管材の連結フィンカッター用アダプター
【課題】 構成が簡単であって、扱いが容易である管材の連結フィンカッター用アダプターを提供する。
【解決手段】 一側が開先切削加工装置20に、他側が管材の連結フィンカッター30に面するアダプター本体2と、アダプター本体2に設けてある取付け穴3及び取付け体4,5とを備えて、取付け穴3はアダプター本体2の厚み方向を貫通し、取付け体4,5はアダプター本体2の一側に突出されかつ取付け穴3を挟んで上側と下側にそれぞれ配置され、ボルト挿入孔4a,5aが開けられ、取付け体は上記管材の開先切削加工装置の回転体24のホルダ25の取付け溝に差込み可能であって、取付けボルトによって固定され、取付け穴3には管材の連結フィンカッター30の連結部32が嵌合可能である。
【解決手段】 一側が開先切削加工装置20に、他側が管材の連結フィンカッター30に面するアダプター本体2と、アダプター本体2に設けてある取付け穴3及び取付け体4,5とを備えて、取付け穴3はアダプター本体2の厚み方向を貫通し、取付け体4,5はアダプター本体2の一側に突出されかつ取付け穴3を挟んで上側と下側にそれぞれ配置され、ボルト挿入孔4a,5aが開けられ、取付け体は上記管材の開先切削加工装置の回転体24のホルダ25の取付け溝に差込み可能であって、取付けボルトによって固定され、取付け穴3には管材の連結フィンカッター30の連結部32が嵌合可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火力発電所、水力発電所などの施設に設置される鋼管などの管材における連結フィンカッター用アダプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所などの施設に用いられる排水管、蒸気管、油圧管、通気管などの管材同士を溶接によって接続するには、作業現場又は加工工場において、予め、複数の管材の連結部分であるフィンをカッターで切断し、管材の開口端部の内面又は外面の開先を開先切削加工装置のバイトによって切削加工した後に行われている。
この接続作業を図12〜図14を参照して説明する。
図12に示すように平行に並べられている複数の管材10は、隣接する管材同士が板状の連結部材11によって上下方向にそれぞれ連結されている。管材同士を接続する前処理として、作業者がカッターを用いて手作業で連結部材11の端部である連結フィン11aを一箇所ずつ管材10の軸心方向に所定距離切り込んで、管材の先端部側の連結フィンに切り欠き12を入れておく。そして例えば、図13及び図14に示すような管材の開先切削加工装置20を用いて管材の開先加工をする。
開先切削加工装置20は、本体21の中心部下面から柄部22が下方に延びており、本体の一端(図13左端)にはエア供給管23が接続され、他端には回転体24を設けてある。回転体24にはホルダ25をボルト26によって固定してある。ホルダ25には、上下に取付け溝25a,25b(図14)を設けてある。両取付け溝25a,25bのうち、図14上側の取付け溝25aには開先切削加工用バイト27の基端部(後端部)を差し入れて取付けボルト28によって着脱自在に取り付けている。開先切削加工用バイト27の先端部には切削刃部27aを旋盤などによって形成してある。
管材10の開先加工をするには、作業者が柄部22を持った状態でエア供給管23を通じてエアを本体21内に強制的に送り込んで回転体24を回転させると、開先切削加工用バイト27はホルダ25の軸心を中心として回転するから、この回転する開先切削加工用バイトの切削刃部27aを管材の開口端部に当てながら、管材の内周面又は外周面に沿って移動させると、開口縁部の内周面又は外周面に開先が形成される。
各管材10の開先加工後、それぞれ管材の対向側に管材を対向させ、溶接によって対向する管材の端部間を接合する。溶接時に連結部材11に切り欠き12があるために、円滑な溶接が行われる。
【特許文献1】特開平5−42407号公報
【特許文献2】特開平5−154709号公報
【特許文献3】特開2002−103125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
連結部材11の端部である連結フィン11aを一箇所毎に手作業で切り欠くことは能率が悪く手間がかかるために、発明者にとっては解決すべき課題であった。
発明者は簡単でかつ設備コストをかけずに連結フィン11aを切断する方法を開発するための試行をした。
開発の重点は、第1点が開先切削加工装置20を駆動手段として利用すること、第2点が切り欠きを一箇所毎にするのではなく、複数同時に行えるようにすることであった。
その理由は、第1点に関して、連結フィンを切り欠くための駆動手段として開先切削加工装置20を利用することができれば、連結フィンカッターの駆動用としても使用することができ、新たな設備コストを低く抑えることができるからである。第2点に関して、複数同時の切り欠きができれば、切り欠き作業の能率向上に寄与するからである。
上記第2点に関して、本体が筒状体であり、先端部に切刃を設けてあって、後端部が縮径され回転駆動手段の連結部に差込み可能となっている穿孔カッター(例えば特開平5−42407号公報及び特開平5−154709号公報に記載のホールカッター、特開2002−103125号公報に記載の環状カッタなど)を用いて管材10の上下で対向している連結フィン11aを切断すれば、2箇所を同時に切り欠くことができることに着目した。
既存の又は新たな穿孔カッターを利用しようとすると、開先切削加工装置20の回転体24側に上記穿孔カッターを連結するための構造について設計変更を余儀なくされる。
そこで、発明者は、穿孔カッター及び開先切削加工装置の双方を設計変更することなく接続可能にするための連結フィンカッター用アダプターを創作した。
この発明の目的は、構成が簡単であって、扱いが容易である管材の連結フィンカッター用アダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の第1の特徴は、一側が回転体及びホルダを有する管材の開先切削加工装置に、他側が連結部を有する管材の連結フィンカッターにそれぞれ面するアダプター本体と、このアダプター本体に設けてある取付け穴及び取付け体とを備えていることにある。上記取付け穴は上記アダプター本体の厚み方向を貫通している。上記取付け体は上記アダプター本体の一側に突出されかつ上記取付け穴を挟んで上側と下側にそれぞれ配置され、ボルト挿入孔が開けられている。上記取付け体は上記管材の開先切削加工装置の回転体に取り付けられている上記ホルダの取付け溝に差込み可能であって、取付けボルトによって固定されるものである。上記取付け穴には上記管材の連結フィンカッターの連結部が嵌合可能である。
この発明の第2の特徴は、上記第1の特徴を前提とし、アダプター本体には、先端部が取付け穴内に突出可能である保持用ボルトを対向して設けてあり、上記保持用ボルトは管材の連結フィンカッターの連結部を挟むように保持可能であることにある。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、アダプター本体の一側で取付け体を通じて管材の開先切削加工装置に接続可能であり、他側で取付け穴を介して管材の連結フィンカッターと結合するものであるから、構成が簡単でかつ扱いが容易である。
この発明によれば、管材の開先切削加工装置及び管材の連結フィンカッターの一方又は双方が互いに接続のための設計変更をする必要がないから、設備費用を安価に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明の第一の実施の形態としての管材の連結フィンカッター用アダプターについて、図面を参照して説明する。
連結フィンカッター用アダプター1は、図1〜図3及び図10〜図11に示すように、背面側(図10左側)に位置している管材の開先切削加工装置20のホルダ25と、前側(図1右側)の管材の連結フィンカッター30とを接続する手段である。
【0007】
連結フィンカッター用アダプター1は、図4〜図9に示すようにアダプター本体2と、このアダプター本体に設けてある取付け穴3及び取付け体4,5と、保持用ボルト6を備えているものである。
アダプター本体2は板状のものであって、中央部に取付け穴3を設けることにより、全体形状がリング状に形成されている。取付け穴3はアダプター本体2の厚み方向にこれを貫通している丸穴である。取付け体4,5は板状に形成されており、アダプター本体2の背面に突出されている。取付け体4,5は取付け穴3を挟んで上側と下側にそれぞれ配置されている。取付け体4,5にはボルト挿入孔4a,5aが開けられている。保持用ボルト6は、アダプター本体2内の図8及び図9の上下各部に取付け穴3を挟んで対向して設けてある。各保持用ボルト6の先端部は取付け穴3内に突出可能である。
【0008】
ここで、連結フィンカッター用アダプター1と、管材の開先切削加工装置20及び管材の連結フィンカッター30との関係を説明する。
まず、図1、図10及び図11を参照して連結フィンカッター用アダプター1と管材の開先切削加工装置20との関係を説明する。
アダプター本体2は管材の開先切削加工装置20の回転体24に取り付けてあるホルダ25の前面に接している。アダプター本体2の背面に設けてある取付け体4,5はホルダ25の上下に設けてある取付け溝25a,25bに差込み可能である。取付け体4,5は、取付け溝25a,25bにそれぞれ差し入れられている状態では、ボルト挿入孔4a,5aを通じて取付けボルト28によってホルダ25に固定される。
次に、図1〜図3を参照して連結フィンカッター用アダプター1と管材の連結フィンカッター30との関係を説明する。
管材の連結フィンカッター30はカッター本体31が筒体で形成されており、後端部側(図1左端部側)に縮径された連結部32を設けてある。連結部32は図2上下外周面に平坦部32aを形成してある。カッター本体31の先端外周縁部に全周に等間隔を置いて切刃33を設けてある。カッター本体31は管材10の先端部が挿入できる内径を有している。また切刃33は管材10の連結部材11の管材の開口端部側を切込んで切り欠き12を形成することができる。
アダプター本体2の取付け穴3にはカッター本体31の連結部32が嵌合可能である。アダプター本体2の保持用ボルト6は連結部32の平坦部32aと接触可能である。図1に示すように、上下の保持用ボルト6は連結部32が取付け穴3内に嵌合されている状態では、ボルトの締付操作を通じてボルト先端部で連結部を強く挟んで保持することができる。
【0009】
連結フィンカッター用アダプター1の使用方法について説明する。
予め、管材の開先切削加工装置20の取付け溝25a,25bから開先切削加工用バイトを外しておいてから、まず、図10及び図11に示すように、ホルダ25とアダプター本体2の背面とを対向させ、ホルダの上側及び下側の取付け溝25a,25b内にアダプター本体2の上側及び下側の取付け体4,5をそれぞれ差し入れ、取付けボルト28を側方からボルト挿入孔4a,5a(図8)に挿入して、アダプター本体をホルダに固定する。
次いで、図1〜図3に示すように、アダプター本体2の取付け穴3内に前側から管材の連結フィンカッター30の連結部32の平坦部32aを上下両側に位置した状態で、連結部を差し入れる。その後、両保持用ボルト6を回して先端部を連結部32の平坦部32aに強く押し付けて、連結部を通じて、アダプター本体2に管材の連結フィンカッター30を結合する。これにより、管材の連結フィンカッター30は連結フィンカッター用アダプター1を通じて管材の開先切削加工装置20に接続される。
ここで、図1を参照して、管材の連結フィンカッター30による連結フィン11aの切断方法について説明する。
管材10の先端部を管材の連結フィンカッター30のカッター本体31の先端部を突合せながら、管材の開先切削加工装置20の回転体24を回転させると、アダプター本体2を通じてカッター本体31は回転される。この状態で、管材の連結フィンカッター30を管材10の先端部に接近させつつ、この先端部をカッター本体31内に挿入して行くと、このカッター本体の先端部外周で回転している切刃33は管材の上下位置している連結フィンを同時に切り欠く。管材の連結フィンカッター30を所定位置まで前進させた段階で、前進を停止し、同時にカッター本体31の回転を停止させて、カッター本体31を後退させて、カッター本体内から管材10の先端部を抜く。この結果、管材10の開口部の外側の上下の連結部材11の連結フィン11aに切り欠き12が形成される。同様の方法で、上段に位置している各管材10の上下の連結フィン11aの切り欠き作業を行う。
【0010】
図示する連結フィンカッター用アダプター1によれば、管材の開先切削加工装置20との連結は取付け溝25a,25bに差込み又は離脱可能である取付け体4,5によって、また管材の連結フィンカッター30との接続は連結部32が嵌合又は離脱可能である取付け穴3を通じてそれぞれ行われるので、全体として構成が簡単であり、その取り扱いが容易である。
図示する連結フィンカッター用アダプター1によれば、既存又は新たな管材の開先切削加工装置20及び管材の連結フィンカッター30の双方の結合を、それぞれの設計を互いの結合のために変更する必要がないので、その分設備コストを安価に抑えることができる。また管材の開先切削加工装置20のホルダ25や管材の連結フィンカッター30の連結部32の変更に対して、取付け穴3の径又は内部形状並びに取付け体4,5の位置や形状などを変更するだけで対応することができるから、安価な費用で管材の開先切削加工装置と管材の連結フィンカッター30との結合を実現することができる。
管材の連結フィンカッター30によって、管材10の上下に位置している連結フィン11aを同時に切り欠くことができるから、連結フィンのカッター作業に手間がかからず、能率良く行える。
【0011】
管材の連結フィンカッター30の連結部32の径と連結フィンカッター用アダプター1の取付け穴3の径との差が大きい場合には、新たな連結部に対応可能にするために、取付け穴3とは異なる径の取付け穴を有する別の連結フィンカッター用アダプターを準備しておくことが望ましい。
保持用ボルト6は図2に示すように上下両側に配置されているが、連結部の保持の補強を図るために左右両側にも設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る管材の連結フィンカッター用アダプターの使用状態を示す一部切欠側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】連結フィンカッター用アダプターに管材の連結フィンカッターを取り付けている状態を示す正面図である。
【図4】連結フィンカッター用アダプターの正面図である。
【図5】図4の背面図である。
【図6】図4の右側面図である。
【図7】図4の平面図である。
【図8】図4のVIII−VIII線の断面図である。
【図9】図7のIX−IX線の断面図である。
【図10】管材の開先切削加工装置に連結フィンカッター用アダプターを取り付けている状態を示す側面図である。
【図11】図10のXI−XI線の拡大断面図である。
【図12】連結フィンの切り欠く工程を示す斜示図である。
【図13】管材の開先切削加工装置に開先切削加工用バイトを取り付けている状態を示す側面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線の断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 連結フィンカッター用アダプター
2 アダプター本体
3 取付け穴
4,5 取付け体
4a,5a ボルト挿入孔
6 保持用ボルト
10 管材
11 連結部材
11a 連結フィン
12 切り欠き
20 管材の開先切削加工装置
24 回転体
25 ホルダ
25a,25b 取付け溝
28 取付けボルト
30 管材の連結フィンカッター
31 カッター本体
32 連結部
33 切刃
【技術分野】
【0001】
この発明は、火力発電所、水力発電所などの施設に設置される鋼管などの管材における連結フィンカッター用アダプターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所などの施設に用いられる排水管、蒸気管、油圧管、通気管などの管材同士を溶接によって接続するには、作業現場又は加工工場において、予め、複数の管材の連結部分であるフィンをカッターで切断し、管材の開口端部の内面又は外面の開先を開先切削加工装置のバイトによって切削加工した後に行われている。
この接続作業を図12〜図14を参照して説明する。
図12に示すように平行に並べられている複数の管材10は、隣接する管材同士が板状の連結部材11によって上下方向にそれぞれ連結されている。管材同士を接続する前処理として、作業者がカッターを用いて手作業で連結部材11の端部である連結フィン11aを一箇所ずつ管材10の軸心方向に所定距離切り込んで、管材の先端部側の連結フィンに切り欠き12を入れておく。そして例えば、図13及び図14に示すような管材の開先切削加工装置20を用いて管材の開先加工をする。
開先切削加工装置20は、本体21の中心部下面から柄部22が下方に延びており、本体の一端(図13左端)にはエア供給管23が接続され、他端には回転体24を設けてある。回転体24にはホルダ25をボルト26によって固定してある。ホルダ25には、上下に取付け溝25a,25b(図14)を設けてある。両取付け溝25a,25bのうち、図14上側の取付け溝25aには開先切削加工用バイト27の基端部(後端部)を差し入れて取付けボルト28によって着脱自在に取り付けている。開先切削加工用バイト27の先端部には切削刃部27aを旋盤などによって形成してある。
管材10の開先加工をするには、作業者が柄部22を持った状態でエア供給管23を通じてエアを本体21内に強制的に送り込んで回転体24を回転させると、開先切削加工用バイト27はホルダ25の軸心を中心として回転するから、この回転する開先切削加工用バイトの切削刃部27aを管材の開口端部に当てながら、管材の内周面又は外周面に沿って移動させると、開口縁部の内周面又は外周面に開先が形成される。
各管材10の開先加工後、それぞれ管材の対向側に管材を対向させ、溶接によって対向する管材の端部間を接合する。溶接時に連結部材11に切り欠き12があるために、円滑な溶接が行われる。
【特許文献1】特開平5−42407号公報
【特許文献2】特開平5−154709号公報
【特許文献3】特開2002−103125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
連結部材11の端部である連結フィン11aを一箇所毎に手作業で切り欠くことは能率が悪く手間がかかるために、発明者にとっては解決すべき課題であった。
発明者は簡単でかつ設備コストをかけずに連結フィン11aを切断する方法を開発するための試行をした。
開発の重点は、第1点が開先切削加工装置20を駆動手段として利用すること、第2点が切り欠きを一箇所毎にするのではなく、複数同時に行えるようにすることであった。
その理由は、第1点に関して、連結フィンを切り欠くための駆動手段として開先切削加工装置20を利用することができれば、連結フィンカッターの駆動用としても使用することができ、新たな設備コストを低く抑えることができるからである。第2点に関して、複数同時の切り欠きができれば、切り欠き作業の能率向上に寄与するからである。
上記第2点に関して、本体が筒状体であり、先端部に切刃を設けてあって、後端部が縮径され回転駆動手段の連結部に差込み可能となっている穿孔カッター(例えば特開平5−42407号公報及び特開平5−154709号公報に記載のホールカッター、特開2002−103125号公報に記載の環状カッタなど)を用いて管材10の上下で対向している連結フィン11aを切断すれば、2箇所を同時に切り欠くことができることに着目した。
既存の又は新たな穿孔カッターを利用しようとすると、開先切削加工装置20の回転体24側に上記穿孔カッターを連結するための構造について設計変更を余儀なくされる。
そこで、発明者は、穿孔カッター及び開先切削加工装置の双方を設計変更することなく接続可能にするための連結フィンカッター用アダプターを創作した。
この発明の目的は、構成が簡単であって、扱いが容易である管材の連結フィンカッター用アダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の第1の特徴は、一側が回転体及びホルダを有する管材の開先切削加工装置に、他側が連結部を有する管材の連結フィンカッターにそれぞれ面するアダプター本体と、このアダプター本体に設けてある取付け穴及び取付け体とを備えていることにある。上記取付け穴は上記アダプター本体の厚み方向を貫通している。上記取付け体は上記アダプター本体の一側に突出されかつ上記取付け穴を挟んで上側と下側にそれぞれ配置され、ボルト挿入孔が開けられている。上記取付け体は上記管材の開先切削加工装置の回転体に取り付けられている上記ホルダの取付け溝に差込み可能であって、取付けボルトによって固定されるものである。上記取付け穴には上記管材の連結フィンカッターの連結部が嵌合可能である。
この発明の第2の特徴は、上記第1の特徴を前提とし、アダプター本体には、先端部が取付け穴内に突出可能である保持用ボルトを対向して設けてあり、上記保持用ボルトは管材の連結フィンカッターの連結部を挟むように保持可能であることにある。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、アダプター本体の一側で取付け体を通じて管材の開先切削加工装置に接続可能であり、他側で取付け穴を介して管材の連結フィンカッターと結合するものであるから、構成が簡単でかつ扱いが容易である。
この発明によれば、管材の開先切削加工装置及び管材の連結フィンカッターの一方又は双方が互いに接続のための設計変更をする必要がないから、設備費用を安価に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明の第一の実施の形態としての管材の連結フィンカッター用アダプターについて、図面を参照して説明する。
連結フィンカッター用アダプター1は、図1〜図3及び図10〜図11に示すように、背面側(図10左側)に位置している管材の開先切削加工装置20のホルダ25と、前側(図1右側)の管材の連結フィンカッター30とを接続する手段である。
【0007】
連結フィンカッター用アダプター1は、図4〜図9に示すようにアダプター本体2と、このアダプター本体に設けてある取付け穴3及び取付け体4,5と、保持用ボルト6を備えているものである。
アダプター本体2は板状のものであって、中央部に取付け穴3を設けることにより、全体形状がリング状に形成されている。取付け穴3はアダプター本体2の厚み方向にこれを貫通している丸穴である。取付け体4,5は板状に形成されており、アダプター本体2の背面に突出されている。取付け体4,5は取付け穴3を挟んで上側と下側にそれぞれ配置されている。取付け体4,5にはボルト挿入孔4a,5aが開けられている。保持用ボルト6は、アダプター本体2内の図8及び図9の上下各部に取付け穴3を挟んで対向して設けてある。各保持用ボルト6の先端部は取付け穴3内に突出可能である。
【0008】
ここで、連結フィンカッター用アダプター1と、管材の開先切削加工装置20及び管材の連結フィンカッター30との関係を説明する。
まず、図1、図10及び図11を参照して連結フィンカッター用アダプター1と管材の開先切削加工装置20との関係を説明する。
アダプター本体2は管材の開先切削加工装置20の回転体24に取り付けてあるホルダ25の前面に接している。アダプター本体2の背面に設けてある取付け体4,5はホルダ25の上下に設けてある取付け溝25a,25bに差込み可能である。取付け体4,5は、取付け溝25a,25bにそれぞれ差し入れられている状態では、ボルト挿入孔4a,5aを通じて取付けボルト28によってホルダ25に固定される。
次に、図1〜図3を参照して連結フィンカッター用アダプター1と管材の連結フィンカッター30との関係を説明する。
管材の連結フィンカッター30はカッター本体31が筒体で形成されており、後端部側(図1左端部側)に縮径された連結部32を設けてある。連結部32は図2上下外周面に平坦部32aを形成してある。カッター本体31の先端外周縁部に全周に等間隔を置いて切刃33を設けてある。カッター本体31は管材10の先端部が挿入できる内径を有している。また切刃33は管材10の連結部材11の管材の開口端部側を切込んで切り欠き12を形成することができる。
アダプター本体2の取付け穴3にはカッター本体31の連結部32が嵌合可能である。アダプター本体2の保持用ボルト6は連結部32の平坦部32aと接触可能である。図1に示すように、上下の保持用ボルト6は連結部32が取付け穴3内に嵌合されている状態では、ボルトの締付操作を通じてボルト先端部で連結部を強く挟んで保持することができる。
【0009】
連結フィンカッター用アダプター1の使用方法について説明する。
予め、管材の開先切削加工装置20の取付け溝25a,25bから開先切削加工用バイトを外しておいてから、まず、図10及び図11に示すように、ホルダ25とアダプター本体2の背面とを対向させ、ホルダの上側及び下側の取付け溝25a,25b内にアダプター本体2の上側及び下側の取付け体4,5をそれぞれ差し入れ、取付けボルト28を側方からボルト挿入孔4a,5a(図8)に挿入して、アダプター本体をホルダに固定する。
次いで、図1〜図3に示すように、アダプター本体2の取付け穴3内に前側から管材の連結フィンカッター30の連結部32の平坦部32aを上下両側に位置した状態で、連結部を差し入れる。その後、両保持用ボルト6を回して先端部を連結部32の平坦部32aに強く押し付けて、連結部を通じて、アダプター本体2に管材の連結フィンカッター30を結合する。これにより、管材の連結フィンカッター30は連結フィンカッター用アダプター1を通じて管材の開先切削加工装置20に接続される。
ここで、図1を参照して、管材の連結フィンカッター30による連結フィン11aの切断方法について説明する。
管材10の先端部を管材の連結フィンカッター30のカッター本体31の先端部を突合せながら、管材の開先切削加工装置20の回転体24を回転させると、アダプター本体2を通じてカッター本体31は回転される。この状態で、管材の連結フィンカッター30を管材10の先端部に接近させつつ、この先端部をカッター本体31内に挿入して行くと、このカッター本体の先端部外周で回転している切刃33は管材の上下位置している連結フィンを同時に切り欠く。管材の連結フィンカッター30を所定位置まで前進させた段階で、前進を停止し、同時にカッター本体31の回転を停止させて、カッター本体31を後退させて、カッター本体内から管材10の先端部を抜く。この結果、管材10の開口部の外側の上下の連結部材11の連結フィン11aに切り欠き12が形成される。同様の方法で、上段に位置している各管材10の上下の連結フィン11aの切り欠き作業を行う。
【0010】
図示する連結フィンカッター用アダプター1によれば、管材の開先切削加工装置20との連結は取付け溝25a,25bに差込み又は離脱可能である取付け体4,5によって、また管材の連結フィンカッター30との接続は連結部32が嵌合又は離脱可能である取付け穴3を通じてそれぞれ行われるので、全体として構成が簡単であり、その取り扱いが容易である。
図示する連結フィンカッター用アダプター1によれば、既存又は新たな管材の開先切削加工装置20及び管材の連結フィンカッター30の双方の結合を、それぞれの設計を互いの結合のために変更する必要がないので、その分設備コストを安価に抑えることができる。また管材の開先切削加工装置20のホルダ25や管材の連結フィンカッター30の連結部32の変更に対して、取付け穴3の径又は内部形状並びに取付け体4,5の位置や形状などを変更するだけで対応することができるから、安価な費用で管材の開先切削加工装置と管材の連結フィンカッター30との結合を実現することができる。
管材の連結フィンカッター30によって、管材10の上下に位置している連結フィン11aを同時に切り欠くことができるから、連結フィンのカッター作業に手間がかからず、能率良く行える。
【0011】
管材の連結フィンカッター30の連結部32の径と連結フィンカッター用アダプター1の取付け穴3の径との差が大きい場合には、新たな連結部に対応可能にするために、取付け穴3とは異なる径の取付け穴を有する別の連結フィンカッター用アダプターを準備しておくことが望ましい。
保持用ボルト6は図2に示すように上下両側に配置されているが、連結部の保持の補強を図るために左右両側にも設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係る管材の連結フィンカッター用アダプターの使用状態を示す一部切欠側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】連結フィンカッター用アダプターに管材の連結フィンカッターを取り付けている状態を示す正面図である。
【図4】連結フィンカッター用アダプターの正面図である。
【図5】図4の背面図である。
【図6】図4の右側面図である。
【図7】図4の平面図である。
【図8】図4のVIII−VIII線の断面図である。
【図9】図7のIX−IX線の断面図である。
【図10】管材の開先切削加工装置に連結フィンカッター用アダプターを取り付けている状態を示す側面図である。
【図11】図10のXI−XI線の拡大断面図である。
【図12】連結フィンの切り欠く工程を示す斜示図である。
【図13】管材の開先切削加工装置に開先切削加工用バイトを取り付けている状態を示す側面図である。
【図14】図13のXIV−XIV線の断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1 連結フィンカッター用アダプター
2 アダプター本体
3 取付け穴
4,5 取付け体
4a,5a ボルト挿入孔
6 保持用ボルト
10 管材
11 連結部材
11a 連結フィン
12 切り欠き
20 管材の開先切削加工装置
24 回転体
25 ホルダ
25a,25b 取付け溝
28 取付けボルト
30 管材の連結フィンカッター
31 カッター本体
32 連結部
33 切刃
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側が回転体及びホルダを有する管材の開先切削加工装置に、他側が連結部を有する管材の連結フィンカッターにそれぞれ面するアダプター本体と、このアダプター本体に設けてある取付け穴及び取付け体とを備えており、
上記取付け穴は上記アダプター本体の厚み方向を貫通しており、上記取付け体は上記アダプター本体の一側に突出されかつ上記取付け穴を挟んで上側と下側にそれぞれ配置され、ボルト挿入孔が開けられており、
上記取付け体は上記管材の開先切削加工装置の回転体に取り付けられている上記ホルダの取付け溝に差込み可能であって、取付けボルトによって固定されるものであり、
上記取付け穴には上記管材の連結フィンカッターの連結部が嵌合可能である
ことを特徴とする管材の連結フィンカッター用アダプター。
【請求項2】
アダプター本体には、先端部が取付け穴内に突出可能である保持用ボルトを対向して設けてあり、上記保持用ボルトは管材の連結フィンカッターの連結部を挟むように保持可能であることを特徴とする請求項1記載の管材の連結フィンカッター用アダプター。
【請求項1】
一側が回転体及びホルダを有する管材の開先切削加工装置に、他側が連結部を有する管材の連結フィンカッターにそれぞれ面するアダプター本体と、このアダプター本体に設けてある取付け穴及び取付け体とを備えており、
上記取付け穴は上記アダプター本体の厚み方向を貫通しており、上記取付け体は上記アダプター本体の一側に突出されかつ上記取付け穴を挟んで上側と下側にそれぞれ配置され、ボルト挿入孔が開けられており、
上記取付け体は上記管材の開先切削加工装置の回転体に取り付けられている上記ホルダの取付け溝に差込み可能であって、取付けボルトによって固定されるものであり、
上記取付け穴には上記管材の連結フィンカッターの連結部が嵌合可能である
ことを特徴とする管材の連結フィンカッター用アダプター。
【請求項2】
アダプター本体には、先端部が取付け穴内に突出可能である保持用ボルトを対向して設けてあり、上記保持用ボルトは管材の連結フィンカッターの連結部を挟むように保持可能であることを特徴とする請求項1記載の管材の連結フィンカッター用アダプター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−15059(P2007−15059A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199627(P2005−199627)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(505156927)株式会社輪工舎 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(505156927)株式会社輪工舎 (3)
【Fターム(参考)】
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