説明

箱庭装置

【課題】管理する手間がかかるが植物を育成するという精神的な安らぎと満足感が得られるとともに、実際に鑑賞する時間帯に合わせて環境を設定することができる植物に優しい箱庭装置を提供する。
【解決手段】装置本体1は上面が開口した箱状に形成され、該装置本体1の内部には植物を植える土壌を収容する土壌収容部2を設け、上記装置本体1の底部には、上記土壌収容部2に収容した土壌の温度を管理する温度管理部9が配置され、装置本体1の上方には上記植物に光を照射し該植物の育成を図る植物育成灯5が配置されるとともに、上記装置本体1には上記温度管理部9を制御する温度制御部12と、植物育成灯5の点灯を制御する点灯制御部15と、上記土壌の温度の制御を季節にあわせて切り換える切換スイッチ14とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱庭装置、詳しくは温度、明かりの管理を行なって実際の植物を手入れしながら鑑賞する箱庭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部屋の中で熱帯魚を観賞用に飼育する趣味の人たちがいるが、生き物を飼育するのが大変なため観賞用の小さな箱庭を作って楽しむミニチュアの箱庭が提案されている(例えば、特許文献1)。この箱庭は、上部が開放した容器に、充填部材を嵌着し、この充填部材に造木、造花等の装飾部材を立設するとともに、充填部材の表面に苔を配設したものである。
【特許文献1】実用新案登録第3086294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の箱庭装置は実際の植物を植えて鑑賞するものではなく、木や花を模して作った装飾部材を配置したもので、管理の手間を省いて楽しむことができる反面、いつも同じ状態で変化がないためにやがて飽きてしまう恐れがあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、管理する手間がかかるが植物を育成するという精神的な安らぎと満足感が得られるとともに、実際に鑑賞する時間帯に合わせて環境を設定することができる植物に優しい箱庭装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係る箱庭装置は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)装置本体は上面が開口した箱状に形成され、該装置本体の内部には植物を植える土壌を収容する土壌収容部が設けてあること
(ロ)上記装置本体の底部には、上記土壌収容部に収容した土壌の温度を管理する温度管理部が配置され、装置本体の上方には上記植物に光を照射し該植物の育成を図る植物育成灯が配置されていること
(ハ)上記装置本体には上記温度管理部を制御する温度制御部と、植物育成灯の点灯を制御する点灯制御部とが配置されていること
(ニ)上記装置本体には上記土壌の温度の制御を季節にあわせて切り換える切換スイッチを設けたこと
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、植物を植えた土壌の温度を管理するとともに、植物に光を照射する植物育成灯で植物の育成を図り、植物育成に最適な環境を作り、単に鑑賞するだけではなく育成する喜びを味わうことができる箱庭装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明に係る箱庭装置Aの一例を示すもので、この箱庭装置Aは上面が開口した箱状の装置本体1に土壌を収容する土壌収容部2を設けるとともに、この土壌収容部2の上方には支柱3を介して屋根4が設けられ、この屋根4の内側には上記土壌に植えた植物に光を照射して植物の育成を図る植物育成灯5が配置されている。
【0008】
上記土壌収容部2の底部には水抜き用のドレイン6と、このドレイン6に接続された6本の溝7とが形成され、土壌内の余分な水は溝7を伝ってドレイン6から排出されるようになっているとともに、裏面には土壌の温度を検出する温度センサ11と、土壌の温度を管理する温度管理部9とが配置されている。
【0009】
図2は、箱庭装置Aの電気的構成を説明するブロック図で、上記装置本体1には、電源スイッチ10と、土壌温度を検出する温度センサ11に基づいて温度管理部9を制御する温度制御部12と、スイッチング電源13と、切換スイッチ14と、温度管理部9であるペルチェユニットと、植物育成灯5の点灯を制御する点灯制御部15と、この点灯制御部15に接続され植物育成灯5を点灯させるインバータ回路16、明るさを調節する調光回路17とで構成されている。
【0010】
なお、上記温度制御部12は、一方の温度センサ11aに接続された夏用のサーモスタット12aと、他方の温度センサ11bに接続された冬用のサーモスタット12bとで構成されている。
【0011】
上記夏用のサーモスタット12aは、温度センサ11aの検出する温度が摂氏25度以上になるとONし、摂氏22度以下になるとOFFするように設定され、冬用のサーモスタット12bは温度センサ11bの検出する温度が摂氏20度以下になるとONし、摂氏24度以上になるとOFFするように設定されている。
【0012】
また、切換スイッチ14は2極双投型のスイッチを使用し、切換スイッチ14を切り換えることによりペルチェユニット9に流れる電流の向きを変えることができるもので、夏用に設定すれば、ペルチェユニット9には例えば順方向(矢印a)に電流が流れ、上側面(土壌収容部2に対向する側)は冷却面になり、冬用に設定すれば、ペルチェユニット9には夏用とは逆の方向(矢印b)に電流が流れ、上側面(土壌収容部2に対向する側)は発熱面になるように設定されている。
【0013】
点灯制御部15は24時間の時間管理を行なうタイマーで構成され、例えば午前8時に育成灯5を点灯させ、午後5時に育成灯5を消灯させることができるように育成灯5のON/OFFを制御することができるようになっている。この時間管理は、例えば夕方から夜間に営業している店舗に箱庭装置Aを設置するような場合は、夕方点灯し、夜中に消灯するように設定し、昼と夜の時間を逆転させるようにして植物を育成させることができる。
【0014】
上記構成の箱庭装置Aは、図3に示すように、収容部2に土壌20を入れ、松やコケ等の植物21を植えるとともに庭石を模した石22を配置し、この箱庭装置Aの動作環境を設定する。
【0015】
例えば、一般の家庭に設置する場合は、タイマー15を午前8時に育成灯5を点灯させ、午後5時に育成灯5を消灯させることができるように設定し、夜間営業するような店舗に設置するような場合は、タイマー15を午後5時に育成灯5を点灯させ、午前2時に育成灯5を消灯させることができるように設定すればよい。そして、これから夏に向かうような時期では切換スイッチ14を夏用に設定し、これから冬に向かうような時期では切換スイッチ14を冬用に設定する。
【0016】
そして、季節が夏の場合で、切換スイッチ14を夏用に設定した場合は、土壌の温度が摂氏25度以上になるとサーモスタット12aが働いて熱の吸収が行なわれて土壌は冷却され、土壌の温度が摂氏22度以下になるとサーモスタット12aが働いて熱の発散が行なわれて土壌は暖められ、土壌の温度は摂氏22度から摂氏25度の間で一定に保つことができる。
【0017】
一方、季節が冬の場合で、切換スイッチ14を冬用に設定した場合は、土壌の温度が摂氏24度以上になるとサーモスタット12bが働いて熱の吸収が行なわれて土壌は冷却され、土壌の温度が摂氏20度以下になるとサーモスタット12bが働いて熱の発散が行なわれて土壌は暖められ、土壌の温度は摂氏20度から摂氏24度の間で一定に保たれることになる。
【0018】
上述のように、夏場は土壌の温度が高くなり過ぎないように制御し、冬場は土壌の温度が低くなり過ぎないように制御するとともに、鑑賞する時間帯が昼間か夜かに対応して育成灯5の点灯時間を制御し、植物を最適な環境で育成することができるようにし、単に鑑賞するだけではなく、盆栽のように植物の手入れもしなければならず、模型植物を配設した箱庭装置が単に飾るだけであるのに対し、本発明の箱庭装置Aは手入れをしなければ鑑賞に堪えうる状態を維持できないため、手間がかかる反面、植物を育てるという楽しさを味わうことができる箱庭装置Aを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る箱庭装置の一例を示す斜視図
【図2】上記箱庭装置の電気的構成の説明図
【図3】上記箱庭装置の使用状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0020】
1 装置本体
2 土壌収容部
5 植物育成灯
9 温度管理部
12 温度制御部
14 切換スイッチ
15 点灯制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする箱庭装置。
(イ)装置本体は上面が開口した箱状に形成され、該装置本体の内部には植物を植える土壌を収容する土壌収容部が設けてあること
(ロ)上記装置本体の底部には、上記土壌収容部に収容した土壌の温度を管理する温度管理部が配置され、装置本体の上方には上記植物に光を照射し該植物の育成を図る植物育成灯が配置されていること
(ハ)上記装置本体には上記温度管理部を制御する温度制御部と、植物育成灯の点灯を制御する点灯制御部とが配置されていること
(ニ)上記装置本体には上記土壌の温度の制御を季節にあわせて切り換える切換スイッチを設けたこと

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−228838(P2007−228838A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52563(P2006−52563)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(594051046)株式会社栗原工業 (13)
【Fターム(参考)】