簀の子及び簀の子ベッド
【課題】 収納体をそのまま用いる場合は設置面や壁面との密着面積が大きくなり、多数の通気口を設けたケースに収容した場合でも、設置面側や壁面側の通気口が封止されて通気性が遮断される。
【解決手段】 通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容し、押入等の床面部に設置するものであって、本体は、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設ける。
【解決手段】 通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容し、押入等の床面部に設置するものであって、本体は、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容して設置する簀の子の改良、及び該簀の子を複数並設して形成したベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より除湿や脱臭を目的として、木炭や活性炭などの多孔質体を押入や戸棚、床下等に設置している。このような多孔質体は、通常、不織布などの通気性を有する袋体に充填して用いられる。多孔質体としては、例えば木炭やこれを粉砕したもの、或いは粒体などがある。
【0003】
通気性を有する袋体に充填された吸着体は、そのまま床下などに設置する場合もあるが、特許文献1のように段ボールなどの紙やプラスチックのケースに収容して用いられていれる。吸着体をケースに収容することにより、縦置きができることや、スノコの代用として利用することが可能となる。このような吸着体収納ケースには、周面に多数の通気口が設けられている。
【特許文献1】実用新案登録第3071671号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、吸着体をそのまま用いる場合は設置面や壁面との密着面積が大きくなることや、多数の通気口を設けたケースに収容した場合でも、設置面側や壁面側の通気口が封止されることになり、通気性が遮断されてしまう。しかも、上に布団などを載せてスノコとして利用すれば、上面側の通気性も失われることになる。このようなことから、従来の吸着体では周辺の湿気や臭いの吸着機能を充分発揮することができない構造的な問題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容し、押入等の床面部に設置するものであって、本体は、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことにある。
【0006】
或いは、通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容するもので、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けた簀の子を、複数並設したことにある。
【0007】
ここで、本明細書中でいう「充填材」とは、湿気や臭いを吸着しやすい多孔質体や香りを発散する芳香材をいう。例えば、多孔質体としては木炭、活性炭、竹炭などであり、芳香材としては桧等の木材のチップやおが屑、茶やハーブなどである。これらを充填材として通気性のある袋体に充填することによって、収納体として用いる。通気性を有する袋体としては、上述した不織布の他、和紙、通気性を備えた合成樹脂フィルムやこれらを積層したラミネートフィルムなどである。収納体としては、袋体を貫通する係止孔を設ければ、簀の子内で保持固定することができ、袋体内での多孔質体の片寄りも軽減することができる。係止孔を設けることにより、押入や洋服ダンスなどに吊したり、複数連結して脱臭や乾燥に供することも可能となる。また、袋体は充填材の充填部を複数に分割することにより、収納体を曲げたり丸めることができ、設置する個所に応じて対応させやすくなる。
【0008】
本発明に係る簀の子は、内部に収納体の収容空間を備えた直方体形状であり、各面に通気口を備えることによって、収納した収納体の周囲に通気性を確保している。特に、本発明においては、簀の子本体の底面を上げ底とし、両側面や背面の下部に該底面に連通させる底部通気口を設けることで、底面に対し確実に通気できる構造としている。収納体の収容部としては、簀の子の前面に開口部を設けて収納体を取り換える他、底面自体を出し入れする引き出し構造としてもよい。
【0009】
引き出しを設けることで、収納体の交換が容易となり、しかも簀の子に収容するとき収納体の片寄りを防止して吸着効率等を高めることができる。特に、引き出しに収納体に設けた係止孔に挿通させる係止具を設けたり、スペーサを設けることで、収納体を出し入れするときや、簀の子を移動させたりするときなど、簀の子内での収納体の片寄りや移動の防止及び吸着効率等をより高めることが可能となる。また、この他収納体を通気性を備えた箱体に収納して簀の子に装着することで同等の効果が得られる。この場合、箱体にスペーサや係止具を設けてより効果を高めることができる。
【0010】
また、簀の子本体側方部に上面と底面に架け渡す差込ピンの差込穴を設け、該差込ピンに支持させた支持棒に、収納体の係止孔を挿通させて支持させることにより、簀の子本体を立てた状態で使用することが可能となる。
【0011】
本発明に係る簀の子においては、簀の子本体全面の通気性を高めたことにより、これを並設することでベッドや床構造として構成することができる。ベッドの場合は、寝たりきりの老人や病人のベッドとして、載置する布団やマットレスの除湿や脱臭を図ったり、芳香を放ったりする上で有用となる。また、床構造の場合は、上に薄畳みやマットなどを敷くことにより、除湿、脱臭、芳香を伴う通気性に優れた床面を形成することができる。並設する手段としては、複数の簀の子を単に並べるだけでもよいが、釘打ち、ボルト等による連結、連結具の嵌め込みなどで連結してもよい。この他、簀の子の利用方法としては、複数連設することにより空間の間仕切りとすることもできる。この場合、スタンドなどに載置して目線高さに設置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る簀の子は、本体各面に通気口を備えた直方体形状であり、底面を上げ底とし、少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことにより、内部に収納した収納体の機能を最大限に発揮させることができる。これにより、簀の子としての本来の機能である上面側の通気だけでなく、底面側の通気も確実にし、押入等の棚面や床面ひいては押入等全体に渡る充分な除湿性能を発揮することができる。また、これらの機能を備えた簀の子を複数並設することで除湿、脱臭及び芳香機能を備えたベッドや床構造を構成することができるなど極めて有益な効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、底面を上げ底とし少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことにより、上述課題を解決した。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る簀の子1の一例であり、木製の板材を適宜間隔を開けて配置して上面2と底面3を形成し、これらを適宜間隔を開けて側面板4で連結した直方体形状である。前面と背面は開口部5であり、ここから収納体6の出し入れを行う。本発明においては、底面3を上げ底とし、両側面の下部に底部通気口7を設けることにより、該底面3に対する通気を確実にしている。収納体6として、図2に示すように袋体61の全面に多数のスペーサ62を設けることで、より通気性能を高めることができる。本例のスペーサ62はポリエチレンの連続発泡体で形成したφ20mm、高さ20mmの円柱状で、先端を球面状に形成している。これを10平方センチメートル当たり約2個の割合で設けている。
【実施例2】
【0015】
また、収納体6は基本的に通気性を有する袋体61に充填材を充填したものであればよいが、図3のように袋体61を貫通する係止孔63を一つ設けておくことで、洋服ダンスのフックなどに吊り下げて使用することができ、汎用性を高めることができる。係止孔63は、各コーナーや辺部に適宜設けてもよい。
【実施例3】
【0016】
図4は、本発明に係る簀の子1の他の実施例であり、開口部5から出し入れする引き出し8を設けた構造であり、この引き出し8に収納体6を載置することにより、簀の子1本体への収納体6の装着をより簡単にすることができる。引き出し8は簀の子1本体の底面を形成するもので、その装着位置を上げ底位置とし、両側面下部に底部通気口7を設けて、引き出し8底面側への通気性を確保している。収納体6を上げ底位置に装着して底面側に通気性を確保する観点から、収納体6は図5のように通気性を備えた箱体9に収納して簀の子1本体に装着させるようにしてもよい。
【実施例4】
【0017】
図6(a)(b)は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、引き出し8に係止具81を設けている。係止具81は、収納体6の袋体61を貫通して設けた係止孔63を挿通させることによって収納体6の保持を図る。本例では、引き出し8にスペーサ62を設け、載置する収納体6の通気性及び保型性を高めている。また、本例では簀の子1本体の開口部5側に上面2と底面3に架け渡す差込ピン10を差し込むことによって、引き出し8を固定させるようにしている。
【実施例5】
【0018】
図7(a)(b)は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、差込ピン10を挿通させる差込穴11を簀の子1本体の側方部に設けている。この差込穴11に差込ピン10を差し込み、収納体6の係止孔63に挿通した支持棒12を支持することで、簀の子1本体を立てた状態で使用することが可能となる。本例では、差込穴11を開口部5側と中央部の2ヶ所に設けると共に、簀の子1本体の背面板13に支持させるようにしている。
【実施例6】
【0019】
図8は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、引き出し8の載置部を紐状体81で構成している。紐状体81としては、紐、ロープ、ワイヤなどであり、収納体6との接触面積を小さくして吸着効率等を高めることができる。また、紐状体81の弾性により収納体6を引き出し8の枠体より沈み込ませた状態に支持するため、収納体6の保持力が高くなる。
【実施例7】
【0020】
図9は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、収納体6を箱体9に収納した場合において、該箱体9を簀の子1本体に固定する構造を示したものである。箱体9の固定構造として、差込片14により簀の子1本体から箱体9に設けた貫通孔91に挿通して固定する。本例では、差込片14の突出部が邪魔にならないように簀の子1の底面3側から挿通させるようにしている。このため、差込片14が抜け落ちないように、差込片14の断面形状と簀の子1側の挿通孔をほぼ同じ大きさの矩形としている。これは、差込片14の頭部側に差し込んだ状態で回転できる小径部を設け、ほぼ45°回転させることで差込片14の矩形が挿通孔の矩形に係合して抜け落ちが防止される。
【0021】
本実施例では、底部通気口7を確保するものとして板状の脚部31を設けている。脚部31を板状とすることにより、引っかかりにくく且つ滑らせ易くなって簀の子1本体の移動を容易にすることができる。また、開口部5を封止する封止具51を取り付けることにより、内部に収納した収納体6や引き出し8が飛び出さないようにしている。封止具51は、図10に示すようにフック52を設けており、簀の子1本体側に設けたフック受52に係合させて外れにくくしている。
【実施例8】
【0022】
本発明に係る簀の子1は、図11のように複数並設することで床構造20を構成することができる。例えば、フローリングの部屋の一部に複数並設し、上に畳やマットなどを敷いて座れる床面を形成することができる。簀の子1を複数並設する場合、図のような連結具21を利用することにより、簡単確実に連結して並設することができる。このような連結具21は、両面粘着テープなどで床面に固定しておいてもよい。
【実施例9】
【0023】
また、簀の子1を複数並設する場合においては、図12のような簀の子ベッド30を構成することもできる。本例では、ベッドとして構成するため簀の子1の脚部を長くして上面2の高さが高くなるようにしている。簀の子1を併設する場合には、前実施例のような連結具21を用いてもよいが、本例では、上面2の溝に嵌め込んだり、底面3を構成する桟に係止する連結具31により、できるだけ上面2側で連結するようにしている。
【0024】
また、本例ではヘッドボード32を、簀の子1の脚部にヘッドボード固定具33を利用して取り付けている。ヘッドボード32を設けることで、図13に示すように収納体6を係止することができ、簀の子1のみならず頭部周辺での脱臭や芳香の機能を高めることができる。
【0025】
ベッドを構成する簀の子1としては、図14に示すように簀の子1の脚部の他に、差込片14や封止具51を床面に足る長さにして支持部材とすることにより、支持力を高めることができる。差込片14を多数設けた場合は、図9のように箱体9に貫通孔91を設けて貫通させたり、図15のように収納体6に貫通部64を形成して、差込片14を貫通させて上面2の裏面に接当させるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る簀の子の一実施例を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】収納体の他の例を示す斜視図である。
【図3】収納体のさらに他の例を示す斜視図である。(実施例2)
【図4】本発明に係る簀の子の他の実施例を示す斜視図である。(実施例3)
【図5】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は正面図である。(実施例4)
【図7】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示すもので、(a)は立てた状態の側面図、(b)は立てた状態の正面図である。(実施例5)
【図8】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示す斜視図である。(実施例6)
【図9】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示す斜視図である。(実施例7)
【図10】簀の子の開口部を封止する状態を示す部分斜視図である。
【図11】本発明に係る床構造の一実施例を示す斜視図である。(実施例8)
【図12】本発明に係る簀の子ベッドの一実施例を示す斜視図である。(実施例9)
【図13】本発明に係る簀の子ベッドの他の実施例を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る簀の子ベッドを構成する簀の子の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る簀の子ベッドを構成する簀の子に収納する収納体のさらに他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 簀の子
2 上面
3 底面
31 脚部
4 側面板
5 開口部
51 封止具
52 フック
53 フック受
6 収納体
61 袋体
62 スペーサ
63 係止孔
64 貫通部
7 底部通気口
8 引き出し
81 係止具
82 紐状体
9 箱体
91 貫通孔
10 差込ピン
11 差込穴
12 支持棒
13 背面板
14 差込片
20 床構造
21 連結具
30 簀の子ベッド
31 連結具
32 ヘッドボード
33 ヘッドボード固定具
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容して設置する簀の子の改良、及び該簀の子を複数並設して形成したベッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より除湿や脱臭を目的として、木炭や活性炭などの多孔質体を押入や戸棚、床下等に設置している。このような多孔質体は、通常、不織布などの通気性を有する袋体に充填して用いられる。多孔質体としては、例えば木炭やこれを粉砕したもの、或いは粒体などがある。
【0003】
通気性を有する袋体に充填された吸着体は、そのまま床下などに設置する場合もあるが、特許文献1のように段ボールなどの紙やプラスチックのケースに収容して用いられていれる。吸着体をケースに収容することにより、縦置きができることや、スノコの代用として利用することが可能となる。このような吸着体収納ケースには、周面に多数の通気口が設けられている。
【特許文献1】実用新案登録第3071671号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、吸着体をそのまま用いる場合は設置面や壁面との密着面積が大きくなることや、多数の通気口を設けたケースに収容した場合でも、設置面側や壁面側の通気口が封止されることになり、通気性が遮断されてしまう。しかも、上に布団などを載せてスノコとして利用すれば、上面側の通気性も失われることになる。このようなことから、従来の吸着体では周辺の湿気や臭いの吸着機能を充分発揮することができない構造的な問題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は上記問題に鑑み鋭意研究の結果、本発明を成し得たものであり、その特徴とするところは、通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容し、押入等の床面部に設置するものであって、本体は、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことにある。
【0006】
或いは、通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容するもので、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けた簀の子を、複数並設したことにある。
【0007】
ここで、本明細書中でいう「充填材」とは、湿気や臭いを吸着しやすい多孔質体や香りを発散する芳香材をいう。例えば、多孔質体としては木炭、活性炭、竹炭などであり、芳香材としては桧等の木材のチップやおが屑、茶やハーブなどである。これらを充填材として通気性のある袋体に充填することによって、収納体として用いる。通気性を有する袋体としては、上述した不織布の他、和紙、通気性を備えた合成樹脂フィルムやこれらを積層したラミネートフィルムなどである。収納体としては、袋体を貫通する係止孔を設ければ、簀の子内で保持固定することができ、袋体内での多孔質体の片寄りも軽減することができる。係止孔を設けることにより、押入や洋服ダンスなどに吊したり、複数連結して脱臭や乾燥に供することも可能となる。また、袋体は充填材の充填部を複数に分割することにより、収納体を曲げたり丸めることができ、設置する個所に応じて対応させやすくなる。
【0008】
本発明に係る簀の子は、内部に収納体の収容空間を備えた直方体形状であり、各面に通気口を備えることによって、収納した収納体の周囲に通気性を確保している。特に、本発明においては、簀の子本体の底面を上げ底とし、両側面や背面の下部に該底面に連通させる底部通気口を設けることで、底面に対し確実に通気できる構造としている。収納体の収容部としては、簀の子の前面に開口部を設けて収納体を取り換える他、底面自体を出し入れする引き出し構造としてもよい。
【0009】
引き出しを設けることで、収納体の交換が容易となり、しかも簀の子に収容するとき収納体の片寄りを防止して吸着効率等を高めることができる。特に、引き出しに収納体に設けた係止孔に挿通させる係止具を設けたり、スペーサを設けることで、収納体を出し入れするときや、簀の子を移動させたりするときなど、簀の子内での収納体の片寄りや移動の防止及び吸着効率等をより高めることが可能となる。また、この他収納体を通気性を備えた箱体に収納して簀の子に装着することで同等の効果が得られる。この場合、箱体にスペーサや係止具を設けてより効果を高めることができる。
【0010】
また、簀の子本体側方部に上面と底面に架け渡す差込ピンの差込穴を設け、該差込ピンに支持させた支持棒に、収納体の係止孔を挿通させて支持させることにより、簀の子本体を立てた状態で使用することが可能となる。
【0011】
本発明に係る簀の子においては、簀の子本体全面の通気性を高めたことにより、これを並設することでベッドや床構造として構成することができる。ベッドの場合は、寝たりきりの老人や病人のベッドとして、載置する布団やマットレスの除湿や脱臭を図ったり、芳香を放ったりする上で有用となる。また、床構造の場合は、上に薄畳みやマットなどを敷くことにより、除湿、脱臭、芳香を伴う通気性に優れた床面を形成することができる。並設する手段としては、複数の簀の子を単に並べるだけでもよいが、釘打ち、ボルト等による連結、連結具の嵌め込みなどで連結してもよい。この他、簀の子の利用方法としては、複数連設することにより空間の間仕切りとすることもできる。この場合、スタンドなどに載置して目線高さに設置するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る簀の子は、本体各面に通気口を備えた直方体形状であり、底面を上げ底とし、少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことにより、内部に収納した収納体の機能を最大限に発揮させることができる。これにより、簀の子としての本来の機能である上面側の通気だけでなく、底面側の通気も確実にし、押入等の棚面や床面ひいては押入等全体に渡る充分な除湿性能を発揮することができる。また、これらの機能を備えた簀の子を複数並設することで除湿、脱臭及び芳香機能を備えたベッドや床構造を構成することができるなど極めて有益な効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、底面を上げ底とし少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことにより、上述課題を解決した。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る簀の子1の一例であり、木製の板材を適宜間隔を開けて配置して上面2と底面3を形成し、これらを適宜間隔を開けて側面板4で連結した直方体形状である。前面と背面は開口部5であり、ここから収納体6の出し入れを行う。本発明においては、底面3を上げ底とし、両側面の下部に底部通気口7を設けることにより、該底面3に対する通気を確実にしている。収納体6として、図2に示すように袋体61の全面に多数のスペーサ62を設けることで、より通気性能を高めることができる。本例のスペーサ62はポリエチレンの連続発泡体で形成したφ20mm、高さ20mmの円柱状で、先端を球面状に形成している。これを10平方センチメートル当たり約2個の割合で設けている。
【実施例2】
【0015】
また、収納体6は基本的に通気性を有する袋体61に充填材を充填したものであればよいが、図3のように袋体61を貫通する係止孔63を一つ設けておくことで、洋服ダンスのフックなどに吊り下げて使用することができ、汎用性を高めることができる。係止孔63は、各コーナーや辺部に適宜設けてもよい。
【実施例3】
【0016】
図4は、本発明に係る簀の子1の他の実施例であり、開口部5から出し入れする引き出し8を設けた構造であり、この引き出し8に収納体6を載置することにより、簀の子1本体への収納体6の装着をより簡単にすることができる。引き出し8は簀の子1本体の底面を形成するもので、その装着位置を上げ底位置とし、両側面下部に底部通気口7を設けて、引き出し8底面側への通気性を確保している。収納体6を上げ底位置に装着して底面側に通気性を確保する観点から、収納体6は図5のように通気性を備えた箱体9に収納して簀の子1本体に装着させるようにしてもよい。
【実施例4】
【0017】
図6(a)(b)は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、引き出し8に係止具81を設けている。係止具81は、収納体6の袋体61を貫通して設けた係止孔63を挿通させることによって収納体6の保持を図る。本例では、引き出し8にスペーサ62を設け、載置する収納体6の通気性及び保型性を高めている。また、本例では簀の子1本体の開口部5側に上面2と底面3に架け渡す差込ピン10を差し込むことによって、引き出し8を固定させるようにしている。
【実施例5】
【0018】
図7(a)(b)は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、差込ピン10を挿通させる差込穴11を簀の子1本体の側方部に設けている。この差込穴11に差込ピン10を差し込み、収納体6の係止孔63に挿通した支持棒12を支持することで、簀の子1本体を立てた状態で使用することが可能となる。本例では、差込穴11を開口部5側と中央部の2ヶ所に設けると共に、簀の子1本体の背面板13に支持させるようにしている。
【実施例6】
【0019】
図8は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、引き出し8の載置部を紐状体81で構成している。紐状体81としては、紐、ロープ、ワイヤなどであり、収納体6との接触面積を小さくして吸着効率等を高めることができる。また、紐状体81の弾性により収納体6を引き出し8の枠体より沈み込ませた状態に支持するため、収納体6の保持力が高くなる。
【実施例7】
【0020】
図9は、本発明に係る簀の子1のさらに他の実施例であり、収納体6を箱体9に収納した場合において、該箱体9を簀の子1本体に固定する構造を示したものである。箱体9の固定構造として、差込片14により簀の子1本体から箱体9に設けた貫通孔91に挿通して固定する。本例では、差込片14の突出部が邪魔にならないように簀の子1の底面3側から挿通させるようにしている。このため、差込片14が抜け落ちないように、差込片14の断面形状と簀の子1側の挿通孔をほぼ同じ大きさの矩形としている。これは、差込片14の頭部側に差し込んだ状態で回転できる小径部を設け、ほぼ45°回転させることで差込片14の矩形が挿通孔の矩形に係合して抜け落ちが防止される。
【0021】
本実施例では、底部通気口7を確保するものとして板状の脚部31を設けている。脚部31を板状とすることにより、引っかかりにくく且つ滑らせ易くなって簀の子1本体の移動を容易にすることができる。また、開口部5を封止する封止具51を取り付けることにより、内部に収納した収納体6や引き出し8が飛び出さないようにしている。封止具51は、図10に示すようにフック52を設けており、簀の子1本体側に設けたフック受52に係合させて外れにくくしている。
【実施例8】
【0022】
本発明に係る簀の子1は、図11のように複数並設することで床構造20を構成することができる。例えば、フローリングの部屋の一部に複数並設し、上に畳やマットなどを敷いて座れる床面を形成することができる。簀の子1を複数並設する場合、図のような連結具21を利用することにより、簡単確実に連結して並設することができる。このような連結具21は、両面粘着テープなどで床面に固定しておいてもよい。
【実施例9】
【0023】
また、簀の子1を複数並設する場合においては、図12のような簀の子ベッド30を構成することもできる。本例では、ベッドとして構成するため簀の子1の脚部を長くして上面2の高さが高くなるようにしている。簀の子1を併設する場合には、前実施例のような連結具21を用いてもよいが、本例では、上面2の溝に嵌め込んだり、底面3を構成する桟に係止する連結具31により、できるだけ上面2側で連結するようにしている。
【0024】
また、本例ではヘッドボード32を、簀の子1の脚部にヘッドボード固定具33を利用して取り付けている。ヘッドボード32を設けることで、図13に示すように収納体6を係止することができ、簀の子1のみならず頭部周辺での脱臭や芳香の機能を高めることができる。
【0025】
ベッドを構成する簀の子1としては、図14に示すように簀の子1の脚部の他に、差込片14や封止具51を床面に足る長さにして支持部材とすることにより、支持力を高めることができる。差込片14を多数設けた場合は、図9のように箱体9に貫通孔91を設けて貫通させたり、図15のように収納体6に貫通部64を形成して、差込片14を貫通させて上面2の裏面に接当させるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る簀の子の一実施例を示す斜視図である。(実施例1)
【図2】収納体の他の例を示す斜視図である。
【図3】収納体のさらに他の例を示す斜視図である。(実施例2)
【図4】本発明に係る簀の子の他の実施例を示す斜視図である。(実施例3)
【図5】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は正面図である。(実施例4)
【図7】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示すもので、(a)は立てた状態の側面図、(b)は立てた状態の正面図である。(実施例5)
【図8】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示す斜視図である。(実施例6)
【図9】本発明に係る簀の子のさらに他の実施例を示す斜視図である。(実施例7)
【図10】簀の子の開口部を封止する状態を示す部分斜視図である。
【図11】本発明に係る床構造の一実施例を示す斜視図である。(実施例8)
【図12】本発明に係る簀の子ベッドの一実施例を示す斜視図である。(実施例9)
【図13】本発明に係る簀の子ベッドの他の実施例を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る簀の子ベッドを構成する簀の子の一例を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る簀の子ベッドを構成する簀の子に収納する収納体のさらに他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 簀の子
2 上面
3 底面
31 脚部
4 側面板
5 開口部
51 封止具
52 フック
53 フック受
6 収納体
61 袋体
62 スペーサ
63 係止孔
64 貫通部
7 底部通気口
8 引き出し
81 係止具
82 紐状体
9 箱体
91 貫通孔
10 差込ピン
11 差込穴
12 支持棒
13 背面板
14 差込片
20 床構造
21 連結具
30 簀の子ベッド
31 連結具
32 ヘッドボード
33 ヘッドボード固定具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容し、押入等の床面部に設置するものであって、本体は、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことを特徴とする簀の子。
【請求項2】
簀の子本体は、側方部に上面と底面に架け渡す差込ピンの差込穴を有するものであり、該差込ピンに支持させる支持棒に、収納体を袋体に貫通して備えた係止孔を挿通させて支持する請求項1記載の簀の子。
【請求項3】
収納体は、通気性を備えた箱体に収納して簀の子本体に装着する請求項1記載の簀の子。
【請求項4】
貫通孔を設けた箱体若しくは袋体を貫通する係止孔を設けた収納体を、固定具により簀の子本体と共に貫通させて支持する請求項1又は3記載の簀の子。
【請求項5】
簀の子本体の底面は、前面の開口部から出し入れする引き出しとした請求項1記載の簀の子。
【請求項6】
引き出しは、複数のスペーサを設けた請求項5記載の簀の子。
【請求項7】
引き出しは、収納体に袋体を貫通して備えた係止孔に挿通させる係止具を設けた請求項5記載の簀の子。
【請求項8】
通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容するもので、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けた簀の子を、複数並設したことを特徴とする簀の子ベッド。
【請求項9】
収納体は、通気性を備えた箱体に収納して簀の子本体に装着する請求項8記載の簀の子ベッド。
【請求項10】
貫通孔を設けた箱体若しくは袋体を貫通する係止孔を設けた収納体を、簀の子本体と共に貫通させて支持する固定具を、脚部とした請求項8又は9記載の簀の子ベッド。
【請求項11】
通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容するもので、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けた簀の子を、複数並設したことを特徴とする床構造。
【請求項12】
収納体は、通気性を備えた箱体に収納して簀の子本体に装着する請求項11記載の床構造。
【請求項13】
貫通孔を設けた箱体若しくは袋体を貫通する係止孔を設けた収納体を、簀の子本体と共に貫通させて支持する固定具を、脚部とした請求項11又は12記載の床構造。
【請求項1】
通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容し、押入等の床面部に設置するものであって、本体は、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けたことを特徴とする簀の子。
【請求項2】
簀の子本体は、側方部に上面と底面に架け渡す差込ピンの差込穴を有するものであり、該差込ピンに支持させる支持棒に、収納体を袋体に貫通して備えた係止孔を挿通させて支持する請求項1記載の簀の子。
【請求項3】
収納体は、通気性を備えた箱体に収納して簀の子本体に装着する請求項1記載の簀の子。
【請求項4】
貫通孔を設けた箱体若しくは袋体を貫通する係止孔を設けた収納体を、固定具により簀の子本体と共に貫通させて支持する請求項1又は3記載の簀の子。
【請求項5】
簀の子本体の底面は、前面の開口部から出し入れする引き出しとした請求項1記載の簀の子。
【請求項6】
引き出しは、複数のスペーサを設けた請求項5記載の簀の子。
【請求項7】
引き出しは、収納体に袋体を貫通して備えた係止孔に挿通させる係止具を設けた請求項5記載の簀の子。
【請求項8】
通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容するもので、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けた簀の子を、複数並設したことを特徴とする簀の子ベッド。
【請求項9】
収納体は、通気性を備えた箱体に収納して簀の子本体に装着する請求項8記載の簀の子ベッド。
【請求項10】
貫通孔を設けた箱体若しくは袋体を貫通する係止孔を設けた収納体を、簀の子本体と共に貫通させて支持する固定具を、脚部とした請求項8又は9記載の簀の子ベッド。
【請求項11】
通気性を有する袋体に充填材を充填した収納体を収容するもので、内部に該収納体の収容空間を有し各面に通気口を備えた直方体形状であり、前面を該収納体を出し入れする開口部とすると共に、底面を上げ底とし、且つ少なくとも両側面下部に該底面に連通する底部通気口を設けた簀の子を、複数並設したことを特徴とする床構造。
【請求項12】
収納体は、通気性を備えた箱体に収納して簀の子本体に装着する請求項11記載の床構造。
【請求項13】
貫通孔を設けた箱体若しくは袋体を貫通する係止孔を設けた収納体を、簀の子本体と共に貫通させて支持する固定具を、脚部とした請求項11又は12記載の床構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−157017(P2008−157017A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311503(P2007−311503)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(505124580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(505124580)
【Fターム(参考)】
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