筋肉訓練装置

【課題】安全で取扱い易い筋肉訓練装置を提供する。
【解決手段】椅子100、左右一対のペダル40、一対のペダル40を各々前後方向Xに往復動させる駆動機構、駆動機構を制御する制御手段を備え、駆動機構として、一対のペダル40をそれぞれ移動させるべくそのナット部43に螺合されて前後方向に伸長する一対のリードスクリュー30、一対のリードスクリュー30に回転駆動力を及ぼす一対のモータ20、一対のモータ20の回転量をそれぞれ検出する回転センサ21、一対のペダル40が踏力により受ける荷重をそれぞれ検出する荷重センサ50を採用する。これにより、下肢の運動を行う際の速度と負荷を随時自由に制御でき、訓練者が途中で力を抜いても、自動的に停止あるいは負荷を低減することができるため安全性が高く、個々の訓練者の筋力に応じた負荷及び速度による運動が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下肢の屈曲運動及び伸展運動又は腰の捩りあるいは揺動運動等を行う筋肉訓練装置に関し、特に、訓練者の筋力に応じた負荷設定が可能な筋肉訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下肢(脚)、腹部、腕部等の筋力を増強あるいは回復させるために訓練する従来の筋肉訓練装置としては、負荷として鉄等の錘を使用する装置が知られている。
この装置では、訓練者が負荷を変更するとき錘を取り替える必要があり、その変更に時間及び手間を要し、又、動作中での負荷特性の変更や調整を行うことはできないため途中で力を緩めることができず慎重な動作を要し、さらに、錘を着地させる際に衝撃音あるいは振動等が発生する。
【0003】
また、他の筋力訓練装置としては、着座用の椅子、下肢を曲げた位置から伸ばした位置までの領域で椅子から前方に延びた移動自在なロッド、ロッドの前端に固定された一つのペダル、下肢から印加される力の前後方向及び垂直方向の成分をそれぞれ検出する水平力センサ及び垂直力センサ、ロッドを予め設定される速度一定の条件で前後方向に移動又は停止させる駆動機構としてエアーシリンダ(あるいは油圧シリンダ)等を備えたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、この装置では、エアーシリンダ(あるいは油圧シリンダ)が限定された負荷と一定速度の条件下で筋力の訓練あるいは測定を行うものであるため、ペダルの押し方向及び戻し方向での負荷(トルク)の変更、左右各々の脚での負荷(トルク)の変更等を自在に行えるものではない。すなわち、個々の訓練者(被験者)に対応した設定又は個々の訓練者(被験者)の動作中の状態に対応した設定を容易に行うことができず、使い易さあるいは安全性等の考慮に欠けるものである。
【0005】
また、駆動機構としてエアーシリンダを用いると、空気が弾性流体であるが故に等速性収縮の制御は困難であり違和感を生じ、又、応答遅れがあるため高精度な制御あるいは測定が困難である。一方、駆動機構として油圧シリンダを用いると、作動油の粘性や通路抵抗のため、軽負荷で速い動作には抵抗感を生じる。
さらに、エアーシリンダ及び油圧シリンダによる駆動では、ポンプや排気による騒音、作動油の漏れ等を招く虞がある。
【0006】
【特許文献1】特許第2779967号公報
【特許文献2】特許第2873054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の装置の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡略化、小型化等を図りつつ、下肢(片脚あるいは両脚)の屈曲及び伸展運動、腰の捩りあるいは揺動運動等を含めた総合的な訓練を行うことができ、しかも、個々の訓練者に応じて、又、訓練者の両脚毎に、さらには、訓練者の運動中の体調に応じて、運動の際の速度と負荷の増減を随時自由に制御でき、安全性、取扱い性に優れた筋肉訓練装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の筋肉訓練装置は、着座用の椅子と、左右一対のペダルと、一対のペダルを各々前後方向に往復動させる駆動機構と、駆動機構を制御する制御手段と、を備えた筋肉訓練装置であって、上記駆動機構は、一対のペダルにそれぞれ連結されて前後方向に移動させる一対の連結駆動部材と、一対の連結駆動部材に回転駆動力を及ぼす一対のモータと、一対のモータ又は連結駆動部材の回転量をそれぞれ検出する回転センサと、一対のペダルが踏力により受ける荷重をそれぞれ検出する荷重センサとを含む、構成となっている。
この構成によれば、訓練者が、椅子に座って左右一対のペダルに足を固定し、伸展運動及び屈曲運動を行うと、荷重センサによりその踏力による荷重が検出され、制御手段により回転センサで検出される回転量をフィードバックしつつ左右の荷重センサの検出信号に応じて制御信号が出力されて、一対のモータが適宜対応する速度で回転して一対の連結駆動部材を回動させて、ペダルは訓練者の脚に適宜負荷を及ぼしながら両脚の伸展及び屈曲運動に追随する。
このように、運動を行う際の速度と負荷を随時自由に制御でき、訓練者が途中で力を抜いても、自動的に停止あるいは負荷を低減することができるため安全性が高く、個々の訓練者の筋力に応じた負荷及び速度による運動が可能になる。また、駆動機構がモータ及び連結駆動部材等によるため、従来のようなエアーシリンダあるいは油圧シリンダを用いる場合に比べて、構造が簡略化され、騒音、振動、油漏れ等が発生せず、取扱い性、メインテナンス性に優れた筋肉訓練装置を得ることができる。
【0009】
上記構成において、一対の連結駆動部材は、前後方向に伸長すると共にペダルの一部に螺合された一対のリードスクリューである、構成を採用することができる。
この構成によれば、リードスクリューが回動することで、ペダルが前後方向に移動し、モータによりリードスクリューの回転速度を制御することにより、訓練者に及ぼす負荷が適宜制御される。
【0010】
また、上記構成において、一対の連結駆動部材は、前後方向に張設されると共にペダルの一部に固定された一対のベルトである、構成を採用することができる。
この構成によれば、ベルトが前後方向に移動することで、ペダルが前後方向に移動し、モータによりベルトの回転(移動)速度を制御することにより、訓練者に及ぼす負荷が適宜制御される。
【0011】
上記構成において、駆動機構は、一対の連結駆動部材の回転又は移動に対して抵抗力を及ぼす抵抗手段を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、抵抗手段により連結駆動部材の回転又は移動に対する抵抗力(負荷トルク)を適宜調整することにより、ペダルの移動速度を適宜調整でき、訓練者に加わる負荷をより迅速かつ高精度に調整することができる。
【0012】
上記構成において、椅子を左右方向に移動させる移動機構をさらに含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、移動機構を設けたことにより、ペダルが往復動する前後方向に対して略直交する水平左右方向に椅子が移動できるため、訓練者は下肢(片脚あるいは両脚)の伸展及び屈曲運動に加えて、腰の捩りあるいは揺動運動を行うことができ、総合的な運動が可能になる。
【0013】
上記構成において、移動機構は、所定の鉛直軸回りに揺動自在に連結されたロッドと、ロッドの自由端側に連結されて椅子を回動自在に支持する支軸とを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、移動機構が、水平面内にて揺動するロッド、ロッドの自由端側において椅子を回動自在に支持する支軸により形成されるため、簡略な構造を採用しつつ、訓練者は椅子に対して滑ることなく確実に着座した状態で、腰を容易に捩りあるいは揺動させることができる。
【0014】
上記構成において、移動機構は、椅子の移動に対して抵抗力を及ぼす第2の抵抗手段を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、第2の抵抗手段により椅子の移動(揺動)に対する抵抗力を適宜調整することにより、椅子の移動速度又は負荷トルクを適宜調整でき、訓練者に加わる負荷をより迅速かつ高精度に調整することができる。
【0015】
上記構成において、抵抗手段は、パウダーブレーキ、渦電流ブレーキ、又は回生ブレーキである、構成を採用することができる。
この構成によれば、抵抗手段の構造を簡略化でき、全体として装置を小型化できる。
【0016】
上記構成において、制御手段は、ペダルを押す方向と戻す方向とで別々の負荷を設定する制御情報に基づいて駆動機構を制御する、構成を採用することができる。
この構成によれば、脚の伸展運動(ペダルを押す方向)と屈曲運動(ペダルを戻す方向)とで異なる負荷が適宜設定されるため、例えば、伸展運動を高負荷で屈曲運動を低負荷で行うように、訓練者が要望する筋力増強あるいは回復運動を適宜行うことができ、又、屈曲運動を低負荷で行う場合、脚の力を抜いても関節等を痛めるのを防止できる。
【0017】
上記構成において、制御手段は、ペダルを押す方向と戻す方向とで左右のペダル毎に各々の負荷を設定する制御情報に基づいて駆動機構を制御する、構成を採用することができる。
この構成によれば、右脚と左脚とで異なる負荷が適宜設定されるため、例えば、訓練者の利き脚、あるいは一方の脚をけがした場合等に応じて、訓練者が要望する筋力増強あるいは無理のない回復運動を行うことができる。
【0018】
上記構成において、制御手段は、ペダルを押す方向と戻す方向との切り替り点を設定する制御情報に基づいて駆動機構を制御する、構成を採用することができる。
この構成によれば、ペダルの前方(押す方向)への往路と後方(戻す方向)への復路の切り替り点が適宜設定されるため、訓練者の体格(脚の長さ)あるいは所望される伸展及び屈曲運動のストロークに応じて、訓練者が要望する筋力増強あるいは回復運動を行うことができる。
【0019】
上記構成において、制御手段は、制御情報を記憶する記憶部を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、記憶部により制御情報が記憶されるため、訓練者は一度入力した制御情報に基づいて、同一の訓練あるいは回復運動を行うことができる。
【0020】
上記構成において、制御情報又は運動に関する情報を表示する表示器を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、負荷や運動特性等の情報が表示器で表示されるため、訓練効果を数値化でき、又、訓練効果を客観的に評価できる。また、訓練開始からの経緯を表示することにより、効果の確認や予測を行うことができ、訓練を継続的に行う動機付けとなる。
【発明の効果】
【0021】
上記構成をなす本発明の筋肉訓練装置によれば、構造の簡略化、小型化等を達成しつつ、下肢(片脚あるいは両脚)の屈曲及び伸展運動、腰の捩りあるいは揺動運動等を含めた総合的な訓練を行うことができ、又、個々の訓練者に応じてあるいは訓練者の両脚毎にさらには訓練者の運動中の体調に応じて、運動の際の速度と負荷の増減を随時自由に制御でき、安全性、取扱い性に優れた筋肉訓練装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を採用しつつ説明する。
図1ないし図4は、本発明に係る筋肉訓練装置の一実施形態を示すものであり、図1は装置の概略構成斜視図、図2は装置のカバーを取り外した状態を示す概略構成斜視図、図3は装置の一部を示した部分斜視図、図4は装置の一部をなす駆動機構及びペダル等を示した側面図である。
【0023】
この装置は、図1ないし図4に示すように、略H字形状をなす基台10、基台10の後述する中央フレーム12の左右両側面にそれぞれ固定された一対のモータ20、モータ20の回転量を検出する左右一対の回転センサ21、一対のモータ20にそれぞれ連結されて前後方向Xに伸長する連結駆動部材としての一対のリードスクリュー30、リードスクリュー30に連結されて前後方向Xに移動させられる左右一対のペダル40、ペダル40が踏力による受ける荷重を検出する左右一対の荷重センサ50、リードスクリュー30の回転に対して抵抗力を及ぼす抵抗手段としての回転抵抗器60、基台10の後述する鉛直軸13に対して揺動自在に連結されたロッド70、ロッド70が鉛直軸13回りに回動する際に抵抗力を及ぼす第2の抵抗手段としての回転抵抗器80、ロッド70の自由端側に設けられた支軸90、支軸90に対して回動自在に支持された着座用の椅子100、基台10の後述する垂直フレーム14に対して上下の傾斜角度を調整自在に連結されたハンドルバー110、垂直フレーム14に保持された制御手段としての各種の制御回路及び電子部品並びに表示部を含む表示器120、モータ20及びリードスクリュー30等を覆うカバー130等を備えている。
【0024】
ここでは、一対のモータ20、一対のリードスクリュー30、一対の回転センサ21、一対の荷重センサ50等により、左右一対のペダル40を各々前後方向Xに往復動させる駆動機構が構成されている。また、鉛直軸13回りに揺動自在なロッド70、ロッド70の自由端側に連結された支軸90等により、椅子100を左右方向Yに移動(揺動)及び鉛直軸(支軸90)回りに回動させる移動機構が構成されている。
【0025】
基台10は、図2及び図3に示すように、左右方向Yに伸長する前後2つの脚部フレーム11、脚部フレーム11に固定されて前後方向Xに伸長する中央フレーム12、中央フレーム12と脚部フレーム11の連結部に設けられた鉛直軸13、脚部フレーム11に設けられた門型の直立フレーム14等を備えており、金属材料等を用いて略H字形状に形成されている。
【0026】
一対のモータ20は、図3に示すように、中央フレーム12の左右両側面に固定されており、又、その後方にモータ20の回転量(回転角度)を検出する回転センサ21がそれぞれ一体的に設けられている。一対のモータ20としては、DCモータ、ステッピングモータ、その他の回転駆動力を発生するアクチュエータを採用することができ、又、回転センサ21としては、エンコーダ等を採用することができる。
【0027】
一対のリードスクリュー30は、図3に示すように、中央フレーム12の左右両側面において回動自在に支持され、その後端がモータ20にそれぞれ直結され、その前端に回転抵抗器60が連結されている。一対のリードスクリュー30としては、螺旋状の溝に転動するボールを挿入したリードボールスクリュー等を採用することができる。
【0028】
左右一対のペダル40は、図2ないし図4に示すように、足載せ部41、足載せ部41を支持する支持部42、支持部42と一体的に固定されリードスクリュー30に螺合するナット部43等を備えている。
足載せ部41は、足を載せて固定(又は締め付ける)固定部41aを有し、足首の角度を調整するべく支持部42に対して多段的に角度調整を行えるようになっている。
ナット部43は、リードスクリュー30に螺合すると共に、中央フレーム12に設けられた前後方向Xに伸長する凸状のガイド12aにより、前後方向Xに往復動自在に案内されている。
【0029】
一対の荷重センサ50は、図3及び図4に示すように、左右一対のペダル40にそれぞれ取り付けられており、訓練者が左右の脚を伸展あるいは屈曲させたときに、ペダル40が踏力により受ける荷重、すなわち、荷重の大きさと方向を検出するものである。
荷重センサ50としては、例えば、前後方向X、左右方向Y、鉛直方向Zにおいて、三次元的に検出できるものが好ましい。
【0030】
一対の回転抵抗器60は、図2ないし図4に示すように、リードスクリュー30にそれぞれ連結されており、リードスクリュー30の回転に対して抵抗力(負荷トルク)を可変的に及ぼすものである。すなわち、回転抵抗器60が発生する抵抗力を適宜調整することにより、ペダル40の移動速度を迅速に調整でき、訓練者に加わる負荷を適宜調整することができる。
回転抵抗器60としては、パウダーブレーキ、あるいはコストを低減するべく過電流ブレーキ、回生ブレーキ等を採用することができる。
【0031】
ロッド70は、図2及び図3に示すように、基台10の鉛直軸13に対して回動自在に連結されており、その自由端側には支軸90が鉛直方向に突出して設けられている。
すなわち、ロッド70は、鉛直軸13を支点として、水平面内で左右方向Yに揺動自在に支持されている。
支軸90は、図1及び図2に示すように、椅子100を鉛直軸回りに回動自在に支持している。
【0032】
回転抵抗器80は、図1ないし図3に示すように、ロッド70が支持される鉛直軸13の回りに配置されて、ロッド70の揺動に対して抵抗力(負荷トルク)を可変的に及ぼすものである。すなわち、回転抵抗器80が発生する抵抗力(負荷トルク)を適宜調整することにより、椅子100が左右に移動する速度を調整でき、訓練者に加わる負荷を適宜調整することができる。
回転抵抗器80としては、パウダーブレーキ、あるいはコストを低減するべく過電流ブレーキ、回生ブレーキ、その他の回転負荷発生機構を採用することができる。
【0033】
着座用の椅子100は、訓練者が着座する着座部101、着座部101に連なる背もたれ部102等を一体的に備えている。尚、ここでは、椅子100に背もたれ部102を一体的に形成したが、背もたれ部102を廃止した構成でもよい。
【0034】
ハンドルバー110は、図1及び図2に示すように、訓練者が両手で把持する把持部111、把持部111の中央から延出して基台10の直立フレーム14に連結された連結部112等を備えている。
そして、ハンドルバー110は、訓練者の体格に応じて又は訓練者が椅子100に対して乗り降りする際の利便性のために、上下方向の傾斜角度を多段的に調整できるようになっている。
【0035】
表示器120は、図1及び図2に示すように、基台10の直立フレーム14に対して、伸縮自在なリンク121を介して保持されており、その内部には、制御手段としての各種の制御回路及び電子部品、種々の制御情報を記憶する記憶部が収容され、又、その表面には制御情報又は訓練者が運動を行っている際の運動に関する情報を表示する表示部としてのモニターが設けられている。尚、モニターは種々の制御情報を入力するためのタッチパネルを兼ねている。
【0036】
すなわち、モニターで負荷や運動特性等の情報を表示することにより、訓練効果を数値化でき、又、訓練効果を客観的に評価でき、さらには、訓練開始からの経緯を表示することにより、効果の確認や予測を行うことができ、訓練を継続的に行う動機付けとなる。
また、表示器120に制御情報を記憶する記憶部を設けたことにより、この記憶部で種々の制御情報が記憶されるため、例えば、訓練者は一度入力した制御情報に基づいて、同一の訓練あるいは回復運動を行うことができる。
【0037】
さらに、表示器120(タッチパネル)で種々の制御情報を入力して、訓練者に応じた負荷及び速度を生じるように、一対のモータ20を駆動制御することができる。
具体的には、ペダル40を押す方向(Fx方向)と戻す方向(Rx方向)とで、別々の負荷を設定する制御情報を入力することにより、脚の伸展運動(押す方向)と屈曲運動(戻す方向)とで異なる負荷が適宜設定され、例えば、伸展運動を高負荷で屈曲運動を低負荷で行うように、訓練者が要望する筋力増強あるいは回復運動を適宜行うことができ、又、屈曲運動を低負荷で行う場合脚の力を抜いても関節等を痛めるのを防止できる。
【0038】
また、ペダル40を押す方向(Fx方向)と戻す方向(Rx方向)とで、左右のペダル40毎に各々の負荷を設定する制御情報を入力することにより、右脚と左脚とで異なる負荷が適宜設定され、例えば、訓練者の利き脚に応じてあるいは一方の脚をけがした場合等に応じて、訓練者が要望する筋力増強あるいは無理のない回復運動を行うことができる。
【0039】
さらに、ペダル40を押す方向(Fx方向)と戻す方向(Rx方向)との切り替り点を設定する制御情報を入力することにより、ペダル40の前方Fx(押す方向)への往路と後方Rx(戻す方向)への復路の切り替り点が適宜設定され、例えば、訓練者の体格(脚の長さ)あるいは所望される伸展及び屈曲運動のストロークに応じて、訓練者が要望する筋力増強あるいは回復運動を行うことができる。
【0040】
カバー130は、図1に示すように、一対のモータ20、一対のリードスクリュー30、一対のペダル40の下方部分(ナット部43)、一対の荷重センサ50、一対の回転抵抗器60等を収容して覆うと共に、一対のペダル40の上方部分(支持部42の一部及び足載せ部41)を露出させる長孔131を備え、訓練者が接触しても衝撃を吸収あるいは緩和するように柔軟性をもつ樹脂材料等により形成されている。
【0041】
次に、この筋肉訓練装置を用いて訓練者Mが、下肢の伸展及び屈曲運動を行う場合と、体幹(腰)の左右揺動運動を行う場合について、図5ないし図8を参照しつつ説明する。
先ず、訓練者Mが下肢(両脚)の伸展及び屈曲運動を行う場合、椅子100に着座して、右足Mrを右側のペダル40に載せて固定し、左足Mlを左側のペダル40に載せて固定する。そして、図5に示すように、左右のペダル40を交互に押して引き戻すように、両脚を伸展及び屈曲させる。このとき、荷重センサ50は左右の足Mr,Mlの踏力による荷重をそれぞれ検出し、荷重が大きければ負荷を大きく一方荷重が小さければ負荷を小さくするように、負荷の強弱及び速さをそのときの訓練者Mの運動状態に応じて適宜変化させるように、一対のモータ20及び回転抵抗器60が適宜駆動制御される。
この下肢伸展及び屈曲による筋肉訓練運動において、ペダル40の位置(屈曲位置〜伸展位置)に対するペダル40の速度、負荷、筋力、及び仕事量の関係は、例えば図6に示す結果となる。
【0042】
このように、訓練者の踏力による荷重を検出して負荷を適宜変化させることができるため、運動の途中で力を抜いても停止あるいは負荷が減少して錘のように負荷が加わり続けることはなく、又、徐々に停止させ又は勢いがつかないように速度制御することにより関節等を痛めるのを防止でき、無理なく安全に筋肉訓練あるいは回復運動を行うことができる。また、右足Mr及び左足Mlに別々の負荷を設定することにより、利き脚に応じてあるいは一方の脚をけがした場合等に応じて、訓練者Mが要望する筋力増強あるいは無理のない回復運動を行うことができ、又、押し方向と戻り方向との境界点を訓練者Mに応じて任意に設定することにより、同様に訓練者Mが要望する筋力増強あるいは無理のない回復運動を行うことができる。さらに、速度と負荷をフィードバック制御することにより、アミューズメント性の強い訓練内容で臨場感がより高まり、訓練意欲を向上させることができる。
【0043】
次に、訓練者Mが体幹(腰)の揺動運動を行う場合、椅子100に着座して、右足Mrを右側のペダル40に載せて固定し、左足Mlを左側のペダル40に載せて固定する。そして、図7に示すように、左右のペダル40を同時に押すようにして、体幹(腰)Mωを左右に往復動(揺動)させる。このとき、椅子100は支軸90回りに回動自在でかつロッド70は鉛直軸13回りに回動自在であるため、訓練者Mは椅子100に対して滑ることなく、体幹(腰)Mωを左右に移動させることができる。
この運動において、荷重センサ50は左右の足Mr,Mlの踏力による荷重をそれぞれ検出してフィードバックし、又、ロッド70の回転に対する負荷トルクを適宜変化させるべく回転抵抗器80が適宜駆動制御される。
この体幹(腰)揺動による筋肉訓練運動において、ペダル40の位置(屈曲位置〜伸展位置)に対するペダル40の速度、負荷、筋力、及び仕事量の関係は、例えば図8に示す結果となる。
このように、椅子100の位置が移動することにより、体幹(腰、腹部)Mwの捩りあるいは揺動運動に下肢の伸展及び屈曲運動を含めた総合的な筋肉訓練運動を行うことができる。
【0044】
図9は、本発明に係る筋肉訓練装置の他の実施形態を示すものであり、連結駆動部材として一対のベルト30´等を採用した以外は、前述の実施形態と同一であるため同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この装置においては、図9に示すように、左右各々の側において、モータ20により回転駆動されるプーリ31´、中央フレーム12の前方側部に回転自在に支持されたプーリ32´が設けられ、両プーリ31´,32´に巻回するようにベルト30´が前後方向Xに張設されている。
【0045】
ここで、ベルト30´としては、平ベルト、Vベルト、歯付きベルト等、確実に駆動力を伝えるものであれば、各種のベルトを採用することができ、プーリ31´,32´も、ベルトのタイプに応じて、円筒型、V溝型、歯付き型等各種のプーリを採用することができる。尚、ベルト30´の張力は、一方のプーリ31´,32´の前後方向Xの位置を調整することにより、最適な値に設定されるようになっている。
一対のペダル40の連結部43´(一部)は、ベルト30´の一部に固定されており、ベルト30´と一体となって前後方向Xに移動するようになっている。
【0046】
一対の回転抵抗器60´は、ベルト30´の外れを規制した状態で、プーリ32´の回転に対して抵抗力(負荷トルク)を可変的に及ぼすものである。すなわち、回転抵抗器60´が発生する抵抗力を適宜調整することにより、ペダル40の移動速度を迅速に調整でき、訓練者に加わる負荷を適宜調整することができる。
【0047】
この実施形態においても、前述同様に、構造の簡略化、小型化等を達成しつつ、下肢(片脚あるいは両脚)の屈曲及び伸展運動、腰の捩りあるいは揺動運動等を含めた総合的な訓練を行うことができ、又、個々の訓練者に応じてあるいは訓練者の両脚毎にさらには訓練者の運動中の体調に応じて、運動の際の速度と負荷の増減を随時自由に制御でき、安全性、取扱い性に優れた筋肉訓練装置が得られる。
【0048】
上記実施形態においては、椅子100を左右方向Yに移動させる移動機構として、基台10の鉛直軸13に揺動自在に支持したロッド70及び支軸90等を採用したが、これに限定されるものではなく、単に左右方向に直線的に往復動する機構でもよく、又、第2の抵抗手段として回転抵抗器80を採用したが、これに限定されるものではなく、抵抗力を発生するものであれば鉛直軸13回りにおいて回転方向に作用するものではなく、それ以外の場所に設定されて回転方向以外の向きに作用するものでもよい。
【0049】
上記実施形態においては、モータにより回転駆動される連結駆動部材として、一対のリードスクリュー30、一対のベルト30´を示したが、これに限定されるものではなく、一対のモータに連結されたスプロケットによりそれぞれ回転駆動される一対のチェーンを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上述べたように、本発明の筋肉訓練装置は、構造の簡略化、小型化等を達成しつつ、下肢(片脚あるいは両脚)の屈曲及び伸展運動、あるいは腰の捩りあるいは揺動運動等を含めた総合的な訓練を行うことができるため、筋力増強のための通常の筋肉訓練用装置として適用できるのは勿論のこと、特に、個々の訓練者に応じてあるいは訓練者の両脚毎にさらには訓練者の運動中の体調に応じて、運動の際の速度と負荷の増減を随時自由に制御でき、安全性、取扱い性に優れているため、病院等での患者(訓練者)の下肢機能回復のための回復訓練用装置としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る筋肉訓練装置の一実施形態を示す概略構成斜視図である。
【図2】図1に示す装置においてカバーを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す装置の一部を省いた状態を示す部分斜視図である。
【図4】図1に示す装置の一部を示す拡大側面図である。
【図5】訓練者が下肢の伸展及び屈曲運動を行う場合の状態を示す斜視図である。
【図6】この装置により下肢の筋肉訓練を行った場合のペダル位置に対する速度、負荷、筋力、仕事量を表すグラフである。
【図7】訓練者が体幹(腰)の揺動運動を行う場合の状態を示す斜視図である。
【図8】この装置により体幹(腰)の筋肉訓練を行った場合のペダル位置に対する速度、負荷、筋力、仕事量を表すグラフである。
【図9】本発明に係る筋肉訓練装置の他の実施形態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
10 基台
11 脚部フレーム
12 中央フレーム
13 鉛直軸
14 直立フレーム
20 一対のモータ(駆動機構)
21 回転センサ(駆動機構)
30 一対のリードスクリュー(一対の連結駆動部材、駆動機構)
30´ 一対のベルト(一対の連結駆動部材、駆動機構)
31´,32´ プーリ
40 一対のペダル
41 足載せ部
42 支持部
43 ナット部
43´ 連結部
50 荷重センサ(駆動機構)
60,60´ 回転抵抗器(抵抗手段)
70 ロッド(移動機構)
80 回転抵抗器(第2の抵抗手段)
90 支軸(移動手段)
100 着座用の椅子
101 着座部
102 背もたれ部
110 ハンドルバー
120 表示器(制御手段、記憶部)
130 カバー
X 前後方向
Y 左右方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座用の椅子と、左右一対のペダルと、前記一対のペダルを各々前後方向に往復動させる駆動機構と、前記駆動機構を制御する制御手段と、を備えた筋肉訓練装置であって、
前記駆動機構は、前記一対のペダルにそれぞれ連結されて前後方向に移動させる一対の連結駆動部材と、前記一対の連結駆動部材に回転駆動力を及ぼす一対のモータと、前記一対のモータ又は連結駆動部材の回転量をそれぞれ検出する回転センサと、前記一対のペダルが踏力により受ける荷重をそれぞれ検出する荷重センサと、を含む、
ことを特徴とする筋肉訓練装置。
【請求項2】
前記一対の連結駆動部材は、前後方向に伸長すると共に前記ペダルの一部に螺合された一対のリードスクリューである、
ことを特徴とする請求項1記載の筋肉訓練装置。
【請求項3】
前記一対の連結駆動部材は、前後方向に張設されると共に前記ペダルの一部に固定された一対のベルトである、
ことを特徴とする請求項1記載の筋肉訓練装置。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記一対の連結駆動部材の回転又は移動に対して抵抗力を及ぼす抵抗手段を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の筋肉訓練装置。
【請求項5】
前記椅子を左右方向に移動させる移動機構を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の筋肉訓練装置。
【請求項6】
前記移動機構は、所定の鉛直軸回りに揺動自在に連結されたロッドと、前記ロッドの自由端側に連結されて前記椅子を回動自在に支持する支軸と、を含む、
ことを特徴とする請求項5記載の筋肉訓練装置。
【請求項7】
前記移動機構は、前記椅子の移動に対して抵抗力を及ぼす第2の抵抗手段、を含む、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の筋肉訓練装置。
【請求項8】
前記抵抗手段は、パウダーブレーキ、渦電流ブレーキ、又は回生ブレーキである、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれかに記載の筋肉訓練装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記ペダルを押す方向と戻す方向とで別々の負荷を設定する制御情報に基づいて、前記駆動機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし8いずれかに記載の筋肉訓練装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記ペダルを押す方向と戻す方向とで左右のペダル毎に各々の負荷を設定する制御情報に基づいて、前記駆動機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし9いずれかに記載の筋肉訓練装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記ペダルを押す方向と戻す方向との切り替り点を設定する制御情報に基づいて、前記駆動機構を制御する、
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれかに記載の筋肉訓練装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記制御情報を記憶する記憶部を含む、
ことを特徴とする請求項9ないし11いずれかに記載の筋肉訓練装置。
【請求項13】
前記制御情報又は運動に関する情報を表示する表示器を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし12いずれかに記載の筋肉訓練装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−296703(P2006−296703A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121926(P2005−121926)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)
【出願人】(000177612)株式会社ミクニ (332)