説明

箱型収納家具

【課題】
収納時の意匠的な外観と、収納した収納椅子の取り出しやすさと、安全性と、使い勝手とに優れた箱型収納家具を提供する
【解決手段】
垂直部材及び水平部材により複数に区画された収納部と、該収納部に収納される収納椅子と、からなる箱型収納家具であって、該収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部を構成する垂直部材または水平部材の前端面と、が略面一であり、収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、椅子が収納された上方の水平部材との間に手掛可能な程度の隙間部を有するので、手掛面が収納状態の椅子を傾けながら取り出すための手掛となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平部材と垂直部材により複数に区画された収納部と、該収納部に収納される収納椅子とからなる箱型収納家具に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダイニングキッチンや、リビングダイニングキッチンでは、食器を収納するための食器棚等の収納家具、机、椅子等が配されて使用される。限られたスペースを有効に使うために、例えば、特許文献1のような収納家具が提案されている。すなわち、特許文献1では、箱型をした収納家具の本体と、この本体の前面開口部に開閉自在に設け、かつカウンターとして使用する蓋と、この蓋を開いてカウンターとする際、その下面を支持する折畳収納式の脚と、本体内に収納される折畳椅子とよりなる収納家具が提案されている。
【0003】
さらに特許文献2のように収納ボックスの上にカウンターを備え、カウンターと床面との間の一部には椅子の収納可能な収納用開口を備え、椅子の背板と収納ボックスの前面に設けた扉と略同一の外観形状を呈しかつ収納用開口の開口面と略同一形状を有するので、椅子を収納用開口に美麗にしまうことができる発明が提案されている。
【0004】
【特許文献1】実開平04−15439号公報
【特許文献2】実開平06−167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の収納家具では、椅子を収納できるため、不使用時のすっきりさは解消されるものの、蓋をカウンターとして使用する度に取り外し、折畳式の脚と椅子をすべて取り出して使用する必要があるため、使用時には準備が面倒であるという問題点があった。さらに、使用時には蓋をカウンターとして使用するため、来客時に使用するには、収納内部が見えてしまうという問題があった。
【0006】
この問題を解決するために、上側を収納部、下側を椅子収納部として使用する場合、椅子収納部から収納椅子を傾けながら取り出すための把手を椅子の背板部分に取り付ける必要があった。把手がなく、背板の上端面を手掛部とする場合は、例えば図8に示すように、椅子を倒しながら取り出すと、背板上端面と椅子収納部の水平部材との間が、一度隙間部が狭くなるように背板上端面が倒されるため、この背板上端面と水平部材の隙間部に指を挟む問題があった。
【0007】
この指挟みの問題を解決するためには、特許文献2のような方法があったが、この場合は、指を挟む問題はないが、机と椅子をダイニングセットとして使用する場合は、下部がキャスターであるために、落ち着いて食事ができないだけでなく、収納椅子を収納部に収納した時に安定しないという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、収納時の意匠的な外観と、収納した収納椅子の取り出しやすさと、使い勝手とに優れた箱型収納家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の箱型収納家具は、請求項1に記載したように、垂直部材及び水平部材により複数に区画された収納部と、該収納部に収納される収納椅子と、からなる箱型収納家具であって、該収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部を構成する垂直部材または水平部材の前端面と、が略面一であり、収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、椅子が収納された上方の水平部材との間に手掛可能な程度の隙間部を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、垂直部材及び水平部材により複数に区画された収納部と、収納部の前面を覆う収納部蓋体と、収納部に収納される収納椅子と、からなる箱型収納家具であって、該収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部を構成する垂直部材または水平部材の前端面と、が略面一であり、収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、椅子が収納された上方の水平部材との間に手掛可能な程度の隙間部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、垂直部材及び水平部材により複数に区画された収納部と、収納部の前面を覆う収納部蓋体と、収納部に収納される収納椅子と、からなる箱型収納家具であって、該収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部蓋体表面と、が略面一であり、収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、椅子が収納された上方の収納部蓋体下端面との間に手掛可能な程度の隙間部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載された箱型収納家具において、収納部蓋体の一枚または複数枚が、カウンター部の前方に突出する使用位置と、カウンター部の前面を覆う収納位置と、の間で起倒自在に軸着された蓋体カウンター部材であることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項5に係る発明は、該請求項4に記載された箱型収納家具において、カウンター部のカウンター面と、前記蓋体カウンター部材とが面一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部を構成する垂直部材または水平部材の前端面と、が略面一であるので、収納部に収納椅子を収納していることがわからない美麗な外観の箱型収納家具を提案することができる。さらに、収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、収納椅子が収納された上方の水平部材との間に手掛可能な程度の隙間部を有するので、手掛面が収納状態の収納椅子を傾けながら取り出すための手掛となるので、収納椅子を傾けながら収納部より取り出しても、隙間部は狭くならず、指を挟むことなく取り出すことが可能である。さらに、ダイニングスペースを広く有効に使用することが可能である。また、収納椅子の下部にキャスターがないため、収納時に安定し、使用時にも落ち着いて食事を楽しむことが可能である。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部を構成する垂直部材または水平部材の前端面と、が略面一であるので、収納部に収納椅子を収納していることがわからない美麗な外観の箱型収納家具を提案することができる。
【0015】
この場合、請求項1と異なり、表面に収納部の前面に収納部蓋体を有するため、収納内部の収納した物品が外部から見えないので、好ましい。
【0016】
さらに、請求項1の発明と同様に、収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、収納椅子が収納された上方の水平部材との間に手掛可能な程度の隙間部を有するので、手掛面が収納状態の収納椅子を傾けながら取り出すための手掛となるので、収納椅子を傾けながら収納部より取り出しても、隙間部は狭くならず、指を挟むことなく取り出すことが可能である。
【0017】
さらに、ダイニングスペースを広く有効に使用することが可能である。また、収納椅子の下部にキャスターがないため、収納時に安定し、使用時にも落ち着いて食事を楽しむことが可能である。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部蓋体表面と、が略面一であるので、収納部に収納椅子を収納していることがわからない美麗な外観の箱型収納家具を提案することができる。
【0019】
請求項1または請求項2の発明と異なり、収納椅子を収納する直上の水平部材と収納椅子の背板の背板背もたれ面が当接状態で収納されるので、より安定して収納椅子を収納することができる。
【0020】
さらに、請求項1または請求項2の発明と同様、収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、収納椅子が収納された上方の収納部蓋体下端面との間に手掛可能な程度の隙間部を有するので、手掛面が収納状態の収納椅子を傾けながら取り出すための手掛となり、収納椅子を傾けながら収納部より取り出しても、隙間部は狭くならず、指を挟むことなく取り出すことが可能である。さらに、ダイニングスペースを広く有効に使用することが可能である。また、収納椅子の下部にキャスターがないため、収納時に安定し、使用時にも落ち着いて食事を楽しむことが可能である。
【0021】
また、請求項4に記載の発明によれば、上記請求項2または請求項3の箱型収納家具において、収納部蓋体の一枚または複数枚が、カウンター部の前方に突出する使用位置と、カウンター部の前面を覆う収納位置と、の間で起倒自在に軸着された蓋体カウンター部材であるので、該蓋体カウンターを机として使用し、収納椅子を椅子として使用できるため、使い勝手に優れている。さらに、請求項5に記載のように、カウンター部のカウンター面と蓋体カウンター部材が面一に机として使用できると、より広い食卓机を提供することができる。この場合、特に蓋体カウンター部材を箱型収納家具の両側に設け、これらの蓋体カウンターとこれらに挟まれたカウンター面が面一となる箱型収納家具をキッチンスペースとダイニングスペースの間に配置することで、簡易的な間仕切りとして使用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図1〜10において、同一または同等部分には、同一の符号をつけて示す。
【実施例】
【0023】
〔実施例1〕
本発明の実施例1に係る箱型収納家具1は、例えば、キッチン収納、ダイニング収納やリビング収納として使用することができる。図1や図3に示すように、使用状態においては、収納椅子40を椅子として、蓋体カウンター部材21を机として使用する。
【0024】
また、図2や図4に示すように、収納状態においては、収納椅子40は、箱型収納家具1の下部の収納部10に収納椅子40の座面の一部が当接された状態で収納されており、蓋体カウンター部材21は収納位置に起立状態で収納され、箱型収納家具1を構成している。この、収納椅子40の一部が収納部10に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面42と、収納部10を構成する垂直部材の前端面5及び水平部材の前端面7とが略面一である。
【0025】
図1〜4に従って説明すると、実施例1の箱型収納家具1は、垂直部材4と水平部材6とにより、上下方向に3段に区画されている。一番上の収納部10は、左右方向に3列の収納部10に区画されており、表裏双方からの物品出し入れが可能なように、収納部の奥行き方向の略2分の1の奥行きの位置に仕切り板を有している。さらに、収納椅子40を収納する側の収納部10の高さ寸法が短い小さい収納が設けられ、該収納部10と反対側の収納部10は、高さ寸法が長い大きな収納が設けられている。これらの収納の開口部には、収納部蓋体20が設けられており、該収納部蓋体20の収納部蓋体表面22は、垂直部材の前端面5と略面一に設けられている。
【0026】
一番上の収納部10と収納椅子を収納する収納部10の真ん中には天面をカウンター面16とするカウンター部材21に覆われたカウンター部15が設けられている。カウンター部15は、収納部10と実質同一構成からなるものであるが、カウンター面16を机として使用することが可能な機能空間のため、説明の便宜上異なる符号を付している。
【0027】
一番下の収納部10には、収納椅子40がその座板の一部が収納部10に当接状態で収納されている。この場合、さらに好適には、収納椅子40の背板表面42の外観意匠と、収納部蓋体表面22の外観意匠が略同一の意匠であれば、収納部10に収納椅子40を収納していることがわからない美麗な外観の箱型収納家具1を提案することができる。
【0028】
ここでいう外観意匠が略同一とは、同一樹種の突板や無垢材に同一の着色や塗装が施されたり、シート仕上の場合は、例えば樹脂化粧シートや樹脂含浸紙等の表面に同一の着色や塗装が施されることをいう。
【0029】
一方、上記実施例では、収納部蓋体表面22と背板表面42との外観意匠が略同一である場合を示したが、アクセントを持たせるために、収納部蓋体表面22と背板表面42との意匠を例えばモノトーンで配列する等のコントラストを持たせてもよいし、一つ一つの収納部蓋体表面22や収納椅子40の背板表面42の表面意匠を異ならせるような意匠でもよい。さらに、垂直部材の前端面5と水平部材の前端面7によりコントラストを持たせてもよい。
【0030】
さらに、収納椅子40の背板の上端面41は、背板表面42より背板背もたれ面43に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角、好適には、30〜45°の俯角をもって傾斜された手掛面41に形成されており、該手掛面41と、収納椅子40が収納された上方の水平部材6との間に手掛可能な程度の隙間部2を有するので、手掛面41が収納状態の収納椅子40を収納椅子手前下端部44中心に傾けながら取り出すための手掛となる。このときの手掛面41の角度は、収納椅子40を傾け、収納部10から取り出すときに、手掛面41が完全に垂直部材の前端面5または水平部材の前端面7より手前側になるように傾けたときに背板表面42が収納状態から傾いた角度以上に設定されていればよい。つまり、収納状態の収納椅子40の手掛面41を指挟みする心配のない位置まで傾けるときに、隙間部2が狭くならなければよい。
【0031】
例えば、隙間部2より指を挿入し、手掛面41に指をかけ、収納部10に収納された収納椅子40を収納椅子手前下端部44中心に30°傾けたときに手掛面41が直上の水平部材の前端面7よりも手前側に来た場合、手掛面の角度を30〜45°の俯角をもって傾斜させておくことで、隙間部2が狭くならない。
【0032】
手掛面41を傾斜させる角度は、15°未満の俯角の場合は、収納椅子40を取り出すときにほとんど傾けることができないため取り出しにくくなる。逆に、60°を超える俯角の場合は、収納椅子40を取り出しやすい反面、一般的な収納椅子の背板の厚みを考慮すると、収納椅子40の背板の厚みが薄くならざるを得ないため、好ましくない。なお、手掛面41は、なだらかなR面とされていてよく、この場合は、R面に対する接線が15〜60°の俯角に形成されていればよい。このように、15〜60°の俯角、好適には、30〜45°の俯角をもって傾斜された手掛面41に形成することで、図7のように収納椅子40を傾けながら収納部10より取り出しても、隙間部2は狭くならず、収納椅子40が収納された上方の水平部材6との間に指を挟むことなく取り出すことが可能である。従って、収納状態はコンパクトであり、設置スペースを広く有効に使用することが可能である。さらに収納椅子40の下部にキャスターがないため、収納時に安定し、使用時にも落ち着いて食事を楽しむことが可能である。
【0033】
また、図11に示すように、背板表面42と手掛面41の間に面取部を設けておいてもよい。この場合、手掛面41は、面取部50の面取端部51より背板背もたれ面43に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面41に形成されている。面取部50の大きさは、角当ての場合の危険防止が目的であり、一般的な化粧面材の角部に施される面取部50と同等の加工をさす。この場合、面取部8はR面とされていてもよい。
【0034】
〔実施例2〕
本発明の実施例2に係る箱型収納家具1は、例えば、キッチン収納、リビング等の壁面収納として使用することができる。
【0035】
図5や図6に示すように、収納状態においては、収納椅子40は、箱型収納家具1の下部の収納部10に収納椅子40の座面の一部が当接された状態で収納されており、収納部10は、前方に開放した収納空間に形成され、箱型収納家具1を構成している。この、収納椅子40の一部が収納部10に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面42と、収納部10を構成する垂直部材の前端面5及び水平部材の前端面7とが略面一である。これ以外の構成は実施例1と同様の構成である。
【0036】
〔実施例3〕
本発明の実施例3に係る箱型収納家具1は、例えば、キッチン収納、ダイニング収納やリビング収納として使用することができる。
【0037】
また、図9や図10に示すように、収納状態においては、収納椅子40は、箱型収納家具1の下部の収納部10に収納椅子40の座面の一部が当接された状態で収納されており、収納部蓋体20は収納部10を覆うように設けられ、箱型収納家具1を構成している。この、収納椅子40の一部が収納部10に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面42と、収納部蓋体20の収納部蓋体表面22が略面一となっている。
【0038】
図10に従って説明すると、実施例1の箱型収納家具1は、垂直部材4と水平部材6とにより、上下方向に3段に区画されている。一番上及び真ん中の収納部10は、左右方向に2列の収納部10に区画されており、収納部蓋体20を開閉することで一方から物品出し入れが可能なように形成されている。このとき、収納部蓋体20の裏面は、垂直部材4の垂直部材前端面5及び水平部材6の水平部材前端面7に当接状態である。
【0039】
一番下の収納部10には、収納椅子40がその座板の一部が収納部10に当接状態で収納されている。このとき、収納椅子40の背板背もたれ面43は、水平部材6の水平部材前端面7に当接状態である。
【0040】
この場合の収納椅子40の背板表面42の外観意匠や、収納部蓋体表面22の外観意匠についてのさらに好適な実施例は、実施例1と同様である。
【0041】
さらに、収納椅子40の背板の上端面41は、背板表面42より背板背もたれ面43に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角、好適には、30〜45°の俯角をもって傾斜された手掛面41に形成されており、該手掛面41と、収納椅子40が収納された収納部蓋体下端面23との間に手掛可能な程度の隙間部2を有し、手掛面41が収納状態の収納椅子40を収納椅子手前下端部44中心に傾けながら取り出すための手掛となる。このときの角度は、収納椅子40を傾け、収納部10から取り出すときに、手掛面41が完全に収納部蓋体表面22より手前側になるように傾けたときに、背板表面42が収納状態から傾いた角度以上に設定されていればよい。つまり、収納状態の収納椅子40の手掛面41を指挟みする心配のない位置まで収納椅子手前下端部44中心に傾けるときに、隙間部2が狭くならなければよい。
【0042】
例えば、隙間部2より指を挿入し、手掛面41に指をかけ、収納部10に収納された収納椅子40を20°傾けたときに手掛面41が収納部蓋体表面22よりも完全に手前側に来た場合、手掛面の角度を20〜30°の俯角をもって傾斜させておくことで、隙間部2が狭くならない。
【0043】
手掛面41を傾斜させる角度は、15°未満の俯角の場合は、収納椅子40を取り出すときにほとんど傾けることができないため取り出しにくくなる。逆に、60°を超える俯角の場合は、収納椅子40を取り出しやすい反面、一般的な収納椅子の背板の厚みを考慮すると、収納椅子40の背板の厚みが薄くならざるを得ないため、好ましくない。このように、15〜60°の俯角、好適には、30〜45°の俯角をもって傾斜された手掛面41に形成することで、図7のように収納椅子40を収納椅子手前下端部44中心に傾けながら収納部10より取り出しても、隙間部2は狭くならず、収納椅子40が収納された上方の収納蓋体下端面23との間に指を挟むことなく取り出すことが可能である。従って、収納状態はコンパクトであり、設置スペースを広く有効に使用することが可能である。さらに収納椅子40の下部にキャスターがないため、収納時に安定し、使用時にも落ち着いて食事を楽しむことが可能である。
【0044】
また、図11に示すように、背板表面42と手掛面41の間に面取部を設けておいてもよいのはいうまでもない。
【0045】
〔比較例〕
従来例に係る比較例を図8に示す。収納部10に収納状態の収納椅子40を取り出すために収納椅子40の収納されている上の水平部材6と手掛面41の間の隙間部2に指を入れて収納椅子40を収納椅子手前下端部44中心に傾けて取り出そうとすると、手掛面41と水平部材6の隙間部2が間隔が狭くなってしまい、指を挟む危険性がある。
【0046】
なお、上述の実施例は、本発明の例示であって、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、使用時及び収納時の意匠的な外観と、取り出し時の安全と、使い勝手とに優れた箱型収納家具を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1の使用状態を示す側面図
【図2】図4のC−C’断面を示す図
【図3】本発明の実施例1の使用状態を示す図
【図4】本発明の実施例1の収納状態を示す図
【図5】本発明の実施例2の収納使用状態を示す正面図
【図6】図5のA−A’断面を示す図
【図7】本発明の収納椅子を傾けながら取り出すときの断面図
【図8】従来の収納椅子を傾けながら取り出すときの断面図
【図9】本発明の実施例3の収納使用状態を示す正面図
【図10】図9のB−B’断面を示す図
【図11】本発明の隙間部近傍の面取部を示す拡大断面図
【符号の説明】
【0049】
1 ・・・ 箱型収納家具
2 ・・・ 隙間部
4 ・・・ 垂直部材
5 ・・・ 垂直部材の前端面
6 ・・・ 水平部材
7 ・・・ 水平部材の前端面
10 ・・・ 収納部
15 ・・・ カウンター部(収納部)
16 ・・・ カウンター面
20 ・・・ 収納部蓋体
21 ・・・ 蓋体カウンター部材(収納部蓋体)
22 ・・・ 収納部蓋体表面
23 ・・・ 収納部蓋体下端面
40 ・・・ 収納椅子
41 ・・・ 手掛面(背板の上端面)
42 ・・・ 背板表面
43 ・・・ 背板背もたれ面
44 ・・・ 収納椅子手前下端部
50 ・・・ 面取部
51 ・・・ 面取端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直部材及び水平部材により複数に区画された収納部と、該収納部に収納される収納椅子と、からなる箱型収納家具であって、
該収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部を構成する垂直部材または水平部材の前端面と、が略面一であり、
収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、収納椅子が収納された上方の水平部材との間に手掛可能な程度の隙間部を有することを特徴とする箱型収納家具
【請求項2】
垂直部材及び水平部材により複数に区画された収納部と、収納部の前面を覆う収納部蓋体と、収納部に収納される収納椅子と、からなる箱型収納家具であって、
該収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部を構成する垂直部材または水平部材の前端面と、が略面一であり、
収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、収納椅子が収納された上方の水平部材との間に手掛可能な程度の隙間部を有することを特徴とする箱型収納家具
【請求項3】
垂直部材及び水平部材により複数に区画された収納部と、収納部の前面を覆う収納部蓋体と、収納部に収納される収納椅子と、からなる箱型収納家具であって、
該収納椅子の一部が収納部に当接して収納された状態において、該収納椅子の背板表面と、収納部蓋体表面と、が略面一であり、
収納椅子の背板の上端面は、背板表面より背板背もたれ面に向かうに従って下方に向かうように15〜60°の俯角をもって傾斜された手掛面に形成されており、該手掛面と、収納椅子が収納された上方の収納部蓋体下端面との間に手掛可能な程度の隙間部を有することを特徴とする箱型収納家具
【請求項4】
収納部蓋体の一枚または複数枚が、カウンター部の前方に突出する使用位置と、カウンター部の前面を覆う収納位置と、の間で起倒自在に軸着された蓋体カウンター部材であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の箱型収納家具
【請求項5】
カウンター部のカウンター面と、前記蓋体カウンター部材とが面一であることを特徴とする請求項4に記載の箱型収納家具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−183445(P2009−183445A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26207(P2008−26207)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】