筆記具のグリップ
【課題】 指先にしっかりとフィットするとともに筆記に際して興趣に富む筆記具のグリップを提供する。
【解決手段】 筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、弾性に富んだ軟質合成樹脂で筒状に成形するとともに、その表面に複数個の凹陥部を形成し、指先で把持したときにこの凹陥部が変形して内容積が縮小し、指先と凹陥部で形成される閉空間が凹陥部の復元作用で減圧し、指先に吸着する状態にする。
【解決手段】 筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、弾性に富んだ軟質合成樹脂で筒状に成形するとともに、その表面に複数個の凹陥部を形成し、指先で把持したときにこの凹陥部が変形して内容積が縮小し、指先と凹陥部で形成される閉空間が凹陥部の復元作用で減圧し、指先に吸着する状態にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
硬質の合成樹脂で成形された軸筒の前方部分を指先で把持して筆記するとき、指先が滑って筆記しにくいために、筆記具を把持する部分にグリップが取り付けられることが多いが、このグリップを軸筒よりも軟質の合成樹脂で円筒状に成形し、筆記時に指先がグリップにフィットして滑りにくくしている。また、グリップは意匠的な要素を有するので外観上も好ましい効果がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
このグリップを軟性の大きな合成樹脂で成形すると、指先にはよくフィットするがべたつきやすく、不快感を与えることがある。一方、硬質（軟性の小さい）の樹脂で成形すると指先へのフィットが不十分である。このため、軟質の樹脂と硬質の樹脂で積層状態に成形したり、その内部に空間を設けてフィットしやすくしたものなどが提案され、実用化されている。
【特許文献１】特開２００７−３２０２４５号公報
【０００４】
ところで筆記具、ことに普及型の筆記具は、本来の筆記機能の他に使用者に楽しみを与えて興趣に富むことも重要となる。しかし、従来のグリップは、意匠的効果は有しても筆記に際して興趣に富むものは実用化されていない。そこで本発明は、指先にしっかりとフィットするとともに筆記に際して興趣に富む筆記具のグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
そこで本発明は、筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、弾性に富んだ軟質合成樹脂で筒状に成形するとともに、その表面に複数個の凹陥部を形成し、指先で把持したときにこの凹陥部が変形して内容積が縮小し、指先と凹陥部で形成される閉空間が凹陥部の復元作用で減圧し、指先に吸着する状態にする。
【発明の効果】
【０００６】
指先で把持するとグリップが指先に吸着状態になるので確実にフィットして筆記しやすく、また、その軽い吸着状態になることによって従来の筆記具にはない感触が得られ、非常に興趣に富んだ筆記具とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下に図面に基づいて本発明を実施するための最良の形態を説明する。図１および図２は本発明のグリップをノック式ボールペンに適用した例を示すが、ノック式ボールペンに限られるものではない。図１および図２において、合成樹脂で成形された軸筒１内には油性インキが充填されたボールポンレフィール２がノックばね３により尾端側に弾発された状態で収容されている。このボールペンレフィール２は次に説明する周知の出没機構により先端のペン体２１が軸筒１の先端開口から出没する。
【０００８】
この出没機構を簡単に説明すると、ボールペンレフィール２の尾端は回転子６に当接している。軸筒１の内面には、縦リブで構成される縦溝が形成されたカム５が固定されており、回転子６の羽根部がカム５の縦溝に嵌った状態で前後動可能になっている。軸筒１の尾端開口からは、クリップ４１が一体に成形されたノックカバー４が突出しており、ノックカバー４にはノック継ぎ手４２を介してノック４３が接続されている。ペン体２１が軸筒１内に没入した状態からノックカバー４をノックするとノック４３が前進して回転子６に回転力を付与した状態で回転子６を前進させる。そして、回転子６の羽根部が縦溝から抜け出すと、ペン体２１が軸筒１の先端開口１１から突出するとともに回転子６は少し回転して羽根部がカム５の縦リブの先端に係止して筆記可能になる。また、ペン体２１が軸筒１の先端開口１１から突出した状態から再びノックすると、回転子６が少し回転して羽根部が再びカム５の縦溝にはまり込み、ノックを解除すると回転子６は後退してペン体２１は軸筒１内に没入する。
【０００９】
軸筒１の先端部分にはグリップ７が取り付けられている。グリップ７は軟質で弾性に富んだ合成樹脂、例えばシリコンゴムで円筒状に成形されており、その表面に多数の半球状をした凹陥部７１が形成されている。そして、グリップ７を指先で把持するとき、図３（Ａ）に示すように指先Ｆが凹陥部７１ａに当接し、把持力によって図３（Ｂ）に示すようにグリップ７が弾性変形し、指先Ｆが当接した凹陥部７１ａの内部の空気が外部に逃げるとともに内容積が縮小する。しかし、グリップ７が弾性に富んだ合成樹脂で成形されているので変形した凹陥部７１ａに復元する力が作用し、指先Ｆと凹陥部７１ａで形成された閉空間は少し拡張して減圧状態になる。このため、グリップ７が指先Ｆに軽く吸着して確実にフィットするので筆記しやすくなり、グリップとしての機能を確実に果たす。また、その軽い吸着状態によって従来の筆記具にはない独特の感触が得られ、非常に興趣に富んだ筆記具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明実施例の正面図である。
【図２】本発明実施例の断面図である。
【図３】グリップの把持状態の説明図である。
【符号の説明】
【００１１】
１ 軸筒
１１ 先端開口
２ ボールペンレフィール
２１ ペン体
３ ノックばね
４ ノックカバー
４１ クリップ
４２ ノック継ぎ手
４３ ノック
５ カム
６ 回転子
７ グリップ
７１ 凹陥部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
硬質の合成樹脂で成形された軸筒の前方部分を指先で把持して筆記するとき、指先が滑って筆記しにくいために、筆記具を把持する部分にグリップが取り付けられることが多いが、このグリップを軸筒よりも軟質の合成樹脂で円筒状に成形し、筆記時に指先がグリップにフィットして滑りにくくしている。また、グリップは意匠的な要素を有するので外観上も好ましい効果がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
このグリップを軟性の大きな合成樹脂で成形すると、指先にはよくフィットするがべたつきやすく、不快感を与えることがある。一方、硬質（軟性の小さい）の樹脂で成形すると指先へのフィットが不十分である。このため、軟質の樹脂と硬質の樹脂で積層状態に成形したり、その内部に空間を設けてフィットしやすくしたものなどが提案され、実用化されている。
【特許文献１】特開２００７−３２０２４５号公報
【０００４】
ところで筆記具、ことに普及型の筆記具は、本来の筆記機能の他に使用者に楽しみを与えて興趣に富むことも重要となる。しかし、従来のグリップは、意匠的効果は有しても筆記に際して興趣に富むものは実用化されていない。そこで本発明は、指先にしっかりとフィットするとともに筆記に際して興趣に富む筆記具のグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
そこで本発明は、筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、弾性に富んだ軟質合成樹脂で筒状に成形するとともに、その表面に複数個の凹陥部を形成し、指先で把持したときにこの凹陥部が変形して内容積が縮小し、指先と凹陥部で形成される閉空間が凹陥部の復元作用で減圧し、指先に吸着する状態にする。
【発明の効果】
【０００６】
指先で把持するとグリップが指先に吸着状態になるので確実にフィットして筆記しやすく、また、その軽い吸着状態になることによって従来の筆記具にはない感触が得られ、非常に興趣に富んだ筆記具とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下に図面に基づいて本発明を実施するための最良の形態を説明する。図１および図２は本発明のグリップをノック式ボールペンに適用した例を示すが、ノック式ボールペンに限られるものではない。図１および図２において、合成樹脂で成形された軸筒１内には油性インキが充填されたボールポンレフィール２がノックばね３により尾端側に弾発された状態で収容されている。このボールペンレフィール２は次に説明する周知の出没機構により先端のペン体２１が軸筒１の先端開口から出没する。
【０００８】
この出没機構を簡単に説明すると、ボールペンレフィール２の尾端は回転子６に当接している。軸筒１の内面には、縦リブで構成される縦溝が形成されたカム５が固定されており、回転子６の羽根部がカム５の縦溝に嵌った状態で前後動可能になっている。軸筒１の尾端開口からは、クリップ４１が一体に成形されたノックカバー４が突出しており、ノックカバー４にはノック継ぎ手４２を介してノック４３が接続されている。ペン体２１が軸筒１内に没入した状態からノックカバー４をノックするとノック４３が前進して回転子６に回転力を付与した状態で回転子６を前進させる。そして、回転子６の羽根部が縦溝から抜け出すと、ペン体２１が軸筒１の先端開口１１から突出するとともに回転子６は少し回転して羽根部がカム５の縦リブの先端に係止して筆記可能になる。また、ペン体２１が軸筒１の先端開口１１から突出した状態から再びノックすると、回転子６が少し回転して羽根部が再びカム５の縦溝にはまり込み、ノックを解除すると回転子６は後退してペン体２１は軸筒１内に没入する。
【０００９】
軸筒１の先端部分にはグリップ７が取り付けられている。グリップ７は軟質で弾性に富んだ合成樹脂、例えばシリコンゴムで円筒状に成形されており、その表面に多数の半球状をした凹陥部７１が形成されている。そして、グリップ７を指先で把持するとき、図３（Ａ）に示すように指先Ｆが凹陥部７１ａに当接し、把持力によって図３（Ｂ）に示すようにグリップ７が弾性変形し、指先Ｆが当接した凹陥部７１ａの内部の空気が外部に逃げるとともに内容積が縮小する。しかし、グリップ７が弾性に富んだ合成樹脂で成形されているので変形した凹陥部７１ａに復元する力が作用し、指先Ｆと凹陥部７１ａで形成された閉空間は少し拡張して減圧状態になる。このため、グリップ７が指先Ｆに軽く吸着して確実にフィットするので筆記しやすくなり、グリップとしての機能を確実に果たす。また、その軽い吸着状態によって従来の筆記具にはない独特の感触が得られ、非常に興趣に富んだ筆記具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本発明実施例の正面図である。
【図２】本発明実施例の断面図である。
【図３】グリップの把持状態の説明図である。
【符号の説明】
【００１１】
１ 軸筒
１１ 先端開口
２ ボールペンレフィール
２１ ペン体
３ ノックばね
４ ノックカバー
４１ クリップ
４２ ノック継ぎ手
４３ ノック
５ カム
６ 回転子
７ グリップ
７１ 凹陥部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、弾性に富んだ軟質合成樹脂で円筒状に成形されるとともに、その表面に複数個の凹陥部が形成され、指先で把持したときに該凹陥部が変形して内容積が縮小し、指先と該凹陥部で形成される閉空間が該凹陥部の復元作用で減圧し、指先に吸着状態になることを特徴とする筆記具のグリップ。
【請求項１】
筆記具を把持する部分に取り付けられるグリップにおいて、弾性に富んだ軟質合成樹脂で円筒状に成形されるとともに、その表面に複数個の凹陥部が形成され、指先で把持したときに該凹陥部が変形して内容積が縮小し、指先と該凹陥部で形成される閉空間が該凹陥部の復元作用で減圧し、指先に吸着状態になることを特徴とする筆記具のグリップ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００９−１６６３４１（Ｐ２００９−１６６３４１Ａ）
【公開日】平成２１年７月３０日（２００９．７．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−６４０４（Ｐ２００８−６４０４）
【出願日】平成２０年１月１６日（２００８．１．１６）
【出願人】（０００００２３１４）セーラー万年筆株式会社 (49)
【公開日】平成２１年７月３０日（２００９．７．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１月１６日（２００８．１．１６）
【出願人】（０００００２３１４）セーラー万年筆株式会社 (49)
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