説明

立体駐車設備

【目的】 従来は、進入階部分(又は退出階部分、以下省略)で車両を載せたパレットを水平姿勢維持するため、そのパレットの両端部を担持する位置に一対のリフタが配置されており、そのリフタを用いて、前記パレットを旋回装置に移載すべく進入階部分の高さから下方へ下降させていた。従って、前記リフタを用いたパレットの昇降の分だけ、設備の上下スペースが余分に必要となっていた。そこで、その無駄なスペースをなくす手段を提供する。
【構成】 進入階部分に、進入車両Aを上に載せたパレット3の水平姿勢維持のため、その端部を担持する担持部Bを所定高さに設けると共に、旋回装置8に、パレット3を進入階部分の高さからその上方にわたって昇降させることができるように旋回担持部を昇降させる昇降機構を付設する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は立体駐車設備に関し、更に詳しくは、車両をパレット上に載せた載置状態で収容する棚が上下複数段に設けられた車両収容ラックの側脇に、移載装置付きの昇降台を要部とする昇降移載装置の昇降経路を設けることにより、車両を前記載置状態のまま、前記昇降台にて担持しつつ昇降させ且つ前記移載装置にて前記棚へ移載して立体駐車させる構築物を構成し、その構築物における車両の進入階部分又は退出階部分に、車両を載せたパレットをその中央部において旋回自在に担持する旋回担持部の旋回動作によって車両の姿勢変換を行う旋回装置を設けてある立体駐車設備に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の立体駐車設備においては、図8に示すように、前記進入階部分又は退出階部分(この従来設備においては、進入階部分と退出階部分とが同一の車両出入部7にて構成されている)で進入又は退出する車両Aを上に載せた状態のパレット3の水平姿勢を維持するため、そのパレット3を両端部にて担持する位置に、一対のリフタ31,32が配置されていた。そして、そのリフタ31,32は、前記パレット3を前記進入階部分又は退出階部分の高さからその下方にわたって昇降させ得る構造となっており、そのリフタ31,32の下降動作により、前記車両Aを載せたパレット3は、それを中央部において旋回自在に担持する旋回担持部8の載置面の高さまで下ろされることとなる。そして、その高さにて前記旋回担持部8に移載された後、その旋回動作によって、前記車両Aの姿勢変換が行われるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来設備は、前記車両出入部7において、パレット3を前記進入階部分又は退出階部分の高さからその下方にわたって昇降させる分だけ、上下方向にわたるスペースを余分に設ける必要があった。そして、そのスペース確保のためのコストが余分にかかるという問題があった。本発明は、このような実情に着目してなされたものであり、上述のスペースを節減し、それによってコスト低減を図り得る手段を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る立体駐車設備の特徴構成は、前記進入階部分又は退出階部分に、進入又は退出する車両を上に載せるパレットの水平姿勢維持のため、その端部を担持する担持部が所定高さに設けられ、且つ、前記旋回装置に、パレットを前記進入階部分又は退出階部分の高さからその上方にわたって昇降させることができるように前記旋回担持部を昇降させる昇降機構が付設されていることにある。
【0005】
【作用】かかる構成の本発明の立体駐車設備において、車両が進入階部分に進入する場合、進入中の車両を載せたパレットの水平姿勢が、前記担持部によって維持される。そして、前記旋回装置に付設された昇降機構を駆動することにより、前記パレットが前記旋回装置の旋回担持部によって担持されつつ上方へ持ち上げられた後、その旋回担持部の旋回動作によって、前記車両の姿勢変換が行われる。そして、その車両は、前記昇降台によって担持されつつ収容する棚の高さまで持ち上げられる。また、車両が退出階部分から退出する場合、退出すべき車両を載せたパレットが、前記昇降台によって担持されつつ収容棚の高さから退出階部分の高さのすぐ上まで下ろされる。然る後、そのパレットが前記旋回装置の旋回担持部の上に移載され、その旋回動作によって前記車両の姿勢変換が行われる。そして、前記旋回装置に付設された昇降機構を駆動することにより、前記パレットが前記旋回担持部によって担持されつつ下方へ下ろされ、前記退出階部分に設けられた担持部上に載せられる。そして、その担持部によって、前記退出階部分から退出中の車両を載せたパレットの水平姿勢が維持される。
【0006】
【発明の効果】かくして、進入階部分又は退出階部分にて車両が進入又は退出する場合、従来のように進入中又は退出中の車両を載せたパレットを前記進入階部分又は退出階部分の高さからその下方にわたって昇降させる必要がなくなり、その昇降のための上下方向のスペースが従来とは異なって不要となる。そして、そのスペース節減に伴って、そのスペースの確保のために余分にかかるコストを低減することができるようになる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は同一又は相当の部分を示している。
【0008】図1〜図7には、本発明に係る立体駐車設備の一実施例が示されており、その基礎となる構築物は、図1に示すように、立体駐車設備の正面視で車両Aをその側面が見える姿勢(以下、左右姿勢という)に収容する棚1aが上下多段に設けられてなる車両収容ラック1が所定のスペースSを隔てて前後に(立体駐車設備の前後に)一対設けられると共に、そのスペースSには、パレット3に載せた車両Aを前記左右姿勢のまま昇降させる昇降台2を要部とする昇降移載装置の昇降経路が設けられてなる。そして、この構築物の地上階部分には、車両Aを前記左右姿勢と直交する直交姿勢(以下、前後姿勢という)で出入りさせる車両出入部7、即ち、車両Aの進入階部分又は退出階部分に相当する車両出入部7が設けられている。尚、前記車両出入部7の出入口は前記地上階部分の前面に開口形成されている。
【0009】前記昇降台2は、図7に示すように、索状体駆動装置5によってエンド部分6aが上下動するように駆動される索状体6にて左右(立体駐車設備の左右)両端部が連係吊支され、その索状体6の駆動により、車両Aを車両収容ラック1へ又はその逆方向へ移動させるべく昇降が行われるようになっている。尚、前記昇降台2には、進入車両Aを載せたパレット3を車両収容ラック1のいずれかの棚1aへ、又は、退出車両Aを載せたパレット3を後に述べる旋回装置8の旋回担持部8aへ移載するための移載装置4を搭載している。
【0010】前記索状体6は、具体的には図7に示すように、地上階部分において前記駆動装置5によって回転駆動される左右一対の駆動用滑車5L,5Rで夫々周回駆動案内され、その被案内部の両側が左右において夫々上方へ張設された状態となっている。その索状体6の上方への張設部分は、左右夫々において、その一方側(具体的には前側)が、第1方向転換用滑車14L,14R、第2方向転換用滑車15L,15Rにて方向転換されつつ周回案内されて先端が前記昇降台2の左右端部に連結され、その昇降台2を吊支するように構成されている。一方、その他方側(具体的には後側)の索状体6は、第3方向転換用滑車16L,16R、第4方向転換用滑車17L,17Rにて方向転換されつつ周回案内されてその先端が共通のバランスウェイト9に連結され、そのバランスウェイト9を吊支するように構成されている。
【0011】前記移載装置4は、前記昇降台2上の車両Aを載せた前記パレット3を、前記車両収容ラック1へ移載するための装置(前記パレット3を車両収容ラック1から昇降台2へ移載するためにも使用する)であるが、その移載装置4は、前記昇降台2上の中央部分から一部が前後両方向へ延在する状態と、前記中央部分に全体が収まる状態との両状態をとり得るように、前後に伸縮する左右一対のフォークを有している。
【0012】前記構築物の地上階部分には、図1に示すように、進入車両Aの姿勢を前記昇降台2による車両Aの移送に適した姿勢に、又は、前記昇降台2によって下ろされてくる退出車両Aの姿勢を前記車両出入部7での退出に適した姿勢に変換する旋回装置8が設けられ、且つ、進入又は退出する車両Aを上に載せた状態のパレット3の水平姿勢維持のためにその端部を担持する担持部Bが所定高さに設けられている。
【0013】前記旋回装置8は、前記車両出入部7において車両Aを載せたパレット3をその中央部において旋回自在に担持する旋回担持部8aを備えている。そして、その旋回担持部8aを旋回させることにより、前記車両Aの姿勢変換を行うことができるようになっている。即ち、前記車両出入口7経由で前後姿勢で入ってきた車両Aは、前記旋回装置8によって前記移送に適した左右姿勢に姿勢変換されるようになる。また、前記昇降台2の下降に伴って左右姿勢で下降してきた車両Aは、前記移載装置4によって前記旋回装置8の旋回担持部8aに移載された後にその旋回装置8によって前後姿勢に姿勢変換されるようになる。
【0014】前記旋回装置8には、前記パレット3を前記進入階部分又は退出階部分の高さからその上方にわたって昇降させることができるように前記旋回担持部8aを昇降させる昇降機構8bが付設されている。
【0015】前記旋回担持部8a及び前記昇降機構8bの具体的な構成について、図1〜図6を用いて説明する。即ち、前記車両出入部7における床面部GLは、図1R>1に示すように、その手前部分81がそのままの高さで残される一方、その奥部分にはピット82が掘り下げ形成され、そのピット82には、載置姿勢での上面が前記床面部GLの高さと一致した高さとなるように高さ設定されたブロック83が載置されている。そして、その床面部GLの手前部分81と前記ブロック83との組み合わせにより、前記進入又は退出する車両Aを上に載せた状態のパレット3を水平姿勢維持すべくそのパレット3の前後端部を担持する担持部Bが構成されている。また、前記ピット82の底面には、図2〜図4に示すように基台84が据え付けられ、その基台84には前記車両出入部7の前後2箇所に平面視四角断面のガイドポスト86が立設されている。そして、その前後2箇所のガイドポスト86を夫々三方から囲む状態で且つ回転自在に前記ガイドポスト86に接当される3個1組のガイドローラ87が昇降フレーム85に付設され、その接当回転に基づいて、前記昇降フレーム85の上下移動が案内されるようになっている。しかも、その昇降フレーム85側には側面視円形状のカムフォロア92が取り付けられ、そのカムフォロア92を上下にカム運動させる側面視円形状の偏心カム93が前記基台84側に取り付けられ、それらの組み合わせよりなるカム機構(図5参照)を介して前記昇降フレーム85が支持されている。そして、そのカム運動に基づいて前記昇降フレーム85は上下移動できるようになっている。即ち、前記カムフォロア92と前記偏心カム93との組み合わせよりなるカム機構及びその駆動部にて前記昇降機構8bが構成されている。尚、前記偏心カム93は、前記基台84に取り付けられた昇降駆動モータ94の駆動力が減速機95を介して伝えられる昇降シャフト96の奥先端部に装着されている。また、前記昇降フレーム85には、平面視における円周4箇所に4個の担持ローラ85aが設けられ、その担持ローラ85aによって、旋回シャフト91の軸芯周りの回転が自在な旋回担持部8aが円周4箇所で担持されつつ旋回補助されるようになっている。更に、前記旋回担持部8aには、旋回駆動モータ88の駆動力が減速機89を介してギア伝動される旋回ギア90(図6参照)が取り付けられ、その駆動力によって前記旋回担持部8aは前記担持ローラ85aにて担持案内されつつ旋回されるようになっている。
【0016】次に、別実施例について説明する。上述の実施例における車両出入部7が車両Aの進入専用に用いられ、車両Aの退出が他の部分に行われる立体駐車設備、上述の実施例における車両出入部7が車両Aの退出専用に用いられ、車両Aの進入が他の部分に行われる立体駐車設備等においても、本発明を適用することができる。
【0017】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る立体駐車設備の全体構成を示す縦断面図
【図2】前記立体駐車設備の要部を示す縦断面図
【図3】その平面図
【図4】その背面図
【図5】昇降駆動部を示す背面図
【図6】旋回駆動部を示す平面図
【図7】昇降移載装置を示す斜視図
【図8】従来の立体駐車設備の要部を示す縦断面図
【符号の説明】
1 車両収容ラック
1a 棚
2 昇降台
3 パレット
4 移載装置
8 旋回装置
8a 旋回担持部
8b 昇降機構
A 車両
B 担持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両(A)をパレット(3)上に載せた載置状態で収容する棚(1a)が上下複数段に設けられた車両収容ラック(1)の側脇に、移載装置(4)付きの昇降台(2)を要部とする昇降移載装置の昇降経路を設けることにより、車両(A)を前記載置状態のまま、前記昇降台(2)にて担持しつつ昇降させ且つ前記移載装置(4)にて前記棚(1a)へ移載して立体駐車させる構築物を構成し、その構築物における車両(A)の進入階部分又は退出階部分に、車両(A)を載せたパレット(3)をその中央部において旋回自在に担持する旋回担持部(8a)の旋回動作によって車両(A)の姿勢変換を行う旋回装置(8)を設けてある立体駐車設備であって、前記進入階部分又は退出階部分に、進入又は退出する車両(A)を上に載せるパレット(3)の水平姿勢維持のため、その端部を担持する担持部(B)が所定高さに設けられ、且つ、前記旋回装置(8)に、パレット(3)を前記進入階部分又は退出階部分の高さからその上方にわたって昇降させることができるように前記旋回担持部(8a)を昇降させる昇降機構(8b)が付設されている立体駐車設備。

【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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