説明

竹刀保護具

【課題】 竹刀の割れ等を防止するとともに面金への取り付けや取り外しが簡単かつ迅速にできるようにし、しかも、横金を被覆させるカバーの溝に切り欠きを入れることにより異なる面サイズの面防具に取り付けることができる竹刀保護具を提供する。
【解決手段】 複数本の金属製の棒体からなる面金を備えた剣道用の面防具に取り付ける竹刀保護具10であって、前記面金の縦金を被覆する縦金カバー11と、前記面金の少なくとも複数の横金を被覆する横金カバー12と、を備え、縦金カバー11及び横金カバー12には前記面金の前面から接続することができる溝13を有し、横金カバー12には溝13と交差するように複数の切り欠き14を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剣道で使用する面防具に装着する竹刀保護具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、剣道で使用する竹刀は竹製のものが一般的である。竹刀は練習や試合の際に、前面の金属製の面金を打つことで割れたりささくれたりすることがある。さらに、破片が面金の隙間を通って顔にあたることがある。また、部活等で竹刀を1ケ月に2〜3本割れる等により破損させ、その度に新しい竹刀を買い替える中学校、高校の部員も珍しくない。
【0003】
そこで、竹刀が破損して破片が顔にあたることを回避するために特許文献1には、面防具の面金の内側に取り付けて竹刀の破片が顔にあたらないようにした目保護板が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−87874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に示す目保護板は、面金の内側に取り付けてあるので、面防具を外さなければ取り付けや取り外しができなかった。そのため練習や試合中に簡単に取り付けたり取り外したりすることが困難であった。
【0006】
また、上述の目保護板は、竹刀の破片が顔にあたることを防止するためのものであり、竹刀を保護するものではなかった。
【0007】
そこで、本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、竹刀の割れ等を防止するとともに面金への取り付けや取り外しが簡単かつ迅速にできるようにし、しかも、横金を被覆させるカバーの溝に切り欠きを入れることにより異なる面サイズの面防具に取り付けることができる竹刀保護具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の竹刀保護具は、複数本の金属製の棒体からなる面金を備えた剣道用の面防具に取り付ける竹刀保護具であって、前記面金の縦金を被覆する縦金カバーと、前記面金の少なくとも複数の横金を被覆する横金カバーと、を備え、前記縦金カバー及び前記横金カバーには前記面金の前面から接続することができる溝を有し、前記横金カバーには前記溝と交差するように複数の切り欠きを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の竹刀保護具は、前記横金カバーが前記面金上部の2つの横金を被覆させることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の竹刀保護具は、前記縦金カバー及び前記横金カバーが、柔軟性を有する衝撃力吸収用の緩衝材からなることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明の竹刀保護具において、前記横金カバーの前記溝が円弧状溝であり、当該溝は後方が開口部とされ、該開口部の幅が前記円弧状溝の径よりも小さくされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、竹刀の割れ等を防止するとともに面金への取り付けや取り外しが簡単かつ迅速にできるようにし、しかも、横金を被覆させるカバーの溝に切り欠きを入れることにより異なる面サイズの面防具に取り付けることができる竹刀保護具を提供することができる。
【0013】
また、本発明によれば、剣道における面打ちで基本となる眉間への打ち込みに該当する位置となる面金上部の複数の横金を被覆させることにより、効果的に竹刀を保護することができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、縦金カバー及び横金カバーが、柔軟性を有する衝撃力吸収用の緩衝材からなることから、竹刀が金属である面金に直接あたることを防止して、竹刀を保護することができる。
【0015】
そして、本発明によれば、横金カバーの溝が円弧状溝であり、その溝の開口部の幅が円弧状溝の径よりも小さくされていることから、竹刀保護具は、竹刀で打たれても面防具から外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る竹刀保護具の使用状態の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る竹刀保護具の正面斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る竹刀保護具の背面斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る竹刀保護具を面防具への取り付けを示す説明図である。
【図5】本発明の実施例に係る竹刀保護具の使用状態として異なる面サイズの面防具への取り付けを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態を述べる。竹刀保護具10は、複数本の金属製の棒体からなる面金110を備えた剣道用の面防具100に取り付けるものである。竹刀保護具10は、面金110の上部棒体である縦金120を被覆する縦金カバー11と、面金110の上部棒体として2つの横金130を被覆する横金カバー12と、を備える。また、竹刀保護具10は、縦金カバー11及び横金カバー12に棒体の前面から装着することができる溝13T、13Yを有し、横金カバー12には溝13Yと交差するように複数の切り欠き14を備える。
【0018】
さらに、竹刀保護具10は、縦金カバー11及び横金カバー12が、柔軟性を有する衝撃力吸収用の緩衝材からなるものである。
【0019】
そして、横金カバー12の溝13Yが円弧状溝であり、溝13Yは後方が開口部とされ、該開口部の幅が円弧状溝の径よりも小さくされている。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施例に係る竹刀保護具10の使用状態の外観斜視図である。図2は、竹刀保護具10の正面斜視図であり、図3は竹刀保護具10の背面斜視図である。なお、本実施例の竹刀保護具10における前後とは、図1における竹刀保護具10が装着された面防具100の正面側を前方向とし、背面側を後方向とする。また、面防具100及び竹刀については公知なものであるから、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
竹刀保護具10は、図1に示すように剣道で使用される面防具100の竹刀があたり易い部分である面金110に前面から取り付けて使用される。
【0022】
具体的には、竹刀保護具10は、面防具100の面金110の一番上に位置する第一横金と、上から二番目に位置する第二横金と、面金110上部の縦金120とに取り付けられる。
【0023】
この竹刀保護具10は、取り付けられる上部面金110の外形状に沿うように各部が湾曲した形状を有する。竹刀保護具10は、図2に示すように面金110の上部棒体である縦金120を被覆する縦金カバー11と、面金110の上部棒体である2つの横金130を被覆する横金カバー12と、からなる。横金カバー12は、第一横金131を被覆する第一横金カバー12aと第二横金132を被覆する第二横金カバー12bとを備える。そして、竹刀保護具10は、縦金カバー11と第一横金カバー12aと第二横金カバー12bとを一体として形成されている。
【0024】
また、第一横金カバー12a及び第二横金カバー12bの中心位置である縦金カバー11と係合する位置の部位は、第一横金カバー12a及び第二横金カバー12bの肉厚を厚くするように肉付けされて剛性を有し、縦金カバー11に強固に結合される。
【0025】
なお、横金カバー12は、第一横金カバー12a及び第二横金カバー12bの2つに限定されず、上から三番目に位置する第三横金を被覆させる第三横金カバー及び上から四番目に位置する第四横金を被覆させる第四横金カバー等を設け面金110の複数の横金130を覆うように被覆範囲を拡大して、竹刀を保護するようにしても構わない。
【0026】
また、竹刀保護具10の原材料はエラストマー樹脂等の変形性、弾性及び柔軟性を有する衝撃力吸収用の緩衝材からなる。
【0027】
竹刀保護具10の縦金カバー11及び横金カバー12には、図3に示すように後方に面防具100の面金110の前面から水平方向に接続することができるように縦金カバー11の軸方向に沿った溝13T、横金カバー12の軸方向に沿った溝13Yを夫々有する。さらに、第一横金カバー12a及び第二横金カバー12bは、異なる面サイズの面防具100の面金110の外形状に沿わせることができるように、横金カバー12の後方で溝13Yと交差する位置に複数の切り欠き14を備える。
【0028】
この竹刀保護具10の縦金カバー11の溝13T形状は、面防具100の縦金120の四角形状棒体の形状に合せたU字溝である。また、竹刀保護具10の横金カバー12の溝13Y形状は、面防具100の横金130の円形状棒体の形状に合せた円弧状溝である。
【0029】
そして、横金カバー12の円弧状溝の溝13Y形状は、被覆部分を円周の略70%の領域とし、開口部分を残り略30%の領域とされている。
【0030】
また、この溝13Yと交差する切り欠き14は、円弧状の溝13Yと交差させて後方を開放するU字形状である。そして、この切り欠き14は、交差する円弧状の溝13Y部分に略垂直方向に略3mm幅のU字溝として縦金カバー11を中央とする第一横金カバー12a及び第二横金カバー12bの左右対称な位置に各2箇所ずつ形成される。
【0031】
この切り欠き14を形成することにより、弾性を有する各横金カバー12の曲率半径である湾曲形状を自在に広げることができるとともに、横金カバー12の円弧状溝の弾性変形を容易にすることができる。
【0032】
つまり、湾曲した形状とされる横金カバー12の上方後方端と下方後方端の間隙の変化を容易とし、横金カバー12の内径、即ち横金130円形状棒体の直径よりも小さく形成された開口部を開いて横金130に装着し、竹刀保護具10の弾性力により開口部の幅を横金130の直径よりも小さくして、横金カバー12が横金130から外れないようにしている。
【0033】
そして、竹刀保護具10は、図4に示すように面防具100の前面から面防具100の湾曲した円形状の棒体である第一横金131と第二横金132との2つの横金130に、第一横金カバー12aと第二横金カバー12bとの夫々の開口部を嵌め込むとともに、湾曲した四角形状の棒体である上部縦金120に縦金カバー11の開口部を嵌め込むようにして取り付けられる。
【0034】
このように竹刀保護具10を面防具100に装着することにより、剣道における面打ちで基本となる眉間への打ち込みに該当する位置となる面金110上部の第一横金131及び第二横金132を被覆させて効果的に竹刀を保護することができる。
【0035】
また、竹刀保護具10が変形性、弾性、及び柔軟性を有するので、竹刀は竹刀保護具10にあたった場合でも割れたりささくれたり等が発生し難い。仮に破片が発生した場合でも、竹刀保護具10により面金110の隙間を狭くしていることから破片が面防具100の内部に入り難い。
【0036】
そして、竹刀保護具10は、装着された面防具100上の側方や上方にあたる面淵と保護具との間に指を入れたりして引きはがすようにして変形させることにより、面防具100の面金110との装着状態を解除して簡単に取り外すことができる。
【0037】
つまり、この竹刀保護具10は、面防具100を頭から外さずに面金110への取り付け及び取り外しをすることができる。しかも、竹刀保護具10の取り付け及び取り外しは、面防具100の前面から面金110に対して押圧したり引きはがしたりするだけで良いので、簡単かつ迅速にできる。
【0038】
そして、剣道の面防具100は、頭の縦周りサイズ及び頭の横周りサイズに応じてフィットさせて製作されることから、面金110部分の面サイズの異なるものが幾つも用意されている。図5(a)に示す面防具100は、図5(b)に示す面防具100と比べて、頭の横周りサイズが小さく面金110上部の横金130の湾曲形状が異なる。
【0039】
このように面サイズの異なる面防具100であっても、竹刀保護具10の各横金カバー12に切り欠き14を設けることにより各横金カバー12の曲率半径である湾曲形状を自在に広げることを可能とし、竹刀保護具10は、異なる面サイズの面防具100に装着することができる。
【0040】
以上のように、本実施例に係る竹刀保護具10によれば、竹刀の割れ等を防止するとともに面金110への取り付けや取り外しが簡単かつ迅速にできるようにし、しかも、横金130を被覆させる横金カバー12の溝13Yに切り欠き14を入れることにより異なる面サイズの面防具100に取り付けることができる竹刀保護具10を提供することができる。
【0041】
また、本発明によれば、剣道における面打ちで基本となる眉間への打ち込みに該当する位置となる面金110上部の複数の横金130を被覆させることにより、効果的に竹刀を保護することができる。
【0042】
さらに、本発明によれば、縦金カバー11及び横金カバー12が、柔軟性を有する衝撃力吸収用の緩衝材からなることから、竹刀が金属である面金110に直接あたることを防止して、竹刀を保護することができる。
【0043】
そして、本発明によれば、横金カバー12の溝13Yが円弧状溝であり、その溝13Yの開口部の幅が円弧状溝の径よりも小さくされていることから、竹刀保護具10は、竹刀で打たれても面防具100から外れることがない。
【0044】
また、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 竹刀保護具 11 縦金カバー
12 横金カバー 12a 第一横金カバー
12b 第二横金カバー 13 溝
13T 溝(縦金カバー用) 13Y 溝(横金カバー用)
14 切り欠き
100 面防具 110 面金
120 縦金 130 横金
131 第一横金 132 第二横金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の金属製の棒体からなる面金を備えた剣道用の面防具に取り付ける竹刀保護具であって、
前記面金の縦金を被覆する縦金カバーと、
前記面金の少なくとも複数の横金を被覆する横金カバーと、
を備え、
前記縦金カバー及び前記横金カバーには前記棒体の前面から接続することができる溝を有し、
前記横金カバーには前記溝と交差するように複数の切り欠きを備えることを特徴とする竹刀保護具。
【請求項2】
前記横金カバーが前記面金上部の2つの横金を被覆させることを特徴とする請求項1に記載の竹刀保護具。
【請求項3】
前記縦金カバー及び前記横金カバーが、柔軟性を有する衝撃力吸収用の緩衝材からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の竹刀保護具。
【請求項4】
前記横金カバーの前記溝が円弧状溝であり、当該溝は後方が開口部とされ、該開口部の幅が前記円弧状溝の径よりも小さくされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の竹刀保護具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−170530(P2012−170530A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33119(P2011−33119)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(511044607)
【出願人】(511043987)有限会社小川製作所 (1)