載置する(図4(a))。この時、回転ツール13は加工治具12の貫通孔121の近傍で待機した状態にある。次に回転ツール13を回転しながら加工治具12の貫通孔121内に案内し、その先端部13aを金属部材111の表面に所定の圧力で押圧する。回転ツール13の先端部13aを回転しながら金属部材111の表面に押圧すると、回転ツール13の先端部13aに当接している金属部材111の表面領域の組織が摩擦熱による温度上昇により金属部材111が軟化し、押圧下の回転ツール13の回転により容易に攪拌され、強ひずみ加工状態になり、動的再結晶等により微細化する。このように微細化された組織は高温で塑性変形が容易になる超塑性的現象を発現する。超塑性的現象の発現により、塑性流動が生じ、更に、微細化していない領域でも高温状態下で、軟化して塑性流動する。塑性流動は後述するように、加工治具12の貫通孔121の内周面と回転ツール13の間に形成されている間隙に向かって流れ、ねじ溝121aを含む間隙を充填して突起112を形成する(図4(b))。回転ツール13及び加工治具12を金属部材111から離し、図1に示す突起112を有する金属部品11が得られる(図4(c))。加工治具12を金属部材111から離すためには、加工治具12の貫通孔121に形成したねじ溝121aとこれによって金属部材111表面に形成された中空の突起112のねじ溝112aが螺着した状態になっており、両者の螺着を解除する方向に両者を回転する必要がある。
【0021】
図4に示す金属部材に突起を形成する方法において、図4(b)において回転ツール13を金属部材111の他方表面まで押圧すことにより、底部111aが存在しない構造を得ることが出来る。その場合、加工治具12の貫通孔121と回転ツール13の間隔を、回転ツール13が金属部材111を貫通した状態になった時に塑性流動によって略充填されるように設定しておく必要がある。
【0022】
塑性流動によって突起が形成される理由を図5により説明する。図5は図4(b)を拡大して示したもので、回転ツール13の先端部13aに当接している金属部材111の表面領域111aが超塑性的現象を発現して塑性流動を黒矢印方向Y111aに生じている状態を示している。一方、攪拌が生じない下部領域は摩擦熱による温度上昇により軟化しており、回転ツール13による押圧力により塑性流動を白矢印方向Y112aに生じる(通常の熱間成形に近い)。超塑性的現象を発現している金属部材111の表面領域111aは、その側方が超塑性的現象を発現していない周囲領域111bによって包囲されてY12方向に押圧され、上方は回転ツール13の先端部13a及び加工治具12によって矢印Y13及びY12方向に押圧されており、黒矢印Y111a及び白矢印Y112a方向に押され、黒矢印Y111b及び白矢印Y112bで示す加工治具12の貫通孔121と回転ツール13の開隙方向が唯一の流動方向になる。回転ツール13による摩擦攪拌が継続されている時間に比例して開隙への流動は続き、突起112の高さが増加する。
【0023】
本発明金属部材に突起を形成する方法において重要な事項は、加工条件の設定である。マグネシウム、マグネシウム系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金を被加工金属部材とし室温で加工する場合、加工治具の回転数は200〜20000rpm、好ましくは200〜5000rpm、押し込み圧力は50kg/cm以上が好ましい。
【0024】
図6を用いて本発明方法によって金属部材に形成した突起の機械的特性が優れている点を説明する。金属部材111の回転ツール13によって摩擦攪拌された領域は微細化(動的再結晶等の発現)される。微細化された領域は高温で塑性変形が容易となり、超塑性的現象が発現して塑性流動が生じ、加工治具12の貫通孔121と回転ツール13の開に形成されるねじ溝を含む間隙内に流れ込みねじ溝を有する突起112を形成する。図6の突起112の内周面及び底面の近傍のハッチングで示した領域は摩擦攪拌によって微細化された組織を有する領域となっている。組織が微細化されると一般に機械的特性が向上する。金属部材に突起を形成する場合、金属部材と突起の連結個所に応力集中が起こり、この個所で機械的破損が生じることが多い。本発明の方法で突起を形成すると、微細化された組織が突起から突起と金属部材の連結個所を超えて金属部材にわたって存在しているため、機械的強度の向上が図れる。
【0025】
図7は本発明突起を形成する方法で形成した突起の付け根部分(図6の突起112と底部111aの連結部分)の組織状態を示す顕微鏡写真である。写真から、図6のハッチング出示した領域に対応する個所の組織が他に比較して微細化されていることが判る。
【0026】
本発明突起を形成する方法で形成した突起の機械的性質の一つである衝撃値を計測したところ次の結果を得た。試験機はテスター産業株式会社のアイゾット型衝撃試験装置(WR=3kg・m)を用い、室温(20℃)にて同一条件で突起を形成する前の試料と突起を形成した試料の衝撃値を計測したところ、AZ31及びZK60Aのいずれの場合においても素材の衝撃値より突起を形成した場合の方が大きい値を有することを確認した。
【0027】
図4に示す金属部材に突起を形成する方法には突起の外周面にねじ溝を形成する点で代替技術が考えられる。代替技術としては、例えば、内周面にねじ溝121aを形成した貫通孔121を有する加工治具12上に金属部材111を載置して、貫通孔121に対応する金属部材111上に回転ツール13を回転しながら押し当てる方法が考えられる。この代替技術は本発明の方法に比較して次のような問題点を有している。(1)摩擦攪拌による組織微細化とその後の超塑性の発現は金属部材の回転ツールに当接している表面側で起こり、それによって塑性流動が容易となり突起が形成されることから、本発明では塑性流動による貫通孔121と回転ツール13との間に形成される間隙の充填がスムーズに行われるが、代替技術では板厚方向全体で超塑性的流動が発現し塑性流動が容易となることはないので、設計通りの突起形成が難しい問題がある。(2)上記(1)に関連して本発明は金属部材の板厚に関係なく突起形成が可能であるが、代替技術では金属部材の板厚が小さくないと突起形成できない問題がある。板圧が小さいと突起の高さ及び厚さが不十分になる問題があり、実用的な突起が形成できない。(3)金属部材に形成した突起は他の部材と結合するために使用されることから、突起を形成した裏面が自動車、電気製品等の表面側にするのが通常の使用法となる。本発明では突起を形成した裏面側が平坦面であるため商品の美観上問題がないが、代替技術では突起を形成した裏面側に回転ツールで形成された孔が残り、美観上の問題がある。(4)本発明では突起形成に使用する回転ツールと加工治具を金属部材の一方側に配置するため、位置合わせ作業が簡単で金属部材が大寸法になっても突起形成が容易であるが、代替技術では回転ツールと加工治具が金属部材の両側に位置しているため位置合わせが難しく、大寸法の金属部材では突起形成装置が大型になる等の問題点がある。
【実施例5】
【0028】
図8は金属部材に突起を形成する方法の第2の実施例を説明する概略断面図である。111は突起を形成する個所に予め貫通孔11aを形成した板状の金属部材、12は平板部12aと外周面にねじ溝122aを形成した円柱状の突起122を有する加工治具、13は加工治具12の突起122の外径より径が大きく突起122の高さより深い円筒状中空部13bを有し,その先端部13aが略平坦な回転ツールで、図2に示す突起113を有する金属部品11を製造する場合にはこれらを準備する必要がある。金属部材111に突起を形成する場合には、加工治具12を突起122を上方にして加工台(図示しない)上の所定位置に載置して機械的、静電的または真空吸着により固定し、金属部材111をその貫通孔11aに加工治具12の突起122が貫通するように加工治具12上に載置する(図8(a))。この時、回転ツール13は加工治具13の突起122の上方で待機した状態にある。次に回転ツール13を回転しながらその円筒状中空部13b内に加工治具12の突起122を案内するように、その先端部13aを金属部材111の表面に所定の圧力で押圧する。回転ツール13の先端部13aを回転しながら金属部材111の表面に押圧すると、回転ツール13の先端部13aに当接している金属部材111の表面領域の組織が摩擦熱による温度上昇により金属部材111が軟化し、押圧下の回転ツール13の回転により容易に攪拌され、強ひずみ加工状態になり、動的再結晶等により微細化する。このように微細化された組織は高温で塑性変形が容易になる超塑性的現象を発現する。超塑性的現象の発現により、塑性流動が生じ、更に、微細化していない領域でも高温状態下で、軟化して塑性流動する。塑性流動は加工治具12の突起122と回転ツール13との間に形成されている間隙に向かって流れ、ねじ溝122aを含む間隙を充填して突起113を形成する(図8(b))。しかる後、回転ツール13及び加工治具12を金属部材111から離し、図2に示す突起113を有する金属部品111が得られる(図8(c))。加工治具12を金属部材111から離すためには、加工治具12の突起122に形成したねじ溝122aとこれによって金属部材111に表面に形成された突起113のねじ溝113aが螺着した状態になっており、両者の螺着を解除する方向に両者を回転する必要がある。
【0029】
この実施例で形成された突起113の外周面及びそれに隣接する金属部材111の厚さが減じられた部分111bは、回転ツール13によって摩擦攪拌された領域は微細化されて機械的特性が向上した領域になっている。よって、機械的強度の硬い突起を有する金属部品を得ることができる。
【実施例6】
【0030】
図9は金属部材に突起を形成する方法の第3の実施例を説明する概略断面図である。111は板状の金属部材、12は略正方形の貫通孔123を有する加工治具、13は加工治具12の貫通孔123に案内可能な外径を有し、貫通孔123の深さより大きい高さを有し、その先端部13aが略平坦な回転ツールで、図3に示す突起を有する金属部品11を製造する場合にはこれらを準備する必要がある。
金属部材111に突起114を形成する場合には、金属部材111を加工台(図示しない)上の所定位置に載置して機械的、静電的または真空吸着により固定し、金属部材111の突起を形成する予定個所に加工治具12の貫通孔123を位置合わせして金属部材111上に加工治具12を載置する(図9(a))。この時、回転ツール13は加工治具13の貫通孔123の上方で待機した状態にある。次に回転ツール13を回転しながら加工治具12の貫通孔123内に案内し、その先端部13aを金属部材111の表面に所定の圧力で押圧する。回転ツール13の先端部13aを回転しながら金属部材111の表面に押圧すると、回転ツール13の先端部13aに当接している金属部材111の表面領域の組織が摩擦熱による温度上昇により金属部材111が軟化し、押圧下の回転ツール13の回転により容易に攪拌され、強ひずみ加工状態になり、動的再結晶等により微細化する。このように微細化された組織は高温で塑性変形が容易になる超塑性的現象を発現する。超塑性的現象の発現により、塑性流動が容易となり、更に、微細化していない領域でも高温状態下で、軟化して塑性流動する。塑性流動は後述するように、加工治具12の貫通孔123の内周面と回転ツール13との間に形成される間隙に向かって流れ、間隙を充填して突起114を形成する(図9(b))。しかる後、回転ツール13及び加工治具12を金属部材111から離し、図3に示す突起114を有する金属部品111が得られる(図9(c))。
【0031】
この実施例で形成された突起114の底部111cを含む内周面及びその近傍が他の領域に比較して微細化された組織になっているため、機械的特性の優れた突起を実現できる。よって、機械的強度が良好な突起を有する金属部品を得ることができる。
【0032】
図9に示す金属部材に突起を形成する方法において、図9(b)において回転ツール13を金属部材111の他方表面まで押圧すことにより、底部111cが存在しない構造を得ることが出来る。その場合、加工治具12の貫通孔123と回転ツール13の間隔を、回転ツール13が金属部材111を貫通した状態になった時に塑性流動によって略充填されるように設定しておく必要がある。
【実施例7】
【0033】
図10は図3に示した突起を有する金属部品の異なる実施例を示す概略平面図である。(a)は突起の高さ方向と直角をなす断面が真円をなす内周面114aと楕円形をなす外周面114bを有する例を、(b)は突起の高さ方向と直角をなす断面が真円をなす内周面114aと外周面114bからなり、外周面114bの一部が直線で切り取られた部分114cを有する例を、(c)は突起の高さ方向と直角をなす断面が真円をなす内周面114aと外周面114bからなり、外周面114bの一部に切欠部114dを有する例を、(d)は突起の高さ方向と直角をなす断面が真円をなす内周面114aと外周面114bからなり、外周面114bの一部に突出部114eを有する例を、(e)は突起の高さ方向と直角をなす断面が真円をなす内周面114aと幅広の十字形をなす外周面114bを有する例を、(f)は突起の高さ方向と直角をなす断面が真円をなす内周面114aと六角形をなす外周面114bを有する例をそれぞれ示している。(b)、(c)及び(d)において、直線で切り取られた形状、切欠部及び突出部は複数個設けても、また組み合わせて形成しても良い。これらは代表的な例を示したもので、これらに限定されるものではない。(f)に示す六角形をなす外周面114bは多角形の一例を示したもので、これに限定されるものでなく、例えば4角形、8角形、12角形など多角形の範疇に入るものなら何れでもよい。外形面を多角形にすると、塑性流動による金属の充填が隅々まで十分に行われ高強度の突起を形成出来る利点がある。
【実施例8】
【0034】
図11は本発明金属部材に突起を形成する方法を実行するために使用する突起形成装置の一例を示す概略正面図及び側面図である。図において、51は装置を設置する基台、52は基台51に固定されたフレーム、53はフレーム52に水平面でXY方向に移動可能に支持されたワーク保持ヘッド、531はワーク保持ヘッド53の表面付近に埋設された温度・圧力センサー、54はワーク保持ヘッド53を上下方向に移動する駆動軸で図示せぬ駆動モータで駆動される。55はワーク保持ヘッド53に支持されたワークホルダー、56は図4、図8および図9に示す回転ツール、57は回転ツール56を保持するツールホルダー、58はツールホルダー57を支持すると共にツールホルダー57を上下方向に移動するツールホルダー駆動モータ、581はツールホルダー駆動モータに支持された定速度・低荷重制御装置、59はフレーム52に支持され、ツールホルダー駆動モータ58を支持し、回転ツール56を回転駆動するツール回転モータである。
【0035】
かかる構成の突起形成装置を用いて金属部材に突起を形成する場合には、ワークホルダー55上に金属部材と加工治具を組み合わせて載置固定し、ワーク保持ヘッド53をXY方向に移動して金属部材の突起を形成する位置を回転ツール56に対向させる。次にツール回転モータ59によって回転ツール56を回転しながらツールホルダー駆動モータ58によってツールホルダー57を下方に移動して、回転ツール56を金属部材表面に所定圧力で接触させる。これによって摩擦熱により金属部材の表面に塑性流動を生じさせて突起を形成する。突起が形成されるとツールホルダー駆動モータ58によってツールホルダー57を上方に移動させて回転ツール56を金属部材及び突起から離間し、ツール回転モータ59を停止して回転ツール56を停止する。
【0036】
回転ツール56を所定圧力で金属部材表面に接触させるための制御方法として圧力制御と位置制御が利用できる。圧力制御は一定荷重負荷により安定したボス高さ制御が可能になる利点があるが、システム構成が複雑になる欠点がある。具体的には、ひずみゲージ及びロードセルをステージ及び回転軸に装着することによって実現する。また、熱影響によりボス成形時の負荷荷重の変化が考えられ、この対策が必要である。位置制御はステージ及び回転軸をサーボモーター等で制御することで実現でき、制御が比較的容易である利点を持っている。しかし、提供される被加工材の板厚が均一でないと、ボス寸法精度(高さ)が低下する欠点がある。その解決策としては、レーザー変位計により常に板厚管理を行って、位置をボス成形ごとに調整する方法がある。
【0037】
本発明金属部材に突起を形成する方法及び突起形成装置並びにそれによって製造された突起を有する金属部品は、実施例で説明された方法及び構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
11 金属部品、
111 金属部材、
112、113、114 突起、
12 加工治具、
13 回転ツール、
112a、113a13a ねじ溝、
114a 内周面、
114b 外周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部材と前記金属部材の表面にそれと同一材料で一体に形成され突起を有し、前記突起は少なくとも一方が開口し高さ方向に伸びる中空部を有すると共に前記突起の外形状と前記中空部の内形状が異なっており、前記突起及びその近傍の前記金属部材の表面領域が他の領域より微細化された組織であることを特徴とする突起を有する金属部品。
【請求項2】
内面にねじ溝を有する貫通孔を形成した加工治具を準備する工程、
金属部材上に前記加工治具を載置する工程、
前記加工治具の前記貫通孔にそれより小径の回転ツールを案内して前記金属部材に当接し、前記回転ツールを前記金属部材に加圧した状態で回転する工程、
前記回転ツールと前記金属部材の摩擦熱によって生じる前記金属部材の塑性流動により、前記加工治具の前記貫通孔と前記回転ツールの間に前記金属部材を充填する工程、
を備えることを特徴とする金属部材に突起を成形する方法。
【請求項3】
外周にねじ溝を有する円柱部を突設した加工治具を準備する工程、
前記加工治具の前記円柱部が突設された側に前記円柱部が貫通する孔部を有する金属部材を載置する工程、
前記加工治具の前記円柱部より大径の孔部を有する回転ツールを前記金属部材上に当接するように載置し、前記回転ツールを前記金属部材に加圧した状態で回転する工程、
前記回転ツールと前記金属部材の摩擦熱によって生じる前記金属部材の塑性流動により、前記加工治具の前記円柱部と前記回転ツールの前記孔部との間に前記金属部材を充填する工程、
を備えることを特徴とする金属部材に突起を成形する方法。
【請求項4】
所定形状の貫通孔を形成した固定治具を準備する工程、
金属部材上に前記加工治具を載置する工程、
前記加工治具の前記貫通孔に回転によって形成される形状が前記貫通孔と異なる形状を有する回転ツールを案内して前記金属部材に当接し、前記回転ツールを前記金属部材に加圧した状態で回転する工程、
前記回転ツールと前記金属部材の摩擦熱によって生じる前記金属部材の塑性流動により、前記加工治具の前記貫通孔と前記回転ツールの間に前記金属部材を充填する工程、
を備えることを特徴とする金属部材に内形状と外形状が異なる突起を成形する方法。
【請求項5】
加工される金属部材を保持する保持手段と、前記金属部材に当接して回転することにより摩擦熱を発生する回転ツール手段と、前記回転ツール手段との間に前記金属部材を塑性流動させて充填する円筒状の間隙を形成する加工治具手段と、前記回転ツール手段を回転駆動する手段と、前記保持手段及び前記回転ツール手段の少なくとも一方を両手段を結ぶ線上に沿って移動させる手段と、前記回転ツール手段を前記金属部材表面に押圧する手段とを具備することを特徴とする突起形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−143439(P2011−143439A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5688(P2010−5688)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390005485)山野井精機株式会社 (6)
【出願人】(591106462)茨城県 (45)
【Fターム(参考)】