説明

管内水密配線構造及びその構造を備える照明器具

【課題】 水密性に優れ照明器具等において良好な防水性を発揮する管内水密配線構造、さらには、その構造を備える防水性能に優れる照明器具を提供する。
【解決手段】 管21内において配線穴12が形成された円形の弾力性プレート3を両側面に配置した一対の固定プレート9、10で押圧固定し、その押圧力により弾力性プレート3を変形して管21内周面に密着固定させるとともに配線穴12の配線コード40に密着させる管内密封配線構造において、固定プレート9、10それぞれの弾力性プレート3に相対する側の周縁位置に沿って弾力性プレート3へ当接する堤部17が設けられ、さらに、固定プレート3それぞれの弾力性プレート3に相対する側の配線穴12の周囲位置に沿って弾力性プレート3へ当接する堤部18が設けられてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明器具等において用いられる管内水密配線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外使用する照明器具として蛍光灯やLED使用の棒状の照明具を透明の円筒管内に納めたものがあり(図5参照)、円筒管内に密封することで内部の照明具の防水を行っている。照明具からは管外に配線コードを導出する必要があり、そこに水密配線構造が施されている。この水密配線構造として、管内において配線穴が形成された円形の弾力性プレートを両側面に配置した一対の固定プレートで押圧固定し、その押圧力により弾力性プレートを変形して管内周面に密着固定させるとともに配線穴の配線コードに密着させる構成が採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記水密配線構造においては現状満足な水密構造が得られず、照明具の防水機能が十分に果たされなかった。これは、固定プレートによる両側からの押圧力が弾力性プレートの全体に及ぶことで水密を必要とする部位において弾力性プレートの十分な変形が得られていないことに起因すると考えられる。
【0004】
この発明では、水密性に優れ照明器具等において良好な防水性を発揮する管内水密配線構造、さらには、その構造を備える防水性能に優れる照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなしたもので、請求項1の発明では、管内において配線穴が形成された円形の弾力性プレートを両側面に配置した一対の固定プレートで押圧固定し、その押圧力により弾力性プレートを変形して管内周面に密着固定させるとともに配線穴の配線コードに密着させる管内密封配線構造において、前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の周縁位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなることを特徴とする管内密封配線構造を提供する。請求項2の発明では、管内において配線穴が形成された円形の弾力性プレートを両側面に配置した一対の固定プレートで押圧固定し、その押圧力により弾力性プレートを変形して管内周面に密着固定させるとともに配線穴の配線コードに密着させる管内密封配線構造において、前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の前記配線穴の周囲位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなることを特徴とする管内密封配線構造を提供する。請求項3の発明では、管内において配線穴が形成された円形の弾力性プレートを両側面に配置した一対の固定プレートで押圧固定し、その押圧力により弾力性プレートを変形して管内周面に密着固定させるとともに配線穴の配線コードに密着させる管内密封配線構造において、前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の周縁位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられ、さらに、前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の前記配線穴の周囲位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなることを特徴とする管内密封配線構造を提供する。請求項4の発明では、前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の固定穴の周囲位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなる請求項1、2または3記載の管内密封配線構造を提供する。請求項5の発明では、請求項1、2、3または4記載の管内密封配線構造を備える照明器具を提供する。
【0006】
上記請求項1の発明の構成によれば、弾力性プレートに相対する側の周縁位置に沿って設けられた堤部により両側から押圧されることで弾力性プレートの周縁部分が外側方向に膨出するように変形する。その際、堤部よって押圧力が集中して及ぶことで弾力性プレートの周縁部分の外側方向への膨出変形が有効になされ、これにより、その部分が強固に管内面に密着して良好な水密性が得られる。
【0007】
上記請求項2の発明の構成によれば、弾力性プレートに相対する側の配線穴の周囲位置に沿って設けられた堤部により両側から押圧されることで弾力性プレートの配線穴の周囲部分が内側方向に膨出するように変形する。その際、堤部よって押圧力が集中して及ぶことで弾力性プレートの配線穴の周囲位置部分の内側方向への膨出変形が有効になされ、これにより、その部分が強固に配線穴内に位置する配線コードの外周面に密着して良好な水密性が得られる。
【0008】
上記請求項3の発明の構成によれば、請求項1と請求項2との発明の作用効果が併せ発揮され、弾力性プレートの外周と配線穴との位置それぞれにおいてともに良好な水密性が得られる。
【0009】
上記請求項4の発明の構成によれば、固定プレートそれぞれの弾力性プレートに相対する側の固定穴の周囲位置に沿って設けられた堤部により両側から押圧されることで弾力性プレートの固定穴の周囲位置部分が内側方向に膨出するように変形する。その際、堤部よって押圧力が集中して及ぶことで弾力性プレートの固定穴の周囲位置部分の内側方向への膨出変形が有効になされ、これにより、その部分が固定穴内に位置する固定ネジの外周面に強固に密着してさらに良好な水密性が得られる
【0010】
請求項5の発明の構成の照明器具は、管内密封配線構造の水密性が良好で防水性に優れる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、水密性に優れ照明器具等において良好な防水性を発揮する管内水密配線構造が得られる。さらに、屋外使用等が支障なく行える防水性に優れる照明器具が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の管内水密配線構造において用いる弾力性プレートの外面図
【図2】この発明の管内水密配線構造において用いる一方の固定プレートの外面図
【図3】この発明の管内水密配線構造において用いる他方の固定プレートの外面図
【図4】この発明の管内水密配線構造において用いるそれぞれの固定プレートの内面図
【図5】この発明の管内水密配線構造を用いる照明器具の部分斜視図
【図6】この発明の管内水密配線構造の断面構成図
【図7】この発明の管内水密配線構造の他の実施形態における固定プレートそれぞれの内面図
【図8】この発明の管内水密配線構造の他の実施形態の断面構成図
【図9】この発明の管内水密配線構造のさらに他の実施形態の断面構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
管内水密配線構造1において用いる弾力性プレート3は、図1に示すように、円形でシリコンゴムよりなり、その中央に配線穴5が形成されるとともにその周囲の4箇所に固定穴4を備え、その両面の形態は同一となっている。
【0014】
図2は照明器具において外側に使用する固定プレート9の外面を示し、図3は内側に使用する固定プレート10の外面を示し、図4は固定プレート9、10の弾力性プレート3に相対する内面を示す。固定プレート9、10は円形でポリカーボネート樹脂よりなり、その中央に配線穴12が形成されるとともにその周囲の4箇所に固定穴14を備え、その内面には周縁位置に沿って弾力性プレート3へ当接する環状の堤部17が、配線穴12の周囲位置に沿って弾力性プレート3へ当接する環状の堤部18がそれぞれ突設されている。固定プレート9、10の外面の配線穴12の周囲には環状の配線ガイド部15が突設され、固定プレート10の外面の固定穴14の縁部には固定ネジ26の6角の頭部25の嵌め込み凹所19が設けられている。
【0015】
図5は管内水密配線構造1を備える照明器具20を示し、図6は管内水密配線構造1部分の断面図である。
【0016】
21は照明器具20の透明の外装円筒管であり、内部に蛍光灯やLEDよりなる照明具22が配置され、その端部開口を密封状態において配線するように管内水密配線構造1が設けられている。すなわち、外装円筒管21内に弾力性プレート3の両側面に固定プレート9、10のそれぞれが配置され、頭部25が固定プレート10の嵌め込み凹所19に嵌め込まれ固定穴14、固定穴4、固定穴14を順次挿通された固定ネジ26それぞれの端部に固定ナット28それぞれが装着され締め付けられている。
【0017】
上記の固定ナット28それぞれの締め付けにより、固定プレート9、10それぞれの堤部17により両側から押圧されることで弾力性プレート3の周縁部分30が外側方向に膨出するように変形し、その部分が外装円筒管21の内面に強固に密着する。また、固定プレート9、10それぞれの堤部18により両側から押圧されることで弾力性プレート3の配線穴5の周囲位置部分31が内側方向に膨出するように変形し、その部分が配線穴5内に位置する配線コード40の外周面に強固に密着する。堤部17、18により集中して押圧力が及ぶことで弾力性プレート3の対応部分の膨出変形が有効になされ、弾力性プレート3の外周と配線穴12との両位置において従来に比して良好な水密性が得られ、これにより照明器具20の防水性能が高められている。この照明器具20にさらに他の照明器具を配線コードにより接続使用する場合には、照明器具20の逆側の端部においても同様の管内水密配線構造1が設けられ、接続されない場合には配線穴を備えない水密構造が設けられる。
【0018】
図7、図8は他の実施形態を示し、このものでは上記の固定プレート9、10において、さらに弾力性プレート3に相対する側の固定穴14それぞれの周囲位置に沿って弾力性プレート3へ当接する堤部50が設けられたものを用いている。これにより固定ナット28の締め付けにより固定プレート9、10それぞれの堤部50により両側から押圧されることで弾力性プレート3の固定穴4の周囲位置部分51が内側方向に膨出するように変形し、その部分が固定穴4内に位置する固定ネジ26の外周面に強固に密着する。これによりさらに良好な水密性が得られる。
【0019】
上記それぞれの実施形態においては、固定ネジ26としてネジ部が途中まであるものを使用したが、総ネジ構成の固定ネジ26を使用する場合は固定穴4部分での水密性が低下する恐れがあるが、図9に示すように、その場合はOリング60を用いることで水密性が確保される。
【符号の説明】
【0020】
1 管内水密配線構造
3 弾力性プレート
5 配線穴
9 固定プレート
10 固定プレート
17 堤部
18 堤部
20 照明器具
21 外装円筒管(管)
40 配線コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管内において配線穴が形成された円形の弾力性プレートを両側面に配置した一対の固定プレートで押圧固定し、その押圧力により弾力性プレートを変形して管内周面に密着固定させるとともに配線穴の配線コードに密着させる管内密封配線構造において、
前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の周縁位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなることを特徴とする管内密封配線構造。
【請求項2】
管内において配線穴が形成された円形の弾力性プレートを両側面に配置した一対の固定プレートで押圧固定し、その押圧力により弾力性プレートを変形して管内周面に密着固定させるとともに配線穴の配線コードに密着させる管内密封配線構造において、
前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の前記配線穴の周囲位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなることを特徴とする管内密封配線構造。
【請求項3】
管内において配線穴が形成された円形の弾力性プレートを両側面に配置した一対の固定プレートで押圧固定し、その押圧力により弾力性プレートを変形して管内周面に密着固定させるとともに配線穴の配線コードに密着させる管内密封配線構造において、
前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の周縁位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられ、さらに、前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の前記配線穴の周囲位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなることを特徴とする管内密封配線構造。
【請求項4】
前記固定プレートそれぞれの前記弾力性プレートに相対する側の固定穴の周囲位置に沿って前記弾力性プレートへ当接する堤部が設けられてなる請求項1、2または3記載の管内密封配線構造。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の管内密封配線構造を備える照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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