説明

筆記具用クリップ

【課題】傷等による破損の恐れがある被狭持物に対しても、破損を防止しつつ狭持できる筆記具用クリップを提供する。
【解決手段】
筆記具1の軸筒2の後端部に設けられた筆記具用クリップ10のクリップ本体11について、軸筒2の外表面と対向するクリップ本体11の面から弾性力を有する棒状突起体12を立設する。棒状突起体12は複数設けられる。棒状突起体12の高さ及び外径は、被狭持物に合わせて複数本ずつのグループ毎に種々設定される。例えば、前方から段階的に高さを変化させて、棒状突起体12の先端部と軸筒2の外表面との距離を段階的に変化させて形成することができる。さらに、棒状突起物12の材質を同一のものとすれば、その高さと外径の変化により、弾性力をグループ毎に段階的に変化させて形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に取付けられているクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボールペンやシャープペンシルなどの筆記具には、携帯時の利便性を向上させるためにクリップが取付けられている。近年は、携帯時の利便性のみならず、厚手の物を狭持可能なように、筆記具の軸筒に対して開閉可能に形成されるクリップが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される開閉可能な筆記具用クリップは、さらに狭持力を向上するために、クリップと軸筒が接触する部分の形状が工夫されている。具体的には、クリップ部材の先端部の内壁に、対向する筒体(軸筒)の外壁面の曲率と略同曲率の狭持面を形成し、この狭持面と筒体(軸筒)の外壁面とを圧接可能に形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−253547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の筆記具用クリップおいては、狭持力を増すことはできる。しかし、被狭持物が傷つき易いものの場合は、柔軟に挟み込むことができず、傷を付けやすい。特に、傷つき易い厚手の狭持物の場合には、クリップが大きく開いた状態におけるコイルスプリングの弾発力は非常に強く、また、狭持面は線接触となるため面圧が高くなり、被狭持物の破損の原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、軸筒又はクリップ本体の何れか一方から他方に向けて、弾力性を有する棒状突起体を複数設けた筆記具用クリップである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エラストマー等の弾性力を有する複数の棒状突起体を複数設けているので、十分な狭持力を発揮することができる。そして、厚手で傷等が付きやすい被狭持物の場合には、棒状突起体が弾性的に可撓し、その適正な弾性力で被狭持物を狭持するので、クリップで挟むことによる被狭持物の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る筆記具用クリップを有する筆記具の斜視図である。
【図2】本発明に係る筆記具用クリップの第1実施例を示す図である。
【図3】本発明に係る筆記具用クリップの横端面図(図1のIII−III端面図)である。
【図4】本発明に係る筆記具用クリップの第2実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例について説明する。なお、以下の説明において、前方向は、ペン先側の方向を指す。
【実施例1】
【0010】
図1は筆記具1の全体斜視図である。円筒筒状に形成される軸筒2は、前方には漸次縮径されて形成される先口3が設けられている。先口3の先端からは、ボールペンのペン先4が突出している。一方、軸筒2の後端には、押圧操作によりボールペンのペン先4を出没させるノック部5が設けられている。図示しないが、軸筒2の内部には、ペン先4の出没機構が設けられている。
【0011】
軸筒2の外表面後部には、本発明に係る筆記具用クリップ10が設けられている。筆記具用クリップ10には、クリップ本体11が形成されている。クリップ本体11は、基部11aにより、軸筒2の後部外表面と固定される。基部11aの他端側からは、軸筒2の軸心に沿って前方に平板状に延びる板状部11bが形成されている。
【0012】
軸筒2の外表面と対向する板状部11bの面には、軸筒2に向って立設する棒状突起体12が複数設けられている。棒状突起体12は、弾性力を有する材料(例えばエラストマー)で形成されており、所定の押圧力により可撓性を有する。
【0013】
図2及び図3に本実施例(第1実施例)における棒状突起体12の形状の詳細及び配列状態を示す。棒状突起体12は、略中実円筒状に形成される。そして、棒状突起体12の先端部12a(棒状突起体12が軸筒2の外表面と対向する板状部11bの面に固定される一方端に対する他端側の端部)は、周囲をR面取り形状(換言すれば曲面状)に形成されている(曲面部12a1)。先端部12aの平面視中央部分は、平坦に形成されている(平坦部12a2)。
【0014】
複数設けられる棒状突起体12は、その一方端から他端側の端部(先端部12a)までの長さ(高さ)及び外径が種々異なったものが設けられている。本実施例においては、クリップ本体11の前方側から2列目まで(合計4本の棒状突起体12)をW1、3列目と4列目(合計6本の棒状突起体12)をW2、5列目〜7列目(合計9本の棒状突起体12)をW3、8列目〜11列目(合計12本の棒状突起体12)をW4とした4つのグループに分け、それぞれの棒状突起体12の高さ及び外形をW1:h1,d1、W2:h2,d2、W3:h3,d3、W4:h4,d4としたとき、以下の式の関係となる。
h1<h2<h3<h4、d1>d2=d3=d4・・・式(1)
【0015】
全ての棒状突起体12を同質材料で形成すれば、前方端のW1グループの棒状突起体12は、外径が大きく高さが低いため、他のグループの棒状突起体12と比べて弾性力が高くなる。また、本実施例の場合、W1〜W4に亘って、段階的に軸筒2の外表面との間隔が狭くなる。よって、クリップ本体11の奥側(W4のグループ)では薄手の被狭持物を狭持でき、前方側で厚手の被狭持物を狭持することができる。そして、被狭持物の厚みに合わせて、各棒状突起体12は可撓して適切な狭持力を発揮するので、傷つき易い被狭持物であっても、狭持による傷等の破損を防止することができる。さらに、先端部12aの外周の形状を、R面取りした曲面部12a1により構成しているので、クリップ本体11への被狭持物の抜差し時の傷等による破損を防止できる。さらに、棒状突起体12の可撓による曲面部12a1及び平坦部12a2の被狭持物への当接時は、当接部の点接触を防止できるので、面圧を低減でき、被狭持物に対する傷等による破損を防止することができる。
【0016】
なお、本実施例においては、棒状突起体12をクリップ本体11の板状部11bから軸筒2に向けて立設させたが、これとは逆に、軸筒2からクリップ本体側に向けて立設するよう形成してもよい。
【0017】
さらに、被狭持物と軸筒2との当接時の面圧を低減するため、軸筒2が棒状突起体12と対向する面を平坦に形成しても良い。
【実施例2】
【0018】
本発明に係る第2実施例を図4に示す。筆記具用クリップ20は、図1の筆記具1の筆記具用クリップ10に換えて装着できるものである。よって、第1実施例と異なる部分のみ説明し、その他は説明を省略し、同符号を付する。
【0019】
本実施例においては、棒状突起体12の配列を、第1実施例と異ならせた。すなわち、クリップ本体11の前方側から4列目まで(合計12本の棒状突起体12)をX1、5列目〜7列目(合計9本の棒状突起体12)をX2、8列目と9列目(合計6本の棒状突起体12)をX3、10列目と11列目(合計6本の棒状突起体12)をX4とした4つのグループに分け、それぞれの棒状突起体12の高さ及び外形をX1:h1,d1、X2:h2,d2、X3:h3,d3、X4:h4,d4としたとき、以下の式の関係となるよう形成した。
h1>h2>h3>h4、d1=d2=d3<d4・・・式(1)
【0020】
本実施例では、クリップ本体の前方側から、X1〜X4に亘って、段階的に、軸筒2と棒状突起体12の先端部12aとの間隔が広くなるように設定した。
【0021】
以上、本発明の実施例を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することができる。特に、棒状突起体12の配列や、弾性力の設定は、想定する被狭持物に合わせて、適宜形成することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 筆記具
2 軸筒
10 筆記具用クリップ
11 クリップ本体
12 棒状突起体
12 合計
12 棒状突起体
12a 先端部
12a1 曲面部
12a2 平坦部
20 筆記具用クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒と、
該軸筒の後端に設けられ、軸筒前方に向けて略平板状に延びるクリップ本体と、
前記軸筒又はクリップ本体の何れか一方から他方に向けて立設し、弾性力を有するよう形成された複数の棒状突起体と、
を有することを特徴とする筆記具用クリップ。
【請求項2】
前記棒状突起体の先端部は、外周をR面取りした曲面状の曲面部と、中央部分を平坦に形成した平坦部と、により形成したことを特徴とする請求項1記載の筆記具用クリップ。
【請求項3】
前記複数の棒状突起体は、
その高さ及び外径毎に複数のグループに分けられ、その高さ及び外径が段階的に変化するよう設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−22779(P2013−22779A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157461(P2011−157461)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000108328)ゼブラ株式会社 (172)
【Fターム(参考)】